市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

【続報】高崎芸術劇場の官製談合事件……高崎市長が新設するというコンプライアンス室のいまさら感

2019-11-21 23:49:00 | 高崎市の行政問題
■11月18日に公にされた高崎芸術劇場を巡る不祥事件は、19日未明の県警の家宅捜索を経て、20日の新聞や放送でさらに詳しく報じられました。その中で気になるのは、富岡市長の側近中の側近が3名とも送検されたにもかかわらず、自らは「(市職員の佐藤容疑者の)監督責任」と、「影武者」や「天皇」と呼ばれいつもアポなしで会っていた菅田容疑者を同劇場の指定管理団体の副理事長にした任命責任は認めたものの、選挙で支援を受けた高崎高校同総会長でもある老舗の電気設備会社社長の阿久沢容疑者への道義的責任については、記者会見で触れず仕舞いでした。

2019年1月26日(土)15:47、第117回群馬県立高崎中学校・高崎高等学校同窓会における役員改選で、満場一致で新会長に選任され、挨拶する阿久澤茂容疑者。この10カ月後、逮捕送検されるとは誰一人予想し得なかった。筆者もいまだに半信半疑。真相をぜひとも語ってもらいたい。

 さらに噴飯モノなのは、今回の官製談合事件を受けて、来月12月に、弁護士を顧問にして、職員3人による「コンプライアンス室(仮称)」を設置すると、11月19日に市役所で開いた緊急記者会見で発表したことです。ほとんど無法状態も同然の高崎市政であり、いまさら、という感のコンプライアンスですが、弁護士に、例えば、仮に富岡市長と同窓の長井友之弁護士(たかさき法律事務所)を顧問に迎えた時には、いったいどうコンプライアンスを担保するつもりなのでしょうか。同弁護士については、弁護士会に懲戒請求を出したこともある当会としては、富岡賢治市長が、どのような弁護士を顧問に起用するのか、大きな関心事です。

■それでは、本日11月20日のこの事件の報道記事を見てみましょう。

**********上毛新聞2019年11月20日
官製談合疑いで3容疑者逮捕 オープン直後 高崎芸術劇場に激震

(上)高崎芸術劇場から段ボールを運び出す捜査員=19日午前5時50分ごろ (下)高崎市役所から段ボールを運び出し、車に積み込む捜査員。約50人態勢で行った=19日午前7時45分ごろ

職員らの逮捕を受け、記者会見する富岡賢治高崎市長(中央)ら
 群馬県高崎市の文化施設「高崎芸術劇場」で使う照明設備の同市発注の指名競争入札に際し、予定価格を漏らしたなどとして、群馬県警捜査2課と高崎署は19日までに、官製談合防止法違反と公契約関係競売入札妨害の疑いで、高崎財団副理事長の菅田明則(66)=安中市安中=ら3容疑者を逮捕した。県警は同日、市役所や同劇場、高崎財団など関係先を家宅捜索し、資料などを押収。詳しい犯行の経緯や3人の関係性などを詳しく調べている。高崎市長の側近3人の逮捕劇は、関係者に衝撃を与えた。(一部地域既報)

 ほかに逮捕したのは、高崎市課長で同劇場副館長の佐藤育男(50)=高崎市大八木町、阿久沢電機社長の阿久沢茂(68)=同市江木町=両容疑者。
 3人の逮捕容疑は共謀して1月ごろ、同劇場の照明設備の備品購入を巡り、同社に落札させようとして予定価格5800万円(税抜き)を漏らし、5680万円で落札させて入札の公正を害した疑い。県警は3人の認否を明らかにしていない。
 県警によると、備品は劇場に使用されるムービングライト32台。市内の電気工事関係の13業者による指名競争入札で市が発注した。
 3人はいずれも高崎高のOB。菅田、阿久沢両容疑者は長年の知人とされ、佐藤容疑者も菅田容疑者と親しい仲だったという。
 捜査関係者らによると、3人は大筋で容疑を認めているといい、菅田容疑者は「劇場を良くするため、海外製の特殊な照明設備を入れたかった。この製品を取り扱っている阿久沢電機が受注できるようにしたかった」という趣旨の供述をしているという。
 市内では、限られた業者しかこの照明を取り扱っていないとされ、菅田容疑者は阿久沢電機が受注できるよう、同市都市集客施設整備室長だった佐藤容疑者に価格を教えるよう働き掛けたとみられる。
【激震 高崎官製談合 -上-】
「市民の信頼損なう行為」
 席についた富岡賢治市長の目はうつろで、いつになく言葉は弱弱しかった。高崎芸術劇場館長や市課長ら3人の逮捕から一夜明けた19日の記者会見。落胆の色を隠せない様子の富岡市長は「(3人の容疑が)事実であればよくないこと。行政に対する市民の信頼を損なう行為であり、深くおわびしたい」と頭を下げた。
◆順法意識薄く
 事件の一員にコンプライアンス(法令順守)の意識が薄かったことを挙げ、外部の弁護士をトップに置く「コンプライアンス室(仮)」を12月にも創設する意向を示唆。任命責任を認め、自身への処分も検討していることを明かした。
 信頼を寄せていた側近に裏切られた形だ。富岡市長は初出馬した2011年の市長選を控え知り合った菅田明則容疑者を「企画力と人脈がずばぬけている。アイデアマンであり、アーティスト」と評価。雌雄施設の管理運営を担う高崎財団の副理事長に登用し、同劇場の館長を依頼した。
 民間出身のやり手社長がトップからの〝お墨付き〟をもらったことで、存在感はさらに強まった。ベテラン市議の一人は、社長を務めるラジオ高崎など菅田容疑者の関わる企業が市からの仕事を受けるケースが増えている印象を受けるという。
◆絶対の影響力
 「菅田さんに話を通さなければ仕事を受けられないという話も聞く。天の声である彼の頼みを一職員が逆らえるはずがない」と同市議。
 一方、市課長の佐藤育男容疑者は富岡市長の秘書を務めていたこともあり、富岡市長は「仕事の処理が早く、確実でしっかりしている。人柄もいい」として同劇場副館長を任せた」という。
 同劇場は文化や芸術を発信する施設として、市が約260億円を投じてJR高崎駅東口に整備し、9月に開館したばかり。ある市職員は「誘客に向けてこれからという時で、最悪のタイミング」と肩を落とす。
 会見で何度も「残念」という言葉を使った富岡市長。同劇場や高崎アリーナの建設を推し進め、どのようなイベントを開催するのかと言った企画を一手に担っていた菅田容疑者や、自身の後援会幹部の阿久沢容疑者の逮捕によって今後の施策にどこまで影響が出るのか。4月の市長選で24年ぶりの無投票で3選した富岡市政が、揺れ動いている。

 3期目の富岡市政に激震が走った。市の中枢を担っていた側近3人が逮捕されるという非常事態に、県内最大都市の高崎市は、今度も魅力を高めていくことができるのか。影響は計り知れない。(次回から社会面)
=====社会面1=====
菅田容疑者ら3人送検 高崎官製談合

(左)うつむいて送検される菅田容疑者=19日午後1時すぎ、前橋署 (中)硬い表情で送検される佐藤容疑者=19日午後0時40分ごろ、高崎署 (右)前橋地検に向かう車内でかがみ込む阿久沢容疑者=19日午後1時ごろ、前橋署
 「高崎芸術劇場」の備品購入を巡る官製談合事件で、官製談合防止法違反などの容疑で逮捕された高崎財団副理事長、菅田明則容疑者(66)=安中市安中=ら3人は19日の送検時、硬い表情を崩さなかった。
 他に送検されたのは、高崎市課長で同劇場副館長の佐藤育男(50)=高崎市大八木町=と、阿久沢電機社長の阿久沢茂(68)=同市江木町の両容疑者。
 佐藤容疑者は同日午後0時40分ごろ、高崎署を車で出た。灰色スエット姿で表情を変えず、少しうつむいた様子だった。
 菅田、阿久沢両容疑者は同日午後1時ごろ、前橋署から送検された。菅田容疑者は黄緑色ジャージー姿でややうつむき、目を伏せていた。阿久沢容疑者は顔を隠すようにかがみ込んでいた。
★3人を知る関係者 菅田容疑者「面倒見良い人」 佐藤容疑者「仕事は献身的」 阿久沢容疑者「人まとめる力」★
 菅田明則容疑者は出版社勤務などを経て都市開発やまちづくりなどの企画課医者、グラスロード社を高崎市で創業した。1997年開局の県内初のコミュニティFM放送局、ラジオ高崎の創設に参画するなどして、松浦幸雄前市長時代から市政での存在感を高めていった。
 2015年5月にラジオ高崎社長となり、同年以降、市のスポーツ・文化施設を管理する高崎財団(旧名・市文化スポーツ振興財団)の副理事長として、富岡賢治市長の最側近の立場を確立。「市内のイベントはほぼ取り仕切っていた」(市内の業者)という。
 菅田容疑者を知る人からは「面倒見の良い人だった」「私利私欲がない印象」との評価がある一方、富岡市長の支持者の間でも手法を嫌って菅田容疑者と距離を置く人がいたという。
 佐藤育男容疑者は1992年に市職員に採用され、秘書課や文化課、同財団派遣などを経て、2017年4月から2年間、都市集客施設整備室長として高崎芸術劇場建設の実務を主導した。9月の劇場開館を前に再び財団に派遣され、副館長となった。
 仕事ぶりは真面目で献身的だったとの評価の一方、犯行に際し、「頼まれて断れなかったのではないか」と推し量る声もある。
 阿久沢電機(同市問屋町)の社長、阿久沢茂容疑者は、市内の電気工事業界で長く中心的な役割を果たす企業のトップとして信頼を得ていた。市内業者からは「人をまとめる能力があった」との声が聞かれた。市サッカー協会理事長も務めていた。
★富岡賢治市長の記者会見★
「任命、監督責任ある」
 ―今回の事件をどう受け止めるか。
 大変驚いた、職員も高崎財団の役員も、高崎芸術劇場の創立に大変献身的に頑張っていたので信じられない気持ち。深くおわびする。コンプライアンス(法令順守)への取り組みが甘かったと反省している。市役所内部に外部の弁護士をトップに置き、「コンプライアンス室」を設けたい。
 ―菅田容疑者はどのような人物なのか。
 劇場の企画を中心でやっていた。企画力と人脈がずばぬけている。市長選に出る9年半前に紹介してもらった。癖のある人だから、いろいろ評価があったが、私は買った。仕事ぶりは余人をもって代えられない。
 彼の存在は大きくなっていることは事実。劇場に有名人を呼ぶのに彼の人脈を使っている。週1回くらい会っていた。館長は財団の中で決めるが、事実上、私がお願いする。私にも任命責任と監督責任がある。
 ―菅田、阿久沢両容疑者は市長の政治活動にも関わっている。
 脇をきちっと固めていくべきだと思う。阿久沢さんはバランスの取れた人。会社の経営状況はよいはず。
 ―佐藤容疑者の仕事ぶりは。
 8年前くらいに私の秘書をやっていた。大変優秀で真面目な人。信じられない気持ち。
 ―予定価格を漏らしてはいけないのは当たり前ではないのか。
 基礎基本で知っていると思う。私は工事とは備品の購入は地元の会社を使えという方針を出している。どこの会社にしろとかは一切言わない。今回のムービングライトは東京にしかなく、いくらで買えるのか分からない。業者に見積もさせる。その時に予算に収まらないと、もっと安くならないの、なんて会話をする。その時に役所はいくらまで出すと言っているの、という会話になると思う。公共事業の時に見積もり合わせをやる。芸術劇場は240億円と議会で決まり、びた一文増やさなかった。予算の範囲内でやるわけだから、担当者は苦労する。今回はどういう会話があったのか分からないが、法令について組織できちっとやっていないと反省した。
 ―劇場は館長と副館長がいない状況。
 速やかに事務ができるよう、人事含めて対処する。
 ―市長も含め、3容疑者全員が高崎高OBだ。
 関係ない。同窓生だからという理由で仕事することはまずないと思っている。
 ―談合防止の対策は。
 手続き的に瑕疵は一つもない。
 ―自身の処遇は。
 考えざるを得ない。報酬カットは覚悟している。
=====社会面2=====
新劇場 衝撃と困惑
1週間連絡取れず 今後も業務粛々と 他にもあるのでは

 9月に開館したばかりの高崎芸術劇場(高崎市)の備品購入を巡る官製談合事件の摘発から一夜明けた19日、市内の各階に衝撃が広がった。官製談合防止法違反と公契約関係競売入札妨害の疑いで逮捕された菅田明則、阿久沢茂の両容疑者は、市内の各種団体の役員を務めるなど有力者として知られていた。芸術発信の拠点として期待される劇場を舞台とした事件に、市民は困惑の声を上げた。
 阿久沢容疑者は昨年6月から高崎商工会議所の副会頭を務め、任期満了に伴う改選で今月再任されたばかり。副会頭は計4人で、複数の部会や委員会を分対する。同会議所の担当者は「副会頭は出席すべき会議が多い。(阿久沢容疑者を除く)3人ではとても対応できない」と頭を抱える。
 1月には高崎高同総会長にも就任した。同容疑で逮捕された市課長の佐藤育男容疑者を含む3人はいずれも同校OB。同窓会は19日、緊急の役員集会を開き、会長代行を設ける方針を確認した。ある幹部は「この1週間ほどは会長と連絡が取れなかった。立派な方で、逮捕と知って驚いた」と戸惑った様子だった。
 高崎観光協会は阿久沢容疑者理事長、菅田容疑者が副理事長を務めている。トップ2の逮捕という事態を受け、吉井秀広専務理事は「非常に残念。今後の態勢はまだ決まっていない。協会の業務を粛々と進めるしかない」と話した。
 新しい劇場に期待を寄せる市民は落胆した。12月の演奏会チケットを購入した女性(68)は「音響の良いホールができたと聞いて楽しみにしていたのに。こういう事件があると、他にもあるのではないかと疑ってしまう」と話した。10月に劇場を訪れた40代の男性会社員は「素晴らしいホールで感動したばかりだった。ただ、市民の宝であることには変わりない。今後は良い運営をしてほしい」と話した。
 劇場を拠点とする群馬交響楽団の薮原博専務理事は「本拠地を新しいホールに移し、聴衆からのいい音を期待されている。今後もいい音楽を届けることに変わりはない」と冷静に振舞った。
★市役所や劇場 家宅捜索 入札資料を押収★
 「高崎芸術劇場」の備品購入を巡る官製談合事件。県警は19日、高崎市役所をはじめ、事件の舞台となった同劇場など複数個所を家宅捜索した。入札に関わる資料などを押収し、事件の全容解明を目指す。
 高崎市役所の家宅捜索は午前3時50分ごろに始まった。捜査員約50人が続々と庁舎に入り、物々しい雰囲気。入札を担当する契約課などを調べたとみられる。捜索は市職員が出勤する午前8時ごろまで続いた。
 JR高崎駅東口にある同劇場には午前3時55分ごろから捜査員約20人が立ち入り、約2時間にわたって捜索を実施。その後、関係資料など段ボール6箱を運びだした。
 他に3容疑者の自宅や電気工事会社「阿久沢電機」なども捜索した。

**********毎日新聞2019年11月20日 08時44分(最終更新 11月20日 09時54分)
高崎芸術劇場の設備巡り官製談合疑い 市課長、館長ら3人逮捕

高崎芸術劇場=高崎市栄町で、2019年11月19日午前9時58分、増田勝彦撮影

高崎市役所の家宅捜索を終え、押収品を運び出す県警捜査員=高崎市高松町で、2019年11月19日午前7時47分、増田勝彦撮影
 高崎市が発注した高崎芸術劇場の照明設備の入札予定価格を業者に漏らしたとして、群馬県警捜査2課などは18日、同劇場正副館長ら3人を官製談合防止法違反と公契約関係競売入札妨害容疑で逮捕した。県警は19日、市役所や同劇場などを捜索、3人を前橋地検に送検した。今後、事件の全容解明に向けて捜査を進める。【神内亜実、増田勝彦】
 逮捕・送検されたのは、同劇場副館長で高崎市総務部企画調整課付課長の佐藤育男容疑者(50)=高崎市大八木町=と同劇場館長で公益財団法人「高崎財団」副理事長の菅田明則容疑者(66)=安中市安中、電気工事会社「阿久沢電機」社長の阿久沢茂容疑者(68)=高崎市江木町。
 逮捕容疑は、3人が共謀し今年1月ごろ、同市発注の同劇場の舞台照明の指名競争入札で、当時劇場整備を所管する市都市集客施設整備室長だった佐藤容疑者が入札予定価格5800万円(税抜き)を菅田容疑者に漏らし、同月24日実施の入札で阿久沢容疑者に予定価格に近い5680万円(同)で落札させた、としている。県警は3人の認否を明らかにしていない。
 県警によると、入札には13社が参加。予定価格は非公開で市内の電気工事会社が指名されていたという。県警は阿久沢容疑者から予定価格の教示を依頼された菅田容疑者が、佐藤容疑者から価格を聞き出し、阿久沢容疑者に伝えたとみている。
 県警は3人の詳しい関係性や金銭授受の有無についても捜査を進める。
★市長ら幹部に衝撃 法令順守へ来月新組織★
 高崎芸術劇場のオープンからわずか2か月で、同劇場正副館長ら3人が官製談合防止法違反容疑などで逮捕された。総工費約260億円で、国内屈指の音響設備を備えた同劇場。これから世に売り出そうとした矢先の事件発覚に、高崎市幹部は大きなショックを隠せなかった。
 事件を受けて19日に記者会見した富岡賢治市長は「信じられない。事実ならば、行政への信頼を損なう行為で、おわびしたい」と頭を下げた。そして法令順守面の市の態勢不備を認め、12月にも弁護士を入れた「コンプライアンス室」の設置を表明した。
 同劇場は9月20日にオープンしたばかり。
 佐藤育男容疑者は、同劇場整備担当の市の都市集客施設整備室長を2017年4月から努め、今年4月からは同劇場指定管理者「高崎財団」に派遣され、劇場事務方トップの副館長に就任した。
 菅田明則容疑者は、15年6月から高崎財団副理事長、18年12月には同劇場初代館長にも就任。市が筆頭株主のラジオ高崎社長も務めており、その経歴から劇場の事業・企画を取り仕切る立場だった。
 一方、阿久沢茂容疑者は、高崎商工会議所副会頭なども努め、富岡市長の後援会連合会の幹事長でもある。富岡市長は「後援会の役職は離れることにあるだろう。脇を締めて対応していきたい」と述べた。【増田勝彦】

**********朝日新聞2019年11月20日
官製談合容疑 商都に衝撃
高崎芸術劇場 館長ら3人送検

 高崎市で9月に華々しくオープンしたばかりの高崎芸術劇場(同市榮町)が、官製談合事件の舞台となった。逮捕、送検されたのは劇場運営のタクトを振る館長と副館長、そして地元財界の重鎮。3人とも富岡賢治市長の「側近」とみられていた。群馬の商都に驚きが広がった。
★「名士」「エリート」なぜ★
 電気工事会社「阿久沢電機」社長の阿久沢茂容疑者(68)=高崎市江木町=は、高崎商工会議所副会頭や高崎観光協会理事長といった高崎財界の要職を務める地元の名士だ。
 民間信用調査会社などによると、経営する「阿久沢電機」は今年創業100年を迎えた県内中堅の老舗。2018年9月期の売上高は約5億7千万円で、受注先は官公庁の元請けが4割強。今年は受注した5件計約1億円はすべて高崎市発注だったという。
 阿久沢容疑者は01年5月から県電設協会長も務めていたが、協会事務局によると任期途中の今月、自ら書面で辞表願を提出。理由は記されていなかったという。職員は「(事件は)寝耳に水でよく分からない」と驚いた様子だった。
 一方、高崎市企画調整課付課長で高崎芸術劇場副館長の佐藤育男容疑者(50)=高崎市大八木町=は1992年に市役所入り。富岡市長が初当選した2011年4月から1年間、市長随行秘書を務め、出世の階段を上った。「まじめで夜遅くまで働き、いい仕事をしていた。信頼していただけに残念」と市長。
 17年に高崎芸術劇場建設などと担当する都市集客施設整備室長に就任。今年4月から劇所の副館長として開業を取り仕切っていた。
 市関係者によると、阿久沢容疑者と佐藤容疑者はともに高崎高校サッカー部出身で、OB会やシニア大会にともに出場。懇意にしていたという。
(泉野尚彦、野口拓朗)
★菅田容疑者 「天皇」「影武者」・・・★
 「市長の分身。『菅田天皇』と呼ばれている」
 高崎芸術劇場館長で、公益財団法人高崎財団副理事長の菅田明則容疑者(66)=安中市安中2丁目=を知る関係者は、菅田容疑者をこう評した。富岡市長が初当選した2011年の選挙から支え、市長の民間ブレーンとして知られた存在だったという。
 菅田容疑者は地元のFM局「ラジオ高崎」の社長も務める。1996年の局設立の旗を振った。社長の逮捕について局の担当者は「報道で事件を知り、状況がつかめていない」と困惑を隠せない。今月、高崎商工会議所の常議員に就任。市内の会社経営者は「アポなしで市長と面会するなど、我が物顔の振る舞いに市職員は苦り切っている。市長はなぜ徴用するのか」と話す。高崎芸術劇場の館長就任も、「なぜ市職員ではなく民間人なのか」と市役所内から批判があがったという。
 地元財界関係者によると、菅田容疑者は高崎高校卒。大学を経て市内の出版社に勤務した後、1986年に市内で別の出版社を設立した。市が関係する催しの企画立案にも関わった。今年で30回目を迎えた「高崎音楽祭」は、当初から菅田容疑者を中心に進められてきた。
 松浦幸雄前市長との関りも深く、市のキャッチコピーを作ったり、前市長の演説の原稿を書いたりしていたという。「影武者みたいなことをやっていた」
(張春穎、森岡航平、中村瞬)
★「市民におわび」 給料カット意向 市長★
 富岡市長は19日午前11時から、臨時記者会見を開いた。高崎芸術劇場は約260億円を投じた市長肝いりの大事業。副館長として開業に尽力した佐藤容疑者はかつて市長の秘書として仕え、館長の菅田容疑者と阿久沢容疑者市長の有力支援者。市長は「市民の信頼を損なう行為でおわびする」と頭を下げた。司法当局の判断を待って自らの給料をカットする意向も示した。
 また、市職員の法令順守に対する意識が不十分だとして、来月早々にコンプライアンス強化の担当部署を新設する考えも明らかにした。弁護士を顧問に、職員3人で発足させる予定。
 芸術劇場への影響については「菅田館長は企画力と人脈がずば抜けていたので痛い。みんなで知恵を出していくしかない」と後任人事を急ぐ考えを示す一方、「劇場自体の評価は変わらないと思う」と自信を見せた。
(野口拓朗)

**********産経新聞2019年11月20日
芸術劇場官製談合 「音楽の町・高崎」に衝撃 芸術劇場をめぐる官製談合事件で市長が陳謝

高崎芸術劇場の家宅捜索に入る捜査員ら=19日午前3時57分、群馬県高崎市
高崎芸術劇場の家宅捜索に入る捜査員ら=19日午前3時57分、群馬県高崎市

★市長「評価されている」★
 群馬県高崎市が発注した高崎芸術劇場(同市榮町)の照明備品の指名競争入札をめぐる官製談合事件で、富岡賢治市長は19日、臨時の記者会見を開いて陳謝した。群馬県警に官製談合防止法違反などの疑いで逮捕された3人のうち、2人は劇場の正副館長。「音楽の街・高崎」をうたう市の新たなシンボルとして9月にオープンしたばかりの劇場のイメージダウンは避けられない。富岡市長は「劇場そのものは評価されているのに、残念」と肩を落とした。(椎名高志)
 逮捕、送検されたのは、市総務部企画調整課付課長で劇場副館長、佐藤育男(50)▽「ラジオ高崎」役員で劇場館長、菅田明則(66)▽阿久沢電機(同市)社長、阿久沢茂(68)-の3容疑者。県警は19日未明に劇場や市役所などを家宅捜索した。
 富岡市長が逮捕を知ったのは18日午後10時過ぎ。佐藤、菅田両容疑者について、富岡市長は会見で「劇場開設に向け、よくやってくれていただけに本当に信じられない気持ち」と述べ、「市民の行政への信頼を損なう行為で深くおわびしたい」と頭を下げた。
 また、「任命権者として監督責任がある」とし、自らに報酬減額などの処分を検討していることも明らかにした。
 菅田容疑者は、市が出資し、劇場を指定管理者として運営する高崎財団の副理事長も務めている。富岡市長は「企画力、人脈にずば抜けたものがあり、余人をもって代え難い存在」と高く評価していた。
 佐藤容疑者は市都市集客施設整備室長を経て、今年4月から高崎財団に派遣され、劇場副館長に就任。こちらも「まじめで大変優秀な職員」(富岡市長)だったという。
 劇場では20日、2020年東京五輪・パラリンピックで市がホストタウンとなるウズベキスタンの文化芸術訪問団の来日公演がある。12月には地元の高崎第九合唱団や同市出身のギタリスト、布袋寅泰さんらの公演が予定されている。
 トップ2人が逮捕される事態に、富岡市長は「困ったことになったが、実務はやっていけるよう人事面を含めて対処したい」と述べた。
 阿久沢容疑者は高崎観光協会理事長、高崎商工会議所副会頭などの肩書きを持つ。同時に「富岡賢治後援会連合会」では幹事長を務める大幹部で、富岡市長との関係は深い。
 富岡市長は「ビジネスで(談合を)やる人ではない。バランスの取れた人だけに残念」とし、「後援会での役職は離れてもらう」と語った。
 事件を重く受け止め、富岡市長は12月にも市にコンプライアンス室を設置する考えを明らかにした。「行政運営のさまざまな場面で法令の解釈が必要になってきた時代に、審査や相談窓口となる組織をつくる」のが狙い。弁護士をトップに数人の職員を配置するという。

**********読売新聞2019年11月20日
高崎芸術劇場 市課長予定価格漏らす
官製談合疑い、館長らも逮捕

 9月にオープンしたばかりの高崎芸術劇場を舞台に、高崎市職員と業者の不透明な関係が浮上した。市が発注した劇場の照明備品の入札で予定価格を業者に漏らしたとして、県警は18日より、劇場の館長、副館長で市課長級職員の男ら3人を官製談合防止法違反などの容疑で逮捕した。課長級職員と共に逮捕された2人は、富岡賢治市長の後援団体に所属し、側近としても知られていた。
 逮捕されたのは、館長で公益財団法人「高崎財団」副理事長の菅田明則(60)(安中市安中)、副館長で市総務部企画調整課付課長の佐藤育男(50)(高崎市大八木町)、市内の電気工事会社「阿久沢電機」社長の阿久沢茂(68)(同市江木町)の3容疑者。
 県警の発表によると、3人は共謀し、市が発注した劇場の照明備品購入の市営競争入札で、佐藤容疑者が職務上知り得た予定価格6264万円を、菅田容疑者を通じて阿久沢容疑者に事前に漏らし、今年1月、同社に6134万円で落札させた疑い。3人の認否は明らかにしていない。
 県警によると、この入札には13社が参加。阿久沢電機は卸業者として「ムービングライト」と呼ばれる証明備品32台を納め、設置も請け負った。佐藤容疑者は当時、劇場整備を担当する部署の室長で物品の請求書の作成、審査などを担い、積算価格を把握できる立場にいた。4月からは高崎財団に出向し、菅田容疑者の下で副館長に就いていた。
 一方、富岡市長の後援会事務所によると、菅田、阿久沢容疑者はそれぞれ、後援会連合会の会長顧問、幹事長で、ともに資金管理団体の幹事でもあった。地元経済界でも知られており、菅田容疑者はラジオ高崎の社長で高崎観光協会の副理事長を務める。阿久沢容疑者は県電設協会会長として2017年秋、業務に精励し模範となる人に贈られる褒章も受けていた。佐藤容疑者を含めて高崎高校OBで、阿久沢容疑者は今年1月から同総会長を務めている。
 県警は19日、芸術劇場など関係6か所を捜索した。市本庁舎には午前4時前、捜査員約50人が入り、約4時間にわたり捜索。資料を入れた段ボール箱を運び出した。県警は同日午後、3人を前橋地検に送検した。
★「監督責任ある」 市長が会見★
 富岡市長は10日、緊急の記者会見を開き、「市民の信頼を損なう行為で、深くおわびしたい」と謝罪した。捜査の進展を待って自身の報酬カットを含む関係者の処分を行う考えも示した。
 高崎芸術劇場の館長に後援会幹部でもある菅田容疑者を起用したことについて、富岡市長は「監督責任は(自分に)ある」と認めた。菅田容疑者については「発想や企画力、神武悪がずば抜けている」、同じく後援会幹部の阿久沢容疑者についても「バランスの取れた人物」と、いずれも高く評価していたことを明かした。
★市民や劇場関係者 不信感や驚きの声★
 「音楽のある街」の新たな顔である高崎芸術劇場が官製談合事件の舞台となったことに、高崎市民や劇場関係者は大きなショックを受けている。
 19日、オーケストラ公園のチケット購入で販売窓口を訪れた主婦(56)は「立派なコンサートホールができて、有名なアーティストも来るのに……。こういう不祥事は許せない」と憤り、併設のカフェに来た藤岡市の男性会社員(64)も「ほかにも悪い話があるのではないか。疑ってします」と不信感をあらたにした。
 同劇場を新たな活動拠点としている群馬っ交響楽団の広報担当者も、館長や副館長の逮捕を知って驚いたという。ただ、公園の変更・中止はないといい、「私たちは変わりなく演奏を届けていきたい」と話した。
<高崎芸術劇場>
 地上8階、地下1階建て。2030席の大劇場、県内初の本格的音楽専用ホール、ロックや現劇などに幅広く使えるスタジオシアターの3ホールがある。群馬交響楽団の活動拠点でもある。高崎市が約260億円をかけて整備し、指定管理者の高崎財団が運営している。

**********テレ朝2019年11月20日
高崎芸術劇場談合請け市が専門家交えた新部署設置へ
 群馬県高崎市の高崎芸術劇場の館長らが官製談合の疑いで逮捕された事件を受け、高崎市は法令順守のために弁護士など専門家を交えた新たな部署を設ける考えを明らかにしました。
 高崎芸術劇場を巡っては、市が発注した劇場の照明などの入札予定価格を漏らして入札を妨害したとして、官庁の菅田明則容疑者(66)と副館長の高崎市の職員・佐藤育男容疑者(50)ら3人が逮捕されました。事件を受けて高崎市は今後、同様の事件が起きないよう外部の弁護士などを交えて新しい部署を設けることを検討しているということです。

**********東京新聞2019年11月20日
【群馬】高崎芸術劇場 官製談合疑い 市長の「側近」逮捕に衝撃
県警、劇場や市庁舎を家宅捜索

 高崎市の高崎芸術劇場の照明整備を巡り、官製談合防止法違反などの疑いで同市職員と館長の「ラジオ高崎」役員、市内の電気工事会社の社長が十八日夜に逮捕された事件。九月に華やかにオープンした同劇場や市庁舎に十九日、県警が家宅捜索に入る事態となり、市関係者に衝撃が広がった。館長は、富岡賢治市長が能力を高く評価し抜てきした「側近」で、社長は市長の有力な後援者の一人。こうした関係に「現市政を支える中で関係を深めた」と指摘する声もある。 (石井宏昌、市川勘太郎)

佐藤育男容疑者
 照明の入札予定価格を漏らした容疑で逮捕された市企画調整課付課長の佐藤育男容疑者(50)は二〇一七年度に市都市集客施設整備室長となり、劇場整備などを担当。市によると、劇場の照明備品の入札予定価格を漏らしたとされる今年一月は、整備の実務を担う中心的存在だった。四月、指定管理者として劇場を運営する高崎財団に派遣され、副館長に就任。劇場の予算などの事務を担当していた。

菅田明則容疑者
 館長の菅田明則容疑者(66)は市など出資のラジオ高崎の代表取締役社長で高崎財団の副理事長。市の文化事業などに関わり、企画力と人脈を高く評価した富岡市長の意向もあり昨年十二月に館長に就任した。

落札した阿久沢茂容疑者(本人のフェイスブックから)
 電気工事会社「阿久沢電機」社長の阿久沢茂容疑者(68)は富岡市長の後援会連合会の幹事長。高崎商工会議所の副会頭など商工団体の要職に就く。高崎観光協会では同容疑者が理事長、菅田容疑者が副理事長を務める。
 菅田、阿久沢両容疑者は富岡市長を政策面や後援会活動などで支える存在で、佐藤容疑者は劇場の整備、運営で菅田容疑者を補佐する立場としてそれぞれ関係を深めたとみられる。三人とも地元の高崎高校OBという共通点もあった。
 富岡市長の支援者の一人で、市の政財界を知る関係者は「(菅田容疑者は)前市長の時代から市の施策に関わっていたが、富岡市長になって重用された。優秀だが、芸術劇場への関与には市や経済関係者から『少しやり過ぎでは』という声も聞いた。逮捕には驚いたが『やはり出たか』という思いもある」と話した。
==========
法令順守専門部署 設置へ
事件受け市長が謝罪

 富岡賢治市長は十九日、市役所で記者会見し「信じられない気持ちだが、市民の行政に対する信頼を損なう行為で、市民に深くおわびしたい」と頭を下げた。「コンプライアンス(法令順守)に対する取り組みが甘かったという反省がある」と述べ、法令順守に取り組む専門部署を十二月にも設置する考えを示した。
 市長は、佐藤容疑者を「まじめで大変優秀な職員」、菅田容疑者は「企画力や人脈にずばぬけていた」と高く評価し「登用したことは正しかったと思う。それだけに残念だ」と語った。その上で「コンプライアンスの意識が薄かったのかもしれない」と述べ、弁護士を含めた法令順守対策の部署を設置する。今後、佐藤容疑者に加え自身も「実質的な任命権者、監督責任者として重く受け止めている」と述べ、処分を受ける必要に言及した。後援会幹部の阿久沢容疑者の逮捕には「今後きちんと脇を固めていく」と語った。
 高崎芸術劇場は市が二〇一六年から約二百六十億円をかけて整備。地上八階、地下一階で、約二千席の大劇場などがある。市は「音楽と舞台芸術の殿堂」としてアピールしてきた。今回の事件でイメージダウンが懸念され、市長は「大変残念だが、劇場の内容に瑕疵があったわけではないので、市民に理解してもらえると思う」と話した。

**********NHK Web News 2019年11月19日18時14分
談合事件 落札率98%で受注
 群馬県高崎市が発注した劇場の照明の購入をめぐり、入札の予定価格に関する情報を業者に漏らして落札させたなどとして、高崎市の課長と業者の社長ら、合わせて3人が官製談合防止法違反などの疑いで逮捕された事件で、業者は落札率およそ98%の価格で受注していたことが分かりました。
 警察は詳しいいきさつや、3人の関係などを調べています。
 逮捕されたのは、高崎市総務部の課長で「高崎芸術劇場」の副館長の佐藤育男容疑者(50)と「高崎芸術劇場」の館長の菅田明則容疑者(66)、それに高崎市内の業者の社長の阿久澤茂容疑者(68)の3人です。
 警察によりますと、佐藤課長は高崎市の都市集客施設整備室長だったことし1月ごろ、高崎市が発注した「高崎芸術劇場」の照明の購入をめぐり、入札の予定価格に関する情報を菅田館長を通じて阿久澤社長に漏らしたなどとして、官製談合防止法違反などの疑いがもたれています。
3人は19日、検察庁に身柄を送られましたが、警察はいずれも認否を明らかにしていません。
警察のその後の調べで、照明の予定価格は5800万円だったのに対して、阿久澤社長の業者は5680万円で受注し、落札率は97.9%だったことが分かりました。
警察は詳しいいきさつや、3人の関係などを調べています。
 事件を受けて高崎市の富岡賢治市長は19日、記者会見を開き、市民に謝罪するとともに職員の法令順守を徹底するための対策室を新たに設置する方針を明らかにしました。
 この中で富岡市長は「市民の行政への信頼を損なう行為で、とても信じられない思いだ。市民の皆様にご迷惑をかけたことをおわびしたい」と述べました。
 高崎市によりますと、佐藤容疑者は高崎芸術劇場で予算などの事務を、また菅田容疑者は公演の企画立案などを担当していたということです。
 また、会見で富岡市長は今後、市の職員でもある佐藤容疑者に対する処分を検討するほか、市長自身も何らかの処分を受ける必要があるという考えを示しました。
 そのうえで富岡市長は、来月1日付けで外部の弁護士などから成るコンプライアンスの対策室を新たに設置し、職員の法令順守を徹底する方針を明らかにしました。
 「高崎芸術劇場」は高崎市が平成28年から総額およそ260億円をかけて建設し、ことし9月20日にオープンしました。
 JR高崎駅の東口と専用の歩道でつながっていて、地上8階、地下1階建てで、延べ床面積は2万7000平方メートルあり、3つの劇場を備えています。
 オープンを記念して、メインの「大劇場」では高崎市に拠点を置く「群馬交響楽団」がベートーベンの交響曲、「第九」を演奏し、市民が合唱しました。
 メインの「大劇場」は2030人の観客を収容でき、舞台は間口が28メートル、奥行きが18メートルと国内最大級の広さで、音響効果を生かすため壁が波打つようにデザインされています。
 これらの劇場では、オーケストラのコンサートのほか、大がかりな舞台演出が必要なオペラやミュージカルも上演でき、まちの活性化の起爆剤になることが期待されています。
 オープンに先立って9月13日に報道関係者を対象に行われた内覧会で「高崎芸術劇場」の佐藤育男副館長はNHKの取材に対し「多彩なジャンルのコンサートを発信し、国内だけでなく世界からも足を運んでもらえるようにしていきたい」と述べていました。
**********

■筆者も今回逮捕された3名の容疑者と同じく高崎高校のOBで、とくに阿久沢茂容疑者とは同期生であり、高校3年の時は同級生でした。今年1月26日に開かれた高崎高校同窓会総会と同期会にも出席し、同容疑者が同総会長に選出された瞬間も目の前で目撃しており、そのあと行われた同期会でも同容疑者の同総会長就任を祝いました。

 筆者は、2003年以降、同期会開催日に日本にいる場合はほとんど同窓会総会と同期会に出席してきました。同容疑者は2003年の時は既に同期会の幹事役として活動しており、高校時代からやっていたサッカーを依然として続けていること、また、音楽としてはサキソフォンの名手で、バンドを組んで演奏会を行っていることを知り、多芸多才な一面に驚かされました。

 そのうえで、大正8年創業の家業の電気設備事業会社を先代から引き継ぎ、社員15名を擁してこれまで営々と操業して社業を発展させてきたのは、社会的な信頼を得ていたからに相違ありません。

 ではなぜ、急転直下、このような状況になったのでしょうか。


2019年1月26日16:42、第117回群馬県立高崎中学校・高崎高等学校同窓会総会後の懇親会で、新会長として800名余りの参加者を前に挨拶する阿久澤茂容疑者。同期のまとめ役として長年多大な貢献をしてきた。



同16:48、同窓会総会後の懇親会で挨拶する富岡賢治・高崎市長。


同日19:11、同窓会総会・懇親会の後、高崎市内で開かれた同期会の宴もたけなわになったころ、ひょっこり現れた橋爪洋介・県議(前議長)を紹介する阿久澤容疑者。橋爪家と阿久澤家は先代から親交があったという。


同日19:18、橋爪議員が去って5分後、入れ替わるように現れた富岡市長。同期には県庁や高崎市等の公務員OBも多く、お酌を求める手が弾む。同様に、僅か2分で隣の宴会場に向かっていった。

■同容疑者は、同期会の際に、後半になると、必ず富岡市長を呼び寄せて参加者に紹介します。これはもう、数年来になるので、富岡市政が始まって間もなくの頃からだと記憶しています。

 最初に、同容疑者が幹事の立場で、富岡市長の講演会への顔出しを同期会参加者に勧めたことがありました。筆者は当初、「富岡市長」というので、なぜ高崎市在住なのに、富岡市の市長と懇意にしているのか、何か特別な縁でもあるのかな、と思ったほどです。

 正直なところ、このような同期の親睦会の責に、唐突に政治家が表れて、挨拶を受けることに違和感を覚えるのは事実です。過去には国会議員の上野公成が現れ、ビールの差し入れがありました。よく考えれば、これは公選法違反を問われかねない行為ですが、筆者を含め誰も違反行為を指摘しませんでした。

■今回逮捕された菅田容疑者は、安中市に自宅があるそうですが、同容疑者をよく知る婦人は「たいへん腰が低くよく話を聞いてくれる人だ」と絶賛しており、なぜこんな事件に絡んだのか、と不思議がることしきりでした。

 筆者も、阿久沢被疑者については、前述のとおり長い付き合いの為、まさか、このような事件に関与するとは想像もつきませんでした。

 なぜなら同容疑者が経営する阿久沢電機の先代社長は、東大卒業後、郷里でやはり家業に従事し、堅実経営をモットーに事業を営み、その結果、阿久沢家として、土地など豊富な資産を保有していたとされています。同容疑者もそれを継承していたことから、今回の事件の報道にあるような、自ら予定価格を知ろうと、同窓でもある市職員に接近したということは、俄かには信じがたいのも事実です。

 むしろ官製談合と報じられている通り、官側からの予定価格のリークがあったとみるべきだと思います。もっとも、今回13社も応札があり、その中で、落札率98%近い効率で落札できたとなると、各社がどのような価格で札を入れたのか、入札調書でぜひ確認しておきたいところです。

■ところで、今回の官製談合の調達対象物となった備品は、ムービングライト32台とあります。ムービングライトとは、色彩・光量・光の方向を、コンピュータによる遠隔操作で高速かつ自在に制御するスポットライトのことで、ヨーク型(ロボットアームで灯具自体を動かす)とミラースキャン型(固定した灯具からの光を可動式反射鏡で制御する)があり、光源には、キセノンランプや白熱電球が使われるようです。

 コンサートや演劇の舞台、テレビスタジオなどで多く使われるため、現代の照明演出において、欠くことのできないデバイスとなっています。従来の一般照明と呼ばれる灯体では、一つのライトが一つの演出効果しか生み出せませんでしたが、ムービングライトは一台でさまざま色の変化や多種多様の演出効果をもたらすことが可能なのが特徴とされています。

 しかも、事前にプログラミングすることで、仕込調整における時間の短縮を実現し、出演者の場当たりやリハーサルに使える時間を従来より多く取れるというメリットがあるためなのでしょうか、菅田容疑者は「劇場を良くするため、海外製の特殊な照明設備を入れたかった。この製品を取り扱っている阿久沢電機が受注できるようにしたかった」という趣旨の供述をしていると報じられています。

 加えて高崎市内では、限られた業者しかこの照明を取り扱っていないとされており、菅田容疑者は阿久沢電機が受注できるよう、同市都市集客施設整備室長だった佐藤容疑者に価格を教えるよう働き掛けたという見方がされていると報じられています。

 となると、フィクサーは菅田容疑者ということなのでしょうか。市職員の佐藤容疑者は市長の覚え目出度い菅田容疑者からの依頼だとして、抗しきれず、あるいは喜んで、予定価格の漏洩に加担したのでしょうか。また、阿久沢容疑者は、同窓会トップとして、後輩たちの「気配り?」あるいは「忖度?」の結果、予定価格を受動的に知ったのでしょうか。

 しかし予定価格を事前に知っても、入札が不特定多数の業者間で札入れが行われれば、価格を下げるしか受注の道は開けないはずです。

■こうした数々の疑問は、容疑者とされた当事者から真相を聞くしかありませんが、次善の方策として高崎市に対して情報公開請求により地道に関連情報を入手することになりそうです。


2018年3月17日18時から、高崎市内で開かれた「阿久沢茂君の黄綬褒章を祝う仲間の会」で、50名ほど集まった同期生の仲間を前に挨拶する阿久沢容疑者。まさに絶頂期であった。





【市民オンズマン群馬事務局からの報告】

※参考情報
**********毎日新聞2019年7月31日
ぐるっと首都圏・母校をたずねる
群馬県立高崎高校/9止 伝統を次世代につなぐ 高崎観光協会理事長・阿久澤茂さん /東京


阿久澤茂さん=群馬県高崎市問屋町2で
阿久澤茂さん=1970年度卒
 高崎観光協会理事長で会社社長の阿久澤茂さん(67)=1970年度卒=は群馬県立高崎高(高高(たかたか))の同窓会長を務めています。高校入学と同時にサッカー部に入り、2年生で国体初出場を果たしました。卒業後もサッカーを続けています。同窓会では、若い人の意見も取り入れながら、先輩たちの築いてきた伝統を次世代に引き継いでいくことに意欲を燃やしています。【増田勝彦】
 サッカーとの出会いは64年の東京オリンピックです。中学1年の時で、東京のおばの所に行き、駒沢陸上競技場での試合を見て興味を持ちました。私が通った高崎市立第二中にはサッカー部がなく、高高に入学して早速入部しました。
 サッカー部のある中学から来た新入生は、入学前の春休みから練習に参加し、力に差があったと思います。それでも、たいへんだったと感じたことはありませんでした。
 当時、実業家の井上房一郎さん=15年度卒=が、サッカー部を応援してくれていました。試合が終わると、部員を自宅に招き、出前のカツ丼を全員にごちそうしてくれました。
 また、サッカーを知る先生がいなかったので、夏休みや週末に現役の慶応大サッカー部員だった奥村竜昭さんを呼び、コーチをしてもらいました。最先端の練習法や戦術など、いろいろなことを教えてくれて、サッカーがさらに楽しくなりました。奥村さんとは今でも付き合いが続いています。
 インターハイを終えて3年生が引退し、1年の秋から試合に出させてもらいました。キャプテンだった2年の時は福井国体に初出場しました。
 進学した同志社大工学部は講義が多く、体育会サッカー部との両立は無理で、サッカー同好会に入りました。関西の大学同好会リーグがあり、常に優勝を争っていました。卒業後は、東光電気工事に勤め、家業の会社を継ぐため、79年に高崎に戻りました。
 高崎では、高高サッカー部OBチーム「翠巒(すいらん)サッカークラブ」で30代半ばまでプレーしました。40代半ばからは群馬シニアリーグの「FC西毛」でプレーを再開、2017、18年に監督も務めました。
 高高在学中は、素晴らしい人々に恵まれた環境だったとわかりませんでした。今になって振り返ると、自分の人生観をしっかりと持っている人ばかりでした。先輩は有形無形に私をかわいがってくれ、同級生は応援してくれ、後輩は慕ってくれます。だから人間関係がつながっているのでしょう。
 1月に同窓会長に選ばれましたが、歴代、素晴らしい方ばかりで、気後れしています。同窓会の総会は今年48歳になる卒業生が当番を務めます。一時期は同窓会に出席する人が少なかった若い人たちも、最近は結構参加してくれます。先輩たちが築いてきた伝統を、次の世代につないでいくのが同窓会の役割です。
 伝統を重んずるだけでなく、若い人たちの意見も取り入れ、やりやすいような方策を考えていきたいと思っています。
★OBらの寄付で奨学金給付★

翠巒育英会の定款=群馬県高崎市八千代町2で
 群馬県立高崎高には、同窓会で組織する「翠巒(すいらん)育英会」の奨学金制度がある。OBらの寄付で運営され、返済義務はない。1985年の設立からこれまでに142人が、月額1万円の給付を受けている。
 同高野球部が81年春のセンバツに初出場し、OBらから1億円余の寄付金が集まった。大会後に残った寄付金の一部3000万円を委託された同窓会は基金を作り、全国大会に出るクラブへの補助金として活用された。
 さらに「経済的に厳しい生徒の支援に」と奨学金制度が始まった。「地域からの寄付」との位置づけで、他高の生徒22人にも奨学金が給付された。低金利時代で利息が期待できなくなり、OBからの年間200万円以上の寄付で運営が続けられている。
 奨学金制度が始まった年に入学した静岡大教授、佐々木哲朗さん(50)は「返済が必要な日本育英会の奨学金は月額9000円。そんな中での1万円はありがたかった。最近日本育英会の返済が終わり、翠巒の36万円の重みを改めて感じた」と話す。経済的な理由で若い人たちの可能性を狭めてはいけないと、給付額の倍の72万円を寄付している。

■人物略歴
あくざわ・しげる
 1951年生まれ、高崎市出身。同志社大工学部卒。東光電気工事を経て、阿久澤電機に入社、90年から社長。現在、群馬県電設協会長、高崎観光協会理事長、高崎商工会議所副会頭などを務める。今年1月から高崎高同窓会長。
**********

コメント (2)
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高崎芸術劇場が舞台の官製談合事件……落札率ワーストの高崎市で起きた必然性と果たしてこれだけかの疑問

2019-11-19 23:36:00 | 高崎市の行政問題
■昨日浮上した高崎芸術劇場を巡る不祥事件は、まさに舞台で繰り広げられたかのような典型的な官製談合のシナリオです。むしろ、本当にこれだけなのだろうか、という疑問が湧いてくるほどです。今年9月1日・2日にかけて岐阜市で開催された市民オンブズマン全国大会で、高崎市は2018年度で県庁所在地市・中核市における落札率において、2018年度1年間の平均値がなんと99.1%を記録し、2位の豊橋市を1.4ポイント話してダントツにランクされました。ちなみに、前橋市はワースト12位で落札率平均値は95.9%です。また、群馬県も健闘?しており、都道府県ランキングで、1位山梨県97.9%、2位秋田県97.5%に次いで、堂々の第3位にランクインしており、その落札率は95.9%となっています。

9月2日岐阜市で開催されたオンブズマン全国大会の「入札談合調査報告」で発表された、全国県庁所在地市・中核市トータル63市のうち高崎市が落札率トップに輝いた瞬間!


調査対象。

落札率。

群馬県も全国47都道府県中、堂々の落札率3位!

この他、要綱・条例もないまま補助金交付をしている全国でも稀な自治体として、「高崎市」の名が挙がっている。
※2019年市民オンブズマン全国大会資料1(入札・談合) ZIP ⇒ 2019nspidekj.zip

 さて、この事件は公表されたばかりで、全貌や真相は未だに闇に包まれていますが、報道記事を見る限り、2016年から足掛け4年をかけて、総額260億円を投じた事業のうち、舞台用照明設備で予定価格5800万円(税抜き)の部分であることがわかります。これを市内の業者が官側から提供された予定価格を参考に、5680万円(税抜き)で受注し、落札率は97.9%であったことがわかります。

 オンブズマンの定義として、落札率が95%を上回った場合には、談合が強く疑われる案件だと認定しています。その尺度からいうと、明らかに談合の素地が認められます。

 ただし、高崎芸術劇場の構造物のように大規模工事ではなく、照明設備の納入という、いわゆる機材の調達分野での入札ですから、最低価格というものは設定されないはずで、その中で、97.9%という高止まりの落札率であったということは、応札した全部で12社の同業者の間でも、いわゆる話し合い=談合があったとみるのが自然だと思います。

 このあたりのからくりは、今後高崎市への情報公開請求を通じて、真相を追及していく必要があると思います。

■この事件は、11月18日夜、群馬県警が高崎市の職員ら3人の容疑者を逮捕したあと、11月19日の未明から明け方にかけて市役所や高崎芸術劇場を家宅捜索するなど、異例の捜査が展開されました。報道記事や放送内容を見てみましょう。

**********上毛新聞2019年11月19日
高崎財団幹部ら逮捕へ 芸術劇場関連 工事価格漏らした容疑
 高崎市の文化施設「高崎芸術劇場」に関連する同市発注の公共工事を巡り、一部の予定価格などを漏らした疑いが強まったとして、県警が官製談合防止法違反などの容疑で、劇場を管理運営する高崎財団の幹部や市職員ら数人から事情聴取し、逮捕状を請求したことが18日、捜査関係者への取材で分かった。工事関係者も含まれているとみられる。近く逮捕する見通し。
 捜査関係者によると、今年9月に開館した高崎芸術劇場に関連する一部工事を巡り、事前に価格を漏らしたほか、入札の公平性を害した疑いがあるとみられる。
 同劇場は同市が約260億円を投入し、国内最大級の舞台面がある大劇場(約2千席)など三つの主なホールを備える文化施設。
(当会注:11月19日朝刊一面記事なので、この記事を他社に先駆けて掲載した上毛新聞は前日の18日夜、印刷原稿締め切り直前までにこの情報を入手したことになる)

**********NHK News Web群馬2019年11月19日06時15分
高崎芸術劇場で談合か課長ら逮捕
 群馬県高崎市が発注した劇場の照明の購入をめぐり、入札の予定価格に関する情報を業者に漏らして落札させたなどとして、警察は高崎市の課長と業者の社長ら合わせて3人を官製談合防止法違反などの疑いで逮捕しました。
 逮捕されたのは、高崎市総務部の課長で「高崎芸術劇場」の副館長の佐藤育男容疑者(50)と「高崎芸術劇場」の館長の菅田明則容疑者(66)、それに高崎市内の業者の社長の阿久澤茂容疑者(68)の3人です。
 警察によりますと、佐藤課長は高崎市の都市集客施設整備室長だったことし1月ごろ、高崎市が発注した「高崎芸術劇場」の照明の購入をめぐり、入札の予定価格に関する情報を菅田館長を通じて阿久澤社長に漏らしたなどとして官製談合防止法違反などの疑いがもたれています。
 高崎芸術劇場はことし9月にオープンし、地上8階、地下1階建てで、3つの劇場などを備えています。
 警察によりますと、逮捕容疑となった入札には13社が参加し、阿久澤社長の会社が予定価格に近い価格で落札したということで、警察は高崎市役所などを捜索し、押収した資料を分析するなどして詳しいいきさつを調べています。
 警察は3人の認否を明らかにしていません。
 事件を受けて高崎市の富岡賢治市長は19日、記者会見を開き、市民に謝罪するとともに職員の法令順守を徹底するための対策室を新たに設置する方針を明らかにしました。
 この中で富岡市長は「市民の行政への信頼を損なう行為で、とても信じられない思いだ。市民の皆様にご迷惑をかけたことをおわびしたい」と述べました。
 高崎市によりますと、佐藤容疑者は高崎芸術劇場で予算などの事務を、また菅田容疑者は公演の企画立案などを担当していたということです。
 また、会見で富岡市長は今後、市の職員でもある佐藤容疑者に対する処分を検討するほか、市長自身も何らかの処分を受ける必要があるという考えを示しました。
 そのうえで富岡市長は、来月1日付けで外部の弁護士などから成るコンプライアンスの対策室を新たに設置し、職員の法令順守を徹底する方針を明らかにしました。
 「高崎芸術劇場」は高崎市が平成28年から総額およそ260億円をかけて建設し、ことし9月20日にオープンしました。
 JR高崎駅の東口と専用の歩道でつながっていて、地上8階、地下1階建てで、延べ床面積は2万7000平方メートルあり、3つの劇場を備えています。
 オープンを記念して、メインの「大劇場」では高崎市に拠点を置く「群馬交響楽団」がベートーベンの交響曲、「第九」を演奏し、市民が合唱しました。
 メインの「大劇場」は2030人の観客を収容でき、舞台は間口が28メートル、奥行きが18メートルと国内最大級の広さで、音響効果を生かすため壁が波打つようにデザインされています。
 これらの劇場では、オーケストラのコンサートのほか、大がかりな舞台演出が必要なオペラやミュージカルも上演でき、まちの活性化の起爆剤になることが期待されています。
 オープンに先立って9月13日に報道関係者を対象に行われた内覧会で「高崎芸術劇場」の佐藤育男副館長はNHKの取材に対し「多彩なジャンルのコンサートを発信し、国内だけでなく世界からも足を運んでもらえるようにしていきたい」と述べていました

**********群馬テレビ2019年11月19日(火)14:05配信
官製談合防止法違反で高崎市職員など逮捕 群馬・高崎
 2019年1月、群馬県高崎市が発注した指名競争入札で入札予定価格を漏らしたなどとして、官製談合防止法違反などの疑いで、群馬県警は、18日夜、高崎市の職員ら3人を逮捕しました。
 官製談合防止法違反などの疑いで逮捕されたのは、高崎市企画調整課付課長の佐藤育男容疑者50歳と、ラジオ高崎社長で高崎財団副理事長の菅田明則容疑者66歳、そして高崎市の阿久澤電機社長の阿久澤茂容疑者68歳の3人です。
 警察によりますと、3人は共謀して、2019年1月、高崎市が発注した高崎芸術劇場で使用する照明備品購入の指名競争入札で、当時、予定価格を知り得る立場だった佐藤容疑者が、菅田容疑者を通じて阿久澤容疑者に入札予定価格を漏らし、1月24日に実施された指名競争入札で、阿久澤容疑者の会社に入札させた疑いがもたれています。
 警察によりますと、佐藤容疑者が菅田容疑者に漏らした予定価格は税込6264万円で、阿久澤容疑者の会社が予定価格に近い税抜5680万円で落札しました。
 高崎芸術劇場は9月にオープンし、菅田容疑者が芸術劇場の館長を、佐藤容疑者が副館長を務めています。
 警察では3人の認否については明らかにしていませんが、19日未明から明け方にかけて市役所や高崎芸術劇場を家宅捜索し、価格が漏れた経緯を詳しく調べています。

**********朝日新聞デジタル2019年11月19日01時01分
高崎市職員ら逮捕 劇場照明の入札予定価格を漏洩容疑

写真・図版群馬県警察本部=2019年10月17日午後0時14分、前橋市大手町1丁目、松田果穂撮影
 群馬県高崎市が発注した劇場の照明備品の入札価格を業者らに漏らしたとして、群馬県警は18日、高崎市職員の佐藤育男容疑者(50)=高崎市大八木町=ら3人を官製談合防止法違反と公契約関係競売入札妨害の疑いで逮捕し、発表した。県警は認否を明らかにしていない。
 他に逮捕されたのは公益財団法人高崎財団副理事長の菅田明則容疑者(66)=同県安中市安中2丁目=と電気工事会社「阿久沢電機」社長の阿久沢茂容疑者(68)=高崎市江木町=。
 捜査2課によると、劇場建設を所管する市都市集客施設整備室長だった佐藤容疑者が今年1月ごろ、劇場で使用する照明の指名競争入札で、菅田容疑者を通じて阿久沢容疑者に税抜きで5800万円の予定価格を伝え、予定価格に近い5680万円で落札させ、公正な入札を妨害した疑いがある。
 劇場は今年9月にオープンした。高崎財団は劇場の管理運営を行っており、佐藤容疑者は4月、市から財団に派遣されている。3人は同じ高校の卒業生だったとみられる。

**********TBS News 2019年11月19日4時51分
官製談合で高崎市幹部ら逮捕
 群馬県高崎市にある芸術劇場の照明設備の入札をめぐり、予定価格を漏らすなど不正な入札を行わせたとして、高崎市の幹部ら3人が逮捕されました。
 官製談合防止法違反などの疑いで逮捕されたのは、高崎市の幹部・佐藤育男容疑者(50)、会社役員の菅田明則容疑者(66)、阿久澤茂容疑者(68)の3人です。
 警察によりますと、今年9月にオープンした高崎芸術劇場の照明設備の入札をめぐり、佐藤容疑者が予定価格を菅田容疑者を通じて阿久澤容疑者に伝えるなど、共謀の上、入札を不正に行わせた疑いが持たれています。この入札は、阿久澤容疑者の電気工事会社が予定価格に近い価格で落札したということです。
 警察は3人の認否を明らかにしておらず、3人の間で金銭の受け渡しがなかったかなど、事件の経緯を詳しく調べる方針です。

**********日刊スポーツ2019年11月19日8時38分
高崎芸術劇場を家宅捜索 群馬県警、官製談合事件
 群馬県高崎市が発注した高崎芸術劇場の照明備品の指名競争入札で入札予定価格を漏らしたなどとして、官製談合防止法違反の容疑で市の課長や劇場館長らが逮捕された事件で、県警捜査2課は19日未明、劇場を家宅捜索した。資料を押収し価格が漏えいした経緯などについて詳しく調べる。
 18日に逮捕されたのは、高崎市総務部企画調整課付課長佐藤育男容疑者(50)、高崎芸術劇場の館長菅田明則容疑者(66)、高崎市にある阿久沢電機社長阿久沢茂容疑者(68)の3人。
 県警によると、1月ごろ、劇場の照明備品の入札予定価格が佐藤容疑者から菅田容疑者に、その後、阿久沢容疑者に伝えられ、阿久沢電機が予定価格に近い価格で落札した。
 高崎芸術劇場はJR高崎駅東口にあり、9月にオープン。ホームページによると「国内最大級の舞台面積と、舞台間口の広さを持つ2027席の大劇場」を備え、音楽や舞台芸術の大型公演に対応している。(共同)

**********日テレNEWS 24 2019年11月19日06:13
官製談合か、高崎市職員ら3人逮捕 群馬
 群馬県高崎市が発注した劇場の照明機材の予定価格を漏らし、入札を妨害したなどとして、市の課長の男ら3人が逮捕された。
 官製談合防止法違反などの疑いで逮捕されたのは、高崎市・企画調整課付課長の佐藤育男容疑者と、電気工事会社社長の阿久沢茂容疑者、それに、高崎芸術劇場の官庁の菅田明則容疑者。
 警察は19日未明、高崎市役所を家宅捜索した。
 警察によると、阿久沢容疑者は、今年1月ごろ、高崎芸術劇場で使う照明機材の指名競争入札で、予定価格を教えるよう菅田容疑者に求め、菅田容疑者から依頼を受けた佐藤容疑者が価格を漏らして公正な入札を妨害した疑いがもたれている。
 警察は、3人の認否を明らかにしていない。

**********時事ドットコムニュース2019年11月19日01時47分
高崎市課長ら逮捕 官製談合などの疑い―群馬県警
 群馬県高崎市が発注した備品購入の予定価格を漏らしたとして、県警捜査2課などは18日、同市総務部企画調整課付課長で、公益財団法人高崎財団に派遣中の佐藤育男容疑者(50)=同市大八木町=を官製談合防止法違反と公契約関係競売入札妨害の容疑で逮捕した。
 また、予定価格を漏らすよう求めたとして、会社役員で高崎財団副理事長の菅田明則(66)=同県安中市安中=、電気工事会社社長の阿久沢茂(68)=高崎市江木町=両容疑者も同容疑で逮捕した。同課は3人の認否を明らかにしていない。
 佐藤容疑者の逮捕容疑は、高崎市都市整備部都市集客施設整備室長だった今年1月ごろ、同市が発注した高崎芸術劇場の照明購入の指名競争入札で、予定価格を菅田容疑者に教えた疑い。

**********産経新聞2019年11月19日08:55
高崎芸術劇場を家宅捜索 群馬県警、官製談合事件

高崎芸術劇場の家宅捜索に入る捜査員ら=19日午前3時57分、群馬県高崎市
 群馬県高崎市が発注した高崎芸術劇場の照明備品の指名競争入札で入札予定価格を漏らしたなどとして、官製談合防止法違反の容疑で市の課長や劇場館長らが逮捕された事件で、県警捜査2課は19日未明、劇場を家宅捜索した。資料を押収し価格が漏洩(ろうえい)した経緯などについて詳しく調べる。
 18日に逮捕されたのは、高崎市総務部企画調整課付課長、佐藤育男容疑者(50)、高崎芸術劇場の館長、菅田明則容疑者(66)、高崎市にある阿久沢電機社長、阿久沢茂容疑者(68)の3人。
 県警によると、1月ごろ、劇場の照明備品の入札予定価格が佐藤容疑者から菅田容疑者に、その後、阿久沢容疑者に伝えられ、阿久沢電機が予定価格に近い価格で落札した。
 高崎芸術劇場はJR高崎駅東口にあり、9月にオープン。ホームページによると「国内最大級の舞台面積と、舞台間口の広さを持つ2027席の大劇場」を備え、音楽や舞台芸術の大型公演に対応している。
 群馬・高崎市の芸術劇場の備品の入札をめぐって、事前に入札予定価格を漏らした疑いで、高崎市の職員が逮捕された。
 佐藤育男容疑者(50)は、高崎市都市整備部の室長だった2019年1月ごろ、高崎芸術劇場に設置する舞台の照明の指名競争入札をめぐって、業者に入札予定価格を事前に漏らした官製談合防止法違反の疑いが持たれている。
 警察は、芸術劇場の館長と業者側の社長も逮捕し、容疑を裏付けるため、19日未明、高崎市役所を家宅捜索した。

**********FNN Prime 2019年11月19日 火曜 午前6:18
官製談合容疑で市職員逮捕 高崎芸術劇場の備品入札で

 群馬・高崎市の芸術劇場の備品の入札をめぐって、事前に入札予定価格を漏らした疑いで、高崎市の職員が逮捕された。
 佐藤育男容疑者(50)は、高崎市都市整備部の室長だった2019年1月ごろ、高崎芸術劇場に設置する舞台の照明の指名競争入札をめぐって、業者に入札予定価格を事前に漏らした官製談合防止法違反の疑いが持たれている。
 警察は、芸術劇場の館長と業者側の社長も逮捕し、容疑を裏付けるため、19日未明、高崎市役所を家宅捜索した。

**********日本経済新聞2019年11月19日10:15 (2019年11月19日10:36更新)
官製談合容疑で市課長逮捕 高崎芸術劇場入札で館長も

↑高崎芸術劇場の家宅捜索に入る捜査員ら(19日午前3時57分、群馬県高崎市)=共同↑
 群馬県高崎市が発注した劇場照明備品の指名競争入札で入札予定価格を漏らしたなどとして、県警捜査2課は18日、官製談合防止法違反などの疑いで高崎市総務部企画調整課付課長、佐藤育男容疑者(50)=高崎市大八木町=と、高崎芸術劇場の館長で「ラジオ高崎」役員、菅田明則容疑者(66)=同県安中市安中、高崎市にある阿久沢電機社長、阿久沢茂容疑者(68)=高崎市江木町=の3人を逮捕した。
 県警は19日未明に高崎芸術劇場を家宅捜索した。資料を押収し、価格が漏れた経緯を詳しく調べる。
 劇場は9月にオープン。施設のホームページには「上信越・北関東最大級 音楽と舞台芸術の殿堂」と記されている。
 逮捕容疑は、3人が共謀し今年1月ごろ、高崎市が発注した劇場の備品購入の指名競争入札で、都市整備部都市集客施設整備室長だった佐藤容疑者が非公表の入札予定価格を菅田容疑者に漏らし、1月24日に実施された指名競争入札で阿久沢容疑者の会社に落札させた疑い。
 捜査2課によると、佐藤容疑者が菅田容疑者に漏らした予定価格は5800万円(税抜き)で、菅田容疑者から価格を伝えられた阿久沢容疑者の会社が予定価格に近い5680万円(同)で落札した。同課は3人の認否を明らかにしていない。〔共同〕

**********読売新聞11月19日(火)10時59分
「高崎芸術劇場」整備で談合疑い、館長ら3人逮捕
 群馬県高崎市の文化ホール「高崎芸術劇場」の備品購入に関する市発注の入札を巡り、予定価格を業者に事前に漏らしたとして、県警は18日夜、劇場の館長や副館長ら3人を官製談合防止法違反と公契約関係競売入札妨害の両容疑で逮捕した。劇場は市が約260億円を投じて整備し、JR高崎駅東口に今年9月にオープンしたばかりだった。
 逮捕されたのは、館長で公益財団法人「高崎財団」副理事長の菅田(すがた)明則容疑者(66)、副館長で市総務部企画調整課付課長の佐藤育男容疑者(50)、市内の電気工事会社「阿久沢電機」社長の阿久沢茂容疑者(68)。
 発表によると、3人は共謀し、市が発注した劇場の照明備品購入の指名競争入札で、佐藤容疑者が職務上知り得た予定価格6264万円を菅田容疑者を通じて阿久沢容疑者に事前に漏らし、今年1月、同社に6134万円で落札させた疑い。佐藤容疑者は当時、劇場整備を担当する部署の室長だった。
 県警は、3人の認否を明らかにしていない。

**********上毛新聞社2019年11月19日 06:00
高崎芸術劇場の備品で官製談合疑い 県警が高崎財団幹部ら逮捕
 群馬県高崎市の文化施設「高崎芸術劇場」で使う備品購入の同市発注の指名競争入札に際し予定価格を漏らしたとして、群馬県警捜査2課と高崎署は18日、官製談合防止法違反と公契約関係競売入札妨害の疑いで、高崎財団副理事長の菅田明則(66)=安中市安中=、市職員で同劇場副館長の佐藤育男(50)=高崎市大八木町=ら3容疑者を逮捕した。
 ほかに逮捕されたのは、同市江木町、阿久沢電機社長、阿久沢茂容疑者(68)。
 3人の逮捕容疑は共謀し1月ごろ、同劇場の電気設備備品の購入を巡り、同社に落札させようとして予定価格5800万円(税抜き)を漏らし、5680万円(同)で落札させて入札の公正を害した疑い。県警は認否を明らかにしていない。
 県警によると、当時は同市都市集客施設整備室長だった佐藤容疑者が求めに応じ、菅田容疑者を経由して阿久沢容疑者に価格を伝えたとされる。
 上毛新聞の取材に、富岡賢治市長は「(職員らの逮捕について)驚いている。行政の信用を欠いて申し訳ない」などと話した。

**********News Daily 2019年11月18日
https://www.youtube.com/watch?v=887EX140hHY
入札の予定価格に関する情報漏らしたか 課長逮捕 群馬 高崎
 群馬県高崎市が発注した劇場の照明の購入をめぐり、入札の予定価格に関する情報を業者に漏らして落札させたなどとして、警察は高崎市の課長と業者の社長ら合わせて3人を官製談合防止法違反などの疑いで逮捕しました。
 逮捕されたのは高崎市総務部の課長で「高崎芸術劇場」の副館長の佐藤育男容疑者(50)と「高崎芸術劇場」の館長の菅田明則容疑者(66)、それに高崎市内の業者の社長の阿久澤茂容疑者(68)の3人です。
 警察によりますと佐藤課長は高崎市の都市集客施設整備室長だったことし1月ごろ、高崎市が発注した「高崎芸術劇場」の照明の購入をめぐり、入札の予定価格に関する情報を菅田館長を通じて阿久澤社長に漏らしたなどとして官製談合防止法違反などの疑いが持たれています。
 高崎芸術劇場はことし9月にオープンし、地上8階、地下1階建てで、3つの劇場などを備えています。
 警察によりますと逮捕容疑となった入札には13社が参加し、阿久澤社長の会社が予定価格に近い価格で落札したということで、警察は高崎市役所などを捜索し押収した資料を分析するなどして詳しいいきさつを調べています。
 警察は3人の認否を明らかにしていません。
**********

■当会は、群馬県の中核都市で起きた、この重大事件の今後の進展に注目してまいります。

【市民オンブズマン群馬事務局より】

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19秋・潜入調査記第3弾…学校見学会でオンブズマンの見た群馬高専の「今」

2019-11-18 12:41:00 | 群馬高専アカハラ問題
■群馬高専J科アカハラ事件の主犯・雑賀洋平をめぐる現況把握のため、当会では11月初頭に連続して沼津・群馬の両高専に潜入調査を敢行したことは既報のとおりです。
○2019年11月8日:19秋・潜入調査記in沼津高専…アカハラ犯・雑賀洋平の「今」とその狙いを探る(1)
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3069.html
○2019年11月8日:19秋・潜入調査記in群馬高専…アカハラ犯・雑賀洋平の「今」とその狙いを探る(2)
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3070.html

 上記調査では雑賀周りの現況の把握を主眼としました。では、アカハラ事件や寮生連続自殺・不審死事件の舞台となり、口封じ脅迫や隠蔽も相まって大騒動が巻き起こり続け、今も諸問題の解決には程遠い位置にある群馬高専そのものの現況は、どうなのでしょうか。今度はその点に着目して現地調査を行ってみることにしました。

 調べると、11月16日(土)に2019年度の第2回学校見学会が開催されるようでしたので、当会では早速この機会を利用することにしました。なお、当会が以前に同校の学校見学会に参加したのは、西尾典眞前校長との熾烈な駆け引きが繰り広げられていた真っ最中の2016年8月のことでした。学校見学会への参加は、実に3年3か月ぶりとなります。
○2016年8月11日:アカハラと寮生死亡事件に揺れる群馬高専・・・第1回学校見学会参加報告
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2104.html

令和2年度群馬高専入試説明会で同校体育館内に参集した来年入学志望の多数の生徒さん、及びその親御さんら。このほか、中学教諭など教育関係者も参加対象だが、殆ど親子連れ。午前9時の開催直前に優に350名の皆さんが館内を埋め尽くした。

■当日はオンブズマンの例会開催日(第3土曜)でした。したがって、昼過ぎまでに本調査を済ませ、午後2時からの当会定例会開催に直接駆けつける段取りで、当日朝、当会調査員が現地に向かいました。念のため、前橋市内の学習塾所属の教育関係者であることを証明する名刺も携帯していきました(なお、詐称ではなく事実です)。

 2019年度の第2回目の学校見学会においては、令和2年度入試説明会も同日実施されました。入試説明会は9:00~10:00にかけて、学校見学会は10:00~12:00にかけて自由見学の形で行われ、見学後は自由解散でした。

 というわけで、まずは入試説明会で校長らが群馬高専の現状をどのように説明し、アピールを行うのか、ぜひ拝聴することにしました。

 群馬高専入試といえば、つい最近に、山崎校長と鶴見副校長(当時)の秘密協議と陰謀に駆動され、自学教員らの意見も聞かず徹底的に捻じ曲げられたばかりです。その背景にあったのは、アカハラ・連続自殺やその隠蔽など諸問題の数々で受験生や保護者らからソッポを向かれ、入学者数が激減していたことです。しかし山崎校長は、根本的な問題解決や体質改善に目を向けず、入試制度そのものをガバガバに改変してしまうという辻褄合わせ対応に飛びついてしまったのです。そこに「改革の提案者としての実績」が欲しかった鶴見氏が乗っかって、たった2か月未満で杜撰な「入試改革案」を1人ででっち上げた挙句、その後「実績」を手に、ホクホク顔で校長候補として東京の機構本部に栄転していきました。

○2019年2月4日:平成最後の入試で念願の志願者数回復?…実は何でもありの入試ルール変更でゴマ化した群馬高専のガタガタ内情
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2878.html
○2019年7月10日:【群馬高専】開示文書から読み解く入試大改変の経緯…その裏に副校長の実績作りがアリアリ
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2976.html

 そんな経緯もさることながら、過去の諸事件や現状にどんな認識を持っているのか、興味がそそられます。

■入試説明会は午前9時の開会時間とともに、体育館で、宮里広報戦略主任による司会で始まりました。


司会進行の宮里広報戦略主任の開会の辞。

「みなさま、おはようございます。本日はご多用のなかご参加を賜りましてまことにありがとうございます。それではただいまより説明会を開催いたします。私、本日の司会進行を務めさせていただきます広報戦略主任の宮里と申します。どうぞよろしくお願いします。はじめに、皆様にお願いがございます。本校の広報活動に名札を着用した職員が説明会および見学会の写真撮影を行っております。参加されております皆様のお顔が映らないように配慮させていただきますが、さしつかえのある方に置かれましては、正式に申し出てください。また、参加されている皆様の写真撮影につきましてはお控えくださいますようよろしくお願いします。なお、スマートフォン及び携帯電話については、マナーモードに設定、または電源を切っていただくよう協力をお願いいたします。それでは、説明会の開催にあたりまして、本校の学校長であります山崎誠より、ご挨拶申し上げます」

 はじめに、学校長の山崎誠氏から8分間ほど挨拶がありました。



「皆様おはようございます。(場内:おはようございます)校長の山崎でございます。今日は、天気はよいのですけども、冷え込みの厳しい中、多数、第2回学校見学会にお越しいただき学校を代表してお礼を申し上げます。実は私、群馬高専に来て3年目になりますけれども、その前は隣りの新潟県の長岡高専に33年間、奉職してまいりました。そうしたわけで、私の仕事の人生のほとんどは高専なんですけれども、第1回学校見学会でも申しあげましたけれども、中学校を卒業してこれから次の進路に向かって、それを考えたときに、技術系あるいは化学、まあ科学技術、その分野で、ですね、将来を考えたときに、高専というのは非常にいい学校だと思っています。一番、やっぱり大きな理由は、中学校や、高校と違って、大学と同じ高等教育機関で専門教育を時間豊かに10代後半から受けられるということ。これは非常に大きなメリットだと思っています。そして高専は、勿論、次の進路のこともございますけれども、通常の、今話題になっている大学入試と、いうものはありません。ですから5年間、専攻科を含めると7年間、自分のやりたい、と言いますかね、自分の学びたいという気持ちのぺースで……自分のペースで、勉強をゆっくり見ていける、ということが非常に大きなメリットではないかと思います。本校の場合は、卒業後の進路についても、就職は希望されるかた、倍率が非常に高いですので、求人倍率が高いですので、100パーセント。それから、その次の勉強をしたいということで、大学、あるいは本校の専攻科、さらには大学院に進むという道もございます。進学率という数値でいきますと大学と専攻科を含めて昨年の平均でいくと77パーセント。これを、昨年の実は、全国の高専の平均で見ていくと42パーセントです。ですから群馬高専は、就職だけでなくて進学も勿論、いろいろな将来について可能性の高い学校だということができます。それから、女子生徒さんにも多く来ていただいております。このリケジョという言葉は長く、もう言われておりますけれども、それでもなかなか活躍するという機会がもっともっと広がらなければいけないと思います。こういう点でもですね、高専は、先ほども言いましたように、若いうちから専門的な、本格的な授業を受けられるチャンスがありますので、大きな機会をご提示することができるかと思います、そして国際性。これも今、日本の技術者、科学者は勿論ですけれども、多くの社会人にとっても必要なことになっています。この点についても、高専には大きなメリット、機会があります。留学生も来ますし、それから、オーストラリアへの現地研修、あるいはアジアの国への海外派遣研修も、希望者には用意してございますので、それに参加する機会もございます。それから、先ほど高専で5年間、あるいは専攻科で7年間、自分の思うように、思う存分、学ぶことができたり、あるいは、学校生活を送ることができますけれども、本校ではそういうことをですね、やはり自分で、自立して決めてほしいということで、学生の自主性を尊重して教育を行っております。とはいっても、これから中学を卒業して高校生の年代ですので、心配になることもあるだろうかと思います。我々もクラスごとにクラス担任、副担任を設けておりますし、先生のほうも大事な生徒様を父母からあずかっていると、そういう気持ちをもって、対応を心掛けてまいります。まあ、いろいろと悩みが多いところでありますけれども、そういうふうな体制をとっております。寮もございますけれども、寮も教育の一環であるという考えでもってやっております。そういうふうに、やっぱり、基本的には、やはり生徒さんを中心に、それからクラス担当、そして、学校の担当者、これらがしっかりと支援させていただき、事にあたりたいと思います。それが一番大事なことと、私は思っており、常々話しておるところであります。まあ、いま述べましたように群馬高専は、理数系に興味を持っている生徒さんにとって、非常に可能性の高い学校でございます。この分野に興味をもって、将来その分野で仕事をしたいと、そう思っている生徒さんには、ぜひ本校への受験をお願いしたいと思っています。本日は、本校の教育の理念をご理解いただき、ぜひ本校への受験につながるようにご理解をお願いします、本日はこれから暖かくなるかと思います。各学科の展示場所はですね、建物ごとに、その間を通っていかなければなりませんけども、ぜひ多くの学科のところを見ていただいて、また図書館等で相談するなど、対応として相談員も配置しておりますので、ぜひ有効に利用していただきたいと思います。本日はよろしくお願いいたします」


学校側作成のスライド画面。「群馬高専はこんな人に来てほしい」
「1.アドミッションポリシー
・本校の教育理念及び学習・教育目標を達成するために、総合的な基礎学力を十分にもつ者を求めています。
2.期待される入学者像
・科学技術者になりたいという志を持っている人
・人類の繁栄と地球環境を守るための科学技術に関心のある人
・国際的な場で活躍したいという希望を持っている人
・工業技術に興味があり、自ら進んで学習する意欲のある人
・数学や理科などの自然科学系科目が得意で興味のある人
(令和2年度入学者募集要項P.14)」


 続いて、司会進行役の宮里広報戦略主任から「群馬高専の概要」と題して、およそ10分間にわたり説明が行われました。

■その後、副校長の碓氷教務主事から「選抜方法」について、詳しく話がありました。




 ポイントとしては、前回の入試からそれまでと異なり結構大きく変えた部分があること、この次に、今の中学3年が入試を受けるときは、今年の入試と同じなので、今日はそれまでとの入試要項で大きく変えた点を説明すること。入試には大きくわけて、推薦選抜と一般選抜があること。一般選抜は学力試験の結果を重視して、大きく変えた点はそこの割合を重視するが、大きく変えた点はその区分の割合を変えたこと。推薦選抜の割合、また推薦の出願基準を変えたこと。一般選抜は、併願制度を設けたこと。また第3志望まで書けるようにしたこと。そのあたりが大きく変えたところで、そのほかに、帰国子女特別制度というものを設けたこと。それぞれについて詳しい説明がありました。

 また、各学科40名のところ推薦が20、一般が20名。それまでは推薦で15名が募集人員でしたがそれを20名に増やしたこと。また、出願基準を中学校の2年と3年の5教科の5段階評価だと全部で50点満点のところ、42点以上を推薦基準としたこと。

 そして、説明の最後に、「推薦の際にはくれぐれも第2、第3志望を書くように」との強い示唆というか、ほとんど要請がありました。推薦入試自体は1つの学科を専願するもので第2志望以下は意味がありませんが、不合格時には願書ごと一般入試受験者に振り分けられることから、あらかじめ書いておけという指示です。なお、今年の新入生の場合、第2、第3志望で合格したのが全体の15%、つまり200名中30名にのぼったことが紹介されました。

 というわけで、冒頭で紹介したような入試改悪の数々が、完全に既成事実として受験生・保護者・中学教諭らに語られている実態がわかりました。説明を聞いても、各変更の問題点に触れないのはもちろんのこと、「なぜこのように変えたのか?」ということも一切説明されず、ただ変更したという事実だけをつらつら伝えるだけの不思議な説明でした。

 もっとも、変更点を伝えて受験生の情報アップデートを促すこと自体に文句はありません。しかし後ほど群馬高専の入試関連ページを確認しても、やはり入試変更について未だに注意書きひとつ書いてありません。この重大事項を、学校見学会まで実際に足を運び、説明会に出席した人間のみが知ることのできる情報にするのは、あまりに不案内です。

■最後に、9時40分から中島学生課長補佐による「募集要項について」の説明がありました。




 学校側の説明がすべて終わったのが9時58分でした。午前10時まであと2分足らずとなり、司会の宮里主任が締めくくりました。

「以上をもちまして、本校で準備をしました説明は全部終了しました。これより、5分未満となりますが、質疑の時間を設けております。ただいま説明を行いました学校の概要、選抜方法、募集要項に関して、この際何かこれは聞いておきたいということがございましたら受け付けたいと思います。まあ、見学の時間もありますので、ひとつかふたつ程度となりますが、皆さんから思われていることは、たぶん他のかたも思われていることだと思います。挙手でお願いします。いかがでございましょうか?」

■この時、間髪をいれず当会調査員が「はい!」と挙手をしました。350名ほどの参加者が、いっせいにこちらを振り向き、学校側のスタッフがマイクをもって小走りにやってきたので、それを受け取るや否や当会調査員が、大きな声で発言しました。

「あのう、学習塾に携わっているものです。えーとですね。大事な塾生、皆さんですとお子様を5年ないし7年間、まあお預けするわけなので、安全安心な学生生活を送るための確証というものが必要だと思います。で、ご案内の通り、数年前にいろいろハラスメント事件が起こりました。それが当時の校長先生は文科省からの天下りの先生だったのですが、まあ、現在の山崎先生は教鞭を取られたご経験があるので、その点はだいぶ変わったと思いますけれども、もし、そういったハラスメントが起きた場合、当時は学生相談室に被害者の方が相談したが機能しなかったんですね。で、今後もしそういった場合に、そのようなことが起きた場合にですね。きちんと……」

 そう言いかけたとき、その2、3秒前に、突然4つか5つ前の席からひとりの男性が立ち上がりました。

 その男性は、椅子と椅子の間の中央通路をこちらに向かってやってきて、私の脇を通り過ぎる際に、「そういう質問をする場じゃないぞ」と囁きました。当会調査員は「すいません、どなたでしょうか」とマイクを口から離して、通り過ぎた男性に生で声を掛けましたが、その男性は無言のまま座席の最後列の後ろ側をとおって、体育館の入り口のほうに歩き去っていきました。

■途中で話を中断させられた形になった当会調査員ですが、ふたたびマイクを持ち直し「だから、そこのところは、そういったことが起きた場合は、きちんと公表して対処していただきたいと。これが、一番のお願いです。ハラスメントについては、先ほどのご説明の中でそういった問題は(今後)ないようにということで、触れていただきましたけれども、改めて、そこのところをお願いします。大事な塾生を預かる立場として、お願いをさせていただきました。以上です。以上失礼しました」

 すると、山崎学校長がマイクをとって立ち上がりました。そして「あの、その、ありがとうございます。さきほども説明したように……」と言いかけた途端、体育館のスピーカーから女性の声で「ただいまより、学校見学会を開始させていただきます……」という音声が放送され始め、出鼻がくじかれた形となりました。放送が終わるのを待ちきれないかのように、山崎学校長が説明を続けました。

「すいません。えーとあの、スケジュールのほうの案内が……ちょっと放送が入りましたので、すいません。えーと、貴重なご意見をよせていただきありがとうございます。さきほども説明がありましたが、ハラスメントにつきましては2年ほど前にガイドラインを設け実施しております。また相談室においても、毎日ですね、ひとりになりますけれどもカウンセラー等を配置しております。情報公開等についても、これは今の時代ですから、きちんと対応をするところであります。もちろん文科省や機構本部とも連携するとともに、私も高専の教員として永く携わっておりますので、子どもたちに対応しておりますので安全安心の確保には最大の努力を払ってまいります」

 当会調査員は、場内全員に聞こえるように「ありがとうございます。よろしくお願いします!」と力強く山崎学校長にお願いをしました。

 すでに午前10時を3分ほど過ぎています。宮里主任があらためて、司会進行役として閉会のことばを発しました。

「ありがとうございました。それでは、すいません。放送も入りましたが、学校見学会の時間が始まったので一旦ここで、この会は終了させていただきまして、もし何かご質問等ございましたら、我々スタッフはまだここに残っておりますので、ご相談ください。えー、以上をもちまして、説明会は終了させていただきます。ご参加くださり誠にありがとうございました。先ほども、放送でもありましたが、各学科棟におきまして、各学科の紹介、相談等のコーナー。後ですね、4枚目以降のプリントに細かいことが書いてありますが、中島より紹介させていただきました寮の見学もできるようになっていますので、自由に見学をお願いします。また、各種コーナーでは土足で入れない場所もあります。スリッパに履き替えられた場合には、履き間違いのないようにお願いします。また体調が悪くなった場合は、ご遠慮なく近くに居る職員にお声がけくださるよう、よろしくお願いします。最後になりますが、お配りした資料にアンケートが入っています。今後の本校の見学会の参考にする重要な情報になりますので、記入をしていただきまして、提出箱が体育館の前と、紹介の地図のほうにも印がつけてありますので、箱をご確認いただきまして、投函いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。それでは説明会を終わりにいたします。これからご見学よろしくお願いいたします」

■参加者が一斉に席を立ち始め、当会調査員も我慢していたトイレに向かおうとしていたところ、参加していた一人の男性から声をかけられました。

「言いたいことを言ってくれてありがとう。うちは埼玉なんで、あまり(群馬には)馴染みがないんですが。ところで、あの親、なんとバカなことを言っているのかな。今ね、うちの嫁も言っていたんですが、すごいねって。あんな塾の先生がいたら、すごいわねって。言いたいことを言っていただいて素晴らしいって。ありがとうございます。うちもインターネットで見ていたら、言いたかったんですけど、言っちゃうと受験に不利になるんじゃないかって、思っちゃいますよね。とにかくありがとうございます」

 これが、参加している保護者のほとんどのかたがたの素直な思いだと思います。そうした受験生側の心理を学校側が知らないはずがありません。

 質疑応答になり当会調査員が間髪を入れず「はい!」と挙手した際、350人もの参加者が一斉に注目しました。そして、発言の間中、体育館の中はシーンと静寂に包まれ、当会調査員の声だけが響き渡りました。

 そうした中で、突然、4、5列前に座っていた男性がすっと立ち、こちらに向かってきたときには、一瞬実力行使をうけるのではないか、と内心身構えたことは事実です。

 おそらくその男性も、親として大事な子息の受験先として、群馬高専を真剣に検討しているのでしょう。しかし、こうした入試説明会の質疑にふさわしい質問なり要望などの意見というのは、どのようなものなのでしょうか。

 勿論、当会調査員の発言を不愉快に思う人もいるはずですし、居ることは当然であり、それが健全な状態だと思います。しかし、自由な発言を抑制する行為には疑問を抱かざるを得ません。当会調査員に賛同の声をかけていただいたことで、当会調査員の発言に心中で頷かれた参加者が確かに存在したことがわかり、安堵した次第です。

■本件でもお分かりの通り、「お上に逆らっていちいち波風を立てる行為」に対して一部が持つ偏見と嫌悪感が尋常でないことは、当会も長い活動上身に染みて熟知しています。そして何より、それにも増して、「親が変なことをして子どもが学校に目を付けられてしまっては大変」という思考が、群馬高専に関わる保護者らの気力を削ぎ、倫理観をどんどん歪めている現状があります。

 しかし、本来学校運営にコミットしなければならない保護者が、こうした思考から揃いも揃って責任放棄をしていると、結局は学校の腐敗を誰も止められず、最悪の結果として、「守っていた」はずの自分の子どもがいじめやアカハラの毒牙にかけられたり、自殺を選び取る羽目になってしまうという認識がしっかり持たれていく必要があります。このあたりの考察は、以下の記事でも書いたとおりです。

○2018年10月14日:群馬高専アカハラ・寮生連続死問題を追う…当会の再質問状に驚愕の無責任回答をよこした群馬高専後援会の実情
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2778.html

■ところで、3年前の夏の学校見学会では、まさにアカハラ・連続自殺や学校側の悪質な対応への注目と不安がピークに達していた時期であり、西尾校長(当時)も、「(アカハラやいじめ、自殺等に関しては)説明会の後で個別に質問を受け付けます」と最初に宣言して、保護者の前で「変な質問」をされないよう徹底的に隔離をしていました。今回山崎校長側がそのような措置を取っていなかったことは評価できますが、逆の見方をすれば、「風化」が進みつつあるためもう特別な措置も要らないだろう、と油断したさなかの出来事だったのかもしれません。

 その後、11時35分まで、各学科棟を回り、展示物や進学、就職先の現状、動向を聴取しました。いずれも、学生の皆さんから親切なプレゼンをしてもらい、さらに指導されている教員のかたがたからは、就職先の動静について、詳しく教えていただきました。教え子の将来に責任を感じている様子が強くうかがわれるひとときでした。

 あいにく時間の関係で、残念ながらM科の資料のみ入手できませんでしたが、2週間前の工華祭で視察していたこともあり、実情はすでに調べてありました。

参考:当日入手した入試説明会と各学科(M科除く)の説明資料 ZIP ⇒
◆受付で配布していた資料「学校見学会へようこそ」
20191116anx2qnwzw.zip
◆物質工学科で配布していた資料
20191116hw_uiih.zip
20191116hw_nw.zip
◆電子情報工学科で配布していた資料
20191116dqhw_wzw.zip
20191116qn_dqhwpt.zip
◆電子メディア工学科で配布していた資料
20191116dqfbahw_ww.zip
20191116qn_dqfbahwpt.zip
◆環境都市工学科で配布していた資料
20191116sshw_vrgwja.zip
◆群馬高専ロボット研究会で配布していた資料
20191116qnbg.zip

■注目の電子情報工学科棟では、今回は4階から見学をはじめましたが、3階に降りてきたら、女性職員が椅子に「立入禁止」の札を貼っている最中でした。それを横目に奥に歩いて行こうとしたら、「そこは立入禁止です」と女性職員に指摘を受けました。4階に上るときには、何も表示はありませんでしたので、急遽設置が始められたことが分かりました。「オンブズ侵入」を受けての緊急対応であることは明らかですが、そもそも雑賀本人もいないのですから、「立入禁止」にする意味が何もないはずです。

 1・2階では、実験コーナーで展示や体験イベントが開かれていました。ところが、気になったことがありました。それは、2週間前(11月3日)の調査の際は、雑賀教員室のある3階のみ監視カメラが設置されていたのですが、2週間後の今回の学校見学会では、1階から4階まで全階のエレベーター脇の天井に、監視カメラがセットされていたことです。


今回は電子情報工学科の全階にこれと同様の監視カメラが設置されていた。↑

過去参考写真:2週間前は3階のみ監視カメラ設置。11月3日(日)撮影。

 11月3日の時点では、3階の雑賀の教員室と研究室のある廊下の奥に向けて、セットしてあり、その他の階には、そのような監視カメラはセットされていませんでした。もともと、雑賀の部屋を誰かが覗かないようにと監視しようとする意図があったのだと考えられます。

 そうしていたところ、おそらく、11月3日に当会調査員が歩き回る姿を確認し、11月8日にブログでも掲載されたため、急遽1週間で設置したものと思われます。

 写真で見ればわかるとおり、これは専門業者が設置したというより、学校側が急遽予算をつけて、監視カメラとケーブル、および録画機を調達し、適当な職員かJ科教員に取付させたものだと考えられます。なぜなら、配線はむき出しの上に固定は即席で、撮影中であることを示す看板もないなど、日曜大工あるいはDIYでやった感じのお手製な取付具合だからです。後ほどこの写真を確認した他高専関係者も、杜撰さに驚いていたほどです。

 したがって、電子情報工学科等の各階に現在監視カメラが取り付けられていることになります。なお、監視カメラの取付場所は、エレベーターのドアの左手の柱の天井付近で(写真参照)、そこからエレベーターを出て向かって右手の奥方向が写るようにセットしてあります。 写真にあるのは2階の様子ですが、1階はエレベーター右手の会議室が使えないため、エレベーター左手の部屋の天井の明り取りの隙間からケーブルを室内に引き込んでいました。前回調査において、当会がブログで1-4階全部をチェックしたと報告したことから、今回1、2、4階にも増設したことになります。

 しかし、群馬高専側は当会のブログ記事を読んで初めて当会の「侵入」を感知したはずです。前回調査に関する記事掲載は今月8日(金)の夜でした。そうなると群馬高専側が記事内容を察知してアクションに移るのはどんなに早くても11日(月)のはずです。いくらDIYレベルの粗末なものとはいえ、たった5日間で各階への監視カメラ設置までこぎ着けるというのは、迅速とかいうレベルを超えており、はっきり言って異常です。

 他の学科棟ではこのようなものものしい監視体制は敷かれていませんでした。群馬高専にとって、よほど雑賀教員室と雑賀研究室のある3階のみならず、電子情報工学科棟全体の監視を強化する理由があるようです。

■今回、当会調査員は、当会事務局長が主催する学習塾の非常勤講師(「海外事情」講座担当)として、事務局長の名代も兼ねて入試説明会に参加しました。というのも、塾生のなかには当然、群馬高専を志望する生徒もいますが、雑賀教授による卑劣なハラスメント事件以降、事務局長が群馬高専の隠ぺい体質に辟易しており、自信をもって群馬高専を進学先として薦め、背中を押すことに躊躇し続けているのも事実だからです。

 そのことから、今回の説明会については、山崎校長ら幹部の見解を拝聴するだけでなく、当方から開かれた高専の実現を改めて要請する機会と捉えて参加した側面もありました。当会の質問に対して、山崎校長には、大勢の保護者やその子息の前で、ハラスメントの撲滅と情報開示の積極姿勢を示していただきました。これが有言実行になるのかどうか、今後行っていく質問や要請、情報開示請求について、群馬高専の対応を慎重に見極めてみたいと思います。

【追記】
雑賀にまつわる謎の数々に関する後日談については、以下の記事後半の〈付録〉もご覧下さい。↓
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3096.html

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】



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東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…前橋バイオマス訴訟一審敗訴を受け原告が控訴状提出!

2019-11-14 23:24:00 | 前橋Biomass発電問題・東電福一事故・東日本大震災

■2019年10月31日、午後2時1分、「主文1、原告らの請求をいずれも棄去する。2、訴訟費用は原告らの負担とする」という渡邊和義裁判長の声が、40名近い傍聴人が詰めかけた前橋地裁2階第21号法廷の張りつめた空気のなかで響いてから今日でちょうど2週間目。本日の午前9時50分に原告住民は、今度は控訴人として控訴状を前橋地裁3階事務係受付に提出しました。

控訴手数料は一審の1.5倍の1万9500円。プラス郵便切手代が一審と同様に6000円かかる。
※前橋地裁控訴状貼用印紙代及び郵便切手代(計2万5500円)ZIP ⇒
pyxiv25500j.zip

 なお、2018年4月25日(水)午後4時30分に開かれた第8回弁論準備以降、これまでの本件裁判に関する情報は次のブログ記事を御覧下さい。
○2018年6月15日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…6月20日前橋バイオマス補助金返還第9回弁論に向け原告が準備書面(8)提出
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2669.html
○2018年8月4日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…9月5日前橋バイオマス補助金返還第10回弁論に向け被告が第7準備書面提出
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2716.html
○2018年8月28日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…9月5日前橋バイオマス補助金返還第10回弁論に向け原告が準備書面(8)提出
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2737.html
○2018年10月2日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…10月26日前橋バイオマス補助金返還第11回弁論に向け原告が証拠申出書を提出
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2767.html
○2018年10月6日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…10.26前橋バイオマス補助金返還第11回弁論に向け被告第8準備書面が届く
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2772.html
○2018年10月27日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…10.26前橋バイオマス補助金返還第11回弁論準備でついに証人尋問決定!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2795.html
〇2019年1月22日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…1.30前橋バイオマス発電訴訟第12回弁論準備に向けて被告陳述書2通が到来!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2864.html
○2019年2月4日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…前橋バイオマス補助金返還第12回弁論準備で4月24日に尋問決定!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2876.html
○2019年7月17日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…前橋バイオマス補助金返還訴訟が7月17日に結審!判決は10月31日(木)14時!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2980.html
○2019年10月31日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…前橋バイオマス訴訟の10月31日14時の判決を傍聴しよう!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3061.html
○2019年10月30日:【速報】東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…前橋バイオマス訴訟で原告住民全面敗訴判決!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3065.html
○2019年11月1日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…原告住民全面敗訴判決のこれが全文!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3066.html
○2019年11月1日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…原告住民全面敗訴判決から見える裁判官の一分(いちぶん)とは
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3067.html


数々のルールを無視したまま、2018年3月4日の商業運転開始後、既に1年8カ月が経過。補助金の名のものとに多額の税金が投入され、さらにはFIT制度による高い電気代が電気料金に転嫁され、この亡国事業のために費やされている。出典:関電工HP。

■10月31日午後2時からの判決言渡しには38名の傍聴者のかたがたに来ていただきました。また、インターネットでオンライン記事をSNS発信しているマスコミ記者の取材もありました。取材記事は11月3日に次の通りネット配信されました。

**********オルタナ2019年11月3日11:13
http://www.alterna.co.jp/28498
群馬の木質バイオマス発電所訴訟で住民側が敗訴
 前橋地方裁判所は10月31日、バイオマス発電所に補助金を交付した群馬県を相手取った住民訴訟で、住民側の請求を棄却する判決を言い渡した。このバイオマス発電所は環境破壊の可能性が高く、住民らは控訴を含めて今後の対応を検討している。(オルタナ編集委員・栗岡理子)

前橋バイオマス発電所のゲート
 この訴訟は、福島第一原発事故による放射能で汚染された森林を伐採・焼却することに不安を感じた住民らが「赤城山の自然と環境を守る会」(代表:横川忠重)を結成し、提訴したもの(詳細は「緊急連載・バイオマス発電の限界と可能性」)。
 放射能汚染を懸念する木質バイオマス発電所に対する地元住民による訴訟は、2019年9月に福島県田村市で建設中の発電所に対しても起こされている。木質バイオマス発電所の増加に伴い、今後このような訴訟は増える可能性がある。
 訴状によると、群馬県が前橋バイオマス発電所に公布した補助金4億8000万円について、住民らが県に対し返還履行請求を行った。住民が特に問題視するのは、県が環境影響評価を行わずに補助金を支給したことだ。
 群馬県は、新規の工場建設にあたり、総排ガス量が毎時4万Nm3を超える場合は環境影響評価を実施することと条例を定めていた。しかし、木質バイオマスを燃料とする場合には含水率を考慮してよいと規定を改定し、当該発電所を評価の対象外とした経緯がある。
 同発電所は、東京電力子会社である関電工と、トーセン(栃木県)による出資で建設。住民らは、環境影響評価を行うことで建設の遅れを心配する関電工の圧力に屈した県が、同社に便宜を図るため条例を改定したと主張している。
 これに対し県は、関電工の計画を知る以前から木質バイオマス発電の活用を推進しており、同規定を再検討していたとして、同社からの不当な働きかけにより改訂したものではないと反論していた。
 住民らは、発電所の近隣住民への建設に関する周知が不十分であったことや、補助金の使途、稼働後の夜間騒音、さらに県産材のみを利用するはずが、県外トラックによる原料チップの搬入が目撃されていることなども問題にしている。
 しかし、今回の判決では、住民らの主張はすべて退けられた。これ受け、原告団の小川賢・市民オンブズマン群馬代表は「すべて県側の主張が採用されてしまった。まるで独裁国家だ。来週にはみんなで相談し、控訴するかどうか検討したい」とのことである。
**********

バイオマス発電施設へ進入する市道。

施設入口ゲート。

構内から見た施設遠景。

管理棟。


発電ボイラープラント。



構内の模様。

■この記事は、今回はじめて「Yahoo!ニュース」にも配信されています。
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20191103-00010000-alterna-soci

 この「Yahoo!ニュース」では、新聞・通信社が配信するニュースのほか、映像、雑誌や個人の書き手が執筆する記事などを掲載しています。ちなみに、Yahoo!ニュースは記事ニュース・写真ニュース・動画ニュース・トピックスから構成されており、ニュースおよびトピックスは更に8つのカテゴリに分かれています。記事ニュースは主に毎日新聞、読売新聞、朝日新聞、産経新聞、時事通信などのニュースを扱っており、Yahoo!ニュースのみに配信しているメディアが多い点も特徴です。

 記事によっては掲載期間が過ぎると記事は削除されリンク切れになるのと、個別記事に対してYahoo!JAPAN IDを持つユーザーがコメントを投稿できるようになっており、各コメントに対する賛否を投票することも可能です。投稿者のYahoo!JAPAN IDは一部が伏字で表示されており、匿名性が高くなっています。

 今回の11月3日昼にオルタナが配信したこの記事に寄せられたコメントは、11月4日までに24件に上っていますが、この事件の本質を分かっていないコメントが過半数に上っています。

■さて、この記事の末尾の当会代表によるコメントにもあるとおり、原告ら地元住民のかたがたが11月10日(日)午後2時から宮城公民館に集まり、本件に関する今後の対応策を1時間50分にわたって協議しました。


原告住民らによる判決結果協議が11月10日(日)午後2時から開かれた宮城公民館。

 冒頭、当会代表から、判決の分析、敗訴の背景、課題、裁判所と行政の関係などについて話した後、参加者の皆さんから本件についていろいろな観点から、意見が出されました。

 これまでの原告準備書面の中で特に燃焼について詳しく教示いただいた住民のかたかはら「排ガス量に大きく影響を与える空気比について、水分量が高ければそれだけ空気が余計必要になるのに、裁判所が被告の主張をそのまま採用するなど言語道断なので、あらためて環境アセスをやらせるためだけを目的に裁判を起こせないだろうか」との見解が示されました。

 それに関連して、排ガス中の窒素酸化物(NOx)、酸素量(O2)、放射性セシウム等などの測定データの確認の必要であることから、そうしたデータをなんとか得られないか、という切実な提案もありました。そうすれば周辺環境へのインパクトが数値的に検証できるからです。

 こうした環境関連のデータは関電工が前橋市に定期的に報告しているはずなので、前橋市に情報開示請求して入手できないだろうかという意見もありました。

 また、「バイオマス燃料とバイオマス発電は別法人だ。だから原告住民らが、バイオマス燃料事業への補助金支給と、バイオマス発電事業への排ガス・排水・焼却灰などによる大気汚染・水質汚染・放射能汚染リスクへの環境アセスメント実施義務を関連付けることはできない」とする判断について、裁判所が判決文の事実認定の冒頭で触れていることから、「そうであれば、バイオマス燃料はバイオマス発電に敷地の地代を支払っているはずだが、それをしていないのは同一組織の証である」とするの意見も出されました。

 そうした意見を踏まえて、今後この件についてどのように対処すべきかを話し合いました。その結果、このままでは済ませずに、控訴したほうがよいという意見が出されました。

 一方、これ以上続けても意味がないという意見は皆無でした。

 そのうえで、11月14日までに控訴手続きを行い、来年1月6日までに控訴理由書を作成することで参加者全員からの総意が得られました。。

■こうした経緯を経て、本日11月14日に告訴状を前橋地裁に提出しました。二審の東京高裁では、弁論期日指定日に原告(これからは控訴人)として必ず本人が出頭しなれればならず、負担が大きくなるため、高裁での二審では当会代表のみ控訴人としました。

*****控訴状*****ZIP ⇒ 20191114tiioj.zip
                         令和元年11月14日
 東京高等裁判所 御中   

             控 訴 状

控 訴 人  住所 〒379-0114
         群馬県安中市野殿980
      氏名 小 川   賢      印
         Tel. 090(5302)8312 Fax. 027(224)6624(鈴木庸)
被控訴人  住所 〒371-8570
         群馬県前橋市大手町1-1-1
      氏名 群馬県知事 山本一太
訴訟物の価額  160万円(算定不能)
貼 用 印 紙   1万9500円

 上記当事者間の前橋地方裁判所平成28年(行ウ)第27号 住民訴訟によるバイオマス補助金支払差止請求事件について,令和元年10月31日下記判決の言渡しを受け,同日判決正本の送達を受けたが,同判決は全部不服であるから控訴を提起する。

原判決の表示(主文)
 1 原告らの請求をいずれも棄却する。
 2 訴訟費用は原告らの負担とする。

控訴の趣旨
 1 被控訴人は,前橋バイオマス燃料株式会社に対し,4億8000万円及びこれに対する平成29年5月29日から支払い済みまで年5分の割合による金員を群馬県に支払うよう請求せよ。
 2 被控訴人が,前橋バイオマス燃料株式会社に対して交付した平成28年7月4日付け平成27年度(繰越)群馬県林業・木材産業再生緊急対策事業補助金交付決定に基づく4億8000万円につき,上記補助金交付決定を取り消して返還請求することを怠る事実が違法であることを確認する。
 3 訴訟費用は被控訴人らの負担とする。

控訴の理由
 追って,控訴理由書を提出する。

附属書類 控訴状副本 1通
**********

■11月14日(木)朝9時35分に前橋地裁に到着したあと、3階に上り、エレベーター前のテーブルでカバンから起訴状一式を取り出しました。事務係の部屋を見ると、渡辺裁判長が平服で中に入るのが見えました。

 起訴状の正本と副本を確認してから、事務係室に入りました。裁判長の姿は既に見えませんでしたが、一審を担当した民事第1部の女性書記官に「控訴手続きはどこですか」と尋ねると、「あちらの受付です」と指さしました。受付で起訴状2通を提出し、手数料として貼用収入印紙と郵便切手の金額を確認していると、先ほどの女性書記官が、「前橋バイオマスの件ですね」と言って、分厚い裁判資料のファイルを抱えて、受付にやって来ました。どうやら、本日が判決言渡しから2週間後の控訴期限日のため、すでに準備をしていたようです。

 再び1階に降り、売店で収入印紙1万9500円と切手6000円を購入し、3階でそれらを揃えた後、民事受付に差し出しました。受付の職員が「切手の内訳を確認しますので、外のテーブルのところでお待ちください」というので、待機していたところ、2、3分すると、職員が出てきて「確認できましたので、(控訴状を)お預かりします」と声を掛けてくれました。

 こうして、午前9時50分に控訴手続きを終えました。これから、7週間後は来年1月2日(木・祝)なので、裁判所が年始オープンする1月6日(月)までに控訴人として控訴理由書を作成し、東京高裁に提出する予定です。


控訴手続きを終えて地裁を後にする。

↑県庁前のケヤキ並木も色付いてきた。↑

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

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【スラグ報道】渋川地区広域では、大同有害スラグを巡り権力争い勃発中!?

2019-11-12 23:33:00 | スラグ不法投棄問題

■大同有害スラグで有名な渋川市で、またもやスラグを巡る報道がありました。お話の舞台は一般家庭から出たごみを焼却処分した際に排出される焼却灰を埋め立てる一般廃棄物最終処分場です。この処分場は渋川市・吉岡町・榛東村の3市町村で運営されているようですが、その運営をつかさどる議会で、またもや(株)佐藤建設工業が無慈悲にばら撒いた有害スラグが問題になっているようです。

**********上毛新聞2019年11月10日

ZIP ⇒ 20191110grxo.zip
最終処分場工事のスラグ問題で特別委 渋川広域圏議会
 渋川地区広域市町村圏振興整備組合議会は、同組合が渋川市内に建設した最終処分場の工事を巡る問題を扱う「エコ小野上処分場建設工事に伴うスラグ砕石の調査及び契約手続きに関する特別委員会」を設置した。8日に第1回委員会を開き、調査事項を話し合った。
 工事で有害物質を含む鉄鋼スラグが使われたかどうかなどを調べるべきだとする意見に対し、この問題に関する住民訴訟が係争中のため裁判の結果を受けて対応するのが妥当だとする意見もあり、結論は出なかった。訴訟内容を共有した上で、再度、特別委で扱う内容を詰めることにした。
 同議会は渋川、吉岡、榛東の3市町村議で構成し、定数15。10月定例会で特別委設置の議案が出され、賛成多数で可決された。特別委は10人が委員となっている。
**********

 問題の焼却灰の処分場はこちらです。↓↓
※参考URL:渋川地区広域市町村圏振興整備組合
http://www.sknet.or.jp/c01/jigyo03-2


これが、エコ小野上処分場という名の埋め立て処分場なのだそうだ。

 議会の委員会での説明によると、平成24年度~26年度で、広域組合3か所目となる管理型の最終処分場を建設したそうです。この最終処分場は従来からあるオープン型の最終処分場とは異なり、屋根や壁を備えたクローズド型最終処分場なのだそうです。

 こんな近代的な屋根付き処分場に有害スラグが使われたとしたら毒性を含めて大変なことになりそうですね。

■では、いつものようにポイントをまとめてみましょう。

ポイント①渋川広域圏議会の10月定例会でスラグ特別委が設置されたこと。
ポイント②スラグ特別委では、有害スラグの使用と建設工事の不当性が問題となっているようだ。
ポイント③調査特別委員会が設置されたのに、調査に条件を付ける意見が出されたという不自然な報道であること。

 次に、それぞれのポイントごとに検証してみましょう。

ポイント①
渋川広域圏議会の10月定例会でスラグ特別委が設置されたこと。


元々あった焼却灰を埋める小野上処分場の近くに、平成24~26年建設されたのが今回問題となっているエコ小野上処分場だ。大同スラグが使用されているのに、スラグが使われたのは昔の処分場だということにして、役人ぐるみで逃げ回っているらしい。

 渋川市・吉岡町・榛東村の3市町村は組合を組織し、一般家庭から出るゴミを処理しています。同組合は、そのゴミの焼却灰を埋め立てる「エコ小野上処分場」を運営していますが、その建設工事にスラグ砕石が使用されたことや、契約手続きに問題があるため、特別委員会が設置されたとの報道です。

ポイント②
スラグ特別委では、有害スラグの使用と建設工事の不当性が問題となっているようだ。

 報道によれば、この組合では「渋川、吉岡、榛東の3市町村議」で議会を構成し、定数15となっているそうです。10月定例会で特別委設置の議案が出され、賛成多数で可決され、特別委は10人が委員となっている模様です。

 その名称は「エコ小野上処分場建設工事に伴うスラグ砕石の調査及び契約手続きに関する特別委員会」と名付けられたことから、工事にスラグが使われたことや契約に疑義があるための特別委員会であることが容易に想像できるでしょう。

ポイント③
調査特別委員会が設置されたのに、調査に条件を付ける意見が出されたという不自然な報道であること。

 報道によると、「エコ小野上処分場建設工事に伴うスラグ砕石の調査及び契約手続きに関する特別委員会」は既に設置済みであるのに、11月8日に開かれた第1回委員会で調査事項を決めようとしたところ、係争中であるため裁判の結果がでるまで調査をさせないという意見が出されたと読み取れます。

 行政の執行部が「調査中だ」とか「係争中だ」などを理由に、議会での議員の質問に対し説明責任を果たさないことが問題となっています。

 行政事件訴訟法にも住民訴訟の規定がある地方自治法にも「調査中」とか「係争中」を理由に議会答弁を回避できるなどとはどの条文にも書いていないと思いますが、現実には地方議会のあちこちで「係争中」を理由に説明を避けることがよく見受けられます。

■しかし今回「住民訴訟が係争中のため」という意見が出されたのは、特別委員会の席上です。特別委員会は選挙で選ばれた議員10人で構成されています。行政の執行部つまりお役人様は特別委員ではないハズなので、「住民訴訟が係争中のため」という意見は、いったい誰から出されたのでしょうか?

 まさか渋川広域圏組合の執行部が頼まれもしないのにしゃしゃり出て、意見を述べたのでしょうか?執行部のお役人様は議会での権限はないハズですので、この場合この意見は無効となることでしょう。

 また議員の中に、お役人様がよく口にする「住民訴訟が係争中」という言葉を使う輩がいる場合には、スラグ調査を反対するお役人様から頼まれたことが考えられます。

■とりわけ、この報道で一番の疑問なのは、通常の特別委員会の設置だけでは、上毛新聞は記事として取り上げません。それなのに今回は、「調査事項を話し合う席で、調査そのものをストップする方向に進む」と以上に踏み込んだ表現で、上毛新聞が記事として取り上げたことです。

 この報道は、スラグ調査反対派と上毛新聞がタイアップして記事になったのでは・・・という可能性を感じてしまうのは、果たして当会だけなのでしょうか?

 以上、上毛新聞のスラグ報道を検証してまいりましたが、大同の企業城下町渋川市では、スラグの実態調査に反対する人々の存在や、こうした不逞の輩とタイアップする上毛新聞の報道姿勢、という図式が見え隠れしているようです。

■もう一度このスラグ報道の疑問点をまとめるに当たり、「渋川地区広域市町村圏振興整備組合」の執行部のお役人様に次のことを聞いてみたいものです!

・誰が「係争中だから、裁判の結果がでてから調査項目を決めよう」と言い出したのか?

・なぜ係争中なので、 結果がでてから調査項目を決めなければならないのか?

・広域圏議会では、三権分立のような考え方はないのか?


 我が国の三権分立はまさに風前の灯です。ここで、改めて声を大にします。

「裁判は裁判」「議会は議会」のはずだ!

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】


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