市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

群馬高専の杜撰なコロナ対応にみる腐敗体質のツケ…「学生ファースト」になれぬなら教育機関を名乗るな!

2020-04-13 12:54:00 | 群馬高専アカハラ問題

群馬高専HPトップ。「お知らせ」欄には新型コロナ対応の通知が並ぶ。それにしても、学問をする機関を名乗るならば、「お知らせ」の日付くらいすべてキチンと付記してほしいものである。通知を行った日時や時系列すら判然としないのはあまりに粗末ではないか

■瞬く間に日本と世界を覆いつくした新型コロナウイルス(COVID-19)の脅威に対抗するため、本邦はあらゆる「クラスター(感染集団)」潰しに躍起になっています。市民オンブズマン群馬でも、活動上はじめて、クラスター化を避けるため4月の例会を中止することになりました。

 そして、社会的に大規模な「クラスター」予備軍の筆頭として挙げられるのが教育機関であり、小中高、大学、塾・予備校などは、軒並み始業延期やオンライン化などの措置を取らざるを得なくなっています。では国立高専の年度明け後の新型コロナ対応はというと、少なくとも3月~4月初めの時点で、元締めの高専機構からは統一した指示を特に出しておらず、各高専の裁量ということにされているようです。

 群馬高専では、4月3日に入学式を挙行し、授業も6日(月)から平常通り行う構えだったようです。アカハラ犯雑賀洋平の復帰と3J担任就任に関し、当会が電話で抗議と遺憾の意を伝えたのが4月2日13時半過ぎでした。その際、総務課尾内課長は「入学式は間違いなく実施する」「明日の入学式を滞りなく済ませることに注力している」と説明していました。
○2020年4月2日:【速報】群馬高専アカハラ犯の雑賀洋平がJ科3年クラス正担任着任確定!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3142.html

 ところが、4月10日の昼下がりに村田課長補佐と電話口で話すと、「入学式は結局中止とした。更に今週月曜日(4/6)から始める予定だった授業も取りやめ、現時点では5月8日再開予定にしている」と現況が明かされました。どう常識的に考えても、入学式の前日昼過ぎの時点で実施秒読みの状態にあったのに、それを突如中止するとは生半可な話ではありません。そこで経緯を調べてみたところ、群馬高専の呆れた現状が浮き彫りになってきました。

■群馬高専HPの「お知らせ」をチェックすると、4月3日(金)付で、山崎校長が5月6日までの臨時休校(4/6始業の中止)と、学生寮の緊急閉鎖(4/10~5/6)を内部学生や保護者に通達していることがわかります。しかし、4月6日(月)の始業予定を取り止めるのに、たった3日前の通達では、あまりにも遅すぎるし、急すぎます。しかも、土日を挟むため、営業日でいえば前日です。

○群馬高専HP:【重要】臨時休校のお知らせ
http://www.gunma-ct.ac.jp/cms/oshirase/0403rinji.htm
○群馬高専HP:【重要】臨時休校に伴う学生寮の閉寮について
http://www.gunma-ct.ac.jp/cms/oshirase/200403ryo.htm

 ただし上記通知を読むと、臨時休校とはいっても、始業予定日であった4月6日には全学年を生活・学習指導と教科書購入のため登校させ、次いで4月8日及び9日にも健康診断のため登校させていることがわかります。

 しかも、予定通り始業ということで、電車やバスの定期を既に購入してしまった学生も多数いたはずです。公共交通機関各社では定期払戻しの特例を設けて対処しているようなので、金銭的な損害は軽微とみられるのが幸いですが、買ったばかりの定期をすぐ払い戻す二度手間を強いられる学生からしてみればいい迷惑です。

■そして、新入生・保護者に向けた入学式の中止のアナウンスも掲載されています。信じたくありませんが、URLの日付からするに、4月3日、つまり入学式予定日当日に入学式中止のアナウンスが掲載されているようです。通知が出された正確な日時はサイトからは窺い知れませんが、極めて重大な正式アナウンスなのですから、日付(更に言えば時刻)と責任者氏名の最低2点くらいはきちんと明記してほしいものです。

○群馬高専HP:【中止のお知らせ】第59回入学式及び第26回専攻科入学式の実施について(お知らせ)(入学生)
http://www.gunma-ct.ac.jp/cms/oshirase/200403nyug.htm
○群馬高専HP:【中止のお知らせ】第59回入学式及び第26回専攻科入学式の実施について(お知らせ)(入学生保護者様)
http://www.gunma-ct.ac.jp/cms/oshirase/200403nyuho.htm

■さすがに入学式の出席予定者には内々に電話などで通知しているはずと考え、各方面から新入生・学生の反応等を調べてみると、どうも4月2日の夕方ごろ(16時半過ぎ)には通知が始められていたようです。

 そうなると、4月2日、尾内課長が13時半過ぎに入学式決行の固い意志を語ってからものの2~3時間で、突如180度方針転換し、夕方から本科・専攻科新入生二百名以上の家庭一軒一軒に中止の連絡を入れ始めたということになります。既に翌日の出席を前提に各種準備・手配をしていた新入生とその家庭からしてみれば言うまでもなく大迷惑ですが、対応に当たった教職員にもさすがに憐憫の情を禁じ得ないレベルです。上の方針で着々進めていた入学式と始業の準備が一瞬で無駄になってしまった上に、その日のうちに膨大な関係者への説明に追われることになるとは、地獄さながらです。

