市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

首都高5号線の横転炎上事故から1年半・・・未だに請求しない首都高の事情と多胡運輸の余裕綽々

2010-02-15 23:57:00 | 首都高炎上とタゴ運輸
■平成20年8月3日(日)、午前5時52分、首都高速道路5号池袋線下り熊野町ジャンクションにおいて、走行中の多胡運輸(高崎市)のタンクローリーが横転・炎上事故が発生してから、はやくも1年半以上経過しました。

 事故による火災の熱で上り線の鋼桁が大きく変形し、路面が60~70cm沈んだため、道路を部分開放しながら半断面ずつ施工するという厳しい条件の下、事故発生から73日後の平成20年10月14日正午、当初の予定よりも約1カ月早く全面開通しました。

■同時に行われた首都高の社長の記者会見では、復旧工事費や本事故による通行料金の減収額については今後精査の上、原因者に請求していく予定だとしながらも、被害額については、①通行止めのあった8、9月の料金収入が25億円減少、②橋桁の架け替えなどの復旧工事に20億円、合計被害額は最大約45億円にのぼると表明しました。

 一方、事故を起こした多胡運輸では、「被害額を聞いて驚いている。出来る範囲で誠心誠意、対応させていただきたい」と当時、コメントしていました。

 あれから、すでに562日が経過したにもかかわらず、多胡運輸は今も何事もなかったかのごとく営業を続けています。

■この間、事故から1年が経過した平成21年8月14日に、首都高はホームページの「インフォーメーション」欄http://www.shutoko.jp/info/h21/0813.htmlに次の記事を掲載しました。

**********
不正通行に対する弊社の考え方
 不正通行という行為は、車を凶器のように悪用して、料金を支払わずに力ずくで通行する極めて卑劣で許しがたい犯罪行為です。不正通行に対しては、今後とも全社一丸となって断固とした態度で臨んでいく所存です。
 不正通行者に対しては、警察への積極的な通報や、割増金を含めた通行料金の請求・督促及び回収を今後も継続して行ってまいります。
 首都高の料金所を未払いのまま通過し、その後お支払いのご連絡をいただかなかった場合は不正通行として取り扱い、レーンに設置してある不正通行対策監視カメラ等を活用し、割増金も含めた通行料金を請求させていただきますのでご注意ください。
不正通行に対する取組み
・全料金所において不正通行車両の特定が可能となる整備が完了
・不正通行対策監視カメラを活用した不正通行等車両の捕捉の強化
・戸別訪問による通行料金・割増金の回収の強化
・他会社との情報共有等による連携強化
・道路整備特別措置法違反による警察への通報
**********

 そして、関連リンクとして、「首都高速道路株式会社供用約款」や「首都高速道路株式会社営業規則」などを掲げています。

■この約款を見ると、第1条で、高速道路を通行し、利用する者はこの約款を承認して同意したものとするとあります。そのうえで、会社の責任と、利用者の責任について明記しています。

**********
首都高速道路株式会社供用約款
(会社の責任)
第7条 高速道路の設置又は管理に瑕疵があったために利用者に損害を生じたときは、会社は、これを賠償する。
2 前項の場合において、利用者に過失があったときは、損害賠償額の算定に当たり、これを考慮することができる。
3 高速道路の設置又は管理に瑕疵がない場合を例示すると、おおむね次のとおりである。
一 利用者の故意
二 会社の責任によらない車両相互の接触若しくは衝突又は落下物等による事故
三 盗難その他第三者による危害
四 天災地変その他の不可抗力
4 次に掲げる事由により生じた損失については、会社は、補償する責任を負わない。
一  第5条の規定に基づく供用の拒絶その他通行の禁止又は制限のための必要な措置
二 渋滞による遅滞
5 前4項の場合において、会社の責任は、利用者がこの約款に従って、高速道路に進入したときに始まり、高速道路から退出したときに終わる。
(利用者の責任)
第8条 高速道路を損傷し、又は汚損した利用者は、当該損傷又は汚損により必要を生じた高速道路に関する工事又は道路の維持に要する費用について、法第40条第1 項の規定により読み替えて適用する道路法(昭和27年法律第180号)第58条第1項の規定に基づき、会社に対して負担金を支払わなければならない。
2 前項の規定にかかわらず、高速道路を損傷し、又は汚損した利用者は、法第8条第1項第12号の規定により道路管理者の権限を代行する機構から道路法第22 条第1項の規定に基づき当該損傷又は汚損により必要を生じた道路に関する工事又は道路の維持の施行を命ぜられた場合は、機構から命ぜられた道路に関する工事又は道路の維持を施行しなければならない。
3 前2項に規定するもののほか、利用者は、故意又は過失により会社に損害を与えた場合は、その損害を賠償しなければならない。
**********

 これによると、会社の責任は「高速道路の設置又は管理に瑕疵があったために利用者に損害を生じたときは、会社は、これを賠償する」としていますが、「渋滞による遅滞」などは保証責任がないとしています。

■他方、利用者の責任としては第1項で、「高速道路を損傷したり汚損した利用者は、修理工事や道路維持に要する費用について、法令の規定に基づき、会社に対して負担金を支払わなければならない」と規定しています。

 ここでいう法令として、「道路整備特別措置法第40条第1 項」を読み替えた「道路法第58条第1項」というのが挙げられています。道路法第58条第1項は、原因者負担金を定めており、「道路管理者は、他の工事又は他の行為により必要を生じた道路に関する工事又は道路の維持の費用については、その必要を生じた限度において、他の工事又は他の行為につき費用を負担する者にその全部又は一部を負担させるものとする。」とあります。

■利用者の責任として、もうひとつ第2項が規定されています。そこでは、首都高ではなく、その元締めの独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構も利用者の責任を問えることになっています。第2項は「前項の規定にかかわらず、高速道路を損傷し、又は汚損した利用者は、法令により、補修工事又は道路の維持施行を命ぜられた場合は、機構から命ぜられた道路に関する工事又は道路の維持を施行しなければならない」と定めています。

 ここでいう法令として「道路整備特別措置法第8条第1項第12号」の規定により道路管理者の権限を代行する機構から命じられた「道路法第22 条第1項」というのがあります。
道路法第22条は工事原因者に対する工事施行命令等を定めており、「道路管理者は、道路に関する工事以外の工事(以下「他の工事」という。)により必要を生じた道路に関する工事又は道路を損傷し、若しくは汚損した行為若しくは道路の補強、拡幅その他道路の構造の現状を変更する必要を生じさせた行為(以下「他の行為」という。)により必要を生じた道路に関する工事又は道路の維持を当該工事の執行者又は行為者に施行させることができる。」とあります。

■また、首都高の営業規則では、利用者の料金の徴収について定めています。この中で、第10条では未納の取り扱いについて規定しており、利用者が料金所でカネを払えないときは、所定の書面に氏名、自宅の住所、電話番号などの連絡先、運転免許証番号、車両登録番号等を記入して、首都高の指定した納入期限及び納入方法により支払を確約して、後払いできるとあります。

 また、第11条では、指定された納入期限前に払わない場合、手数料と共にと苦情による督促を行うと定めています。督促状に定めた納入期限前にカネを払わない場合、法26条によって、年10.75%の割合で日割り計算した金額が延滞金として課せられるとあります。

■いろいろ難解な用語が並んでいますが、要するに、首都高の道路を壊した利用者には、賠償責任を課すというものです。また、不正通行を行った利用者には、その免れた額のほか、その免れた額の2倍に相当する額を割増金として徴収できるとしており、料金を後払いにして踏み倒した利用者には、督促手数料や年10.75%の延滞金を課すということです。

 これらの観点から、多胡運輸のタンクローリー横転炎上事故による巨額損害金に対して、首都高が手をこまねくことは、一般の利用者に対して適用されるさまざまなルールやペナルティが、多胡運輸に対しては特例として免除されるということになります。

■一般利用者が、不正通行で1000円を踏み倒して、3000円を徴収されても、多胡運輸の場合、修理代45億円を踏み倒しても、チャラにしてもらえるのですから、到底一般利用者の理解は得られるはずがありません。

