市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

元文科省幹部・佐野太による受託収賄裏口入学事件…10月19日第5回刑事公判傍聴記

2020-10-23 23:36:00 | 【出張!オンブズマン】長野高専の闇
○10月5日の第4回公判傍聴記(前回記事)はこちら
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3224.html


10月19日9時半ごろ、厚く垂れ込める雲の下に立つ東京高等地方簡易裁判所合同庁舎

■ようやく当会担当者による傍聴が実現した10月5日の第4回公判に引き続き、次は10月19日に第5回公判が開かれることがわかりました。ちょうど関係者による都合が付いたため、これも引き続いて傍聴に向かうことにしました。

 起床し身支度を済ませて出発した後、東京地裁最寄りの地下鉄駅に着きました。出入り口から外に出ると、ちょうど日比谷公園の脇でした。案内板を見ると、そこから東京地裁の正門まではちょうど一区画分離れているようでした。


日比谷公園脇の霞が関エリアの案内板。東京地裁はもちろん、名だたる官公庁が目白押し

 天気予報では昼から雨模様になることが確実となっている重い曇天の下を歩き、9時半少し前に東京地裁の正門前に着きました。正門前には、いつもの不当判決への抗議者と抗議看板が立っていました。それに並んで、パトカーが数台停車し、歩道に警官が塊になってたむろしているのが目を引きました。





■一度正門の中に入って、傍聴整理券配布場所の張り紙を見ると、先ほどの物々しい警備態勢の理由がすぐにわかりました。今をときめく河井案里議員の公判が、佐野太の公判に30分ほど先だって始まろうとしていたのでした。前回も、河井議員の公判と佐野太の公判は同日に行われていたので、裁判所として警備や報道対応を集約させるためなのか、ビッグな汚職公判イベントの日程をあえて被せているようすがうかがえました。

**********
【傍聴券交付所】
開廷日時 10月19日 午前10時00分
法廷 102号法廷(1階)
事件名 公選法違反
被告人 河井案里
傍聴券 26枚 橙色
担当 東京地裁刑事第4部

**********

 張り紙を書き写していると、河井議員の公判傍聴抽選に当選したであろうかたがたがゾロゾロと筆者の後ろを通り、裁判所内へと入っていきました。すぐさま傍聴券配布所の裁判所職員が動き始め、河井議員の公判情報と撮影禁止の旨が貼られた看板を横にどかし、佐野太ら4名の公判情報が貼られた看板が出てきました。ちなみに裁判所の建物内だけでなく、構内すべてが撮影禁止になっているので、正門の中に踏み入った瞬間からカメラを封印して万事メモをせねばなりません。

**********
【傍聴券交付所】
開廷日時 10月19日 午前10時30分
法廷 104号法廷(1階)
事件名 受託収賄,贈賄,受託収賄幇助
被告人 佐野太,臼井正彦,鈴木衞,谷口浩司
傍聴券 28枚 青色
担当 東京地裁刑事第16部

**********

■特に傍聴希望者が来ている風情でもなかったので、いったん正門から外に出ると、警官とパトカーは消えていました。ふとヘリコプターの轟音がして、見上げると、桜田通りを隔てた向かいにある中央合同庁舎第2号館の屋上に、ヘリが降り立っていくところでした。


総務省や警察庁、国家公安委員会などが入る中央合同庁舎第2号館へと轟音を上げながら降り立っていくヘリコプター

 再度傍聴整理券の配布所に戻り、職員から「No.01002」の番号券を受け取って、待機場所に並びました。先ほどのヘリに気を取られている間に、フリーの記者と思しき雰囲気の茶色のジャケットを着た女性が一番乗りしており、しゃがんだ格好で膝の上のノートPCのキーボードを打っていました。その後、数分ごとに数名ずつがやってきては、傍聴整理券を貰って待機場所に加わってきましたが、増え方は緩慢でした。結局、ラスト3分で2、3人が来たのを最後に、10時ちょうどで傍聴整理券の配布が締め切られました。その時点で待機場所にいたのは24、5名程度で、28枚の傍聴券に対して定員割れを起こしており、抽選不実施は明らかでした。その場にいた傍聴希望者をざっと見回すと、カジュアルな恰好で一般人と思しき方が多く、近隣官公庁による職員の傍聴派遣が落ち着いたことがうかがえました。

 「みなさん傍聴できることになります。お荷物を法廷前で預かりますので、スマートホン等電子機器類は電源を切ってカバン等に入れてください」と裁判所職員がアナウンスし、次々に青色の傍聴券が手渡されました。そのまま自動ドアを抜けて、アルコール消毒液を手に揉み込んだあと、空港の保安検査場を彷彿とさせる入口の手荷物検査と門型金属探知機を抜け、裁判所庁舎内に入りました。

 そして104号法廷前まで歩き、手荷物預かりの列に並びました。その間にバッジを付けた弁護士の集団がスーツケースの車輪の音を響かせながらやってきて、筆者らの脇を抜け、廷内へと次々入っていきました。番号札と引き換えに手荷物のカバンを預けて、手持ち式の金属探知機によるボディチェックを抜け、104号法廷前にある木の長椅子に座りました。長椅子の向かいにある壁の開廷表には、周知である事件番号・担当部署・被告人4名の氏名のほか、本件を担当する西野吾一裁判長と飯野喜久夫書記官の氏名が記されていました。

■長椅子に座っていると、腕章を付けた裁判所職員の先導で、やや長身で眼鏡をかけた白髪の男性がやってきました。マスクを付けてこそいましたが、ニュースで散々見慣れた顔と背格好そのままなので、佐野太に間違いありません。佐野は、筆者の目の前を通り過ぎ、制服を着た裁判所係官数名を後に続けて、奥に入っていきました。

 開廷の10分ほど前になり、「傍聴者の皆様、座っているかたから廷内にお入りください」と声が掛けられました。青色の傍聴券を職員の持つ箱に入れ、104号法廷内に入り、傍聴席に座りました。傍聴席のうち、裁判長に向かっていちばん左側の3列シートの前3列は、「報道記者席」として背もたれに白いカバーがかけられていました。その報道記者席には、報道関係者が5人ほど座っていました。第4回公判とは違い、報道用の写真撮影などもなく、今回公判の話題性・重要性はさほどでもないのだと察しました。

 傍聴席を見回すと、傍聴券待機には25人近く集まっていたのに、なぜか筆者を含めて11人しか一般の傍聴者がいませんでした。法廷はシンと静まり返っていました。

■柵の向こう側に目をやると、裁判長に向かって左側(検察官席)に検察官2名が、右側(被告人・弁護人席)には被告人とその弁護士が勢ぞろいで座っていましたが、肝心の佐野太本人が見えませんでした。どうやら開廷直前まで控え室かどこかに詰めているようです。開廷1分前の10時29分になって佐野太が入廷し、裁判官の方と傍聴席の方に続けて一礼しながら、被告人席に座りました。

 被告人・弁護人席は、机を使う最前列席(つまり中央側)に4人が座っており、そのうち傍聴席から見て一番奥側の席に佐野太が座りました。佐野太の隣には弁護士らが座っており、佐野側から順にナガシマ弁護士、透明なフェイスシールドを付けた老人(氏名不詳)、下田弁護士でした。2列目以降にも被告人と弁護士がズラリ座っていました。その並び方は、初公判や第2回公判でのテレビ報道における開廷前撮影や法廷絵のとおりでした。2列目のいちばん傍聴席側(下田弁護士のすぐ後ろ)に座っていた、赤ネクタイに赤いポケットチーフの壮健そうな老人の男性が目を引きました。
●参考法廷絵(第2回公判時):https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/img/1595764487.jpg

■開廷時刻である10時半になり、裁判長が静寂を破って開廷を宣言しました。その日は前回とはまた別の証人の尋問を行うようでした。法廷に召喚されてきたのは、文部科学省職員の一色潤貴氏でした。

 一色証人が中央の証言台に座ると、西野裁判長が、「コロナ対策でマスクは着用したままで構わないものの、声がこもりすぎるようなら取外しを命ずる可能性がある」という旨を最初に伝えました。一色証人が証言に嘘偽りない旨の宣誓を読み上げると、裁判長は「虚偽があれば偽証罪になります」と念押しをしました。

 傍聴席から見て奥側の、短髪で眼鏡をかけた検察官が立ち上がり、「検察官の加藤です」と言って、検察による主尋問を始めました。まず証人である一色氏の簡単な経歴確認として、おおむね「証人は、平成18年に文部科学省に入省し……、平成28年から翌年にかけ同省の高等教育局私学部私学助成課の課長補佐として勤務し……、そののち地方自治体(帰宅後に筆者が調べた所によると福岡県)に異動し……、今年度からまた文部科学省に復帰している。間違いありませんね」といったことを読み上げました。一色証人は「間違いありません」と認めました。今回の事件との接点は、私学助成課の課長補佐であった当時、佐野太からの電話を受けたことに始まるようです。

○参考:一色証人が文部科学省高等教育局私学部私学助成課課長補佐であった当時のインタビュー記事
「私学助成における大学と高等学校への支援とは」(CHIeru WEBマガジン、2017年8月16日)
http://www.chieru-magazine.net/magazine/2017-high-magazine/entry-19574.html


第5回公判の証人として召喚された一色潤貴氏。上記インタビュー記事より

■加藤検察官が「証人は(被告人らの受託収賄が行われたとみられるH29年)当時、私立大学研究ブランディング事業に関与していましたね」と言うと、一色証人は「はい」と答えました。

 まずは、私立大学研究ブランディング事業の実施に関する一般的な事項の確認から始まりました。多くは加藤検察官が事実を読み上げ、一色証人が一言「はい」とだけ答えて次に進む形でしたが、しばしば一色証人が端的に説明を行いました。

 同事業は私学助成課の中でも助成第二係の担当であるとのこと。応募の流れとしては、応募校から調査回答票と事業計画書の二つの書類を提出してもらい、外部の有識者等からなる委員会において選考する流れとのこと。選考は大まかに二段階に分かれており、提出書類等をもとに「審査委員会」が点数を付けて、「事業委員会」に回し、そこで決定するとのこと。審査委員会が点数を付けた段階でいわゆる「足切り」を行うことがあり、基準は40点未満で、H28に1校、H29に2校について行われたとのこと。

■このあたりの説明と確認が済み、加藤検察官が「事業計画書についてですが……」と喋り始めた瞬間、いきなり、佐野被告人の隣のナガシマ弁護士が「先ほどから誘導尋問が続いています」と声を張り上げながらスックと立ち上がりました。加藤検察官は「争いのない事実の確認をしているだけです」と顔色ひとつ変えず説明し、裁判長は異議を却下しました。

 話が事業部会委員の構成に移り、私立大学の運営・専門分野・専門分野の整備状況に知見を有する者に委員を依頼している……と一色証人が説明し終わったところで、またすぐに、今度は一番傍聴席側に座る下田弁護士が「同意済みの書証とかけ離れています」と異議を発しながら立ち上がりました。裁判長はこの異議も却下しました。

 私立大学研究ブランディング事業の運用についてのごく一般的な話が、被告人の不利に働くとは到底思われません。どうも弁護人側としては、とりあえず話の腰を折って、検察側のペースを乱そうとしているようでした。

■次に話は各委員会の内容に移りました。まず審査部会委員(ペーパーレフェリー)については、任期が2年で名簿は非公表、応募校にどの委員を割り振るかは番号順で機械的に決めているとのこと。そこまで説明が終わったところで、検察と弁護側双方から、「証人はもう少し声を大きくしていただけませんか」と要請が飛びました。一色証人は続けて、H29から理工系は2人の委員を、人文系は審査対象校が多いこともあり1人の委員を割り振っていると説明しました。

 そこで加藤検察官は「では、甲72の資料4-2の22~24頁をご覧ください」と裁判官・弁護人側に声をかけました。それは三分野にわかれた審査部会委員の割当一覧表で、その一覧表を見ればすぐに、東京医大についても誰が担当委員かわかるようでした。続く一色証人の説明によれば、私立大学研究ブランディング事業の応募枠は、タイプAとBに分かれており、タイプAは、学生数八千人以上であったり、三大都市圏に所在するような大学は応募不可とのこと。

 そして、事業委員会以降のプロセスに話が移りました。事業委員は審査委員同様の有識者で構成されており、審査委員会から採点結果を伝えられて選考するとのこと。その際、審査委員会からは素点でなく偏差値で伝えることになっており、理由は審査委員間でのばらつきを避けるためとのこと。審査委員会ないし審査部会委員は、審査対象校を第1候補から第3候補までの3段階に分けた審査をして事業委員会に伝えるが、第2、第3候補であっても、事業委員会の裁量で選定することができ、その際は各校について事業部会委員による投票をして決めるとのこと。

 東京医大はどうだったかというと、当然タイプBで応募しており、H28年度は選定に落ちたものの、(佐野太による関与が疑われる)H29年度は第2次候補の状態から投票対象になり、晴れて選定されたとのこと。

 そこでまた、加藤検察官が「甲72の資料3をご覧ください」と廷内に声をかけました。それはかかる投票結果の一覧表で、タイプA・Bの別なく記載されており、東京医大は委員10人中7人が票を入れたとのこと。一覧表にはボーダーラインの記載があり、一覧表には74校、ボーダーライン以上には36校とのこと。

■ここまでは私立大学研究ブランディング事業の実施要項に関する一般的な説明でしたが、いよいよ加藤検察官が本題(当時、佐野太から私学助成課に接触があったこと)に入りました。やり取りは大まかに以下のとおりです。

加藤検察官:H29年度、当時の佐野官房長から私学助成課に対し、同事業について電話がかかってきたことがありますね。
一色証人:はい。
加藤検察官:それはいつ頃でしたか。
一色証人:募集を開始してから公募を締め切る前、H29年の4月下旬から5月頃であったと記憶しています。
加藤検察官:電話はどのような内容でしたか。
一色証人:事業の選定プロセスを含め質問がありました。
加藤検察官:その電話は、誰にかかってきましたか。
一色証人:最初、私学助成課の課長にかかってきましたが、当時不在でしたので、補佐である私が担当しました。
加藤検察官:なぜ、電話の主が当時の佐野官房長だとわかりましたか。
一色証人:その時期、いわゆる再就職斡旋が問題になり、大臣答弁など関わる機会が多かったことから声を覚えていたためです。
加藤検察官:当時の佐野官房長の電話に対し、どのようなことを話しましたか。
一色証人:事業の概要や趣旨、先ほどお話ししたように枠としてタイプA・Bがあり外部有識委員において審査選定することなど、一般的な説明をいたしました。

 次に、加藤検察官が「電話があったことやその内容をどうして覚えていましたか」と聞くと、またナガシマ弁護士が「誘導尋問です」と異議を挟みながら立ち上がりました。加藤検察官は「では質問を変えます。電話を受けて、当時の佐野官房長への説明のためどうしましたか」と言いました。一色証人は、「電話の際にも事業の趣旨や時期等をご説明しましたが、電話後改めて、事業の仕組みを説明した一枚絵、いわゆるポンチ絵などの資料を用意しました」と答えました。

■加藤検察官が「なぜ当時の佐野官房長はそのような電話をかけてきたのだと思いましたか」と聞くと、ナガシマ弁護士はまた立ち上がって異議を挟みました。裁判長が陪席の裁判官とヒソヒソなにか話し合い、「異議を却下します」と言いました。一色証人は、広い範囲に関わる官房長の業務性質上、なにかの必要が生じたのだろうと、特に疑問に思わなかった旨の説明をしました。

 加藤検察官が「何を用意しましたか」と聞くと、「先ほどお話ししたポンチ絵のほか、事業の狙い、スケジュール、公募通知資料一式、また事業選定校の事業計画書です」と答えました。「用意したその資料はどのように当時の佐野官房長に渡しましたか」と聞くと、一色証人は「メールで送ったと思いますが、紙でも渡したかは記憶しておりません」と答えました。

