市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

セクハラ有罪判決の市元職員の退職手当返還情報の存否応答拒否した前橋市に審査請求

2020-10-12 23:25:00 | 前橋市の行政問題
■公務員のズサンな勤怠管理で多額の血税が失われていることは各地の事例で明らかですが、不祥事件が多発する前橋市の場合、やはりきちんとした職員管理ができていないことが大きな要因の一つと思われます。そこで、当会では不倫相手の職員の時間外手当を不正に認めていた前橋市役所の実態を正すべく、現在住民訴訟中ですが、2019年6月28日に前橋地裁で強制わいせつの罪による懲役6か月、執行猶予3年の有罪判決が元管理職の職員に対して言い渡されました。

 この判決を受けて前橋市は元管理職の職員に対して、2020年1月24日に返納を命ずる処分を行いました。そのため、同年7月14日付で、前橋市長に行政情報公開請求書を提出したところ、同7月21日付の部分開示決定通知書が7月23日に当会事務局に届きました。ところが中身を読むと、肝心の元管理職の職員の退職金の返納に関する情報を、前橋市長が存否応答拒否したことが判明しました。ここまでの経緯は次のブログ記事を参照ください。
○2020年7月26日:セクハラ有罪判決の市元職員の退職手当返還確認の情報開示請求で前橋市が存否応答拒否!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3184.html


コロナ対策の為、入口と出口を区別した前橋市役所の表玄関。


入口に備えられた消毒用アルコール液。

 強制わいせつで被疑者となった元管理職員に、「起訴されないうちに自主退職しないと懲戒免職にされて退職金がパーになってしまうぞ」と気遣って、退職金を満額支払ってやった“温情”行政の前橋市ですが、元管理職員に執行猶予付き有罪判決が言い渡されてから半年以上が経過してようやく、前橋市は元管理職員に退職金返納命令処分を出しました。

 これだけでも、前橋市民からは「及び腰だ」「忖度だ」と批判されかねない前橋市行政ですが、驚くべきことに、返納処分命令が出ているにもかかわらず、本当に元幹部職員が返納に応じたのか、応じないのか、はっきり答えようとしない(存否応答拒否)のですから、前橋市が如何に法を犯した職員とて、温情極まる配慮を、この期に及んでもしてくれるわけですので、公務員のかたがたにとっては、まさに理想の職場と思えることでしょう。


情報公開コーナーは2階の36番。

2階案内表示板。

■そのため、このまま手をこまねいているわけにはいかず、当会として行政不服審査法に基づく審査請求に踏み切ることにしました。そして、10月12日(月)午後2時過ぎに前橋市役所2階の情報公開コーナーを訪れて、次の内容の審査請求書を提出しました。

*****10/12前橋市長あて監査請求書*****ZIP ⇒ 20201012ricej.zip
                           令和2年10月12日

(宛先) 審査庁 前橋市長 山本 龍 様

            審査請求人 住 所 前橋市文京町一丁目15-10
                  氏名 市民オンブズマン群馬
                  代表 小川 賢    印
              連絡先 TEL:027-224-8567(事務局長:鈴木庸)

             審査請求書

 次のとおり審査請求します。

1 審査請求に係る処分の内容
  令和2年7月21日付前橋市第51号「行政情報部分公開決定通知書」に関する存否応答拒否決定(資料1参照)
2 審査請求に係る処分があったことを知った年月日
  令和2年7月23日
3 審査請求の趣旨
  審査請求人は「2020年1月29日の報道記事によれば、前橋市は同日、部下への強制わいせつで有罪確定の音管理職に退職手当全額の返納を命じたとしている。ついてはこの件に関する次の情報(1)返納を命じたことがわかる一切の情報。(2)それに対して、元管理職から前橋市に対して対応してきたことがわかる一切の情報。(3)対応しない場合、特措の事実が分かる一切の情報」を情報公開請求したが、前橋市長は、このうち(2)と(3)について、前橋市情報公開条例(以下「条例」という)(資料3参照)第7条の3に該当し、「その情報が存在するか否かを答えるだけで、特定の個人の権利利益を害するおそれがあるため」として、存否応答拒否通知された。
  よって、上記1の決定を取り消し、公開決定を求める。
4 審査請求の理由
  別紙資料を添付して審査請求の理由を以下のとおり主張する。
(1)国の人事院が定める「情報公開法に基づく処分に係る審査基準について」の「・法第8条(行政文書の存否に関する情報)関係」において、下記の記載がある(資料2参照)。

    「開示請求に係る行政文書が存在しているか否かを答えるだけで、不開示情報を開示することとなるとき」
      開示請求に係る行政文書が具体的にあるかないかにかかわらず、開示請求された行政文書の存否について回答すれば、不開示情報を開示することとなる場合をいう。開示請求に含まれる情報と不開示情報該当性とが結合することにより、当該行政文書の存否を回答できない場合もある。例えば、特定の個人の名を挙げて、その病歴情報が記録された文書の開示請求があった場合、当該行政文書に記録されている情報は不開示情報に該当するので、不開示であると答えるだけで、当該個人の病歴の存在が明らかになってしまう。このような特定の者又は特定の事項を名指しした探索的請求は、第5条各号の不開示情報の類型すべてについて生じ得ると考えられる。
      具体的には、次のような例が考えられる、とされている。
       ①特定の個人の病歴に関する情報(第1号)
       ②先端技術に関する特定企業の設備投資計画に関する情報(第2号)
       ③情報交換の存在を明らかにしない約束で他国等との間で交換された情報(第3号)
       ④犯罪の内偵捜査に関する情報(第4号)
       ⑤買い占めを招くなど国民生活に重大な影響を及ぼすおそれのある特定の物質 に関する政策決定の検討状況の情報(第5号)
       ⑥特定分野に限定しての試験問題の出題予定に関する情報(第6号)
(2)上記(1)によれば、存否応答拒否の前提は、当該情報が不開示情報に該当していなければならない。この観点から、処分庁は「特定の個人の権利利益を害するおそれがあるため」と公開しない理由を説明した。
   これは、条例第6条第1項(2)に定めた個人に関する情報のうち、「特定の個人は識別できないが、公開することによりなお個人の権利利益を害するおそれがあるもの」に該当すると言う意味だと考えられる。
(3)上記(1)で例示された具体的な例に照らしても、退職手当の返納にかかる情報が個人の権利履歴を害するおそれはない。そもそも、処分庁は、元管理職の権利利益を害するおそれがあると判断しているが、どのような恐れがあるのか、具体的、かつ合理的な説明がなされていない。
(4)本件情報は当初から、強制わいせつで有罪判決を受けた元管理職の男性に関するものであり、既に特定の個人は識別できている。したがって、本件情報を公開しても個人の権利利益を害するおそれがあるものには該当しない。
(5)仮に処分庁の説明にしたがって、本件情報が個人に関する情報と認められるとした場合でも、但し書にある、次に掲げる情報に該当する。
    ウ 公務員等(行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成11年法律第42号。資料4参照)第5条第1号ハに規定する公務員等をいう。)の職務の遂行に係る情報に含まれる当該公務員等の職及び氏名(ただし、公開することにより個人の正当な利益が損なわれるおそれがないと認められる場合に限る。)
    エ 人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公開することが必要であると認められる情報
(6)上記(4)のウによれば、本件情報は、行政機関の保有する情報の公開に関する第5条第1号ハとして、「当該個人が公務員等(・・・中略・・・地方公務員法第二条に規定する地方公務員・・・中略・・・をいう)である場合において、当該情報がその職務の遂行に係る情報であるときは、当該情報のうち、当該公務員等の職及び当該職務遂行の内容に係る部分」に該当する。なぜなら、元管理職は公務員に在職中に退職手当を支給されており、これは当該職務遂行の内容に係る部分に該当する。
(7)上記(4)のエによれば、本件情報は、「人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公開することが必要であると認められる情報」に該当する。なぜなら、既に被疑者として送検されていた元職員に対し、前橋市が違法に退職手当を支払ったのであるから、その返納については、前橋市住民が納税した財産保護にも関わるため、公開することが必要であると認められる情報に該当するからである。
(8)さらに言えば、本件情報は、行政機関の保有する情報の公開に関する法律第5条第4号に規定する「公にすることにより、犯罪の予防、鎮圧又は捜査、公訴の維持、刑の執行その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあると行政機関の長が認めることにつき相当の理由がある情報」に該当しない。なぜなら、本件情報を公にすることにより、多発する前橋市職員による不祥事件の抑止の観点から、犯罪の予防、ひいては公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれは全くなく、むしろそうした効能を発揮するための効果を発揮するからである。
(9)よって、上記1の決定において、本件情報は不開示情報に該当せず、「存否応答拒否」を取り消して、公開を求める。
5 処分庁の教示の有無及びその内容
  「この決定について不服がある場合は、この通知書を受け取った日の翌日から起算して3か月以内に、前橋市長に対して審査請求することができます(なお、この通知書を受け取った日の翌日から起算して3か月以内であっても、決定の日から1年を経過すると、審査請求をすることができなくなります。)。」との教示があった。
6 添付書類
(1)資料1 行政情報部分公開決定通知書
   ZIP ⇒
(2)資料2 人事院が定める「情報公開法に基づく処分に係る審査基準について」
   ZIP ⇒ posjmicej.zip
(3)資料3 前橋市情報公開条例(抜粋)
   ZIP ⇒ rosjij.zip
(4)資料4 行政機関の保有する情報の公開に関する法律(抜粋)
   ZIP ⇒ ssljij.zip
                                     以上
**********

■前橋市役所において、情報公開窓口の担当部署は総務部行政管理課文書法規係(電話027-898-6533)です。前橋市野HPには、情報公開コーナーでは審査請求も受け付けるとあります。

*****審査請求(情報公開コーナー)*****
非公開の決定に不服があるときは、処分があったことを知った日の翌日から起算して3か月以内に実施機関に対して行政不服審査法の規定に基づく審査請求ができます。
<審査請求に対する決定>

市は、学識経験者で構成する前橋市情報公開審査会の意見を尊重して、審査請求についての裁決をします
**********

■同部署の情報公開担当の萩原氏によると、前橋市では審査請求の受理から裁決までの期間を最大8カ月と規定しているそうです。

 県内の自治体では、例えば群馬県などは審査請求を受理しても、1年以上かかるのはザラで、酷い場合は2年近く放置された事案もあります。前橋市は、市議会の公開度ランキングにおいても、全国60の中核市のなかで、26位に留まっています。ぜひ、迅速な審査の結果、原則開示の基本にしたがって、本件情報の円滑な公開がなされるよう期待したいと思います。


窓口で提出した審査請求書。

審査請求書の要件を満たしているかチェック中の担当職員。

【10月30日追記】
 その後、2020年10月29日付で前橋市長から当会事務局あてに審査会諮問通知書が届きました。この結果、今後8カ月以内に審査手続きが行われ、2021年6月末までに採決結果が公表される見通しになりました。
*****諮問通知書*****ZIP ⇒ 20201030osrm.zip
様式第11号
           審査会諮問通知書
                       令和2年10月29日
市民オンブズマン群馬 様
                    前橋市長 山 本   龍
 行政情報の公開の請求に対する公開決定等に係る審査請求があり、次のとおり前橋市情報公開審査会に諮問したので、前橋市情報公開条例第 1 2 条第 3 項の規定により、通知します。
<公開の請求に係る行政情報の名称又は内容>
(1) 部下への強制わいせつで有罪確定の元管理職に退職行政情報の名称又 手当全額の返納を命じたことがわかる一切の情報
(2) その命令に対して、元管理職が前橋市に対して対応してきたことがわかる一切の情報又は対応しない場合は督促の事実がわかる一切の情報
<公開決定等の内容>
 上記(1)に係る行政情報について、その一部を非公開とし、その他部分を公開した。
 上記(2) に係る行政情報(以下「本件行政情報」という。)について、本件行政情報の存否を明らかにしないで、当該公開請求を拒否した(以下「本件存否応答拒否」という。)。
<審査請求があった日>
 令和2年10月12日
<審査請求の内容>
 本件存否応答拒否を取り消し、本件行政情報の公開を求める。
<諮問した日>
 令和2年10月29日
<備考>
 ー
**********

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

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