 群馬高専は、そのまま文字通りの「朝令暮改」を、より正確には「昼令暮改」を成し遂げる伝説を打ち立てたことになります。

■こうした昼令暮改に振り回される一般学生・保護者や職員の負担もさることながら、特に筆者として気になるのは寮生のことです。群馬高専の通知を更に覗いてみると、入学式の中止と合わせて、入学式後に新入寮生対象で予定されていた「入寮式」も中止され、代わりに本来入学式が開かれるはずだった午前9時30分から「入寮ガイダンス」を行うことに急遽変更がなされているのがわかります。この通知も、これまた予定日当日に掲載されています。

○群馬高専HP:入寮式の変更、入寮のためのガイダンスの実施について
http://www.gunma-ct.ac.jp/cms/oshirase/0403ryou.htm

 しかし、「入寮ガイダンス」を行うという事は、4月3日に入寮すること自体は予定通りそのままということになります。しかし、この同日に、3日後の始業取り止めと、4月10日以降の寮の閉鎖も決定・公表されているのですから、たった7日間だけ入寮させる意味が皆無に近いのは明らかです。寮生の場合、地元は遠方の市町村や他県にわたることから、感染・拡散のリスクは更に高く、わざわざ呼んで集めてしまうこと自体がハイリスク要因のはずです。

 確かに前述のとおり、全学生を対象に1、2日ほど登校日が設定されてはいますが、そのためにこの状況でわざわざ遠方から人を呼んで入寮させるというのはナンセンスです。というより、大して重要でもない「不要不急」の用事のために、寮生のみならず全学生対象に登校日を設定すること自体、馬鹿げています。

 さらに言えば、新入寮生や現寮生は、4月6日から夏休みまで平常通り授業が行われることを大前提に、4月初めに実家から寮に移動していたわけです。それを昼令暮改ですぐに帰すわけですから、寮生は無駄にコロナリスクに晒されたうえ、生活のために荷物を持ってきた手間も、往復分の交通費も、ドブに捨てさせられたことになります。自分の財布でないからと、寮生とその家庭の負担も顧みずに杜撰な通達を乱発して好き勝手振り回すのはいかがなものでしょうか。

 群馬高専のこうした無神経が表出した類似例は以前にもありました。2014年1月に南寮で寮生自殺が発生した際も、なぜか無関係の別の棟の寮生まで含めた全寮生に対し、即日寮を出て実家に帰れという命令を日暮れ寸前に発していたという経緯があるようです(https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2061.html、質問2-1)。いくら自殺発生という大事件とはいえ全員をいきなり実家に戻す必要がどこにあったのか、冬の夜に突然百数十人を放り出す方が危ないのではないか、学校都合なのだから遠方在住者の交通費くらい補填すべきではないのか、現場検証など都合の悪いものを隠し自殺発生の事実が外部に漏れないようにしたかっただけではないか、といった疑問を当会から群馬高専に投げたこともありましたが、西尾前校長は無視し、山崎校長も話のすり替えに終始しました(https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2349.html、回答(2)-2)。こうしたことから見るに、自分たちの財布が痛まないのをいいことに学生・寮生とその家庭を無配慮に振り回す群馬高専の悪癖は、いまだ健在のようです。

■もちろん、入学式の中止と始業延期措置自体は、時勢に鑑みれば当然のことであり、極めて妥当な措置といわざるを得ません。問題は、この社会状況にも関わらず、4月2日昼の段階まで入学式挙行と予定通りの始業を押し通す気でいたということです。もっと早く決断をしておけば、急転換で学生(寮生)やその保護者、内部教職員らにここまでの大迷惑がかかることはなかったはずです。

 4月10日に村田課長補佐と会話をした際、「急遽入学式と授業開始を中止したのは、上(国や機構)からの指示というより、群馬県の教育委員会の指示にならった」と強調していました。地域に配慮したということを伝えたかったのかもしれませんが、国立である群馬高専とは系統が全く異なる群馬県教委が口を挟まなければならない事態そのものが異常です。

■そこで、新型コロナ対応の比較のため、近隣の他高専の状況をみてみましょう。

 例えば当会の一大追及先となっている長野高専では、3月19日の時点でいち早く入学式の中止を決定・通達しているようです。問題まみれの長野高専ですが、この迅速な判断は率直に評価できます。
○参考:http://www.nagano-nct.ac.jp/important/docs/nyuugakushikityuushi.pdf

 また、小山高専では3月30日に入学式の延期を決定・通達しているようです(※4/9に中止決定)。
○参考:https://www.oyama-ct.ac.jp/news/%e3%80%90%e9%87%8d%e8%a6%81%e3%80%91%e4%bb%a4%e5%92%8c%ef%bc%92%e5%b9%b4%e5%ba%a6%e3%81%ae%e5%85%a5%e5%ad%a6%e5%bc%8f%e3%81%ab%e3%81%a4%e3%81%84%e3%81%a6/

 さらに、東京高専では3月31日に入学式の延期を決定・通達したようです。
○参考:https://www.tokyo-ct.ac.jp/news/20200331/

 入学式の延期または中止に関する小山高専と東京高専の対応はかなり遅い方ではあるものの、年度内に決定と通達を収めることができたという点において、最終防衛ラインはギリギリ超えなかったという見方もできます。

 そして更に重要なのは、対応が遅かったこの2高専においてすら、健康診断延期・開寮延期としたうえで、更に教科書について、小山高専は販売延期、東京高専は郵送販売とし、学生らが学校に集まる必要性が最初から一切生じないようにしていることです。

 ところが群馬高専は、生活学習指導、教科書購入、健康診断といった不要不急のイベントのために、「臨時休校」にも関わらず登校日を設けて全学生を学校に集めてしまいました。そして新入寮生や現寮生も、無意味な数日でのトンボ返りをするために遠方の実家からわざわざ呼び寄せられてしまいました。コロナ感染と拡大のリスク、学生・寮生とその家庭の負担、教職員の業務混乱と士気低下、いずれの観点からみても、入学式と始業の強行に次いで最低最悪級の対応と評するほかありません。

