市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

仰天報道!…地に堕ち腐り果てた群馬県森林行政のコンプライアンス

2022-08-26 23:02:51 | 藤岡市内保安林を巡る行政犯罪

■8月22日の夜、地元紙のネット記事で、「群馬県職員の不適切な事務処理」に関する記事が掲載されました。うかつにも見逃していたところ、24日の夜、当会副代表と、藤岡支部会員から連絡があり、さっそくアクセスしたのが以下の記事です。

**********上毛新聞2022年8月22日(月)18:02
建設中の上信自動車道の工事がストップ、再開時期は未定 群馬県職員の不適切な事務処理が原因


↑群馬県職員の不適切な事務処理で、上信自動車道の工事が中断している↑
 建設中の上信自動車道について、群馬県は22日、不適切な事務処理を確認したため、工事を中断していると発表した。東吾妻町内などの工事で、林野庁に対して保安林を解除する申請を行っていなかった。工事の再開時期は未定で、少なくとも2カ月は中断する見込みという。
 県によると、上信道に絡む申請を4件放置していた。このうち3件に当たる東吾妻町内の工事は今月17日から中断している。もう1件の工事は申請を行わないまま完了し、2020年に開通している。
 今後、県は林野庁に速やかに解除申請を行うとしている。不適切な事務処理は別件も含め、17~20年度に計22件あったことを確認。県吾妻環境森林事務所が事務を担い、当時、担当していた50代男性職員の法令順守の意識が極めて低かったことなどが原因としている。詳細な事実確認を行った上で、職員の処分を検討するという。
 上信道は、関越道渋川伊香保インターチェンジから吾妻地域を経由して、長野県側の上信越道に接続する計画の約80キロの道路。都市部と農村部の連携強化や、既存の国道の災害時のバイパス機能などを目的として、群馬県などが建設している。これまでに渋川市北部や八ツ場ダム周辺などで開通している
**********

 この記事の内容を見ると、2017(平成29)年度~2020(令和2)年度に吾妻環境森林事務所で勤務していた県職員が、どうやら、林野庁に対して保安林解除申請をしないまま上信自動車道の工事が済んでしまった事例が1件と、工事に着手してしまった事例が3件あったため、これから林野庁に保安林解除申請をすることになったが、工事の再開まで少なくとも2か月要するということがわかります。

 その後、他の新聞社もこの事件を報じました。

**********産経新聞2022年8月22日21:05
林地開発などで不適切処理 群馬県が職員の処分検討

 
群馬県庁=前橋市(柳原一哉撮影)
 群馬県は22日、吾妻環境森林事務所で平成29年度~令和2年度に、林地開発許可や保安林解除について担当職員による不適切な事務処理があったと発表した。
 県は6月、航空写真による森林調査を行い、林地開発許可がされていない場所で2カ所の太陽光発電施設の設置を発見した。
 県が調べたところ、同事務所の担当者が林地開発許可の起案・決裁を適切に行わないままになっており、こうした不適切事案が計7件見つかった。
 また同じ担当者が、保安林解除で提出された申請書を放置し、起案・決裁を経ないで公印を無断使用するなどして保安林内の作業許可を出すケースも10件確認された。
 県は担当職員の法令順守意識の低さや業務に不慣れだったことが原因とみており、今後、処分を検討する。また、部内研修の実施などの再発防止策を講じるという。

**********毎日新聞2022年8月23日
県、不適切手続き22件 森林法規定の申請 上信道工事など /群馬
 県は22日、地域高規格道路の上信自動車道路などの工事で、森林法で定められた林地開発許可や国による保安林の解除手続きがなかったと発表した。職員が申請を怠ったためで、手続きが不備のまま4件の工事は完了し、進行中だった3件の工事は中断した。
 県によると、2017年度から20年度にかけて、当時の吾妻環境森林事務所の50代男性職員が、保安林内で公共工事をするための申請を放置。一方で、上司の決裁がないまま、公印を無断使用して作業許可の文書を出したケースもあった。
 職員による不適切な手続きは計22件で、上信道の1件、県道1件、太陽光発電施設2件は許可なく工事が完了し、運用も始まっている。県はいずれも災害発生の危険性が低いと見ているが、追加で安全性を調査し、開発が適当かを事後的に調べる。県森林局が6月上旬、開発許可のない太陽光発電施設を発見し、わかった。県森林安(ママ:保)全課は「職員の法令順守と再発防止に努める」としている。【川地隆史】

**********読売新聞2022年8月23日

不適切処理 上信道工事 一時中断

 県は22日、男性技術職員(50歳代)が林地開発許可や保安林解除で不適切な事務処理をしていたと発表し、謝罪した。保安林解除の手続きを改めて行う必要があり、東吾妻町内で行われている地域耕起かk道路・上信自動車道の工事が一部で中断しているという。
 県によると、職員は吾妻環境森林事務所(中之条町)に所属していた2017~20年度、事業者から提出された保安林解除の申請書を放置したり、公印を無断使用して勝手に作業の許可を出したりしていた。太陽光発電施設の建設に必要な林地開発許可なども不適切に処理し、問題があった事務処理は計22件に及ぶという。
 職員は県の調査に対し、一部で不適切な事務処理を意図的に行ったと話しているものの、動機は明らかにしていないという。職員は21年度から西部環境森林事務所(高崎市)で係長を務めており、県は処分を検討する。

**********東京新聞2022年8月24日
群馬県が不適切処理22件発表 上信道の工事も中断 決裁なく
 群馬県は、吾妻環境森林事務所(中之条町)で計二十二件の不適切な事務処理があったと発表した。建設中の上信自動車道に関する事務も含まれ、三か所の工事が十七日から中断している。県は「速やかに処理を進め、供用開始に影響がでないようにしたい」としている。
 不適切処理は二〇一七~二〇二〇年度にかけて、林地開発許可七件と保安林解除に関する十五件。林地開発許可では太陽光発電や砕石場に関し、起案と決裁を行わずに許可した。保安林解除では、上信自動車道四か所と県道一カ所について、国への解除申請書五件を放置し、同じ五か所に関して起案や決裁なしに作業許可を計十件出した。いずれも五十代男性職員が担当し、作業許可のうち四件は公印を担当者が押していた。
 県によるといずれも防災措置はなされており、安全面の問題はない。再衣鉢防止策として、複数人で担当することやチェック体制の強化に取り組む。
(羽物一隆)
**********

■そのため、たまたま、この記事の情報を知った当会の副代表から8月24日夜、連絡が会員の間に伝えられたため、さっそく8月26日の午後、群馬県庁に赴きました。事前に、情報開示請求をするつもりで、以下の内容について、行政文書開示請求書を準備しました。

*****開示を求める項目内容*****
2022年8月22日付ネット記事によれば、群馬県は「建設中の上信自動車道について、不適切な事務処理を確認したため、工事を中断していると発表した。東吾妻町内などの工事で、林野庁に対して保安林を解除する申請を行っていなかった。工事の再開時期は未定で、少なくとも2カ月は中断する見込みという」と発表した。ついてはこれに関する以下の情報。
①8月22日の記者発表の内容全て。
②上信道に絡む申請として放置されていた4件のうち今月17日から中断している3件に当たる東吾妻町内の工事の内容。
③同じく放置されていた4件のうち、申請を行わないまま完了し、2020年に開通した1件の工事の内容。
④林野庁に対して怠っていた保安林解除手続の内容。
⑤2017年から2020年度に計22件あったという不適切な事務処理の内容。
⑥現時点における県吾妻環境森林事務所で当時、担当していた50代男性職員の法令順守の意識が極めて低かったとする原因の究明結果と責任明確化結果の内容。
⑦現時点における上記⑥に関する再発防止対策の内容。
**********

■ちなみに、上信自動車道(略して「上信道」)とは、群馬県のほぼ中央に位置する渋川市の関越道・渋川伊香保IC近くを起点とし、長野県東御市の上信越道・東部湯の丸IC付近に至る長さ約80kmの地域高規格道路のことです。

 国道145号(現道)や吾妻川、JR吾妻線と並行しながら群馬県の東吾妻町・長野原町を西へ進み、嬬恋村で進路を南に変えて上信越道につながります。

 上信道は、すでに3区間合計約20kmが飛び石状に開通しており、さらに約30kmで整備が進行中です。しかし一方で嬬恋村から上信越道までの約30kmは、調査区間となっていて詳細は決まっていません。

 整備中の区間のなかでは、上信道を構成する国道17号「渋川西バイパス」の未開通区間1.9kmが、2025年度に開通する見込みです。

 また、上信道(渋川西バイパス)の起点で、渋川伊香保ICからすぐの中村交差点では、渋滞緩和を目的とした立体交差化が、2022年度に新規事業化されています。

 中村交差点の改良時期は未定ですが、これらの事業が完成すると渋川伊香保ICから上信道の箱島IC(東吾妻町)までのアクセスが向上し、さらにその先の区間も、2023年度から2027年度にかけて順次開通する見通しで、これにより長野原町までがつながるようになります。

 上信道の整備により、吾妻地域の観光地や温泉地へのアクセスが向上。群馬県によると、渋川伊香保ICから草津温泉・万座温泉までのクルマの所要時間は、30分ほど短縮されるといいます。

 また、緊急搬送時間の短縮や災害時の代替路確保、「嬬恋キャベツ」の即日販売圏域拡大といった農業活性化なども期待できるとしています。

※上信自動車道概略図↓
https://www.pref.gunma.jp/contents/100010158.pdf

■県庁に到着し、はじめに上信自動車道の事業推進に携わっている21階の県土整備部の建設企画課を訪れました。なぜなら「上信自動車道は、県土整備部が実施している事業なので、ここが記者発表したのかもしれない」と考えたからでした。

 しかし、県土整備部の職員は、「林野庁への保安林解除申請がされていなかったため、工事中止の憂き目にあったので、うちは被害者だ」というのです。そして「記者発表したのはうちではなく、環境森林部だ」とやや口惜しさを滲ませる口調で当会に教えました。すると、保安林に関する業務をしている部署の名前が脳裏に浮かんだため、県土整備部に「環境森林部のどの部署でしょうか」と尋ねると、「森林保全課だ」というのです。やはり想像通り、デタラメな森林行政で知られる森林保全課が今回の記者発表をした部署だったのです。

■さっそく16階の森林保全課に行き、保安林の指定・解除・管理、林地開発の審査、森林保全管理を担当している森林管理係で「ちょっとすいませんが」と声を掛けました。

 すると在席していた職員の一人がやってきて、「すいませんがどなたで、どのような要件でしょうか」と聞いてきました。「いつもお世話になっております市民オンブズマン群馬の代表の小川と申します。22日に記者会見をした上信道のことで色々聞きたいのですが」と要件を伝えると、その職員は顔色が変わり、「ちょっとお待ちください」というなり、窓際の幹部職員らのところに行き、ひそひそ話をし始めました。どうやら、重大なテーマのようです。

 戻ってきた職員は、「それでは、場所をとりますので、こちらにどうぞ」と言い、当会を案内しました。応対に来られた職員の方は2名で、森林保全課の佐藤高彰次長(技)と同課森林管理係長の下山慎二補佐(技)です。さっそく、用意してきた上毛新聞記事を示し、「この記事の内容について、オンブズマンとして関心があります。ぜひ、この記事にあるそれぞれの情報について、詳しい事情を知りたいのですが、まずは、この記事のもととなった、記者発表の内容を教えてください」と、お願いしました。

 ふたりとも、冒頭から当会の顔色をうかがう姿勢が強く、当方が発言するたびに一生懸命メモしていましたが、当方が「記者発表の内容について教えてください」とお願いすると、下山係長が席を外し、資料を取りに行きました。まもなく戻った下山係長から、1枚の紙を渡されました。聞くと、これは8月22日に記者発表した内容で、県HPにも掲載しているとのことです。さっそく中身を読みました。内容は以下のとおりです。

**********令和4年8月11日(月)環境森林部森林局森林保全課 電話:027-226-3250 内線:3250
林地開発許可及び保安林解除に係る不適切な事務処理について
 吾妻環境森林事務所において、平成29年度から令和2年度にかけて林地開発許可及び保安林解除手続きに係る不適切な事務処理がありました。
 今後、同様な事案が発生しないよう、職員の法令遵守と再発防止を徹底してまいります。

1 経緯
 県が航空写真から林地開発許可が確認できない太陽光発電施設(2箇所)を6月上旬に発見。調査により不適切な事務処理を確認。
2 内容
 【林地開発許可】
  起案・決裁が適切に行われていないもの 7件(新規許可箇所 2件、継続箇所 5件)

 【保安林解除】
  ①保安林解除申請書の放置 5件(上信自動車道 4件、県道 1件)
②起案・決裁を経ない保安林内作業許可の発出10件(公印を無断使用4件、通知なし(口頭)6件)
3 原因
  ①当時の担当者(1名)の法令遵守意識が極めて低かった。
  ②許認可事務に係る職場の指導・監督体制及び公印・文書管理が不十分であった。
4 現地の状況
  すべての現地について、災害発生の危険性は低い。(林地開発事案は目視により防災施設の設置を確認。保安林解除事案は代替施設の設置で対応)
5 今後の対応
 【林地開発許可】
  事業者の協力を得て詳細な現地調査を実施し、安全性及び法への適合性を再確認
 【保安林解除】
  解除権限者である林野庁へ速やかな申請書の提出(上信自動車道工事は中断済み)
6 再発防止の取組
  ①職員の法令遵守の徹底及び再発防止策の実施(8月22日に環境森林部長名通知を発出し、所属長会議を開催)
  ②今後の取組(部内研修の充実、許可申請の電子申請化等)
※報道提供資料(pdfファイル:629KB)↓
https://www.pref.gunma.jp/contents/100255183.pdf
**********

■渡されたA4番1枚の文書を読み進めていくうちに、これは群馬県の森林行政のずさんさを象徴する不祥事件であることを強く感じました。これほどまでに酷い実態なのか、とつくづく考えさせられました。これでは県土整備部が「うちは被害者だ」というのは当然です。

 はじめに、このような行政の基本的かつ重大な事務事業を怠った職員について「いったい誰なのか教えてほしい」と、お願いしました。すると、二人は顔を見合わせたあと、佐藤次長が「それは職員の個別の情報なので教えることはできない」と言いました。当会は「記事にあるように、2017年から2020年にかけて吾妻環境森林部にいた保安林業務担当で、50台男性職員と思われますので、必然的に特定が可能ですので、教えてもらっても構わないのではないでしょうか」と再度強くお願いしました。しかし、頑なに拒むので「それではこのあと、人事課で聞いてみます」と言って、この件は後回しにして、いろいろ事情を尋ねました(注:この後県庁8階の人事課の高橋智之次長(事)に打診したところ「現在当該部署で調査中とのことで、まだ当方に情報が来ていない」とのこと)。しかし、一向に職員らからはコメントが聞けず、もっぱら当会の推測を一方的にお話しするにとどまりました。

 当会が特に衝撃を受けたのは、次の点です。

 ●林地開発許可が不適切のまま2か所の太陽光発電施設が設置されたこと。
 ●これを契機に調べたら林地開発許可手続に瑕疵のある事案が上記を含め計7件見つかったこと。
 ●さらに、保安林解除のため必要な林野庁への申請手続5件が行われないまま、県営事業の上信道と県道の工事が着手され、このうち1件はすでに工事が完了したこと。
 ●起案・決裁がされないまま保安林内での作業許可が10件発覚し、このうち4件が公印を無断使用したもので、あとの6件が書面での通知をせずに、業者に口頭で許可を伝えたこと。
 ●これらの不正を行ったのは、吾妻環境森林事務所の森林係の一人の職員によるもので、同職員のコンプライアンス意識の欠如と、当該職員に対する職場の指導監督体制や公印・文書管理の不徹底が、現時点で結論付けられる原因分析の結果であること。
 ●今後の対応として、太陽光発電装置の適合性をこれから確認したり、上信道など県営事業にともなう保安林解除については、これから林野庁に後出しで申請することで、この重大事件が片付けられようとしていること。
 ●加えて、再発防止に向けた取り組みとして、8月22日付で環境森林部長名で、所属署員らにコンプライアンスの徹底と再発防止の通知を出し、所属長会議を同日開き、今後は部内研修と許可申請の電子化の促進を掲げているだけで、真相の究明と責任の明確化が全く見えてこないこと。

■以上の一連の概要をヒヤリングした結果、群馬県の森林行政の闇の部分がはっきりと見えてきました。すなわち、群馬県の森林行政において、藤岡市内の保安林を巡る数々の不正行為に見られるとおり、公文書の変偽造が長年にわたり常態化しており、組織ぐるみで不法行為に手を染めている実態です。

 今回は、保安林の解除申請という、国がらみの手続において不法行為が発覚してしまい、国への報告が必要となったことから、内部でもみ消すわけにゆかず、こうした目立たない形で、しかも、「当時の担当者(1名)の法令順守意識が極めて低かった」などとする、いわゆる「トカゲのしっぽ切り」のかたちで、事件を封印しようとしている様子が見て取れます。

■官民を問わず、業務の基本として、「ホウレンソウ」の重要性が挙げられています。この「ホウレンソウ」とは、「報・連・相」、つまり、「報告」・「連絡」・「相談」を略した言葉で、職場において基本となる3つのコミュニケーションを表しています。もちろん、野菜のほうれん草のことではありません。

 それぞれの意味は以下のとおりです。

●報告とは
 取り掛かっている仕事の進捗と経緯、結果など職員一人ひとりの現在の状況を伝えること。そして、次に行動するべき方向性や、自らの意思を伝えること。

●連絡とは
 成約や顧客(行政の場合は許認可や住民)からのクレーム、会議での決定事項など、発生した事実を正確に伝えること。

●相談とは
 個人では決定に自信が持てないときや判断に迷うとき、上司や同僚にアドバイスをもらうこと。

 今回、県の環境森林部で起きた不正行為は、いくらなんでも、一人の職員だけで行えるはずがありません。なぜなら、保安林は森林法によって定められた森林の種類のひとつであり、木材の生産のためではなく、水源の保持・土砂災害の防止・生活環境の向上などの森林が持つ公益的機能を重視し、機能を発揮することを一般の森林以上に期待された特別な森林だからです。

 こうした 特定の公益目的を達成するため、農林水産大臣又は都道府県知事によって指定されるのが保安林です。 保安林では、それぞれの目的に沿った森林の機能を確保するため、立木の伐採や土地の形質の変更等が規制されるのです。
※保安林制度の体系↓
https://www.rinya.maff.go.jp/j/tisan/tisan/attach/pdf/con_2-2.pdf

 これを見ると、保安林の手続において不正があった場合は、罰則として森林法206条から210条が適用になると記されています。

 ちなみに、森林法には保安林に関する以下の条項があります。
  ・25条 指定
  ・26条 解除
  ・27条 指定の申請
  ・28条 解除の申請
  ・29・30条 保安林予定森林又は解除予定保安林に関する通知等
  ・31条 保安林予定森林における制限
  ・32条 意見書の提出(公開による意見の聴取)
  ・33条 指定又は解除の通知

■こうして森林法に定められた保安林手続を巡る厳格なルールを、あろうことか行政自らが踏みにじったわけで、こうした実態は、当会の藤岡支部の会員がこれまで再三にわたり群馬県知事に文書で是正措置を訴えてきました。しかし、群馬県は代理人として弁護士の関夕三郎を起用し、環境森林部森林保全課など(藤岡森林事務所を含む)行政職員の説明責任をすべて放棄させたのでした。

 今回、吾妻環境森林事務所で発覚した保安林等を巡る不法行為は、群馬県森林行政内で組織ぐるみで不正や隠蔽が行われてきた実態をさらけ出したと言えます。当会では、この問題を徹底的に追及し、腐りきった群馬県新会陰行政にメスを入れ、膿を出し終えるまで引き続き取り組んでまいります。

■そのために、まずは、あらためて群馬県知事あてに公文書開示請求を通じて、以下の情報の開示を求める考えです。

① 本年6月上旬に県が発見した林地開発許可が確認できない太陽光発電施設とその調査の悔過不適切な事務処理が確認されるまでの経緯が分かる情報。
② 上記①の調査の結果、林地開発許可において、起案・決裁が適切に行われていなかった7件の事案の内容が分かる情報。
③ 上記①の調査の結果、保安林解除手続において、森林法に定める解除申請や通知、意見の聴取等、必要な業務を放置していた5件の事案の内容が分かる情報。
④ 上記①の調査の結果、保安林内作業許可において、起案・決裁が適切に行われなかった事案10件の内容がわかる情報。
⑤ 今回の不正事件において、当時の担当者1名の法令順守意識が極めて低かったと判断した根拠が分かる情報。
⑥ 今回の不正事件において、同僚や上司とのコミュニケーション(指導・監督、公印・文書管理を含む)が不足していたと判断した根拠が分かる情報。
⑦ 全ての現地について、災害発生の危険性が低い(林地開発事案は目視により防災施設の設置確認、保安林解除事業は代替施設の設置対応確認)と判断した根拠が分かる情報。
⑧ 再発防止として職員の法令順守の徹底及び際×防止策の実施について、8月22日に環境森林部長名で発出した通知、および所属長会議を開催した際の議事録等(それ以外にも本件に関連して発出した文書や、開催した会議等の記録。

■それにしても不可思議なのは、これほどの大事件なのに、群馬県が記者会見すらひらかず、記者発表資料として、A4判資料1枚のみを報道各社に送っただけで、県民に公表したと言っていることです。他方、メディア側も、地元の上毛新聞と産経、毎日新聞だけが、小さく取り上げただけで、その他の新聞社は掲載したかどうか未確認です。本来、全国版ニュースとして報じてもおかしくない重大事件のはずですが、こうした報道する側の消極性は行政の意向を敏感に感じ取ったためなのかもしれません。

 なお、今回の行政における不正行為事件について、森林環境部以外の職員の方々に聞いてみると、一様に関心が高く、今後の推移について注目していることが判ります。それだけに、行政の信頼喪失のとばっちりを心配する声もいただきました。オンブズマンへの期待度の高まりを痛感した次第です。

↑不正の温床?↑

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

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