■先日、5月22日(日)午後1時から安中市松井田文化会館大ホールで公開録画が行われた「出張!なんでも鑑定団」が、6月14日(火)午後8時54分から、テレビ東京で放映される予定です。
本来であれば、この番組で、安中市が誇る「負の世界遺産」とも言える安中市土地開発公社51億円巨額詐欺横領事件で、当時、警察の捜査をかいくぐって、タゴが隠し通していた、とっておきの絵画等6点が出品されるはずでした。
↑前橋地裁。今度こそ司法はきちんと機能してくれるだろうか。↑
■警察の目を掠めて、タゴが富岡在住の親友に預けていたこの絵画等6点が、昨年4月の安中市長選で、現職の岡田義弘市長が再選を果たした翌日、タゴの親友からタゴの妻に返還されました。
当会は、このタゴのお宝である絵画等6点の入手経路や、なぜ、警察の捜査でも捕捉できなかったのか、また、なぜ、何のために、今になってタゴの親友から返されたのか・・・など、様々な観点から調査や分析を加えております。このうち、最も重要なことは、この絵画等6点が本物かどうか・・・です。
■そのため、当会は今年3月1日号の安中市広報誌「広報あんなか」で、「なんでも鑑定団」が安中市で収録されることを知ってから、事件発覚後16年目の今年、ようやく使途不明金の一部と考えられるタゴの隠し財産に日の目を当てるべく、また、この絵画等6点の真贋を確かめるべく、なんとか出品してもらえるように岡田市長に次のようなお願いをしました。
**********
平成23年3月10日
〒379-0192 安中市安中1-23-13
安中市土地開発公社 理事長 岡田義弘 様
写し:安中市長 岡田義弘 様
住所:〒379-0114安中市野殿980番地
氏名:小川 賢 (59歳)
TEL:027-382-0468
「出張!なんでも鑑定団in安中」における公社所有の絵画等6点の鑑定要請
前略、このたび広報あんなか平成23年3月1日号を拝見しました。鑑定をしてもらいたい品物があれば、3月15日までに申し込むと、5月22日(日)午後1時から安中市松井田文化会館大ホールで公開録画されるTV番組で鑑定してもらえます。ぜひ、この機会に、次のとおり、安中市土地開発公社が保有している「お宝」である絵画等6点を鑑定して、真贋を確かめていただきたく、ここにお願い申し上げます。
ご承知のとおり、安中市土地開発公社では、平成7年5月18日に、総額51億円余りの史上空前の巨額横領事件が発覚しました。それまで15年にわたり、同一職場に配置されていた元職員が、公社の理事長印を勝手に使い、公共事業の名目で銀行から巨額の融資を引き出し、地元の銀行支店に開設した公社の特別会計と称する預金口座に振り込ませ、巨額の公金を横領していたものです。
警察の懸命な捜査にもかかわらず、使途不明金が14億円以上残るとともに、安中市長印や公社理事長印が押印された金銭貸借契約証書にもとづき横領金を融資した地元の銀行は、返済をもとめて安中市と公社を提訴し、約3年後に和解判決がくだり、公社は安中市の連帯保証により地元銀行に対して、103年間にわたり、毎年クリスマスの日に2000万円ずつ支払っています。これからまだ92年残っており、安中市民は子々孫々にわたり、元職員の豪遊のツケを払わされているという悲惨な状況にあります。
こうした最中、平成22年6月22日付で地元の新聞にひとつの記事が掲載されました。“安中・巨額詐欺事件「債務履行の一部に」 元職員の妻 絵6点、公社に提出”と題する記事です。
ところが、これらの絵画等6点は、真贋が不明だというのです。そこで、私は情報公開請求で、どのような絵画等なのか、確認しようとしましたが、公社の理事長を兼務する安中市長である貴殿は開示を拒否しました。私は、さっそく異議申立てを行い、真贋を確かめるためには、積極的に公表して、鑑定をしてもらうのが最善の策であると主張しました。
しかし、残念ながら、安中市の情報開示審査会は私の主張を棄却し、いまでも絵画等6点は公社に保管されたまま、日の目を見ない状態になっていると想像されます。
今回、安中市に「出張!なんでも鑑定団」が来ることはまさに天恵です。この絶好の機会にぜひ、安中市土地開発公社に、絵画等6点を出品してもらい、専門家に鑑定してもらえれば、安中市の置かれている状況をひろく全国に知ってもらうことができます。安中市民のためにも、絵画等6点の真贋と鑑定額を、公の場で確かめていただきたいと思います。
絵画等6点の内訳
番号/種類/補足説明事項/備考
1/絵画/作者:立川広巳 作品名:薔薇の中で/価格約1億円
2/絵画/作者:浅井忠 作品名:山間の部落/価格約1億円
3/絵画/作者:萬鉄五郎 ※サイン有り、その他黒字有り/価格約1億円
4/絵画/作者:高橋由一 作品名:風景/価格約1億円
5/絵画/作者:林武 ※日動画廊社長サイン有り/価格約1億円
6/版画/作者:東洲斉写楽/価格約1億円
以上
**********
■しかし、安中市土地開発公社の岡田義弘理事長は、千歳一隅のこの機会をみすみす逃してしまったのでした。その理由として、岡田市長は、4月30日の市長対話の日で、当会に対して「(タゴのお宝の絵画等6点を)お宝鑑定団には出そうと思っていろいろ検討したが、個人以外はダメだから」と話してくれました。
あるいは、「そのような価格で売れるモノが公社にあると、和解先の群馬銀行から目をつけられるし、どうせ換金しても全部群馬銀行に持っていかれてしまうから・・・」という気持ちもあるのかもしれません。
しかし、タゴ51億円事件では、事件の発覚前までは毎年タゴに盆暮れの付け届けをして、タゴがでっち上げた偽造書類をろくに確かめもせず、巨額のカネを貸し出し続けた群馬銀行の職員や幹部の責任が全く問われていません。
■タゴ事件では、警察の捜査の結果、少なくとも14億3445万円の使途不明金があることが分かっています。http://newmatsuida.web.fc2.com/madom.htm
ここはまず、きちんとタゴ事件の精算をするために、タゴの親友がタゴの妻に返還したタゴのお宝が本物かどうか、いくらぐらいの価値があるのかを、確かめておくことは絶対に必要です。
■そのためには鑑定が不可欠ですが、訳の分からない鑑定士に高額のカネを積んで鑑定を依頼するよりは、有名なテレビ番組である「なんでも鑑定団」に出品して、プロの鑑定士のみなさんに依頼をすれば、費用はかからず、しかも安中市からの情報発信にもつなげることができます。
そう考えた当会では、3月9日付で「鑑定出場申込書」を安中市観光協会に提出しました。
ところが、4月1日付で、安中市観光協会が「写真がついていないから」という理由で、勝手に当会の申込書を突き返してきたのでした。
■この件について、当会はこれまで沢山の安中市民の意見を聴取してきました。市民の皆さんはほぼ全員が、「そのようなお宝が安中市にあるのであれば、ぜひこの際、鑑定してもらったらいい」という意見でした。
しかし、安中市土地開発公社理事長を兼務する岡田市長は、そうした市民の声とはうらはらに、今回の千歳一隅のチャンスを活用しようとはしませんでした。
■もともと、タゴのお宝である絵画等6点については、当会が昨年平成22年6月22日以来、情報公開請求を通じて、情報入手に努めてきていました。ところが、絵画等6点の情報でもっとも肝心な図柄、つまりビジュアル情報については、平成22年7月23日に開示された情報に含まれていませんでした。もし、ここで開示された情報に含まれていたら、当会の鑑定出場申込書は、安中市観光協会から突き返されなかったかもしれません。
そこで、当会では、平成22年7月28日付で被告に対して異議申立てを行いましたが、平成22年12月15日付で、岡田市長から棄却決定通知が送られてきました。
■それから、約半年が経過しました。このまま、黙って泣き寝入りしてしまうと、2度とタゴのお宝の姿を市民の目に触れる機会はやってきません。そう考えた当会は熟慮の末、行政訴訟の権利が失われる平成23年6月16日を前に、タゴのお宝のビジュアル情報を不公開にした岡田市長の処分を取り消してもらうため、平成23年6月13日に前橋地裁に提訴しました。
訴状は次の通りです。
**********
訴 状
安中市野殿980番地(送達場所)
原 告 小 川 賢 (印)(携帯電話番号)
安中市安中一丁目23番13号
被 告 安中市長 岡 田 義 弘
公文書不公開処分取消請求事件
訴訟物の価格 金1,600,000円
貼用印紙額 金13,000円
予納郵券 金6,400円※
平成23年6月13日
前橋地方裁判所民事部御中
請 求 の 趣 旨
1 被告安中市長岡田義弘が原告に対して平成23年12月15日付でなした「本件異議申立てに係る処分のうち②絵画等6点に関するビジュアル情報を不開示とした」との処分を取り消す。
2 訴訟費用は、被告の負担とする。
との判決を求める。
請 求 の 原 因
第一 本件訴訟の意義
1 地方自治体が財政問題に非常に苦慮している中で、安中市の場合には、平成7年(1995年)5月18日に、安中市土地開発公社で発覚した約51億円1250万円という、おそらく地方自治体では史上最高額の詐欺横領事件が発生した経緯を引きずっている。
2 その後、安中市・公社に騙されて融資したとされる群馬銀行(本店・前橋市)が、平成7年10月に、取られた33億8600万円とその利息の返済を、安中市土地開発公社と経営母体の安中市に求めていた民事訴訟の和解が平成10年12月9日、前橋地裁で成立した。
3 事件は、公社の経理担当を兼務する市の元男性職員(48)が昭和52年(1987年)から平成7年(1995)年にかけて、群馬銀行安中支店から公社の事業費名目などで約47億6000円をだまし取ったほか、業務上横領で約43億4490万円を、受取利息も累計で759万円をネコババしたものである。
4 このうち、群馬銀行関係で、時効分を除いた約32億円分について、詐欺罪などで起訴され、平成8年4月8日の刑事判決で元職員は懲役14年の実刑判決を受けた。その後、平成21年9月ごろ、元職員は刑期を終え、現在は、群馬県藤岡市に在住している。しかし、安中市は、業務上横領された3億4490万円については、元職員を告訴することもなく、何もしないまま現在に至っている。
5 この事件で、群馬銀行は平成7年(1995年)10月、「公社と市に使用者責任がある」として貸金返済を求める民事訴訟を提訴した。
6 前橋地裁は、平成10年(1998年)8月に和解案を提示し、これをもとに交渉が進められ、安中市・公社と群馬銀行は同年12月9日に和解案に合意した。
7 和解案の内容は、次のようなものである。
①銀行側は返済請求額のうち、9億3600万円及びその時点までの利息損害遅延金相当の支払いを免除。
②土地開発公社と安中市が連帯して残りの債務24億5000万円のうち、4億円を平成10年(1998年)12月25日に支払う。
③平成11年(1999年)から10年間は毎年2000万円ずつ分割で返済。その後は同公社の財政状況や経済情勢の推移を見ながら、年間支払額が2000万円を下回らない範囲で返済する。
8 こうして、安中市と安中市土地開発公社は、金融史上のみならず自治体史上おそらく空前絶後で前代未聞の、最長で103年掛けての返済義務を負った。
9 しかも、和解10年後に民事の時効期限が切れることから、あまりにも片務的な和解条件の解消のチャンスが巡って来たにも関わらず、被告安中市長は、最初から群馬銀行との間で「証」として、引き続き次の10年も同様に和解金を支払う態度を示し、結局、原告ら安中市民が懸念したことが本当になってしまい、平成21年(2009年)12月25日から、引き続き10年間、毎年群馬銀行に2000万円ずつ和解金を支払うはめになった。
10 このような状況の中で、平成22年4月11日の合併後2回目の安中市長選で、現市長である被告が2期目の当選を果たした後、平成22年(2010年)6月22日付上毛新聞に“安中・巨額詐欺事件「債務履行の一部に」 元職員の妻 絵6点、公社に提出”と題する記事で、「安中市の元職員による巨額詐欺事件に絡み、元職員の妻が、『夫所有と思われる絵画6点を損害賠償の債務履行の 一部にしたい』として、市土地開発公社(理事長・岡田義弘市長)に提出していたことを、市が6月21日の市議会全員協議会で報告した」「元職員の妻からは4月に申し出があり、公社の理事に諮ったうえで5月に受け入れた。6点の中には東洲斎写楽作とされる班が、高橋由一作とされる油彩画「風景」などが含まれている」という記事が掲載された。
11 この記事を読んだ原告は、さっそく平成22年6月25日付で、上記の記事で報じられた件に関する一切の情報を、被告安中市長に対して、行政文書開示請求書をもって開示請求を行ったが、開示資料中に絵画等6点に関するビジュアル情報が含まれていなかったため、異議申立てを行った。
12 しかし、原告の異議申し立ては認められず、被告は、平成22年12月15日付で、原告に対して、異議申立てにかかる絵画等6点の開示請求に対して、不開示決定処分を下した。
13 安中市情報公開条例は、行政庁側の種々の名目のもとに、ややもすれば恣意的、濫用的に秘密扱いにされ、住民の知る権利を妨げ、ひいては地方自治の健全な発展を阻害する面のあったことに鑑み、それらの弊害を除去する点をも考慮に入れて制定されたことは公知の事実である。
14 そのようにして制定された情報公開条例の非公開事由該当性を、専ら行政機関の側の利便等を基準・根拠に、その主観的判断に基づいて決するとすれば、その範囲が不当に拡大する危険性があり、情報公開制度の実質的意味が失われることにもなりかねない。
15 また、文書を公開することによって生ずる支障のみに目を奪われ、それを非公開とすることの弊害や、公開することによる有用性、公益性に何ら意を用いなければ、情報公開制度の運用がいたずらに硬直化したものとなり、ひいては将来的、長期的にみた地方自治の健全な発展が望めないことになる。
16 そこで、本件条例は、情報の公開を原則とし、非公開を例外とし、本件条例第4条で実施危機感の責務として、「実施機関は、行政文書の開示を請求する権利が十分に尊重されるようこの条例を解釈し、及び運用するとともに、行政文書の適切な保存及び迅速な検索をするために、行政文書の適正な管理に努めなければならない」と規定しているのであり、本件条例の非公開事由は厳格に解釈されなければならない。
17 とりわけ、主として行政執行上の利益の保護を図って制定されたと考えられる非公開事由の解釈に当たっては、そこで保護されるべき利益が実質的に保護に値する正当なものであるか否か、また、利益侵害の程度が、単に行政機関の主観においてそのおそれがあると判断されるにすぎないのか、あるいはそのようなおそれが具体的に存在するといえるのかを、客観的に検討することが必要である。
18 本件は、安中市が抱える空前絶後の巨額詐欺横領事件の今後の趨勢にも影響する重要な情報であり、市民の関心も高い。
19 ところが、元職員とかつて安中市土地開発公社で理事や監事として関係の深かった被告は、元職員の妻から提供された絵画等6点の真贋を確認しないまま、死蔵しようとしている。こうした疑惑行為を払拭するためにも、絵画等6点について、不存在として不開示とした被告の行為をあらためさせることは、安中市にとって極めて重要なことである。
第二 請求の趣旨について
一 処分の存在
1 原告は、平成22年6月25日付で、絵画等6点に関する新聞記事で報じられた件に関する一切の情報を、被告安中市長に対して、行政文書開示請求書をもって開示請求を行った(甲1)。
2 被告安中市長は、平成22年7月8日付で、行政文書部分開示決定通知書を原告に郵送した(甲2)。
3 これに基づいて、平成22年7月23日に、「個人の住所、氏名、個人が特定できる情報、個人の印影」を除く情報が開示された。
4 ところが、この中には、市民の多くが周知している元職員やその配偶者、そして保管者の氏名等が黒塗りにされてあったほか、絵画等6点に関する絵柄、すなわち、写真や画像データのようなビジュアル情報が含まれていなかった。
5 そのため、原告は、平成22年7月28日付で被告に対して異議申し立てをおこなった。(甲3)
6 その後、本件情報開示請求にかかる担当部署である市総務部企画課企画調整係から補正通知のFAXが平成22年8月2日に原告宅に送られてきた(甲4)。
7 そこで、平成22年8月4日付で補正書を市総務部企画課企画調整係にFAXで提出した(甲5)。
8 これを踏まえて、被告からは平成22年8月19日付で、本件を安中市情報公開・個人情報保護審査会に同8月18日付で諮問した旨の通知状が原告に送付された(甲6)。
9 その後、平成22年9月10日付書面で、安中市情報公開・個人情報保護審査会から、情報公開にかかる異議申立書に対する実施機関の理由説明所の送付及び意見書の提出依頼が原告に通知された(甲7)。
10 このため、原告は、平成22年10月12日付で、同審査会に対して、理由説明所に対する意見書を提出した(甲8)。
11 その後、平成22年11月29日付で、同審査会から原告あてに、情報公開の異議申し立てに関する答申について、平成22年11月12日開催の審査会において審査した結果が、同11月29日付で被告に答申された旨の連絡が書面で送られてきた(甲9)。
12 答申を受けた被告は、平成22年12月15日付で、原告に対して、異議申立てにかかる決定書を郵送してきた(甲10)。
13 この中で、被告は、「当該絵画等6点のビジュアル情報については、公社に写真及び画像データとして存在している情報でありますが、その真贋が不明なうちにこれら情報が公になった場合公社の経営に予期せぬ支障を及ぼす恐れも否めず、また男親かになった情報の影響で適正な価格での換価処分が出来なかった場合には、公社に損失を与える可能性も考えられることから、公社から実施機関へ対する情報の提供は現在も行われておりません。」「したがって、実施機関にはビジュアル情報は存在しておらず、不存在のため開示することはできません」と述べた。
二 処分の条例上の違法性
1 実施機関の情報開示義務違反(条例第4条)
①本件開示請求情報は、条例第2条に定めた「実施機関の職員が職務上作成し、又は取得した文書、図画及び電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られた記録をいう)資料に該当する。もともと、元職員が、懲戒免職になる前に取得した図画であるためだ。
②また、条例第4条に照らせば、被告の言う不存在という説明は、明らかに事実ではなく方便であり、実際には、安中市土地開発公社の103年ローンの債務の保証人となっている安中市が、絵画等6点のビジュアル情報を保有していないはずはなく、また、保有していなければならない。したがって、安中市が保有する情報は、原則開示されなければならず、安中市が「実施機関にはビジュアル情報は不存在だ」とする根拠は見当たらない。
③このことについて、安中市情報公開・個人情報保護審査会は、被告への答申のなかで、最後に次のように述べている。
「・・・確かに、インターネット等で絵画等の画像が公開されたり、犯罪に関係のある作品であることが流布されれば、開示等を実施するにあたって、少なからず影響が出る可能性は否定できないが、絵画等6点の作品名及び作者が既に明らかにされている以上、今さら写真等情報が公になったところで、その換価処分に影響が生じるとは考えづらい。」
「また、異議申立人に写しの交付までは認めなくとも、仮に閲覧させるだけに留めれば、換価処分においても何ら問題は生じないと思われるため、実施機関が公社との協議で写真等情報を提出しないことを認めたのは、市の保存する情報の一層の公開を図り、市政に対する理解と信頼を深めるとした条例の趣旨から、適切な対応であったとは言い難い」。
③よって、以上、被告の下した絵画等6点のビジュアル情報の不開示には、理由がなく違法である。
④また、絵画等6点の作品名は開示して、ビジュアル情報を開示しないというのは、同じ不開示項目に関して、非公開と公開が混在しているのは、著しい裁量権の乱用であって違法である。そもそも、不公開(理由付け)が必要ない、というべきである。
2 従って、本件絵画等6点のビジュアル情報については、不開示の理由が認められる余地はないというべきである。よって、本件絵画等6点のビジュアル情報を公開しないとの処分は、違法であるので、取消されるべきである。
以 上
証 拠 方 法
添付書類の他、口頭弁論において、随時、追加提出する。
添 付 書 類
訴状副本 1 通
甲号証写し 各1通
**********
(※:予納郵券6,400円の内訳は10円×10枚、20円×10枚、50円×4枚、80円×2枚、100円会う8枚、200円×2枚、270円×2枚、500円×8枚です)
■当会では、この裁判を通じて、タゴ事件の影の部分にすこしでも光を当てて行きたいと考えております。そのことにより、この前代未聞、空前絶後の巨額詐欺横領事件の真相解明をさらに深化させ、事件の風化を食い止めることで、再発防止と図ると共に、安中市民へのいわれなき被害を少しでも軽減できれば、これにまさる喜びはありません。
【ひらく会事務局】
本来であれば、この番組で、安中市が誇る「負の世界遺産」とも言える安中市土地開発公社51億円巨額詐欺横領事件で、当時、警察の捜査をかいくぐって、タゴが隠し通していた、とっておきの絵画等6点が出品されるはずでした。
↑前橋地裁。今度こそ司法はきちんと機能してくれるだろうか。↑
■警察の目を掠めて、タゴが富岡在住の親友に預けていたこの絵画等6点が、昨年4月の安中市長選で、現職の岡田義弘市長が再選を果たした翌日、タゴの親友からタゴの妻に返還されました。
当会は、このタゴのお宝である絵画等6点の入手経路や、なぜ、警察の捜査でも捕捉できなかったのか、また、なぜ、何のために、今になってタゴの親友から返されたのか・・・など、様々な観点から調査や分析を加えております。このうち、最も重要なことは、この絵画等6点が本物かどうか・・・です。
■そのため、当会は今年3月1日号の安中市広報誌「広報あんなか」で、「なんでも鑑定団」が安中市で収録されることを知ってから、事件発覚後16年目の今年、ようやく使途不明金の一部と考えられるタゴの隠し財産に日の目を当てるべく、また、この絵画等6点の真贋を確かめるべく、なんとか出品してもらえるように岡田市長に次のようなお願いをしました。
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平成23年3月10日
〒379-0192 安中市安中1-23-13
安中市土地開発公社 理事長 岡田義弘 様
写し:安中市長 岡田義弘 様
住所:〒379-0114安中市野殿980番地
氏名:小川 賢 (59歳)
TEL:027-382-0468
「出張!なんでも鑑定団in安中」における公社所有の絵画等6点の鑑定要請
前略、このたび広報あんなか平成23年3月1日号を拝見しました。鑑定をしてもらいたい品物があれば、3月15日までに申し込むと、5月22日(日)午後1時から安中市松井田文化会館大ホールで公開録画されるTV番組で鑑定してもらえます。ぜひ、この機会に、次のとおり、安中市土地開発公社が保有している「お宝」である絵画等6点を鑑定して、真贋を確かめていただきたく、ここにお願い申し上げます。
ご承知のとおり、安中市土地開発公社では、平成7年5月18日に、総額51億円余りの史上空前の巨額横領事件が発覚しました。それまで15年にわたり、同一職場に配置されていた元職員が、公社の理事長印を勝手に使い、公共事業の名目で銀行から巨額の融資を引き出し、地元の銀行支店に開設した公社の特別会計と称する預金口座に振り込ませ、巨額の公金を横領していたものです。
警察の懸命な捜査にもかかわらず、使途不明金が14億円以上残るとともに、安中市長印や公社理事長印が押印された金銭貸借契約証書にもとづき横領金を融資した地元の銀行は、返済をもとめて安中市と公社を提訴し、約3年後に和解判決がくだり、公社は安中市の連帯保証により地元銀行に対して、103年間にわたり、毎年クリスマスの日に2000万円ずつ支払っています。これからまだ92年残っており、安中市民は子々孫々にわたり、元職員の豪遊のツケを払わされているという悲惨な状況にあります。
こうした最中、平成22年6月22日付で地元の新聞にひとつの記事が掲載されました。“安中・巨額詐欺事件「債務履行の一部に」 元職員の妻 絵6点、公社に提出”と題する記事です。
ところが、これらの絵画等6点は、真贋が不明だというのです。そこで、私は情報公開請求で、どのような絵画等なのか、確認しようとしましたが、公社の理事長を兼務する安中市長である貴殿は開示を拒否しました。私は、さっそく異議申立てを行い、真贋を確かめるためには、積極的に公表して、鑑定をしてもらうのが最善の策であると主張しました。
しかし、残念ながら、安中市の情報開示審査会は私の主張を棄却し、いまでも絵画等6点は公社に保管されたまま、日の目を見ない状態になっていると想像されます。
今回、安中市に「出張!なんでも鑑定団」が来ることはまさに天恵です。この絶好の機会にぜひ、安中市土地開発公社に、絵画等6点を出品してもらい、専門家に鑑定してもらえれば、安中市の置かれている状況をひろく全国に知ってもらうことができます。安中市民のためにも、絵画等6点の真贋と鑑定額を、公の場で確かめていただきたいと思います。
絵画等6点の内訳
番号/種類/補足説明事項/備考
1/絵画/作者:立川広巳 作品名:薔薇の中で/価格約1億円
2/絵画/作者:浅井忠 作品名:山間の部落/価格約1億円
3/絵画/作者:萬鉄五郎 ※サイン有り、その他黒字有り/価格約1億円
4/絵画/作者:高橋由一 作品名:風景/価格約1億円
5/絵画/作者:林武 ※日動画廊社長サイン有り/価格約1億円
6/版画/作者:東洲斉写楽/価格約1億円
以上
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■しかし、安中市土地開発公社の岡田義弘理事長は、千歳一隅のこの機会をみすみす逃してしまったのでした。その理由として、岡田市長は、4月30日の市長対話の日で、当会に対して「(タゴのお宝の絵画等6点を)お宝鑑定団には出そうと思っていろいろ検討したが、個人以外はダメだから」と話してくれました。
あるいは、「そのような価格で売れるモノが公社にあると、和解先の群馬銀行から目をつけられるし、どうせ換金しても全部群馬銀行に持っていかれてしまうから・・・」という気持ちもあるのかもしれません。
しかし、タゴ51億円事件では、事件の発覚前までは毎年タゴに盆暮れの付け届けをして、タゴがでっち上げた偽造書類をろくに確かめもせず、巨額のカネを貸し出し続けた群馬銀行の職員や幹部の責任が全く問われていません。
■タゴ事件では、警察の捜査の結果、少なくとも14億3445万円の使途不明金があることが分かっています。http://newmatsuida.web.fc2.com/madom.htm
ここはまず、きちんとタゴ事件の精算をするために、タゴの親友がタゴの妻に返還したタゴのお宝が本物かどうか、いくらぐらいの価値があるのかを、確かめておくことは絶対に必要です。
■そのためには鑑定が不可欠ですが、訳の分からない鑑定士に高額のカネを積んで鑑定を依頼するよりは、有名なテレビ番組である「なんでも鑑定団」に出品して、プロの鑑定士のみなさんに依頼をすれば、費用はかからず、しかも安中市からの情報発信にもつなげることができます。
そう考えた当会では、3月9日付で「鑑定出場申込書」を安中市観光協会に提出しました。
ところが、4月1日付で、安中市観光協会が「写真がついていないから」という理由で、勝手に当会の申込書を突き返してきたのでした。
■この件について、当会はこれまで沢山の安中市民の意見を聴取してきました。市民の皆さんはほぼ全員が、「そのようなお宝が安中市にあるのであれば、ぜひこの際、鑑定してもらったらいい」という意見でした。
しかし、安中市土地開発公社理事長を兼務する岡田市長は、そうした市民の声とはうらはらに、今回の千歳一隅のチャンスを活用しようとはしませんでした。
■もともと、タゴのお宝である絵画等6点については、当会が昨年平成22年6月22日以来、情報公開請求を通じて、情報入手に努めてきていました。ところが、絵画等6点の情報でもっとも肝心な図柄、つまりビジュアル情報については、平成22年7月23日に開示された情報に含まれていませんでした。もし、ここで開示された情報に含まれていたら、当会の鑑定出場申込書は、安中市観光協会から突き返されなかったかもしれません。
そこで、当会では、平成22年7月28日付で被告に対して異議申立てを行いましたが、平成22年12月15日付で、岡田市長から棄却決定通知が送られてきました。
■それから、約半年が経過しました。このまま、黙って泣き寝入りしてしまうと、2度とタゴのお宝の姿を市民の目に触れる機会はやってきません。そう考えた当会は熟慮の末、行政訴訟の権利が失われる平成23年6月16日を前に、タゴのお宝のビジュアル情報を不公開にした岡田市長の処分を取り消してもらうため、平成23年6月13日に前橋地裁に提訴しました。
訴状は次の通りです。
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訴 状
安中市野殿980番地(送達場所)
原 告 小 川 賢 (印)(携帯電話番号)
安中市安中一丁目23番13号
被 告 安中市長 岡 田 義 弘
公文書不公開処分取消請求事件
訴訟物の価格 金1,600,000円
貼用印紙額 金13,000円
予納郵券 金6,400円※
平成23年6月13日
前橋地方裁判所民事部御中
請 求 の 趣 旨
1 被告安中市長岡田義弘が原告に対して平成23年12月15日付でなした「本件異議申立てに係る処分のうち②絵画等6点に関するビジュアル情報を不開示とした」との処分を取り消す。
2 訴訟費用は、被告の負担とする。
との判決を求める。
請 求 の 原 因
第一 本件訴訟の意義
1 地方自治体が財政問題に非常に苦慮している中で、安中市の場合には、平成7年(1995年)5月18日に、安中市土地開発公社で発覚した約51億円1250万円という、おそらく地方自治体では史上最高額の詐欺横領事件が発生した経緯を引きずっている。
2 その後、安中市・公社に騙されて融資したとされる群馬銀行(本店・前橋市)が、平成7年10月に、取られた33億8600万円とその利息の返済を、安中市土地開発公社と経営母体の安中市に求めていた民事訴訟の和解が平成10年12月9日、前橋地裁で成立した。
3 事件は、公社の経理担当を兼務する市の元男性職員(48)が昭和52年(1987年)から平成7年(1995)年にかけて、群馬銀行安中支店から公社の事業費名目などで約47億6000円をだまし取ったほか、業務上横領で約43億4490万円を、受取利息も累計で759万円をネコババしたものである。
4 このうち、群馬銀行関係で、時効分を除いた約32億円分について、詐欺罪などで起訴され、平成8年4月8日の刑事判決で元職員は懲役14年の実刑判決を受けた。その後、平成21年9月ごろ、元職員は刑期を終え、現在は、群馬県藤岡市に在住している。しかし、安中市は、業務上横領された3億4490万円については、元職員を告訴することもなく、何もしないまま現在に至っている。
5 この事件で、群馬銀行は平成7年(1995年)10月、「公社と市に使用者責任がある」として貸金返済を求める民事訴訟を提訴した。
6 前橋地裁は、平成10年(1998年)8月に和解案を提示し、これをもとに交渉が進められ、安中市・公社と群馬銀行は同年12月9日に和解案に合意した。
7 和解案の内容は、次のようなものである。
①銀行側は返済請求額のうち、9億3600万円及びその時点までの利息損害遅延金相当の支払いを免除。
②土地開発公社と安中市が連帯して残りの債務24億5000万円のうち、4億円を平成10年(1998年)12月25日に支払う。
③平成11年(1999年)から10年間は毎年2000万円ずつ分割で返済。その後は同公社の財政状況や経済情勢の推移を見ながら、年間支払額が2000万円を下回らない範囲で返済する。
8 こうして、安中市と安中市土地開発公社は、金融史上のみならず自治体史上おそらく空前絶後で前代未聞の、最長で103年掛けての返済義務を負った。
9 しかも、和解10年後に民事の時効期限が切れることから、あまりにも片務的な和解条件の解消のチャンスが巡って来たにも関わらず、被告安中市長は、最初から群馬銀行との間で「証」として、引き続き次の10年も同様に和解金を支払う態度を示し、結局、原告ら安中市民が懸念したことが本当になってしまい、平成21年(2009年)12月25日から、引き続き10年間、毎年群馬銀行に2000万円ずつ和解金を支払うはめになった。
10 このような状況の中で、平成22年4月11日の合併後2回目の安中市長選で、現市長である被告が2期目の当選を果たした後、平成22年(2010年)6月22日付上毛新聞に“安中・巨額詐欺事件「債務履行の一部に」 元職員の妻 絵6点、公社に提出”と題する記事で、「安中市の元職員による巨額詐欺事件に絡み、元職員の妻が、『夫所有と思われる絵画6点を損害賠償の債務履行の 一部にしたい』として、市土地開発公社(理事長・岡田義弘市長)に提出していたことを、市が6月21日の市議会全員協議会で報告した」「元職員の妻からは4月に申し出があり、公社の理事に諮ったうえで5月に受け入れた。6点の中には東洲斎写楽作とされる班が、高橋由一作とされる油彩画「風景」などが含まれている」という記事が掲載された。
11 この記事を読んだ原告は、さっそく平成22年6月25日付で、上記の記事で報じられた件に関する一切の情報を、被告安中市長に対して、行政文書開示請求書をもって開示請求を行ったが、開示資料中に絵画等6点に関するビジュアル情報が含まれていなかったため、異議申立てを行った。
12 しかし、原告の異議申し立ては認められず、被告は、平成22年12月15日付で、原告に対して、異議申立てにかかる絵画等6点の開示請求に対して、不開示決定処分を下した。
13 安中市情報公開条例は、行政庁側の種々の名目のもとに、ややもすれば恣意的、濫用的に秘密扱いにされ、住民の知る権利を妨げ、ひいては地方自治の健全な発展を阻害する面のあったことに鑑み、それらの弊害を除去する点をも考慮に入れて制定されたことは公知の事実である。
14 そのようにして制定された情報公開条例の非公開事由該当性を、専ら行政機関の側の利便等を基準・根拠に、その主観的判断に基づいて決するとすれば、その範囲が不当に拡大する危険性があり、情報公開制度の実質的意味が失われることにもなりかねない。
15 また、文書を公開することによって生ずる支障のみに目を奪われ、それを非公開とすることの弊害や、公開することによる有用性、公益性に何ら意を用いなければ、情報公開制度の運用がいたずらに硬直化したものとなり、ひいては将来的、長期的にみた地方自治の健全な発展が望めないことになる。
16 そこで、本件条例は、情報の公開を原則とし、非公開を例外とし、本件条例第4条で実施危機感の責務として、「実施機関は、行政文書の開示を請求する権利が十分に尊重されるようこの条例を解釈し、及び運用するとともに、行政文書の適切な保存及び迅速な検索をするために、行政文書の適正な管理に努めなければならない」と規定しているのであり、本件条例の非公開事由は厳格に解釈されなければならない。
17 とりわけ、主として行政執行上の利益の保護を図って制定されたと考えられる非公開事由の解釈に当たっては、そこで保護されるべき利益が実質的に保護に値する正当なものであるか否か、また、利益侵害の程度が、単に行政機関の主観においてそのおそれがあると判断されるにすぎないのか、あるいはそのようなおそれが具体的に存在するといえるのかを、客観的に検討することが必要である。
18 本件は、安中市が抱える空前絶後の巨額詐欺横領事件の今後の趨勢にも影響する重要な情報であり、市民の関心も高い。
19 ところが、元職員とかつて安中市土地開発公社で理事や監事として関係の深かった被告は、元職員の妻から提供された絵画等6点の真贋を確認しないまま、死蔵しようとしている。こうした疑惑行為を払拭するためにも、絵画等6点について、不存在として不開示とした被告の行為をあらためさせることは、安中市にとって極めて重要なことである。
第二 請求の趣旨について
一 処分の存在
1 原告は、平成22年6月25日付で、絵画等6点に関する新聞記事で報じられた件に関する一切の情報を、被告安中市長に対して、行政文書開示請求書をもって開示請求を行った(甲1)。
2 被告安中市長は、平成22年7月8日付で、行政文書部分開示決定通知書を原告に郵送した(甲2)。
3 これに基づいて、平成22年7月23日に、「個人の住所、氏名、個人が特定できる情報、個人の印影」を除く情報が開示された。
4 ところが、この中には、市民の多くが周知している元職員やその配偶者、そして保管者の氏名等が黒塗りにされてあったほか、絵画等6点に関する絵柄、すなわち、写真や画像データのようなビジュアル情報が含まれていなかった。
5 そのため、原告は、平成22年7月28日付で被告に対して異議申し立てをおこなった。(甲3)
6 その後、本件情報開示請求にかかる担当部署である市総務部企画課企画調整係から補正通知のFAXが平成22年8月2日に原告宅に送られてきた(甲4)。
7 そこで、平成22年8月4日付で補正書を市総務部企画課企画調整係にFAXで提出した(甲5)。
8 これを踏まえて、被告からは平成22年8月19日付で、本件を安中市情報公開・個人情報保護審査会に同8月18日付で諮問した旨の通知状が原告に送付された(甲6)。
9 その後、平成22年9月10日付書面で、安中市情報公開・個人情報保護審査会から、情報公開にかかる異議申立書に対する実施機関の理由説明所の送付及び意見書の提出依頼が原告に通知された(甲7)。
10 このため、原告は、平成22年10月12日付で、同審査会に対して、理由説明所に対する意見書を提出した(甲8)。
11 その後、平成22年11月29日付で、同審査会から原告あてに、情報公開の異議申し立てに関する答申について、平成22年11月12日開催の審査会において審査した結果が、同11月29日付で被告に答申された旨の連絡が書面で送られてきた(甲9)。
12 答申を受けた被告は、平成22年12月15日付で、原告に対して、異議申立てにかかる決定書を郵送してきた(甲10)。
13 この中で、被告は、「当該絵画等6点のビジュアル情報については、公社に写真及び画像データとして存在している情報でありますが、その真贋が不明なうちにこれら情報が公になった場合公社の経営に予期せぬ支障を及ぼす恐れも否めず、また男親かになった情報の影響で適正な価格での換価処分が出来なかった場合には、公社に損失を与える可能性も考えられることから、公社から実施機関へ対する情報の提供は現在も行われておりません。」「したがって、実施機関にはビジュアル情報は存在しておらず、不存在のため開示することはできません」と述べた。
二 処分の条例上の違法性
1 実施機関の情報開示義務違反(条例第4条)
①本件開示請求情報は、条例第2条に定めた「実施機関の職員が職務上作成し、又は取得した文書、図画及び電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られた記録をいう)資料に該当する。もともと、元職員が、懲戒免職になる前に取得した図画であるためだ。
②また、条例第4条に照らせば、被告の言う不存在という説明は、明らかに事実ではなく方便であり、実際には、安中市土地開発公社の103年ローンの債務の保証人となっている安中市が、絵画等6点のビジュアル情報を保有していないはずはなく、また、保有していなければならない。したがって、安中市が保有する情報は、原則開示されなければならず、安中市が「実施機関にはビジュアル情報は不存在だ」とする根拠は見当たらない。
③このことについて、安中市情報公開・個人情報保護審査会は、被告への答申のなかで、最後に次のように述べている。
「・・・確かに、インターネット等で絵画等の画像が公開されたり、犯罪に関係のある作品であることが流布されれば、開示等を実施するにあたって、少なからず影響が出る可能性は否定できないが、絵画等6点の作品名及び作者が既に明らかにされている以上、今さら写真等情報が公になったところで、その換価処分に影響が生じるとは考えづらい。」
「また、異議申立人に写しの交付までは認めなくとも、仮に閲覧させるだけに留めれば、換価処分においても何ら問題は生じないと思われるため、実施機関が公社との協議で写真等情報を提出しないことを認めたのは、市の保存する情報の一層の公開を図り、市政に対する理解と信頼を深めるとした条例の趣旨から、適切な対応であったとは言い難い」。
③よって、以上、被告の下した絵画等6点のビジュアル情報の不開示には、理由がなく違法である。
④また、絵画等6点の作品名は開示して、ビジュアル情報を開示しないというのは、同じ不開示項目に関して、非公開と公開が混在しているのは、著しい裁量権の乱用であって違法である。そもそも、不公開(理由付け)が必要ない、というべきである。
2 従って、本件絵画等6点のビジュアル情報については、不開示の理由が認められる余地はないというべきである。よって、本件絵画等6点のビジュアル情報を公開しないとの処分は、違法であるので、取消されるべきである。
以 上
証 拠 方 法
添付書類の他、口頭弁論において、随時、追加提出する。
添 付 書 類
訴状副本 1 通
甲号証写し 各1通
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(※:予納郵券6,400円の内訳は10円×10枚、20円×10枚、50円×4枚、80円×2枚、100円会う8枚、200円×2枚、270円×2枚、500円×8枚です)
■当会では、この裁判を通じて、タゴ事件の影の部分にすこしでも光を当てて行きたいと考えております。そのことにより、この前代未聞、空前絶後の巨額詐欺横領事件の真相解明をさらに深化させ、事件の風化を食い止めることで、再発防止と図ると共に、安中市民へのいわれなき被害を少しでも軽減できれば、これにまさる喜びはありません。
【ひらく会事務局】
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