■年度明け前後の学生や保護者らのSNS上での反応を見ても、相当な不安と混乱が巻き起こっていたことがわかります。

-----------------------------------------------------------

-----------------------------------------------------------

-----------------------------------------------------------

-----------------------------------------------------------

-----------------------------------------------------------
群馬高専の新型コロナ対応について、関係者らの不安や憤りの声がSNS上を埋め尽くした(抜粋引用)。【当会注:学校側からの不利益な取扱いに繋がらないよう、配慮として発言者にかかる箇所を黒塗りし、URLも非掲載としておりますが、万が一苦情や要望があれば、都度応じますのでお申し付けください】

 やはり、前日や当日に入学式の中止や始業延期をするまで決行予定を曲げなかったのは、はっきり言って異常です。他高専や大学等のほとんどは、もっと早くから始業延期や入学式中止の方針を決めて対処しているのであり、仮に自分で情勢を判断する勇気がなくとも、風見鶏でよいのでそれらに合わせておきさえすれば、「無難」な選択には終わったはずです。

■ところで気になるのは、どうやら寸前までの強行の背景には、新型コロナを舐めに舐め切った群馬高専の危機管理トップの暴走があったらしいという情報です。

 高専における「危機管理」として当会が最初に思いつくのは、長野高専の「リスク管理室」です。恒常的にそのような部署が存在しているわけではなく、リスク事案が発生した際に学校幹部らが招集されて構成される委員会的なもののようです。自殺事案や水銀流出事件発生の際にも設けられており、長野高専で発生した数々の重大事件について当会が文書開示を求めた際は、その議事概要をイヤというほど目にしました(参考:https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2745.htmlの記事内リンク群)。このリスク管理室というのは基本的にどの高専においても存在し、各高専の危機管理規則・マニュアル等の規定に則って設けられるもののようです。

 そうすると現在、群馬高専でも、群馬高専版の危機管理規則に則って、リスク管理室ないし危機管理室のようなものが稼働していることが伺われます。H26年度の外部評価報告書(P47)によれば、群馬高専にも確かに「群馬工業高等専門学校危機管理規則」が設けられているようです。

○参考:平成26年度実施高等専門学校機関別認証評価評価報告書(群馬工業高等専門学校)
https://www.gunma-ct.ac.jp/gakko/pdf/houkokusho.pdf

 ところが、群馬高専が肝心の当該規則を公表しておらず、内容がまったく不明です。したがって、外部者はおろか、おそらく内部の学生や保護者からすらも、群馬高専が重大リスク事案に対してどのような体制で臨んでいるのかわからないのです。他の多くの高専ではこうした危機管理に関する情報もきちんとオープンにしているのですが、ここに至っても群馬高専の情報公開意識の低さを見せつけられて唖然としてしまいました。

■仕方がないので、他校の公開情報から群馬高専の対応を類推してみましょう。高専関係者の話によれば、こうした危機管理マニュアルや規則等については、基本的に高専機構がひな形を作って各高専が独自に手直しをしているのが実情のため、根本的な部分で大差はないようです。公表されている各高専のリスク管理規則等のうち、一部を抜粋して以下に示します。

○参考:長野工業高等専門学校リスク管理室規則
http://www.nagano-nct.ac.jp/guide/rule/docs/02-23.pdf
○参考:福島工業高等専門学校リスク管理室規則
http://www.fukushima-nct.ac.jp/upload/04f3ff6a1a69590eb464968ea88aed9f8cadef72.pdf
○参考:新居浜工業高等専門学校危機管理規則
http://www.off.niihama-nct.ac.jp/shomu-a/kisoku-html/3somu/kikikanri.pdf
○参考:沼津高専 危機管理関連情報
http://www.numazu-ct.ac.jp/college/disclosure/risk

 どの高専においても、校長・各主事(副校長)・事務部長は必ずリスク管理室のメンバーとされており、高専によってこれに総務課長や学生課長が入ったり入らなかったりするようです。しかし、半ば当然のことながら、すべての高専においてリスク管理室長=学校長です。

■ところで、各主事(副校長)らは、将来の校長昇格や機構本部栄転のため、校長の犬として擦り寄る傾向が強いようですが、各々が学内で受け持つ領域は分散されており、限定的です。また、各主事は校長が任命し、更迭も自由自在な以上、校長の意に添わない暴走をするというのも考え難いものです。そうなると、あくまで当会の推理としては、暴走したのは山崎校長または亀原正美事務部長兼学生課長のどちらかであるように思われます。

 校長がトップダウンで予定通りの入学式挙行・授業開始を固辞したという見方はかなりの説得力を持ちます。一方で、「亀原説」も説得力を持っているように思われます。というのも亀原氏は事務部長と学生課長の兼務であり、掌握している学内領域と権限は極めて多大なものとみられるからです。それは取りもなおせば、新型コロナで入学式中止や授業開始延期などといったイレギュラーに手を出せば、途方もない事務負担が降りかかるわけであり、「動機」の観点でも一定の整合性があるように思料されます。

 いずれにせよ、リスク管理に関する学内決定の最高・最終決定権と責任は山崎誠校長にあるのですから、今回の杜撰極まる新型コロナ対応について、批判を避けることはできません。

■一時期、高専関係者らの間で他高専への異動の可能性も取り沙汰されていた山崎校長ですが、2020年度も留任となりました。最初からそのような話自体が無かったのか、あるいは緊迫する新型コロナ情勢の中で年度明け前後の対応が大混乱に陥ることを危惧した高専機構によって急遽据え置きとされたのか、真相は今後も闇の中です。