 いつ、前原国交大臣が、この変な現象に気付いて、首都高に対して、きちんと請求書を多胡運輸(高崎市)やその元締めのホクブトランスポート(高崎市)、さらには荷主の出光興産(東京都中央区)に出すよう行政指導できるのかどうか、また、多胡運輸を取り巻く自民党筋の政治権力のバリアーを粉砕できるのかどうか、日本の道路行政の根幹にも掛かる重大事として、注目していきたいと思います。

【ひらく会情報部】

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

岡田市長の選挙戦略…"高崎高通信制中退"と"碓東中卒"で問われる鼎の軽重

2010-02-14 23:55:00 | 安中市長選挙
■日本は学歴社会といわれていますが、選挙に限って言えば、有権者の多くは、学歴と候補者の優劣とは無関係であり、選挙公報に候補者の学歴が記載してあっても、学歴が候補者の優劣を決めるすべてではないことを認識している傾向があります。

 ところが、安中市には、これまで学歴詐称で名を知られた議員や元議員がおります。幸いにも、いずれも公職選挙法違反には問われていません。


 本来は、選挙公報に学歴など書かないほうがよいのかもしれません。日本社会の現状から「学歴信仰」という言葉は、ほとんどの場合、批判的な意味合いを持っているからです。

■しかし、一方で、実際に会ったことのない候補者の中から、ひとりを選んで投票する有権者にとっては、学歴は候補者の人となりを知る重要な情報のひとつであることも事実です。

 その候補者が高等教育を受けていなくても、むしろ庶民的で接しやすい、という評価を持つ有権者が多いからです。このように、経歴の正しい記載は、地元の自治体の針路を議論し決定する政治家としての資質を判断する重要な要素となるのです。

■4月11日投開票予定の安中市長選では、すでに岡田現市長が新年互礼会で後援会幹部から要請を受けた形で出馬を表明しており、いまのところ他にはまだ対立候補者の出馬表明は行われていません。

 逸早く、出馬表明をした岡田義弘市長ですが、気になることがあります。4年前の合併市長選の時に、上毛新聞に掲載された候補者の略歴に次の記載があるからです。

【略歴】
元県議3期、元市議5期、元県市議会議長会長、元市議会議長、元市社会福祉協議会長。高崎高通信制中退
http://raijin.com/senkyo2006/0423/okada.htm

■岡田市長はこれまであらゆる選挙で不敗を誇っており、もし、選挙五輪というものがあれば、きっと金メダル間違いないことでしょう。ただし、ルール上、なんでもあり、という条件の場合に限られますが…。

 ところで、気になるのは、岡田市長は、上記のように略歴に毎回「高崎高通信制中退」と記載していることです。

 そこで、高崎高校通信制のホームページhttp://www.takasaki.ed.jp/tusin/tusin-top.htmをチェックしてみました。

**********
県立高崎高等学校では、平成22年度通信制入学生を募集します。通信制は、全日制・定時制と教育内容は同じです。働きながら、あるいは家事に従事しながら自学自習を中心とした学習を行い、3年以上在学して規定の条件を満たせば、高等学校卒業の資格が得られます。様々な事情により全日制や定時制の高等学校で学ぶことが出来なかった人にとって、またとない機会です。不登校をかつて経験した人や生涯学習の一環として活用する人も年々増えています。普通科・男女共学制で現在15才から70才代までの人が学んでいます。
1.入学資格
群馬県に住んでいる人で、次の(1)または(2)に該当する人
(1)中学校若しくはこれに準ずる学校を卒業した人
(2)平成22年3月中学校卒業見込みの人
※高等学校を中退した人も編入学することができます。
詳細は学校の方へお問い合わせ下さい。
2.入学選考
面接及び提出された書類に基づいて選考。
3.その他
(1)学習方法
自宅学習を主としますが、レポート、スクーリング(日曜日(月2回)、土曜日(月1回)に登校して授業を受ける)を中心に学習を進め、試験等を経て所定の単位を修得します。
(2)経 費
初年度は年間およそ35,000円程度、その後は20,000円程度です。
(3)出願手続き
出願書類は、本人が直接学校へ持参して下さい。
受付期間は、平成22年3月11日(木)から3月31日(水)までです。
※出願書類は2月1日以降、志願者本人が直接来校して請求して下さい。
(4)生涯学習の一環として「一部科目履修生」のコースもあります。その他入学について不明な点がありましたら学校の方へお問い合わせ下さい。問い合わせ先は、ホームページの最後にあります。
(5)卒業までに必要な単位数は、74単位です。
**********

■群馬県内には現在、次の5つの通信制高校があります。

①前橋清陵高校(公立通信制)〒371-8573 群馬県前橋市文京町2-20-3
TEL 027-221-3073  FAX 027-243-2319

②太田西フレックス高校(公立通信制)〒373-0844 群馬県太田市下田島町1243-1
TEL 0276-31-8047  FAX 0276-31-8921

③桐生女子高校(公立通信制)〒376-0601 群馬県桐生市梅田町1-185-1
TEL 0277-32-2182  FAX 0277-32-0278

④学芸館高校(私立通信制)〒370-0829 群馬県高崎市高松町14-2
TEL 027-310-2240  FAX 027-310-2241

⑤高崎高校(公立通信制)〒370-0861 群馬県高崎市八千代町2-4-1
TEL 027-324-0074  FAX 027-324-7712

■このうち学芸館高校については、高崎本校が開校したのは僅か6、7年前ですので、岡田市長が高崎高校通信制に入学したと思しき、昭和29年(1954年)4月当時は、学芸館高校はまだ存在しませんでした。

 ところで、岡田市長は「高崎高校」の同窓会には一度も顔を出したことがありません。教育関係者の話によると、一般に高校通信制は誰でも入学願いを出すと試験もなく入学できるそうです。こうして、入るのは容易ですが、問題は卒業です。高崎高校の場合も、全日制や定時制は入学時に同窓会費を徴収されますが、通信制は卒業時に同窓会費を徴収されます。

 また、「中退」という定義についてですが、全然学校に来ないと除籍になり、いわゆる中退になります。したがって、「自分で退学したい」と申し出る中退もあるし、本人から音信不通となりそのまま自動的に中退する場合もあります。学校のほうから「出てきなさい」という通知は一切しません。

■岡田市長が、昭和29年に高崎高校通信制に入学した当時は、何名の通信制の生徒がいたのかわかりませんが、高崎高校の通信制の第1回卒業生は昭和34年(1959年)3月ですから、もし岡田市長が通常の4年間で卒業したならば、昭和33年(1958年)3月卒ということになり、栄えある第1回卒業生になれたかもしれません。

 しかし、地元の北野殿で当時の岡田義弘氏のことを知る年配者の話では、高崎高通信制に籍を置いていた記憶がないそうです。あるいは、多忙な議員活動の傍ら、高崎高の通信制に籍を置いていたのかもしれません。しかし、卒業名簿には名前がありません。単位をとらずにギブアップしたのでしょうか。

 高崎高校通信制の卒業生は、昭和34年3月に1名、35年に5名、36年に2名となっており、その後も、3名、3名、2名、3名、8名、5名、3名、3名、4名と推移しており、昭和52年からは毎年二桁の卒業生を輩出しています。

■こうみてくると、岡田義弘氏の経歴に、「高崎高通信制中退」とか、「高崎高校中退」と記載されていることは非常に誤解を招く表現だということができます。

 それよりも、岡田義弘氏は、昭和29年(1954年)3月に、地元の碓東中学校を卒業したのですから、そのことを堂々と経歴に記載すればよいのです。なぜ、「高崎高」にこだわるのでしょうか。なぜ、「碓東中」ではダメなのでしょうか。

■尊敬する中曽根康弘氏や福田赳夫氏の出身校に自分もあやかりたい一心で、高崎高校の名前を経歴に記載して、履歴に箔をつけたい…のかもしれません。

 今回、安中市の市長選が実施される場合には、初めて選挙公報が発行される予定です。岡田市長の二枚舌をもってすれば、その曖昧な公約は岡田市長の持ち味だと選挙民は納得するでしょうが、せめて略歴欄には「安中市立碓東中学卒」と記載して、地元住民の馴染みのある学校出身の候補であることを、きちんと正確に有権者に伝えてほしいと思います。

■昭和46年(1971年)、安中市内各地にあった中学校は統合され、安中一中と二中という群馬県下でも最大クラスのマンモス中学校になってしまいました。岡田市長の母校の碓東中学校も、跡地は安中市板鼻の老人福祉センターとして利用されています。


在りし日の碓東中学校の校舎全景(昭和42年2月ごろ)。

 安中市の板鼻地区と岩野谷地区の54歳以上の住民にとって、碓東中学校は忘れ得ない存在として心に残っているのです。地元中学校の卒業生の出世頭として、岡田市長には、架空の母校でなく、真の母校の存在をもっと地元選挙民にアピールしてほしいものです。

♪♯ 碓東中学校校歌 ♭♪
一、
妙義榛名を見遥かす
赤城は遠く裾を引く
碓氷の流れ見下ろして
上之が岡にそそり立つ
清きけだかき学び舎は
これぞわれらが母校なれ
二、
山紫に水清く
色とりどりに花咲かせ
文化のにしき織らばやと
再健日本担うとき
われらの責務はいや重く
われらの理想はいや高し
三、
朔風荒ぶ冬の日も
炎熱焼ける夏の日も
不撓の意気を妙義山
久遠の努力の碓氷川
いざもろともに手をとりて
碓氷健児の名を挙げん


碓東中学校の校旗。

【ひらく会情報部・不正選挙監視班】

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

高崎高校第108回同窓会新年総会で、昨年6月のひき逃げ事故について報告

2010-02-13 19:01:00 | 安中市消防団員の飲酒ひき逃げ運転
■先日、1月23日(土)の午後3時から、高崎ビューホテルで高崎高校の同窓会新年総会が開かれました。第79期の卒業生が幹事役となり、例年になく盛り上がりを見せて成功裏に終了し、懇親会、そして同期会と夜遅くまで柳川町界隈は賑わっていました。

 この新年総会で、挨拶に立った同校の藤倉校長は、現在の学校の状況について、過去1年間の学校の活動報告を交えて会場を埋め尽くした同窓生の前で説明を行いました。


■とりわけ、昨年6月7日(日)午前1時ごろ高崎高校正門前の市道で発生した交通事故について、藤倉校長は、次のように説明しました。

 「昨年1年間を振りかえってみまして、6月に文化祭、翠巒(スイラン)祭がありました。このときにひき逃げ事故がありました。新聞、あるいはテレビでさらに大きく報道されたということでありました。当該の生徒につきましては、1年生ですが、その後非常に回復をしまして、2学期から、9月から学校のほうに復帰を果たしました。そして、いまは、若干リハビリに通っているところもありますが、授業のほうにも、もちろん体育を含めて、非常に順調な学校生活をおくっていることになっています。新聞のほうでは最初の一回しか報道を載せないものですから、その後、どうなっているかという報道をしないものですから、せっかくの機会ですので、本人は元気で頑張っているということをこの機会にご報告させていただきます。」


高崎高校和太鼓部の元気いっぱいのデモンストレーションを披露。

■被害者の高崎市東貝沢町1、同校1年、沢田拓朗さんは、酔っ払い運転の乗用車にはねられたうえに、ひき逃げされて、頭などを強く打って意識不明の重体となりました。その後、奇跡的に一命を取り留めたうえに、驚異的な回復力を見せて、2カ月後には再び登校できるようになりました。

 これはひとえに、酔っ払いにひき逃げされて、このまま将来を奪われてなるものか、という本人の不屈の精神力とそれを支えた強い身体の賜物だということができます。

■一方、加害者である、群馬県安中市安中3、製印業、滝本雄次容疑者(62)は、配偶者以外の女性を助手席に乗せて飲酒運転中、高崎高校の文化祭で正門の飾り付け作業をしていた沢田さんをはね飛ばしたあと、一端車から降りて様子をのぞきこんだ後、そのまま車に戻り、現場から走り去りました。

 そして、同日午前6時半ごろ、群馬県警高崎署に、配偶者で安中市議の滝本夏代議員が「ひとをはねたようだ」と電話をして、滝本雄次容疑者は自動車運転過失傷害と道路交通法違反(ひき逃げ)の容疑で緊急逮捕されたのでした。

 滝本容疑者は「酒を飲んでいたので怖くなって逃げた」と容疑を認めましたが、7月1日付けで消防団の副分団長として退団届を出した後は、刑事処分が出るまでは、退職金の支給も止められず、配偶者の市議も、議長あてに辞職願を出していません。もちろん家業の製印業は、何事もなかったかのように営業中です。

 それどころか、配偶者の市議は、会派のボスや、議長、そして岡田市長にも根回しをして、加害者の夫や自身の穏便な処遇を第一に考えて、少なくとも9月までは、被害者のところにも学校側にも謝罪をしていませんでした。

■ことほどさように、飲酒運転の撲滅は今や国民的な運動であるにもかかわらず、こと安中市役所においては、まだまだ意識の後進性が顕著です。

【ひらく会情報部・飲酒運転撲滅推進班】

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

オサカベ自動車をめぐる口利き情報不存在!?審査会から市長に答申書提出

2010-02-12 23:55:00 | 協立精工北の市道工事の摩訶不思議
■高崎市並榎町から安中市岩井地区に進出を予定しているオサカベ自動車を巡る口利きに関して、あくまで口利きの事実を否定する岡田義弘市長ですが、当会では平成20年9月14日付で、口利きの事実を示す行政文書の開示請求を提出。3カ月後の12月15日付けで岡田市長の理由説明書が送付されてきたので、今年の1月15日に意見書を提出していました。

 その後、2月2日に安中市情報公開・個人情報保護審査会が開催され、2月10日付で次の答申が岡田市長に提出されました。案の定、「知らぬ存ぜぬ」の一点張りの市側の主張を鵜呑みにして、情報不存在を肯定する答申内容でした。

**********
<送り状>
平成22年2月10日
異議申立人 小川 賢 様
    安中市情報公開・個人情報保護審査会 会長 采女英幸(公印)
情報公開の異議申立てに関する答申について(送付)
 安中市長から、あなたの情報公開の異議申立てに関する諮問があり、提出された関係資料等をもとに平成22年2月2日開催の審査会において、審査した結果、別紙のとおり答申しましたので、安中市情報公開・個人情報保護審査会規則第5条によりその写しを送付します。
 なお、後日、答申結果を参考として諮問機関である安中市長から今回の処分の異議申立てに対する正式な決定があります。
    事務局:秘書行政課文書法規係 TEL382-1111内線(1043)

<答申書>
平成22年2月10日
実施機関 安中市長 岡田義弘 様
    安中市情報公開・個人情報保護審査会 会長 釆女英幸(公印)
市道岩35号線の道路改良工事の手続における政治関係者又は政党関係者の口利きに関する行政文書の不存在決定通知処分に対する異議申立てについて(答申)
    記
 平成21年11月10日付けで諮問のあった標記の件について、平成22年2月2日開催の審査会において審査した結果に基づき、別紙のとおり答申します。

