市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

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前橋地裁におかれている地方裁判所委員会について、地裁総務課にヒヤリング

2022-08-27 01:16:08 | オンブズマン活動

前橋地裁本館。総務課はこの5階。

■当会会員がネットで調べものをしていたら、地方裁判所には地方裁判所委員会というものが存在することが判りました。同委員会には規則があり、第1条として「地方裁判所の運営に広く国民の意見を反映させるため、地方裁判所委員会を置く。」とあります。第4条を見てみると、委員は学識経験者、弁護士、検察官、裁判官しかなれません。

 当会会員は、これで果たして「国民の意見」を反映される布陣なのか、という疑問を呈しています。当会の他の会員の皆さんにこのことを伝えたところ、とりわけ、行政相手に本人訴訟をしている方々は、口をそろえて、「これでは地裁の運営は、広く国民の声とは縁遠いはずだ」と妙に納得されています。

 筆者も、迂闊ながら、この情報を知るまで、地裁に委員会が設置されていることすら知りませんでした。さっそく8月26日の午後4時過ぎに前橋地裁5階の総務課を訪れてヒヤリングを試みました。

■ちなみに、地方裁判所委員会規則は以下のとおりです。原文は縦書きとなっています。

**********平成十五年四月二日最高裁判所規則第九号
          地方裁判所委員会規則
 (設置)
第一条 地方裁判所の運営に広く国民の意見を反映させるため、地方裁判所に地方裁判所委員会(以下「委員会」という。)を置く。
 (所掌事務)
第二条 委員会は、当該委員会を置く地方裁判所の運営(その管轄区域内の簡易裁判所の運営を含む。)に関し、当該地方裁判所の諮問に応ずるとともに、当該地方裁判所に対して意見を述べるものとする。
 (組織)
第三条 委員会は、委員十五人以内で組織する。ただし、最高裁判所が必要と認める場合には、二十五人に達するまで委員の数を増加することができる。
 (委員の任命)
第四条 委員は、次に掲げる者のうちから、第二条に規定する地方裁判所が任命する。
一 当該地方裁判所の管轄区域内において居住し、又は執務する学識経験者
二 当該地方裁判所を設立の基準とする弁護士会に所属する弁護士
三 当該地方裁判所に対応する地方検察庁又は当該地方裁判所の管轄区域内の簡易裁判所に対応する区検察庁の検察官
四 当該地方裁判所又はその管轄区域内の簡易裁判所の裁判官
 (委員の任期等)
第五条 委員の任期は、二年とする。
2 委員は、再任されることができる。
3 委員は、非常勤とする。
 (委員長)
第六条 委員会に委員長を置き、当該委員会の委員の互選により選任する。
2 委員長は、会務を総理し、委員会を代表する。
3 委員長に事故があるときは、あらかじめその指名する委員が、その職務を代理する。
 (部会)
第七条 委員会は、その定めるところにより、部会を置くことができる。
2 部会に属すべき委員は、委員長が指名する。
3 部会に部会長を置き、当該部会に属する委員の互選により選任する。
4 部会長は、当該部会の事務を掌理する。
5 部会長に事故があるときは、当該部会に属する委員のうちから部会長があらかじめ指名する者が、その職務を代理する。
6 委員会は、その定めるところにより、部会の議決をもって委員会の議決とすることができる。
 (庶務)
第八条 委員会の庶務は、第二条に規定する地方裁判所の事務局総務課において処理する。
 (雑則)
第九条 この規則に定めるもののほか、議事の手続その他委員会の運営に関し必要な事項は、委員長が委員会に諮って定める。
附則
この規則は、平成十五年八月一日から施行する。
**********

 また、現在の前橋地方裁判所委員会の委員は次の14名の方々です。 

*****委員(五十音順,敬称略)***** 
①青柳 恵一:群馬テレビ株式会社報道局長
②岩﨑 泰人:株式会社群馬旅行(群馬バスグループ)代表取締役社長
③小渕紀久男:株式会社上毛新聞社編集局長
④釘島 伸博:弁護士法人釘島総合法律事務所弁護士・公益財団法人群馬県暴力追放運動推進センター理事長
⑤小磯 正康:小磯正康法律事務所弁護士
⑥齊藤 啓昭:前橋地方裁判所所長
⑦佐藤 裕子:群馬県生活文化スポーツ部人権男女共同参画課課長
⑧杉山 順一:前橋地裁部総括判事・前橋家裁部総括判事・前橋簡裁判事
⑨田口 智彦:群馬県立伊勢崎東高等学校校長
⑩田尻 洋子:一般社団法人群馬県女性薬剤師会会長・群馬県社会福祉審議会委員・群馬県女性団体連絡協議会(群馬県ぐんま男女共同参画センター気付)
⑪樋口  努:群馬県商工会連合会専務理事・公益財団法人群馬県暴力追放運動推進センター評議員・群馬県商工政治連盟会計責任者・自由民主党群馬県商工政治鮮明支部会計責任者・群馬県商工会連合会専務理事・(元)群馬県立農林大学校長・(元)群馬県交通政策課課長
⑫三澤紘一郎:群馬大学教育学部准教授
⑬山口 英幸:前橋地方検察庁検事正
⑭山崎  威:前橋地裁部総括判事・前橋家裁部総括判事・前橋簡裁判事
**********

 以上のように15人以内の14名で構成されている前橋地裁委員会のメンバーですが、内訳をみると、学識経験者として7名、弁護士関係として2名、検察関係が1名、裁判官が4名となっていて、一見、学識経験者が半数を占めているように見えます。

 ところが、実際には、学識経験者7名のうち、地元メディア関係者が2名、行政関係者(OBを含む)が3名おり、純然たる民間人は2名しかいません。

 これでは、前橋地裁委員会が民主的に運営されているというのは、単なるポーズでしかありません。また、委員会の開催は、規則によれば、1年に2回程度ですが、令和2年はコロナ感染拡大の為か、一度も開催されませんでした。

 このため、委員の人選や、議題の選定は、いったい誰が決めているのかも疑問です

■地裁本館5階で、総務課に入り、「地裁に委員会が設置されていると思うのですが、このことについてお聞きしたいのでどなたかお願いします」と伝えると、ちょうど、目の前にいた女性職員の方が、「私が担当しています」ということで、話を聞くことが出来ました。

 最初に当会から「このような委員を選考しているのは誰ですか」と質問したところ、担当職員は「第2条の規定により裁判所が決めます」と答えました。当会は「裁判所のどなたですか。総務課ですか」と再度確認を求めたところ、「裁判所のトップです」というので、「では、裁判所の所長さんということですね」と念を押したところ、軽く頷いたので、所長が人選することが判りました。

 各委員の任期は2年ですが、再任は妨げないということで、理論的には最長無制限ということも言えます。当会から「任期は2年ということですが、いつからいつまで、つまり、後継や補充のための委員人事は、いつ行うのでしょうか。たとえば、各年度末ないし年度初めなのでしょうか」と質問したところ、「とくにそういう決まりはありません」との回答でした。つまり、4月1日をもって、任期がスタートするのかどうかすら、わからないとのことです。実に、アバウトな組織だということがうかがえます。

 いずれにしても、委員の選考がこのようなありさまですので、委員会の開催時期も、議題もどのようにして決めるのか、さっぱりわかりません。おそらく総務課がいきあたりばったりでやっているのでしょうが、民主的に運営されているというポーズをとっていれば、それに越したことはないと思っているのかもしれません。

■最後に、一番気になっていた委員の内訳で、偏りが見られることについてオンブズマンとして以下のコメントを差し上げました。すなわち

「メディア関係者や行政関係者を学識経験者に含めているのは、国民の理解が得られないと思います。ですので、報道関係の①③及び行政関係の⑦⑨⑪、さらに既に行政の審議会などのメンバーである⑩の方々は、今の任期が切れたら再任せず、後任は、学識経験者の定義にもどり、各専門分野の学問的業績に対し、相当程度以上の評価を得、かつ社会的にも見識を認められるような経験豊かな人のなかから、慎重に選考するよう、所長さんによく伝えてください」と申入れをしました。

 これに対して、地裁総務課の担当者は「オンブズマンさんの考えに基づくご提案として承っておきます」として、前橋地裁の齊藤所長に伝える姿勢を示しました。

■このところ、当会が提起した行政訴訟や住民訴訟の事案について、立て続けに門前払いの却下もしくは棄却判決を、当会関係者に言い渡している前橋地裁の裁判長裁判官ですが、行政の不正はきちんと公平、公正に裁いてもらう姿勢を裁判所が示さない限り、行政による不当・不正・不法行為はいつまでたっても根絶されず、納税者住民にそのしわ寄せが押し付けられることになります。

 引き続き微力ですが全力で公正・公平・透明な司法実現に向けて取り組んでまいります。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】


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