市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

【速報】群馬高専アカハラ・寮生連続死問題を追う…群馬高専後援会からアカハラ事件見解に関する回答が到来

2018-07-24 21:11:00 | 群馬高専アカハラ問題
■群馬高専には後援会 http://www.gunma-kousen.com/greeting/ という組織があります。通常、公立のほとんどの小学校・中学校・高校にはPTAという組織がありますが、私立や国立の学校では、PTAとは呼ばず、「○○の会」や「○○校保護者の会」といった名称のところがあり、公立学校のPTAとは一線を画す活動内容となっています。そのためか、国立の高専では、PTAと呼ばず「後援会」という名称を使っています。PTAの場合、各学校で組織された、保護者と教職員(児童を含まない)による社会教育関係団体で、任意加入であって、結成や加入を義務付ける法的根拠は無く、全ての児童生徒のためのボランティア活動というのが本来のあり方とされています。
 このことから、当会では、群馬高専のアカハラ問題を巡り、開かれたキャンパスの実現に向けて、学生の保護者により構成される後援会組織の理解と支援が欠かせないと考えて、後援会向けに「群馬高専での諸事件に係る見解の問合せ」と題して公開質問状を7月2日付の速達で郵送していたところ、本日7月24日に同後援会事務局から回答が届きました。
 なお、群馬高専後援会に送付した公開質問状の内容は次の記事をご覧下さい。
○2018年7月2日:群馬高専アカハラ・寮生連続死問題を追う…群馬高専後援会あてにアカハラ事件の見解を問う公開質問状を発出
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2682.html#readmore


 回答書の内容は次のとおりです。

*****回答書*****PDF ⇒ 20180723qn.pdf
                         平成30年7月23日
市民オンブズマン群馬
 代表 小川 賢 様
               群馬工業高等専門学校後援会事務局

       「公開質問状」について(回答)

 日頃より当後援会の運営・活動にご理解ご協力を賜り厚く御礼申し上げます。
さて、平成30年7月2日付けでこのような質問状が出されたことは群馬高専の教育の向上発展及び学生の学業の達成や夢の実現を願う当会としましては、誠に残念な思いであります。
 しかしながら、ご指摘いただいた内容を真摯に受け止め、改めて私どもで出来る範囲の情報を収集し、どのような回答ができるのか協議を重ねてまいりました。
 当会では、このような疑念を抱かれることのないよう、今後も高専生の健やかな学校生活のために、学校側とはもとより、保護者の皆様ともこれまで以上の情報共有を図り、会務に反映できるよう努めてまいる所存でございます。
 つきましては、群馬高専後援会としてのこれからの活動をもって、私どもの回答をさせていただきたいと考えておりますことから、貴殿におかれましては、当会の趣旨にご理解いただくとともに、温かい目で見守りいただけると幸いに存じます。
 そして、何かお気づきの点などございましたら、遠慮なく叱咤激励ください。何よりも心強く思います。
 お互いの活動が、より一層の飛躍につながることを願い、回答とさせていただきます。
**********

■当会では7月2日付の公開質問状(内容はこの記事の末尾参照)で、7月20日(金)までの回答を同後援会に求めていましたが、7月17日午後2時11分に、念のため「今月初めに送った『見解を問う質問状』は受領しているでしょうか?」「回答期限が迫っているが、回答を出すつもりはあるのでしょうか?」の2点を電話で同後援会事務局に確認してみました。

 すると、通常は群馬高専の後援会事務局は毎週、月曜、水曜、金曜日の3日しか空いていないとのことで、当日7月17日(火)は火曜日でしたが、たまたま女性職員が私用で事務局に出てきていたので電話連絡がつきました。

 さっそく上記2点について確認したところ、同女性職員いわく「オンブズマンからの質問状は確かに受け取っており、返事の内容について、現在最終的に後援会長に確認中。ただし、後援会長は居住地が学校から遠く、企業に勤務していて、なかなか連絡が取りにくいので、どうしても時間がかかってしまう。申し訳ないが、今週末に内容の確認が終わるかどうか確証の心もとがない。だが遅くとも来週早々には必ず回答を出せるので、しばしお待ちいただきたい」とのことでした。

 そして、この言葉通り、本日午前中に、当会事務局に回答書が封書で届いたものです。

 取り急ぎ、回答があった旨ご報告します。追って、当会のコメントを追記する予定です。

【7月26日追記】
 当会としては、この度の群馬高専後援会事務局からの回答書については、事実上の回答拒否であると受け止めております。
 当会は後援会の代表者(この場合、後援会長)に対して、「アカハラ事件が解決を迎えたと考えているのかどうか?」を聞いているのに、後援会事務局から「当(後援会)会の活動をもって回答とする」では何も答えになっていません。完全に質問をはぐらかした回答をしてきています。
 百歩譲っても、当の後援会の「活動」内容など外部者には知りようもないのですから、いずれにせよ回答になっていないと考えるのが妥当でしょう。
 とにかく、群馬高専をめぐる一連の事件について、後援会が、そのスタンスを一切明らかにせず、日和見を貫きたいという姿勢が透けて見えてきます。とは言え、彼らは決して「日和見」、すなわち「中立」ということではありません。
 学生らを守るべき立場にも関わらず、群馬高専内で起こった阿鼻叫喚の事態に対して、ずっと「見ざる、言わざる、聞かざる」の卑怯というべき最も消極的な姿勢を取り続け、今もこうして言及を拒んで事件の風化を試みているのですから、みごと群馬高専に飼い慣らされているとみるのが妥当でしょう。
 そこで気になるのは、「来週明けには回答できる」と、“群馬高専後援会事務局の職員”(=群馬高専職員?)が言っていたことす。説明では「後援会長が遠方に居住していて、勤務の都合もあるので」として、迅速な連絡や確認ができない事情をうかがわせましたが、実は学校運営側で回答書の案文を作成し、事後承諾としてそれを有無を言わさず「これでオンブズマンに回答するけど、よろしいね」と後援会長を促した事情さえも推測できないことはありません。つまり、この回答書すら実際には群馬高専が書いただけであったのかもしれません。
 いずれにせよ、ご丁寧にも回答書の末尾に「何かお気づきの点などございましたら、遠慮なく叱咤激励ください。」と付してあるので、当会としては、これからは遠慮なく「叱咤」して差し上げようと思います。
 もっとも、向こうが「激励」と感じるかどうかは分かりませんが・・・。


【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

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太田市営富沢団地の共益費の不正疑惑について清水市長に実態解明調査依頼書を郵送で提出