 加藤検察官から、資料を渡した方法について更に詳しく突っ込まれると、「公表資料ばかりなこともあり、メールでは掲載URLをお送りしたと思います。当時、私学助成課第二係の係長から、『資料が膨大なこともあり紙で送ったほうがよいのでは』と進言があったことは覚えておりますが、係長との話し合いがどう決着したかは明確な記憶が無く、また係長の方で別途に資料を手渡しにいったかは定かでありません」と答えました。ナガシマ弁護士はそこに食いつき、「検察は証人の経験していない事実について聞こうとしています」と異議を挟みましたが、却下されました。

 紙での手渡しにこだわった係長と意見が合致しなかった理由として、旧文部省出身者は礼儀にこだわり資料の手渡しと対面での説明を求める傾向が強いのに対し、旧科技庁出身者は理系出身が多く合理性と迅速さを求める傾向が強いという内部文化的な背景を説明し、佐野太は旧科技庁出身なことからメールが良いと考えた、としました。加藤検察官が「係長というのは、第二係の係長ですか」と聞くと、一色証人は「そうです」と答えました。

■そこで検察による証人尋問が終わり、午前の部が終了しました。時刻にして11時半頃でした。近くで昼食をとっていると、正午頃から事前の予報どおりパラパラと雨が降ってきました。傘をさして13時頃に裁判所に戻ると、雨に降られたせいか、正門前の抗議立て看板は引き上げていました。

 鍵付きの傘入れに傘を入れ、1階中央のエレベーターホールに出ると、ちょうど佐野太が弁護士や裁判所職員らと一緒にホールを横切って104号法廷の方に歩いていくところでした。腕時計を見ると13時12分頃でした。

 ここで、佐野太を実際に間近で見た筆者の印象としては、前代未聞の破廉恥事件の被告人だという先入観を一切排除すれば、まさに洗練された初老のエリート紳士といった風情でした。歩く姿は真っ直ぐで、元からの痩せた長身も相まって堂々としていました。髪や服装もナチュラルに整っていて清潔感を出していました。スーツも身体にピッタリ合っており、袖口からシャツが少し覗いている理想的な丈で、仕立て服を着こなしていることがうかがえました。

 筆者がまた手荷物を預けてボディチェックを抜け、傍聴席に入ると、報道席の記者は3人に減っており、傍聴人は13人になっていました。13時28分頃、佐野太が入廷してきて、午前の時と同じく裁判官席と傍聴席に向けてそれぞれ一礼しながら着席しました。その所作も丁寧で、洗練されていました。ちなみに佐野太は、午前午後の尋問を通じて、机の隣の弁護人らと一緒になってメモを取り続けていました。

■13時半になり、裁判長が午後の開廷を宣言しました。午後は弁護人側による証人尋問でした。

 まずは佐野太お付きの弁護士であるナガシマ弁護士が口火を切りました。「当時の佐野官房長から私学助成課の課長に電話があった当時、証人と課長席の距離はどれくらいでしたか」と聞かれると、一色証人は「2~3mくらいだったと思います」と答えました。「では、証人は課長席の電話を取りに行って応対したということですか」と聞かれると、「そうではなく、課長の不在が明らかだったので、ボタンを押して自席の電話に回しました」と答えました。

 続いて一色証人は、佐野に資料を渡した当時のことについて詳しく聞かれると、「資料一式は基本的に文科省のサーバーにあるもので、事業計画書もURLがあり、とにかく自分としては紙で渡したという明確な記憶はない」と答えました。一色証人がより正確な表現として言い直したところによれば、「メールで送っているから重ねて紙で送る必要はないと考えるのが妥当。当時、係長との話し合いを経て、課長補佐である自分から部下である係長にどのように指示したか、記憶にない」とのこと。

 そこでナガシマ弁護士が、「2018年当時の検察の取調べ調書によれば、証人は『ホリノウチ係長(くだんの第二係係長(当時)のこと)に自ら指示したことはなかったと思います』と明確に否定していますが」と若干の食い違いを指摘しました。一色証人は、「取り調べ当時はそう思っていたのかもしれませんが、現時点では明確な記憶がないというのが正直なところです」と答えました。

■ナガシマ弁護士は、そこから一気に畳みかけに入りました。

ナガシマ弁護士:佐野被告人から当時、私立大学研究ブランディング事業の選考業務実施にあたり働きかけを受けましたか。
一色証人:そうした働きかけはありませんでした。
ナガシマ弁護士:事業委員会のメンバーや進捗等の内部情報を教えてくれと頼まれましたか。
一色証人:事業委員会のそうした内容を教えてくれと言われたことはありません。
ナガシマ弁護士:東京医大の関係で何かしらの便宜を図るよう言われたことはありますか。
一色証人:東京医大の関係で便宜を図るよう言われたことはありません。
ナガシマ弁護士:(大まかな要望ではなく)具体的にどの文書が欲しいといったことを指定されましたか。
一色証人:採択例については聞かれましたが、具体的にどの文書がほしいとは言われていません。

 ナガシマ弁護士は、佐野太にとって特段に不利な情報がないのを確認して満足したのか、「もう結構です。私からは以上です」と締めくくり、席に着きました。

■次に、下田弁護士からの尋問が始まりました。大まかなやり取りは以下のとおりです。

下田弁護士:佐野被告人から受けた電話はどれくらいの長さでしたか。
一色証人:5分くらいだったと思います。
下田弁護士:証人はその電話を受けた時、佐野被告人が私立大学研究ブランディング事業のことについてどれほど知っていると感じましたか。
一色証人:事業の趣旨から説明しなければならなかったので、私立大学研究ブランディング事業についてはほぼまったく知識がないのでは、と当時感じたと思います。
下田弁護士:佐野被告人の逮捕後、この件について、当時のホリノウチ係長と何か話し合いましたか。
一色証人:特段、本件について当時の係長と話し合ったことはありません。
下田弁護士:資料をメールで送ったといいますが、それはよくあることなのですか。
一色証人:先ほども申し上げたとおり、省内文化というものもあり、メールで資料を送るのは一般的というほどではありません。たまたま当時の佐野官房長が旧科技庁出身だったのでメールを選択しました。

■次に、下田弁護士のすぐ後ろにいた赤ネクタイに赤いポケットチーフの壮健そうな老人の男性が立ち上がり、一言自己紹介して尋問に入りました。突然だったので、その名前と、誰の担当弁護士なのかをついメモに取りそびれてしまいました。

 赤ネクタイの弁護士は、佐野の電話の件のみならず、私大研究ブランディング事業の沿革や文科省の風土といった周辺事項に関してもどうやら興味があるようでした。

 赤ネクタイの弁護士からタイプAの制約の件について聞かれると、一色証人は「先ほどもご説明したとおり」と前置きしたうえで、そうした縛りが無い場合、規模や立地の面でアドバンテージのあるような「力のある」私大がどうしても有利になってしまうため、タイプAでは在学者数や所在地による区別をしている旨を改めて説明しました。

 次に私大研究ブランディング事業の前身について聞かれると、前身となる事業はあったと思うがその名前は承知していないと答えました。赤ネクタイの弁護士が「では、その前身となる事業で何かしらの問題意識があり、結果そのような制約が設けられたということでしょうかね」と聞くと、一色証人は「そうかもしれません」と答えました。筆者としては、赤ネクタイの弁護士がこの質問でいったい何を明らかにしたいのか、よく分かりませんでした。

■次に佐野への資料受け渡しについて話が移り、一色証人は「記憶では、メールで証人が直接渡したと思いますが、係長から何かしら紙で直接渡した可能性はあります」と改めて説明しました。大まかなやり取りは以下のとおりです。

赤ネクタイの弁護士:証人が佐野被告人に送ったというメールの件についてですが、検察の取り調べ時に、証拠としてそのメールを示されたのですか。
一色証人:検察官から取り調べ時にメールを示されたことはありません。
赤ネクタイの弁護士:取り調べを受け、メールというのが本当にあったのか、証人として確認しましたか。
一色証人:取り調べ時にはすでに地方自治体に異動しており、文科省でのメールを確認する権限を失っておりましたので、できませんでした。
赤ネクタイの弁護士:それでは、「メール」が本当にあるのか、取り調べ時に検察から確認されませんでしたか。
一色証人:されました。

(筆者はこのやり取りを聞き、「電子メールといえど公文書の一種として保存されているはずであり、仮に特に理由なく削除されたなら問題なのに、メールの実物の存在にはちっとも言及されない一連の尋問はどうにもおかしい」と感じましたが、検察も弁護人側も、なぜかその点について気にしているようすはなさそうでした)

 その後、赤ネクタイの弁護士の質問はまた脇道に逸れ、午前中の尋問で言及された旧文部省系と旧科技庁系の文化の違いについて確認しました。一色証人は改めて同様の説明をし、「そうした文化、というか傾向は、本当にあるものと認識しております」と回答しました。赤ネクタイの弁護士は、そこまで聞いて着席しました。

■次に、タカオカ弁護士(担当被告人はメモを取りそびれて不詳)が立ち上がり、一色証人が私大研究ブランディング事業を説明したインタビュー記事が掲載されているリーフレットが公表されている事実に言及しました。帰ってからその記事を確認すると、確かに趣旨や予算額、応募枠、配点区分や事業選定校などといった情報が全部掲載されていました。

○参考:「INTERVIEW 私立大学研究ブランディング事業が目指すものとは」(リクルート『カレッジマネジメント』Vol.209(2018/3-4)、pp.44-48)
http://souken.shingakunet.com/college_m/2018_RCM209_44.pdf

 タカオカ弁護士がこの掲載事実に触れた理由はわかりませんでした。佐野太に送られた情報が公開情報ばかりであることを強調したかったのかもしれませんし、あるいは一色証人が同事業の広報担当者として名の知れていたことを指摘したかったのかもしれません。筆者としては、ここまでバンバン広報されているような情報について、なぜわざわざ法廷で時間を使って一からプレゼンし、検察や弁護人と長々質疑応答しているのか、わからなくなりました。

 そしてタカオカ弁護士が、くだんの佐野からの電話質問について「部局違いの幹部からそうした質問があったら、答えるのが普通なのか」と聞くと、「官房長から直々に問い合わせがあれば、それは対応するのが普通であると認識しております」と答えました。

 次に、タカオカ弁護士が「結局のところ証人は、(部外秘として)教えてはいけないような内部情報まで教えたわけではありませんよね」と聞くと、「はい。教えてはいけないことまで教えたわけではありません」と答え、あくまで一般的な公開情報を伝えただけであることを強調しました。

■次に、谷口被告人の担当である山内弁護士が立ち上がりました。山内弁護士が、「先ほど話題に上がった、紙で送るかメールで送るかという係長とのやり取りのことについて、検察の取り調べ時に聞かれましたか」と聞くと、一色証人は「聞かれたと思います」と答えました。山内弁護士が「しかし、検察の調書にはそのやり取りに関する記載はありませんね」と指摘すると、「言ったことが全て書き写されているかは気にしておらず、検察に調書を示された際に、そこで書かれている内容には誤った記載がなかったので、これで間違いないと調書にサインしたものと認識しております」と釈明しました。ここに関して、一色証人は「係長に対応を指示した明確な記憶はありません」と改めて説明しました。

 すると、入れ替わりにまたナガシマ弁護士が立ち上がり、検察の調書では「自ら指示したことはなかったと思う」とされていることとの矛盾を再度指摘しました。一色証人は「先ほど説明したとおり」と前置きして、同じ説明を繰り返しました。

 ナガシマ弁護士から「メールに添付したデータの出所を覚えているか」と聞かれると、一色証人は「データの出所については、正確には覚えていない」と言いました。次に、「メールに添付したファイルはバラで送ったのか、それともまとめて送ったのか」と聞かれると、「あくまで証人の推測として、PDFならまとめて一括で送ったものと認識している」と答えました。

■そこで弁護人による尋問は終わり、再度、加藤検察官による補足的な尋問が始まりました。

 加藤検察官は、少し前にタカオカ弁護士が言及した「一色証人が私大研究ブランディング事業を説明したリーフレット」である「カレッジマネジメント」に触れ、「これは業界内ではよく知られたものなのですか」と聞きました。一色証人は、「大学経営者や幹部、また行政担当者など、業界内では有名なものであると認識しております」と説明しました。あわせて加藤検察官は、「H30年7月に行われた検察の取り調べによる調書は、供述したことのうちでも限定的な内容が記載されたものですか」と確認し、一色証人は「限定的なものであると認識しております」と説明しました。そこで検察の尋問も終わりました。

■すると、先ほどの赤ネクタイの弁護士がまた立ち上がり、「最後にもう少しだけ質問よろしいですか」と聞きました。裁判長は「えーと、まずそのご質問の趣旨をお聞きしてよろしいですか」と聞き返しました。赤ネクタイの弁護士は「その、メールで送信したものの特定に関することです」と返しました。裁判長は最後に質問することを許可しました。

 赤ネクタイの弁護士は、「佐野被告人に資料を送ったというそのメールにおいて、具体的に何を送ったのかというのは、正確には特定されていないということですか」と聞きました。一色証人は、「正確に何を送ったのかについては、『だろう』ということです」と言いました。筆者はそれを聞いて、やはり焦点の「メール」の現物がなぜか残されていないことを確信しました。

 それを最後に、裁判長が証人尋問の終了を宣言し、「お疲れさまでした。気を付けてお帰り下さい」と声を掛けて、一色証人が退廷しました。

 裁判長は、次の2回の公判については従前のとおりであることを確認し、新しく12/11(金) 10:00~に公判期日を設定しました。そうして14時13分に閉廷し、一同立ち上がって裁判官らに礼をしました。こうして第5回公判は終わりました。


我が国中枢・千代田界隈の憩いの場、日比谷公園。東京地裁で扱う有名事件で公判傍聴希望者の殺到が予想される場合、傍聴席の抽選はここで実施されることも

■第5回公判を傍聴した筆者の感想としては、特にそれほど事件の核心に迫るものではありませんでした。私立大学研究ブランディング事業の実施過程についての説明は、ほとんどの情報がインターネットで調べればそのまま出てくるような公開情報でした。しかし逆に考えると、調べれば一般人でもすぐに入手できるような「公開情報」のために、佐野太はなぜわざわざ省内担当部署に電話を掛けて資料を用意させたのでしょう。そう捉えると、やはりなにかが隠されているような不自然さを感じなくもありません。

 また、佐野被告人らの悪事に関わる事実関係の面でも、一色証人によってわかるのは、佐野が当時なぜか同事業について担当部署に電話を寄こしてきた不思議な経緯があったという事実のみでした。佐野太と東京医大の間で受託収賄があったことの事実関係は、また別に固められていく必要があります。

 第4回公判で呼ばれていたのは、H29の選定校決定前の夏に私学助成課課長になったノンキャリの星である丸山洋司氏で、第5回公判では同年春の公募実施中に同課課長補佐であった一色潤貴氏でした。そうなると当然、より深く事情を知っている可能性があるのは、H29春に同課課長であった淵上孝氏です。丸山氏は淵上氏の後釜であり、一色氏が受け取ったという電話は当初淵上氏にかかってきていました。そう考えても、「私立大学研究ブランディング事業」を利用した今回の汚職について、淵上氏が文科省内のキーパーソンであることに間違いはありません。

 淵上孝氏といえば、2018年3月、自民党の赤池議員らに使われて、名古屋市教委に対し前川喜平の講演の経緯や内容の報告、招いたことへの見解説明などを要求したことで、国による地方教育現場への不当な干渉をおこなったとして問題にされた人物です。しかも淵上氏は、当初政治家がバックにいることを隠し、文科省の独自判断だとしていました。

○参考:「文科省「異例の要請」が物議 教育の独立揺るがす恐れ」(日経、2018/3/22)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO28410170S8A320C1CC1000/

