市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

鉛・ヒ素入りスラグ問題!…高崎市内の多数の公益施設に投棄された非鉄スラグの早期撤去を高崎市長に要請!

2018-10-26 23:04:00 | スラグ不法投棄問題
■鉛・ヒ素を高濃度に含む非鉄スラグが高渋バイパスに不法投棄されている問題に関連して、当会が2017年3月に「K砕」のキーワードで検索していたところたまたま岡田工務店のホームページで発見し、その後、同年5月までに東邦亜鉛から事情を聴取したところ、同社が岡田工務店に対して2016年初頭までに数年間に亘って毎年1万トンのK砕=非鉄スラグを出荷していたことを確認しています。

非鉄スラグの外観。出典:2014年11月21日日本鉱業協会スラグ委員会・エコ・イノベーションメッセ2014inひろしま「建設資材としての非鉄スラグの有効利用方法について」P5。

 東邦亜鉛では、未だに高渋バイパスで見つかったK砕に酷似した物質を自社の安中製錬所から岡田工務店経由で現場に投棄されたことを認めていませんが、今回、高渋バイパスで高濃度の鉛・ヒ素を含む非鉄スラグの撤去工事を岡田工務店と佐藤工務店(実質的には岡田工務店)が行っていることから、当会ではこの物質が「K砕」と同じものであると確信しています。

 このため、当会は高渋バイパスでサンプリングした非鉄スラグが当初から東邦亜鉛安中製錬所から排出された有害物質だと主張し、県や東邦亜鉛にこの物質を分析して有害物の含有状況を調べ、早急に撤去を申し入れましたが、東邦亜鉛は排出原因者であることをみとめようとせず、群馬県は結局当会に分析させたうえ、その後、半年間も当会に連絡のないまま、工事関係者と思われる岡田工務店と佐藤工務店に部分的に撤去させ、本件の幕引きを図ろうとしています。

■ところで非鉄スラグとは一体何でしょう。日本鉱業協会スラグ委員会によれば、非鉄ス ラグとは、フェロニッケルスラグ、銅スラグ、亜鉛スラグを指しています。高炉スラグや鉄鋼スラグと区分して非鉄スラグと呼称しますが、亜鉛精錬で生じるスラグは、詳しくは「亜鉛スラグ」に分類されます。

 ちなみに、「フェロニッケルスラグ」とは、JIS A 5011-2 の規定に準じ、ニッケル鉱石等を原料としてフェロニッケルを製造する際に副生するスラグを指し、「銅スラグ」とは、JIS A 5011-3 の規定に準じ、銅精鉱等を原料として銅を製造する際に副生するスラグを指し、「亜鉛スラグ」とは、亜鉛製錬所で亜鉛を製造する際に副生するスラグを指しています。

 なお、日本鉱業協会スラグ委員会には、日本冶金工業㈱、大平洋金属㈱、住友金属鉱山㈱、三菱マテリアル㈱、パンパシフィック・カッパー㈱、三井金属鉱業㈱、DOWAメタルマイン㈱が所属しており、事業所としては日本冶金工業㈱大江山製造所、宮津海陸運輸㈱ 、大平洋金属㈱八戸本社(製造所)、住友金属鉱山㈱東予工場、㈱日向製錬所、住鉱物流㈱、日比共同製錬㈱、パンパシフィック・カッパー㈱佐賀関製錬所、小名浜製錬㈱、三菱マテリアル㈱直島製錬所、八戸製錬㈱、三池製錬㈱が対象となっており、東邦亜鉛㈱や東邦亜鉛㈱安中製錬所の名前がなぜか見当たらない。日本鉱業協会には東邦亜鉛は大手として加盟しているだけに実に不可思議です。

 では、いったいなぜ東邦亜鉛㈱安中製錬所から排出される非鉄スラグ(亜鉛スラグ)には、鉛・ヒ素などがたくさん含まれているのでしょうか。それは安中製錬所の製錬システムが旧態依然だからです。とくに、依然として亜鉛製錬残渣を旧式のロータリーキルン方式で処理していることが、東邦亜鉛が公害企業の汚名から脱却しきれない最大要因の一つとして挙げられます。しかし、利益アップに直ちには結び付かない環境保護のための新規投資に消極的な東邦亜鉛にとっては、新技術や最新設備導入への関心度など、そもそも極めて低いか、全く無いのです。

■さて、今回、新たに有害な非鉄スラグ(亜鉛スラグ)が発見されたのは、県道の高渋バイパスではなく、高崎市内のみさと芝桜公園などは、高崎市が所有し管理する公共施設です。現在、高崎市は中核市となっているため、この非鉄スラグの不法投棄の真相究明、責任所在の明確化、再発防止対策は群馬県から環境行政の業務移管を受けている高崎市が担うことになります。





 そこで当会は、これまで複数回高崎市役所を訪れて、環境政策課や産業廃棄物対策課に対して、相談してきました。そして、10月26日に正式に次の内容の要請書を高崎市長あてに提出し、受理されました。


産業廃棄物対策課の木下担当に概要を説明の上、要請書を提出した。「どういう対応ができるか検討し、何かあれば電話したい」とのことなので、「いつでも携帯に電話してください」とお願いした。

*****高崎市長への要請書*****
                           平成30年10月26日
〒370-8501群馬県高崎市高松町35番地1
高崎市長 富岡賢治 様
(環境部環境政策課、電話:027-321-1251、FAX:027-321-1161、
E-mail:kankyou@city.takasaki.gunma.jp)
(環境部産業廃棄物対策課、電話:027-321-1325、
E-mail:sanpai@city.takasaki.gunma.jp)
                   報告者:〒379-0114 安中市野殿980番地
                       小川 賢
                       電話:090-5302-8312

  件名:東邦亜鉛安中製錬所由来の非鉄スラグの不法投棄の実態と緊急対策の要請
拝啓 平素より高崎市における安全・安心な生活・営農・自然環境の保全に日夜尽力くださり厚く御礼申し上げます。
 さて、平成30年9月18日の新聞報道によれば、高崎市の「みさと芝桜公園」の近くの道路や駐車場で基準の最大61~50倍の鉛が検出されるなど、高崎市内の4カ所で基準を上回る鉛やヒ素が検出されたことが報じられています。
 報道によると、地元の政党関係者らが8月下旬~9月上旬、①みさと芝桜公園の駐車場、②公園付近の路上、③善地梅林広場の駐車場、④みさと梅公園蟹沢駐車場の4カ所で砂利などのサンプルを採取し、成分調査を大阪市にある研究・分析機関に依頼した結果、いずれの地点でも、土壌汚染対策法で定める基準を上回る鉛やヒ素が検出され、それぞれ鉛は61.3~9.8倍、ヒ素は2.3~1.3倍だったとのことです。
 これらは、東邦亜鉛安中製錬所から排出された非鉄スラグが原因と思われます。
 また、このほかにも、添付資料1のとおり、箕郷町の道路脇のソーラー発電施設の造成地に多量のスラグがそのままの状態で投棄され、盛土材として使われています。
 さらには添付資料2のとおり、高崎市の水道施設のすぐ脇にも投棄されています。
 そして、もっとも問題なのは、添付資料3のとおり、東邦亜鉛安中製錬所から排出された非鉄スラグが山林地帯に大量に投棄され、土砂と混合されていることです。
 つきましては、廃棄物処理法に基づき、このような行為を行った事業者を直ちに立ち入り調査をし、しかるべき行政措置をお取りくださるよう、強く要請いたします。また、調査の過程と結果につきましては、逐一公表くださるようお願いいたします。
                              敬具

添付資料1:箕郷町の道路わきのソーラー発電施設での大量の非鉄スラグ投棄の様子
添付資料2:箕郷町の高崎市水道施設のすぐ脇における大量の非鉄スラグ投棄の様子
添付資料3:箕郷町松之沢地区の森林地帯での大量の非鉄スラグ投棄の様子 

*****<添付資料1>*****
URL ⇒ https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2758.html

*****<添付資料2>*****
URL ⇒ https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2777.html

*****<添付資料3>*****

図1:県道28号線沿いの松之沢ソーラー発電所とその東側の非鉄スラグ投棄場所

図2:松之沢ソーラー発電所(左)と非鉄スラグ投棄場所(右)

図3:非鉄スラグ投棄場所。上のほうの地表の色が赤黒く見える。

図4:非鉄スラグ投棄場所を拡大してみる。明らかに赤黒いところは周辺の地表の色と異なって見える。

図5:現場入口。県道28号からここに至る進入道路にも大量のスラグが投棄されている。

図6:現場入口の道路わきに投棄されたスラグ。

図7:まだ搬入されたばかりと思しき非鉄スラグ。

図8:破砕くずと思しき廃棄物の投棄。深澤様

図9:こうしたスラグや破砕くず※が大量に投棄。

図10:非鉄スラグの投棄現場。

図11:至る所にスラグや破砕くず※

図12:スラグのそばには重機。

図13:雨水が流れ出ている。

図14:これは9月17日の様子だが、現在もこうした非鉄スラグや破砕くず※などの産業廃棄物の投棄が続いていると思われる。
                             以上
**********

※当会注
「破砕くず」と記載しているものの実態は「コンクリートくず」です。
 この物質は、生コン工場で、プラントや生コン運搬車などを洗った際にでる「コンクリートくず」と呼ばれるものです。
 群馬県発出の産業廃棄物の中間処理の許可書にも「ガラスくず・コンクリートくず陶磁器くず」「ガラスくず・コンクリートくず陶磁器くずについては、再生骨材として利用できるものに限る」の文言があります。
 写真で石のように見えるものは、生コンを水で洗った際にでるセメント液を布で濾した後のカスで、足では踏みつぶせませんが、建設資材とするには意外に柔らかく、強度的に不足し、また粘度を有しているため、スクリーンで選別するのも困難を伴います。
 生コン工場はどこも、この「コンクリートくず」の処理に困っているのが実情です。したがって、「コンクリートくず」は立派な産業廃棄物です。水分が抜けていなければ「汚泥」に分類されることもあります。
 建設工事に伴って発生しないことから「がれき類」とはややニュアンスが異なると思われるものの、今のところ「がれき類」扱いだと思われます。
 本来であれば、岡田興業のこの残土処分場(=不当投棄場?)に捨てられている、この「コンクリートくず」の排出元の生コン工場は、産廃の不法投棄の疑いがかけられなければなりません。
 高崎市や群馬県の環境行政が緊張感をもってきちんと業務に精励すれば、このことについて気が付かない筈はあり得ません。
 また、この当該生コン工場には非鉄スラグが運び込まれている可能性があります。非鉄スラグを運び込んだダンプカーが、生コン工場の「コンクリートくず」を引き取ってくることが容易に考えられるからです。


■この要請書を受理した高崎市環境部では、さっそく要請書の内容を協議し、必要な対策をとることを約束しました。当方からも「わからないこと、聞きたいことがあればいつでも携帯に連絡をください」と申し入れました。

 群馬県の環境行政には失望させられますが、中核市としてより地元に密着している立場の高崎市の、今後の行動に期待したいと思います。



【市民オンブズマン群馬事務局・ひらく会事務局からの報告】

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