■9月21日(推測)の元職員タゴ邦夫の刑期満了と正式出所がいよいよ3ヵ月後に近づいている今日この頃、元職員の世話になった関係者らによるタゴ出所準備が着々と進んでいます。そのなかでも最大の案件が、遅くとも6月18日までに到来する、安中市土地開発公社によるタゴ邦夫への23億4千万円の損害賠償請求権の民事時効です。
当会は、これを放置した場合、103年ローンの今後の行方を大きく左右し、公社の存続はおろか、安中市財政への脅威となりかねないことから、4月1日付けで、岡田市長に早急に対応策をとらせるべく、安中市監査委員に対して、地方自治法第242条第1項に基づき、安中市職員措置請求(=住民監査請求)を行いました。そして、3週間後の4月22日付けで、安中市監査委員はこの請求に対してあっさりと却下通知をよこしました。
住民監査請求の却下通知を受け取ってから、30日以内に提訴しないと、住民訴訟の権利が失われてしまうため、当会は5月22日に、タゴの再提訴を安中市に求めるため、訴状を提出しました。
訴状には、次の3つの請求趣旨を明記しました。詳しくは、当会の5月23日のブログをご覧下さい。
①タゴへの再提訴
②群銀との合意の破棄
③公社余裕金の違法運用の禁止
■前橋地方裁判所民事部は、平成21年(行ウ)第8号の事件番号で訴状を受け付けました。早ければ、1ヵ月後の6月下旬ごろ、第1回の口頭弁論が開かれると思われていました。
ところが、6月10日に、留守中、前橋地裁民事部(電話027-231-4275 内線324)の「特別送達」が届いたという知らせが郵便局からあったため、「随分、連絡が早いな」と思いつつ、12日に郵便局にとりに行ったところ、なんと判決文でした。それも、驚いたことに、門前払いの判決です。
**********
平成21年6月9日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官 渡部明美
平成21年限第8号損害金回収等(住民訴訟)請求事件
判 決
群馬県安中市野殿980番地
原告 小川 賢
群馬県安中市安中一丁目23番13号
被告 安中市長岡田義弘
主文
1 本件訴えを却下する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
第1 請求の趣旨及び原因
本件訴えの請求の趣旨及び原因は,別紙訴状記載のとおりである。
第2 事案の概要
1 本件は,安中市の市民である原告が,被告に対して,被告が安中市土地、開発公社理事長に対して,下記の点について指導することを求めるものであり,被告の違法な財務会計行為の是正を求めて提起した住民訴訟であると解される。
記
① 同公社が多胡邦夫に対して有する損賠賠償請求権に関する時効中断の措置を執ること
② 同公社が上記多胡と連帯して群馬銀行に対して負担している債務につき弁済を拒否すること
③ 同公社の有する余裕金を上記債務の返済に用いるべきでないこと
2 住民訴訟とは,公共団体の機関の法規に適合しない行為の是正を求める訴訟であって,執行機関又は職員に対する行為の全部又は一部の差止め,行政処分たる行為の取消し又は無効確認,執行機関又は職員に対する怠る事実の違法確認,職員又は行為若しくは怠る事実に係る相手方に損害賠償又は不当利得返還の請求をすることを普通地方公共団体の執行機関又は職員に対して求めるもの(地方自治法242条の2第1項)をいう。そして,住民訴訟は,自己の法律上の利益にかかわらない資格で提起する民衆訴訟の一つであるが(行政事件訴訟法5条),民衆訴訟は,法律に定める場合において,法律に定める者に限り,提起することができるものであり(同法42条),法律の定めを欠く民衆訴訟は不適法であると解される。したがって,法律の定めを欠く住民訴訟は不適法である。
3 そこで,本件についてみると,本件訴えは,被告に対して,安中市土地開発公社理事長をして,各措置を講じさせるべく指導することを求める住民訴訟であると解されるが,執行機関又は職員に対する行為の全部又は一部の差止め,行政処分たる行為の取消し又は無効確認,執行機関又は職員に対する怠る事実の違法確認,職員又は行為若しくは怠る事実に係る相手方に損害賠償又は不当利得返還の請求をすることを普通地方公共団体の執行機関又は職員に対して求めるもののいずれにも該当しないものであり,法律の定めを欠く住民訴訟として不適法というべきである。
4 よって,本件訴えは,その余の点について判断するまでもなく不適法で、あり,その不備を補正できないことが明らかであるから,同法7条,民事訴訟法140条に従い,口頭弁論を経ないで,これを却下することとし,主文のとおり判決する。
前橋地方裁判所民事第2部
裁判長裁判官 松丸伸一郎
裁判官 水橋 巌
裁判官 佐田 崇雄
<原告訴状の副本のコピーを添付>
これは正本である。
平成21年6月9日
前橋地方裁判所民事第2部
裁判所書記官 渡 部 明 美
**********
■判決文にある、却下の根拠法として示されている「行政訴訟法第7条(この法律に定めがない事項)」というのは、「行政事件訴訟に関し、この法律に定めがない事項については、民事訴訟の例による」という内容です。また、「民事訴訟法140条(口頭弁論を経ない訴えの却下)」というのは「訴えが不適法でその不備を補正することができないときは、裁判所は、口頭弁論を経ないで、判決で、訴えを却下することができる」という条項です。
これによると、裁判所の判断は、当会の「訴えが不適法」で、しかも「どの不備を補正できない」と勝手に決め付けて、「補正命令」さえも出さずに、一方的に、しかも、訴状受理からわずか半月で、門前払いです。この分では、安中市に訴状の副本さえ送らずに、裁判所が直ぐに門前払いを決めたに違いありません。なぜなら、裁判好きの岡田市長ですので、口頭弁論を経ずに勝訴しても、つまらないと思うから、訴状の副本を送られれば、きっと裁判に応じたに違いないからです。
■あるいは、裁判所として、巨悪横領事件の背後に潜む政治的背景をおもんばかり、口頭弁論に夢中になりすぎて、岡田市長が答弁書や準備書面で下手に真相をしゃべられると、関係者の平穏な生活をおぼやかすというリスクに注目して、安中市には訴状の副本を送らないほうがいいと判断したのかもしれません。
どっちにしても、裁判所は、安中市の岡田市長の都合や意向を斟酌して、とにかく、タゴ事件で脛に傷のある安中市が無闇に法廷に引っ張り込まれないように、気を利かせたに違いありません。
■当会は5月25日のブログで、裁判所の対応について次のような懸念を示しましたが、まさにこれが的中したわけです。
・・・ただし、今回も楽観はできません。裁判所はかつて「土地開発公社は安中市とは別法人であり、安中市には損害が無い」として、当会に敗訴を言い渡した前歴があるからです。当然、今回も当会の請求を門前払いにしようとする圧力が、安中市から裁判所に加わることは、想像に難くありません。・・・
タゴ事件について、安中市が当会と裁判所で争うとなると、安中市(=安中市土地開発公社)としては、当会の質問(求釈明)に対して、いろいろと説明をしなければならなくなります。裁判所は、「タゴ事件を蒸し返すと、たくさんの事件関係者の平穏な日常生活に多大な影響を及ぼす」と考えて、前橋地方検察庁と同じく、タゴ事件について、これ以上、裁判という公開の場で、タゴ51億円事件の秘密の部分が、住民にさらされないようにする為には、住民訴訟を門前払いするしか方法はないと考えたのでしょう。
■このようなサプライズ判決を下した裁判長は一体誰?と思い、判決文の一番最後を見ると、松丸伸一郎という名前が裁判長裁判官として書いてあります。
「松丸伸一郎」といえば、松本サリン事件で、河野義行さんに捜索差押令状を出した事で有名な裁判官です。しかも、農薬の調剤ミスをしたという河野さんに対し、本来なら「過失傷害(ないし致死)」で出すはずの令状を、ご丁寧にも「殺人容疑」で出していたという悪質極まりない御仁です。最近でも、2006年4月10日に、東京地裁八王子支部にいた時、とんでもない判決を出しました。
電車内で女性に痴漢行為をしたとして現行犯逮捕され不起訴となった東京都国立市の元会社員の男性が、被害を申告した女性と国、都に対して約1100万円の損害賠償を請求していた裁判で、松丸伸一郎裁判長は「携帯電話の使用を注意された程度で女性が虚偽の痴漢被害を申告するとは、普通考えられない」として、冤罪に苦しめられた男性の請求を棄却しました。
■その直後、群馬県民にとっては不幸なことに、この松丸裁判官は、前橋地裁に異動したのでしたが、さっそく、2006年10月27日に、またもやとんでもない判決を出しました。
それは、群馬大学医学部が受験時に年齢制限をしていなかったにもかかわらず、当時55才の東京都目黒区在住の女性(56)を不合格とした事件の民事訴訟に対し「同大が『医師には知力・体力・気力が必要』などと説明していたことについては、合理性がある」とし、一方的に女性の請求を却下したことです。
■その後も、松丸裁判長は、前橋地裁に居座り、現在は、民事第二部の合議係(毎週金曜)とB係(毎週月、水曜)の担当裁判長として、あっと言わせる呆れた判決を出し続けています。
市民オンブズマン群馬でも、平成17年に県警不正支出問題で住民訴訟を提起しましたが、昨年、前橋地裁で、県警の言い分を200%認めて原告請求棄却判決を出したのがこの御仁でした。
さらには、再来週、6月26日(金)に前橋地裁で予定されている八ツ場ダム住民訴訟でも、この御仁が裁判長として判決文を読むことになっています。判決内容は、おのずと予測がつきます。
■さて、話を戻しましょう。このノートリアスな(悪名高い)裁判官が、当会の請求を却下(門前払い)した理由は次のようなものです。
①本件訴えは,被告に対して,安中市土地開発公社理事長をして,各措置を講じさせるべく指導することを求める住民訴訟であると解される。しかし、次のいずれにも該当しない。
1)執行機関又は職員に対する行為の全部又は一部の差止め
2)行政処分たる行為の取消し又は無効確認
3)執行機関又は職員に対する怠る事実の違法確認
4)職員又は行為若しくは怠る事実に係る相手方に損害賠償又は不当利得返還の請求をすることを普通地方公共団体の執行機関又は職員に対して求めるもの
②よって,法律の定めを欠くから住民訴訟として不適法である。
■当会では、かつて、タゴ事件をめぐる住民訴訟で、タゴの不正利得に係る所得税の徴収を怠る事実の違法確認請求を行ったことがありますが、結局、時効期限内では「怠る事実」が確認できないとして棄却され、時効が過ぎて再度提訴したら、既に時効だということで、訴えても無駄とされて棄却されたことがあります。
今回は、1)公社の余剰金をタゴの尻拭いに流用する行為全部の差し止め、2)安中市の債務保証行為の取り消し、3)タゴへの損害賠償請求権の行使の怠る事実の違法性、そして、4)これらの行為及び怠る事実による関係者への損害賠償請求を行うことにしたわけですが、ヒジョーシキ裁判官の松丸には最初から理解する気はなかったうえ、補正命令さえ出さずに、当会に門前払いを食らわせたのでした。
タゴ事件の幕引きを図る役目を担って3年前に安中市長に就任した岡田市長にとって、これほど好都合な裁判官はいません。「待ってました!」とばかりに率先して、住民訴訟却下の判決を下したこの裁判長は、さぞかし群馬県行政と相性がよいことでしょう。既に前橋地裁に3年もいることがそのことをうかがわせています。
■松丸裁判長が、判決を出した3月10日と同じ日、東京では、6月10日、新銀行東京(東京都新宿区)が経営難に陥ったのは石原慎太郎知事らの責任だとして、都民3人が東京都を相手取り、石原知事や旧経営陣ら5人に対して1255億円の賠償請求をするよう求める住民訴訟を東京地裁に起こしました。訴えによると、石原知事は重大な欠陥のある新銀行のマスタープランを作成した責任があり、旧経営陣らは損失の発生を容認するかのような業務執行を行ったと主張しています。都監査委員は先月、都民らによる住民監査請求を却下したため訴訟に踏み切ったものです。
■新銀行東京の場合は、これからきちんと口頭弁論を経て、判決が出されるでしょうが、タゴ事件では、10年以上を経てもなお、相変わらず安中市民が提訴するたびに、裁判所は門前払いを続ける始末です。しかし、今回久しぶりに住民訴訟を提起してみて、安中市土地開発公社が、いかに、タゴ事件の関係者にとって、彼らが責任逃れをする唯一のよりどころとして、これからも存続しなければならない宿命を背負っている存在なのかが、じつに良く分かりました。
控訴するかどうかは、2週間以内に決めることになります。ちなみに、松丸裁判長が下した前記の事件の裁判で棄却判決を受けて敗訴した原告の皆さんは、いずれも控訴しています。
【ひらく会法務部】
当会は、これを放置した場合、103年ローンの今後の行方を大きく左右し、公社の存続はおろか、安中市財政への脅威となりかねないことから、4月1日付けで、岡田市長に早急に対応策をとらせるべく、安中市監査委員に対して、地方自治法第242条第1項に基づき、安中市職員措置請求(=住民監査請求)を行いました。そして、3週間後の4月22日付けで、安中市監査委員はこの請求に対してあっさりと却下通知をよこしました。
住民監査請求の却下通知を受け取ってから、30日以内に提訴しないと、住民訴訟の権利が失われてしまうため、当会は5月22日に、タゴの再提訴を安中市に求めるため、訴状を提出しました。
訴状には、次の3つの請求趣旨を明記しました。詳しくは、当会の5月23日のブログをご覧下さい。
①タゴへの再提訴
②群銀との合意の破棄
③公社余裕金の違法運用の禁止
■前橋地方裁判所民事部は、平成21年(行ウ)第8号の事件番号で訴状を受け付けました。早ければ、1ヵ月後の6月下旬ごろ、第1回の口頭弁論が開かれると思われていました。
ところが、6月10日に、留守中、前橋地裁民事部(電話027-231-4275 内線324)の「特別送達」が届いたという知らせが郵便局からあったため、「随分、連絡が早いな」と思いつつ、12日に郵便局にとりに行ったところ、なんと判決文でした。それも、驚いたことに、門前払いの判決です。
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平成21年6月9日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官 渡部明美
平成21年限第8号損害金回収等(住民訴訟)請求事件
判 決
群馬県安中市野殿980番地
原告 小川 賢
群馬県安中市安中一丁目23番13号
被告 安中市長岡田義弘
主文
1 本件訴えを却下する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
第1 請求の趣旨及び原因
本件訴えの請求の趣旨及び原因は,別紙訴状記載のとおりである。
第2 事案の概要
1 本件は,安中市の市民である原告が,被告に対して,被告が安中市土地、開発公社理事長に対して,下記の点について指導することを求めるものであり,被告の違法な財務会計行為の是正を求めて提起した住民訴訟であると解される。
記
① 同公社が多胡邦夫に対して有する損賠賠償請求権に関する時効中断の措置を執ること
② 同公社が上記多胡と連帯して群馬銀行に対して負担している債務につき弁済を拒否すること
③ 同公社の有する余裕金を上記債務の返済に用いるべきでないこと
2 住民訴訟とは,公共団体の機関の法規に適合しない行為の是正を求める訴訟であって,執行機関又は職員に対する行為の全部又は一部の差止め,行政処分たる行為の取消し又は無効確認,執行機関又は職員に対する怠る事実の違法確認,職員又は行為若しくは怠る事実に係る相手方に損害賠償又は不当利得返還の請求をすることを普通地方公共団体の執行機関又は職員に対して求めるもの(地方自治法242条の2第1項)をいう。そして,住民訴訟は,自己の法律上の利益にかかわらない資格で提起する民衆訴訟の一つであるが(行政事件訴訟法5条),民衆訴訟は,法律に定める場合において,法律に定める者に限り,提起することができるものであり(同法42条),法律の定めを欠く民衆訴訟は不適法であると解される。したがって,法律の定めを欠く住民訴訟は不適法である。
3 そこで,本件についてみると,本件訴えは,被告に対して,安中市土地開発公社理事長をして,各措置を講じさせるべく指導することを求める住民訴訟であると解されるが,執行機関又は職員に対する行為の全部又は一部の差止め,行政処分たる行為の取消し又は無効確認,執行機関又は職員に対する怠る事実の違法確認,職員又は行為若しくは怠る事実に係る相手方に損害賠償又は不当利得返還の請求をすることを普通地方公共団体の執行機関又は職員に対して求めるもののいずれにも該当しないものであり,法律の定めを欠く住民訴訟として不適法というべきである。
4 よって,本件訴えは,その余の点について判断するまでもなく不適法で、あり,その不備を補正できないことが明らかであるから,同法7条,民事訴訟法140条に従い,口頭弁論を経ないで,これを却下することとし,主文のとおり判決する。
前橋地方裁判所民事第2部
裁判長裁判官 松丸伸一郎
裁判官 水橋 巌
裁判官 佐田 崇雄
<原告訴状の副本のコピーを添付>
これは正本である。
平成21年6月9日
前橋地方裁判所民事第2部
裁判所書記官 渡 部 明 美
**********
■判決文にある、却下の根拠法として示されている「行政訴訟法第7条(この法律に定めがない事項)」というのは、「行政事件訴訟に関し、この法律に定めがない事項については、民事訴訟の例による」という内容です。また、「民事訴訟法140条(口頭弁論を経ない訴えの却下)」というのは「訴えが不適法でその不備を補正することができないときは、裁判所は、口頭弁論を経ないで、判決で、訴えを却下することができる」という条項です。
これによると、裁判所の判断は、当会の「訴えが不適法」で、しかも「どの不備を補正できない」と勝手に決め付けて、「補正命令」さえも出さずに、一方的に、しかも、訴状受理からわずか半月で、門前払いです。この分では、安中市に訴状の副本さえ送らずに、裁判所が直ぐに門前払いを決めたに違いありません。なぜなら、裁判好きの岡田市長ですので、口頭弁論を経ずに勝訴しても、つまらないと思うから、訴状の副本を送られれば、きっと裁判に応じたに違いないからです。
■あるいは、裁判所として、巨悪横領事件の背後に潜む政治的背景をおもんばかり、口頭弁論に夢中になりすぎて、岡田市長が答弁書や準備書面で下手に真相をしゃべられると、関係者の平穏な生活をおぼやかすというリスクに注目して、安中市には訴状の副本を送らないほうがいいと判断したのかもしれません。
どっちにしても、裁判所は、安中市の岡田市長の都合や意向を斟酌して、とにかく、タゴ事件で脛に傷のある安中市が無闇に法廷に引っ張り込まれないように、気を利かせたに違いありません。
■当会は5月25日のブログで、裁判所の対応について次のような懸念を示しましたが、まさにこれが的中したわけです。
・・・ただし、今回も楽観はできません。裁判所はかつて「土地開発公社は安中市とは別法人であり、安中市には損害が無い」として、当会に敗訴を言い渡した前歴があるからです。当然、今回も当会の請求を門前払いにしようとする圧力が、安中市から裁判所に加わることは、想像に難くありません。・・・
タゴ事件について、安中市が当会と裁判所で争うとなると、安中市(=安中市土地開発公社)としては、当会の質問(求釈明)に対して、いろいろと説明をしなければならなくなります。裁判所は、「タゴ事件を蒸し返すと、たくさんの事件関係者の平穏な日常生活に多大な影響を及ぼす」と考えて、前橋地方検察庁と同じく、タゴ事件について、これ以上、裁判という公開の場で、タゴ51億円事件の秘密の部分が、住民にさらされないようにする為には、住民訴訟を門前払いするしか方法はないと考えたのでしょう。
■このようなサプライズ判決を下した裁判長は一体誰?と思い、判決文の一番最後を見ると、松丸伸一郎という名前が裁判長裁判官として書いてあります。
「松丸伸一郎」といえば、松本サリン事件で、河野義行さんに捜索差押令状を出した事で有名な裁判官です。しかも、農薬の調剤ミスをしたという河野さんに対し、本来なら「過失傷害(ないし致死)」で出すはずの令状を、ご丁寧にも「殺人容疑」で出していたという悪質極まりない御仁です。最近でも、2006年4月10日に、東京地裁八王子支部にいた時、とんでもない判決を出しました。
電車内で女性に痴漢行為をしたとして現行犯逮捕され不起訴となった東京都国立市の元会社員の男性が、被害を申告した女性と国、都に対して約1100万円の損害賠償を請求していた裁判で、松丸伸一郎裁判長は「携帯電話の使用を注意された程度で女性が虚偽の痴漢被害を申告するとは、普通考えられない」として、冤罪に苦しめられた男性の請求を棄却しました。
■その直後、群馬県民にとっては不幸なことに、この松丸裁判官は、前橋地裁に異動したのでしたが、さっそく、2006年10月27日に、またもやとんでもない判決を出しました。
それは、群馬大学医学部が受験時に年齢制限をしていなかったにもかかわらず、当時55才の東京都目黒区在住の女性(56)を不合格とした事件の民事訴訟に対し「同大が『医師には知力・体力・気力が必要』などと説明していたことについては、合理性がある」とし、一方的に女性の請求を却下したことです。
■その後も、松丸裁判長は、前橋地裁に居座り、現在は、民事第二部の合議係(毎週金曜)とB係(毎週月、水曜)の担当裁判長として、あっと言わせる呆れた判決を出し続けています。
市民オンブズマン群馬でも、平成17年に県警不正支出問題で住民訴訟を提起しましたが、昨年、前橋地裁で、県警の言い分を200%認めて原告請求棄却判決を出したのがこの御仁でした。
さらには、再来週、6月26日(金)に前橋地裁で予定されている八ツ場ダム住民訴訟でも、この御仁が裁判長として判決文を読むことになっています。判決内容は、おのずと予測がつきます。
■さて、話を戻しましょう。このノートリアスな(悪名高い)裁判官が、当会の請求を却下(門前払い)した理由は次のようなものです。
①本件訴えは,被告に対して,安中市土地開発公社理事長をして,各措置を講じさせるべく指導することを求める住民訴訟であると解される。しかし、次のいずれにも該当しない。
1)執行機関又は職員に対する行為の全部又は一部の差止め
2)行政処分たる行為の取消し又は無効確認
3)執行機関又は職員に対する怠る事実の違法確認
4)職員又は行為若しくは怠る事実に係る相手方に損害賠償又は不当利得返還の請求をすることを普通地方公共団体の執行機関又は職員に対して求めるもの
②よって,法律の定めを欠くから住民訴訟として不適法である。
■当会では、かつて、タゴ事件をめぐる住民訴訟で、タゴの不正利得に係る所得税の徴収を怠る事実の違法確認請求を行ったことがありますが、結局、時効期限内では「怠る事実」が確認できないとして棄却され、時効が過ぎて再度提訴したら、既に時効だということで、訴えても無駄とされて棄却されたことがあります。
今回は、1)公社の余剰金をタゴの尻拭いに流用する行為全部の差し止め、2)安中市の債務保証行為の取り消し、3)タゴへの損害賠償請求権の行使の怠る事実の違法性、そして、4)これらの行為及び怠る事実による関係者への損害賠償請求を行うことにしたわけですが、ヒジョーシキ裁判官の松丸には最初から理解する気はなかったうえ、補正命令さえ出さずに、当会に門前払いを食らわせたのでした。
タゴ事件の幕引きを図る役目を担って3年前に安中市長に就任した岡田市長にとって、これほど好都合な裁判官はいません。「待ってました!」とばかりに率先して、住民訴訟却下の判決を下したこの裁判長は、さぞかし群馬県行政と相性がよいことでしょう。既に前橋地裁に3年もいることがそのことをうかがわせています。
■松丸裁判長が、判決を出した3月10日と同じ日、東京では、6月10日、新銀行東京(東京都新宿区)が経営難に陥ったのは石原慎太郎知事らの責任だとして、都民3人が東京都を相手取り、石原知事や旧経営陣ら5人に対して1255億円の賠償請求をするよう求める住民訴訟を東京地裁に起こしました。訴えによると、石原知事は重大な欠陥のある新銀行のマスタープランを作成した責任があり、旧経営陣らは損失の発生を容認するかのような業務執行を行ったと主張しています。都監査委員は先月、都民らによる住民監査請求を却下したため訴訟に踏み切ったものです。
■新銀行東京の場合は、これからきちんと口頭弁論を経て、判決が出されるでしょうが、タゴ事件では、10年以上を経てもなお、相変わらず安中市民が提訴するたびに、裁判所は門前払いを続ける始末です。しかし、今回久しぶりに住民訴訟を提起してみて、安中市土地開発公社が、いかに、タゴ事件の関係者にとって、彼らが責任逃れをする唯一のよりどころとして、これからも存続しなければならない宿命を背負っている存在なのかが、じつに良く分かりました。
控訴するかどうかは、2週間以内に決めることになります。ちなみに、松丸裁判長が下した前記の事件の裁判で棄却判決を受けて敗訴した原告の皆さんは、いずれも控訴しています。
【ひらく会法務部】
巷でトンデモで有名な<裁判官>までいるんですか・・・群馬には・・・。
そのとおりなんです。トンデモない裁判官がのさばっているのが、わが群馬県の司法の現状なんです。
それでも、最終的には納税者にしわよせが来るのでは?と思います。
今回の司法の判断にがっかりです。
ご指摘のとおり、公社への事務費の形で既に安中市民の公金がタゴの尻拭いに使われてきました。「土地開発公社と安中市役所とは別法人だから安中市役所に損害はない」というヘリクツを裁判所が擁護するのは、おそらく日本でもこのタゴ事件だけだと思います。近々、土地開発公社のような特別法人を管轄する総務省の担当部署に話を聞いてみたいと考えています。