(別 紙)
諮問第2号
 市道岩35号線の道路改良工事の手続における政治関係者又は政党関係者の口利きに関する行政文書の不存在決定通知処分に対する異議申立てについて(答申)
1 審査会の結論
 本件異議申立ての対象である実施機関(安中市長)が行った行政文書の不存在決定通知処分は、妥当である。
2 異議申立ての主張の要旨
 異議申立人が主張する不服申立ての趣旨及び理由については、異議申立書及び意見書の記載によれば、おおむね次のとおりである。
 市道岩35号線の道路改良工事は、市がオサカベ自動車に不当に便宜を図った事案で、工事により道路を拡幅する必要性がないものである。これに関して政治関係者等から口利きがあったとする見方があるため、事実確認として本件開示請求を行ったが、不存在通知では口利き防止の内規もないのか、都合が悪いから情報がないのか判然としない。
 今回の事例は、違法不当な手続により進められているため、安中市職員に対して政治関係者等による「口利き」があったとみるべきであり、これを記録した職員のメモやノートが存在しなければならない。
3 異議申立てに対する実施機関の説明要旨
 市道岩35号線の道路改良工事は、道路整備により利便性の向上、地域の活性化、雇用の剔出等が期待されることから、地元の要望及び必要性を考慮して事業を実施したものである。
 したがって、当該事業の実施は、道路管理者の判断によるもので、政治関係者等の口利きに関する情報は、不存在である。
 また、安中市には議員等から公正な職務の執行を損なうおそれがある働きかけに対する対応要綱等は制定されていない。
4 審査会の判断
 異議申立人は、市道岩35号線の道路改良工事手続の違法性又は不当性に関して、異議申立書とあわせて意見書で詳細に説明しているが、本審査会において審査検証すべき事項は、当該工事に関連して請求された開示対象となる行政文書が存在するか否かである。
 したがって、当該工事における手続で、仮りに異議申立人が指摘するような違法性又は不当性が存在したとしても、それについて審査したり、意見を述べることは本審査会が所管することではない。
 この点から、本審査会においては、当該工事の手続の問題には言及せず、異議申立書及び意見書の主張を整理したうえで、異議申立人が開示を求める情報が、議員等からの不正な働きかけを防止するための内規及び当該工事の実施に関連して作成された市職員のメモ等であると判断して、その文書を不存在決定とした妥当性に絞って、次のとおり検討する。
 はじめに、議員等からの不正な働きかけを防止するための内規であるが、実施機関の法規担当である秘書行政課、人事担当である職員課に、審査会事務局職員をして確認させたところ、そのような要綱・規程類は、外部に公表されていないものも含めて、現在、作成(制定)されていないことが認められるため、これに関しての不存在決定は全く妥当であると考える。
 次に、当該工事の実施に関連して作成された市職員のメモ等であるが、異議申立人は、意見書の中で、市職員が後日問題となった場合の証拠とするため、この問題に関してメモやノートに記録として残していると主張する。
 しかし、本審査会が実施機関の土木課職員に聴取したところでは、確かに、当該事業の経過について記録したものは、職員が個人的には作成し、所有している事実はあるものの、事業実施に当たって政治関係者等から、市職員に対して、直接又は間接的にも、何らの働きかけはなかったため、そうした記録は個人的なメモ類さえも全く存在していないとのことであった。
 安中市情報公開条例第2条第2項によれば、開示の対象となる行政文書とは、①実施機関の職員が職務上作成し、又は取得した②文書、図画及び電磁的記録であって、③当該実施機関の職員が組織的に用いるものとして、当該実施機関が保有しているものでなければならない。
 このため、市職員が個人的に作成したメモ等は、たとえ①及び②には該当しても、③の条件に該当するかは、対象となるメモ等の使用や保管の状況等を十分勘案して判断しなければならない。
 通常、市職員が業務の過程で、自らの覚え書きとして作成したメモや草稿の類は実施機関が組織的に用いるものとして保有している文書とは認められず、その保存方法も組織供用文書のファイル等に綴じられたものではなく、個人的に保存、保管されているのであれば、条例に基づく開示の対象となる行政文書にはあたらない。
 異議申立人が開示を求める情報は、市道岩35号線の道路改良工事における「政治関係者あるいは政党関係者」の「口利きに関わる一切の情報」であるが、土木課職員が作成した記録の中にその情報が含まれているか、いないかという問題以前の前提として、当該記録は供覧等により他の職員との間のやり取りや検討に付されておらず、業務上の利用ではなく備忘的にパソコン上記録されたもので、個人的な覚書又は利用の範囲を超えてはいないため、条例上の開示対象文書とは考えられない。
 なお、前述のとおり審査会で土木課職員に事情を聴取したところでは、政治関係者等の働きかけはなく、そうした情報は全く存在しないとのことであり、これを覆すに足りる不自然な確証は得られず、異議申立人の主張も憶測に基づくもので、その立証がなされていない。
 以上のことから判断すると、異議申立人が開示を求めた政治関係者等の口利きに関する一切の情報として、議員等の不正な働きかけを防止するための内規や職員メモその他情報は存在せず、たとえ、個人的なメモが存在したとしても条例の開示対象となる行政文書には該当しないため、本審査会の結論として、本件の不存在決定通知処分は、妥当であると考える。
**********

■安中市情報公開・個人情報保護審査会の答申内容には、重要なポイントがいくつかあります。

[その1]
 当該工事手続で、仮りに異議申立人が指摘するような違法性又は不当性が存在したとしても、それについて審査したり、意見を述べることは本審査会が所管することではない。
⇒口利きが違法不当であろうとなかろうと、当会は、その事実を示す情報を開示請求しているのであって、審査会が妙に違法不当性の有無にこだわるのは不自然です。

[その2]
 議員等からの不正な働きかけを防止するための内規であるが、実施機関の法規担当である秘書行政課、人事担当である職員課に、審査会事務局職員をして確認させたところ、そのような要綱・規程類は、外部に公表されていないものも含めて、現在、作成(制定)されていないことが認められる。
⇒安中市に、口利きを防止するための条例や内規の類が何もないことが、これではっきりしました。

[その3]
 通常、市職員が業務の過程で、自らの覚え書きとして作成したメモや草稿の類は実施機関が組織的に用いるものとして保有している文書とは認められず、その保存方法も組織供用文書のファイル等に綴じられたものではなく、個人的に保存、保管されているのであれば、条例に基づく開示の対象となる行政文書にはあたらない。
⇒市職員が公務の過程で作成した文書が、個人的に保管されることがあるということ自体、市民には信じられません。安中市の隠ぺい体質が、14年前に発生したタゴ51億円事件を経ても、まったく改善されていないことがはっきりしました。

[その4]
 土木課職員が作成した記録の中にその情報が含まれているか、いないかという問題以前の前提として、当該記録は供覧等により他の職員との間のやり取りや検討に付されておらず、業務上の利用ではなく備忘的にパソコン上記録されたもので、個人的な覚書又は利用の範囲を超えてはいないため、条例上の開示対象文書とは考えられない
⇒市長からの訓示や部長からの通達、あるいは協議、会議、打ち合わせなど、組織として活動する業務に、供覧用議事録と個人用備忘録という区別を認識していること自体、安中市役所の内部に秘密体質が根強く残っていることがはっきりしました。

[その5]
 審査会で土木課職員に事情を聴取したところでは、政治関係者等の働きかけはなく、そうした情報は全く存在しないとのことであり、これを覆すに足りる不自然な確証は得られず、異議申立人の主張も憶測に基づくもので、その立証がなされていない
⇒審査会はなぜ土木科職員だけに事情を聴取したのでしょうか。当会では、市長と自民党県連の戸塚一二氏との関係についてはっきり指摘しました。もし当会の主張が憶測であると断定するならば、その根拠が立証されなくてはなりません。だから、岡田市長に事情聴取してみれば、すぐに口利きの事実がはっきりするはずです。仮に、そうした情報が本当に全く存在しないというのであれば、岡田市長から、口利きの指示が、建設部長から土木課長、係長というふうに伝えられたは、口頭だったことになります。

[その6]
 異議申立人が開示を求めた政治関係者等の口利きに関する一切の情報として、議員等の不正な働きかけを防止するための内規や職員メモその他情報は存在せず、たとえ、個人的なメモが存在したとしても条例の開示対象となる行政文書には該当しない
⇒前述のとおり、安中市の体質が情報隠匿の秘密主義の温床であることがハッキリしました。

■ところで、自民党の岡田市長に対して絶大な影響力を行使できる元自民党群馬県連事務局長の戸塚一二氏は、昨年12月3日にシングルCD2000枚がリリースされた「八ッ場エレジー」と題する新曲の作詞をしています。

「八ッ場エレジー」
作詞:戸塚一二 作曲:浅野佑悠輝 編曲:小城高行、清水貴司 唄:コバヤシタカシ
みどり色濃き山あいの 八ッ場に咲いたいで湯花
あの日から五十年 その日を夢見て耐えてきた
あぁ 川原湯の空に儚く散る花か
あぁ 川原湯の夜悲し

■作詞者としての戸塚氏は、「2、3年ほど前にダムの近くを通った際に、ダムが完成し、川原湯が湖畔で新しい温泉地としてスタートできたら、すばらしい風景を詩にしようと思ったが、政権交代でダム建設は白紙になり、50年の年月を重ねて一つになった住民の気持ちを今さら…」という思いから、昨年10月4日の夜、自宅で八ツ場ダム中止のニュースを見ながら、一気に書き上げたそうです。

 戸塚一二氏は「この歌はダム建設に賛成でも反対でもなく、政治色も出さぬよう、歌詞に『ダム』の言葉は使わずに、八ッ場ダムに揺れた人を連想してほしい」と、地元住民のやるせなさを託したエレジーだと言いますが、戸塚氏の経歴をみれば、政治色は真っ黒けで、八ッ場ダムの超推進派であることは一目瞭然です。

■それより、安中市土地開発公社51億巨額横領事件に揺れ動く安中市の「エレジー」もぜひ作詞していただきたいものです。

「安中市土地開発公社エレジー」
教育文化の香り濃かった 安中の公社に咲いた五十一億のあだ花
あの日から十五年 その日を夢見て耐えてきた
あぁ タゴ一族の懐に巨額使途不明の花満開
あぁ 群銀に尻拭いさせられる安中市民の税金悲し

【ひらく会情報部】

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

政務調査費の不適正使用に「理由がない」…またも政官保護判決を出した前橋地裁の迷裁判長

2010-02-07 10:33:00 | オンブズマン活動
■1月30日の新聞各紙に、市民オンブズマン群馬が足掛け4年にわたり係争してきた裁判の結末が掲載されました。ご覧になった読者も多かったと思いますが、念のため、各紙の記事を紹介します。
**********
◆政調費返還訴訟で原告側の請求棄却 前橋地裁
 2003~05年度の県議会の政務調査費が適正に使用された根拠がないとして、市民オンブズマン群馬の小川賢代表ら2人が県知事に対し、自民党など3会派に計約4億7570万円の返還を請求するよう求めた住民訴訟の判決が1月29日、前橋地裁であった。松丸伸一郎裁判長は「原告の請求には理由がない」として、原告側の請求を棄却した。
 松丸裁判長は判決理由で、終始報告書に記載された政務調査費の残余額について、「交付額以上に調査研究費を支出すれば、残余金がゼロになることもある」と指摘。「市と基準に適合しない政務調査の支出があった」とする原告側の主張を退けた。
 判決を受け、原告側は「実態を見ようとしない不当な判決だ」と話した。一方、大沢将明知事は「県の主張が認められてよかった」、原富夫議長は「今後、統一的なマニュアルを作成し、一層の厳格な運用を図るとともに透明性の向上に努めたい」とそれぞれコメントした。
(上毛新聞平成22年1月30日付朝刊3面)

◆政調費返還訴訟 オンブズ側敗訴 地裁、違反ないと判断
 市民オンブズマン群馬のメンバーらが大沢正明知事に対し、県議会の自民党など3会派に総額約4億7500万円の政務調査費の返還を請求するよう求めた裁判の判決が1月29日、前橋地裁であり、松丸伸一郎裁判長はオンブズマン側の請求を棄却した。
 オンブズマン側が訴えを起したのは2007年6月、03~05年度の収支報告書で、会派の年度での残余額が0円になっているなど、残額を調整して記載した後が認められるなどとして自民党、フォーラム群馬(08年にリベラル群馬)、改革クラブ(05年に解散)で条例に反した政調費の使用があったと主張した。
 そのため、同時期に支出された自民党への約4億6800万円、フォーラム群馬への約46万円、改革クラブへの約690万円について、知事は返還請求すべきだと訴えていた。
 判決で松丸裁判長は、「各会派の政調費の用途に違反があったとは言えない」との判断を示した。
(朝日新聞平成22年1月30日朝刊群馬版)

◆県議会政調費 地裁、返還請求棄却「原告は事実を立証せず」
 県議会の政務調査費に不当な公金支出があったとして、市民オンブズマン群馬のメンバーが、県知事を相手取り県議会会派への返還請求を行うよう求めた住民訴訟で、前橋地裁(松丸伸一郎裁判長)は1月29日、原告側の請求を棄却した。
 判決によると、原告側は03~05年度に▽リベラル群馬▽自民党▽改革クラブ(05年解散)――の3会派に交付された政調費が「使途基準に適合していなかった」などと主張したが、松丸裁判長は「原告らは事実を立証したとはいえず、主張は理由がない」と退けた。
 市民オンブズ群馬は「なぜ地裁は事実を見ようとしないのか。控訴を検討する」とした。
【鳥井真平】(毎日新聞平成22年1月30日朝刊群馬版)

◆政調費返還請求訴訟、請求を棄却
 県議の政務調査費の使途が基準を逸脱しているとして、市民オンブズマン群馬のメンバーが大沢知事を相手取り、自民党など県議会3会派に対して、2003~05年度に支出された政務調査費総額約4億7500万円の返還を請求するよう求めた訴訟の判決が29日、前橋地裁であった。松丸伸一郎裁判長は、政務調査費の使用が本来の使途や目的に違反しているとは推認できないとして原告の請求を棄却した。
 訴状によると、自民党と改革クラブ(解散)には「政務調査費の残余金の端数が0円になることは考えられない」などとして、それぞれ4億6830万円と690万円を、使途にマニフェスト公表に要する費用を挙げたフォーラム群馬(解散)には「マニフェストは自費で負担すべき」として約46万円の返還を求めていた。
(讀賣新聞平成22年1月31日朝刊群馬版)

◆市民団体の県議会政調費訴訟 「返還」請求を棄却 地裁判決
 県議に支給された政務調査費の使途が不透明、として「市民オンブズマン群馬」メンバーが大沢正明知事に対し、自民党など県議会三会派に2003~05年度分計約4億7千5百万円の返還を命じるよう求めた訴訟の判決が29日、前橋地裁であった。松丸伸一郎裁判長が「使途基準に適合しない支出があったとは言えない」などとして、原告の請求を棄却した。判決では、「政調費の残余額がゼロで端数がないのは不自然で、不適切な支出があった」などとする原告側の主張について、「交付額以上に支出すれば、残余額がゼロになることもあり得る」などとして退けた。
 判決を受け、大沢知事は「主張が認められてよかった。議会で政調費の運用見直しを検討していると聞いており、取り組みを見守りたい」との談話を発表。原富夫議長は「統一的な政調費マニュアルを作成し、より厳格な運用を図るとともに透明性向上に努めたい」とのコメントを出した。
 原告側は「政調費の使い方を正すのが目的だったが、実態を見ようとしない判決」と批判した。(東京新聞平成22年1月30日朝刊群馬版)
**********

■この裁判は、政務調査費の不明朗な使途が明らかに想定されるので、その証拠提出と説明責任を群馬県議会の関係各会派に求めるとともに、不当利得で得た県民の血税を群馬県知事に返還するように求めたものですが、なぜか、中立の立場であるべき群馬県知事が、自ら被告側に補助参加してきて、異常に県議会の関係各派を擁護してきました。これでは、裁判の中立性は担保できるはずがありません。

 さらに、この裁判を担当したのが、松本簡易裁判所判事当時1994年の松本サリン事件で第一通報者の河野さん宅の捜索令状を発行したり、東京地方裁判所八王子支部所属当時1999年9月2日にJR中央線で発生した痴漢冤罪事件で冤罪判決を出したり、八ッ場ダムの住民敗訴判決をだしたり、もう4年近くも群馬県の司法界に君臨する裁判長なのですから、政官側の被告連合にとって、これほど心強い味方はほかに見当たりません。

 証拠調べもしようとせずに、政官側からの主張だけに耳を傾けて、住民からの問題提起は、最初から軽視してきた経緯は、判決文にも如実に表れています。細かいコメントをするより、まずは判決文をご一読ください。