○2020年3月22日:群馬高専アカハラ・寮生連続死問題を追う…2020年度目前のいま注目される群馬高専の現況
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3138.html

 今後2020年度以降も留任することになった山崎校長が、今回の滅茶苦茶な新型コロナ対応と雑賀洋平復帰&3J担任就任強行のダブルパンチによって、学生・保護者からまとめて買った不安と反感はかなりのものでしょう。

 このダブルパンチはどちらも、学生・保護者や一般教職員のことなど微塵も顧みることのない、そして自分の身と一部幹部の利害しか視界に入れない腐敗しきった学校運営の発露であり、その点において同根です。そして、教育を受ける学生たちのことを第一に考えられないのであれば、それはもはや教育機関とは呼べません。

 これは同時に、腐敗していく学校運営へのチェックと追及を怠ってきた保護者側の責任でもあります。後援会の面々も、コロナがある程度収まったら、今度こそ子供可愛さに学校に忖度することなく、キッチリと苦情・抗議を申し立てるべきです。学校の腐敗を是正しようとしない無責任な姿勢は、結果として自分の子供が振り回され窮地に立たされることに繋がるのだと、いい加減に認識しなければなりません。

■新型コロナ対応が思わぬ映し鏡となって、学生・保護者や一般教職員をコケ同然に扱う群馬高専の体たらくがまた一つ明らかとなった今般、当会では引き続き、山崎誠校長の高配により晴れて3J新担任となったアカハラ犯・雑賀洋平との決着を付けるべく活動してまいります。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

コメント (15)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【高専過剰不開示体質是正訴訟・報告】緊急事態宣言に揺れる東京で原告当会が第二次訴訟準備書面(1)提出!

2020-04-13 01:53:00 | 群馬高専アカハラ問題
■群馬高専アカハラ犯の雑賀洋平が沼津に「人事交流」で異動していた最中、この「異動」に関する経緯等情報の開示を求めたところ、沼津異動期間がなぜか黒塗りとされて文書が出てきました。裏には、高専機構の情報不開示アドバイザーであるいつもの銀座の弁護士の影がありました。とにかく執拗に延々と理不尽な黒塗りで嫌がらせしてくることに辟易としたため、高専過剰不開示体質是正訴訟の一環として、ここに争点を絞った訴訟を提起し、第二次訴訟としておりましたことは既報のとおりです。

○2019年10月20日:高専組織の情報隠蔽体質是正は成るか?オンブズが東京地裁に新たなる提訴!(その3)
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3057.html
○2020年3月5日:【高専過剰不開示体質是正訴訟・報告】第二次提訴に対する高専機構からの答弁書と第一回口頭弁論の様子
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3128.html

 そして上記報告記事のとおり、1月29日に被告答弁書が出され、2月4日に第一回口頭弁論が開かれました。被告の説明不足を指摘した裁判長の訴訟指揮により、3月3日に答弁書補充となる被告準備書面(1)が提出されたため、原告が答弁書・被告準備書面(1)への反論となる準備書面を書いて提出する番になりました。原告の今回反論では、被告高専機構の「一見それらしい」主張に裁判官が流されないよう、杜撰極まりない主張の一点一点を逃さずキッチリ指摘していくことに専念することに決めました。

■第一回口頭弁論で設定された提出日は6日だったので、この日の提出を予定していましたが、原告担当者がコロナ対応に追われた上に証拠作成で一部トラブルがあり、やむを得ず翌7日の昼過ぎに東京地裁で原告準備書面(1)を提出することにしました。奇しくもこの日は、安倍首相が新型コロナ緊急事態宣言を発令することになった歴史的な一日であり、対象地域の筆頭となった東京における、発令数時間前の静寂と混乱は、際立って筆者を包み込みました。

 当日高崎発のMaxたにがわ316号で東京に向かいました。群馬県では4月4日時点で新型コロナウイルスの感染者は東毛を中心に26名発生していましたが、このうち2名は高崎市居住者で、一人はフィリピンから帰国した60代男性、もう一人は日本光電富岡事業所勤務の40代男性でした。車内アナウンスでも新型コロナ対策を日本語と英語で流しており、WHOによってCOVID-19と命名された新型コロナウイルスの蔓延る東京にこれから向かうと思うと緊張感が高まります。

 台湾から送ってもらった米国製N95マスクを付けているので、ある程度は安心感もあるものの、油断できません。なにしろ東京都内では、1日当たりの感染者数が4月4日に初めて3桁の118名となり、同5日にはさらに増えて143人確認されていたからです。前日の同6日は、都内で新たに83人の感染者が確認され、一見減少したかに見えますが、日曜日の報告だったため、受診者が少なかっただけのことで、報道によればこのうち約88%に当たる73人が感染経路不明ということです。この時点で都内の感染確認者数は累計で1116人となりました。



 Maxたにがわの10号車2階席に座ると僅かに5名しか居ませんでした。かなり、新型コロナによる影響が顕著に表れています。東京駅について、コンコースを丸の内側中央口に移動する際も、人影はまばらでした。地下鉄には割合乗車していましたが、問題なく座ることができました。



 霞が関で降り、地表に上がり、裁判所に着きました。裁判所では、職員用の入口には何名かパスを見せて入っていきましたが、一般用の入口には誰もいませんでした。筆者は、所持品を金属探知機に通し、自らもゲート型金属探知機をくぐって裁判所のロビーに入りました。正面の机の上に、消毒用のアルコールが置いてあったので、よく手に擦り込んでから、民事第51部受付のある10階にエレベータで上りました。いつもなら必ず5、6人以上が待っていて乗り込むのですが、ドアが閉まる寸前にもう一人入ってきただけでした。

 受付窓口で持参した第二次訴訟の原告準備書面(1)と証拠説明書及び甲号証一式を提出すると、中にいた男性職員がやってきて、正本と副本をあずかり、「少々お待ちください」と言って席に戻りました。職員数名のうち、マスクをしている人は女性職員1名しか居ませんでした。

 すると、男性職員は隣の職員(上司か)に何やら声を掛けて相談している風情です。すると二人で壁際の書棚を開けて何やら確認している風情です。5分ほどしてもどってきた男性職員は「申し訳ありませんが、正本は預かりますが、副本は被告訴訟代理人のほうに、自分で送るようにしてください」と筆者に伝えました。どうやら、郵送で送る手間を嫌っている風情です。仕方がないので、郵便局から副本一式を簡易書留で被告訴訟代理人の弁護士事務所宛に郵送することにしました。

 というわけで、正本は裁判所に受理してもらいましたので、ホッとした気持ちで帰路に就きました。

■4月7日に提出した第二次訴訟の原告準備書面(1)の内容は以下のとおりです。

*****原告準備書面(1)*****ZIP ⇒ 2020040701ipj.zip
令和元年(行ウ)第549号 法人文書不開示処分取消請求事件
原告  市民オンブズマン群馬
被告  独立行政法人国立高等専門学校機構

            原告準備書面(1)
                            令和2年4月6日
東京地方裁判所民事第51部2B係  御中

                    原告  市民オンブズマン群馬
                        代表 小川 賢

              記

 令和2年1月29日付け答弁書(以下「答弁書」),及び,第1回口頭弁論における訴訟指揮を踏まえた答弁書の補充説明である令和2年3月3日付け準備書面(1)(以下「被告準備書面(1)」)での被告側主張に対し,以下反論する。

1 法5条4号ヘにかかる被告側主張への反論
 被告は,本決定のうち別紙に示す情報(派遣期間情報)の不開示正当性について,答弁書及び被告準備書面(1)において種々主張するが,そのうち,法5条4号ヘ該当性を主張したものは,以下の(1)(2)(3)の3点に集約されることが明らかなため,この各々について反論する。


(1)答弁書3項3段落目中主張に対する反論
  被告は,かかる箇所において,「派遣期間は1年から3年と事案により異なっており,派遣元校と受入校と各高専の管理者(学校長等)以外には,派遣期間を公開していない。」などとしたうえで,「たとえば派遣期間が長期の場合には派遣元校の学科における教員の補充の必要性が他の高専の教員や被告への採用希望者に明らかとなり,他の高専の教員や採用希望者による恣意的な異動及び採用の応募(人事交流制度を活用した応募)等がなされるおそれがあるなど,被告における教員の採用などの人事管理に支障をきたすおそれがある。」とし,法5条4号ヘ該当性を主張するようである。

  結論から述べれば,被告のこの説明は,意味をなさない支離滅裂なものであると評さざるを得ない。被告の説明の前提となる状況,たとえば,派遣元校が人事交流制度によりその教員を他校に異動させ,そのため「教員の補充の必要性」(以下「補充必要性」)が生じた状況があったとする。すると当然,派遣元校は,下のア・イのいずれかに示す手段により人員補充を行うことになると考えられるから,それぞれの場合について被告主張の妥当性を検討する。

 ア 一般採用により,正規教員または非常勤講師が補充される場合は,公募によりその「補充必要性」を公表周知のうえ,公平かつ厳正に募集選考が行われ,最終的には派遣元校(の校長)の判断と権限により採用される。したがって,「被告への採用希望者」にとって,派遣期間情報から(公然の事実でしかない)そのような補充必要性を知る意味自体がそもそも無いし,被告のいう「恣意的な応募」なる言葉の意味も原告として測りかねると言わざるを得ない。少なくとも,派遣元校が主体的に「補充必要性」を公に明かして募集をかけなければ応募もまた不可能なのは当たり前であって,人員募集もしていないのに勝手に「恣意的な応募」をすることは不可能である。また,そのような応募がなされたところで,派遣元校は公平な選考及び合理的な採用を行うのみであり,その過程上,派遣期間情報を知ることが「被告への採用希望者」に有利に働くことは,極めて想定しがたい。
   加えて,派遣が行われる前であればともかく,実際に派遣が行われている最中,または以後の段階においては,既に(被告のいうように,非常勤講師の雇入等の手段で)派遣元校において派遣対象者分の人員補充は(その転出と入れ替わりに)なされているのであって,「被告への採用希望者」がこうした段階になって派遣期間情報を得たとして,新たに補充必要性を知り,「恣意的な応募」を行うことは,時系列として不可能である。派遣が長期にわたる場合でも,補充された人員が途中でその任を果たせなくなった場合にのみ補充必要性が生じるのであり,逆にそのことまで予見して初めて補充必要性も予見できるのだから,派遣開始後に,派遣期間が長期にわたる事実が明らかになることと,教員の補充の必要性が明らかになることの間に,直接の繋がりはない。したがって被告の主張に合理性はない。

 イ 他校から人事交流制度により補充する場合を検討する。ここで,甲5に示した高専・両技科大間教員交流制度実施要項(以下「実施要項」)の4項を参照すると,高専教員が人事交流制度の利用を希望する際には,派遣希望校を指定するか,あるいは無指定かを選択できることになっていることがわかる。ここに照らすと,被告のいう「恣意的な応募」は,文脈からして,派遣希望校を指定する形で行われるものと解するのが妥当と考えられる。しかし,まず同項(1)①のとおり,その場合は希望者の在籍する他高専の校長が,希望先高専(=派遣元校)の校長とあらかじめ直接協議し,受け入れに関する承諾を得なければならない事実は明らかである。したがって,仮に,(被告のいう)「派遣期間情報開示によって補充必要性が明らかになる」という事態が生じ,それによって他高専教員による(被告のいう)「恣意的な応募」が成立したとして,派遣元校は自らの判断でそれを容易かつ選択的に却下できるのであって,自らの人事に深刻な影響が及ぶとする被告の主張は,理解しがたい。
   また,毎年度の人事交流制度実施にあたって,そもそも教員補充の必要性がある各高専は,「受入希望」という形で主体的に,同制度による教員受け入れを希望する事実・受け入れを希望する分野・希望期間などを被告内部に告知しており(甲9),高専教員にとってみれば派遣期間情報によって補充必要性を知る意味自体が皆無であり,被告のいう「恣意的な応募」自体がそもそも成立しないことも明らかである。
   加えて,派遣が行われる前であればともかく,実際に派遣が行われている最中,または以後の段階においては,常識として既に(被告のいうように,非常勤講師の雇入等の手段で)派遣元校において派遣対象者分の人員補充は(その転出と入れ替わりに)なされているのであって,他高専教員がこうした段階で派遣期間情報を得たとして,新たに補充必要性を知り,恣意的な応募を行うことは,時系列として不可能である。派遣が長期にわたる場合でも,補充された人員が途中でその任を果たせなくなった場合にのみ補充必要性が生じるのであり,逆にその事実まで予見して初めて補充必要性も予見できるのだから,派遣開始後に,派遣期間が長期にわたる事実が明らかになることと,教員の補充の必要性が明らかになることの間に,直接の繋がりはない。したがって被告の主張に合理性はない。

   以上の通り,被告の上記主張には一切の妥当性が認められず,また多くの箇所においてその意図を測りかねるものであり,失当である。

(2)答弁書3項4段落目中主張に対する反論
  被告は,かかる箇所において,「『高専間人事交流』における派遣期間は,派遣元校と受入校に所属する教員にも公開されていない。甲第3,4号証の交流期間派遣期間が開示されると,『高専間人事交流』の派遣元校と受入校の教員や派遣される教員,派遣により欠員を補充するために派遣元校が募集する教員候補者に派遣期間が明らかとなる。」(鍵括弧のみ原告で修正)としたうえで,「たとえば派遣期間が短期である場合には,派遣元校で採用される非常勤講師や受入校に派遣される教員が,それぞれの職場において他の教員が(ママ)短期の勤務に留まることを前提に実質的な業務を分担させてもらえなかったり,他の教員に採用期間が知られていることにより職務を担当するうえで支障が生じるのではないか,といったことを懸念して,派遣元校への採用や人事交流制度への応募を躊躇するなど,教員採用や『高専間人事交流』制度の円滑な運営に支障を来すことも考えられる。」とし,法5条4号ヘ該当性を主張するようである。また,被告準備書面(1)2項2段落目でも同様主張を繰り返す。

  この箇所について検討すると,まず,人事交流制度を利用した教員の派遣期間が派遣元校や受入校の教員に伝達されない,という被告の主張は,事実でないか,実際の運用・慣例から著しく乖離したものである。高専間交流制度において,確かに派遣とその受入に関するやり取り,及び理事長からの派遣決定通知の受領は各高専校長の役割であるが,しかし,派遣した・された事実,かかる教員名,派遣元・受入先の学科名,そしてその期間等情報について,学校長が内部の教員や学生に伝えてはならないという守秘義務を課されている,あるいは慣例としてそう運用しているという事実は一切認められない(あるとすれば,被告が証明する必要がある)。
  事実,派遣期間については,トラブル回避や情報共有,人物紹介のため,教員本人や各高専管理者から,口頭または文書,ホームページ,始業式やオリエンテーション等における挨拶で,教員や学生に周知することが通例である(この事実については本準備書面2項ないし3項でもあらためて触れる)。少なくとも,被告が上記説明のような事情を念頭に,全高専の人事交流当事者や幹部に対して,派遣期間情報を積極的に非開示・非通達にするように命じてきているといった事実関係は一切うかがわれないのであって,こうした事実関係にも関わらず,「教員に情報が伝わった場合」などとして,不利益を殊更に強調する被告の上記説明は,不開示を正当化するために後付けで組み立てたものではないかという疑念を抱かせるに足るものである。
  また,「派遣期間の公開対象とならない者」についての被告の説明にも揺れがみられる。準備書面1項3段落目において,「派遣期間は,被告理事長から高専の校長に連絡するのみであり,派遣元受入先の教職員に開示される扱いとはなっていない。」と,あたかも学校長のみが知り得る情報であるかのように読める記載をしているが,他方で答弁書3項3段落目においては「派遣元校と受入校と各高専の管理者(学校長等)以外には,派遣期間を公開していない。」と,学校長「等」との表記により,よしんば末端の教職員は対象でないとしても,校長以外の(中間)管理職の教職員(具体的には,総務課人事等の事務幹部,各種学務主事,そして学科長等)には伝達されることを明瞭に示唆・言及しているのであり,上記のような勘違いを生じさせる文言は,不誠実といわざるを得ない。
  ところで,学科に所属する教員の業務調整は,当然,各学科を統括・管理する学科長がおこなうのが基本であるが,学科長には派遣期間も含めて当然一切の人事情報が知らされているものであり,したがって,派遣期間が知られてしまうと業務を回してもらえない,などという被告の懸念は,そもそも根底から成立するはずがないものである。
  加えて,仮に被告の主張するとおりの人事・情報の運用がなされていたとすれば,受入校受入学科(特にその管理者)からすれば,派遣教員は「派遣可能期間のうちいつまで在籍するかまったく不明で,しかも年度末に突然辞める可能性が高い人物」ということになる。だが,常識として,派遣元に帰る時期も不明のまま恐る恐る業務の割り当てを組むこと,次年度も受け持つ前提で業務配分していたら突然帰られてしまうこと,の方がよほど組織にとって「人事運営の支障」なのであって,そのような人物に年度を跨ぐような業務をそもそも分担させることなど有り得ないのは明らかである。もし派遣期間情報を完全に秘匿し,かつ他の教員と分け隔てなく重大な業務を種々任せたうえで,突如派遣教員が派遣元に帰るようなことが常態化しているのであれば,それこそ人事・業務への大損害が毎年の各地高専で頻発していることになってしまうのであり,そうした単純な論理とすら整合性が取れない被告の主張は,極めて支離滅裂と言わざるを得ない。実際,各高専における運用事実として,一般的に,各教員の参加する学科内会議においても,人事交流の派遣期間等は前提に業務割り当てを決めるのが通例である。

  したがって,この箇所についても被告の主張に妥当性は認められない。

(3)被告準備書面(1)2項3段落目中主張に対する反論
  被告は,かかる箇所において,「また,派遣元の高専において非常勤講師を採用する場面でも,派遣期間が認知されることにより,採用されたとしても更新の可能性が低いと応募者側が判断して応募を見合わせるなど,非常勤講師の採用活動に支障を来すことも考えられる。」などとし,法5条4号ヘ該当性を主張するようである。

  確かに,非常勤講師の雇用は形式上1年ごとの更新(有期雇用契約)であることは事実だが,現実の各高専における人事運用の話をすると,人事交流制度により派遣された教員の穴埋めとして非常勤講師を採用する場面においては,トラブルや誤解を回避するため,採用の際に見込まれる勤務期間を口頭などであらかじめ伝えることが通常であり,被告の説明は事実でないか,実際の運用・慣例から著しく乖離したものであるといわざるを得ない。
  そして,被告のかかる主張をそのまま採用するのであれば,別個の大問題が生じてくるという点もここで指摘しておく。まず,非常勤講師はいわゆる有期雇用労働者の扱いであるが,法律や厚生労働省の基準の定めから,更新可能性は必ず労働条件として提示の上で契約に至るはずである(念のために言及しておくと,行政執行法人以外の独立行政法人の職員は国家公務員ではないため,労働基準法や労働契約法の適用除外にあたらないと解され,当然独立行政法人である被告もこれに該当するはずである)。ここで,厚生労働省の「有期労働契約の締結,更新及び雇止めに関する基準」の第1条を参照すると,有期労働契約を締結する際は,契約更新について,その(見込みの)有無・可能性・契約更新の条件などについて,しっかりと明示されなければならないことになっている(甲10,甲11)。また,被告自身の「非常勤教職員就業規則」第9条においても,労働条件の明示として,契約更新及び雇止めに関する事項が定められている(甲12)。
  そして,被告自身説明する通り,ここで焦点となる「非常勤講師」は,正規教員が,人事交流制度によって,期間があらかじめ設定された上で他校に派遣されるにあたり,その穴埋めとして採用される者である。その採用趣旨からして,ある年度末に派遣されていた教員が派遣期間を終えて派遣元校に復帰するかどうかと,更新可能性の有無が直結しているのは明らかであり,被告はあらかじめそのことを十分に認知している以外にない。
  しかるに,「非常勤講師を採用する場面でも,派遣期間が認知されることにより,採用されたとしても更新の可能性が低いと応募者側が判断して応募を見合わせるなど」という被告の主張は,たとえば採用の際,次年度契約更新の可能性が皆無であるとあらかじめ分かっているのにも関わらず,そのことに一切触れないまま,契約に至らせることを優先して,「更新可能性有」などと虚偽を伝えていると自白するに等しいものである。なお念のため,東京労働局に対して,原告から架電で当該事項に関する確認をしたところにおいても,そのようなことは許されないとの見解であった(甲13)。
  したがって,仮に被告の主張するような不利益が万が一現実に起こり得るとしても,それ自体が労働契約の観点から異常というほかないものであり,一切にわたって正当性は認められない。

  よって,被告の主張のうちこの箇所についても,採用に値するものはない。

  以上(1)(2)(3)から,派遣期間情報が法5条4号ヘ(人事管理に係る事務に関し,公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれのある情報)に該当するという被告の主張は,一切にわたって失当というほかない。

2 法5条1号但書イにかかる被告側主張への反論
 被告は,答弁書3項の最終段落において,要旨,被告において派遣期間情報を開示する慣行がないとして,かかる情報が法5条1号但書イ(慣行として公にされることが予定されている情報)に該当しないと主張するようである。
 しかし,被告のいう「開示する慣行がない」というのは,たんに,全国の各51国立高専を設置・運営する独立行政法人高等専門学校機構という統括組織としては,派遣期間情報が記された文書を各高専内部の一般教職員や学生に向けて配布・掲示させたり,あるいは外部に向けてそうした情報をインターネット上に掲載・公表したりといった積極的な措置をおこなっていない,というだけの話に過ぎない。重要なのは,その一方で,特に各高専や関係者に対して派遣期間情報を積極的に不開示情報として扱うよう定めているという事実も認められないということである。事実,派遣先高専(被告内部署の扱い)が慣例として派遣期間情報を公表している事例も認められ(甲14),被告内部において,派遣期間を他言無用とした規定ないし慣例が存在しないことは明らかである。
 また,訴状別紙に示す派遣期間情報は,実際に高専機構理事長により決定・内示されたものであり,実際に行われる派遣の様態そのものであって,最終的には現実の在籍状況(公開情報)と照らし合わせることでおのずと判明するものである。ここで,法第5条一号ただし書きイの「慣行として公」とは,同種の情報(題目や作成目的ではなく,情報として等価であればよい)が公衆の知り得る状態に置かれることも含まれ,そして「予定されている」とは,慣行として当然公表が予期されれば足り,特段の意思決定は不要である。したがって,同種情報の公表が当然予期される状態にある派遣期間情報が法第5条一号ただし書きイの「慣行として公にすることが予定されている情報」に該当することは明らかであり,一方で法5条4号ヘに該当しないことは前項で述べたとおりであるから,開示を妨げる理由はない。
 また,被告は答弁書において,雑賀氏が派遣期間情報に自ら言及している事実をもって被告における慣行とはならない旨も主張するようである。しかし,原告が訴状においてかかる事実を適示し甲8号証を提出したことは,次項であらためて指摘するとおり,雑賀氏の派遣期間情報の法5条第四号ヘ非該当性が明らかで法6条の適用が可能であることの指摘を念頭としたものであり,法5条一号ただし書きイとの兼ね合いを検討したものではない。訴状を読めばこのことは明らかであり,「対象教員が自ら派遣期間に言及したとしても,それが被告における慣行とはならないことは明らかである。」と見当違いな否定を繰り出されたところで,そもそも原告自身そうした意図を念頭に置いていないのであって,単なる被告の誤読に基づいたいわゆる藁人形論法でしかなく,原告としては当惑するほかない。被告のかかる主張にはまったく意味がない。