2018-07-22 22:23:00 | オンブズマン活動

■戸数の多い都市近郊部の自治会は、自治体からの補助金が多額に上るため、その会計処理には十分な透明性が求められます。ところが、全国各地から自治会長や会計責任者ら幹部がからむ不正会計疑惑の報告が全国市民オンブズマン事務局に寄せられており、昨年と一昨年の全国大会では、分科会で「町内会」」が取り上げられ、全国から集まったオンブズマンの皆さんから実態報告がありました。群馬県でも前橋市広瀬町三丁目、桐生市第十一区(境野町)、みどり市大間々町13区の区長や会計責任者ら幹部や自治体から派遣された公民館長らによる不正会計事件が発生しています。おそらく水面下ではさらに酷い状況が発生しているものと推定されます。今回は、太田市の当会会員らから、太田市営富沢住宅団地を巡る共益費の不正疑惑について問題提起があり、当会で予備的な調査をしたところ、幾つか疑問点が判明しました。そこで先日7月9日付で、太田市の清水市長あてに同団地の共益に係る不正疑惑調査を依頼する書状を発出しました。

太田市営富沢団地。太田市HPより。以下同様。








富沢団地の住宅配置図。

*****太田市長あて調査依頼書*****PDF ⇒ 20180709csixcnj.pdf
<P1>
                              平成30年7月9日
〒373-8718
群馬県太田市浜町2番35号
太田市長 清水 聖義 様
                     〒 371-0801
                     群馬県前橋市文京町1丁目15 番10号
                     市民オンブズマン群馬
                     代表 小川 賢
                     TEL: 027-224-8567(事務局)/
                        090-5302-8312(代表小川)
                     FAX: 027-224-6624

   市営富沢団地の共益費の不正疑惑について(調査のお願い)

拝啓 日々益々ご健勝のこととお慶び申し上げます。
 さて、表記に関して、地元の会員らから巷間情報を入手したところ、いくつかの疑惑が発覚しましたのでご報告いたします。実態を調査のうえ、早急に問題点を確認いただき、必要な措置を講じていただけますようお願い申し上げます。
 なお、調査の進捗経過および調査結果については、都度、当会にご連絡くださるよう合わせてお願いいたします。

疑問点1:高額な共益費について
 富沢団地は全戸で291戸ありますが、現在空室もあります。なお、共益費は2018年7月から銀行の引き落としになる予定です。
 団地の共益費は月3,000円ですが、なぜかエレベータ棟では月2,500円となっています。電気を余計消費するはずのエレベータ棟のほうが500円安いのは疑問です。
 一方、団地の自治会費は4月から9月までが1,500円、10月から3月までが1,500円で、ほかに体協費として、300円が、毎年徴収されます。このことから、どうみても共益費の月3,000円というのは高すぎます。また、毎年4月に自治会の会計報告が回覧板で縦覧されるのに対して、共益費は回覧板では縦覧されません。このことからも、共益費の透明性が疑問視されます。

疑問点2:共益費の決算内容について
 最近の富沢団地共益費決算報告によると「収入の部」では、毎年200万円近い前年度からの繰越金と、700万円近い収入があります。前述の通り全部で団地の戸数は291戸で

<P2>
すが、空室もあります。毎月3千円ですと1戸当たり年間3万6千円なので、全戸では1047万6千円となります。したがって、空室率は約3分の1に及びますが、これも実態とあっているのかどうか、当会では把握できません。
 また「NTTグンマBフレッツ電気代」として1号棟から18号棟で約25万円になるようですが、フレッツの工事は無料のはずですので、「電気代」というのが一体何を指しているのか、疑問があります。
 さらに「支出の部」に、電気代などの項目について掲載されていますが、実態としては、一部の入居者が自宅に勝手に引き込んだりして悪用しており、このことを住民が 自治会役員に通報しでも、自治会幹部は全く動こうとせず、逆に通報した住民に嫌がらせをする有様だということです。
 会計監査として、「石川彰」1名がいるようですが、これも不信感があります。この御仁は現在、副会長だからです。

疑問点その3:今年7月か らの共益費改訂が示す疑問点 について
 前述のとおり、団地の共益費は月3,000円ですが、なぜかエレベータ棟では月2,500円となっています。電気を余計消費するはずのエレベータ棟のほうが500円安いのは疑問です。ところが、今年7月から共益費が口座振り込みとなったのを契機に、エレベータ棟が2,500円から100円安の2,400円に、エレベータなしの棟が3,000円から500円安の2,000円に引き下げられました。エレベータ運転のための電気代がかかることから、改訂後の価格設定は、以前よりも妥当と感じられますが、それなら、なぜこれまではエレベータ棟の共益費が安かったのか、説明がつきません。口座振り込みに切り替えられたことから、以前の共益費の運用に不信感が湧いてきます。

疑問点その4:共益費の内訳情報の不開示について
 団地の決算報告の「支出の部」では、「浄化槽保守点検業務委託費(前期)」「同(後期)」「電気代」「水道代」「電球代」「ゴミ袋代」「草刈機燃料代」「清掃用品代」「事務用品代」などの項目がありますが、このうち、電気代、水道代、電球代、ゴミ袋代、草刈機燃料代、清掃用品代、事務用品代については特定の入居者が勝手に自宅用に費消している疑惑が取りざたされています。しかし、領収書など使途の分かる情報は住民に開示されたことはあり ません。
 電気代は年間600万円近くに上るようです。1か月あたり、50万円に上りますが、電気代の内訳が住民に開示されたことは一度たりともありません。電気代の内訳として考えられるのは、集会室、共有灯、ポンプ室、排水処理施設がありますが、これらの電気代の支出明細がなぜ公開されないのでしょうか。行政側の貴殿には報告がされているのであれば、それらを住民に開示することが必要です。
 水道代についても、集会室、公園、散水栓、ゴミ置き場ごとの使用料の住民への開示があ

<P3>
りません。行政側の貴殿に報告があるはずですので、それらを住民にも開示することが開かれた団地自治会にとって不可欠です。

疑問その5: 役員の指名権者について
 組長以外の役員は、会長からの指名で決められているようです。こうしたやり方ですと、不正の温床になりかねません。実態を調査する必要があります。

                                    以 上
**********

■太田市には平成30年7月17日現在、次の3地区に合計33カ所の市営住宅団地があります。

*****太田市市営住宅一覧*****PDF ⇒ 20180717_ohtasi_sieijuutaku_no_akijoukyou.pdf
<太田地区>27団地、計2525戸
東別所、新牛沢、宝泉、浜町、韮川、大島、矢場、新井、韮川南、強戸、飯塚、成塚、富沢、牛沢、龍舞、韮川東、岩瀬川、東本町、新島、本陣、東長岡、高原、石原、まちなか(子育て支援住宅。平成42年1月末まで借上げ市営住宅として供給)、鳥之郷南、鳥之郷、岩瀬川(特公賃)
<尾島地区>3団地、計179戸
岩松、粕川、軽浜
<新田地区>2団地、計96戸
新田木崎、新田上田中
※注:エレベータ付の住宅は富沢(4・10・17号棟)・東本町・本陣・まちなか市営住宅。
**********

 こうした団地や自治会では、戸数が多いと、住民からの会費に加えて、行政からも多額の報酬や補助金、手数料等が払い込まれるため、その取扱いには十分な透明性が求められます。ところが、こうした公金の扱いについて、住民が関心を示さずにいると、一部の役員が自治会長などの要職を長期にわたり独占し、腐敗の温床となる事例が冒頭で示した通り、全国各地で発生しており、群馬県内でも表ざたになっています。

 そのため、会計報告が十分でない自治会の不透明な運営に住民が疑問を抱いて、自治会長を委嘱する側の自治体に対して、公金の使途についての会計報告を求めても、「自治会のことは住民の自治だから干渉しない」などとして、極めて消極的になります。

 自治会長には選挙の際の票の取りまとめなど、市長としても選挙のことが脳裏をよぎるのか、長期間、同じ自治会長に委嘱状を平然と交付することも珍しくありません。

 こうして、行政と一部自治会役員との間の癒着が起きることになります。

■今回の太田市営富沢住宅団地における問題点については、少しリードタイムを取った後、太田市に対して調査結果をヒヤリングしたいと思います。

【市民オンブズマン事務局からの報告】

※参考情報「平成29年度全国市民オンブズマン和歌山大会」の分科会「町内会」資料
**********
〇2017年9月5日:第24回全国市民オンブズマン和歌山大会参加報告
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2405.html

 このなかで、当会は前年に続き「町内会」分科会に参加しました。レジメは次のとおり。
●町内会分科会 PDF ⇒ 2017090305w.pdf

 各地からの主な報告資料は次のとおりです。
●春日原自治会を考える会 PDF ⇒ 2017090305itlj.pdf
●奈良県K自治会補助金詐欺事件 PDF ⇒ 20170903061_naraken_k_jichikai_hojokin_sagi.pdf
20170903062_naraken_k_jichikai_hojokin_sagi.pdf
●大野城市の住民自治を考える会 PDF ⇒ 2017090307iszlj.pdf
●広島市東区早稲田社協 PDF ⇒ 201709030801ilscj.pdf
201709030802ilscj.pdf
**********

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平成の負の遺産は平成で終わらせよう!…群銀の103年ローン見直し交渉未着手の安中市長と市民への説明責任

2018-07-21 23:18:00 | 土地開発公社51億円横領事件
■安中市土地開発公社を舞台にした巨額詐欺横領事件が1995年5月に発覚してから23年が経ちました。間違いなく我が国の公務員による不正行為では空前絶後、前代未聞の最大級の不祥事件です。先日、1995年3月に地下鉄サリン事件を起こして日本国民を恐怖に陥れたオウム真理教教祖ら幹部7人の死刑が執行されましたが、報道によれば来年5月に新年号制定を控えて「平成の総括」がその背景にあるとされています。このことからも、当会では、群馬銀行に対する和解金の支払いは、平成最後の年となる本年12月25日の20回目の支払いをもって総括すべきだと考えます。そこで、安中市長に対して、和解20周年まであと165日と迫る7月11日に行政文書開示請求をFAXで市役所宛てに発出したところ、7月21日に請求結果が通知されてきました。

 この件については、次のブログをご覧ください、
○2018年7月11日:【速報】タゴ51億円事件から23年目・・・安中市長に103年ローン解消に向けた動きの有無を情報開示請求
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2693.html
○2018年7月13日:平成の負の遺産は平成で終わらせよう!…タゴ51億円事件103年ローンの20回目支払い迄あと165日
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2695.html

■安中市長から送られてきた通知書は次の2通です。

*****行政文書不存在通知書*****PDF ⇒ 20180721j.pdf

                             安企発第708号
                           平成30年7月18日
           行政文書不存在通知書
請求者
 安中市野殿980
 小川 賢   様
                     安中市長 茂 木 英 子
 平成30年7月11日に請求のありました行政文書について、当実施機関において保有していないため、安中市情報公開条例第11条第2項の規定により通知します。
<開示請求に係る行政文書の内容又は件名>
①公社の連帯責任を負う安中市の市長として群馬銀行に対し、昨年12月からこれまでに、群馬銀行に対して、20回目以降の和解金の取り扱いに関して交渉をした一切の情報。
<行政文書が存在しない理由>
請求文書にあるような和解金の取り扱いに関しての交渉は行っておらず、行政文書についても不存在であるため。
<行政担当課>
総務部企画課
電話番号 027-382-1111(内線1635)

*****行政文書開示決定通知書*****PDF ⇒ 20180721j.pdf

                             安企発第708号
                           平成30年7月18日
           行政文書開示決定通知書
請求者
 安中市野殿980
 小川 賢   様
                     安中市長 茂木 英子
 平成30年7月11日に請求のありました行政文書について、次のとおり開示することに決定しましたので、安中市情報公開条例第11条第1項の規定により、通知します。
<開示請求に係る行政文書の内容又は件名>
②10年前に安中市は和解10年目の節目として、群銀への和解金の取り扱いについて住民説明会を市内複数個所で開催しましたが、今回はいまのところまだ市民には説明会の動きが見えてきませんが、昨年12月以降における群銀との和解20年目の節目に向けての庁内(公社を含む)での協議や打ち合わせなど、一切の情報。
<開示の実施方法>
①閲覧 ②写しの交付 3視聴
<開示の日時>
平成30年8月1日(水)午前8時30分から
<開示の場所>
安中市総務部行政課
<行政担当課>
総務部企画課
電話番号 027-382-1111(内線1635)

=====写しの一覧=====

行政文書開示請求に関する写しの一覧
●開示請求の件名
(2)10年前に安中市は和解10年目の節目として、群銀への和解金の取り扱いについて住民説明会をしない(ママ。「市内」が正)複数個所で開催しましたが、今回はいまのところまだ市民には説明会の動きが見えてきませんが、昨年12月以降における群銀との和解20年目の節目に向けての庁内(公社を含む)での協議や打ち合わせなど、一切の情報。
1◎行政文書の名称:安中市土地開発公社への情報公開要請について(伺い)
 ○開示の別:全部開示
 ○不開示とした箇所:-
 ○不開示とした理由:-
 ○開示請求に対する説明:-
 ○枚数:1
2◎情報公開申出に係る情報の提出について
 ○開示の別:全部開示
 ○不開示とした箇所:-
 ○不開示とした理由:-
 ○開示請求に対する説明:-
 ○枚数:1
3◎安中市土地開発公社からの情報申出に係る情報の回答について(報告)
 ○開示の別:全部開示
 ○不開示とした箇所:-
 ○不開示とした理由:-
 ○開示請求に対する説明:-
 ○枚数:1
4◎情報公開申出に係る情報の提出について(回答)
 ○開示の別:全部開示
 ○不開示とした箇所:-
 ○不開示とした理由:-
 ○開示請求に対する説明:-
 ○枚数:1
◇該当行政文書計:4
 写しの費用:40円
※安中市土地開発公社に対し、安中市情報公開条例第24条第2項により、平成30年7月11日付け文書にて、上記開示請求内容に係る情報の提出を求めたが、平成30年7月17日付け文書で『群馬銀行との和解20年目に向けての協議や打合せに関する情報については、現在協議中であり、公開することにより公社の正当な利益を害するおそれがあること。また、その情報は、安中市土地開発公社情報公開規定第2条の規定により、提出することができない』旨の回答がなされた。
公社が保有する情報については、情報機関(市)からの提出依頼に対して、公社から情報提供があった時に実施期間が保有する情報になるが、本件については、情報の提出がなかったため、実施機関としても開示できる行政文書は不存在である。
**********

■このように、あいかわらず、安中市は、安中市土地開発公社は別法人だとして、市民から情報を遠ざけようとする姿勢を示しています。

 しかし、一方で、安中市は安中市土地開発公社に対して連帯保証人になっており、実質的に公社は市と連結決算になっています。

 群馬銀行も、タゴ51億円事件の尻拭いのための和解金の受け取りに際して、安中市に公社の連帯保証を求めていますから、安中市が「公社について別法人だから」として、いちいち公社の意向確認をすることは、今回の開示請求内容、すなわち「群銀との和解20年後の対応に向けた安中市の所有する一切の情報」とは関係のない行為です。

 このことは、8月1日の情報開示の席上、安中市の担当部署で、公社を管轄する総務部企画課に真意を質したいと思います。

■ところで、和解20年後の節目となる今年12月25日(火)まであと5か月に迫りましたが、いまだに群馬銀行に対して交渉を始めていないことは極めて意外でした。

 この理由について、茂木市長が、自ら先頭に立って群銀との交渉を行うつもりがなくすべて茂木一義副市長=公社理事長に交渉の役目を丸投げしているのか、それとも、はなから群銀との交渉を最初からやるつもりがないのか、今回の通知を読む限り判然としません。

 このことも8月1日に市役所の担当部署に確認してみたいと思います。

■それにしても、群銀への和解金支払いの連帯保証人になってもらっている安中市に対して、「群馬銀行との和解20年目に向けての協議や打合せに関する情報については、現在協議中であり、公開することにより公社の正当な利益を害するおそれがあること。また、その情報は、安中市土地開発公社情報公開規定第2条の規定により、提出することができない」旨の回答を安中市土地開発公社にさせた安中市長は、このタゴ51億円事件に対してどのような見解を持っているのでしょうか。

 当会が、群馬銀行に、安中市民の希望として、「平成」の負の遺産を次の年号に引き継ぐのはなんとしても避けたいので、和解20年目を節目に、負の遺産をこれ以上引き継がないように解消を打診したのですが、群銀は「第三者の立場の安中市民とは一切交渉しない」として拒否したものの、当事者同士である安中市長からの交渉には、対応の含みを持たせる発言をしています。

 そのことをぜひ茂木市長や市の担当部署や公社の件傾斜である市の部長クラスに伝えたいと思います。

【市政をひらく安中市民の会事務局より】

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映画「ゲッペルスと私」が現代社会に語り掛けること

2018-07-20 21:37:00 | 国内外からのトピックス
■6月16日(金)から神田神保町の岩波ホール10階で上映されている「ゲッペルスと私」と題する映画を先日鑑賞しました。テーマは第二次大戦およびそれまでに至るナチスドイツの勃興と栄枯盛衰を、かつてゲッペルスの秘書だった女性が。自ら当時の体験を独白する形式で、撮影当時103歳だった語り手の皺に満ちた表情を接写で大写しにしつつ、戦前、戦中の記録映画を交えながらおよそ2時間ちかくひたすら回顧して語り続けます。




 これを見終わって痛感させられるのは、全体主義の恐ろしさです。意見の多様性が排除された場合、人々は思考の停止を余儀なくされ、やがてそれに慣れきってしまいます。自らの考えを述べるのをやめてしまうと、それはそれで大変楽なのかもしれません。

 全体主義は、「個人は全てを全体に従うべきだ」とする思想・政治体制で、歴史的には、ナチズムのドイツ、ファシズムのイタリア、スターリニズムのソ連、それに、天皇制ファシズムと言われる戦時中の日本が、挙げられています。

 このうち、ドイツ、イタリア、日本は第2次世界大戦による敗戦で全体主義が崩壊しましたが、連合国の一員だったソ連の全体主義は共産党の一党独裁とも相まって、戦後も継続されましたが、40年後の1985年に始まったペレストロイカにより、1991年12月にソ連が崩壊し、スターリニズムと一体だった共産主義も消滅しました。

 いちいち他人の言うことを聞いて、あれこれ考えて自分の意見を示すのは本来あまり得意ではない日本人は、他人との協調性を重んじることから、体質的に全体主義を受入れやすいところがあります。これを「充実した全体主義」と呼ぶことがあり、これは「ある集団の構成員の全員が、全体のために自発的に奉仕して、それを自然に受け入れる状態」を言います。

 外国から日本人を見ると、西欧の個人主義との対比として、「日本の個人主義は、集団の思想との対立をつねに避け、集団と闘うよりは集団に仕えることの方が多い」と感じられるようです。

 確かに戦時中の我が国においては、スローガンとして掲げられた「八紘一宇」、つまり、天下・全世界を一つの家にするという意味の言葉は、まさに国粋主義、民族主義の象徴的な形でした。それを、神格化した天皇とからめて、国民を統制し、協調性を重んじる民族性を支配者が利用し、国民をそれを支持した結果、暴走して、結局、無条件降伏に追い込まれ、それまで多くの犠牲を払って獲得した領土や領海も全部失い、国民が被った莫大な損害は何も弁済されないまま、支配者もその責任を問われないという結果になりました。

 最近の政治や社会の風潮を見るにつけ、こうした日本人の体質が、支配者に利用されているのではないかと気になるのは筆者だけではないはずです。

■この映画の予告講評を見ると次の説明があります。

**********
●終戦から69年の沈黙を破り、ゲッベルスの秘書が独白する。
 若きポムゼルは、第二次世界大戦中、1942 年から終戦までの3年間、ナチスの宣伝大臣ヨーゼフ・ゲッベルスの秘書として働き、近代における最も冷酷な戦争犯罪者のそばにいた人物である。本作は彼女が終戦から69 年の沈黙を破って当時を語った貴重なドキュメントである。“ホロコーストについてはなにも知らなかった”と語るポムゼルの30 時間に及ぶ独白インタビューは、20世紀最大の戦争と全体主義の下で抑圧された人々の人生を浮き彫りにする。
●彼女のあらゆる表情と証言は、ナチスの時代を甦らせる。
 いくつもの高精度カメラは、ポムゼルの深く刻まれた顔の皺や表情だけではなく、瞳の奥に宿す記憶をも鮮明にとらえる。幼少の頃の父親の思い出、初めて出来た恋人の話、ユダヤ人の友人の面影、そして“紳士”ゲッベルスについて、103歳とは思えぬ記憶力でカメラに語りかける。“いわれたことをタイプしていただけ”と語りながらも、時折、表情を強張らせて慎重に言葉を選ぶポムゼル。それは、ハンナ・アーレントにおける“悪の凡庸さ”をふたたび想起させる。
●世界初公開のアーカイヴ映像が戦争の真実を明るみにする。
 本作品には、当時、世界各国で製作された様々なアーカイヴ映像が数多く挿入される。ナチスを滑稽に描くアメリカ軍製作のプロパガンダ映画、ヒトラーを揶揄する人々を捉えたポーランドの映像、ゲッベルスがムッソリーニとヴァカンスを楽しむプライベート映像、そして戦後、ナチスのモニュメントを破壊する人々やホロコーストの実態を記録した映像。それらは、戦争という人間の愚行はいつでも繰り返されることを語り、戦争の続く今日に警鐘を鳴らしている。


アメリカのオリジナル映像。非ナチ化の編集前素材米軍通信部隊(ケルン1945年)

イタリアのニュース映画。ゲッベルスのベネチア訪問(イタリア1940年)

アメリカのオリジナル映像。解放後のエーベンゼー強制収容所米軍通信部隊(オーストリア1945年)
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■他にも次のような講評もあります。

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 ナチス宣伝大臣ゲッベルスの秘書、ブルンヒルデ・ポムゼル103歳。彼女の発言は、20世紀最大の戦争の記憶を呼び起こす。
 同作は、「ヒトラーに継ぐ演説の巧者」と言われたナチス宣伝大臣のヨーゼフ・ゲッベルスを題材にしたドキュメンタリー。かつてゲッベルスの秘書を務めたブルンヒルデ・ポムゼルが69年の沈黙を破って応えたインタビューや、スティーヴン・スピルバーグ・フィルム&ビデオ・アーカイヴ、アメリカ合衆国ホロコースト記念博物館、アメリカ議会図書館、アメリカ国立公文書記録管理局、DRAドイツ・ラジオ・アーカイヴが所有しているアーカイブで構成されている。
 予告編では、第2次世界大戦で最も重要な演説の1つとされるゲッベルスの「総力戦演説」の肉声や、日常的に指の手入れをさせていたというゲッベルスの秘話、初公開となる戦時中のアーカイブ映像などが映し出されている。

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■岩波ホールでは、この映画を8月3日まで上映予定です。おそらくこの手の映画ですので、テレビ放映やDVDでの頒布などは行われないと思いますので、この機会にぜひ直接鑑賞することをお薦めします。

【ひらく会情報部】

※参考情報1「当事者のプロフィール」
【ブルンヒルデ・ポムゼル】
 1911年1月11日ベルリン生まれ。1942年から1945年までゲッベルスの秘書として働く。1945年、第二次世界大戦終戦後、ソヴィエト軍に捕らえられ1950年までの5年間、強制収容所に抑留される。1950年に解放され、1971年の定年退職までドイツ公共放送連盟ARDで働く。2017年1月27日、ミュンヘンの老人ホームで死去。享年106。
【ヨーゼフ・ゲッベルス】
 1897年10月29日生まれ。国民社会主義ドイツ労働者党(ナチス)・国民啓蒙・宣伝大臣としてプロパガンダを管轄し、大衆をナチス支持へと扇動した。1945年5月1日、第二次世界大戦終戦間際、ヒトラーの自殺を追って、総統地下壕で家族とともに自殺する。

※参考情報2「映画講評記事」
*********朝日新聞デジタル2018年6月25日10時09分
ナチス元秘書、103歳が独白 映画「ゲッベルスと私」
 「何も知らなかった。私に罪はない」。ナチス宣伝相ゲッベルスの秘書が、103歳にして沈黙を破り独白する。オーストリアのドキュメンタリー映画「ゲッベルスと私」が公開される。強大な権力に対し、自分を殺し従順に生きるか、声を上げる勇気を持てるか。今日的テーマを持った作品だ。
 ブルンヒルデ・ポムゼルは敗戦までの3年間、秘書を務めた。紳士的な上司の下で指示された仕事を忠実にこなし、ユダヤ人女性の親友の窮状に接しつつもホロコーストについては何も知らなかった、と語る。
 「知ろうとせず、目をそむけた。しっかりした知性の持ち主の彼女がそうしたのは、ある種の自己防衛。戦後、『何も知らなかった』と言い続けたのも自己防衛だろう」と、共同監督の1人、フロリアン・バイゲンザマーは語る。
 反ナチ運動「白バラ」のショル兄妹の処刑について「残酷だった」とポムゼルは言いつつ、「黙っていたら彼らは生きていたのに」。そして金庫にしまった裁判記録に興味があったが、「忠誠心から見なかった」と誇る。
 映像は黒バックにモノクロ。強い照明でポムゼルの深いしわを強調した。「淡々とした彼女の言葉が語らないものを、表情が語る。歴史や歳月の重みがしわに映し出される」と共同監督のクリスティアン・クレーネス。彼女はどこまで真実を語っているのか? それは本心か? 表情を見つめているうちに「しわの迷宮」にはまり込む。
 母国を含む欧州各国で排外主義とポピュリズムが広がる。それに対する危機感が映画を作った動機だ。
 「ナチスのような独裁は今はないが、油断して、声を上げるべき時を逸してはならない」とクレーネス。「ショル兄妹が抵抗した時はもう遅かった。自由と民主主義を脅かすものに、常に敏感であるべきだ。それが歴史の教訓だ」とバイゲンザマー。
 ポムゼルは昨年1月、106歳で亡くなった。生涯独身だったという。
 大阪のシネ・リーブル梅田で30日から。京都シネマとシネ・リーブル神戸でも8月に上映予定。(小原篤)

※参考情報3「単行本の解説」
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 映画上映に合せて、紀伊国屋書店で単行本が2018年6月21日に発売されています。
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「ゲッベルスと私──ナチ宣伝相秘書の独白」
作者:ブルンヒルデ・ポムゼル、トーレ・ハンゼン
翻訳:森内薫、赤坂桃子
出版社:紀伊國屋書店
発売日:2018-06-21
価格:2,052円
監修者解説:次のとおり
●ヒトラーの時代を考える
 ヒトラーと、その右腕ゲッベルス宣伝相が作り出した大衆的熱狂の先には、戦争と破壊、そして未曾有の大量殺戮が待ち受けていた。偏狭な自民族中心主義と極端な反ユダヤ主義、人種差別主義(レイシズム)が第二次世界大戦と結びついて、ヨーロッパを「暗黒の大陸」へと変えたのだ。戦後、世界は解放された各地の強制収容所に累々と積み上げられた犠牲者の屍に絶句し、「二度と繰り返してはならない」と誓ったのである。
 それから73年が経過した今、ドイツ、オーストリアを始め世界各地でポピュリズム、排外主義の動きが不穏な高まりを見せている。人権と民主主義を軽んじる政治的指導者が名乗りをあげるなか、あらためてヒトラーの時代を考えることには大きな意味があるだろう。ヒトラーは大衆民主主義の中で台頭し、その弱点を衝いて独裁者となった。庶民の出で、少なくとも30歳までとくに何者でもなかったヒトラーに、言いようのない空恐ろしさを感じるのは、その卑近さのせいかもしれない。私たちとさほど違わない人間が国民大衆を従え、ドイツを、そして世界を破滅の淵へ追いやったのである。
 本書は、ヒトラーの時代を知る最後の生き証人、2017年に106歳で亡くなったドイツ人女性ブルンヒルデ・ポムゼルの物語である。ポムゼルは、本書刊行と同時に公開された稀代のドキュメンタリー映画「ゲッベルスと私」の制作にあたり30時間に及ぶインタビューに臨んだ。その記録を編集し、ドイツの著名なジャーナリスト、トーレ・ハンゼンが長文の解説を付して出版したのが、本書の原著Ein Deutsches Leben. Was uns die Geschichte von Goebbels’ Sekretärin für die Gegenwart lehrt, Europa Verlag 2017(『あるドイツ人の一生――ゲッベルスの秘書の語りは現代に何を教えているか』)である。
 ポムゼルは、ゲッベルス宣伝相の秘書を務め、ナチ党員でもあったことから、戦後は散々非難されたのであろう。ポムゼルの語りはすべて言い訳のように読める。納得の行くところもあるが、首をかしげる箇所もある。だがその語りに真摯に向き合うことで、あの忌まわしい独裁がいかなる人びとによって支えられていたのか、私たちは推し量ることができるだろう。
●アイヒマンとポムゼル
 ポムゼルの独白を読んで、アドルフ・アイヒマン(1906~1962)のことを思い浮かべた人も少なくないのではないだろうか。アイヒマンはヒムラー配下の親衛隊中佐で、戦時中は国家公安本部第四局B4課長として、ユダヤ人移送計画の立案と執行に深く関わった人物だ。戦後、亡命先のブエノスアイレスでイスラエルの情報機関モサドに捕らえられ、イェルサレムの裁判所で裁かれて絞首刑に処せられた。
 公判で、被告アイヒマンはナチ・ドイツによるユダヤ人の絶滅を「人類史上、最も重大な犯罪のひとつ」と認め、自らを「人道的な観点からみれば有罪だ」としながらも、「忠誠の誓いに縛られ」ており、「命令に従って義務を果たす」より他なかった。「心の底では責任があるとは感じていない」と述べた。
 そのアイヒマンに「凡庸な悪」という表現を与えたのは、哲学者のハンナ・アーレント(1906~1975)である。悪魔のような恐ろしい人間、剥き出しの反ユダヤ主義者ではなく、ただ命令と法に従って上位に服従したというこの男の姿に、アーレントは誰もが「アイヒマン」になりうると考えた。だが公判での印象に反して、アイヒマンは首尾一貫した冷徹な反ユダヤ主義者であったことが近年の研究で明らかになっている。アイヒマンはヒトラー同様、当初から突撃隊が用いたような直接的暴力によってではなく、法律に則って粛々と「ユダヤ人問題の最終解決」、つまり「ユダヤ人なきドイツ」、ひいては「ユダヤ人なきヨーロッパ」を実現しようとした親衛隊の意思を体現していた。その意味でアイヒマンは、「凡庸」でも「陳腐」でもなく、「アーリア人種至上主義」の立場からヨーロッパの民族秩序を一変しようとしたナチ体制にとって、不可欠の存在であった。
 一方、ポムゼルは、世の中の動き、政治にまったく関心のない、むしろ身の回りの事柄にばかり意識が向かう、ごく普通の市民だった。プロイセン的な躾の厳しい家庭で育ち、頭はよかったが、長女として負わされた重荷は相当なものだった。知人のつてで憧れの国営放送局への就職が決まり、そこに10年ほど勤めた後、宣伝省大臣官房への異動を命じられた。つましい庶民の出であることを考えれば、シンデレラガールのような出世だ。
●ゲッベルスの国民啓蒙宣伝省
 宣伝省は、ヒトラー政権の誕生から二か月余りたった1933年3月、直前に起きたベルリンの国会議事堂炎上事件で世情が騒然とする中、授権法(全権委任法)案の国会での議決を目前にして新設された。同時期の国会選挙で悲願のナチ党単独過半数を果たせなかったヒトラーは、国営放送局の人事に介入し、政権に批判的なジャーナリスト、メディア関係者を追放してこの官庁をつくった。
 宣伝省が設置されて、政府宣伝のあり方は一変した。
 「宣伝の秘訣は、いかにも宣伝らしくではなく、相手にそうと気づかれないうちに宣伝にどっぷりと浸らせてしまうことだ」――宣伝相就任直後の演説(1933年3月25日)でそう述べたゲッベルスは、ヒトラーが掲げる「民族共同体」の理想を実現すべく、ナチ党が野党時代に培った宣伝技術を、国費を投じてさらに発展させて、国民大衆の精神的動員を主導した。何より重視したのがラジオと映画だが、新聞・出版メディアも駆使して幅広い政府宣伝を展開した。
 夥しい映画がゲッベルスの下で制作され、何千万もの人が映画館でそれを観た。娯楽映画が多数を占めたが、反ユダヤ主義を煽る「ユダヤ人ジュース」や、不治の患者に対する安楽死政策を正当化する「私は告発する」など、ゲッベルス肝煎りの宣伝映画には、弱者に対して憐憫の情を抱くことを戒め、「価値なき者」の抹殺を肯定する規範意識、ジェノサイド・メンタリティを育む作品が少なくなかった。ナチ体制下の国家的メガ犯罪に向けて国民の心理的・精神的障壁を取り除くことに寄与したのが、ゲッベルスの宣伝省だったと言えるだろう。
 そのような宣伝省にポムゼルは仕えた。アイヒマンのように政策立案にタッチする立場ではなく、上司の口述筆記を主な業務としたポムゼルは、巨大な行政機構を支える歯車の一つに過ぎなかった。
●ポムゼルの語り
 ポムゼルの語りは正直だ。思い違いや主観的に過ぎる話が多々あるにせよ、意図的な虚構はないだろう。大臣官房秘書の給料はよく、同僚にはよい人が多かった。すべてが快適で、居心地がよかった。職業婦人として中央官庁で働くことで自分が少しだけエリートになった気分だった、とも述べている。そして何よりも誇らしく思えたのは、上司の命令、与えられた職務を忠実に遂行し、見てはいけないものは見ない、してはいけないことはしない。その点で上司の信頼を得ていたことである。
 ポムゼルの語りには、ナチ時代を生きたドイツ人の多数派が見聞きし、感じたことがストレートに表現されている。強制収容所を、「政府に逆らった人や殴り合いの喧嘩をした人たちを矯正する」ための施設だと思っていたり、ユダヤ人の女友だちエヴァは「強制収容所にいる方が身は安全なのではないか」と考えたり、東方へ移送されたユダヤ人は、ドイツ人が移住して空になった農園などで働けると信じていたりした。
 ポムゼルは、ヒトラーについて他愛のないジョークを言っただけで逮捕され、処刑された人がいたと述べている。しかし不法国家に仕えているという自覚はなかった。ひょっとして犯罪者の下で働いているのではないかという疑念も抱かなかった。
 映画「ゲッベルスと私」には、ポムゼルの語りと語りの間にゲッベルスの意味深長な言葉とともに、当時の資料映像が数多く挟み込まれている。そこにはポムゼルの独白と真っ向から対立する世界が映し出される。それは、職務に忠実なポムゼルが見ようとも、知ろうともしなかったヒトラー時代の過酷な現実に他ならない。
●見どころ
 ナチスの主要人物ヨーゼフ・ゲッベルスの秘書だったブルンヒルデ・ポムゼルが、終戦後長きにわたる沈黙を破って当時の様子を語るドキュメンタリー。撮影当時103歳の彼女が、全体主義に染まる第2次世界大戦下のドイツで生きた人々の姿を生々しく証言する。クリスティアン・クレーネス、フロリアン・ヴァイゲンサマーら4人が監督を務める。
●あらすじ
 若きブルンヒルデ・ポムゼルは、アドルフ・ヒトラーが信頼を寄せるヨーゼフ・ゲッベルスの秘書として採用される。彼女は、第2次世界大戦中の1942年から終戦までの間、非人間的行為に手を染めてきたゲッベルスの側で、言われたことを粛々とタイプライターで打ち続けていたという。やがて戦況は悪化し、1945年にはベルリンでの戦いが始まり……。
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またぞろ流行りのサギ葉書に注意

2018-07-19 22:29:00 | 国内外からのトピックス

■先日7月9日の豊島郵便局の消印で、筆者宅にもサギ葉書が届きました。ネットで「訴訟最終告知通達センター」を調べると、同じようなサギ葉書が大量にばらまかれていることがわかります。訴訟告知は通常、裁判所から封書で送達されてきますが、葉書でよこすのですから、サギだとすぐにわかります。しかし、一般の方は、なにやらそれっぽい感じの文章に不安に駆られる人もおられるかもしれません。そこがこのサギ葉書のねらい目のようです。




 一番最初にヒットした記事は次の内容です。
https://rocketnews24.com/2018/07/03/1085394/
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【注意喚起】法務省をかたる「消費料金に関する訴訟最終告知のお知らせ」ハガキは詐欺! 届いても無視しよう
江川資具2018年7月3日
 今ネット上で『法務省管轄支局 国民訴訟お客様管理センター』や『訴訟最終告知通知センター』といった組織を名乗る差出人から届いたというハガキが話題となっている。
 ハガキの内容を簡単に要約すると「あなたは訴訟を起こされました。訴訟取り下げなどの相談については下記番号に電話するように」というものである。文面はいかにも役所から届きそうな感じで実にそれっぽく、真に受けてしまってもおかしくない見た目だ。
 掲載されている住所も実際に法務省のものだが、結論から言うとこれは完全に詐欺である。注意喚起のためにも以下でより詳しく紹介しようと思う。
・パターンは複数ある様子
 差出人や文面には複数バリエーションがあるようで、どれも中々手が込んでいるように感じた。今回ある方のご好意で、実際に届いたハガキの画像を入手したが……何も知らずにこれが届いたら心中穏やかではいられない程度に手の込んだ出来である。
 ちなみに、記者が確認できただけで同様のハガキは5パターンほどあったが、基本的な構成は以下の点で共通していた。
<1例>
1.「○○の料金に関する訴訟最終告知のお知らせ」的な見出し
2.「訴訟番号」や「管理番号」といったそれっぽい番号
3.本文の趣旨は「訴訟の取り下げについては下の番号に電話しろ」
4.メチャクチャ急な「取り下げ最終期日」
5.「○○センター」という組織名に住所と電話番号
 どのパターンのハガキもこの数日で届いたそうなので、もしかしたら差出人は同じなのかもしれない。
・電話をかけると金銭をだまし取られる
 行政側も既に注意喚起に乗り出しており、警視庁も本件に関するツイートをしたり、名前を使われてしまった法務省も公式HP内で取り上げている。なお、法務省によると記載されている番号に電話した結果、実際に金銭的被害が発生しているとのことで、『絶対に連絡しないように』と呼びかけている。
・高齢者には直接教えてあげよう
 また、複数のパターンを閲覧していて気づいたのが、「祖父母宅に届いた」という共通点である。若年~中年層と比較すると、高齢者の方々がネット上の情報に触れる機会は少ないのではないだろうか。そして、このハガキを送りつけている側も、それを想定して高齢者層をターゲットとしている可能性が考えられる。
 実際私の両親も、パソコンやスマホで情報収集などは一切しない。現在ネット上では注意喚起が広まっているが、ご高齢な親族の方には直接知らせてあげると良いのではないだろうか。

■名前を語られている法務省もさすがに看過できずに注意喚起をしています。
http://www.moj.go.jp/hisho/kouhou/hisho06_00434.html
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法務省の名称等を不正に使用した架空請求により被害が発生しています
 平成29年5月以降,「少額消費料金未納に関する訴訟最終告知のお知らせ」,「総合消費料金に関する訴訟最終告知のお知らせ」などと題し,「裁判取り下げの相談に乗る」等と書かれたはがきが送付されているとの情報が法務省に多数寄せられており,実際に多額の金銭的被害も発生しております。
 差出人は,「法務省管轄支局 国民訴訟通達センター」,「法務省管轄支局 民事訴訟管理センター」,「法務省管轄支局 民間訴訟告知管理センター」,「法務省管轄支局 国民訴訟お客様管理センター」などと記載されていますが,これらの団体と法務省とは一切関係がありません。
 文面は,財産の差し押さえを強制的に執行する等と不安をあおり,本人からの連絡を求める内容になっており,書かれている電話番号に連絡をすると,弁護士等の紹介費用と称し,収納代行サービスやプリペイドカード等を利用させて金銭をだまし取るといった手口が報告されています。
 なお,はがきの裏面には,文面が見えないようにシールが貼付されている場合もあります。
 対処方法としては,はがきに書かれている電話番号等には「絶対に連絡しない」ようにし,「相手にしない」ことが大切です。それでも,不安に感じる場合には,お住まいの自治体の消費生活センターや警察等に御相談ください。

架空請求はがきの例
**********

■国民生活センターも同様の注意喚起をHPに掲載しています。

**********独立行政法人国民生活センターのHPより
[2017年5月1日:公表]
「民事訴訟管理センター」からの架空請求ハガキは無視してください!
 「民事訴訟管理センター」からハガキが届いても、決して相手に連絡せず、支払わずに無視してください。不安を感じたり対処に困ったりした場合には、すぐにお近くの消費生活センター等(消費者ホットライン188(いやや))に相談してください。
 「民事訴訟管理センター」と名乗る機関からハガキが届いたとして全国の消費生活センター等に寄せられた相談が今年3月下旬から急増しています。
 消費者に、過去に利用した業者への未払いがあると思わせ、それに関して「裁判所に訴状が提出された」「給与、動産物、不動産物の差し押さえ」などと脅して不安にさせたうえで、訴訟の取り下げ等について相談するよう、誘導しています。
 消費者が「民事訴訟管理センター」に連絡をしたところ、弁護士を名乗るものを紹介され、最終的にはコンビニでプリペイドカードを購入し、お金を支払ってしまったとの相談も寄せられています。

図 「民事訴訟管理センター」に関する相談件数(注)

(2017年4月25日までの登録分)
2017年1月の相談件数は0件、2017年2月の相談件数は0件、2017年3月の相談件数は409件、2017年4月は25日までの相談件数で552件です。
※2017年3月は、3月27日から相談が寄せられ始めた。
(注)PIO-NET(パイオネット:全国消費生活情報ネットワークシステム)とは、国民生活センターと全国の消費生活センター等をオンラインネットワークで結び、消費生活に関する相談情報を蓄積しているデータベースのこと。

<相談事例>
【事例1】「料金未納。最終通告」というハガキが届き、電話した。プリペイドカードを30万円分購入して、番号を伝えた。さらにお金を用意せよと言われたが、どうすればよいか
 2日前、「総合消費料金未納分訴訟最終通知書」というハガキが届いた。内容は、総合消費料金が未納となっており、契約会社や運営会社によって民事訴訟の訴状が提出され、連絡がない場合は、給与等を差し押さえるというものだった。料金未納について全く心当たりがなかったので、ハガキに記載のあった取り下げの相談窓口に電話をした。
 私が「総合消費料金は何か」と尋ねたが、窓口は「答えられない。弁護士に相談せよ」と言った。教えられた弁護士に連絡すると、プリペイドカードを30万円分用意せよと言われ、昨日、コンビニでプリペイドカードを30万円分購入し、券面の番号を教えた。後刻、弁護士から電話があり、「大変なことになっている。相手が裁判を取り下げないと言っている。未納金は150万円だ。お金を準備してくれなければ、あなたの弁護はできない。いくら用意できるか、連絡せよ。裁判になれば、莫大なお金がかかる」と言った。再度、「総合消費料金とは何か」と尋ねたが、弁護士は「裁判を取り下げないと分からない」と言った。この話は本当なのか。どうすればよいか。
(2017年4月受付 契約当事者:50歳代 女性)
【事例2】「総合消費料金未納分訴訟最終通知書」という身に覚えのないハガキが届いたので、電話をしたところ、最終的にはプリペイドカード50万円分を買うことを指示された
 「総合消費料金未納分訴訟最終通知書」というタイトルのハガキが届いた。ハガキには、連絡なき場合は原告側の主張が全面的に受理され、裁判の処置として給与の差し押さえをすると記載があった。
 裁判取り下げ期日が迫っていたので電話をしたところ、「心配しなくていい。弁護士会に電話しなさい」と言われ、ある電話番号を教えられた。そこにかけると弁護士を名乗る男性が出て、別の会社の電話番号を教えられた。
 その会社に電話すると恐ろしく怖い口調で、コンビニでプリペイドカードを50万円分買い、電話するように指示された。10万円分は買ったが何かおかしいと思う。どうすればよいか。
(2017年3月受付 契約当事者:60歳代 女性)

<消費者に送付されているハガキ>

図 送付されているハガキ見本


<ハガキの内容>
総合消費料金未納分訴訟最終通知書
訴訟番 そ355
この度御通知致しましたのは、貴方の未納されました総合消費料金について契約会社、ないしは運営会社から民事訴訟として訴状の提出をされました事を御通知致します。以降、下記に設けられた裁判取り下げ最終期日を経て訴訟を開始させて頂きます。このまま御連絡なき場合には、原告側の主張が全面的に受理され裁判後の処置として給与の差し押さえ及び動産物、不動産物の差し押さえを執行官の立会いのもと強制的に履行させて頂きますので裁判所執行官による「執行証書」の交付を承諾して頂くようお願いすると同時に債権譲渡証明書を一通郵送させて頂きますので、ご了承下さい。民事訴訟及び、裁判取り下げ等の御相談に関しましては当局にて受け賜わっておりますので職員までお問合せ下さい。尚、書面での通達となりますので、プライバシー保護の為、必ず御本人様から御連絡頂きますようお願い申し上げます。以上を持ちまして、最終通達とさせて頂きます。
裁判取り下げ最終期日 平成29年4月●日
民事訴訟管理センター
〒102-8688
東京都千代田区九段南1-●
消費者相談窓口 03-●
受付時間 9:00~20:00
**********

■こうした見え透いた詐欺行為に血道をあげる輩が存在する背景には、被害に遭う人たちが存在していることを意味しています。

 このサギ行為では、上述の相談事例にもあるように、電話を掛けると弁護士を語る人物に繋がり、その人物の言葉にそってカネを支払わされる手口になっているようです。

 弁護士という職業人の普段からの行状が、もっと社会正義に則ったものであれば、こうした詐欺師に「弁護士」という肩書を利用されることは少なくなると思います。しかし、現在の弁護士稼業は、依頼者が社会的な悪事を働いていても、カネのためにそれを受けるケースがあまりにも多く、節操のない職業になっており、「弁護士」=強面(こわもて)というイメージが社会に定着してしまっていることにも、問題があると思います。

【ひらく会情報部】

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