■平成21年6月7日の深夜、午前1時ごろ、群馬県高崎市八千代町2の群馬県立高崎高校の正門前の市道で、同市東貝沢町1、同校1年、沢田拓朗さん(15)が乗用車にはねられたニュースが世間に大きな衝撃を与えてから、3ヶ月が経過しました。
高校生をはねた車は現場から走り去り、沢田さんは頭などを強く打って意識不明の重体となりました。県警高崎署によると、同日午前6時半頃、同署に「人をはねたようだ」と家族を通じて電話してきた安中市安中3、製印業、滝本雄次容疑者(62)を自動車運転過失傷害と道路交通法違反(ひき逃げ)の容疑で緊急逮捕しました。滝本容疑者は「酒を飲んでいたので怖くなって逃げた」と容疑を認めたということでした。
その後、高校生は、病院の集中治療室で懸命の救命措置により一命を取りとめてからは、周囲も驚くほどの回復力を見せていて、現在、リハビリに努めつつ、登校しています。本人の強い意志と、若い身体が、飲酒運転によるひき逃げという凶行に遭った不運を見事に吹き飛ばしたというべきでしょう。
■この飲酒運転事件について、事件発生後、1週間を経過した平成21年6月16日付けの東京新聞の朝刊記事に「容疑者、消防団員勤める 高崎のひき逃げ」と題して、次の内容記事が掲載されました。
**********
容疑者、消防団員勤める 高崎のひき逃げ
高崎市の県立高崎高校正門前で6月7日に生徒(15)がひき逃げされ重体となった事件で、高崎署に自動車運転過失傷害などの疑いで逮捕された安中市安中、製印業の容疑者(62)が、安中市の消防団員を務めていることが分かった。消防団員は市議などと同じ特別職の地方公務員に当たるため、市は条例に基づく懲戒処分を検討している。安中市によると、容疑者は1983年に入団。2004年度から4年間、役員に相当する第一分団副分団長を務めた。市が年2回報酬を払っている。市の条例によると、消防団員は「職務の内外を問わず、団員たる体面を損する行為があったとき」は市長への通知を義務付け、免職、停職、戒告の懲戒処分を定めている。市では「条例に触れる行為であり、手続きを進めたい」としている。高崎署によると、容疑者は「酒を飲んで運転したので逃げた」と供述。(以下省略)
*********
ところが、それ以降は、マスコミはこの事件について全く報じていません。また、安中市からも、何も情報発信がありません。滝本雄次容疑者が、その後、どのような処分を受けたのか、また、事故発生から一夜明けて、容疑者に代わって、高崎署に電話をした配偶者である滝本夏代・安中市議は、地元の選挙民に「議長宛に辞職願いを出したが、議長が受理してくれない」などと事故の責任について釈明している、という情報も一部に流れており、事実関係を確認しておく必要がありました。
そこで、当会は、8月24日付で、
①岡田義弘・安中市長に対して、このひき逃げ事件に関する次の内容を含む一切の情報(容疑者の懲戒処分の及び処分に至る経緯、処分を決めた理由、処分直前の容疑者への支払い給与条件、退職金支給の有無と結果、消防団の服務規程と処罰規定に関する条例、被害者への市としての見舞い対応の有無と内容)を、
②田中伸一・安中市議会議長に対して、このひき逃げ事件に関して、容疑者の配偶者である市議から、議長宛に辞職願が提出されたと聞くが、その事実を証する一切の情報。また、事実であれば、その取扱に関連する一切の情報を開示するよう、安中市情報公開条例に基づき、行政文書開示請求書を、それぞれ提出しました。
■その結果、平成21年9月4日付で、安中市市民部安全安心課から、岡田義弘市長名で、次の通知がありました。
**********
【行政文書開示決定通知書】
安安第11846号 平成21年9月4日
行政文書開示決定通知書
請求者 小川賢 様
安中市長 岡田義弘
平成21年8月24日に請求のありました行政文書の開示について、次のとおり開示することに決定しましたので、安中市情報公開条例第11条第1項の規定により、通知します。
<開示請求に係る行政文書の内容又は件名>
別紙行政文書開示請求書のうち容疑者の懲戒処分及び処分に至る経緯、処分を決めた理由
【行政文書不存在通知書】
安安第11846号 平成21年9月4日
行政文書不存在通知書
請求者 小川賢 様
安中市長 岡田義弘
平成21年8月24日に請求のありました行政文書について、当実施機関において保有していないため、安中市情報公開条例第11条第2項の規定により通知します。
<開示請求に係る行政文書の内容又は件名>
別紙行政文書開示請求書のうち
1 容疑者の懲戒処分及び処分に至る経緯、処分を決めた理由
2 退職金支給の有無と結果
3 被害者への市としての見舞い対応の有無と内容
<行政文書が存在しない理由>
1 退団届の提出はありますが、刑事処分の結果により対応を検討する予定のため
2 刑事処分の結果により、対応を検討する予定のため
3 市としては見舞いをしていないため
【行政文書不開示決定通知書】
安安第11846号 平成21年9月4日
行政文書不開示決定通知書
請求者 小川賢 様
安中市長 岡田義弘
平成21年8月24日に請求のありました行政文書の開示について、次のとおり開示しないことを決定しましたので、安中貯情報公開条例第11条第2項の規定により、通知します。
<開示請求に係る行政文書の内容又は件名>
別紙行政文書開示詰求書のうち
容疑者の懲戒処分及び処分に至る経緯、処分を決めた理由
<開示しない理由>
安中市情報公開条例第7条第2号に該当
【回議用紙】
年 度 平成21年度
文書種類 収
文書番号 第8171号
保存年限 5年
受付年月日 平成21年7月1日
保存期限 平成27年6月1日
起案年月日 平成21年7月1日
廃棄年度 平成27年度
決裁年月日 平成21年7月1日
分類番号 大3 中5 小2 簿冊番号6 分冊番号2
完・未完別 完結
簿冊名称 消防団関係書類
完結年月日 平成22年5月31日
分冊名称 消防団入退団書類
施行区分 至急
公 開 1 非公開 時限秘( 年)部分秘 全部秘 2 公開
起案者 市民部安全安心課生活安全係 職名 主査 氏名 久保庭高明 内線(1131)
決裁区分 部長
印 欄 市長・- 部長・原田 課長・原田 係長・丸山 係・佐藤 公印・-
関係部課合議 安中市消防団長・横山
課内供覧 -
宛 先 安中市消防団 団長 横山公男
差出人 安中市消防団 団員 滝本雄次
件 名 安中市消防団員退団届けの提出について
このことについて、安中市消防団員の退団届の提出がありましたので報告いたします。
記
1 提出者 第1分団第2部 団員 滝本雄次
**********
■上記のように、安中市は、「容疑者の懲戒処分及び処分に至る経緯、処分を決めた理由」について、開示決定通知をよこしましたが、同時に、「容疑者の懲戒処分及び処分に至る経緯、処分を決めた理由」「退職金支給の有無と結果」「被害者への市としての見舞い対応の有無と内容」について、不存在通知書をよこし、さらに、「容疑者の懲戒処分及び処分に至る経緯、処分を決めた理由」について、不開示決定処分通知書をよこしました。つまり、開示決定したものが、不存在で、しかも不開示という、まことにヘンチクリンな処分です。
さすがに、これでは請求者にとって、何がなんだか解りにくいだろうと思ったのか、安中市は、開示請求の件名を示した次の一覧表を付けてきました。
①容疑者の懲戒処分及び処分に至る経緯、処分を決めた理由
・回議文書「安中市消防団員退団届の提出について」 →開示
・退団届 →全て不開示(条例第7条第2号に該当 個人情報のため)
・―(処分や経緯、理由を示すその他の情報という意味か) →不存在
②処分直前の容疑者への支払い給与条件
・安中市消防団員の定員、任免及び給与に関する条例 →開示(安中市HPの例規集参照)
③退職金支給の有無と結果 →不存在
④消防団の服務規程と処罰規定に関する条例
・安中市消防団員服務規程及び懲戒条例 →開示(安中市HPの例規集参照)
⑤被害者への市としての見舞い対応の有無と内容 →不存在
これらから、判ったことは、滝本雄次容疑者は、昨年10月に、軽井沢で飲酒運転による軽度の人身事故を起こしてまもなく懲戒免職になった市の職員に比べると、同じく飲酒運転をした公務員でありながら、しかも、重度の人身事故を起しながら、「7月1日に安中市消防団長・横山公男宛に退団届を出した」が、「安中市は、まだクビにしていない」「刑事処分の結果により対応を検討する予定である」「退職金の支給も、刑事処分の結果によって、対応を検討する予定である」ということで、「給与についても、当然ながら、引き続き支給継続中」という状況がうかがえます。
安中市消防団員服務規程及び懲戒条例によれば、第6条(懲戒)で、職務上の義務違反や怠りがあったときや、職務の内外を問わず、団員たる対面を損する行為があったときは、市長は懲戒するものとする、と定められています。
なのに、岡田市長の、なんという、慈悲深い寛大な措置なのでしょう! これでは、完全に二重基準(ダブル・スタンダード)です。同じ公務員でも、一般職の地方公務員である市職員に比べると、市議や消防団員のような特別職の地方公務員は、破格の扱いとなっています。しかも、一般職の地方公務員である市職員の飲酒運転+人身事故の場合の情報開示請求では、ほぼ全ての情報開示が為されたにもかかわらず、今回の滝本雄次容疑者の場合は、退団届さえ開示されませんでした。また、処分を決める市職員懲戒等審査委員会も、特別職の場合には機能しないようです。
■一方、議会からは、平成21年9月4日付で、田中伸一・安中市議会議長名で、次の通知がありました。
**********
【行政文書不存在通知書】
安議発第12381号
平成21年9月8日
行政文書不存在通知書
請求者 小 川 賢 様
安中市議会議長 田 中 伸 一
平成21年8月25日に請求のありました行政文書について、当実施機関において保有していないため、安中市情報公開条例第11号第2項の規定により通知します。
<開示請求に係る行政文書の内容又は件名>
別紙行政文書開示請求書に記載の「開示を請求する行政文書の内容又は件名」と同じ。
<行政文書が存在しない理由>
市議からの議長宛辞職願は提出されておりませんので、該当する文書はございません。
**********
つまり、滝本雄次容疑者の配偶者の滝本夏代市議が、地元の選挙民に対して、「議長宛に辞職願いを提出したけど、議長が受け取ってくれない」という趣旨の釈明をしている、という巷間情報は、全くの事実無根であることがわかりました。
■実質的には、わずか1枚の情報開示に終わった今回のヨッパライ運転ひき逃げ事件を起こした地方公務員の処分に関する行政文書開示請求の結果は、①いかに安中市長が消防団員に対して手厚い配慮をしているか、②いかに市議会議長が飲酒ひき逃げに関して寛大で無頓着かを示しているか、これら2つを如実に物語っていることを痛感させられました。
昨年10月3日の深夜に、同じように飲酒運転で事故を起こした教育委員会(出向)原市公民館館長補佐だった元職員の場合、信号待ちをしていた乗用車に追突し、乗っていた男女に軽傷を負わせたまま、事故後の救護義務を怠りその場から逃走し、逮捕され、自動車運転過失傷害と道路交通法違反(酒気帯び、ひき逃げ)の罪で起訴され、市職員懲戒等審査委員会で、「当該行為は、法令等に違反し、また、全体の奉仕者たる公務員にふさわしくない非行であり、別紙辞令のとおり懲戒免職とするものである」との処分通知が出されていました。
■ところが、今回は、消防団の副分団長という要職にある特別職地方公務員が、飲酒運転により、高校生を重体に追いやった挙句、救護措置を取らずに現場から逃走して、家に戻って夜の明けるのを待ってから、配偶者である妻の市会議員に、高崎署に電話をさせたものです。悪質性において、一般職の公務員をはるかに上回っているのにも関わらず、退団届が出されたまま、事故から3ヶ月経過しても、以前として処分が出されていません。消防団員の幹部で、妻が市会議員だと、こうも優遇されるものなのか、と一般市民としては不思議でなりません。
■高校生が瀕死の重体にさせられた事故から、既に3ヶ月が経過していますが、安中市は「滝本雄次容疑者の刑事処分の結果により対応を検討する予定」としており、未だに高崎署から、刑事処分が出ていないことをうかがわせています。安中市消防団員服務規律及び懲戒条例によると、第8条(懲戒の猶予)として「懲戒に該当するもので、情状を酌量すべき点ある者に対しては、1年以内の期間を限り、その懲戒を猶予することができる。」とあります。また、同条第3項には「猶予を取り消されることなく、猶予の期間を経過したときは、その懲戒はこれを行わない。」とあり、岡田市長の温情がこのまま続いた場合、あと9ヵ月で、恩赦になる可能性もあります。
さらに、不可思議なのは、あれほど、社会的儀礼に厚い岡田市長が、本件の被害者ら関係者に対して、市としては見舞いをしていないということです。滝本容疑者は、事件後少なくとも、1ヶ月は、被害者にも学校にも謝罪をしていませんが、いまだにその状態が続いている可能性もあります。
いくら、被害者が回復しているからといって、加害者が刑事処分で免責になることは考えられません。ましてや、社会の慣例として、謝罪をきちんとしないまま、事件の風化を待つなどということは、情に厚い岡田市長としては、およそ考えられない行動パターンのはずです。
特別職の公務員も一般職の公務員なみの扱いを受けて、不公平のないようにすべく、当会は、異議申立を行うかどうか検討中です。
【ひらく会情報部・飲酒運転撲滅推進班】
高校生をはねた車は現場から走り去り、沢田さんは頭などを強く打って意識不明の重体となりました。県警高崎署によると、同日午前6時半頃、同署に「人をはねたようだ」と家族を通じて電話してきた安中市安中3、製印業、滝本雄次容疑者(62)を自動車運転過失傷害と道路交通法違反(ひき逃げ)の容疑で緊急逮捕しました。滝本容疑者は「酒を飲んでいたので怖くなって逃げた」と容疑を認めたということでした。
その後、高校生は、病院の集中治療室で懸命の救命措置により一命を取りとめてからは、周囲も驚くほどの回復力を見せていて、現在、リハビリに努めつつ、登校しています。本人の強い意志と、若い身体が、飲酒運転によるひき逃げという凶行に遭った不運を見事に吹き飛ばしたというべきでしょう。
■この飲酒運転事件について、事件発生後、1週間を経過した平成21年6月16日付けの東京新聞の朝刊記事に「容疑者、消防団員勤める 高崎のひき逃げ」と題して、次の内容記事が掲載されました。
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容疑者、消防団員勤める 高崎のひき逃げ
高崎市の県立高崎高校正門前で6月7日に生徒(15)がひき逃げされ重体となった事件で、高崎署に自動車運転過失傷害などの疑いで逮捕された安中市安中、製印業の容疑者(62)が、安中市の消防団員を務めていることが分かった。消防団員は市議などと同じ特別職の地方公務員に当たるため、市は条例に基づく懲戒処分を検討している。安中市によると、容疑者は1983年に入団。2004年度から4年間、役員に相当する第一分団副分団長を務めた。市が年2回報酬を払っている。市の条例によると、消防団員は「職務の内外を問わず、団員たる体面を損する行為があったとき」は市長への通知を義務付け、免職、停職、戒告の懲戒処分を定めている。市では「条例に触れる行為であり、手続きを進めたい」としている。高崎署によると、容疑者は「酒を飲んで運転したので逃げた」と供述。(以下省略)
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ところが、それ以降は、マスコミはこの事件について全く報じていません。また、安中市からも、何も情報発信がありません。滝本雄次容疑者が、その後、どのような処分を受けたのか、また、事故発生から一夜明けて、容疑者に代わって、高崎署に電話をした配偶者である滝本夏代・安中市議は、地元の選挙民に「議長宛に辞職願いを出したが、議長が受理してくれない」などと事故の責任について釈明している、という情報も一部に流れており、事実関係を確認しておく必要がありました。
そこで、当会は、8月24日付で、
①岡田義弘・安中市長に対して、このひき逃げ事件に関する次の内容を含む一切の情報(容疑者の懲戒処分の及び処分に至る経緯、処分を決めた理由、処分直前の容疑者への支払い給与条件、退職金支給の有無と結果、消防団の服務規程と処罰規定に関する条例、被害者への市としての見舞い対応の有無と内容)を、
②田中伸一・安中市議会議長に対して、このひき逃げ事件に関して、容疑者の配偶者である市議から、議長宛に辞職願が提出されたと聞くが、その事実を証する一切の情報。また、事実であれば、その取扱に関連する一切の情報を開示するよう、安中市情報公開条例に基づき、行政文書開示請求書を、それぞれ提出しました。
■その結果、平成21年9月4日付で、安中市市民部安全安心課から、岡田義弘市長名で、次の通知がありました。
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【行政文書開示決定通知書】
安安第11846号 平成21年9月4日
行政文書開示決定通知書
請求者 小川賢 様
安中市長 岡田義弘
平成21年8月24日に請求のありました行政文書の開示について、次のとおり開示することに決定しましたので、安中市情報公開条例第11条第1項の規定により、通知します。
<開示請求に係る行政文書の内容又は件名>
別紙行政文書開示請求書のうち容疑者の懲戒処分及び処分に至る経緯、処分を決めた理由
【行政文書不存在通知書】
安安第11846号 平成21年9月4日
行政文書不存在通知書
請求者 小川賢 様
安中市長 岡田義弘
平成21年8月24日に請求のありました行政文書について、当実施機関において保有していないため、安中市情報公開条例第11条第2項の規定により通知します。
<開示請求に係る行政文書の内容又は件名>
別紙行政文書開示請求書のうち
1 容疑者の懲戒処分及び処分に至る経緯、処分を決めた理由
2 退職金支給の有無と結果
3 被害者への市としての見舞い対応の有無と内容
<行政文書が存在しない理由>
1 退団届の提出はありますが、刑事処分の結果により対応を検討する予定のため
2 刑事処分の結果により、対応を検討する予定のため
3 市としては見舞いをしていないため
【行政文書不開示決定通知書】
安安第11846号 平成21年9月4日
行政文書不開示決定通知書
請求者 小川賢 様
安中市長 岡田義弘
平成21年8月24日に請求のありました行政文書の開示について、次のとおり開示しないことを決定しましたので、安中貯情報公開条例第11条第2項の規定により、通知します。
<開示請求に係る行政文書の内容又は件名>
別紙行政文書開示詰求書のうち
容疑者の懲戒処分及び処分に至る経緯、処分を決めた理由
<開示しない理由>
安中市情報公開条例第7条第2号に該当
【回議用紙】
年 度 平成21年度
文書種類 収
文書番号 第8171号
保存年限 5年
受付年月日 平成21年7月1日
保存期限 平成27年6月1日
起案年月日 平成21年7月1日
廃棄年度 平成27年度
決裁年月日 平成21年7月1日
分類番号 大3 中5 小2 簿冊番号6 分冊番号2
完・未完別 完結
簿冊名称 消防団関係書類
完結年月日 平成22年5月31日
分冊名称 消防団入退団書類
施行区分 至急
公 開 1 非公開 時限秘( 年)部分秘 全部秘 2 公開
起案者 市民部安全安心課生活安全係 職名 主査 氏名 久保庭高明 内線(1131)
決裁区分 部長
印 欄 市長・- 部長・原田 課長・原田 係長・丸山 係・佐藤 公印・-
関係部課合議 安中市消防団長・横山
課内供覧 -
宛 先 安中市消防団 団長 横山公男
差出人 安中市消防団 団員 滝本雄次
件 名 安中市消防団員退団届けの提出について
このことについて、安中市消防団員の退団届の提出がありましたので報告いたします。
記
1 提出者 第1分団第2部 団員 滝本雄次
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■上記のように、安中市は、「容疑者の懲戒処分及び処分に至る経緯、処分を決めた理由」について、開示決定通知をよこしましたが、同時に、「容疑者の懲戒処分及び処分に至る経緯、処分を決めた理由」「退職金支給の有無と結果」「被害者への市としての見舞い対応の有無と内容」について、不存在通知書をよこし、さらに、「容疑者の懲戒処分及び処分に至る経緯、処分を決めた理由」について、不開示決定処分通知書をよこしました。つまり、開示決定したものが、不存在で、しかも不開示という、まことにヘンチクリンな処分です。
さすがに、これでは請求者にとって、何がなんだか解りにくいだろうと思ったのか、安中市は、開示請求の件名を示した次の一覧表を付けてきました。
①容疑者の懲戒処分及び処分に至る経緯、処分を決めた理由
・回議文書「安中市消防団員退団届の提出について」 →開示
・退団届 →全て不開示(条例第7条第2号に該当 個人情報のため)
・―(処分や経緯、理由を示すその他の情報という意味か) →不存在
②処分直前の容疑者への支払い給与条件
・安中市消防団員の定員、任免及び給与に関する条例 →開示(安中市HPの例規集参照)
③退職金支給の有無と結果 →不存在
④消防団の服務規程と処罰規定に関する条例
・安中市消防団員服務規程及び懲戒条例 →開示(安中市HPの例規集参照)
⑤被害者への市としての見舞い対応の有無と内容 →不存在
これらから、判ったことは、滝本雄次容疑者は、昨年10月に、軽井沢で飲酒運転による軽度の人身事故を起こしてまもなく懲戒免職になった市の職員に比べると、同じく飲酒運転をした公務員でありながら、しかも、重度の人身事故を起しながら、「7月1日に安中市消防団長・横山公男宛に退団届を出した」が、「安中市は、まだクビにしていない」「刑事処分の結果により対応を検討する予定である」「退職金の支給も、刑事処分の結果によって、対応を検討する予定である」ということで、「給与についても、当然ながら、引き続き支給継続中」という状況がうかがえます。
安中市消防団員服務規程及び懲戒条例によれば、第6条(懲戒)で、職務上の義務違反や怠りがあったときや、職務の内外を問わず、団員たる対面を損する行為があったときは、市長は懲戒するものとする、と定められています。
なのに、岡田市長の、なんという、慈悲深い寛大な措置なのでしょう! これでは、完全に二重基準(ダブル・スタンダード)です。同じ公務員でも、一般職の地方公務員である市職員に比べると、市議や消防団員のような特別職の地方公務員は、破格の扱いとなっています。しかも、一般職の地方公務員である市職員の飲酒運転+人身事故の場合の情報開示請求では、ほぼ全ての情報開示が為されたにもかかわらず、今回の滝本雄次容疑者の場合は、退団届さえ開示されませんでした。また、処分を決める市職員懲戒等審査委員会も、特別職の場合には機能しないようです。
■一方、議会からは、平成21年9月4日付で、田中伸一・安中市議会議長名で、次の通知がありました。
**********
【行政文書不存在通知書】
安議発第12381号
平成21年9月8日
行政文書不存在通知書
請求者 小 川 賢 様
安中市議会議長 田 中 伸 一
平成21年8月25日に請求のありました行政文書について、当実施機関において保有していないため、安中市情報公開条例第11号第2項の規定により通知します。
<開示請求に係る行政文書の内容又は件名>
別紙行政文書開示請求書に記載の「開示を請求する行政文書の内容又は件名」と同じ。
<行政文書が存在しない理由>
市議からの議長宛辞職願は提出されておりませんので、該当する文書はございません。
**********
つまり、滝本雄次容疑者の配偶者の滝本夏代市議が、地元の選挙民に対して、「議長宛に辞職願いを提出したけど、議長が受け取ってくれない」という趣旨の釈明をしている、という巷間情報は、全くの事実無根であることがわかりました。
■実質的には、わずか1枚の情報開示に終わった今回のヨッパライ運転ひき逃げ事件を起こした地方公務員の処分に関する行政文書開示請求の結果は、①いかに安中市長が消防団員に対して手厚い配慮をしているか、②いかに市議会議長が飲酒ひき逃げに関して寛大で無頓着かを示しているか、これら2つを如実に物語っていることを痛感させられました。
昨年10月3日の深夜に、同じように飲酒運転で事故を起こした教育委員会(出向)原市公民館館長補佐だった元職員の場合、信号待ちをしていた乗用車に追突し、乗っていた男女に軽傷を負わせたまま、事故後の救護義務を怠りその場から逃走し、逮捕され、自動車運転過失傷害と道路交通法違反(酒気帯び、ひき逃げ)の罪で起訴され、市職員懲戒等審査委員会で、「当該行為は、法令等に違反し、また、全体の奉仕者たる公務員にふさわしくない非行であり、別紙辞令のとおり懲戒免職とするものである」との処分通知が出されていました。
■ところが、今回は、消防団の副分団長という要職にある特別職地方公務員が、飲酒運転により、高校生を重体に追いやった挙句、救護措置を取らずに現場から逃走して、家に戻って夜の明けるのを待ってから、配偶者である妻の市会議員に、高崎署に電話をさせたものです。悪質性において、一般職の公務員をはるかに上回っているのにも関わらず、退団届が出されたまま、事故から3ヶ月経過しても、以前として処分が出されていません。消防団員の幹部で、妻が市会議員だと、こうも優遇されるものなのか、と一般市民としては不思議でなりません。
■高校生が瀕死の重体にさせられた事故から、既に3ヶ月が経過していますが、安中市は「滝本雄次容疑者の刑事処分の結果により対応を検討する予定」としており、未だに高崎署から、刑事処分が出ていないことをうかがわせています。安中市消防団員服務規律及び懲戒条例によると、第8条(懲戒の猶予)として「懲戒に該当するもので、情状を酌量すべき点ある者に対しては、1年以内の期間を限り、その懲戒を猶予することができる。」とあります。また、同条第3項には「猶予を取り消されることなく、猶予の期間を経過したときは、その懲戒はこれを行わない。」とあり、岡田市長の温情がこのまま続いた場合、あと9ヵ月で、恩赦になる可能性もあります。
さらに、不可思議なのは、あれほど、社会的儀礼に厚い岡田市長が、本件の被害者ら関係者に対して、市としては見舞いをしていないということです。滝本容疑者は、事件後少なくとも、1ヶ月は、被害者にも学校にも謝罪をしていませんが、いまだにその状態が続いている可能性もあります。
いくら、被害者が回復しているからといって、加害者が刑事処分で免責になることは考えられません。ましてや、社会の慣例として、謝罪をきちんとしないまま、事件の風化を待つなどということは、情に厚い岡田市長としては、およそ考えられない行動パターンのはずです。
特別職の公務員も一般職の公務員なみの扱いを受けて、不公平のないようにすべく、当会は、異議申立を行うかどうか検討中です。
【ひらく会情報部・飲酒運転撲滅推進班】
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