 よって,法5条1号但書イにかかる被告の主張にも,考慮に値するものはない。

3 法6条の観点からの検討
 そもそも原告の請求は,訴状別紙のとおり,雑賀氏個人の派遣期間情報に限定してその開示を求めているものであり,必ずしも,毎年の人事交流制度を利用して派遣された被告の教員のすべてについて求めているわけではない。また,繰り返すとおり,原告の請求する派遣期間情報は,被告における内部検討案等ではなく,実際に被告内部で決定・通知されており,変更の余地がなく現実と一致する蓋然性が極めて高いと認められるものである。
 したがって仮に,原告の前2項にわたる主張をすべて無視したとしても,なお甲8号証のとおり,雑賀氏の派遣期間にかかる情報がすでに公知のものとなっているのであり,この事実はどのような理屈を以ってしても否定できない。よって,少なくとも訴状別紙に示す雑賀氏個人の派遣期間情報に限って開示したところで,被告が答弁書及び被告準備書面(1)において主張するような「公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれ」が新たに生じ得る状況にないのは言うまでもなく,法5条四号ヘに該当しないのは明らかである。そして被告が派遣期間情報の不開示を正当とする法的根拠は法の同条同号以外にないが,それが否定されているうえに,例えば被告全体におけるある年度の人事交流教員リスト等についても,その記載形式を参照してもわかるとおり(甲15),特定教員にかかる情報が他の情報と容易に区分できるのは明らかだから,法6条の部分開示義務に則って訴状別紙の派遣期間情報が開示されなければならないことは当然である。
 付言すれば,人事交流によって教員が派遣される際に,派遣先または派遣元となった各高専,および各学科,および派遣当事者の各教員の単位で,学内外にその派遣期間を知らしめることが常態的に行われている事実は,甲8や甲14のほか,甲16,17などによっても明らかである。そうした者に関しては法5条四号ヘのおそれが原理的に生じないのは言うまでもないのだから,被告が開示に当たって各教員の派遣期間情報の学内通知・学外公表事実の確認作業すらせずに一律不開示とし,法6条の部分開示義務を怠っていることにも弁解の余地はない。

 本決定のうち訴状別紙に示す情報について不開示とした処分は,速やかに取り消されるべきである。

                              以上
**********

○証拠説明書(甲9-17) ZIP ⇒ 2020040702ibx17j.zip
○書証(甲9号証~甲17号証) ZIP ⇒
甲9・10号証:
2020040704b9e10.zip
甲11号証(P01-05/P06-10/P11-15):
2020040705ab11p14.zip
2020040705bb11p58.zip
2020040705cb11p912.zip
甲12・13号証:
2020040707b12e13.zip
甲14・15号証:
2020040709b14e15.zip
甲16・17号証:
2020040711b16e17.zip
○被告訴訟代理人あて送付書兼受領書 ZIP ⇒
20200407ti1j.zip

■そして提出を終えた直後の午後4時に、この準備書面を出した第二次訴訟ではなく第一次訴訟を担当する山口書記官から着電し、4月14日に予定されていた口頭弁論の取消のみならず東京地裁で予定されている全裁判の取消が告げられたことは、既報のとおりです。

○2020年4月7日:【お知らせ】新型コロナ緊急事態宣言のため高専過剰不開示体質是正訴訟の審理が一時中断
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3144.html

 重ねて、その2日後の9日朝にも東京地裁から着電し、原告が今回提出した準備書面を陳述するはずだった4月21日の第二次訴訟第二回口頭弁論も取消・再日程未定を伝達されました。

 時勢を鑑みれば仕方ありませんが、始まったばかりだった高専過剰不開示体質是正訴訟プロジェクトはこれで完全に一時凍結状態になり、大きく判決までの道のりが伸ばされてしまいました。高専機構・弁護士側としても、思わぬ形で原告側の準備書面への反論をじっくり作る時間を与えられたことになります。高専教員の高専間人事交流制度という極めて知名度も理解度も低い領域の話であることを利用し、また現実とかけ離れたでっち上げ理論の数々を作りあげ、勢いで裁判官を惑わせに来る作戦を取ってくるでしょうから、この時間は「創作タイム」には持ってこいでしょう。

 当会として、そうした高専機構側の作戦を予期しつつ、緊急事態宣言で空いた時間を無駄にしないよう情報収集に努めてまいります。宙に浮いた第二次訴訟の口頭弁論日程については、後日決まり次第ご報告します。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする