市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

八木田恭介県議と萩原渉県議の政務活動費及び旅費の二重請求に関し監査委員の面前で陳述 

2020-10-13 23:37:00 | 県内の税金無駄使い実態

■8月5日に当会事務局に太田市在住の県民のかたからいただいた1通の投書をもとに、当会は「八木田恭之県議会議員及び萩原渉県議会議員の政務活動費及び旅費の二重請求」について、9月14日、住民監査請求書を群馬県監査委員宛に提出しました。その後、補正手続を経て、10月12日に陳述と追加証拠の提出の機会があり、県庁を訪れました。なお、これまでの経緯は次のブログ記事を参照ください。
○2020年9月22日:八木田恭介県議と萩原渉県議の政務活動費及び旅費の二重請求について住民監査請求
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3211.html

10月12日(月)午後1時半から県庁26階で開かれた陳述会。今回は政務活動費なので議会に関する事案だとして群馬県議会議員の井田泉・議会選出委員(令和2年5月22日就任、非常勤)と臂泰雄・議会選出委員(令和2年5月22日就任、非常勤)は欠席。さらに、代表監査委員長で弁護士の丸山幸男・識見委員(平成25年2月21日就任、常勤)も、ご自分の仕事が忙しいらしく欠席。そのため、公認会計士の林章・識見委員(平成28年10月1日就任、非常勤)のみの出席という、極めて珍しいかたちでの開催となった。

■陳述ではいちおう事前に原稿を準備し、県監査委員事務局にも提出してコピーをとってもらい、関係者の手元に置きながら、陳述人として当会代表はアドリブで説明を行いました。事前に準備した原稿の内容は次の通りです。

**********
   令和2年10月12日(月)13時30分からの住民監査請求に係る陳述

                         市民オンブズマン群馬
                         代表 小川 賢

 市民オンブズマン活動と政務活動費との関係は、情報公開条例制定の動きと連動しており、その起点は1996年頃に遡る。当時、調査研究費と呼ばれていた補助金の使途を示す資料の開示を求め、情報公開条例に基づいて情報の公開請求を行ってきた。この調査研究費は、条例に基づかない補助金として会派に交付されていたが、その使途を示す資料は議会事務局が保管していて、情報公開の対象外となっていた。オンブズマンは補助金が首長による支出だから調査研究費も情報公開の対象だと主張し、住民訴訟等を通じて次第にその流れが定着した。
 現在の政務活動費は、我が国の地方議会議員に政策調査研究等の活動のために支給される費用のことで、2012年の地方自治法改正により現在の呼び名になったが、それ以前は調査研究費を経て政務調査費と呼ばれていた。
 政務活動費の交付については、地方分権一括法の施行等により地方議会やその議員の活動がより重要となったという名目で、2000年(平成12年)の地方自治法改正により制度化された。具体的には地方自治法第100条第13~16項に規定され、2001年4月より施行されている。
 ○13 議会は、議案の審査又は当該普通地方公共団体の事務に関する調査のためその他議会において必要があると認めるときは、会議規則の定めるところにより、議員を派遣することができる。
 ○14 普通地方公共団体は、条例の定めるところにより、その議会の議員の調査研究その他の活動に資するため必要な経費の一部として、その議会における会派又は議員に対し、政務活動費を交付することができる。この場合において、当該政務活動費の交付の対象、額及び交付の方法並びに当該政務活動費を充てることができる経費の範囲は、条例で定めなければならない。
 ○15 前項の政務活動費の交付を受けた会派又は議員は、条例の定めるところにより、当該政務活動費に係る収入及び支出の報告書を議長に提出するものとする。⇒なければならない。
 ○16 議長は、第十四項の政務活動費については、その使途の透明性の確保に努めるものとする。⇒なければならない。
 このため、条例化の過程で議会により骨抜きにされてしまい、その是正のためにこれまで全国のオンブズマンが苦労して取り組んできた。
 政務活動費は、各自治体の条例に基づき、議会の会派又は議員に対して支給される。交付額や交付方法については、自治体により異なるが、共通している正当な支出は議員活動の範囲に関係する書籍等の購入費用、民間主催の議員研修会に参加するための費用、先進地視察の諸費用、事務所経費などで、議員活動とは関係ない私的な支出は法令違反となるが、見過ごされている例もあり、オンブズマンなどが度々告発している。
 群馬県議会の場合も、これまで世界遺産調査と称して欧州の有名な観光地を歴訪し、我々の事前通報でTV局が極秘取材した結果、「ローマの休日」と称して全国ネットで放映されたり、温暖化・オゾン層破壊など環境問題対応と称して「南極ツアー」を敢行したりするなどして、世論の批判を喚起したこともある。
 さて、オンブズマンでは例年、全国的に政務活動費の情報公開度を調べてランキングを毎年秋に開催される全国大会で発表している。今年も9月にWeb形式による全国大会で調査結果に基づきランキングが発表された。対象議会は47都道府県議会、20政令市議会及び60中核市議会であり、お手元の資料の52頁と53頁に都道府県別のランキングが載っている。我らが群馬県議会は100点満点中70点で14位となっている。ちなみに、隣の栃木県はわずか17点で44位、埼玉県は14点で45位、同じく北関東の茨城県は55点で19位。
 群馬県がランキング5位の東京都に次いで関東圏では2番目に付けているのは、領収書のネット公開のおかげだ。関東7都県で、東京都と群馬県以外はネット公開をしていない。一方、領収書の個人名の公開は限定的だが、関東圏では下位の栃木県と埼玉県のみ。なお、高崎市と前橋市の議会では領収書の個人名を公開している。これは双方とも政務活動費にまつわる不祥事件が発端で改善されたものである。
 さて、今回の住民監査請求の発端は、県内住民からの投書による情報提供であり、宛先は当会、県庁記者クラブ、監査委員あてであった。そのため、1ヶ月ほど様子を見た上で、監査委員事務局に問い合わせたところ、この投書による動きは何もしていないというもので、監査委員事務局から「議会事務局に訊いてみたら?」と言われて、議会事務局に尋ねたところマスコミ某社から問い合わせがあり調査中であることが判明したが、動きが鈍い様子なので、今回宛先の筆頭の当会として、坐して看過するわけにはいかないと判断し、住民監査請求を行ったもの。本来は当会で毎年政務活動費をチェックすべきところ、たまたま県議会の領収書がネット公開されたことにより、県民のかたにチェックしていただけたことになる。この場を借りて、情報提供者にも感謝の意を表したい。
 今回の事案は、燃料代の問題で、本来領収書の提示が求められるところ、自己申告のかたちで会派代表者名義による「支出証明書」形式で支出されており、このため、議員による不適切申告の温床の余地が残ってしまっているためと考えられる。
 そもそも、自動車使用量の走行距離による支払では、実態とあまりにも遠う「1キロ37円」で、領収書不要となっており、制度に疑問を抱かざるを得ない。
 県議の政務活動として公金の支出が認められる内容や金額は、条例で定めるため、自治体によって異なる。群馬県の場合、条例によると、県議1人あたり月30万円を所属会派に前もって支給。会派と県議の調査研究や研修、会議費などに充てることができ、余った場合は返還する。調査研究で自家用車を使った場合は、走った距離を基に1キロあたり37円が燃料代として認められる。領収書は不要。
 一方でマニュアルでは、政務活動費を選挙や政党、後援会の活動には使えないと明記している。例えば後援者宅であいさつしただけでは、県議の調査研究とは言えないはずだ。
 「1キロ37円」という燃料代の設定についての疑問だが、仮にガソリン価格を税込みで1リットル130円とし、1リットルで13キロ走れる車を使うとする。ちなみにハイブリッド車だと30キロ走れる車種も珍しくない。いずれにしても、走行1キロに必要なガソリン代は前者でも10円であり、後者の場合は5円未満だ。とすれば、37円はその3倍以上、あるいは7倍以上だ。この差額はどう考えればいいのか?
 調査によると、国家公務員の旅費に関する法律には「車賃」が1キロあたり37円とあり、それを準用しているらしい。しかし当の法律について、財務省給与共済課は「車賃とはバス賃のことで、バスの運行には燃料だけでなく、運転手の給料なども必要。燃料代だけで37円は高いのではないか」と説明している。実態と離れた燃料代の設定が、政務活動費の「抜け道」になっている可能性がある。早急に条例を見直す必要がある。しかし議会の承認事項だから議員としては面白くないだろう。だからと言って、住民から選ばれた議員に忖度する必要は無い。
 政務活動費の領収書や支出関係書類の情報開示が質的にも制度的にも進めば、議員が市民の目を意識することになり、政務活動費の不正支出をある程度は防げる。また、政務活動費の無駄な支出を防止する試みとして、政務活動費の前払いをやめ、提出された領収書をチェックした上で、年度末に議会事務局が支払いをする「後払い方式」をとる京丹後市などの自治体も現れている。しかし、これとて万全ではない。
 私たち市民が、政務活動費の関連資料の開示を受けた場合に感じる疑問の多くは、その支出を政務活動費という税金で賄う必要はあるか、という点だ。例えば、議員の事務所家賃に対して支出される政務活動費は、実際には議員の当選を目的とした政治活動への支出ではないか、という疑問だ。あるいは、政務活動費の使途基準に「広報、広聴費」の項目があるからといって、地方自治体の政策や地方自治制度の研究に全く関係しないお笑い芸人の招へいや地方の歴史研究に政務活動費を支出することなどは許されるか、といった事例もかつて議論となった。
 2015年12月24日の名古屋高裁判決は、条例に定めのない事務所賃借料や自動車リース料への政務調査費の支出について、政務調査活動に必要であることの立証を議員に求め、様々な陳述書等の資料を精査した上、どの議員の支出も政務調査活動に必要とはいえない、と判断して、事務所賃借料と自動車リース代全額を愛知県に返還する義務を認めた。この判決については、会派側は、政務調査活動を狭く捉えすぎている、と批判したが、最終的に高裁の判断は最高裁でも維持された。
 こうした、政務活動費が実際に役立っているか、という点をチェックするためには、支出項目と領収書の存在だけをチェックし、実際に議会活動にどのように役立てたかを問わない、という現状の制度にメスを入れる必要がある。本来、政務活動費は補助金だ。調査研究等を補助事業と位置付けた、抜本的な見直しが必要だ。
 そもそも、我々住民が自治体や企業から補助金を受けて活動しようとする場合には、最初に企画書と予算の見積りを提出するのが一般的だ。これに対し、予算の見積りに過大な点があれば、修正した申請をせざるを得ない。政務活動費についてもこれに倣った制度を設ける必要がある。
 例えば、政務活動費の給付を希望する議員や会派は、年度初めに調査研究等のテーマとこれに要する費用の見積りを記載した交付申請書を議会に提出する。この交付申請書は市民に開示するとともに、例えば、市民と有識者とで組織される第三者委員会を開催し、ここに議員や会派の代表者が出席し、申請内容について質疑応答をする。これを経て、第三者委員会が承認した範囲で議員や会派は調査研究を行い、年度末に調査研究等を実施したことの根拠資料とともに領収書の提出をする。事前の承認内容との整合性や領収書のチェックを経て、政務活動費が支給される、といった方法である。実施の根拠資料がなければ、領収書があっても支給はされないし、テーマを提示できない議員には交付されないが、これはむしろ、市民感情に適合するはずだ。そして何よりも、政務活動費を用いて議員や会派が何をしたいのかが事前に市民に公開されることによって、議員の活動に市民が関心を持ち、議会が活性化することにつながることが期待できる。
 ここ数年、政務活動費の不正支出が立て続けに大きな話題となっている。しかし、政務活動費に対する関心を、不正支出の追及にとどめたのでは、事の本質を見失う。政務活動費はもともと、議会活動を活性化することを目的として立法化されたはずだ。そうであるなら、政務活動費を用いて、議員がどのような議会活動を行ったのかを市民が容易に理解できるようにする工夫が必要ではないだろうか。そのための第一歩として、まずは議員が、政務活動費の支出とこれを用いた議会活動の成果との関連が分かるよう工夫した詳細な報告書を作成し、それを市民に伝える努力を行うことが肝要ではないだろうか。
 最後に、全国の市民オンブズマンが政務活動費の不正支出を巡り多くの住民訴訟を提起し、それなりの成果を上げている。しかしよく考えてみれば、本来議会事務局がきちんとチェックし、不適切な支出があれば議会に指摘して是正すれば済むことだ。議会が言うことを聞かなければ監査委員事務局に通報すればよい。こうした機能が働いていないからこそ、我々市民オンブズマンが、活動を余儀なくされているのが実態である。
                          以上
**********

■陳述時間は30分でしたが、10分ほど時間を残して陳述を終えました。その後、林章監査委員から質問が出されました。それは公認会計士らしい質問で、「住民監査請求書の2頁目で、萩原議員の場合の二重請求・過大請求の可能性について示した金額のところで、合計が67,710円とあるが、これは84,360円ではないのか。もし、何か意図するところがあるのであれば、理由を訊きたい」というものでした。

 たしかに下表のとおり、ざっと暗算してみても合計が間違っていることは明らかだったので、陳述人は直ちに誤りを認め、その場で修正しました。

*****萩原議員の疑惑交通費リスト*****
1)令和元年9月分(事実証明書9:添付No.859)150Km×@37円 =5,550円
2)令和元年10月分(事実証明書10:添付No.869)600Km×@37円=22,200円
3)令和元年11月分(事実証明書11:添付No.879)150Km×@37円 =6,660円
4)令和元年12月分(事実証明書12:添付No.888)450Km×@37円=16,650円
5)令和2年2月分(事実証明書13:添付No.900)450Km×@37円 =16,650円
6)令和2年3月分(事実証明書14:添付No.910)450Km×@37円 =16,650円
                  合計=✕67,710円 ⇒ ○84,360円
**********

■合計の計算ミスは、16.650円分の交通費を計算時に除外したのが原因です。このような計算ミスを起こさないように、今後十分に注意を払って参ります。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

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セクハラ有罪判決の市元職員の退職手当返還情報の存否応答拒否した前橋市に審査請求

2020-10-12 23:25:00 | 前橋市の行政問題
■公務員のズサンな勤怠管理で多額の血税が失われていることは各地の事例で明らかですが、不祥事件が多発する前橋市の場合、やはりきちんとした職員管理ができていないことが大きな要因の一つと思われます。そこで、当会では不倫相手の職員の時間外手当を不正に認めていた前橋市役所の実態を正すべく、現在住民訴訟中ですが、2019年6月28日に前橋地裁で強制わいせつの罪による懲役6か月、執行猶予3年の有罪判決が元管理職の職員に対して言い渡されました。

 この判決を受けて前橋市は元管理職の職員に対して、2020年1月24日に返納を命ずる処分を行いました。そのため、同年7月14日付で、前橋市長に行政情報公開請求書を提出したところ、同7月21日付の部分開示決定通知書が7月23日に当会事務局に届きました。ところが中身を読むと、肝心の元管理職の職員の退職金の返納に関する情報を、前橋市長が存否応答拒否したことが判明しました。ここまでの経緯は次のブログ記事を参照ください。
○2020年7月26日:セクハラ有罪判決の市元職員の退職手当返還確認の情報開示請求で前橋市が存否応答拒否!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3184.html


コロナ対策の為、入口と出口を区別した前橋市役所の表玄関。


入口に備えられた消毒用アルコール液。

 強制わいせつで被疑者となった元管理職員に、「起訴されないうちに自主退職しないと懲戒免職にされて退職金がパーになってしまうぞ」と気遣って、退職金を満額支払ってやった“温情”行政の前橋市ですが、元管理職員に執行猶予付き有罪判決が言い渡されてから半年以上が経過してようやく、前橋市は元管理職員に退職金返納命令処分を出しました。

 これだけでも、前橋市民からは「及び腰だ」「忖度だ」と批判されかねない前橋市行政ですが、驚くべきことに、返納処分命令が出ているにもかかわらず、本当に元幹部職員が返納に応じたのか、応じないのか、はっきり答えようとしない(存否応答拒否)のですから、前橋市が如何に法を犯した職員とて、温情極まる配慮を、この期に及んでもしてくれるわけですので、公務員のかたがたにとっては、まさに理想の職場と思えることでしょう。


情報公開コーナーは2階の36番。

2階案内表示板。

■そのため、このまま手をこまねいているわけにはいかず、当会として行政不服審査法に基づく審査請求に踏み切ることにしました。そして、10月12日(月)午後2時過ぎに前橋市役所2階の情報公開コーナーを訪れて、次の内容の審査請求書を提出しました。

*****10/12前橋市長あて監査請求書*****ZIP ⇒ 20201012ricej.zip
                           令和2年10月12日

(宛先) 審査庁 前橋市長 山本 龍 様

            審査請求人 住 所 前橋市文京町一丁目15-10
                  氏名 市民オンブズマン群馬
                  代表 小川 賢    印
              連絡先 TEL:027-224-8567(事務局長:鈴木庸)

             審査請求書

 次のとおり審査請求します。

1 審査請求に係る処分の内容
  令和2年7月21日付前橋市第51号「行政情報部分公開決定通知書」に関する存否応答拒否決定(資料1参照)
2 審査請求に係る処分があったことを知った年月日
  令和2年7月23日
3 審査請求の趣旨
  審査請求人は「2020年1月29日の報道記事によれば、前橋市は同日、部下への強制わいせつで有罪確定の音管理職に退職手当全額の返納を命じたとしている。ついてはこの件に関する次の情報(1)返納を命じたことがわかる一切の情報。(2)それに対して、元管理職から前橋市に対して対応してきたことがわかる一切の情報。(3)対応しない場合、特措の事実が分かる一切の情報」を情報公開請求したが、前橋市長は、このうち(2)と(3)について、前橋市情報公開条例(以下「条例」という)(資料3参照)第7条の3に該当し、「その情報が存在するか否かを答えるだけで、特定の個人の権利利益を害するおそれがあるため」として、存否応答拒否通知された。
  よって、上記1の決定を取り消し、公開決定を求める。
4 審査請求の理由
  別紙資料を添付して審査請求の理由を以下のとおり主張する。
(1)国の人事院が定める「情報公開法に基づく処分に係る審査基準について」の「・法第8条(行政文書の存否に関する情報)関係」において、下記の記載がある(資料2参照)。

    「開示請求に係る行政文書が存在しているか否かを答えるだけで、不開示情報を開示することとなるとき」
      開示請求に係る行政文書が具体的にあるかないかにかかわらず、開示請求された行政文書の存否について回答すれば、不開示情報を開示することとなる場合をいう。開示請求に含まれる情報と不開示情報該当性とが結合することにより、当該行政文書の存否を回答できない場合もある。例えば、特定の個人の名を挙げて、その病歴情報が記録された文書の開示請求があった場合、当該行政文書に記録されている情報は不開示情報に該当するので、不開示であると答えるだけで、当該個人の病歴の存在が明らかになってしまう。このような特定の者又は特定の事項を名指しした探索的請求は、第5条各号の不開示情報の類型すべてについて生じ得ると考えられる。
      具体的には、次のような例が考えられる、とされている。
       ①特定の個人の病歴に関する情報(第1号)
       ②先端技術に関する特定企業の設備投資計画に関する情報(第2号)
       ③情報交換の存在を明らかにしない約束で他国等との間で交換された情報(第3号)
       ④犯罪の内偵捜査に関する情報(第4号)
       ⑤買い占めを招くなど国民生活に重大な影響を及ぼすおそれのある特定の物質 に関する政策決定の検討状況の情報(第5号)
       ⑥特定分野に限定しての試験問題の出題予定に関する情報(第6号)
(2)上記(1)によれば、存否応答拒否の前提は、当該情報が不開示情報に該当していなければならない。この観点から、処分庁は「特定の個人の権利利益を害するおそれがあるため」と公開しない理由を説明した。
   これは、条例第6条第1項(2)に定めた個人に関する情報のうち、「特定の個人は識別できないが、公開することによりなお個人の権利利益を害するおそれがあるもの」に該当すると言う意味だと考えられる。
(3)上記(1)で例示された具体的な例に照らしても、退職手当の返納にかかる情報が個人の権利履歴を害するおそれはない。そもそも、処分庁は、元管理職の権利利益を害するおそれがあると判断しているが、どのような恐れがあるのか、具体的、かつ合理的な説明がなされていない。
(4)本件情報は当初から、強制わいせつで有罪判決を受けた元管理職の男性に関するものであり、既に特定の個人は識別できている。したがって、本件情報を公開しても個人の権利利益を害するおそれがあるものには該当しない。
(5)仮に処分庁の説明にしたがって、本件情報が個人に関する情報と認められるとした場合でも、但し書にある、次に掲げる情報に該当する。
    ウ 公務員等(行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成11年法律第42号。資料4参照)第5条第1号ハに規定する公務員等をいう。)の職務の遂行に係る情報に含まれる当該公務員等の職及び氏名(ただし、公開することにより個人の正当な利益が損なわれるおそれがないと認められる場合に限る。)
    エ 人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公開することが必要であると認められる情報
(6)上記(4)のウによれば、本件情報は、行政機関の保有する情報の公開に関する第5条第1号ハとして、「当該個人が公務員等(・・・中略・・・地方公務員法第二条に規定する地方公務員・・・中略・・・をいう)である場合において、当該情報がその職務の遂行に係る情報であるときは、当該情報のうち、当該公務員等の職及び当該職務遂行の内容に係る部分」に該当する。なぜなら、元管理職は公務員に在職中に退職手当を支給されており、これは当該職務遂行の内容に係る部分に該当する。
(7)上記(4)のエによれば、本件情報は、「人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公開することが必要であると認められる情報」に該当する。なぜなら、既に被疑者として送検されていた元職員に対し、前橋市が違法に退職手当を支払ったのであるから、その返納については、前橋市住民が納税した財産保護にも関わるため、公開することが必要であると認められる情報に該当するからである。
(8)さらに言えば、本件情報は、行政機関の保有する情報の公開に関する法律第5条第4号に規定する「公にすることにより、犯罪の予防、鎮圧又は捜査、公訴の維持、刑の執行その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあると行政機関の長が認めることにつき相当の理由がある情報」に該当しない。なぜなら、本件情報を公にすることにより、多発する前橋市職員による不祥事件の抑止の観点から、犯罪の予防、ひいては公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれは全くなく、むしろそうした効能を発揮するための効果を発揮するからである。
(9)よって、上記1の決定において、本件情報は不開示情報に該当せず、「存否応答拒否」を取り消して、公開を求める。
5 処分庁の教示の有無及びその内容
  「この決定について不服がある場合は、この通知書を受け取った日の翌日から起算して3か月以内に、前橋市長に対して審査請求することができます(なお、この通知書を受け取った日の翌日から起算して3か月以内であっても、決定の日から1年を経過すると、審査請求をすることができなくなります。)。」との教示があった。
6 添付書類
(1)資料1 行政情報部分公開決定通知書
   ZIP ⇒
(2)資料2 人事院が定める「情報公開法に基づく処分に係る審査基準について」
   ZIP ⇒ posjmicej.zip
(3)資料3 前橋市情報公開条例(抜粋)
   ZIP ⇒ rosjij.zip
(4)資料4 行政機関の保有する情報の公開に関する法律(抜粋)
   ZIP ⇒ ssljij.zip
                                     以上
**********

■前橋市役所において、情報公開窓口の担当部署は総務部行政管理課文書法規係(電話027-898-6533)です。前橋市野HPには、情報公開コーナーでは審査請求も受け付けるとあります。

*****審査請求(情報公開コーナー)*****
非公開の決定に不服があるときは、処分があったことを知った日の翌日から起算して3か月以内に実施機関に対して行政不服審査法の規定に基づく審査請求ができます。
<審査請求に対する決定>

市は、学識経験者で構成する前橋市情報公開審査会の意見を尊重して、審査請求についての裁決をします
**********

■同部署の情報公開担当の萩原氏によると、前橋市では審査請求の受理から裁決までの期間を最大8カ月と規定しているそうです。

 県内の自治体では、例えば群馬県などは審査請求を受理しても、1年以上かかるのはザラで、酷い場合は2年近く放置された事案もあります。前橋市は、市議会の公開度ランキングにおいても、全国60の中核市のなかで、26位に留まっています。ぜひ、迅速な審査の結果、原則開示の基本にしたがって、本件情報の円滑な公開がなされるよう期待したいと思います。


窓口で提出した審査請求書。

審査請求書の要件を満たしているかチェック中の担当職員。

【10月30日追記】
 その後、2020年10月29日付で前橋市長から当会事務局あてに審査会諮問通知書が届きました。この結果、今後8カ月以内に審査手続きが行われ、2021年6月末までに採決結果が公表される見通しになりました。
*****諮問通知書*****ZIP ⇒ 20201030osrm.zip
様式第11号
           審査会諮問通知書
                       令和2年10月29日
市民オンブズマン群馬 様
                    前橋市長 山 本   龍
 行政情報の公開の請求に対する公開決定等に係る審査請求があり、次のとおり前橋市情報公開審査会に諮問したので、前橋市情報公開条例第 1 2 条第 3 項の規定により、通知します。
<公開の請求に係る行政情報の名称又は内容>
(1) 部下への強制わいせつで有罪確定の元管理職に退職行政情報の名称又 手当全額の返納を命じたことがわかる一切の情報
(2) その命令に対して、元管理職が前橋市に対して対応してきたことがわかる一切の情報又は対応しない場合は督促の事実がわかる一切の情報
<公開決定等の内容>
 上記(1)に係る行政情報について、その一部を非公開とし、その他部分を公開した。
 上記(2) に係る行政情報(以下「本件行政情報」という。)について、本件行政情報の存否を明らかにしないで、当該公開請求を拒否した(以下「本件存否応答拒否」という。)。
<審査請求があった日>
 令和2年10月12日
<審査請求の内容>
 本件存否応答拒否を取り消し、本件行政情報の公開を求める。
<諮問した日>
 令和2年10月29日
<備考>
 ー
**********

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

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【安中市庁舎建替え問題】市長は51億円横領の元職員タゴ親族所有の土地をタゴを通じて今こそ提供させよ!

2020-10-11 12:20:00 | 安中市庁舎建替えに伴う予算過大問題
■現在、安中市庁舎の建て替えを巡り、安中市が選んだメンバー主体に16名による市民懇談会が6月から毎月下旬に開催され、今月下旬に第5回目となる最後の会議が開催される予定で、その後、どのように進められるのか市側からの説明はなく、あとは市側の思惑で計画が進められるのではないかと、市民の間で懸念の声も上がっているようです。
 そうした中、当会では、この問題に関して取り組むに当たり、まずは必要な情報として、次の情報開示請求を9月4日に安中市長に対して行いました。この中で、当会としてとくに関心があったのは、(4)と(5)でした。

**********ZIP ⇒ 20200904ssjiznaa1znj.zip
<開示を請求する行政文書の内容又は件名>
市庁舎に関わる市民懇談会等に関連する次の情報
(1)市は市庁舎移転を視野に入れて令和2年3月に安中高校跡地を群馬県から買い取ったというが、買取りを決めた理由や、買取りを決めた後の県との交渉経過、および買取り価格等条件の内容・根拠・内訳等が分かる一切の情報。
(2)市庁舎の建て替えに関連し、既存の場所での建て替えの場合、第1種住居地域の場合3000平米以上の延べ床面積の建築物は建てられないとする市の説明の根拠・理由が分かる一切の情報。
(3)新庁舎建て替えに必要な資金のやりくり、とりわけ、自己資金および合併特例債を含めた借入と償還の条件と想定スケジュールと地方交付税との関係が分かる一切の情報。
(4)既存の場所での建て替えの場合、この機会に市役所の敷地に隣接する元土地開発公社職員で約24億円の債務を市・公社に負っている人物の親族が保有する土地の無償提供等について、これまでに協議・交渉等を元職員ら関係者としたのか否か、経緯が分かる一切の情報。
(5)昨年12月に元職員から5万円返済後、8月31日現在に至るまでにあらたに元職員から回収した債権の一切の情報。

**********

元職員タゴの親族が保有する市役所の隣接土地(左下の白色の四角い部分)。ここをタゴを通じて債務一部返済として提供してもらえば好都合だ。10月3日の市民団体のシンポジウムで建築家も推奨!(詳しくは記事末尾参照)
 上記5項目のうち、(3)の合併特例債関係情報については、別途、安中市財政課と企画課の担当職員から直接ヒヤリングすることにし、その他の項目について、情報公開を請求しました。

 その結果、これまでに、(1)の安中高校跡地買取情報については、開示期間を延長する旨の通知がありました。それによると、開示決定の時期は10月16日以降となっています。
※2020年9月15日:安中市からの開示期間延長通知書
ZIP ⇒ 20200915sjmiznj.zip

 それ以外の(2)、(4)および(5)については、先日10月9日(金)に開示となりましたので、ご報告いたします。

■はじめに、(2)の第1種住居地域3000平米関係情報と、(4)のタゴ元職員の親族所有地の取得関連情報については、9月17日付で不存在決定通知書が出されました。
※2020年9月17日:安中市行政文書不存在通知書
ZIP ⇒ 20200917ssmi3000seynj.zip

 行政文書が存在しない理由について、安中市は(2)の第1種住居地域3000㎡関係情報所法に関して、「第1種住居地域の場合、3000㎡以上の延べ床面積の建築物は建てられないとする市の説明は関係法令を参照したもので、根拠・理由がわかる行政文書としては保有していないため」と説明しています。つまり、具体的な根拠・理由を示す資料がない、ということになります。

 次に、(4)のタゴ元職員の親族保有土地取得関連情報に関して、安中市は「市役所の敷地に隣接する元土地開発公社職員の親族が保有する土地の無償提供等について、元職員ら関係者とこれまでに協議・交渉等としたことはあるが、経緯が分かる行政文書として保有していないため」と説明しています。つまり、協議・交渉の過程を文書で残していない」ということになります。

 ということは、やはり、市役所の建て替えという、安中市の今後の行政サービスの質の向上の節目となるこの時期に、未だに安中市土地開発公社に対して、22億円余プラス遅延損害金の債務を履行していないタゴ元職員から、きちんと損害を回収するという断固とした気概が、安中市が連帯保証をしている安中市土地開発公社(理事長・粟野好映副市長)に今こそ求められているのです。

■こうした気概が求められている安中市土地開発公社は、これまで21年間にわたり、群馬銀行との和解条項で課せられた103年ローンについては、律儀に毎年2000万円ずつ、群馬銀行に対して、毎年12月25日のクリスマスに支払ってきました。他方で、タゴ元職員に対する債権の行使については、驚くほど消極的でした。

 そのため、当会では上記の情報開示請求の(5)として、タゴ元職員から今年に入り、これまで安中市土地開発公社に対して、一体いくら債務が支払われたのか、確認すべく、項目に含めたのでした。

 この情報に関しては、9月17日に部分開示をする旨の通知が出されました。
※2020年9月17日:安中市行政文書部分開示決定通知書
ZIP ⇒ 20200917sjmissj.zip

 そして、2020年10月9日(金)午前9時に安中市役所で関連情報が開示されました。

■開示された情報によれば、前橋地方裁判所平成11年(ワ)第165号損害賠償請求事件で平成11年5月31日付判決により、その14日後に確定した損害賠償債務額22億2309万2000円(プラス遅延損害金)のうち、これまで返済されたのは次の金額であることが分かります。

*****●債権金額の現在までの経緯●*****
平成11年05月31日 損害賠償請求訴訟判決   2,223,092,000円
平成11年11月26日 債権差押命令申立(市税還付金)△■■■■■■■■■■円
平成18年12月06日 不動産強制競売配当       △3,808,300円
平成29年01月16日 一部納付               △30,000円
平成29年12月25日 絵画一点売却            △100,000円
平成29年12月25日 一部納付               △50,000円
平成30年03月05日 一部納付               △50,000円
平成30年12月17日 一部納付               △50,000円
令和01年12月13日 一部納付               △50,000円
令和02年01月27日 一部納付               △10,000円
※ZIP ⇒ 202009171jis1j.zip
令和02年02月27日 一部納付               △10,000円
※ZIP ⇒ 202009172jis2j.zip
令和02年03月30日 一部納付               △10,000円
※ZIP ⇒ 202009173jis3j.zip
令和02年04月27日 一部納付               △10,000円
※ZIP ⇒ 202009174jis4j.zip
令和02年05月27日 一部納付               △10,000円
※ZIP ⇒ 202009175jis5j.zip
令和02年06月26日 一部納付               △40,000円
※ZIP ⇒ 202009176jis6j.zip
令和02年07月27日 一部納付               △10,000円
※ZIP ⇒ 202009177jis7j.zip
令和02年08月26日 一部納付               △10,000円
※ZIP ⇒ 202009178jis8j.zip
債権元金残額                   2,207,771,500円
**********

■今回、開示を行った安中市総務部企画課の田中課長と大野課員によれば、昨年12月25日に21年目の和解金2000万円を群銀に支払うにあたり、それまで消極的な対応をしてきた安中市土地開発公社が、元職員多胡邦夫に対して何らかの約束を取り付けた可能性があるかもしれないと示唆しました。

 この背景には、地上自治体では史上最大級の巨額詐欺横領事件に対して、事件25年目の節目を迎えて、この問題をライフワークとして取り組んでいる当会の活動も無視し得ず、このままだと、高崎市内に在住する元職員多胡邦夫の自宅に、直接押し掛けかねないことをタゴ本人に伝えた可能性もあったかもしれない、ということになります。

 というわけで、今年に入り、元職員タゴから、毎月下旬に1万円ずつ、損害賠償債務額の一部が安中市土地開発公社に支払われていることが明らかになりました。

 ちなみに企画課長と情報公開窓口の行政課長には、安中市土地開発公社に対して、タゴと交わした約束に関わる文書があれば、それも今回の開示請求情報に含めるべきであること、また、現時点での遅延損害金の額についても試算結果を公表するように求めました。

■上表をご覧いただくとお分かりのように、なぜか今年6月には4万円が支払われています。これは、おそらく時期的にみると、新型コロナ対策として、国民一人当たり特別定額給付金として10万円が支払われたことから、元職員タゴが、そのうち4万円を安中市土地開発公社の債務返済に充当したものと思われます。

 しかし、これでは、今年1年間で返済額が合計15万円にとどまり、今年12月25日(金)に迫る群馬銀行への22回目の和解金2000万円にくらべると、僅か1%にも満たない0.75%に過ぎません。これでは、年5分の遅延損害金100万円にたいしても、焼け石に水です。

 言い換えると、安中市と市土地開発公社は連帯して群馬銀行に対して、今後2013年までに、総額24億5000万円の103年ローンの支払いを完了しなければなりませんが、元職員タゴからは、このまま毎月1万円ずつ返済するペースを容認する場合、元本だけでもあと1万8293年1カ月余りかかることになります。遅延損害金を含めると、永久に債権を回収できないことになります。

 したがって、ここはやはり、元職員の財産調査を徹底的に行い。取れるものはすべて取るという不退転の決意を安中市と市土地開発公社は連帯して市民納税者に示さなければならないでしょう。

■そして何よりも、今回の市庁舎建替え問題を円滑に進めるためにも、現在の市庁舎のある場所に隣接する元職員タゴの親族が保有する土地をタゴを通じて無償で提供してもらい、それを評価額に換算して、債務返済の一部に充当することを、茂木英子市長と粟野好映副市長兼土地開発公社理事長にはぜひ真剣に取り組んでいただく必要があります。

【ひらく会情報部からの報告】

※参考情報「元職員タゴ親族保有の市役所隣接土地の取得メリット」
 10月3日に市庁舎建設への提言を積極的に行っている市民団体によるシンポジウムが安中公民館で開催されました。当会が特に関心を抱いたのが、タゴ元職員の親族が所有する市役所駐車場に隣接する土地についてです。ここを取得すると、庁舎建替え向けてレイアウト的にも非常に土地の利用効率がアップするという説明がありました。動画の18:40あたりからぜひご視聴ください。
※参考URL ⇒ http://pumpkin9b.blog.fc2.com/
**********
●これでいいのか!庁舎建設
群馬県安中市庁舎建設への提言

https://youtu.be/BlvHCHZ6Keg
安中市まちづくりワンワンチーム
第5回 住民シンポジュウム
・主催 安中市まちづくりワンワンチーム
・日時 2020.10.3(土) ・場所 安中公民館
・テーマ【まちづくりから市庁舎建設を考える】
   ­建築家からの一つの提案­
・提案者 水上 勝之 氏 (一級建築士、日本建築家協会会員)
   ※無事、終わりました。
   ・分かり易く、目から鱗の提案でした。
   ・水上さんのお話しは、最高でした。とのご感想を多くの参加者から戴きました。
----------------------------------------------------------
提案の目次:
----------------------------------------------------------
0:00 自己紹介・JIA群馬クラブのテーマについて
5:27 安中市のカタチ
12:12 安中市庁舎を考える
13:05 庁舎の統合型か分散型か?
16:20 安中庁舎・配置図から庁舎の位置を考える
(18:40 タゴ元職員の親族所有地に関する説明)
25:00 安中高校跡地をどうする?
25:46 安中市まちづくりと安中高校跡地利用の提案
----------------------------------------------------------
・本シンポジュウムは、住民が理想的な市庁舎について自分たちで考え、話し合う場です。
●第5回住民シンポジュウム 討論・質疑応答
2020/10/07
https://www.youtube.com/watch?v=Fqumw-rT3f4

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【東邦亜鉛非鉄スラグ問題】群馬県が行政処分をした非鉄スラグの質問に対し東邦亜鉛がよこした不誠実回答

2020-10-10 23:30:00 | 東邦亜鉛カドミウム公害問題
■群馬県が令和2年9月10日付で東邦亜鉛㈱安中製錬所から排出された非鉄スラグに関する廃棄物処理法に基づく調査結果及び行政処分を発表したので、地元の公害対策委員会の委員長を仰せつかっている筆者は、いくつか疑問点や不明点があったため、9月14日(月)午後3時半に同社東京本社を訪問しました。
 当初は同社安中製錬所の森田所長に面談するつもりでしたが、所長も事務部長も環境室長も業務多忙で都合がつかないとのことで、東京本社に電話を入れたところ、同社の部長クラスも環境・安全室長もこれまた都合がつかないと言うことで、総務部の担当者と面談することになったものです。
 20分ほど説明したところ、別の会議が入っているということで中途半端に切り上げざるを得なかったため、東邦亜鉛側は「あらためて書面で質問事項をまとめて出してほしい」というので9月15日に次のメールを発信しました。

右奥のビルが東邦亜鉛本社のある鉄鋼ビル。東京駅八重洲側北口の大丸デパート脇から徒歩2分。



東邦亜鉛本社は鉄鋼ビル南館6階にある。

6階エレベーターホールに面した東邦亜鉛本社入口。


受付は無人のため、ここから総務部内線901を呼び出す。



受付せずに勝手に本社オフィス内に立ち入らないようにと、同社お得意の立入禁止の表示板。

*****9/15発信メール*****
From: masaru ogawa <ogawakenpg@gmail.com>
Date: 2020年9月15日(火) 21:38
Subject: 貴社安中製錬所の非鉄スラグに関するご質問
To: <Honsha_Soumubu@toho-zinc.co.jp>
Cc: masaru ogawa <ogawakenpg@gmail.com>

東邦亜鉛本社総務部御中下記(=添付書状)のとおり、表記に関する質問をいたします。よろしくお取り計らいください。なお、添付書状は別途オリジナルを郵送します。

安中市野殿980
小川賢

以下、質問状(省略)
**********

 なお、群馬県の発表内容等については次のブログ記事をご覧ください。
○2020年9月11日:【報道】食べると腹痛・悪寒・貧血等?!…東邦亜鉛の鉛・ヒ素入り非鉄スラグを県が廃棄物に認定!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3202.html

 また、東邦亜鉛の非鉄スラグを食べると腹痛・悪寒・貧血等の症状が現れるおそれがある、という東邦亜鉛の説明については、次のブログ記事を参照ください。
○2020年8月27日:コロナ禍で開催が4カ月半遅れた第29回工場視察会で、東邦亜鉛がK砕の有毒性について仰天説明!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3196.html

■9月15日に東邦亜鉛本社に送った質問状の内容は次の通りです。

*****9/15質問状*****ZIP ⇒ 20200915mbsxo.zip
                      令和2年9月15日
〒100-8207東京都千代田区丸の内一丁目8番2号 鉃鋼ビルディング
東邦亜鉛株式会社
代表取締役社長 丸崎公康 様
                   〒379-0114群馬県安中市野殿980
                   北野殿公害対策委員会
                   委員長 小川 賢
                   電話 090-5302-8312
                   FAX 027-381-0364

      貴社安中製錬所の非鉄スラグに関するご質問

拝啓 時下ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
 さて、このたび群馬県は令和2年9月10日付で貴社安中製錬所から排出された非鉄スラグに関する廃棄物処理法に基づく調査結果及び行政処分を発表しました。また、弊社では、同日、ホームページで「「当社に対する行政処分について」と題して、プレスリリースを掲載しました。
 そのため、9月14日(月)午後3時半に貴社東京本社にお伺いをして、総務部乾様とご面談の機会をいただいた折りに、地元住民としていくつか表件にかかる質問をさせていただきました。乾様からは近日中にしかるべき面談の機会を設けていただける旨のコメントを賜りました。つきましては、あらためて、昨日の質問事項を下記のとおり纏めましたので、近日中に正式にご面談いただける機会に、ご回答賜りますよう、まずは、取り急ぎ書面をもちましてお願い申し上げる次第です。
                              敬具

                記

1.貴社の組織図を見ますと、現在「環境・安全室」を独立組織として、社長直属とされています。この部署は、いつ、どのような具体的業務の遂行目的のために設置され、誰がトップで、何名の職員が配置され、場所はどこ(東京本社ないし各事業所?)においてありますか?

2.貴社の組織図を見ますと、現在「品質保証室」を独立組織として、社長直属とされています。この部署は、いつ、どのような具体的業務の遂行目的のために設置され、誰がトップで、何名の職員が配置され、場所はどこ(東京本社ないし各事業所?)においてありますか?

3.貴社は、ISO9000シリーズ(品質)、とISO14000シリーズ(環境)の認定を受けているようですが、それぞれ、何というマネジメントシステム認証機関に委託されていますか?また、今回の行政処分による非鉄スラグの廃棄物認定に関連して、これまで非鉄スラグの取扱いについて、認証機関から何か指摘を受けましたか?受けたことがある場合、どのような指摘でしたか?

4.貴社は、日本鉱業協会に加盟していますが、なぜかこれまで同協会の傘下のスラグ委員会には会員として登録されていませんでした。今回の行政処分を契機に、スラグ委員会への会員登録について検討されていますか?検討されている場合、登録手続きの進捗状況と今後の見通しについて教えてください。

5.貴社は、非鉄スラグの含有物質の分析試験を適宜実施していると思います。実施している場合、どのような物質(カドミウム、ヒ素等重金属を含む)を対象に、工程のどの時点で分析を行い、その分析データと解析をどのように取り扱われていますか?分析データの保管方法、保管期限、および解析方法(社内基準値を含む)と対策状況(基準値超の非鉄スラグが発生した場合の対応方法を含む)を教えてください。

6.貴社は、非鉄スラグの出荷先の詳細、及び使用現場の調査結果はすべて行政に報告したと、8月22日に安中製錬所で開催された安中緑の大地を守る会向けの工場視察会で説明されました。現在当委員会では行政に対して、貴社の報告内容について情報開示請求中ですが、1点だけ教えてください。「安中市内で公共工事ないし民間工事で貴社の非鉄スラグが使用された場所はありますか?」“はい”、“いいえ”でお願いします。

7.貴社は非鉄スラグの出荷先としてこれまで、埼玉県八潮市鶴ヶ曽根943番地の石井商事㈱と2006年に➀運搬に係る契約を締結したと報じられています。一方で、石井商事に対して➁鉄源・建材用原料(遮音材)向けに非鉄スラグを出荷していると報じられています。これらはそれぞれ別々、すなわち➀運搬業務についての契約と、②原料供給に係る契約とに分かれているのでしょうか?また、2006年以降現在までの、➀の運搬契約に基づく出荷量と②の原料供給契約にかかる出荷量のそれぞれの年間出荷量を教えてください。

8.貴社は2016年4月以降は、非鉄スラグを出荷していないと説明していますが、それ以降にも、貴社のスラグ置場から大量のスラグが運び出されています。そのなかで、「UCHIKI UNYU」(打木運輸)と荷台に描かれた大型の深底のあおりを付けたトラックが伊勢崎工業団地へ入るのが目撃されています。貴社はこの打木運輸に、いつ?何回?どの出荷先が?何の目的で?使用するために非鉄スラグを運ばせていたのか、記録を調べて結果を教えてください。

9.昨年4月の工場視察会のあと、いくつか書面で質問させていただきました。その中で、鉛が非鉄スラグに高濃度に混入する理由として製錬プロセスにおける課題を指摘させていただきました。昨年6月に日本鉱業協会の技術担当者にヒヤリングしたところ、ロータリーキルンを使って残渣から亜鉛等を回収しているのは大手では貴社のみであることをうかがいました。ロータリーキルンでは鉛が揮発するための温度条件が不足するため、非鉄スラグに鉛が大量に混入したまま、排出されるのではないか、と思われます。このため、大手同業他社と同様なプロセスの導入を検討すべきと考えますが、貴社の見解を教えてください。

10.また、今回の群馬県の行政処分では、なぜか岡田興業との取引が2014年9月から2016年3月の期間、大野工業との取引が2014年6月から2015年12月の期間、石井商事との取引が2014年6月から2016年3月の期間のみ認定期間とされ、その期間中の取引量しか発表されていません。以前、弊職が貴社にお聞きし、貴社が回答を拒否されたことがありますが、2010年1月から現在に至るまでの毎月の非鉄スラグの出荷先と出荷量について、この機会にぜひ教えてください。上記7.の質問と一部重複しますがよろしくお願いします。

11.表件とは直接関係ありませんが、貴社のホームページに掲載されている会社概要を見ると「設立1937年3月5日」とあり、「創業1937年2月27日」との間に若干タイムラグがあります。この理由を教えてください。
                           以上
**********

■その後、東邦亜鉛からは無しのつぶてでしたが、半月余りが経過した10月2日付で郵送で次の回答状が送られてきました。

*****10/2回答状*****ZIP ⇒ 20201002m.zip
                       2020年10月2日
北野殿公害対策委員会
委員長 小川賢様
                       東邦亜鉛株式会社
                       環境・安全室 室長 石井 光
                       TEL  03-6212-1713
                       FAX  03-3284-1521
                       E-mail: ishii-hikari@toho-zinc.co.jp

    令和2年9月15日付け弊社非鉄スラグについてのご質問についての回答

拝啓 貴兄ますますご健勝のことお慶び申し上げます。令和2年9月15日付け弊社非鉄スラグについてのご質問について回答致します。諸般の事情により、回答できかねるご質問もありますが、ご理解を賜りたく存じます。
                                     敬具

                  記

1.環境・安全室について
  2020年3月21日、本社に設置されました。人員は兼務を含めて4名。室長は石井光。
  業務内容は以下の通りです。
  ・環境保全に関する全社的な企画立案および調整
  ・環境対策関連法令の調査研究
  ・安全衛生に関する全社的な企画立案および調整等

2.品質保証室について
  2020年3月21日、本社に設置されました。人員は兼務を含めて4名。室長は吉井敬一。
  業務内容は以下の通りです
  ・品質管理・品質保証に関する全社的な企画立案および調整
  ・製品および原材料品質、品質システムに係る認証制度(JISやISO9001等)の調査研究ならびに連絡
  ・製品および原材料におけるクレーム発生時の原因分析、緊急措置ならびに再発防止対策案の検討等

3.ISO認証について
  認証機関:JCQA 日本化学キューエイ株式会社
  認証機関に報告しましたが、特に指摘はありませんでした。

4.日本鉱業協会のスラグ委員会について
  現在、非鉄スラグは全量を産業廃棄物として処分しております。
  日本鉱業協会のスラグ委員会は、産業廃棄物は対象外ですので、加入の意思はありません。

5.非鉄スラグの分析の規定について
  申し訳ございませんが、社内の機密に関する事項ですので回答は控えさせていただきます。

6.非鉄スラグの安中市内における使用の有無について
  申し訳ございませんが、回答は控えさせていただきます。

7.石井商事との契約、出荷量について
  申し訳ございませんが、営業秘密に関する内容なので、回答は控えさせていただきます。

8.大型トラックが伊勢崎工業団地に向かっている。目的、量は
  質問の内容の車両は、調査しましたが該当する車両は不明です。

9.新プロセスの導入について
  現在、各種の方法を検討中です。詳細については、回答は控えさせていただきます。

10.岡田興業、大野工業向けのK砕出荷量について
  申し訳ございませんが、営業秘密に関する内容なので、回答は控えさせていただきます。

11.設立日と創業日の食い違いの理由についてご質問の件、以下の通りです。
  昭和12年2月27日 創立総会開催
  昭和12年3月5日  登記完了日

                                  以 上
**********

■これでは、質疑応答のやり取りの内容が良く分からないため、いつものように質疑応答を対比させて示します。なお、「←当方のコメント」緑字で追記してあります。

*****Q&A対比*****
【Q1】貴社の組織図を見ますと、現在「環境・安全室」を独立組織として、社長直属とされています。この部署は、いつ、どのような具体的業務の遂行目的のために設置され、誰がトップで、何名の職員が配置され、場所はどこ(東京本社ないし各事業所?)においてありますか?
【A1】環境・安全室について
 2020年3月21日、本社に設置されました。人員は兼務を含めて4名。室長は石井光。業務内容は以下の通りです。
  ・環境保全に関する全社的な企画立案および調整
  ・環境対策関連法令の調査研究
  ・安全衛生に関する全社的な企画立案および調整等

←当方コメント:兼務でちゃんと仕事ができるのか心配。

【Q2】貴社の組織図を見ますと、現在「品質保証室」を独立組織として、社長直属とされています。この部署は、いつ、どのような具体的業務の遂行目的のために設置され、誰がトップで、何名の職員が配置され、場所はどこ(東京本社ないし各事業所?)においてありますか?
【A2】品質保証室について
 2020年3月21日、本社に設置されました。人員は兼務を含めて4名。室長は吉井敬一。
  業務内容は以下の通りです
  ・品質管理・品質保証に関する全社的な企画立案および調整
  ・製品および原材料品質、品質システムに係る認証制度(JISやISO9001等)の調査研究ならびに連絡
  ・製品および原材料におけるクレーム発生時の原因分析、緊急措置ならびに再発防止対策案の検討等

←当方コメント:兼務でちゃんと仕事ができるのか心配。

【Q3】貴社は、ISO9000シリーズ(品質)、とISO14000シリーズ(環境)の認定を受けているようですが、それぞれ、何というマネジメントシステム認証機関に委託されていますか?また、今回の行政処分による非鉄スラグの廃棄物認定に関連して、これまで非鉄スラグの取扱いについて、認証機関から何か指摘を受けましたか?受けたことがある場合、どのような指摘でしたか?
【A3】ISO認証について
 認証機関:JCQA 日本化学キューエイ株式会社
 認証機関に報告しましたが、特に指摘はありませんでした。

←当方コメント:これだけのデタラメな品質管理がまかり通っても指摘しないISO認証機関では役に立たない。もっとも、そういう認証会社だから東邦亜鉛が発注先として選定したのが実態か。

【Q4】貴社は、日本鉱業協会に加盟していますが、なぜかこれまで同協会の傘下のスラグ委員会には会員として登録されていませんでした。今回の行政処分を契機に、スラグ委員会への会員登録について検討されていますか?検討されている場合、登録手続きの進捗状況と今後の見通しについて教えてください。
【A4】日本鉱業協会のスラグ委員会について
 現在、非鉄スラグは全量を産業廃棄物として処分しております。
 日本鉱業協会のスラグ委員会は、産業廃棄物は対象外ですので、加入の意思はありません。

←当方コメント:これは噴飯ものの回答。いままで非鉄スラグを「K砕」と称して有価物として扱ってきたのに、今回逆有償がバレて産廃と認定されたわけだ。全量産廃として処理しているから、今後もスラグ委員会に加入するつもりはない、という回答は、不誠実な公害企業のレッテルに相応しい。

【Q5】貴社は、非鉄スラグの含有物質の分析試験を適宜実施していると思います。実施している場合、どのような物質(カドミウム、ヒ素等重金属を含む)を対象に、工程のどの時点で分析を行い、その分析データと解析をどのように取り扱われていますか?分析データの保管方法、保管期限、および解析方法(社内基準値を含む)と対策状況(基準値超の非鉄スラグが発生した場合の対応方法を含む)を教えてください。
【A5】非鉄スラグの分析の規定について
 申し訳ございませんが、社内の機密に関する事項ですので回答は控えさせていただきます。

←当方コメント:これまた公害企業のレッテルに相応しい回答。

【Q6】貴社は、非鉄スラグの出荷先の詳細、及び使用現場の調査結果はすべて行政に報告したと、8月22日に安中製錬所で開催された安中緑の大地を守る会向けの工場視察会で説明されました。現在当委員会では行政に対して、貴社の報告内容について情報開示請求中ですが、1点だけ教えてください。「安中市内で公共工事ないし民間工事で貴社の非鉄スラグが使用された場所はありますか?」“はい”、“いいえ”でお願いします。
【A6】非鉄スラグの安中市内における使用の有無について
 申し訳ございませんが、回答は控えさせていただきます。

←当方コメント:8月22日の同社安中製錬所の工場視察会での答弁と同様。完全否定せず回答拒否をするところをみると、以前、安中市内における不法投棄の懸念が残る。

【Q7】貴社は非鉄スラグの出荷先としてこれまで、埼玉県八潮市鶴ヶ曽根943番地の石井商事㈱と2006年に➀運搬に係る契約を締結したと報じられています。一方で、石井商事に対して➁鉄源・建材用原料(遮音材)向けに非鉄スラグを出荷していると報じられています。これらはそれぞれ別々、すなわち➀運搬業務についての契約と、②原料供給に係る契約とに分かれているのでしょうか?また、2006年以降現在までの、➀の運搬契約に基づく出荷量と②の原料供給契約にかかる出荷量のそれぞれの年間出荷量を教えてください。
【A7】石井商事との契約、出荷量について
 申し訳ございませんが、営業秘密に関する内容なので、回答は控えさせていただきます。

←当方コメント:これまた公害企業のレッテルに相応しい回答。

【Q8】貴社は2016年4月以降は、非鉄スラグを出荷していないと説明していますが、それ以降にも、貴社のスラグ置場から大量のスラグが運び出されています。そのなかで、「UCHIKI UNYU」(打木運輸)と荷台に描かれた大型の深底のあおりを付けたトラックが伊勢崎工業団地へ入るのが目撃されています。貴社はこの打木運輸に、いつ?何回?どの出荷先が?何の目的で?使用するために非鉄スラグを運ばせていたのか、記録を調べて結果を教えてください。
【A8】大型トラックが伊勢崎工業団地に向かっている。目的、量は
 質問の内容の車両は、調査しましたが該当する車両は不明です。

←当会コメント:伊勢崎工業団地方面に非鉄スラグを運搬したのが打木運輸のトラックだったのか、別の会社のトラックだったのか、あらためて調べた上で再質問する予定です。

【Q9】昨年4月の工場視察会のあと、いくつか書面で質問させていただきました。その中で、鉛が非鉄スラグに高濃度に混入する理由として製錬プロセスにおける課題を指摘させていただきました。昨年6月に日本鉱業協会の技術担当者にヒヤリングしたところ、ロータリーキルンを使って残渣から亜鉛等を回収しているのは大手では貴社のみであることをうかがいました。ロータリーキルンでは鉛が揮発するための温度条件が不足するため、非鉄スラグに鉛が大量に混入したまま、排出されるのではないか、と思われます。このため、大手同業他社と同様なプロセスの導入を検討すべきと考えますが、貴社の見解を教えてください。
【A9】新プロセスの導入について
 現在、各種の方法を検討中です。詳細については、回答は控えさせていただきます。

←当方コメント:これまた公害企業のレッテルに相応しい回答。

【Q10】また、今回の群馬県の行政処分では、なぜか岡田興業との取引が2014年9月から2016年3月の期間、大野工業との取引が2014年6月から2015年12月の期間、石井商事との取引が2014年6月から2016年3月の期間のみ認定期間とされ、その期間中の取引量しか発表されていません。以前、弊職が貴社にお聞きし、貴社が回答を拒否されたことがありますが、2010年1月から現在に至るまでの毎月の非鉄スラグの出荷先と出荷量について、この機会にぜひ教えてください。上記7.の質問と一部重複しますがよろしくお願いします。
【A10】岡田興業、大野工業向けのK砕出荷量について
 申し訳ございませんが、営業秘密に関する内容なので、回答は控えさせていただきます。

←当方コメント:これまた公害企業のレッテルに相応しい回答。なお、大野工業には9月12日に直接問い合わせていますが、未だに回答がありません。
=====受信メール=====
From: 株式会社 大野工業 <no-reply@oonokogyo.co.jp>
Date: 2020年9月12日(土) 12:17
Subject: お問合せありがとうございました
To: <ogawakenpg@gmail.com>
このたびはお問合せいただき、誠にありがとうございました。
内容を拝見致しまして、折り返しご連絡を致します。
その他、何かご不明な点等ございましたら、お気軽にお問合せください。
株式会社 大野工業
住所:群馬県前橋市横沢町906-7
TEL:027-283-6741
────────────────────────────────
このメールは送信専用のメールアドレスから自動送信しています。
このメールの差出人メールアドレス宛にメールをお送りいただいても受信できません。
お手数ですが、お問合せ等はホームページのお問合せフォームよりお願いいたします。
────────────────────────────────
==========


【Q11】表件とは直接関係ありませんが、貴社のホームページに掲載されている会社概要を見ると「設立1937年3月5日」とあり、「創業1937年2月27日」との間に若干タイムラグがあります。この理由を教えてください。
【Q11】設立日と創業日の食い違いの理由についてご質問の件、以下の通りです。
 昭和12年2月27日 創立総会開催
 昭和12年3月5日  登記完了日

←当方コメント:創業日が操業開始日のことではないか、と疑問に思い、この質問をしたが、操業は昭和12年(1937年)6月ということで、操業当日(翌日説あり)から安中公害が発生し始めたとされており、登記から僅か3か月で操業し始めたということは、戦時下のどさくさで何でもありだったのかも。
**********

■東邦亜鉛本社訪問後、9月16日に神田にある日本鉱業協会を久しぶりに訪れ、今回の東邦亜鉛安中製錬所が排出する非鉄スラグについての群馬県の行政処分等に関する報告を行い、なぜ東邦亜鉛が日本鉱業協会のスラグ委員会に加入していないのか、また同協会としてメンバー会社である東邦亜鉛に対して何らかの勧告措置など必要な対応を申し入れました。


日本鉱業協会のある神田錦町の交差点。

東西線竹橋駅から、日本鉱業協会の事務局のある榮葉ビルまで徒歩10分ほど。


ビル内の表示板。日本鉱業協会の事務局は8階、会議室は6階。

6階は会議室専用フロア。面談はいつもここで行われる。

6階には鉱石サンプルの展示棚がある。これは佐渡鉱山の金鉱石。

おなじく、群馬県嬬恋村の硫黄鉱。

神岡鉱山の鉛・亜鉛鉱。

足尾銅山の銅鉱石。

8階事務局フロアの受付。環境保安部の呼出番号は59、技術部は69。

 同協会の技術部兼環境保安部の佐藤部長代理に面談し、相談したところ、三井金属鉱業㈱から出向している同氏によれば、同業他社の方針についてコメントする立場になく、したがって、協会として監督指導することもできないというニュアンスでした。

 ただし一般論として、上記質問状の質問9でも触れている通り、我が国の非鉄精錬大手各社のうち、電解残渣等の再回収プロセスでロータリーキルン方式を採用しているのは東邦亜鉛のみであること、また、原理的にも沸点が1650度を超える鉛を揮発させて回収することは、1350度でスラグを蒸し焼きするだけの東邦亜鉛のロータリーキルン方式では困難であるため、スラグに鉛が残ってしまうことは確認できました。同協会には、今後とも、東邦亜鉛以外の亜鉛精錬を手掛ける各社が、どのようなプロセスでスラグ中の重金属を除去しているのか、引き続き情報提供をお願いしています。

■なお、東邦亜鉛が8月22日の工場視察会後の意見交換会で、非鉄スラグの投棄についての調査結果は全て行政に報告してある、との見解を示した件で、当会は、その後群馬県と安中市に問い合わせていました。

 その結果、群馬県からは、情報公開の期間延長決定通知が到来しており、情報開示は、10月22日以降の予定です。また、群馬県廃棄物・リサイクル課畠中次長の見解では、「群馬県として今回の行政処分は廃棄物処理法に基づく措置であり、東邦亜鉛を産廃の不法投棄で告発するつもりはない」とのことです。
※非鉄スラグに関する情報開示請求に対する群馬県の対応
ZIP ⇒ 20200903jmimsxosgpj.zip

 一方、地元の安中市に開示請求した結果、東邦亜鉛から非鉄スラグの投棄に係る報告は受けていないとのことです。また、昨年2019年8月9日の非鉄スラグの不法投棄公表直後に自主的に同年8月21日から30日にかけて、安中市の公共事業で再生を扱う7社(浅川商事、エコプロセス、GUNMATRUST、新鋭産業、茂木組、ヤマサ石産販売、若宮産業)に電話で、東邦亜鉛の非鉄スラグを取り扱ったかどうか、聞き取り調査を行った結果が開示されたに留まりました。
※非鉄スラグに関する情報開示請求に対する安中市の対応
ZIP ⇒ 20200907ssjimsxoslj.zip
20200924sjmjisxosj.zip

■このように、東邦亜鉛に直接非鉄スラグについて質問しても、「顧客や自社ノウハウを理由にした守秘義務」ないし「すべて行政を通じてのみ対応」としか答えません。公害企業体質のレッテルを自ら剥がすつもりが皆無であることを痛感させられます。

 引き続き当会として、東邦亜鉛に対して、スラグ中に鉛やヒ素等有害な重金属が残らないよう環境に配慮したプロセスの導入、もしくは、非鉄スラグを瀬戸内海にある鉛精錬専門の同社契島工場への全量移送、また、これまでに県内に投棄された非鉄スラグの捨て場所とその量に関する情報開示、さらにそれらの速やかな撤去を求めていく所存です。

 また上述したように、廃棄物処理法に基づき、本来行政が大同スラグ問題の際に、県警に不法投棄を告発したように、今回有害廃棄物を長年にわたり大量に不法投棄してきた東邦亜鉛を告発できないか、についても慎重に検討してまいります。

【ひらく会・市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

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【大同有害スラグ問題】渋川市が控訴理由書を提出!そこになんと訴訟参加人として大同特殊鋼の名前が!!

2020-10-09 23:36:00 | スラグ不法投棄問題
■大同特殊鋼(株)渋川工場由来の鉄鋼スラグは、有毒物質であり産業廃棄物です。不法に投棄されている廃棄物は撤去し、片づけなければなりません。しかし、群馬県県土整備部や国土交通省、そして渋川市の3者は、「鉄鋼スラグ連絡会議」というおよそ廃棄物とは関係ない怪しげな組織を立ち上げ、撤去はおろか、アスファルト舗装により被覆する工事が行われました。これは完全に廃棄物処理法を無視しており、この始末は、時効が訪れる20年の期間、お役人様はじっとダンマリ・不作為を貫くつもりなのでしょう。
 当会は、群馬県東吾妻郡萩生川西地区の農道に不法投棄されたスラグについて、提訴し控訴審まで争った結果、直ちに被害はない、などとして敗訴させられました。そうしたなかで大同特殊鋼の有毒スラグを巡り、当会の萩生スラグ裁判とは別の群馬県渋川市の市道に不法投棄されたスラグ裁判の判決が8月5日に前橋地裁で言い渡されたことは当会のブログで報告済です。
 その後、渋川市は判決を不服として控訴手続きを取っておりましたが、この度、被告の渋川市から控訴理由書が原告に送られてきました。驚くべきことに、なんと大同特殊鋼㈱が訴訟参加人として被告側に付いています。
 さっそく被告らがどのような控訴理由を記しているのか見てみましょう。

畑の中にある渋川農道のアスファルトでフタをする以前の様子。40ミリの大きさに砕かれた生一本スラグが敷砂利されている。畑の中に天然石以外の敷砂利をするのはいかがなものか、と心配するお役人様はいなかったのだろうか?
 なお、この問題に関するこれまでの情報は当会の次のブログ記事を参考にして下さい。
〇2018年6月6日:【報道】大同有害スラグを斬る!・・・もう一つのスラグ訴訟始まる!
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2661.html
〇2018年6月10日:【報道】大同有害スラグを斬る!・・・もう一つのスラグ訴訟始まる!(その2)
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2665.html
○2018年7月16日:大同有毒スラグを斬る!…毒物入スラグ撤去を求めない県・渋川市と撤去したがらない大同らの共通利害とは
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2698.html
○2020年8月6日:【速報】大同有害スラグ報道・・・スラグにアスファルトでフタすることは違法判決!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3186.html
○2020年8月13日:【大同有害スラグ問題】・・・“スラグにアスファルトでフタすることは違法”と断じた判決文について考察
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3189.html

*****被告控訴理由書*****ZIP ⇒ 20201009tir.zip
<P1>
令和2年(行コ)第181号 渋川市が産業廃棄物撤去請求等を怠る事実の違法確認請求控訴事件
控訴人 渋川市長高木勉
補助参加人 大同特殊鋼株式会社
被控訴人 角 田 喜 和

                控訴理由書

                              令和2年10月6日

東京高等裁判所第7民事部 御中

       〒370-0862 群馬県高崎市片岡町1丁目15番4号(送達場所)
                 TEL  027-326-3972
                 FAX  027-326-6393
          控訴人訴訟代理人弁護士  田  島  義  康

第1、地方公共団体の財産管理義務について
 1、地方自治法における行政財産の管理について
  (1)、渋川市の所有する本件市道は、地方自治法第238条第1項第1号の公有財産にあたり、公有財産は、同条第3項及び第4項で行政財産と普通財産に分類されるが、本件市道は、市道の認定を受け、公共用に供していることから、道路法で規定される道路であり、行政財産である。
  (2)、しかるところ、地方自治法第238条の4は、行政財産の適正かつ効率的な管理を期するため、行政財産の交換、売り払い、譲与、出資の目的、若しくは信託、又はこれに私権を設定することを原則として禁止するとともに、

<P2>
その用途又は目的を妨げない限度において、貸し付け又は私権を設定することができると定めている。
    つまり、地方自治法において行政財産とは、地方公共団体の行政執行の物的手段として、行政目的の効果を達成するために利用されるべきものであるので、これを売り払いすること等を認めることは、行政執行の物的手段としての行政財産の効用を減少することになるため、原則として禁止している。
  (3)、このように行政財産の管理について、地方自治法では売り払うことなどを禁止しているが、被控訴人が主張しているような、所有権に基づく妨害排除請求権の行使を義務づけてはいない。
    これに対し、原判決は、撤去請求権を行使しないことが地方自治法第138条の2及び地方財政法第8条に違反していると抽象的に判示しているだけで、具体的な理由を明らかにしていないので、原判決には審理不尽、理由不備の違法があると言わざるを得ない。
 2、道路法における道路の管理について
  (1)、行政財産の中の道路について、道路法第42条は、「道路管理者は道路を常時良好な状態に保つように維持し、修繕し、もって一般交通に支障を及ぼさないように努めなければならない。」と規定し、同法第43条第1号は、「みだりに道路を損傷し、又は汚損すること」、同条第2号は「みだりに道路に土石、竹木等の物件をたい積し、その他道路の構造又は交通に支障を及ぼす虞のある行為をすること」を禁止している。
  (2)、これらの行為が行われた場合に備え、同法第71条第1項柱書は、「道路管理者は、次の各号のいずれかに該当する者に対して、この法律若しくはこの法律に基づく命令の規定によって与えた許可、承認若しくは認定を取り消し、その効力を停止し、若しくはその条件を変更し、又は行為若しくは工事の中止、道路(連結許可等に係る自動車専用道路と連結する施設を含む。以下この項において同じ。)に存する工作物その他の物件の改築、移転、除却

<P3>
若しくは当該工作物その他の物件により生ずべき損害を予防するために必要な施設をすること若しくは道路を原状に回復することを命ずることができる。」と規定し、第1号は、該当者について「この法律若しくはこの法律に基づく命令の規定又はこれらの規定に基づく処分に違反している者」と規定し、同法の規定に違反した者に原状回復命令を発する権限を、道路管理者に付与している。
  (3)、しかるところ、被覆工事が施工された本件道路は、道路の構造又は交通に 支障を及ぼすような状態にはなく、また、大同特殊鋼株式会社(以下「大同特殊鋼」という)は、本件市道に本件スラグをたい積させるような行為をしていないことから、道路管理者たる控訴人は、大同特殊鋼に原状回復命令を発することはできない。
 3、財産管理の執行者には裁量権があること
  (1)、原判決は「地方公共団体の執行機関は、当該地方公共団体の事務を、自らの判断と責任において、誠実に管理し及び執行する義務を負担し(地方自治法138条の2)、地方公共団体の財産については、常に良好の状態においてこれを管理する義務(地方財政法8条)を負っているところ、本件全証拠によっても被告が大同特殊鋼に対して本件スラグの撤去請求権を行使しないことを正当化する事実は認められないのであるから、被告が大同特殊鋼に対し、本件スラグの撤去請求権を行使していないことは違法であるというべきである。」と判断している(判決書19ページの(1))。
  (2)、しかし、地方財政法第8条は、「地方公共団体の財産は、常に良好の状態においてこれを管理し、その所有の目的に応じて最も効率的に、これを運用しなければならない。」と規定しているが、ここで言う良好な状態において管理するというのは、それぞれの地方公共団体の置かれた固有の社会的、経済的、地域的諸事情にも左右され、その管理については地方公共団体の執行機関の合理的な裁彙に委ねられているものと解すべきである。

<P4>
    そうすると、地方財政法第8条に反して違法となる財産管理行為とは、執行者に裁量権の逸脱又は濫用があり、地方財政法第8条の趣旨を没却する結果となるような、特段の事情が認められるという場合に限ると解するのが相当である(盛岡地方裁判所平成30年(行ウ)第8号・乙第25号証)。
  (3)、これに対し、原判決は、妨害排除請求権が発生すれば、撤去請求権を行使しなければならない義務が発生し、行使しない正当な理由がないと違法になるかのように、地方財政法第8条を解釈しているが、同条と地方自治法第138条の2の規定から、直ちに所有権による妨害排除請求権に基づく撤去請求権の行使義務を導き出すことはできない。
  (4)、渋川市の財産管理のために、控訴人が負っている義務は、スラグが本件市道に存在している事態に対し、地方自治法第138条の2に規定されているとおり、自らの判断と責任において、合理的裁量に基づき適正な措置をとることであると解すべきである。
  (5)、しかるところ、渋川市が本件市道について、適正な状態にすることを関係機関と調整した結果、大同特殊鋼の費用負担で被覆工事を行って、行政財産である道路を管理したことは、地方自治法第138条の2及び地方財政法第8条の趣旨に適合する合理的判断であり、何ら非難されるべきことではない。

第2、公法上の除去命令と私法上の撤去請求について
 1、原判決は、「本件協定書に基づく本件工事は、いずれも公法である土壌汚染対策法及び廃棄物処理法における本件スラグの取扱いに関するものであり、群馬県、渋川市、関東地方整備局の三者で構成される連絡会議での対応方針も含めて、これらに適合するものであったとしても、それをもって、直ちに、既に発生している本件市道の所有権に基づく妨害排除請求権としての本件スラグの撤去請求権を行使しないことは正当化されない。」と判断している(判決書19ページのイ)。

<P5>
 2、この表現はわかりづらいが、仮に本件被覆工事が連絡会議での対応方針も含めて、公法に適合するものであったとしても、私法上の撤去請求権を行使しなければならないということであれば、その理由を明らかにしなければならないが、その点については、何ら言及されていない。
   仮に、撤去請求権を行使しなければならない理由が、被覆工事では、フッ素の拡散が止められず、市道の財産的価値の回復が図れないというのであれば、その根拠を明らかにしなければならない。
 3、被覆工事によって、地域住民の生命、身体の安全性が確保され、財産的価値にも支障がなくなったことについて、控訴人は何回も主張したが、それに対して何ら判断することなく、ただ漫然と「既に発生している妨害排除請求権としての撤去請求権を行使しないことは正当化されない。」と言及するだけなら、「初めに撤去請求権の行使ありき」ということになり、群馬県、渋川市及び国土交通省関東地方整備局の各公共工事事業者で組織する鉄鋼スラグに関する連絡会議(以下「連絡会議」という。)により、鉄鋼スラグを含む材料の対応方針を決定し、それに基づき渋川市が大同特殊鋼と話し合って、被裂工事を選択した意味がなくなってしまう。
 4、原判決は、「本件全証拠によっても、被告が大同特殊鋼に対して、撤去請求権を行使しないことを正当化する事実は認められない。」とも判断している(判決書19ページの(1)) が、前記のように、財産管理については、執行者の合理的裁量に委ねられていること、その裁量の範囲内で上記措置がとられた ことにより、財産価値の回復や市民の安全が確保されたことに照らせば、撤去請求権を行使しないことに、何ら不当性はない。
 5、廃棄物処理法第19条の5には、「産業廃棄物の保管、収集、運搬又は処分が行われた場合において、生活環境の保全上支障が生じ、又は生ずるおそれがあると認められるときは、都道府県知事は期限を定めて、その支障の除去等の措置を講ずべきことを命ずることができる。」と規定されているので、生活環

<P6>
境の保全上支障がなく、そのおそれがない場合には、除去命令の対象から除外されている。
 6、この規定は、「行政庁が法律に定めるところに従い、その一方的な判断に基づき国民の権利義務その他の法律地位を具体的に決定する行為」である行政行為を定めた規定であるが、「行政庁が行政行為を遂行する過程において、国民との間に権利義務を設定する必要のある場合に、国民と協議し、その任意の同 意を求め、相互に契約を結んで事を決する行政契約」の解釈指針にもなる。
   しかるところ、連絡会議により、鉄鋼スラグを含む材料の対応方針を決定し、渋川市は大同特殊鋼と協定書と契約書を交わし、同社の負担で被覆工事をする ことを合意したのである。
 7、前記のように、原判決が本件被覆工事について、連絡会議での対応方針を含めて公法に適合すると認定したのであれば、原判決も本件スラグの存在について、生活環境の保全上支障がなく、そのおそれがないことを認めたことになるが、このように認定したことは、もともと群馬県、渋川市及び国土交通省関東地方整備局の三者で決めた対応方針は、スラグに含まれているフッ素等に対し、住民の生命、身体の安全を図る目的であったことと整合性がある。
   このような観点から考えると、原判決が撤去請求権を行使して守るべきものと想定しているのは、地域住民の生命、身体の安全性というよりも、本件市道の財産的価値ということになるが、それならスラグがあることによって、道路の財産的価値が減少したことを具体的に明らかにしなければならない。
 8、被控訴人も近隣住民の生命、身体の危険性については、何回も主張したのに対し、スラグを路盤材として使った道路の財産的価値の減少については、ほとんど言及していない。
   このような状況の中で、原判決が撤去請求権を行使しなければならないと判断するためには、その前提として、控訴人が裁量で決めた被覆工事では、損害が回復できない財産的価値があることを明らかにしなければならないが、その

<P7>
点について、原判決は何ら判断していないので、原判決には審理不尽、理由不備の違法があると言わざるを得ない。
 9、前記のように、原判決は、本件被覆工事が公法に適合したものであっても、私法上の撤去請求権は行使しなければならないとの二元論を展開しているが、そうであるなら、公法上の除去命令の対象にならないにもかかわらず、私法上の撤去請求の対象になることについて、その理由を述べなければならないにもかかわらず、その点についても何ら判断していないのは、理由不備の誹りを免れない。
 10、私人間の間題であっても、当事者間で話し合って撤去請求の代替措置をとることで解決することも想定できるところ、本件スラグの問題についても、渋川市は、連絡会議により、鉄鋼スラグを含む材料の対応方針を決定し、スラグの製造業者の大同特殊鋼と協議の結果、渋川市が被覆工事をして、その費用を同社に負担させることで解決したが、これは控訴人に委ねられた裁量の範囲内の措置であり、何ら非難されることではない。
 11、渋川市と大同特殊鋼が締結した行政契約は、私人間の契約と何ら異ならないので、控訴人の合理的裁量によって締結されたものであれば、契約内容がスラグ問題の解決であろうと、住民監査の対象になろうと、当事者間の合意という本質は変わらない。
   しかるところ、行政庁が一方的な判断に基づき、国民の権利義務その他の法的地位を具体的行為に決定する行為である行政行為にも、行政庁の合理的な裁量は認められるのであるから、対等な当事者間の行政契約については、執行者の合理的な裁量がより広く認められると言うべきである。

第3、所有権に基づく妨害排除請求権の相手方について
 1、原判決は、妨害排除請求の相手方について、所有権を侵害している物の所有権を有する者に限らず、現に存する侵害状況を作出した者も排除の相手方とな

<P8>
ると判断し、それを根拠づけるものとして 、東京高等裁判所平成6年(ネ)第3321号、3499号事件の判決を引用している(判決書18ページのイ(イ))。
 2、しかし、この控訴審判決は、廃棄物の受入先の所有地に、別々に廃棄物を投棄したことにより、受入先の下の山林に廃棄物が崩落して堆積した事態について、この数人の投棄者は被害者の山林を侵害している堆積物全体につき、共同妨害者として民法第719条第1項を準用し、連帯して全体を除去すべき義務を負っているとしたうえで、前記の判断をしているのである。
   即ち、この控訴審判決は、被害者の意思に反して数人が廃棄物を不法投棄した事例であるのに対し、本件では、スラグは渋川市の承諾のもとに、市道の路盤材として使用され、市道と一体として渋川市の所有物になったものであり、渋川市の意思に反して投棄されたわけではない。
 3、また、被害者の山林に廃棄物を不法投棄した者は、最初に投棄した土地から崩落したことはあるものの、被害地に対して自ら侵害状況を作出した者であるのに対し、大同特殊鋼はスラグの製造業者であって、道路の施工業者ではなく、しかもスラグは渋川市が了解して路盤材として使ったものであるので、大同特殊鋼をもって、侵害状況を作出した者と認定することはできない。

第4、結語
  以上述べたように、本件市道の財産を管理するためには、本件スラグに対する 被覆工事で足りるにもかかわらず、何ら具体的根拠を示さずに、本件スラグに対し、所有権に基づく妨害排除請求権としての撤去請求権を行使しないことが違法であると判断した原判決には、審理不尽、理由不備の違法があるので、破棄を免れない。
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 渋川市の訴訟代理人として、本件事件を請け負った田島博康弁護士は、かつて安中市の顧問弁護士として活動していた時期もあり、筆者も法廷でなんども会ったことがありますが、どちらかといえば地味なタイプの弁護士です。

 なので、仮に渋川市が敗訴すると困る連絡会議のメンバーの国や群馬県もさりながら、群馬県内のいたるところにばら撒かれた大同有害スラグを全部撤去させられると、何百億円もの負担がのしかかりかねない大同特殊鋼が、渋川市の訴訟参加人として参加し、大同特殊鋼のヤメ検顧問弁護士の提供(=助太刀)を申し入れた可能性も否定できません。

 あるいは、行政側から大同特殊鋼に支援要請を行った可能性も捨てきれません。おそらく、どちらの想像も外れではないかもしれません。

■まさに、被告の渋川市長と、訴訟参加人の大同特殊鋼が、タッグを組んで、なんとか有害スラグをこのまま放置し続けることを合法化すべく躍起になっている様子が想像されます。そこには、渋川市民の安心・安全な生活環境保全などそっちのけにされているとしか見えません。

 分かり易く言えば、渋川市長が、不法投棄を犯した原因者(泥棒)を、市民の為に糾弾するのではなく、泥棒と一緒に仲良く控訴人連合を作って、渋川市民に立ち向かって裁判しているようなものです。

 渋川市長が今回出してきた控訴理由書の内容を見ても、国・県・渋川市で構成する「鉄鋼スラグに関する連絡会議」と称する怪しげな任意組織の対応方針に基づき対応しているのだから問題ないのだ、との主張に終始しています。さながら、「鉄鋼スラグ連絡会議」が、国・県・渋川市に加え、大同特殊鋼による四者連絡会議であったかのようです。

 言い換えれば、本来、日本国民、群馬県民、渋川市民の生活環境保全を優先すべきところを、「大同の」「大同による」「大同に有利になるための」行政の連絡会議であったことが露呈してしまったことを示しています。

 そもそも、廃棄物の不法投棄の対策について、不法投棄した張本人が対応方針を考える場に加わっていたのでは、正しい対応策など講じることなど出来るはずはありません。

■さらに言えば、前渋川市長の阿久津貞司が、大同特殊鋼に有利になるよう窓口になって連絡会議を組織し、「大同の」「大同による」「大同の為の」対応策を導き出してやって、現渋川市長である高木勉が、その結論を擁護し継承している、との印象さえ、渋川市民はもとより群馬県民に与える結果となっています。

 行政がいかに、原因企業に甘く、納税者住民を軽視しているのか、今後の東京高裁での控訴審のなかでさらに明らかにされることでしょう。引き続き、当会では今後の控訴審の模様を注視し、都度報告してまいります。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

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