 すると淵上氏は、政治家に気に入られた「優秀」な官僚として、キャリアを歩んでいることがうかがえます。そうした事情が本件にどれほど絡んでいるのかは定かではありませんが、仮に氏が事件に何かしら関与していても、追及を免れている可能性が指摘されます。淵上氏がすでに第3回公判で呼ばれたのか、それとも今後の公判で呼ばれることになるのか、それとも証人として呼ばれずじまいになるのかは不明です。
(各回公判での証人の名前については、裁判内でも明かされているので、電話での問い合わせでも確認できる可能性があり、今後担当者に余裕があれば確認を試みる所存です)

■また話は変わりますが、公判中、全国を騒然とさせた重大事件の主犯というインパクトになかなか結びつかない佐野の洗練された外見と立ち振る舞いを目の当たりにして、ふと佐野の生い立ちに思いを巡らせました。

 山梨県に生まれて地元の公立高校を出たのち上京し、少数の早稲田閥ながら、文科省の最高級幹部まで登り詰めた佐野は、ある意味、自力で身を立ててきた人物としての側面もあります。逮捕直後の報道記事による同省職員へのインタビューでは、「淡々と実務をこなす有能な役人」「寡黙な面もあるが仕事はスマートにこなす」といった評判でした。出世欲こそ強かったようですが、やたら横柄で高圧的だったとか公私混同が多かったとかの人格的な不評は見られませんでした。佐野太の近隣住民も、週刊誌の取材に対して、「感じのいい人で素敵な夫婦」と評していました。

 すると佐野太本人自体は、腹黒い本性を秘めていたにしても、その優秀な能力について疑いようはなく、また対外的にも、人格面で疑われるような言動はしていなかったことがうかがえます。すなわち単体であれば、表面上は文句なしに有能であり、人格的な破綻もみられないエリートであって、「ボロ」を出すことも恐らくなかったでしょう。

 ところが佐野太は周りの「身内」に恵まれず、有り得ないほどに底抜けの大馬鹿揃いで囲まれていました。唯一の同学同期であった横浜出身ボンボンの石原祐志は言わずと知れた無能の中の無能であり、一方でセレブ私立の成蹊高校にまで通わせて大事に育てたバカ息子は、センター試験直前のセブ島旅行をTwitterで自慢する文字通りの愚息でした。

 そして、そんな常識外れのパッパラパーである身内の面倒を見て、公私混同で色々と手配してやるのが佐野太という男であり、その人生の一面だったのでしょう。恐らくは、身内が一人救われるなら、他人がいくら犠牲になっても知ったこっちゃないと考えながら、常習的にそうしたことに手を染めていたのでしょう。そして結果的には、その性が命取りになってしまったというわけです。

■そこまで思いを馳せてみたところで、佐野太による「石原祐志への高専校長プレゼント」と「バカ息子への医学部プレゼント」は、やはり根底でまったく同じ図式と手口を共有していることに改めて気付きました。

 度を超したパッパラパーの身内がいたとして、いい歳したその本人が特段の事情も改善の意思もなく好きでパッパラパーをやっているのなら、「自己責任」として社会から分相応の評価や待遇を受けるのは当たり前です。普通の大人であれば、たとえ身内であっても、それは仕方のないことだと片付けるものです。

 しかし佐野は、身内可愛さのあまり、高級官僚としての権力と肩書きを公私混同で濫用して、分不相応なゴージャス待遇をプレゼントしようとすることに躊躇を覚えませんでした。公務員倫理を弁えないという以前に、そのような身勝手極まる行為の結果として末端の関係者にどう迷惑や被害が及ぶかも頭にありませんでした。石原の件もバカ息子の件も、同じ思考プロセスで行われたといえます。

■ところで第5回公判のやり取りからは、一色証人が資料送付したという「メール」について、なぜか実物が残っていないらしいことがうかがえました。これに関連して、佐野太が石原祐志を高専校長に押し込んだことについて昨年に文書開示請求をしても、「メール」は不存在とされていたことを思い出しました。一流の官僚らしく、こうした悪事をはたらく際、関与を示唆する自分の足跡は徹底的に消すか、口頭やメモの形にして残さないようにしていることがうかがえます。まさに、常習犯のやり口です。

 あわせて、失脚してなお、文科省の保身隠蔽体質にうまく付け込んで身を守っているという共通点も感じられました。第4回公判の丸山証人、第5回公判の一色証人は、ともに自分の行為や判断に瑕疵のないことを強調していました。役人組織に長い間浸かって保身癖が染みついてしまっていることがうかがえました。これでは、アウトな事実を本当は見聞きしていたとしても、佐野や組織を守るためというよりはまず自分のために、隠してしまっているのではないかという疑念も、完全にはらうことはできません。

 一方で、2019年末、佐野太による石原祐志の高専校長押し込みに関する情報開示を文科省で受けた際、担当した官僚らの様子が尋常ではなかったことを思い出しました。年末の挨拶も無視され、あらかじめ書面で送ってあった質問も、こちらから質してようやくごく端的に答える有り様でした。すでに失脚している佐野を慮ったわけではなく、単純にこれ以上の不祥事を出す訳にはいかないと、徹底的に情報を出さないよう「上」が厳命した様子がうかがえました。

■さて、第4回・第5回公判を傍聴したご報告とその感想は以上となります。

 今後の公判については、レポ内でお伝えしたとおり、現状判明している分では11/2、11/19、12/11に予定されています。ただ、長野高専崩壊の元凶となった佐野太の顔を拝んでおくという所定の目的を達成したこともあり、今後の公判の傍聴については担当者の予定と時間がちょうどポッカリ空いている場合にのみ行おうと考えております。それ以外は、報道を追いながら審理の行方を見定めたいと考えております。

 佐野太の公判傍聴は、平日の日中を丸々潰す形になるので負担が大きいものですが、読者の皆様におかれましても、予定が合いましたらぜひチャレンジください。

(※傍聴記録の内容については、録画録音が禁止されている都合上、すべて記憶とメモに基づいたものです。可能な限り克明に描写するよう努めてはおりますが、聞き間違いやメモの取りそびれ、傍聴者の理解度や解釈の問題などにより、人名ややり取りの内容が一部不正確である可能性があります)

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

元文科省幹部・佐野太による受託収賄裏口入学事件…10月5日第4回刑事公判傍聴記

2020-10-23 22:01:00 | 【出張!オンブズマン】長野高専の闇


■文科省トップ幹部としての権力を使い、無能極まる同学同期のお友達・石原祐志を長野高専の校長に押し込んだ立役者と目される佐野太。二人揃って見事に失脚する原因となったのは、佐野太のバカ息子の医学部裏口入学に係る受託収賄事件でした。

 2018年7月に佐野太が電撃逮捕されてから2年が経ち、公判前準備の遅滞やコロナ禍を何とか乗り越えて、今年7月6日にようやく東京地裁で初公判が開かれました。当会としても、群馬高専の悲劇にも繋がる文科行政腐敗の象徴的な事件であり、そして今に尾を引く長野高専の様々な崩壊を招いた元凶が起こしたこの事件について、ぜひ傍聴に赴き、その真相と審理の行方を見定めたいと考えました。しかし、初公判は傍聴抽選に遅れてしまい、第2回公判は傍聴抽選に漏れてしまいました。第3回公判は、担当者の予定が合わず、チャレンジを見送りました。

○2020年7月8日:元文科省幹部・佐野太による受託収賄事件で逮捕から2年越しの初公判…開廷からなんと容疑全面否認!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3179.html
○2020年7月20日:元文科省幹部・佐野太による受託収賄裏口入学事件の第2回公判で当会会員が傍聴抽選に挑戦!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3181.html

■その後、10月5日の第4回公判、10月19日の第5回公判について、続けて傍聴することが叶いましたので、今回連続記事としてそのレポートを皆様にお届けします。

 第4回公判は10月5日(月)午前10時30分から開廷されるということで、筆者は当日朝7時55分に安中市の自宅を出発しました。

 月曜日にしては国道18号線はさほど混雑しておらず、高崎駅に15分で到着しました。東京までの4490円の乗車券プラス新幹線自由席特急券を購入し、普通改札口から新幹線改札口を通ると、ちょうど発車ベルが鳴り響いており、8時14分発のあさま608号がホームを出発するところでした。その後、8時17分発の404号が続けて入線してきたため、ほとんどホームで待つことなく乗車できました。

 東京駅には定刻通り9時16分に到着し、そこから東京駅の中央コンコースを歩き、総武線快速ホーム行きのコンコースへ下り、丸の内側の地下改札を出ました。正面に見える丸の内線の東京駅の切符売り場で170円の乗車券を購入し、ホームにやってきた車両に飛び乗ったところ行先が池袋だったため、慌てて向かい側の荻窪行きに乗り換えました。

■霞ヶ関駅で下車し、改札を出て階段を上り地上に着くと、小雨が降っていました。時間は午前9時40分でした。





 傘を取り出すのも面倒なので、そのまま歩いて、裁判所合同ビルの入口から中に入ると、左側の傍聴手続①番の場所に係員らが待機している様子が見えました。歩いて近づくと、「傍聴ですか」と聞かれたので「はい、お世話になります」と返しました。「104号法廷の傍聴で間違いないですね?」と念押しされたので「はい」と答えると、No.01005整理券と書かれた紙をくれました。そして、傍聴希望者の待機エリアに誘導されました。コンクリートの床には青色の四角いテープが貼られていて、そこに各自、立って並ぶように裁判所の職員に指示されました。

 待機エリアには、既に最前列に4名がおり、筆者は2列目の建物の壁側に並びました。後日気が付きましたが、最前列には5人分のテープが貼ってあったところ、筆者がそれを見逃していたようです。その後、パラパラと傍聴希望者がやってきて、次々に順番に並びました。まもなく2列目にも4人が揃い、3列目の最初、つまり9人目に初めて女性のかたが並びました。3列目には5名が並び、4列目は再び4名が並びました。

 次第に雨が強く降り出し、植え込みの植物の葉に当たる雨滴の音が、待機エリアの天井と壁と床に反響してザーザーと聞こえました。その後も、19番目に男女二人ずつの4人組のかたがやってきて、22人となりました。裁判所職員がそろそろ10時の締切時間が迫っていると見えて腕時計に目をやり、このままだと抽選無しで傍聴できるかもと思ったそのとき、ゾロゾロと男女8人の集団が整理券を受け取り、待機エリアにやってきました。

■その直後、裁判所職員のリーダー格とおぼしき人物が「これより閉鎖します」と声をかけ、整理券配布場所を閉めるとともに、電源用のコードリールを巻き戻したり、バリケードの位置を変えたりし始めました。「これから抽選に入ります。抽選結果は正面のボードに掲示します」とハンドマイクで説明しました。さらに「整理券にある番号が掲示された券をお持ちのかたは10時20分までに中に入り、104号法廷前にお集まりください。なお、抽選に漏れた方は、職員が持つ箱の中に外れ券をお入れください」との説明がありました。

 まもなく用意が整い、抽選結果の番号が掲示されたボードが、こちらのほうに向けられ、職員が「それでは整理券番号1番から15番までのかたは、順番に前方にお進みください」とアナウンスしました。筆者も1列目の4人に続き、前に歩みを進めました。ボードを見ると、1001番が見当たりませんでしたが、その後は連番となっており、筆者の整理番号の1005番を確認できました。全部で30名の傍聴希望者に対して25人の傍聴券のため、ちょうど6人に1人が傍聴できないことになります。筆者も、第2回公判の傍聴希望のときは整理番号1番だったのですが外れてしまいました。そのときの倍率は5倍でしたが、いずれにしても筆者が佐野太の傍聴チャレンジをするとき、1番はラッキー番号ではないようです。

■そのまま当選した整理券を持って、一般来訪者の手荷物と身体検査場に向かい、自動ドアのところにある消毒用アルコールを両手に振りかけてよく擦り込みました。入口のX線検査のため手荷物を預け、荷物札を受け取ってから、筆者も金属探知ゲートをくぐり、荷物札を引き換えに手荷物を受け取りました。手洗いを済ませてから、さっそく右手のエレベーターホールにある1階の104号法廷に向かいました。

 手洗いを済ませているうちに、出遅れてしまい、傍聴券交付場所の前に並んだときは7番目でした。当選した整理券を見せて、確認が済むとくすんだピンク色の傍聴券が手渡されました。番号は順番通りNo.7で「公判傍聴券 2.10.-5 第104号法廷(1階) 東京地方裁判所刑事第16部」と印刷されていました。日付だけがスタンプでした。

 それを持つと、エレベーターの奥の男性トイレ前に順番に間隔を空けて列をつくり並びました。奥にバリケードがおいてあり、立入禁止のボードがかけてありました。表札を見ると、男性トイレ側が守衛室で、女性トイレ側が高裁管理課とあります。前方は、女子トイレ側がこれから入廷する104号法廷と地裁総務課で、男性トイレ側が102号法廷とあります。地裁総務課と高裁管理課が別々になっていることに興味を惹かれました。

■さて、間もなく10時20分というころになり、順番に手荷物を預けた後、携帯電話や電子機器等が描かれた絵を見せられて「これらのものは所持していませんね」と念押しされました。「財布など貴重品はお持ちください」と言われたので、カバンを開けて取り出してから、38と書かれた荷物札と引き換えにカバンを預けました。その後、104号法廷の入口で、金属探知機を手にした3名の職員が待ち構えていました。初めに、空き箱を手に取り、「この中にポケットの中にある全てのものを出して下さい」と指示があり、さきほどカバンから取り出した財布やメモ帳、筆記用具、そしてポケットの中の小銭を取り出し箱の中に入れました。職員が「財布の中も見せてください」というので、帰りの運賃分の5千円が入った財布を見せました。

 続いて、両手を横に挙げて、足を少し開いたポーズをとるように言われ、金属探知機を当てられました。ベルトのバックルのところでブーと探知音がしましたが、特に何も言われず、続いて反対側に向き、背中側もチェックされました。

 検査後、箱の中から財布や小銭を取り出し、ポケットに入れ戻し、傍聴券を職員に渡したあと、すぐ奥にある傍聴者待機用の長椅子に順番に座りました。金属探知検査をしているうちに、さらに2名に抜かれたため、9名掛けの木の長椅子の一番端に座ることになりました。見ていると、筆者の次以降は、中央のレーンに順番に立って待っていました。待機している間にも、報道の腕章を付けメモを片手にした記者や、カメラと三脚をもった報道カメラマンらが何名か、どんどん中に入っていきました。やはり報道関係者の特権を痛感させられます。

■3分ほど待機していると、「それでは傍聴される皆さんは順番に中にお入りください」との声がかかりました。

 104号法廷に入るのは、筆者にとって実は2回目です。初めて104号法廷で傍聴できたのは、数年前の小渕優子代議士と秘書の折田謙一郎・中之条町長(当時)の公選法・政治資金規正法違反の初公判の時です。この時はかなりの競争倍率でしたが、運よく抽選に当たり傍聴できました。

 コロナ禍の為、椅子には4席に1席、あるいは4席の両端に2席といった風情で、定員の3分の1に傍聴者数を絞っています。筆者は、最前列の中央からやや左側の空き席に陣取りました。裁判の当事者らと傍聴席を隔てる柵の前には、3名の法廷警備員が傍聴席に向かって等間隔で立っていました。そして、右手に陣取っていたリーダー格の角刈り頭の職員が「一旦開廷すると、水分補給とトイレ以外では部屋の外に出られません。また、それ以外の理由で室外に出た場合は再入室できません」と注意事項を説明しました。

 その際も、マスコミ関係者らしき女性記者風情のかたがたが入ってきて、報道陣用の傍聴席に着座しました。こちらは横並びで隙間が無く、いわゆる密の状態です。マスコミ関係者への特権をここでも感じました。

 その後、書記官が裁判長の許可を得て、恒例の報道用の写真撮影をするようにマスコミに伝えました。なお、104号法廷への入室前に、「報道用に法廷内の写真及び動画を撮るが、取られたくない人は事前に申し出てください」とアナウンスがありました。しかし、それに応じた傍聴者はいない様子でした。

■撮影タイムが終わると、被告人4人が入廷してきました。焦点の佐野太被告人は3列の被告人・弁護人席の最前列の右端、つまり裁判官席に近い方に着席しました。佐野被告人は、着席前に裁判官に向かって一礼し、次に傍聴席側に向かって一礼しました。傍聴席側と言っても、傍聴席に真っ直ぐ対面ではなく、斜め左側に向かってお辞儀をしました。ちょうど裁判官に向かってやや左側にいた筆者の方に一礼する形になり、筆者と目が合って、おもわず反射的に筆者のほうも会釈をしました。

 着席した佐野被告人は、さかんに目をしばたたかせていたのが印象的でした。また、逮捕時の報道に使われた写真と違い、ほぼ完全に白髪でした。マスクをして眼鏡越しに目をのぞかせているだけでしたが、まぎれもなく佐野太本人であることは容易に分かりました。

 被告人4名が着席すると、筆者から向かって左側の検察が5名、右側の被告人・弁護人が19名の大所帯となり、それに加えて正面に裁判官3名と書記官1名が着座する形になりました。

■裁判長が開廷を宣言し、書記官が事件番号を読み上げると裁判が始まりました。

 本日は証人調べということで、まもなく検察側の入口ドアが開き、証人が現れました。裁判長が「それでは証人は中央の証人台の前にどうぞ」と誘導し、証人が台の前に立つと、はじめに裁判長は証人カードを見ながら人定質問をしました。それによると、本日、証人尋問を受けるのは、丸山洋司氏であることがわかりました。

 証人が「はい、間違いありません」と答えると、次に裁判長は、「それでは宣誓書を朗読してください」と言い、書記官が宣誓書を証人に渡しました。そして丸山証人は立ったまま宣誓書に書かれた文字を読み上げました。文章の内容は概ね「宣誓、良心に従って真実を述べ,何事も隠さず,偽りを述べないことを誓います」というものでした。

 宣誓書の朗読を終えた丸山証人が着席すると、裁判長が「虚偽の証言は、偽証罪の対象になることがあります」と偽証の制裁の警告について説明し、丸山証人が頷くと、検察側の主尋問が始まりました。

■ところで、この証人として喚問された丸山洋司氏ですが、本記事執筆時点でのWikipediaを見ると「日本の文部科学官僚。ノンキャリア初の文部科学省局長として、文部科学省初等中等教育局長を務めたのち、ノンキャリア初の事務次官級として文部科学審議官に昇格」とあります。
○参考https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%B8%E5%B1%B1%E6%B4%8B%E5%8F%B8

 主尋問の冒頭、検察側の加藤検察官が証人の経歴を簡単に確認しましたが、それによると、丸山証人は、昭和63年に旧文部省に入省後、平成29年7月11日から平成30年10月まで文科省の私学助成課長を務めていました。在任当時グランディング事業に携わっており、現在も文科省で勤務しているとのことです。

 同氏の人物像や経歴について、上記Wikipedia記事によれば、以下の通りです。
**********
大分県出身。1981年に大分県立大分上野丘高等学校卒業後、大学受験浪人となり、同年 国家公務員採用初級試験(行政事務)合格。1982年大分医科大学事務局入局。同総務部勤務を経て、上司の勧めで転任試験を受け、1988年文部省配属。自治官僚出身の間島正秀の下で自治体経営を学びたいと考え、法政大学大学院公共政策研究科に入学し、2017年に修了、修士。
文部科学省大臣官房会計課地方財政室長、文部科学省初等中等教育局財政課教育財政室長等を経て、2016年文部科学省初等中等教育局特別支援教育課長。2017年文部科学省高等教育局私学部私学助成課長。2018年に玉上晃とともに文部科学省発足以来初となるノンキャリア出身審議官として、文部科学省大臣官房審議官(初等中等教育局担当)兼内閣府子ども・子育て本部審議官に昇格。
文部科学省における再就職等規制違反事件や、文部科学省汚職事件を受けた組織改革の一環として、2019年にノンキャリア初の文部科学省局長として、初等中等教育局長に昇格。昇格後のインタビューでは、異例の人事について「正直、驚きました」とコメントした。現場主義を自認し、好きな言葉は「一隅を照らす」。局長として、長年関心を持っていた教育条件整備等による教育格差解消などに取り組んだ。2020年ノンキャリア初の事務次官級文部科学審議官に昇格。

**********

 まさにノンキャリの星とも言うべき人物のようです。年齢58歳。証人台で裁判長に向かってマスク越しに証言する後ろ姿をすぐ後ろの傍聴席でずっと拝見していましたが、後頭部はかなり薄く、官僚としての苦労が偲ばれます。


初等中等教育局長に就任した当時の丸山洋司氏(文科省提供)

■検察官による主尋問を聞くと、丸山証人はブランディング事業の2年度目に当たる平成29年度の公募締切後、前任者の淵上孝・高等教育局私学部私学助成課長の後任として、平成29年7月11日に着任し、ブランディング事業対象校の選定と公表まで従事したということです。
※2017年(平成29年)3月28日:平成29年度私立大学研究ブランディング事業における「計画書」及び「事業調査回答票」の提出について(通知)
https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/shinkou/07021403/002/002/1384024.htm
※2017年(平成29年)3月28日:平成29年度「私立大学研究ブランディング事業(継続)」に係る計画調書の提出について(依頼)
https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/shinkou/07021403/002/002/1384027.htm

 証人尋問によれば、ブランディング事業委員会が対象校を指定したのが平成29年10月6日で、公表したのが11月7日ということです。
※2017年(平成29年)11月7日:平成29年度「私立大学研究ブランディング事業」の支援対象校の選定結果について
https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/shinkou/07021403/002/002/1397956.htm

 尋問に対する丸山証人の陳述によると、10月に採択校が決定され、公表資料の作成を部下に指示し、省内の官房など関係部署への説明を行ったといいます。そして、採択校の名前を事前に教えてほしいということで、省内OB等への連絡も確認していったといいます。このとき、佐野太からも選定結果の報告依頼があったというのです。

 丸山証人によると、局長クラスの場合いわゆる政治家との関わりが日常的であるため、「マルセイ(○政)」と称して、政治関係者に説明するものと想定し選定結果を連絡したとのこと。この「マルセイ」とは、「永田町案件」とも言い、霞が関では一般的に使われている用語とのこと。

■検察側は「佐野被告人に採択結果を伝えた時、どのような反応があったのか?」と質問した際、丸山証人は「よく覚えていない。具体的な反応はなかったと思う」と答えました。当時佐野被告人は文科省科学技術・学術政策局長(略して科政局長)のポジションにいました。局長クラスのほか、官房長も政治家への説明を想定して、前年度のマルセイ関係事業の一覧表を参考に、抜かりのないように説明資料を作成するよう部下に指示したといいます。当時の文科大臣は平成28年度に東京医大のパーティーに出席したこともあり、採択結果を政治家に教えるのは慣行になっているようです。

 検察側は甲60号証資料2を証人に示し、「平成28年度のマルセイ案件をまとめたものに間違いありませんね」と確認を求め、証人は「間違いありません」と答えました。中央のやや下に、官房長が記入する欄があり、大臣が出席したパーティのことを意味するものだと証人が言いました。

 なお、平成29年度の選定結果を佐野太に報告したときについては、「科政局長室のアポイントを部下に入れさせたところ、佐野局長が多忙ということで事前の面会が不能であったため、部下には資料を封筒に入れさせ、それを局長の秘書に渡させたと思う」と証言しました。検察は「(佐野局長に渡したのは)どのような資料か?」と質問したところ、証人は「幹部用に各大学の採択結果が分かるように明示したもので、ブランディング事業の広報用の資料。政治家に対して局長からレクチャーする場合に、電話で連絡ができるように、公表時間、採択結果などを明示した3つの資料を封筒に入れて局長に渡した」と答えました。

 次に甲108号資料3を検察が提示し、証人に「内容に間違いはないか」と確認を求めた後、色々と細かい質問をしました。この資料の中央部には「〇〇先生よりご連絡いただいた」として具体的な政治家の名前があるとされています。3点の資料の内、広報資料はプレス関係の発表資料で、定型の様式に従って、事業概要、採択件数、採択校一覧表の記載があるものだということです。この他、甲108号資料1の2とか、同じく甲108号の資料1の4だとか、広報関係資料について検察が証人に対して細かく尋問をしました。

 証人は、既に事件から時間が経過しているためか、「記憶を呼び起こすと、(佐野に)伝えた時期は、11月7日の公表の前日の夕方のタイミングで、秘書に封筒に入れた資料を渡させたと思う」などと答えていました。

■証人は、「政治家や役所OBから依頼を受けて、公表前に選定結果を伝えていた。でも内容としては○(採択)か×(不採択)のみしか教えていない」と述べました。検察側が「(公表前に伝えることに対し)それはなぜ?」と質問すると、「決して好ましい事ではないと思う。ただし、公示当日の前日の夕方であれば、採択結果は確定しており、動きは出てこない、との判断も働いた」と答えました。さらに証人は「(変な働きかけが起きないようにする)最小限の担保はしていた。公表前の伝達そのものは好ましくないとは思う」としきりに正当性を釈明していました。

 続いて甲108号の資料1と4を検察が証人に示しました。東京医大の結果について、採択を示す○印にコメントが付けられているということでした。検察が証人に「順位を伝えていたのか?」と尋問すると証人は「順位までは好ましくないと思ったが、政治家には一般的に伝えていた」と回答しました。

 続いて甲55号証資料2が参照され、外部への対応方針に絡み、平成29年の公募通知について検察が証人に質問しました。「外部からの問い合わせへの対応方針」について、事前に理解していたかどうか、というものです。この外部への対応方針は、2枚目の4項の留意点として記載されており、「原則として電話での対応で、個別内容の問い合わせには対応しない」とされているとのこと。

 検察側が「私学助成課長としてなぜこのようなことを承諾していたのか?」と質問すると、証人は「一般論として、こうした資料は事業の公正性を第一に考慮しており、併せて当時、職員の再就職に絡む事案騒ぎがあったため、通知の中に明示していたと理解している」と答えました。検察側は「4項の2番目の方針は、課長在職中、認識していたのか?」と質問すると、証人は「着任後、当時の担当者から『対面で話してほしいとの問い合わせなどが私学から話があった。但しそれについてはルールに則って電話で対応するようにと返した』などと、数度ほど担当係長から報告を受けたので、私からは『ルールを厳守するように』と指示した」と答えました。

■平成29年度ブランディング事業については、平成29年11月の委員会で東京医大が選定されました。同事業の平成29年度補助金交付では、3種類の補助金(①経常費補助金特別補助、②施設装置整備費、③設備整備費)があったといいます。この流れ(フロー)は、採択校から申請書が出されて、私学事業団でまず整理してから役所に提出されるかたちで、一般補助と特別補助に分かれています。

 一般補助は学生数×単価で決まり、特別補助は今回の事業認定を経て年度末に交付されるとのこと。したがって、一般補助は年末12月でボーナスに間に合うように採択校に交付され、ブランディング事業としての特別補助は年度末に採択校に交付されているとのことです。また、経常費間接補助については、原則として私学事業団経由で交付されているとのこと。その手続きは要綱で定めてあります。

 甲106号証の添付資料1の5枚目に要綱があります。また、別紙要綱(細目)が甲106号証の添付資料1の18から30枚目に示されています。この要綱は、大臣の裁定により大きな方針を年2回改訂していて、私学事業団への配布方針について詳しく定めているそうです。配分は年2回で年末と年度末。要綱等としては、各学校法人からの申請に基づき手続きを行い、交付決定に基づき経費の支出を行うという内容です。ブランディング事業分は特別補助として年度末に交付されますが、これは上積み分を加算するため、変更交付決定という形をとります。

 甲51号証資料2の右下には平成28、29、30年度の交付内容について示してあります。(東京医大の)ブランディング事業では3500万円が交付され、残りの施設整備費、設備整備費は直接補助で行われました。平成29年度ブランディング事業は設備整備費のみ請求され、これのみ交付だったとか。設備申請書は大臣まで上程されているようです。交付決定後に整備が行われ、器具を購入したら設置状況を確認し、経費を交付する形がとられています。事業として「ガスクロ質量計」という名称が出て、この事業費は589万1000円とのことです。この辺の話になると、細かすぎて、傍聴していてもなかなか全体の構成が掴めず、頭の中がボーッとしてきました。

■そうした頃合いを見計らったのか、まだ正午まで25分ほど残した時点で裁判長が「では主尋問が終わりましたので、この後の反対尋問は1時30分からこの法廷で再開します。それまで休廷とします」と宣言しました。退出時に、「午後も引き続き傍聴されるかたは忘れずお受け取りください」と箱を持った係員に声を掛けられたので、箱から傍聴券を1枚受け取りました。今度の番号はNo.2でした。



 そのまま民事窓口に移動し、当会が係争中の高専関連訴訟での対応を行い、無事に諸事項の確認等を済ませました。早速腹ごしらえをすべく、地下1階に降り、食堂で早めに昼食を済ませました(正午になると職員らが一斉に降りてきて混雑するため)。食事後、1階ロビーの長椅子のところで、時間調整をしました。ふと前方を見ると、本日の傍聴券交付事件と書いた表示板が見えました。近寄ってみると次の記載がありました。

*****10/5傍聴券交付事件開廷表*****
交付場所 法廷/開廷時間 事件名     被告人又は被疑者名 備考
①番   818号/10:00  公職選挙法違反 河井案里      パソコン抽選整理券交付〆切9:30
①番   104号/10:30  受託収賄、贈賄、受託収賄幇助
                     佐野太 外3名    パソコン抽選整理券交付〆切10:00

①番   429号/11:30  法人税法違反、 地方法人税法違反、法人税法違反幇助、地方法人税法違反幇助
                   Aegate株式会社 外2名 パソコン抽選整理券交付〆切11:00
**********

 これを見て、今朝ほど①番の傍聴整理券交付場所で、担当職員からしつこく「受託収賄事件の傍聴希望ですか」と確認されたわけがやっと分かりました。なぜなら午前中に3件も傍聴案件が続いていたからです。しかもそのうち一件は、佐野太の受託収賄以上にニュースを騒がせている河井案里議員の公職選挙法違反容疑での公判でした。

 午後1時を回った時点で、1階正面に向かって右側のエレベーター奥にある104号法廷前に行くと、すでに数人の傍聴者が列を作っていました。筆者はその7番目くらいに並びました。その後、今朝と同じように、順番に手荷物を預け、ボディチェックを受け、待合用の長椅子に座って待機しました。午後1時20分ごろ、入廷許可が出たため傍聴席に入りました。傍聴席にはいくつか空き席ができており、午前のみの傍聴で帰った傍聴者がいることが分かりました。

■午後1時半、定刻通りに午後の審理が開始されました。開始後に裁判長が、「証人席の場所が、反対尋問をする被告人・弁護人側の席に近いため、前回と雰囲気が異なるので少し移動してはどうか」と指摘しました。しかし調べたところ、証言台と被告人・弁護人側の最前列の机の間に、上にプロジェクターを載せたサイドデスクが設置されており、配線が施されていて、左右に動かすことが困難になっていました。そこで、サイドデスクを少し後ろにずらし、被告人・弁護人の関との間にスペースをとることで、証拠文書の提示がしやすくなりました。

 そして被告側弁護人による反対尋問が始まりました。最初は佐野被告の弁護人だというナガシマ弁護士(漢字不詳)です。尋問内容は平成29年度ブランディング事業のことです。

