市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

椿本興業中日本営業本部を巡る不正会計事件と安中市タゴ51億円事件から見える横領の連鎖(その6)

2013-05-15 22:30:00 | 他の自治体等の横領事件とタゴ51億円事件
■5月にはいり、平成24年度の決算発表の時期になったため、椿本興業では、不正会計事件の真相究明を急いだ上に、訂正した決算報告を5年前に遡ってしておく必要に迫られました。5月8日の特別損失による業績予想の修正や、不正事件の決算訂正、そして社内外の調査委員会による調査報告の公表に引き続き、5月10日には、責任明確化を示すための役員の異動と、真相解明の結果を踏まえた訂正版の決算短信、そして再発防止のための改善措置について発表しました。

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2013年5月10日
役員の異動に関するお知らせを掲載。
http://www.tsubaki.co.jp/ir/pdf/release/13/13051001.pdf
                    平成25年5月10日
各 位
               会 社 名 椿本興業株式会社
               代表者名 取締役社長 椿本哲也
                 (コード番号8052 東証・大証第1部)
               問合せ先 取締役常務執行役員 岡本 正風
                 (TEL.06-4795-8806)
     役員の異動に関するお知らせ
 当社は平成25年5月10日の取締役会において、下記の通り役員の異動について内定致しましたのでお知らせいたします。なお、本件は、平成25年6月27日開催予定の第110回定時株主総会で選任のうえ、正式決定する予定です。
          記
取締役の異動(平成25年6月27日付)
(1)新任取締役候補者
  山村純一郎 (現 上席執行役員 開発戦略本部 テクノマテ担当GM)
  梅澤  博 (現 執行役員 開発戦略本部 SRS 担当GM)
(2)退任予定取締役
  西田 昭一 (現 取締役専務執行役員
         営業総括 兼 開発戦略本部 副本部長(テクノマテ担当))
  濱本 和義 (現 取締役常務執行役員 中日本営業本部長)
※ 両名は取締役を退任し、非常勤執行役員に就任いたします。
                    以 上
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2013年5月10日
平成25年 3月期決算短信を掲載。
http://www.tsubaki.co.jp/ir/pdf/tanshin/110tanshin.pdf
平成25年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)
 この中で不正取引に関する記載は次の通り。

※業績予想の適切な利用に関する説明、その他特記事項
・平成25年5月8日付け「当社元従業員による不正行為に係る決算訂正について」において公表しましたとおり、当社元従業員が特定の仕入先と共謀し、平成10年秋ごろより実在取引に関連して仕入の水増し発注や架空工事代金の追加発注を開始し、その後平成17年頃より複数の関係取引先の協力を得て、実態のない取引の売上計上及び仕入計上(以下「架空・循環取引」という。)が行われていたことが判明いたしました。
仕入代金の水増しや架空工事代金の発注金額のうち元従業員の現金着服部分として特定できた金額は、「売上原価」から「長期未収入金」に振り替えるとともに、回収不能な債権に対して「貸倒引当金」を計上いたしました。架空・循環取引は、商品の移動を伴わない単なる資金移動にすぎないと判断し、関連する売上高や売上原価、債権債務等について取り消し訂正を行っております。
平成25年3月期の第1四半期、第2四半期及び第3四半期についても訂正を行い、平成25年3月期の数値は当該訂正を反映した数値となっております。また、不正取引に関連した取引先等から当社へ損害賠償請求等の訴訟を提起される可能性があるため、将来の損失負担見込み額に対して、平成25年3月期末において偶発損失引当金を計上しております。
なお、過年度の有価証券報告書等の訂正報告書については、平成25年5月10日に、訂正後の過年度決算短信等については、平成25年5月17日に提出する予定であります。

○添付資料
1.経営成績・財政状況に関する分析
(1)経営成績に関する分析
 当社は、平成25年3月18日付け「当社従業員による不正行為について」にて公表いたしました当社元従業員による不正行為に対して、外部の独立機関として第三者委員会を設置し調査を実施するとともに社内調査委員会による調査を進めてまいりました。
その結果、平成25年5月8日付けで開示いたしました「第三者委員会の報告書受領と当社の対応方針について」及び「当社元従業員による不正行為に係る決算訂正について」の通り、過去に行われた取引の一部に不正取引及び不適切な会計処理が行われていたことが判明いたしました。
当社の過去に提出いたしました決算短信に記載されております不適切な会計処理を訂正し、訂正決算短信を提出する予定です。
過年度の決算を訂正する結果となり、多くの皆様にご迷惑とご心配をおかけしましたことを、深くお詫び申し上げます。
株主様をはじめ市場関係者の皆様の信頼を損ねた責任を重く受け止め、再発防止と信頼回復に向けて、管理体制の見直し、ガバナンスの強化等の実効性のある施策を速やかに実施する所存であります。
なお、当決算短信における当連結会計年度決算につきましては、過年度決算の訂正後の財務諸表等との比較に基づいております。
①当期の経営成績
 当連結会計年度における日本経済は、東日本大震災復興に向けた需要、消費刺激策により緩やかな回復の動きは見られたものの、長引く円高や近隣諸国との関係悪化で輸出の回復が見られない状況で推移いたしました。
 平成24年12月の新政権誕生を期に円高の是正と株高基調に転じたことで日本経済に対する回復への期待が高まりましたが回復にはいたらず、総じて厳しい状況が続きました。
世界経済は、欧州経済の長期停滞、これまで高い成長を維持してきた中国をはじめとする新興国の景気減速により厳しい状況で推移しました。
 このような状況下において、当企業グループでは、国内での厳しい設備投資状況の中、比較的好調な自動車関連、新エネルギー関連、環境関連、食品関連、医療・医薬関連業界に対して、国内外で営業協業体制を強化し積極的営業展開を行った結果、売上高、営業利益、経常利益で前年同期を上回りましたが、不正取引に関する将来の損失負担見込額を偶発損失引当金として6億7百万円を特別損失として計上いたしましたために、当期純利益は5億4百万円にとどまりました。
   連結売上高  814億  8百万円 (前期比 101.6%)
   連結営業利益  19億  5百万円 (前期比 102.5%)
   連結経常利益  20億 51百万円 (前期比 105.1%)
   連結当期純利益  5億  4百万円 (前期比 91.0%)
となりました。

(4)事業等のリスク
⑥ 不正取引に伴う損失の発生について
 平成25年3月18日付け「当社従業員による不正行為について」にて公表しました当社元従業員による不正取引に係り、不正取引に関連した取引先等から損害賠償請求等の訴訟を起こされる可能性があるため、当企業グループの損失負担見込額を偶発損失引当金として計上しております。しかしながら、今後の訴訟の状況次第では、当企業グループの損失負担見込額が変動し、当企業グループの業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

2.経営方針
① 内部統制の再整備及び運用の強化
 当社は、平成25年3月期以前に不適切な取引が行われたことが発覚し、その反省を踏まえ、企業の社会的責任や公共的使命を履行するために、以下の事項を再整備して事業活動を遂行してまいります。
ア)コンプライアンス意識の徹底とコンプライアンス規定の新設
イ)内部通報制度の改善
ウ)定期的人事異動の実施
エ)営業部門より発注業務の分離と営業事務の見直し
オ)各種規定の見直しと実務運用の徹底
カ)内部監査体制の充実
キ)取締役会及び監査役会の更なる活性化

(連結損益計算書関係)
※4 偶発損失引当金計上額
 長期未収入金に対して計上している貸倒引当金の戻入額33百万円と偶発損失引当金繰入額640百万円は、不正取引に関連するものであるため、両者を相殺して「偶発損失引当金計上額」として表示しております。
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2013年5月10日
東京証券取引所による「公表措置」の実施及び「改善報告書」の提出請求についてを掲載。
http://www.tsubaki.co.jp/ir/pdf/release/13/13051002.pdf
                    平成25年5月10日
各 位
               会 社 名 椿本興業株式会社
               代表者名 取締役社長 椿本 哲也
                 (コード番号8052 東証・大証第1部)
               問合せ先 取締役 執行役員 大河原 治
                 (TEL.06-4795-8805)
東京証券取引所による「公表措置」の実施及び「改善報告書」の提出請求について
 当社は、株式会社東京証券取引所より、平成25年5月10日に有価証券上場規程第508条第1項に基づき「公表措置」が実施され、同規程第502条第1項に基づき「改善報告書」を提出するよう求められましたので、お知らせいたします。
 当社は、株式会社東京証券取引所からの当該措置に対して、真摯に対応していく所存です。
          記
 当社は、平成25年5月8日に、不適切な会計処理に関する第三者委員会の調査結果並びに過年度の決算短信等を訂正する予定である旨及びその概要を開示し、本日、過年度の訂正有価証券報告書等を提出した旨及び平成25年5月17日に訂正決算短信等を開示する予定である旨を開示しました。これらにより、当社において、複数の取引先会社との間において架空売上と架空仕入を伴う不正取引が行われていたこと等により、平成20年3月期から平成25年3月期第3四半期まで、重要な訂正を要する決算内容を開示していたことが判明しました。
 本件は、一部の従業員が関与した不正行為により、不適切な会計処理が行われたものであり、当社においてそれをチェックするための有効な体制が講じられていなかった状況が認められました。
 以上を踏まえると、本件は、適時開示に係る遵守事項に違反し、かつ、投資者の投資判断に相当な影響を与えるものであり、公表を要するものと認められることから、公表措置が行われることになりました。
 また、本件は、当社の適時開示を適切に行うための体制の不備に起因する不適切な開示であり、当社の適時開示体制について改善の必要性が高いと認められることから、その経緯及び改善措置を記載した報告書の提出を求められることになりました。
                    以 上
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■調査報告書には関係者の指名や関係会社の名前については全てアルファベットで伏字となっています。報告書に記載のある元SD長とはいったい誰なのでしょう。やはり関心はどうしてもそこに集まります。報告書では「元SD長は、中日本営業本部長に次ぐ立場で、東海東部SDを統括していた」とあります。

 そこで、椿本興業の人事に関して検索してみると次の情報をヒットしました。

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人事、椿本興業 2011/3/25 20:27
中日本営業本部〕営業開発室長(名古屋支店営業開発プロジェクトチーム)藤田旺之▽副本部長(同システム営業)籾井新一郎▽副本部長(同動伝第二営業)中江嘉久▽東部動伝営業、伊藤正▽東部システム営業、河合雅彦▽西部動伝営業、石川英生▽西部システム営業、東条誠二
 海外事業SRS技術、中野勧
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人事、椿本興業  2011/9/29 18:38
(10月1日)開発戦略本部長(海外事業総括)社長椿本哲也▽営業総括本部長兼開発戦略本部副本部長(営業総括)取締役兼専務執行役員西田昭一▽管理本部長(管理総括兼人事・総務担当兼秘書室長)同兼常務執行役員岡本正風▽経営戦略本部長兼広報室長(経営企画・営業企画・コンプライアンス担当兼経営企画管理センター長)同兼執行役員経営企画室長大河原治▽管理本部副本部長(財経担当兼情報管理)同兼執行役員春日部博▽経営戦略本部東京経営戦略室長(東京総務人事室長)三代進▽コンプライアンス室長、三好秀樹
 〔開発戦略本部〕SRSBD長(SRS海外グループ海外動伝営業)竹井和久▽SRSBD海外装置営業、田辺哲夫▽同海外動伝営業、永山公一▽テクノマテBD長(テクノマテ事業部長)辻義之
 〔営業総括本部〕東日本営業本部システム第二事業部プラント営業、服部真章
 〈中日本営業本部東海東部SD長(副本部長)籾井新一郎▽同SD第一営業(東部動伝営業)伊藤正▽同第二営業(東部システム営業)河合雅彦▽東海西部SD長(副本部長)中江嘉久▽同SD第一営業(西部動伝営業)石川英生▽同第二営業(西部システム営業)東条誠二
 〔管理本部〕副本部長(人事総務担当補佐兼人事)執行役員本倉章男▽財経、藤井誠人▽人事総務、金山忠雄▽秘書室長(総務)十倉進
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人事、椿本興業(平成25年4月1日、日経)
(4月1日)
▽開発戦略本部テクノマテBD東日本第一営業、佐野亨
▽同東日本第二営業(東日本営業)比留間国彦
〔営業総括本部〕
中日本営業本部東海東部SD長(装置営業)河合雅彦
▽同SD装置営業、茶谷博昭
▽〈西日本営業本部〉京滋北陸SD動伝営業、井関和宏
▽関西九州SDルート営業、竹田佳弘
▽中四国SD動伝営業(京滋北陸SD動伝営業)橋本房生
▽管理本部人事総務部総務グループ長、宮本茂生
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■以上のように、民間企業の場合、不正取引や不適切会計=不正会計に関する事件が発覚すれば、直ぐにその真相解明、責任所在、再発防止について徹底的な調査と分析を迅速に実施する必要があります。そしてそれをきちんと世間に公表する義務が伴います。さもないと投資家の信頼を失い、企業活動に重大な影響を被りかねないためです。

 今回の椿本興業における不正取引による不適切会計事件では、同社の監査法人であるあずさ監査法人が事前に同社の体質を指摘してこうした不正の発生について懸念を表明していました。にもかかわらず適切な対応が取れなかったと第三者委員会は調査報告の中で分析をしています。監査法人にたいして、もっと継続的に指摘をすべきだった、という指摘は、第三者委員会が、椿本興業とは全く取引関係のない、完全なる第三者だから、このような指摘ができたわけです。

■ひるがえって、安中市土地開発公社で18年前に発覚したタゴ51億円事件と市民が呼ぶ巨額詐欺横領事件では、市職員で構成される内部の調査委員会による調査がなされ、簡単な調査報告書が公表されましたが、騙し取られた金額のことしか記載しておらず、なぜ騙し取られたのか、騙し取られた公金はどのように費消され、誰がその恩恵にあずかったのか、責任は誰にあるのか、どうしたら再発を防止できるのか、などについてはほとんど記載がありませんでした。

 今週の金曜日、5月18日は安中市土地開発公社を舞台にしたわが国地方自治体史上空前の巨額詐欺横領事件の18周年です。今回の椿本興業における不正行為事件を対岸の火事とせず、安中市はタゴ事件の再発防止にあらためてチェック機能を再点検しなければなりません。しかし、安中市のトップには、タゴ事件の深部を知る立場にあったにもかかわらず一言もタゴ事件について説明責任を果たしてこなかった御仁が居座っています。したがって、安中市民として、第二のタゴ事件が起きないように、安中市政を再点検すべく当会も尽力してゆく所存です。

【ひらく会情報部・タゴ51億円事件18周年記念調査班・この項おわり】

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