ぱたの関心空間

関心空間と徒然なるままに。

ミラクルバナナ@京都シネマ

2006-11-29 19:24:43 | 映画感想
タイトル、マジカルバナナと間違えやすいですよね、ね?ね?

さて、中米のハイチを舞台にしたお話。
西半球の最貧国といわれるこの国で、不要になったバナナの樹から紙を作るというプロジェクトを立ち上げるというストーリー。

おぉ、音楽が角松敏生やん! って映画の内容とは直接関係ないですな。うむ。
#でも角松さんの音楽はやっぱりいいです、洗練されてて好き。

映画の内容自体はいたって脳天気だなぁ、というのが感想。
なにしろ、ど頭から「ハイチ」と「タヒチ」を間違える主人公。すごい間違え方だ。。。
途中で主人公の幸子がノリになるものを探してぶっ倒れるあたりとか暴動にぶつかるシーンなんかを除いて全編明るい感じで貫かれているのは、おそらく、そういう風に作ってるからなんだけど、そんなにご都合主義でいくものか?ってな感じがしてしまう。

映画のテーマが「あきらめないってきもちいい」っていう前向きな物であるから、そこを強調しているのでせう。事実、見終わった後は清々しい気分になるし。

ただ、そのせいでまだこの国にある深刻な問題が看過されちゃうんではないかと気がかりです。
タイトルロールんところで気づいたんだけど、映画のロケ、隣のドミニカでしていたみたい。つまり、ハイチは未だに映画を撮れるような治安状態じゃないって事でしょ。そういう影の部分は映画であまり描かれてないけど、やっぱり観る時にはどっかで気づいて欲しい。
暴動のシーンや、夜中の銃声といったものも出てくるけどね、軽いトーンの中でそれでもどっかに引っかけておくと楽しいだけの映画では終わらない気がします。イヤミな一等書記官の主人公に浴びせられる「君は甘いんだよ!」っていうセリフはもしかしたらハイチの置かれている状況の深刻さを忘れないようにする大事な一言なのかもしれない、と思いました。

だからっつーてハイチに対して暗いイメージを持っちゃうとそれは困っちゃうけどね。

多分、主人公が包まれる子供たちの笑顔や貧しいながらも明るい町、そういったものはハイチの偽らざる魅力なんやと思う。だからこそ、少しでも彼らの役に立つバナナペーパーを作ろうと思い立っ幸子の気持ちに共感するし、現在もそのプロジェクトはハイチ他の後進国で進行中と聞くとちょっと嬉しくなる。
それともう一つ、「自殺する人なんていない」っていうフィリップの言葉が意味する事を日本人はハイチの人達の笑顔から学ぶ必要があるんちゃうかな、って思う。

そう考えると、主人公のお気楽なキャラクター設定はこの映画ですごく大切な事だったのかもと納得します。

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