2017年のノーベル平和賞をスイス・ジュネーブに拠点を置く国際非政府組織(NGO)、核兵器廃絶国際キャンペーン(The International Campaign to Abolish Nuclear Weapons (ICAN))が受賞した。国連の核兵器禁止条約に向けての活躍が評価されたのである。このICANの活躍を支えた多くの被爆者がいる。もちろん全員が唯一の被爆国の日本人である。被爆者から、「あなたはどこの国の首相ですか」と問われてきょとんとするばかりの安倍晋三である。
日本政府は、核兵器禁止条約の、別の方法を求めてゆくと、被爆地広島出身の岸田外相も、明らかに趣旨替えした河野外相も述べている。こそこで、唐突と思えるような、「核兵器廃絶決議案」と提出することになったが、ICANからは核保有国と非保有国の分断を助長するものだと失笑をかっている。
安倍晋三はことあるごとに、近隣諸国に国際法に乗った判断を呼び掛けている。もうすでに120カ国が批准している、核兵器禁止条約である。アメリカ追従を通り越して、完全な従属国家に成り下がった感が否めない。
皇后美智子さんが先日の誕生日の感想に、ICANがノーベル平和賞を受賞したことが大変喜ばしいと、わざわざ述べている。安倍晋三への皮肉ともとれる。
日本政府はICANのノーベル平和賞受賞にコメントも出していない。核兵器の使用がこれで法律的に禁止されることになったと述べていた、長崎の被爆者でカナダ在住のサーロー節子さんが、ノーベル賞受賞のコメントを述べることになった。
「核なき世界へ言葉を探す」サーロー節子さんが、「核兵器はこれまで道徳に反するものであったが、これからは法律に反することになった」と述べている。ノーベル賞授賞式での彼女の受賞の言葉を期待したい。安倍晋三には届かないだろうが。