**********
平成22年1月29日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官 渡部明美
平成19年(行ウ)第4号政務調査費返還代位請求事件
口頭弁論終結日 平成21年11月13日
    判       決
群馬県安中市野殿980番地
  原告      小川 賢
群馬県沼田市上発知町字迦葉山丙350-1
  同上      杉山弘一
  原告ら訴訟代理人弁護士 樋口和彦
  同上      吉野 晶
  同上      三角俊文
前橋市大手町1丁目1番1号
  被告      群馬県知事大澤正明
  同訴訟代理人弁護士 丸山和貴
  同指定代理人    阿部成司
  同上      橋爪光明
  同上      友松 寛
  同上      縁川善彦
  同上      高田 隆
  同上      鈴本和人
前橋市大手町1丁目13番14号
  被告補助参加人 群馬県議会自由民主党
  同代表者    南波和憲
  同訴訟代理人弁護士 鈴水利治
  同上      神崎浩昭
  同上      長家広明

    主 文
1 原告らの請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用は、補助参加によって生じた分も含め,原告らの負担とする。

    事実及び理由
第1 請求
1 被告は、群馬県議会リベラル群馬(以下「リベラル群馬」という。)に対し,46万1182円及びこれに対する平成19年9月16日から支払い済みまで年5分の割合による金員の支払いを請求せよ。
2 被告は,群馬県議会自由民主党(以下「補助参加人」という。)に対し,4奥6830万円及びこれに対する平成19年9月16日から支払い済みまで年5分の割合による金員の支払いをせよ。
3 被告は,群馬県議会改革クラブ(以下「改革クラブ」という。)に,690万円及びこれに対する平成19年9月19日から支払い済みまで年5分の割合による金員の支払を請求せよ。
第2 事案の概要
 本件は,群馬県の住民である原告らが,群馬県政務調査費の交付に関する条例(平成13年3月27日群馬県条例第31号,平成19年6月28日条例第55号による改正前のもの。以下,「本件条例」という。乙1。)及び本件条例に基づいて議長が定めた「群馬県政務調査費の交付に関する規程」(平成13年3月30日議会訓令甲第1号。以下「本件規程」という。乙2。)に基づき,群馬県がリベラル群馬,補助参加人,改革クラブ(以下、三者を併せて「本件各会派」という。)に対して交付した政務調査費が,本件条例が定める使途に使用されていないなどと主張して,地方自治法(平成20年法律第69号による改正前のもの。以下「法」という、)242条の2第1項4号に基づき,被告に対し,違法に支出された額と同額の不当利得の返還及び遅延損害金の支払を本件各会派に対してそれぞれ請求することを求めている事案である。
1 前提事実(次の事実は当事者間に争いがないか,後掲各証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる。)
(1) 当事者等
 ア 原告らは,群馬県の住民である。
 イ(ア) 本件各会派は,群馬県議会(以下「県議会」という。)内で同一の行動をとるために県議会議員によって構成された権利能力なき社団である。
  (イ) 改革クラブは,議員一人が所属する一人会派であったが,平成17年5月に解散し,同月,同議員はフォーラム群馬に所属することとなった。また,同議員は,平成17年8月に県議会議員を辞職した。
  (ウ) フォーラム群馬は,平成20年5月1日,県議会の別会派であったスクラム群馬と合流し,リベラル群馬を結成した(弁論の全趣旨)。
 ウ 被告は,群馬県知事である。
(2) 関係法令の定め
 ア 法100条
  13項
 普通地方公共団体は,条例の定めるところにより,その議会の議員の調査研究に資するため必要な経費の一部として,その議会における会派又は議員に対し,政務調査費を交付することができる。この場合において,当該政務調査費の交付することができる。この場合において,当該政務調査費の交付の対象,額及び交付の方法は,条例で定めなければならない。
  14項
 前項の政務調査費の交付を受けた会派又は議員は,条例の定めるところにより,当該政務調査費に係る収入及び支出の報告書を議長に提出するものとする。
イ 本件条例は,法100条13項及び14項を受けて,以下のとおり規程する(乙1)。
第1条
 この条例は,法第100条第13項及び第14項の規定に基づき,群馬県議会議員(以下「議員」という。)の調査研究に資するため必要な経費の一部として,群馬県議会(以下「議会」という。)における会派に対し,政務調査費を交付することに関し必要な事項を定めるものとする。
第2条
 政務調査費は,議会の会派(所属議員が一人の場合を含む。以下「会派」という。)に対して交付する。
第3条
1 各会派の政務調査費の月額は,30万円(以下「一人当たりの月額」という。)に当該会派の所属議員の数を乗じて得た額とする。
2 前項の所属議員の数は,つきの初日が終了した時における各会派の所属議員数による。
  (以下略)
第4条
1 議員が会派を結成し,政務調査費の交付を受けようとするときは,代表者及び政務調査費経理責任者を定め,その代表者は,別に定める様式により会派結成届を議長に提出しなければならない。
3 会派を解散したときは,その代表者は,別に定める様式により会派解散届を議長に提出しなければならない。
第6粂
 知事は,前条の規定による通知に係る会派について,政務調査費の交付の決定を行い,会派の代表者に通知しなければならない。
第7条
1 会派の代表者は,前条の規定による通知を受けたときは,毎四半期の最初の月の十日(その日が群馬県の休日を定める条例(平成元年群馬県条例第6号)第1条に規定する県の休日に当たるときは,その直後の休日でない日)までに,別に定める様式により当該四半期に属する月数分の政務調査費を知事に請求するものとする。ただし,一四半期の途中において議員の任期が満了する場合には,任期満了日が属する月までの月数分を請求するものとする。
2 知事は,前項の請求があったときは,速やかに政務調査費を交付するものとする。
5 一四半期の途中において,会派が解散したときは,当該会派の代表者は,当該解散した日の属する月の翌月(その日がつきの初日の場合は,当月)分以降の政務調査費を速やかに返還しなければならない。
第8条
 会派は,政務調査費を別に定める使途基準に従い使用しなければならない。
第9条
1 会派の代表者は,当該政務調査費に係る収入及び支出の報告書(以下「収支報告書」という。)を,別記様式により,当該年度の翌年度の5月31日までに議長に提出しなければならない。
2 会派の代表者は,会派が解散(任期満了を含む。以下この項において同じ。)した場合には,,前項の規定にかかわらず,当該会派が解散した日の属する月(その日が月の初日の場合は,前月)までの収支報告書を,別記様式により,解散した日から2月以内に議長に提出しなければならない。
第10条
 議員に,政務調査費の適正な運用を記すため,前条の規定により収支報告書が提出されたときは,必要に応じ調査を行うものとする。
第11条
 政務調査費の交付を受けた会派は,その年度において交付を受けた政務調査費の総額から,当該会派がその年度において行った政務調査費による支出(第8条に規定する使途基準に従って行った支出をいう。)の総額を控除して残余がある場合は,当該残余の額に相当する額の政務調査費を返還しなければならない。
第13条
 この条例に定めるもののほか,政務調査費の交付等に関し必要な事項は,議長の定めるところによる。
ウ 本件規程(乙2)
第5条
 条例第8条の使途基準は,別表第1のとおりとする。(本判決末尾に上記別表を添付した。)
第7条
 会派の政務調査費の経理責任者は,政務調査費の支出について,会計帳簿を整理保管し,これらの書類を当該政務調査費の収支報告書の提出すべき機関の末日の翌日から起算して5年を経過する日まで保存しなければならない。
(3) 本件各会派に対する政務調査費の交付
 ア 被告は,リベラル群馬に対し,平成15年度4月分(期間:平成15年4月1日から同月29日まで。以下同じ。)の政務調査費として,150万円を交付した(甲1の1)。
 イ 被告は,補助参加人に対し,平成15年度4月分ないし平成17年度の各政務調査費として,以下の金額を交付した(甲2の1ないし4)。
 (ア) 平成15年度4月分 1380万円
 (イ) 平成15年度(期間:同年5月1日から平成16年3月31日まで,以下同じ。) 1億4730万円
 (ウ) 平成16年度(期間:同年4月1日から平成17年3月31日まで。以下同じ。) 1億5450万円
 (エ) 平成17年度(期間:同年4月1日から平成18年3月31日まで。以下,特に記載のない限り同じ。) 1億5420万円
 ウ 被告は,改革クラブに対し,平成15年度ないし平成17年度の政務調査費として,以下の全額を交付した(甲4の1ないし3)
 (ア) 平成15年度 330万円
 (イ) 平成16年度 360万円
 (ウ) 平成17年度(期間:同年4月1日から同年5月31日まで) 60万円
(4) 政務調査費支出報告書(以下「支出報告書」という。)の提出
 本件各会派の代表者は,議長あてに,上記(3)の政務調査費に係る収支報告書を提出したところ,同収支報告書には,以下のような記載がなされていた(甲1の1,甲2の1ないし4,甲4の1ないし3)。
 ア リベラル群馬
 平成15年4月の収支報告書中,調査研究費の支出項目の備考欄に,「マニフェスト公表のとりくみについて」と記載されていた。
 イ 補助参加人について
 各収支報告書の残余額欄に,平成15年度4月分及び平成17年度は0円,平成15年度は60万円,平成16年度は90万円と,それぞれ記載されていた。
 ウ 改革クラブについて
 平成15年度及び平成16年戻の収支報告書の残余額欄に,0円と記載されていた。
(5) 措置請求
 原告らは,平成19年3月19日,県監査委員に対し,本件各会派を含む,議会の各会派が,本件条例8条,本件規程5条に定める市と基準を逸脱して政務調査費を使用したことを理由に,被告が,議会の各会派から,平成15年度(4月分を含む。),平成16年度,平成17年度の政務調査費全額の返還を請求するように勧告を求める措置請求(以下「本件措置請求」という。)を行ったところ(甲9)、県監査委員は,同年5月25日付けで,原告らの主張する使途基準逸脱の事実は認められず,被告が返還請求を怠っているとはいえないため,本件請求には理由がないとして,本件措置請求を棄却した(甲10)。
(6) 本訴提起等(顕著な事実)
 ア 原告らは,平成19年6月21日,本件訴えを提起した。
 イ 原告らは,リベラル群馬及び補助参加人に対しては平成19年9月15日に,改革クラブに対しては同月18日に,それぞれ訴訟告知した。
 ウ 補助参加人は,平成20年8月8日,補助参加の申出をした。
2 争点及びこれに関する当事者の主張
 本件各会派が行った政務調査費の支出が違法か。
(原告らの主張)
(1) 政務調査費に関する不当利得の返還については,返還を求める側において政務調査費の使途について相当な根拠をもって疑義が存在することを主張,立証した場合には,本件各会派ないし被告において,合理的な疑いを容れない程度にその疑義を解消すに足る主張,立証を行う必要があり,このような主張,立証がなされない場合には,政務調査費の適正な支出がなされなかったものと推認されると考えるべきである。
(2) 本件においては,以下のとおり,本件各会派の政務調査費の支出が使途基準に適合していなかったことを強く推認させる事実が存在する。
 ア リベラル群馬
 平成15年4月の収支報告書中,調査研究費の支出項目の備考欄に,「マニフェスト公表のとりくみについて」と記載されている。しかし,選挙に先だって候補者や政党が有権者に対し発表する選挙公約であるマニフェストの公表に要する費用は各候補者や各政党が自費で支出すべきものであり,また,群馬県の事務及び地方行政に関する調査研究とは全く無関係である。
 イ 補助参加人
 (ア) 本件条例3条1項によれば,「各会派の政務調査費の月額は,30万円に当該会派の所属議員の数を乗じて得た額とする。」と定められているところ,補助参加人においては,全ての収文報告書において,残余額を0円あるいは,一人当たりの月額で割り切れる数額(60万円,90万円)としている。しかし残金額が毎年度O円ないし一人当たりの月額で割り切れる数額になることはおよそ考えられない。このことから,補助参加個人が,残金額を一人当たりの月額で割り切れる数額に調整して収支報告書に記載しているか,あるいは,政務調査費を各所属議員に割り当てていたことが強く推認される。
 (イ) また,平成15年4月には議会議員選挙(同月4日告示,同月13日投票日。以下「本件選挙」という。)があったのであるから,平成15年度4月分の政務調査費の支出は限りなくゼロに近いか,少なくとも選挙のない期間中の1年当たりに支出された政務調査費の24分の1に近い数順になるはずである。にもかかわらず,収支報告書によれば,平成15年度4月分の支出額は1380万円と,平成15年度の1月当たりの政務調査費の平均支出額を若干上回っている。
 ウ 改革クラブ
 収支報告所によれば,平成15年度,平成16年度の残余額が「0円」となっている。年度途中で辞職した平成18年度の残金額は254円となっていること,各項目の支出額が端数であること,補助参加人を除く他の会派で毎年端数が生じていることなどに照らせば,残余額が「0円」になることはおよそ考えられない。
(被告の主張)
(1) 原告らが主張する本件各会派の政務調査費の支出に係る疑義は,以下のとおり,いずれも根拠に乏しく,政務調査費の使途について疑義が存する相当な根拠があるとはいえない。
(2)ア リベラル群馬
  「マニフェスト公表のとりくみについて」とは,一般的に関心が高く,地方行政にも深く関連する事項であるところの「マニフェスト制度」に係る調査研究であると窺われる。「マニフェスト公表のとりくみについて」と収支報告書の備考欄に記載され,直近に選挙が行われたことのみをもって,当該会派の候補者や政党に係る選挙運動に関連した支出がなされた疑いがあるとの原告らの主張は,具体的根拠に乏しい。
 イ 補助参加人
 (ア) 政務調査費は,議員の調査研究に資するため必要な経費の一部として,会派に対して交付されているものであり,会派の政務調査活動が,全て政務調査費によって賄われているとは限らない。また,政務調査活動は,会派の自由意志により実施されるものであり,政務調査費の支出に当たって,どの項目にどれくらいの額の政務調査費を充当するかは会派の裁量に委ねられている。
 したがって,残余額が0円であったり,一人当たりの月額で割り切れる額となっていたとしても,それだけで,収支報告書の記載が不適正であるとはいえない。
 (イ) 本件選挙は,平成15年4月4日に告示され,同月13日が投票日であり,選挙が行われていたわけではない。
 また,補助参加人には,本件選挙で無投票で当選した議員が11名いる。これに本件選挙に立候補しなかった議員4名を加えると,3割を超える議員が,自らの選挙活動を行っておらず,選挙期間中においても政務調査活動に従事することができたのである。また,選挙活動をしている議員であっても,県民から県政に対する意見や要望等を受け,または,政策上の質問が寄せられる等,今後の議会活動の参考となる情報を収集する機会がなかったとはいえない。
 したがって,当月に選挙があった事実をもって,会派として政務調査活動を行い得ない状況にあったことはいえない。
 ウ 改革クラブ
 平成15年度,平成16年度の残余額が「0円」となっていることから,収支報告書の記載が不適正であるとはいえないことは,上記イ(イ)で述べたとおりである。
第3 当裁判所の判断
1(1) 本件は,原告らが,法242条の2第1項4号に基づき,被告に対し,本件各会派に対する不当利得返還請求をすることを求めている事案である。
 (2) 前記前提事実(2)記載のとおり,政務調査費は,法100条13項に基づいて,普通地方公共団体が,条例の定めるところにより,その議会における会派又は議員に対し,議員の調査研究に資するため必要な経費の一部として,交付することが認められた経費であること,同項に基づいて交付対象や交付方法等を定めた本件条例11条は,「政務調査費の交付を受けた会派は,その年度において交付を受けた政務調査費の総額から,当該会派がその年度において行った政務調査費による支出(第8条に規定する使途基準に従って行った支出をいう。)の総額を控除して残余がある場合は,当該残余の額に相当する額の政務調査費を返還しなければならない。」と規定していることなどからすると,政務調査費が,県政に関する調査研究に資するため必要な経費とは認められないような目的外の使用に供された場合には,市の公金の損失において,会派が利得を得ていることになるから,被告は、不当利得返還請求権に基づき,会派に対して当該支出相当額の返還を命ずることができるというべきである。そして,このような場合には,不当利得返還請求をする者にその主張立証責任があることは当然であるが,その使途についての証票類等の証拠は,本件各会派が保存すべきものとされていること(本件規程7条)に照らすと,原告らにおいて,会派による政務調査費の供用が,その本来の使途及び目的に違反していることを推認させる一般的,外形的な事実を立証した場合には,被告において,その推認を妨げるべく,本来の使途及び目的に沿って使用したことを明らかにする必要があるというべきである。
 (3) そこで,以下,この見地から検討を加えることとする。
2 本件各会派の支出について
 (1) リベラル群馬の支出について
 原告らは,リベラル群馬の平成15年度4月分の収支報告書中,調査研究費の支出項目の備考欄に,「マニフェスト公表のとりくみについて」と記載されていることを理由として,政務調査費が群烏県の事務及び地方行政に関する調査研究とは無関係な,候補者や政党が有権者に対し発表する選挙公約であるマニフェストの公表に要する費用に文出された旨主張する。
 しかしながら,「マニフェスト公表のとりくみについて」との記載は,被告が主張し,リベラル群馬が回答(甲10)するように,マニフェスト制度一般についての調査研究の趣旨とも解し得る。したがって,上記記載があるからといって,直ちにリベラル群馬が政務調査費を選挙公約であるマニフェストの公表に要する費用に支出したと推認することはできず,原告らが前記一般的、外形的な事実を立証したとはいえない。
 したがって,原告らの上記主張は理由がない。
 (2) 補助参加人の支出について
 ア(ア) 原告らは,補肋参加人の収支報告書において,政務調査費の残余額が0円あるいは,一人当たりの月額で割り切れる数額となっていることを根拠として,補助参加人に使途基準に適合しない政務調査費の支出があったことが推認される旨主張する。
  (イ) しかし,前記前提事実(2)記載のとおり,政務調査費に本件条例及び本件規程に基づき,議会の議員の調査研究に資するため必要な経費の一部として台湾に交付されるものであるから,会派が政務調査費の交付額以上に調査研究費を支出すれば,政務調査費の残余額は0円となることもあり得る。
 したがって,補助参加人の収支報告書において,政務調査費の残余額が0円と記載されているからといって,直ちに補助参加人において,使途基準に適合しない政務調査費の支出があったと推認することはできず,原告らが前記一般的,外形的な事実を立証したとはいえない。
  (ウ) また,甲10によれば,本件措置請求に伴い実施された県監査委員の調査に対し,補助参加人は,政務調査費の残余額が一人当たりの月額で割り切れる税額となっていることの理由として,「会派から業務依頼を受けた政務調査活動を行ないえなかった所属議員から残余額が返還されたため。」と回答したことが認められる。会派には,具体的な政務胴査費の支出(どの項目にいくら充てるか等)について,裁量があると解されるところ,会派が所属議員に対し,政務調査活動を委託し,その活動のためにある数額の政務調査費を充てること,委託を受けた所属議員が政務調査活動を行うことができず,政務調査費が返還された場合に,会派が再度,これを政務調査活動に利用しないことは,いずれも上記裁量の範囲内に属することであるから,補助参加人の上記回答は,残余額が一人当たりの月額で割り切れる数額となっていることの理由としては不合理ではない。
 したがって,補助参加人の収支報告書において,政務調査費の残余額が一人当たりの月額で割り切れる数額となっている事実からは,直ちに使途基準に適合しない政務調査費の支出があったことを推認することはできず,原告らが前記一般的、外形的な事実を立証したとはいえない。
  (エ) したがって,原告らの上記主張はいずれも理由がない。
 イ(ア) また,原告らは,平成15年4月には議会議員進挙があったのだから,平成15年度4月分の政務調査費の支出に限りなくゼロに近いか,少なくとも選挙のない期間中の1年当たりに交出された政務調査費の24分の1に近い数額になるはずであるとし,本件政務調査費には,使途基準に反する違法な支出が含まれている旨主張する。
  (イ) 本件選挙が,平成15年4月4日に告示され,同月13日が投票日であり,選挙期間は9日間であったことについては当事者間に争いがなく,証拠(乙3,4)によれば,補助参加人においては,本件選挙前の議員数が46名であったこと,本件選挙で無投票で当当選した議員が11名いること,本件選挙に立候補しなかった議員が4名いることが認められる。
 そしで,本件選挙に立候補したが無投票で当選した議員,及び本件選挙に立候桶しなかった議貝については,本件選挙期間中も選挙運動を行う必要がなかったために通常どおり調査研究を行うことが可能であった。さらに,立候補して選挙を行った議員についても,選挙期間中も調査研究を行うことか法律上許されないわけではなく,同月中の選挙期間を除く20日間は,通常どおり調査研究を行うことが可能であった。
 したがって,選挙があった月には選挙がなかった月と比べて政務調査費の支出が少なかったとは必ずしもいえないのであり,原告らの主張する上記事実から,直ちに使途基準に適合しない政務調査費の支出があったことを推認することは,原告らが上記一般的,外形的な事実を立証したとはいえない。
 (3) 改革クラブの支出について
 原告らは,改革クラブの平成15年度,平成16年度の収支報告書に,政務調査費の残余額が0円と記敬されていることを根拠としで,改革クラブに使途基準に適合しない政務調査費の支出があったことが推認される旨主張する。
 しかし,上記記載があることから,直ちに使途基準に適合しない政務調査費の支出があったと推認することができないことは,上記(2)アで述べたとおりである。
 したがって,原価らの上記主張は理由がない。
3 小括
 以上によれば,原告らの主張するいずれの事実によっても,本件各会派による政務調査費の使用が,その本末の使途及び目的に違反していることを推認することはできず,原告らが,本件各会派による政務調査費の使用について,その本来の使途及び目的に違反していることを推認させる一般的に外形的な事実を立証したとはいえない。
第4 結論
 以上認定判断したところによれば,原告らの請求はいずれも理由がないからこれを棄却することとし,主文のとおり判決する。
 前橋地方裁判所民事第2部
    裁判決裁判官 松丸伸一郎
    裁判官    水橋  巌
    裁判官    佐田 崇雄

別表第1(第5条関係)
項目 / 内容
調査研究費/会派が行う群馬県の事務及び地方行財政に関する調査研究並びに調査委託に要する経費(調査委託費、交通費、宿泊費等)
研修費/会派が行う研修会及び講演会の実施に必要な経費並び他団体が開催する研修会及び講演会への所属議員及び会派の雇用する職員の参加に要する経費(会場費、機材借上費、講師謝金、会費、交通費、宿泊費等)
会議費/会派における各種会議に要する経費(会場費、機材借上費、資料印刷費等)
資料作成費/会派が議会審議に必要な資料を作成するために要する経費(印刷製本代、原稿料等)
資料作成費/会派が行う調査研究のために必要な図書、資料等の購入に要する経費(書籍購入代、新聞雑誌購読料等)
広報費/会派が行う議会活動及び群馬県政に関する政策等の広報活動に要する経費(広報紙・報報告書等印刷費、送料、交通費等)
事務費/会派が行う調査研究に係る事務執行に必要な経費(事務用品購入費、備品購入費、通信費等)
人件費/会派が行う調査研究を補助する職員を雇用する経費(給料、手当、社会保険料、賃金等)
注 ( )内は例示である。

これは正本である。

平成22年1月29日
 前橋地方裁判所民事第2部
    裁判所書記官 渡 部 明 美
**********

■当会は、これまで延べ50件以上の訴訟に関与してきましたが、これほどひどい判決文は初めてです。どこの裁判所でもつまはじきの松丸伸一郎ですが、ここ群馬県だけは別天地のようです。これでは今年の4月になっても異動は望めそうにありません。 

【ひらく会法務部】

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする