あまり見たことのないデーターである。生活程度を上中下で別けた投票動向である。自民党に上の人が最も多いのは予測の範囲であるが、これに続くのが立憲民主党である。この層は棄権が8%程度と最も低い。ある程度の生活者は高齢者の比率が高いと推察されるためか。共産党の支持者も多く、自民党と社会党による5・5体制の名残がここにみられる。公明党は貧富の差を余り反映していない。創価学会の別動隊と考えれば納得である。
下の層は興味深い。棄権者が23%と最も多い。自民党支持者も最も少ない。野党支持者が均等に分散されているのも興味深い。生活のレベルも自己申請であるし、投票行動の確認も同様である。生活レベルが3等分でないだろうから、データーとしては不十分で正確な実態反映にはなってはいないが、投票行動の概要の説明には十分である。この投票行動の比率を見るだけでも、小選挙区制の矛盾が理解できる。棄権者と同程度の支持を持つだけで、自民党が国政を担える歪な日本の政治体制であると言える。
これまで衆議院の与野党の審議時間は、法案を自ら練って提出したのであるから与党が2に対して、野党が8であった。委員会で初めて法案を目にする野党に方が多いのは当然である。それを与党7に対して野党を3にせよというのである。
安倍晋三は選挙前には、丁寧な説明をするなどと言っていたが、全く逆である。自ら法案を提出した与党など質問することなどなかろうというものである。ゼロでも構わない。僅か30%少々で得た議席による配分に応じて、7割もの質問時間を寄こせというのである。大体が、与党に質問することなどあるのだろうか。時間を持て余し般若心経を披歴した、質の低い自民党議員もいた。
かつて大平正芳は、「政治は60点に収めるのが正しいい」と述べている。かつて自民党は、保守とは丁寧な合意形成から誠意と対話を基調としてきたと述べている。現在の自民党は麻生などのように、「こうすればうまくゆく」と、手段のみを論じるのはある意味での保守では言い難い。むしろ当時の社会党などの方が乱暴な審議を重ねてもいた。
安倍晋三や麻生太郎の血筋だけでのし上がってきて地位を得た政治家が支配する自民党は、生活が苦しい層のことなど何も気に止めるものがないのであろう。とりわけ安倍晋三は、すでに死語となっている右翼思想を掲げる国粋主義者である。驕りの中の政治には庶民は存在しない。