 冒頭、甲50号証資料2の2について、ブランディング事業の選定は文科省の決裁事項であるが、事業委員会は文科省として選定したわけではないとの指摘がなされ、ブランディング事業は手続きとして事業計画の修正を受けて通知されると説明がなされました。

 次に甲106号証について、間接補助事業者にかかる補助金交付申請用紙の様式について尋問がありました。ほかに甲51号証、甲132号証の2、甲124号証の資料2、甲108号証資料1の4などが証人に示され、被告弁護人による尋問が続きました。甲132号証については、平成29年度ブランディング事業選定校として、自治医大の永井良三学長のケースが例示されました。

 尋問で気になったのは、反対尋問者の質問に対して、証人が頷くたびに、反対尋問をしている弁護人が「あなた、今、頷きましたね!」と強く念押しをしていたことです。何度か繰り返すうちに、裁判長が見かねて証人に、「頷いたりせずに、都度、返事をきちんとするように」と指示を出していました。

■その後タカオカ弁護人、鈴木被告人担当のヒロナカ弁護人が順番に尋問しました。タカオカ弁護人は甲129号証2ページ目や甲55号証資料2を引用して証人に質問をしました。ヒロナカ弁護人は甲124号証資料2、甲60号証資料2を引用して尋問をしていました。

 午後の証人尋問の反対尋問は結局1時間半近く続き、午後2時55分に終了しました。終了後、裁判長から、次回以降の期日について検察側と被告人・弁護人側双方に説明がありました。それによると、次の予定になるようでした。

○第5回公判:10月19日(月)
 当初裁判長は10時からの開廷を提案しましたが、主尋問100分間予定のところ、検察側が80分程度の尋問で大丈夫との見解が示されたため、今日と同様に10時30分からの開廷となりました。法廷は今回と同じく104号法廷です。

○第6回公判:11月2日(月)
 裁判長が当初10時からの開廷を提案したところ、これも同様に10時30分からの開廷となりました。法廷は104号法廷です。

○第7回公判:11月19日(木)
 これは裁判長の提案どおり、今のところ午前10時開廷ということで、変更意見が出ませんでした。法廷はやはり104号法廷です。

 こうして第4回公判は終わりました。閉廷後、検察側と被告人・弁護人側がほとんど退場した後、傍聴人らの退場となりました。荷物札29番を示して手荷物を受け取り、裁判所の外に出ると午後3時を少し回っていました。


東京地裁を出て、文科省のある地下鉄銀座線虎ノ門駅前の高層の合同庁舎ビル方面を望む。佐野太や石原祐志らがかつて在席したことのある場所だ。

官高民低の我が国の司法。納得がゆかず、こうして理不尽な判決に粘り強く抗議するかたの心中察するに余りあり。

裁判所の向かい側の総務省のある合同庁舎ビル。

 相変わらずの雨模様でしたが、傘をさすまででもなく、地下鉄丸ノ内線霞ヶ関から東京まで行き、東京駅から15:40発の上越新幹線とき329号に乗り、16:30着に高崎に着きました。


高崎に間もなく帰着。

 帰宅して報道をチェックすると、産経新聞がこの第4回公判について記事にしていました。

**********産経2020年10月5日18時14分
https://www.sankei.com/affairs/news/201005/afr2010050029-n1.html
元文科省局長汚職 「公表前に議員やOBに選定結果を通知」、省幹部が証言
 私大支援事業で便宜を図る見返りに、次男を東京医科大に合格させてもらったとして、受託収賄罪に問われた元文部科学省科学技術・学術政策局長の佐野太被告(61)の公判が5日、東京地裁で開かれた。事業の所管課長だった丸山洋司文部科学審議官が証人出廷。「国会議員や省OBから『事業の対象校に選定されたら公表前に教えて』との要求が複数あり、伝えていた。東京医科大もその一つだった」と述べた。
 丸山氏によると、私学助成課長だった平成29年、佐野被告から「東京医科大の選定について結果が分かれば」と求められた。国会議員からの要望か尋ねたが、具体的な返答はなかった。東京医科大側に便宜を図るような指示も出なかったという。
 丸山氏は事前に伝達することに「好ましくないという認識はあったが、公表直前だったので結果が変わることはなく、事業の公平性は担保できた」と述べた。
**********

■そして当会では、この第4回公判に引き続き、2週間後の第5回公判も傍聴することにしました。

○10月19日の第5回公判傍聴記(次回記事)はこちら
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3225.html

【市民オンブズマン群馬からの報告・この項続く】

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【安中市庁舎建替え問題】安中市議会議員全員に市庁舎建替えについてアンケート依頼中!10月23日の締切迫る

2020-10-21 22:32:00 | 安中市庁舎建替えに伴う予算過大問題
■築60年以上経過したとして安中市が現在の庁舎の建て替えを計画しており、市が選んだメンバー主体に16名による市民懇談会が7月から毎月下旬に開催され、今月下旬に第5回目となる最後の会議が開催される予定で、その後、どのように進められるのか市側からの説明はなく、あとは市側の思惑で計画が進められるのではないかと、市民の間で懸念の声が上がっています。

 こうした中で、市民から選ばれた議員で構成される安中市議会では、「庁舎建設等特別委員会」を昨年12月に立ち上げ、これまで10回にわたり、市庁舎建替えの件で話し合いをしています。次のブログ記事をご覧ください。
○2020年10月18日:【安中市庁舎建替え問題】安中市議会における庁舎建設等特別委員会の議事概要の開示で分かった小田原評定
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3222.html

 そこで当会では、住民代表である市議会議員諸氏に対して、安中市庁舎建替えについてどのようなお考えをお持ちなのか、個人的に見解をお聞きすべく、アンケート形式での調査を行うことにし、10月9日(金)朝、安中市役所で庁舎建設等特別委員会が9月に2回開催した会議の議事録の情報開示請求した資料を受領する際、用意したアンケート用紙を岡田・議会事務局長に提示し、各会派に配布するよう依頼しました。

令和2年1月28日発行の安中市議会だより第63号ページ10に掲載された「庁舎建設等特別委員会」の紹介記事。


富岡市役所の紹介パンフレット。「市議会庁舎建設特別委員会にて、隣町の富岡市庁舎を視察。有名建築家の手によるものですが、意外にシンプルという感想。」出典:2020年10月20日、庁舎建設等特別委員会の佐藤委員のTwitterより。https://twitter.com/itrenchtown/status/1318472090576547840/photo/1

 しかし岡田事務局長は、「できれば直接郵送などで各議員あてに個々に渡すようにしてほしい」として、当会の提案に同意しませんでした。どうやら、市議会議員に対して、この市庁舎建替え問題については、事務局側から持ち出すことに及び腰で、過度に議員に対する配慮ないし忖度が働いている感じを受けました。

 そのため、仕方なく、10月12日(月)に郵便局から普通郵便で各市議あてにアンケート用紙を配布しました。

■アンケートの内容は次の通りです。

*****市議を対象としたアンケート用紙*****ZIP ⇒ 20201009csapg.zip

市庁舎建替えに関するアンケート
                              令和2年10月9日
                         市政をひらく安中市民の会
                            事務局長 小川 賢
                      TEL 090-5302-8312
                       FAX 027-381-0364
 平素より市民に分かりやすい開かれた議会づくりにご尽力賜り厚く御礼申し上げます。さて、現在、安中市議会では市庁舎の老朽化による建替えについて市庁舎建設等特別委員会を設置して、縷々ご議論いただいております。つきましては、市議会議員の皆さまの市庁舎建替えに対する考えや意見を把握することで、より開かれた議会を市民にアピールする機会として、次のとおり「市庁舎建替えに関するアンケート」を実施することにしました。本アンケートの趣旨をご理解いただき、公務多忙の折、誠に恐縮ですが、令和2年10月23日(金)までにFAXにて上記連絡先まで下記質問へのご回答を賜りたくお願い申し上げます。

○質問1:建替えの前提としてどちらかといえば、
➀既存庁舎の利活用優先で建替え・新築は最小限度にとどめるべき、
②この機会に統合庁舎としてシンボリックな建物にすべき、
➂わからない。
○質問2:建替え場所について、
➀現在の場所がいい、
②安高跡地に移転したほうがいい、
➂それ以外の候補地を探した方がいい(候補地もしあれば:                   )、
➃わからない。
○質問2A:跡地利活用について、質問2で➀現在地で建替えと答えた人にお聞きします。安高跡地は将来何に使うのが適当だと考えますか(
                                           )
○質問2B:同じく質問2で➁安高跡地➂それ以外で建替えと答えた人にお聞きします。現庁舎跡地は将来何に使うのが適当だと考えますか(
                                                )
○質問3:建替え方法について、
➀既存建物を改修・補強等、
②既存建物を解体撤去し新築、
➂新たな場所を確保し、そこに新築、 
➃わからない。
○質問4:費用についてどこまで許容しますか、
➀20億円未満、②20億円台、➂30億円台、➃40億円台、⑤50億円以上、⑥わからない。
○質問5:安中市は連帯保証をしている安中市土地開発公社には簿外債権として元職員多胡邦夫に対する22億円+遅延損害金の債権があります。また、現在の安中市役所前には元職員多胡邦夫の親族が所有する土地があります。これらの債権や資産を多胡邦夫およびその親族から回収し、市庁舎建替え費用に充当すべきと考えておりますが、貴職の見解をお聞かせください。
①賛成
②反対(理由を教えてください:                                )
③わからない。 
                     ご協力ありがとうございました。
**********

■なるべく市議の皆さんの記入のための労力の負担を軽くするために、選択方式と、必要な項目のみ記入方式を組み合わせ、事前にアンケート用紙の左上にそれぞれの議席番号を大書し、わざわざ自分の氏名を記入しなくても済むように配慮しました。

 配布した安中市議会議員の皆さんの住所等は、安中市議会のHPからリストアップしました。アンケートをお願いしたのは次の20名の市議の皆さんです。

*****アンケートを依頼した20名の市議一覧*****
=====01=====

氏名     金井 久男
議席番号   1
所属会派   日本共産党安中市議団
所属委員会  総務文教常任委員会
住所    〒379-0215 安中市松井田町高梨子1313番地1

=====02=====

氏名     櫻井 ひろ江
議席番号   2
所属会派   日本共産党安中市議団
所属委員会  福祉民生常任委員会
住所     〒379-0116 安中市安中954番地1

=====03=====

氏名     松本 次男
議席番号   3
所属会派   無所属
所属委員会  福祉民生常任委員会
住所     〒379-0302 安中市松井田町五料319番地2

=====04=====

氏名     金井 登美雄
議席番号   4
所属会派   新政会
所属委員会  経済建設常任委員会
住所     〒379-0211 安中市松井田町上増田259番地

=====05=====

氏名     長嶋 陽子
議席番号   5
所属会派   公明党
所属委員会  福祉民生常任委員会
住所     〒379-0116 安中市安中三丁目12番21号

=====06=====

氏名     武者 葉子
議席番号   6
所属会派   公明党
所属委員会  総務文教常任委員会
住所     〒379-0225 安中市松井田町八城甲188番地

=====07=====

氏名     小林 克行
議席番号   7
所属会派   民声クラブ
所属委員会  総務文教常任委員会
住所     高別当376番地1
連絡先    〒379-0127 安中市磯部一丁目11番41号

=====08=====

氏名     佐藤 貴雄 (副議長)
議席番号   8
所属会派   民声クラブ
所属委員会  経済建設常任委員会
住所     安中二丁目15番30号
連絡先    〒379-0116 安中市安中三丁目18番34号

=====09=====

氏名     小林 訂史
議席番号   9
所属会派   新政会
所属委員会  総務文教常任委員会
住所     〒379-0115 安中市中宿一丁目6番34号

=====10=====

氏名     遠間 大和
議席番号   10
所属会派   新政会
所属委員会  福祉民生常任委員会
住所     〒379-0125 安中市中野谷2873番地1

=====11=====

氏名     罍 次雄
議席番号   11
所属会派   新政会
所属委員会  総務文教常任委員会
住所     〒379-0133 安中市原市1464番地3

=====12=====

氏名     巽 久男
議席番号   12
所属会派   新政会
所属委員会  経済建設常任委員会
住所     〒379-0116 安中市安中二丁目17番45号

=====13=====

氏名     高橋 由信
議席番号   13
所属会派   無所属
所属委員会  総務文教常任委員会
住所     〒379-0112 安中市岩井970番地4

=====14=====

氏名     柳沢 吉保
議席番号   14
所属会派   無所属
所属委員会  経済建設常任委員会
住所     〒379-0107 安中市中後閑2658番地

=====15=====

氏名     小川 剛
議席番号   15
所属会派   清風クラブ
所属委員会  経済建設常任委員会
住所     〒379-0116 安中市安中3533番地3

=====16=====

氏名     柳沢 浩之
議席番号   16
所属会派   清風クラブ
所属委員会  福祉民生常任委員会
住所     〒379-0127 安中市磯部三丁目5番31号

=====17=====

氏名     今井 敏博 (議長)
議席番号   17
所属会派   新政会
所属委員会  福祉民生常任委員会
住所     〒379-0111 安中市板鼻二丁目5番3号

=====18=====

氏名     吉岡 完司
議席番号   18
所属会派   新政会
所属委員会  総務文教常任委員会
住所     〒379-0135 安中市郷原2110番地

=====19=====

氏名     奥原 賢一
議席番号   19
所属会派   新政会
所属委員会  福祉民生常任委員会
住所     〒379-0103 安中市中秋間703番地

=====20=====

氏名     田中 伸一
議席番号   20
所属会派   新政会
所属委員会  経済建設常任委員会
住所     〒379-0106 安中市下後閑1012番地
**********

■現時点で4枚の記入済のアンケート用紙が返送されております。回答期限を10月23日(金)までとさせていただいたことから、明日から明後日にかけて、回答がいただけるのではないかと思います。

 こうしたアンケートはかつてタゴ51億円巨額横領事件発覚当時に、市議会議員全員を対象に行ったことがありました。その当時、返信用封筒を入れてアンケート依頼を出したのですが、白紙のまま、自分の住所氏名も書かずにそのまま返送してきたとんでもない市議さんも、いらっしゃいました。また、個別の議員ではなく、同じ会派としてまとめて1枚で回答してきたこともあります。

 今回は実に25年ぶりという、久しぶりの市議対象のアンケート調査です。どのような形で、何名の市議の皆さんが回答をきちんと寄せていただけるのか、注目したいと思います。

 なお、アンケート結果は、来週10月26日(月)午後6時30分から予定されている「安中市庁舎に関わる市民懇談会」の最後の会議となる第5回懇談会の開催前までに、このブログに掲載することにしております。

【ひらく会情報部】

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【安中市庁舎建替え問題】安中市議会における庁舎建設等特別委員会の議事概要の開示で分かった小田原評定

2020-10-18 23:27:00 | 安中市庁舎建替えに伴う予算過大問題
■現在、安中市庁舎の建て替えを巡り、安中市が選んだメンバー主体に16名による市民懇談会が6月から毎月下旬に開催され、今月下旬に第5回目となる最後の会議が開催される予定です。その後、どのように進められるのか市側からの説明はなく、あとは市側の思惑で計画が進められるのではないかと、市民の間で懸念の声が上がっています。
 こうした中で、市民から選ばれた議員で構成される安中市議会では、「庁舎建設等特別委員会」を昨年12月に立ち上げ、これまで10回にわたり、市庁舎建替えの件で話し合いをしています。
 今年8月29日発行の安中市議会最大会派の新政会会報(令和2年夏号)にも「庁舎建設等特別委員会では、庁舎の規模や建設場所等について話し合っており、現庁舎位置と旧安中高校跡地とのメリット、デメリットについてまとめ、庁舎建設場所を9月までに決定していく予定であります。」と報告があります。
※2020年8月29日発行「新政会会報(令和2年夏号)」 ZIP ⇒ 20200829vv.zip




 そのため、当会では、9月に開催された庁舎建設等特別委員会の議事録の情報開示請求を、次の通り行いました。

**********
<開示を請求する行政文書の内容又は件名>
市庁舎に関わる安中市議会における委員会での会議に関連する次の情報
(1) 庁舎建設等特別委員会(9月8日分)の会議録(文字起こしができていない場合は、会議を録音した音源の視聴)
(2) 庁舎建設等特別委員会の会議(9月17日分)の会議録(文字起こしができていない場合は、会議を録音した音源の視聴)

**********

 その結果、10月5日に開示通知があり、10月9日に開示された資料を受領しましたので、ご報告いたします。
※2020年9月5日:安中市行政文書開示決定通知書
ZIP ⇒ 20201005scjmi98y17j.zip

■開示された9月8日と9月17日の同委員会の会議概要は次の通りです。

*****9/8第9回会議概要*****ZIP ⇒ 20201009109ictvj.zip
第9回庁舎建設等特別委員会(会議概要)
               令和2生9月8日
               委 員 会 室
1.開 会 <9:57>
2.事 件
(1)庁舎建設の方法について
 罍委員、佐藤委員、櫻井委員、松本委員、遠間委員、武者委員、柳沢委員、小川副委員長、田中委員長、今井議長が発言
概要:庁舎建設方法の位置、規模をまとめた構想について、各委員より報告があった。
   報告後に行われた協議は、おおむね次のような内容であった。
  ・提出された構想は、地域を巻き込んだ構想と庁舎建設のみを考える構想に分かれているように感じる。
  ・ただ建物の位置を決めるのではなくどこに市役所を置くのかという視点、市役所周辺地域をどのように整備していくかという視点が重要である。
  ・人口減少、財政規模を考えるべき。
  ・既存庁舎の活用も考えるべき。
  ・合併特例債ありきな拙速な議論を進めるべきでない。
  ・西毛広幹道沿いでの建設は、通学路と出入り口が近すぎるので反対である。
   また、各候補地について民間業者に調査依頼すべきという意見が出され、おおむね次のような協議が行われた。その際、今井議長から、民間による調査をしたいのであれば、委邑会として執行部に提案、要望するしか方法がないのて はないかという助言があった
  ・民間調査会社に依項して各候補地の将来性について客観的に見てもらうのが良いのではないか。
  ・議会で行うのは金銭的に難しい。
  ・民間の意見ではなく議会委員会としての考えをまとめ提案するべき。
  ・議論のべース、裏付けとなる知識を得るための調査が必要では。
  ・調査依頼を中間報告に含め、早めに行うべき。

   委員長判断により、中間報告に先立って執行部に調査依頼、要望をする際の調査内容について、次回までに各委員においてまとめることとなった。

(2)その他
①庁舎建設等特別委員会の傍聴について
 櫻井委員、柳沢委員、罍委員、遠間委員、田中委員長が発言
概要:市民からの特別委員会傍聴希望についてコロナウイルス感染予防のため断られたとの相談があったが、感染リスクは低いと思われるので、受け入れるヘきではないかとの意見が出された。これに対し、万が一の時に責任が取れない、傍聴案内は事前に広く伝えられるべきである、市内でも感染者が出ている状況である、といった意見が出され、委員長判断により当面の間は傍聴を遠慮していただくこととなった。
②次回の委員会の日程について
 田中委員長が発言
 概要:次回の委員会の日程は9月1 7日 議員研修会終了後となった。

3 閉 会 <11:22>

=====庁舎建設等特別委員会出席表=====
                      令和2年9月8日開催
                      開会時間:午前9時57分
                           (午前10時予定)
                      閉会時間:午前11時22分
                      場  所:小会議室
所属      氏名         摘要
委員長    田 中 伸 一    〇
副委員長    小 川   剛    ○
新政会     罌   次 男    〇
新政会     遠 間 大 和    〇
新政会     小 林 訂 史    ○
民声クラブ   佐 藤 貴 雄    ○(副議長)
共産党     櫻 井 ひろ江    〇
公明党     武 者 葉 子    ○
無所属     松 本 次 男    ○
無所属     柳 沢 吉 保    ○
議長      今 井 敏 博    ○

=====第9回庁舎建設等特別委員会次第=====
                  令和2年9月8日
                  委 員 会 室
1,開会
2.事件
(1)庁舎建設の方法について
(2)その他
3.閉会

=====各派配布資料(新政会)=====
                    2020年9月8日
                      新 政 会
        庁舎建設等特別委員会
1.建設場所
  旧群馬県立安中高校跡地及びその周辺(西毛広域幹線道路沿線)
2.規模
  ここでの規模とは、行政庁舎のみが前提
  目標となる人口・職員数等を明確にし、基準に当てはめ面積を算出
  松井田支所は有効活用(公・民関わらず)
  ※複合施設とする場合
     …民間に場所・規模・面積・どのようなものを入れるのか等提案してもらう。
3.機能
  *防災拠点としての機能
  *危機管理機能
  *セキュリティ機能(執務機能) 
  *ユニバーサルデザイン(窓口機能)
  *プライバシー配慮(窓口機能など)
  *市民利便機能(市民活動室、飲食スペース、売店など)
  *開かれた庁舎(情報コーナーの設置、多目的スペースなどの工夫)
  *省エネ・省資源(自然エネルギーの活用・整備など省エネ技術の導入 環境負荷の低減)
  *周辺環境・警官配慮(周辺地域を踏まえた施設計画、デザイン面の配慮、緑化や広場など空間の計画)
  *窓口駐車場の利便性
  *柔軟性・経済性(フレキシビリティの確保、ライフサイクルコスト)
  *史睦室空間などの機能性、会議スペースの確保、書庫
  *議会機能
  *アーカイプ機能
  *ICTを活用した機能(テレワーク等にて対応)
  *高度情報化に対応するための機能(サーバー室→バックアップ(松井田支所)情報管理室の整備)
  *ランドマークとしての機能
  *まちの賑わいを形成できる場(市民の職員も利用できるカフェ等、地産地消の食堂や売店の整備)
  *その他機能(公共交通の有効活用、周辺整備の核としての整備)

=====各派配布資料(民声クラブ)=====
庁舎建設等特別委員会        2020/9/7 第9回委員会資料
                       民声クラブ
◎本庁舎のあり方について
1.建設場所
  旧群馬県立安中高校跡地及びその周辺
2.規模
  市庁舎として必要な機能とその他に必要な機能及び十分な来客用駐車場が確保できる面積
3..機能
・上下水道部、松井田支所、公立碓氷病院以外の部署が入る
・大規模災害時における市民の生命・身体・財産を守る防災拠点施設、災害対策本部等としての機能
 ワンストップサービス等、総合窓口の設置と市民サービスが十分おこなえる
・ハード面・ソフト面ともにバリアフリー化されたユニバーサルデザイン
・十分な執務スペースや相談室等
・防犯カメラ等のセキュリティー機器の配置
・省エネルギー・環境負荷低減対策
・市民や各種団体へ提供できるスペース
・倉庫等のスペースの確保
・福利厚生施設(食堂・売店等)や福祉販売スペース、市民ロビー等の配置
・火災や地震等の災害時に職員や市民が危険なく避難できる通路や空間の確保
・トイレはウオシュレットや男女ともにおむつ替え場所を確保し、だれでもトイレやオストメイト等の多目的なトイレも各階に配置
・議場等の議会機能は多目的に活用可能な機能を有し、フラットな傍聴席や母子室の配置等 文字通り市民に開かれた議会とする
・複合施設(商業施設・庁舎機能以外の公共施設-公共に準じた施設・ホテル等)を併設する場合は市民ニーズを的確に把握し、PFI等を活用しコスト削減を目指す
4.その他
・松井田庁舎は松井田支所機能(現状では総務管理課と住民福祉課)と、松井田地域とその周辺において特に市民ニーズが高い機能が入る
・谷津庁舎は現状のまま上下水道部を置く
・各公民館・住民センターにおいては住民票の写しや印鑑登録証等の取得など、市民サービスをおこなう
・現庁舎は新庁舎のみ残し、西毛広幹道沿いにある利点を生かした利活用をおこなう
・現庁舎周辺から新庁舎(安中高校跡地)周辺、さらに武家長屋から文化センターへ連なる地域は、まちなかの賑わいを創出するエリアとして、あるいは公共ゾーンとして一体的な整備をおこなう

=====各会派配布資料(公明党)=====
安中市庁舎建設建て替え案
                  会派 公明党
1.場所   旧安高跡地 街づくりにマッチしたデザイン
       現在庁舎の各部局、 上下水道部、
       防災拠点 (太陽光発電システム、非常用電源)
       ワンストップ相談窓口、キッズコーナー、授乳室、
       駐車場兼広場
2.新庁舎(現)の活用
       1階 保健センター
       2階 教育委員会
       3階 会議室等
       現駐車場は、駐車場兼イベント広場
3.松井田支所
       1階 (現)市民サービス、産業部
       2階 議会棟、社会福祉協議会(松井田)

=====各会派配布資料(柳沢吉保)=====
                    2020年9月8日
                    柳沢 吉保
        庁舎建設等特別委員会
1.庁舎建設について
(1)建設場所
   旧安中高校跡地
2.旧安中高校跡地に建てるメリット
(1)旧安中高校跡地へ庁舎を作るメリット
  ①群馬県から土地を購入しているため、市民の理解を得やすい。
  ②新庁舎建設中に市民サービスが従来どおり行なえる。
  ③借庁舎を建てる必要がない。
  ④現庁舎から近く引っ越しなども便利。
  ⑤武家長屋や文化センターも近く一体感が増す。
(2)旧安中高校跡地へ庁舎を作るデメリット
  ①周りに空き地もなく、新たな開発には不向きである。
3.松井田支所の活用について
  松井田住民のためにも支所の機能は維持する。
                    以 上

=====各会派配布資料(清風クラブ)=====
                   2020年9月8日
                   清風クラブ
        庁舎建設等特別委員会
1.庁舎建設について
(1)建設場所
   新しい場所への移転
   安中市安中の信越線近傍(碓氷川七曲り橋南東)
2.新しい場所に移転するメリット-デメリット
(1)メリット ―これからの「安中市の新たなまちづくり」が可能-
  ①市役所を核にした街づくりが可能。将釆の街発展の可能性が広がる。
  ②広い敷地により、駐車場が広く取れ、複合施設の建設も司能。
  ③庁舎建設中の業務が継続でき、仮設庁舎の建設がいらない。
  ④引っ越しが一度で完結する。
  ⑤信越線に近いので、今後の新駅の建設で利便性が増す。
  ⑥西毛広域幹線道路沿線になり、クルマや電車の利用ができる。(公共交通)
  ⑦行政と民間が連携したPPP/PFIを活用した効率化が図りやすい。
  ⑧コンパクトシティの街づくりができる。(税収が減少しインフラ整備費が増加)
(2)デメリット
  ①土地購入、用途地域の変更などに時間がかかり、建設が遅れる。
  ②候補地の選定や市民の理解に時間がかかる。
  ③インフラ整備が必要になる。
3.松井田支所の活用について
  支所の機能は維持し、支所だけでは足りない広さの新庁舎の建設を進める。現在も教育部や産業経済部等があるがそのまま維持し、農業姿員会も松井田支所に移設する。議場も使えるので議会は松井田支所で開催する。(ウェブ会議を活用)
4.現庁舎の活用と旧安中高校の活用について
  民間会社の街づくりの知恵を借りるため天手会社とコンサルタント契約を結び、安中市全体の街づくりのアイディアを出してもらう。
(1)現庁舎の活用
   耐震性のない旧庁舎、中庁舎は解体し市民広場と駐三場にする。東側の新庁舎は耐震性もある建物なので市民から要望の高い市民ギャラリー等の絵や書道、華道などの展示スペースとして残す。保健センターもまだ使える建物なので、活用を考える。
(2)旧安中高校跡地
   当面は建物等は映画撮影用に残し、グラウンドは整備し、防災拠点とする。将来的には建物も解体し旧安中地域の観光拠点とする。武家長屋や奉行役宅、皇女和宮御宿泊や安中キリスト協会、郡役所も近く観光ポイントして開発する。
                      ―以 上―

=====各会派配布資料(共産党)=====
        庁舎建設に関する考え方
                      令和2年9月8日
                     日本共産党安中市議団
1.基本的な考え方
  ①既存施設の活用
  ②現地での改修・改築
  ③新たな建物は必要最低限のものとする。ただし、今後市民ニーズに応えるものも取り入れる。(市民サロン的なもの、防災関係等)
*市の将来人口が減少するとの見通し(国立社会保障・人口問題研究所の推計、及び「安中市まち・ひと・しごと創生総合戦略」(平成27年度策定)等による)の中、将来における負担増を避けるべきであり、借金に頼らない財源規模とするべきである。
*防災の観点から、今後は、分散型を考えていくべきである。
*現状での業務遂行が危険だとすれば、緊急避難的にも他の場所への移動が必要となるのではないか。
*駐車場は、安中高校跡地を利用する。
2.既存施設の活用について
ア、工事期間中の既存施設の活用(どうしても足らない分は、プレハプ建物で対応する)
  ・市役所本庁舎内(旧庁舎、中庁舎を除く)、松井田支所庁舎内、松井田保健センター谷津庁舎内、元法務局建物等の活用をする。(必要ならば、本庁舎2階等での建て増し等も検討する)(別紙1)
  ・緊急避難的な移動に際しても活用することが出来る。
イ、工事期間中及び緊急避難的な場合の具体的な活用案
  ・福祉課、子ども課⇒元法務局跡
  ・市民生活課⇒消費生活センター内
  ・土木課、建築住宅課、都市整備課谷津庁舎2階等
  ・当直室⇒
  ・市長室、副市長室⇒応接室
  ・秘書課、財政課、企画課⇒東庁舎2階会議室
  ・行政課、危機管理課⇒プレハブか3階テラスなどへの建て増し
  ・サーバー室⇒東庁舎2階相談室
  ・3階の職員組合⇒松井田庁舎
  ・議会関係⇒松井田庁舎
  ・会議室⇒3階委員会室
ウ、庁舎建設後の再編は、工事期間中の活用案を踏まえて別途検討し、建設案をつくる。
  案としての図面(別紙)
3.その他
  ・職員数…5万人→ 366人、4万人→ 288人、3万人→ 216人(第3回市民懇談会にて)
  ・用途地域の見直し…計画案ができてから約1年
【別紙図面(省略)】

=====各会派配布資料(松本次男)=====
                  2020/9/8 松本次男
       庁舎建設のあり方について
○旧庁舎-中庁舎・西庁舎(耐震性能が低い)を取り壊し、現在地に建て替える。
○延床面積については3,000㎡以内とし、(現)新庁舎・保健センター・谷津庁舎及び松井田支所の利用を再検討する。
○庁舎の複合施設化は考慮しない。
○建設期間中、仮設庁舎及び来庁者用駐車場として旧安中高校校舎・校庭を利用する。
○財源については、合併特例債を活用する(令和7年度までに完成)こととし、早急に「(仮称)庁舎建設準備室」を設置する。

*****9/17第10回会議概要*****ZIP ⇒ 20201009210ictvj.zip
第10回庁舎建設等特別委員会(会議概要)
               令和2年9月17日
               委 員 会 室
1.開 会 <11:10>
2.事 件
(1)庁舎建設の方法について
 遠間委員、武者委員、櫻井委員、佐藤委員、松本委員、柳沢委員、小川副委員長、 田中委員長が発言
概要:庁舎建設の位置等について執行部へ調査を依頼する際の内容について各委員より報告があった。文書のほか、口頭で下記のような報告があった。
  ・議会が自ら考えるべきで、執行部もしくは民間に調査を依頼することは今の段階では必要ないと考える。調査をするのであれば、安中市と状況が類似する自治体への視察を行うのが良いと考える。(民声クラブ・佐藤委員)
  ・委員会内で論点整理を行えば良いと考える。また、まちづくりの視点に立った庁舎のありようを検討していくのが良いと考える。(松本委員)
  ・調査依頼などせず、近隣への視察を行うのが良いと考える。(柳沢委員)
   報告後、特に協議なく、報告された意見をもとに正副委員長が執行部への依頼内容や期限等をまとめ、依頼することとなった。
(2)その他
①今後の庁舎建設等特別委員会について
 遠間委員、田中委員長が発言
概要:今後の議題等について協議が行われ、視察も大事であるので受け入れ先の可否次第ではあるが、検討していくべきとの意見が出され、視察を検討することとなった。視察先や日程については正副委員長の一任となった。
②次回の委員会の日程について
 田中委員長が発言
概要:次回の委員会の日程は視察に合わせ、正副委員長の一任となった。
3 閉会 <11:22>

====庁舎建設等特別委員会出席表=====
                      令和2年9月17日開催
                      開会時間:午前11時10分
                           (議員研修会後)
                      閉会時間:午前11時22分
                      場  所:小会議室
所属      氏名         摘要
委員長    田 中 伸 一    〇
副委員長    小 川   剛    ○
新政会     罌   次 男    〇
新政会     遠 間 大 和    〇
新政会     小 林 訂 史    ○
民声クラブ   佐 藤 貴 雄    ○(副議長)
共産党     櫻 井 ひろ江    〇
公明党     武 者 葉 子    ○
無所属     松 本 次 男    ○
無所属     柳 沢 吉 保    ○
議長      今 井 敏 博    ○

=====第10回庁舎建設等特別委員会次第=====
                  令和2年9月17日
                  委 員 会 室
1,開会
2.事件
(1)庁舎建設の方法について
(2)その他
3.閉会

=====各派配布資料(新政会)=====
                      2020年9月17日
                        新 政 会
          庁舎建設等特別委員会
1.調査項目
  *有事においての建物倒壊の危険性
  *防災拠点(災号対朿部等としての機能など)
  *建設場所・規模・面積
  *複合施設化のシュミレーション
  *公共交通の再構築
  *周辺整備の核としての整備
  *ランドマーク化出来るか
  *庁舎建設に当たっての想定人口
  *省エネ・省資源化(自然エネルギーの活用・整備など省エネ技術の導入環境負荷の低減)
  *周辺環境・景観配慮(周辺地域を踏まえた施設計画、デザイン面の配慮、緑化や広場などの空間の計画)
  *候補地を第三の場所(現在地・安中高校跡地以外)とした場合、有効利用出来る庁含等の利活用
  *柔軟性・経済性(フレキシビリティの確保、ライフサイクルコスト)
  *松井田支所の民間化(住民票発行等の機能を無くす訳ではありません)
  *PPP・PFI等を含めた財源
  *国・県の補助金等の活用
  *庁舎建設による市民サービスの向上

=====各会派配布資料(公明党)=====
      安中市庁舎建設に向けた調査依頼
                         会派 公明党
1.庁舎建設の場所の選定
  ・安中市の長期展望に立った庁舎建設の場所の選定案
  ・防災拠点機能、市民サービスの向上機能を備える。
2.庁舎(現)、松井田支所など既存施設の有効活用
  ・まちづくりの観点からの総合的な活用案

=====各会派配布資料(清風クラブ)=====
       庁舎建設等特別委員会
1.庁舎建設における民間での調査項目について
  これまで安中市として事前庁舎立替準備会議で論議を進めてきました。建設場所については、①現庁舎の場所、②旧安中高校跡地、③その他の場所についての3案が出され論議してきました。会議の経過から庁舎立替準備会議で出されている結論について現時点では、旧安中高校跡地の移転が現実的とされています。視察先も埼玉県北本市、茨城県稲敷市、長野県小諸市と3拠点の視察となっています。
  調査が不足している点は、行政庁舎のみの建替えしか論議しておらす、少子・高齢化社会が進む中、本市の発展性や市民の利便性、財政状況が厳しくなる中における民間活カ(複合施設)を導入した庁舎建設など、多くの情報が取れる社会環境の中で不足していると考えます。
  民間調査会社で安中市の庁舎建設について調査し、一つの考え方として参考にすることも必要であると考えますので調査を要望するものであります。
(1)調査してもらう庁舎建設場所
  ①現庁舎の場所
  ②旧安中高校跡地
  ③西毛広域幹線道路沿線(信越線付近)
(2)調査項目について
  ①市民の利便性
  ②本市の将来の発展性の面から
  ③防災拠点として相応しいか
  ④コンパクトシティーとして核となるか
  ⑤公共交通の利便性が高められるか
  ⑥庁舎建設後に周辺の開発が進むか
  ⑦本市が発展していくために他地域の中での安中市の在り方
   群馬県全体で考えた場合
   西毛圏で考えた場合
  ⑧人口減に対応した街づくり観点からどうか
                     ―以上―

=====各会派配布資料(共産党)=====
      庁舎建設等特別委員会資料として
                        令和2年9月17日
                        日本共産党安中市議団
調査の依頼項目
1.仮庁舎として
 ①工事中等の仮庁舎としてプレハブなどで3億円前後必要と言われているが、今ある庁舎等を使った場合、どれだけのスペースを充てることができるか。
 ②旧安中高校の建物も仮庁舎として使うことに検討の余地ありという答弁があったが、プレハブを使わなくても間に合うか。
ー至、および防災拠点として必要な部屋等の面積
**********

■以上のとおり、今年9月に市庁舎建替えの場所の選定について、議会では9月までには建設場所を決めたいとしていましたが、結局、自分たちでは決められず、専門業者など外部委託にする方向も打ち出されたものの、やはり自分たちで判断しなければ、という、優柔不断な協議を繰り返しているのが安中市議会の現状です。

 そして、最後は結局自分たちで判断するにしても、その前に近隣の自治体で最近市庁舎を建て替えた事例を視察に行こう、というのが現時点での今後の方針のようです。

 ちなみに安中市議会事務局の岡田事務局長によると、次回の庁舎建設等特別委員会の日取りは未定とのことです。

【ひらく会情報部】

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【働き方改革を先取り?】監査請求棄却・・・副業無届で副収入2億円+退職手当1200万円の役人天国群馬県

2020-10-15 23:20:00 | 県内の税金無駄使い実態

■2007(平成19)年7月に中古購入の賃貸アパート経営スタートから2017(平成29)年3月に中学校の教諭を退職するまでの10年間に約1億9千万円に上る副収入を得ていた群馬県のスーパー教師。彼は、その間ずっと教員として勤務していましたが、2016(平成28)年7月ごろから長期休暇を取得し、平成28年12月23日に不動産業等を扱う会社を設立し役員に就任しましたが「任命権者」の許可を得ないまま、翌年3月まで長期休暇・休職をしました。そして退職に当たり、群馬県は彼に1200万円(推定)の退職手当を支払いました。

 これはどうみても地方公務員法第38条に定める営利企業への従事等の制限に抵触するのではないか。したがって、退職手当は返還を求めるべきではないのか。そう判断した当会では、2020年8月6日付で住民監査請求に踏み切りました。その監査結果が10月13日付で通知されました。群馬県監査委員の判断は、「まったく問題ない」というものでした。


2013年3月16日(土)に横浜で開催された「第4回日中お母さんサミット」に寄せた大木先生のメッセージ。

 地方公務員法第38条はつぎのとおり定めています。
**********
(営利企業への従事等の制限)
第三十八条 職員は、任命権者の許可を受けなければ、商業、工業又は金融業その他営利を目的とする私企業(以下この項及び次条第一項において「営利企業」という。)を営むことを目的とする会社その他の団体の役員その他人事委員会規則(人事委員会を置かない地方公共団体においては、地方公共団体の規則)で定める地位を兼ね、若しくは自ら営利企業を営み、又は報酬を得ていかなる事業若しくは事務にも従事してはならない。ただし、非常勤職員(短時間勤務の職を占める職員及び第二十二条の二第一項第二号に掲げる職員を除く。)については、この限りでない。

2 人事委員会は、人事委員会規則により前項の場合における任命権者の許可の基準を定めることができる。
**********

 すなわち、群馬県では、「任命権者の許可」がなくても、青天井で副業に精を出せるわけです。これはまさしく、「働き方改革の先取り」といってもよいでしょう。群馬県の公務員は、副業届をしなくても、本業で仕事をしているフリをしていれば、どんどん副業で稼ぐことが出来る環境にあり、しかも、長期休暇・休業中に起業して会社を経営する役員に就任しても、これまた「任命権者の許可」を得る必要がなく、役員報酬を自由に得ることができるわけです。まさに、「経済特区」ならぬ「公務員特区」というべき、まことに理想の就業環境に恵まれているのが群馬県の公務員の皆さんです。

 実は今回のことに限らず、群馬県の公務員に対する福利厚生制度は極めて充実しています。その極めつけは、特別職だった大澤正明知事の場合、知事公舎に毎週末愛人とともに宿泊を伴う滞在をしていたにもかかわらず、群馬県はフリン知事が配偶者以外の女性と同居をしていたわけではないとして、公舎使用規則違反には当たらないと判断したからです。

 しかも、快適に愛人と過ごせるように知事公舎のリフォームに投じた2000万円を遥かに超える公費支出に問題はないとして、当会と最高裁まで争った挙句、群馬県は勝訴しました。そのため、群馬県の職員の皆さんは、公舎や借り上げ住宅を愛人やガールフレンド・ボーイフレンドと一緒に宿泊を伴う滞在が堂々と可能となっています。

■それでは、その画期的な判断を見てみましょう。

*****10/2監査結果*****ZIP ⇒ 20201013misj.zip
                         群監第202-18号
                         令和2年10月12日
市民オンブズマン群馬
 代表  小川 賢 様

                   群馬県監査委員 丸 山 幸 男
                   同       林     章
                   同       井 田   泉
                   同       臂   泰 雄

          住民監査請求に係る監査結果について

 令和2年8月7日付けで収受した標記請求に係る監査結果は、別紙のとおりです。


                      群馬県監査委員事務局
                       特定監査係
                       TEL:027-226-2767

=====監査結果=====
<P1>
            群馬県職員措置請求監査結果
第1 主文
   本件措置請求を棄却する。
第2 請求人
   市民オンブズマン群馬 代表 小川 賢
第3 請求書の提出
   令和2年8月7日
   なお、請求人に対し、同月18日に補正を求め、同月26日に補正が行われた。
第4 請求の内容
 1 請求の要旨
   元教員であるA(以下「本件元教員」という。)は、平成29年3月31日付けで地方公務員(県費負担教職員)を依願退職しているが、在職中の平成19年頃から不動産賃貸業(以下「本件副業」という 。)を営んでいた。その後、本件副業の規模を拡大させ、平成28年には本件副業等を目的に株式会社を設立し、取締役に就任していたにもかかわらず、この期間内にしかるべき副業ないし兼業許可申請やそれに対する所轄庁の長等の承認を得た形跡が見当たらない。これは地方公務員法(昭和25年法律第261号。以下「地公法」という。)第38条(営利企業等の従事制限「所謂副業禁止」)に抵触し、内容的にも、人事院規則14-8に列挙されている項目をはるかに凌駕する悪質なものである。
   また、本件元教員は、株式会社を設立した平成28年度は、長期間にわたり休職ないし長期休暇をしていたとみられる。
   ところが、群馬 県教育委員会(以下「県教委J という。)ないし群馬県は、平成29年3月末までに本件元教員に違法不当にも退職手当を支払った。
   群馬県知事及び県教委は連帯して、本件元教員に支払った退職手当及び遅延損害金を回収するためのあらゆる手段をとるよう、監査委員に勧告を求める。
   また、退職金及び遅延損害金の回収を怠る場合、群馬県知事をして、本件元教員を県費負担教職員として任命してきた歴代の群馬県教育委員に対し、連帯して退職金及び遅延損害金を回収せしめるよう、監査委員に勧告を求める。
 2 事実証明書(各事実証明書の表題は、措置請求書における請求人の記載をそのまま記載した。ただし、個人名、法人名並びに賃貸アパートの名称及び所在地は、当監査委員にて加筆、記号化した。また、陳述までに請求人から追加提出された資料は、当監査委員において表題を記載し、事実証明書14及び15として付番した。)
  (1) 事実証明書1 公務員在職中のアパート賃料および売却損益一覧表
  (2) 事実証明書2 株式会社B 登記記録
  (3) 事実証明書3 ■■市■■■町■■■■番地の賃貸アパー卜情報
  (4) 事実証明書4 ■■市■■■町■■■■■■の賃貸アパート「■■■■■■■■■■」情報
  (5) 事実証明書5 ■■市■■■町■■■■■■の賃貸アバート「■■■■■■■■■■」情報
  (6) 事実証明書6 ■■市■■■町■■■■■■番地の賃貸アバート情報「■■■■■■■■■■■」(平成27年9月30日売却)
  (7) 事実証明書7 ■■■市■■町■■■■■番地の賃貸アパート情報「■■■■■■」(平成29年3月31日売却)
  (8) 事実証明書8 ■■市■■■町■■■■■■番地の太陽光発電施設の課税台帳

<P2>
  (9) 事実証明書9 公文書部分開示決定通知書(副第30094-1号令和2年6月12日)および本件元教員の退職手当に関する部分開示情報
  (10) 事実証明書10 公文書不存在決定通知書(学人第1427-4号令和2年7月20日)
  (11) 事実証明書11 公文書不存在決定通知書(学人第1222-1号令和2年6月12日)
  (12) 事実証明書12 藤岡市情報任意的公開回答書(藤教学第133号令和2年7月29日)
  (13) 事実証明書13 公文書の在否を明らかにしない決定通知書(学人第1222-1号令和2年6月12日)
  (14) 事実証明書14 事実証明書12における藤岡市役所からの封筒のコピー
  (15) 事実証明書15 請求人の推測による本件元教員の退職手当支給額

第5 補正について
 1 補正依頼
   本件措置請求については、地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「地自法」という。)第242条第1項に規定する請求の要件を具備しているかどうか判断するに当たり不明な点が存在したことから、請求人に対し、令和2年8月18日付けで補正依頼通知を送付し、同月26日に補正書が提出された。
 2 補正書の内容(当監査委員が補正を求めた事項に対する請求人の回答をまとめたもの)
  (1) 請求人としての適格性について
    請求人としての適格性を確認するため、団体の主たる所在地が群馬県内にあることが分かる書面、会則及び役員名簿の提出を求めるもの(請求日時点(令和2年8月7日))。
   (回答) 住所録(抜粋)、会則及び議事録(役員名簿含む。)が提出された。
  (2) 請求期間経過の正当な理由について
    地自法第242条第2項により、当該行為のあった日又は終わった日から1年を経過したときは、これをすることができないとあり、ただし、正当な理由があるときは、この限りではないとされている。
    本件措置請求は、平成29年3月末に支払われた退職手当の回収を求めていると解されるが、それには、まず正当な理由があることを確認する必要があるもの。
   (回答) 令和2年5月20日に本件に係る情報提供が県民から寄せられ、同月29日付けで群馬県知事に対して公文書開示請求書を提出したところ、同年6月16日に部分開示通知に基づき部分開示された資料を見て、支払日が平成29年4月21日に指定口座振り込みで実行されたことを知った。その後、対象職員の当時の勤務校や退職理由など、追加の情報開示請求と部分開示、不開示、在否応答拒否処分を経て、令和2年8月7日に住民監査請求に踏み切った。

第6 請求の受理
   本件措置請求において、当該行為のあった日又は終わった日から1年を経過した正当な理由の有無については、監査を実施した上で慎重に判断することとし、その他については、地自法第242条第1項に規定する要件を具備しているものと認め、令和2年9月3日に受理を決定した。

第7 監査の実施
 1 監査対象事項
   教職員の退職手当の支出について
 2 監査対象機関
   県教委福利課及び学校人事課
 3 請求人の陳述及び証拠提出
   令和2年9月11日、地自法第242条第7項の規定により、請求人の陳述を聴取した。また、請求人から

<P3>
事実証明書14及び15が追加提出された。
 4 監査の実施
   令和2年9月18日、監査対象機関に対し、監査委員による対面監査を行った。また、これに先立ち監査委員事務局職員による事務ヒアリングを行った。

第8 監査の結果
 1 監査対象機関の主張及び説明
  (1) 本件元教員について
    本件元教員は、県費負担教職員であり、平成29年3月31日に退職した。
  (2) 県費負担教職員の任命権等について
   ア 任命権:県教委
   イ 退職手当の決定(認定)権:県教委
   ウ 休職・懲戒の処分権:県教委
   エ 服務に関する監督:市町村教育委員会(以下「市教委」という。)
  (3) 地公法第38条(営利企業への従事等の制限)について
   ア 営利企業従事許可について、任命権者の許可を受けていなかったことが判明した場合の教職員に対する懲戒処分について
     県教委懲戒処分指針(以下「懲戒処分指針」という。)における標準的な懲戒処分の種類の中で、「営利企業の役員等の職を兼ね、若しくは自ら営利企業を営むことの承認を得る手続又は報酬を得て、営利企業以外の事業の団体の役員等を兼ね、その他事業若しくは事務に従事することの許可を得る手続を怠り、これらの兼業を行った教職員は、減給又は戒告とする」とされている。
     なお、退職後に上記事案が発覚しても、退職した者に懲戒処分はできない。
   イ 営利企業従事許可の判断基準について
     判断基準は特に定めておらず、人事院規則14-8や過去の事例等を参考に個別審査を行っている。請求人の主張する同規則(同規則の運用について)は、副業収入や事業規模ではなく、自営に当たるかどうかの基準であり、自営を行うことによって、教員としての本務に支障がある場合は、許可はできないと考える。例えば、アパート経営で管理運営会社等に委託している場合については、許可される可能性が高いが、自営業の業務内容そのものが公務員の信用を失墜するような内容である場合は、許可はできない。また、病気休暇中及び休職期間中は、療養に専念することを目的としているため、新たな事業を行うことは、病気休暇及び休職の趣旨を逸脱しており、営利企業従事許可は認められないと考えるが、病気休暇前から事業を継続している場合は、状況により判断することとなる。
     仮に病気休暇中や休職期間中に不動産を得る等の副業をした場合は、悪質性はあるが、そのことをもって懲戒免職とはならない。ただし、懲戒処分指針による懲戒処分の標準例では、減給又は戒告とあるので、加重要素(減給期間が1か月から6か月)の検討対象になる。
     なお、本件元教員の服務に関する監督権は市教委であるから、許可の決定権は市教委である。
   ウ 本件元教員の営利企業従事許可申請(以下「本件許可申請」という。)の有無及び県教委への報告について
     服務を監督する管轄市教委から、本件許可申請書は提出されていないと聞いている。また、本件許可申請の有無は県教委には報告されていない。
   エ 本件元教員の在職期間中における本件副業の把握について
     本件元教員の在職期間中の本件副業については分からなかった。本件許可申請は自己申告なので、県教

<P3>
委としては本件副業の有無を把握するのは難しい。
  (4) 本件元教員に対する退職手当の支払について
    本件元教員に対し、公立学校職員退職手当支給条例(昭和29年群馬県条例第40号。以下「条例」という。)第4条の規定を適用し、退職手当を支払った。また、条例第12条第1項の規定による懲戒免職等処分を受けた場合等の退職手当の支給制限の適用はなかった。
    条例第13条に規定する「職員が刑事事件に関し起訴されたとき」、「懲戒免職等処分を受けるべき行為(在職期間中の職員の非違に当たる行為であって、その非違の内容及び程度に照らして、懲戒免職等処分に値することが明らかなものをいう)をしたことが疑われるとき」などに該当する場合は、退職手当の支払を差し止める処分を行うことができるが、本件元教員については、上記事実が確認されなかった。
    なお、懲戒免職等処分とは、条例第11条第1号により、地公法第29条の規定による懲戒免職の処分その他の職員としての身分を当該職員の非違を理由として失わせる処分とされている。
    また、条例第2条の3第2項の規定により、当該退職手当は、退職した日(平成29年3月31日退職)から1月以内に支払わなければならないことから、同年4月21日に支払った。支給額は条例第2条の4の規定により、計算している。
  (5) 本件元教員に対する退職手当の返納について
    退職後の退職手当については、条例第15条第1項の規定により、退職をした者が基礎在職期間中の行為に係る刑事事件に関し禁錮以上の刑に処せられたときや、退職をした者について、一般の退職手当等の額の算定の基礎となる職員としての引き続いた基礎在職期間中に懲戒免職等処分を受けるべき行為をしたと認められるときに返納を命ずる処分を行うことができる。
    本件元教員の退職手当は既に支払っているので、現時点では、在職期間中の行為に係る刑事事件に関し禁錮以上の刑に処せられてもいないし、在職期間中に懲戒免職等処分を受けるべき行為をしたと認めていないことから、退職手当の返納を命ずる処分を行うことができる事由に当たらない。
    また、本件許可申請の場合は、管轄市教委が判断することになるが、県教委としては、本件許可申請をすれば許可になる可能性が高い。
    さらに、本件について調査を行ったところ、不動産収入があった事実は確認できたが、それが請求人が主張している本件元教員の本件副業による収入であったとしても、本件許可申請のけ怠にすぎず、それは在職期間中に懲戒免職等処分を受けるべき行為に当たらないと考える。
  (6) 請求人の主張に対する見解について
   ア 本件元教員が、本件許可申請をしないまま、このような悪質な内容の副業にいそしんでいたにもかかわらず、本件元教員に退職手当を支払ったことは違法・不当であるとする主張について
     本件許可申請を怠り、懲戒処分指針により減給又は戒告処分を受けたとしても、条例等に基づき、退職手当は支払われるため、違法・不当には当たらないと考える。
   イ 平成28年には不動産業等を目的に株式会社を設立し、取締役に就任していたにもかかわらず、この期間内にしかるべき副業ないし兼業許可申請やそれに対する所轄庁の長等の承認を得た形跡が見当たらないとする主張について
     本件措置請求の事実証明書2において、株式会社の登記がされているが、本件元教員が取締役に就任したのは、退職後であるため、請求人の主張と事実証明書2が相違しているのではないかと考える。
   ウ 本件副業にいそしんでいることにより、本業に支障が生じ、職務専念義務に違反しているのではないかとする主張について
     管轄市教委に調査したところ、業務に対して熱心に取り組んでおり、職務に専念していない様子は見ら

<P5>
れなかったとのことだった。
     また、本件元教員は、しっかりとした勤務実績がある人が推薦される総合教育センターの研修に選ばれていた。
   エ その他
     仮に在職期間中に本件元教員の行為が明らかとなり、懲戒処分を行ったとしても、懲戒免職には該当する事案ではないため、退職手当の不支給とはならない。
     また、現時点では、当該退職手当の返納を命ずる処分を行うことができる事由に当たらないため、返納させる意向はない。
 2 事実関係の確認
  (1) 本件許可申請について
    本件許可申請はされていなかった。
  (2) 懲戒処分について
    本件元教員に対して、在職期間中に懲戒処分はなかった。
  (3) 退職手当の支払について
    退職手当の支給制限はなく、条例及び関係規則に基づき、平成29年4月21日に支払われていた。
  (4) 退職手当の返納を命ずる処分について
    本件元教員に対して、条例第15条第1項に基づく、退職手当の返納を命ずる処分を行っていなかった。
第9 監査委員の判断
 1 住民監査請求の請求期間について
   まず、地自法第242条第2項により、当該行為のあった日又は終わった日から1年を経過したときは、これをすることができないとあり、ただし、正当な理由があるときは、この限りではないとされている。
   本件措置請求における退職手当の支払日は平成29年4月21日であり、1年を経過しているため、請求期間経過の正当な理由を判断することとする。
   この正当な理由を判断するに当たり、最高裁は、「地方公共団体の住民が相当の注意力をもって調査を尽くしても客観的にみて住民監査請求をするに足りる程度に財務会計上の行為の存在又は内容を知ることができなかった場合には、地自法242条2項ただし書にいう正当な理由の有無は、住民が相当の注意力をもって調査すれば客観的にみて前記の程度に当該行為の存在及び内容を知ることができたと解される時から相当な期間内に監査請求をしたかどうかによって判断すべきである(最一小判平成14・9・12民集56巻7号1481頁)」と判示している。
    上記判例の趣旨を踏まえ、県教委に対して監査したところ、財務会計行為(本件措置請求においては、退職手当の支払)の原因となる本件元教員の行為については、「令和2年6月3日に収受した文書により知った」、「兼業・兼職の申請は、自己申告によるもののため、この事実を知り得ることは難しい」との回答があった。任命権者である県教委が把握していないことを、請求人が相当の注意力をもって調査をしても客観的にみて当該行為の存在及び内容を知ることは困難である。
    本件措置請求において、請求人は、令和2年5月20日に県民から情報提供が寄せられ、同月29日付けで公文書開示請求を提出し、同年6月12日に公文書部分開示決定がされた通知書を同月16日(同日は、請求人の主張による。)に見て、本件元教員に対する退職手当の支払の事実を確認し、同年8月7日に本件措置請求書が提出されたものであり、当該行為の存在及び内容を知ることができたときから相当な期間内に本件措置請求をしており、退職手当の支払日から1年を経過している正当な理由があるものと判断した。
 2 判断

<P6>
   本件措置請求において、請求人は、本件元教員が在職期間中に本件副業を営み、株式会社を設立し、取締役に就任していたにもかかわらず、本件許可申請の承認を得ていないことは、地公法第38条に抵触し、内容的にも、人事院規則14-8に列挙されている項目をはるかに凌駕し、悪質なものであるので、平成29年3月末までに本件元教員に退職手当を支払ったことは違法・不当であるから、監査委員は、群馬県知事及び県教委に対し、本件元教員に支払った退職手当及び年5分相当の遅延損害金を回収するため必要な措置をとるよ う求めていると解される。
   そして、本件措置請求において、退職手当等を回収するためには、請求人の主張する本件元教員の行為について、懲戒免職等処分に該当する又はこれを疑うに足りる相当な理由があり、条例1第2 条第1項の規定による当該退職手当の支給制限又は条例第13条の規定による支払の差止めに該当するにもかかわらず、当該退職手当を支払ったことが違法・不当であると認められる場合か、あるいは、条例第15条第1項第3号の規定に該当し、退職手当の返納を命ずる処分に該当すると認められる場合でなければならない。
   これらについて、監査委員は次のとおり判断した。
  ア 本件元教員に退職手当を支払ったことが違法又は不当に該当するか
    本件元教員が退職した時点では、懲戒処分を受けておらず、条例第12条第1項の規定による退職手当の支給制限の適用はない。また、懲戒免職等処分に該当する又はこれを疑うに足りる相当な理由は確認されておらず、条例第13条の規定による当該退職手当の支払の差止め事由の適用もない。
    よって、当該退職手当の支出は、違法又は不当な公金の支出であるとは認められない。
  イ 請求人の主張する本件元教員の行為が条例第15条第1項第3号に該当し、退職手当の返納を命ずる処分をする場合に該当するか
    はじめに、本件措置請求における監査対象事項は、本件元教員の在職期間中にした行為が対象であり、退職後の行為については、条例第15条第1項第3号の規定に該当しないため、監査対象外とした。
   まず、請求人が主張する退職手当等を回収するためには、在職期間中に懲戒免職等処分を受けるべき行為があったと判断されることが前提となる。
   そして、県教委は、その責任と権限によって、在職期間中の懲戒処分に係る判断や、退職した者に対し、在職期間中に懲戒免職等処分を受けるべき行為があったとの判断を行うのであり、この判断については、懲戒権を有している県教委の裁量である。
   なお、公務員関係における懲戒処分の違法性について、最高裁は、「懲戒権者の裁量権の行使としてされた公務員に対する懲戒処分の適否を審査するに当たっては、懲戒権者と同一の立場に立つて懲戒処分をすべきであったかどうかまたはいかなる処分を選択すべきであったかについて判断し、その結果と右処分とを比較してその軽重を論ずべきものではなく、それが社会観念上著しく妥当を欠き裁量権を濫用したと認められる場合に限り違法と判断すべきものである(最三小判昭和52・12・20民集31巻7号1101頁)」と判示している。
    これを本件についてみるに、懲戒処分指針により、「営利企業の役員等の職を兼ね、若しくは自ら営利企業を営むことの承認を得る手続又は報酬を得て、営利企業以外の事業の団体の役員等を兼ね、その他事業若しくは事務に従事することの許可を得る手続を怠り、これらの兼業を行った教職員は、減給又は戒告とする」とされている。
    そして、県教委は、請求人が主張する本件元教員の行為は、本件副業による収入があったとしても、本件許可申請のけ怠が問題であり、また、仮に病気休暇中や休職期間中に新たな副業をした場合は、懲戒処分指針による懲戒処分の標準例の加重要素の検討対象になるが、そのことをもって懲戒免職とはならず、当該行為を在職期間中に懲戒免職等処分を受けるべき行為と認定することはないとしている。

<P7>
    懲戒処分指針によれば、本件許可申請のけ怠について、懲戒処分の標準的な処分の種類は、減給又は戒告であり、退職手当が賃金後払い等の性格を有すること、本件元教員が県費負担教職員として勤務している間、懲戒処分を受けたことはないこと、業務に対して熱心に取り組んでおり、本件副業により現実に職務を怠ったとする事実は確認されていないことなどの諸事情を考慮すると、職員としての身分を失わせるという懲戒処分のなかでも最も重い処分である懲戒免職等処分を受けるべき行為があったと認めていない県教委の判断は、社会観念上著しく妥当を欠き裁量権を濫用したものであるとは認められない。
    したがって、県教委が条例第15条第1項の規定による退職手当の返納を命ずる処分を行っていないことは、違法又は不当であるとは認められない。
 3 結論
   以上のとおりであるから、請求人の主張は理由がなく、これを棄却する。
                                   以上
**********

■安部前政権が遺したいくつかのスローガンのうち「一億総活躍社会の実現」というのがあり、「希望を生み出す強い経済」、「夢をつむぐ子育て支援」、「安心につながる社会保障」の「新・三本の矢」の実現に向けて、政府を挙げて取り組む、としていました。そして、この実現のため「働き方改革」という言葉が好んで使われました。この働き方改革で、「公務員の副業が解禁」という報道を聞いたことがある方も多いかと思います。
https://www.kantei.go.jp/jp/headline/ichiokusoukatsuyaku/
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/hatarakikata/pdf/gaiyou_h290328.pdf

 ところが、我が群馬県は逸早く公務員の副業を10年以上前から解禁していました。なんと10年間で1億9千万円もの副業収入を不動産賃貸業やFIT制度活用の太陽光発電の売電で得ていた敏腕の中学校の先生に、群馬県は退職手当として1200万円(推定)を支払い、それは、彼の副業が本業に移行するにあたっての餞別代わりとなりました。実際に、2017年3月末に退職後、1年足らずで彼の資産は自称5億円に達しました。

■コロナ禍でも収入源のリスクが全くない恵まれた群馬県職員の皆さんですが、今回、「働き方改革」の観点からも、福利厚生をさらに充実させる画期的な判断を監査委員が下したことで、“役人天国”群馬県の「官高民低」促進に拍車がかかることでしょう。

 このため、これを黙認すべきか、それとも歯止めをかけるべきか、30日以内の11月12日(月)までに対応を決める所存です。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする