市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

大同スラグを斬る!・・・スラグ混合路盤材の製造及び販売管理に関する大同マニュアルで問われる企業モラル

2015-09-09 22:32:00 | スラグ不法投棄問題
■鉄鋼スラグ協会に加盟している鉄鋼会社は、鉄鋼スラグ製品の製造や販売について鉄鋼スラグ協会が定めるガイドラインに則って、きちんと管理しなければなりません。
※鐵鋼スラグ協会のガイドライン(2015年1月14日改訂版)↓
sxoguideline20150114.pdf
 当然、大同特殊鋼も、鉄鋼スラグ協会のガイドラインに沿って鉄鋼スラグ製品であるスラグ混合路盤材の製造および販売管理に関するマニュアルを社内で作成していました。しかも、そのマニュアルの写しは、鉄鋼スラグ協会にも提出され5回も更新されていました。つまり鉄鋼スラグ協会のお墨付きだったのです。しかし、なぜ大量の有毒スラグが野放図に県土にまき散らされてしまったのでしょうか。市民オンブズマン群馬では、この大同特殊鋼のマニュアル(=大同マニュアル)を独自に入手し、中身を検討したので、その結果をご報告します。


スラグ混合路盤材の製造および販売管理に関する大同マニュアル。まさかのビックリする数字が記述されています。“覚悟”を決めてから、お読みください。
xoja.pdf


自主管理値をご覧下さい。≦40,000mg/kgとなっています。
ux.pdf

■当会が独自入手した大同マニュアルは、何ページにも及びますが、このうち7ページのみ、取り上げて見ましょう。


 まずは、このページの登場人物を整理してみましょう。
・「路盤材販売者」とは、超ブラック・佐藤建設工業だと思われます。
・「製造・販売運営者」とは、路盤材原料すなわち有害スラグの製造し販売を運営するわけですから、大同子会社の大同エコメットを指すと思われます。
・「スラグ発生元」とは、本社の大同特殊鋼渋川工場を指すと思われます。

 7ページ上から15行目を見ていきましょう。ショックで心臓を悪くしないよう、十分に覚悟を決めてくださいね。

**********
(2)路盤材原料に適用する品質規格
 製造・販売運営者はスラグ発生元と連携し、路盤材原料に関して下記内容の品質規格を設定する。
〈路盤材原料の品質規格内容〉
 A.含有量試験(JIS K0058-2に準拠)
 ・対象成分  :フッ素
 ・自主管理値 :≦40,000mg/kg
 ・試験機関  :社内分析
 ・手順    :DP-S-25「スラグ路盤材混合標準」
**********

■佐藤建設工業は、天然石にスラグを混ぜたニセ再生砕石を販売していましたが、大同特殊鋼は、混合前のスラグについて、有毒物質であるフッ素の含有量の自主管理値を設定していました。その数字は、なんと40,000mg/kgでした。

 土壌汚染対策法のフッ素の基準値は4,000mg/kgです。恐ろしいことに大同・佐藤のブラック連合の考え方は、「スラグに含まれるフッ素が環境基準の10倍の数値までなら、天然石に混ぜて販売してしまおう」とする考えであることを示しています。液体と異なり、固体は混ざり合うものなのでしょうか?

 この点につき環境省はきっぱり否定しています。以下のやりとりに注目してください。

**********
◆第187回国会 経済産業委員会 第8号 平成26年11月12日(水曜日)
塩川鉄也衆院議員(共産)
http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/009818720141112008.htm
○鎌形政府参考人 御指摘は、廃棄物と認識されるものを廃棄物でないものと混合するという行為についてということだと解釈いたしますけれども、廃棄物につきまして処理という行為がございますが、廃棄物の処理につきましては、物理的、化学的または生物学的な手段によって形態、外観、内容等について変化させるということでございますので、御指摘のようなスラグを希釈目的で自然砕石と混合する、このような行為は廃棄物の処理には当たらないということでございまして、混合されたものにつきましては、廃棄物と廃棄物でないものを混合したものとして取り扱っていくべきもの、こういうことと解釈してございます。
**********

 環境省は、「有害スラグと天然石は希釈されない」、つまり「混ざり合うことはなく、有害物質は薄まらない」と話しています。カルピスを水に溶かすようにはいかないようです。従って、「有害スラグが一粒でもあれば、そこには環境基準の10倍までのフッ素が含まれている」と、このマニュアルは語っています。

■では、このマニュアルに沿って実際のスラグの出来栄えを見ていきましょう。


2013年6月の「スラグ F含有量分析 管理表」です。

 F値の列をご覧ください。22,800~8,400の範囲で数字が並んでいます。これらは一応、大同マニュアルに示されたフッ素含有量の自主管理値の40,000を下回っています。ですが、このままだと土壌汚染対策法に抵触してしまうので、1:5~1:2の割合で天然石と混合していました。

 実際は固体同士なので、『希釈』(薄まる)されることはありませんから、この管理表にある記載内容は、世間を欺いていることになります。また、「佐藤建設で混合した物:サ―120622(サンプル採取日)」などと記載があることから、混合者は、佐藤建設工業であることが分かります。

 上記のとおり、「大同マニュアル」および「F値含有量分析管理表」により、スラグが一粒そこにあれば、その中には最低8,400mg/kgのフッ素が含まれていることになります。

 こうしたカラクリの手口によって、佐藤建設工業が、盛り土・下層路盤材・上層路盤材などと称して販売した全ての建設資材に、有害スラグが混入されてしまったことが判っています。佐藤建設工業の「承認願い・材料試験成績表」が提出されている工事現場では、有害スラグの混入が疑われ、しかもその中に基準値を超える有害フッ素が含まれているのです。

■大同マニュアルに戻ります。7ページの最初には、次の記載があります。

**********
(1)基本的な考え方
①路盤材販売者は、混合路盤材が備えるべき品質規格等として法令上定められているものがある場合はこれを遵守し、検査に合格したものを販売する。・・・・・・
**********

 この大同マニュアルを読まなければいけない者として、「路盤材販売者」が指定されています。「路盤材販売者」とはブラック企業・佐藤建設工業のことですので、佐藤は当然このマニュアルを大同から見せられているはずです。「40,000」の数字も意味も承知しているに違いありません。なぜなら、逆有償取引で年間2億円あまりのカネを手にしているからです。

■続けて基本的な考え方を見ていきましょう
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(1)基本的な考え方
①路盤材販売者は、混合路盤材が備えるべき品質規格等として法令上定められているものがある場合はこれを遵守し、検査に合格したものを販売する。なお、混合路盤材の環境基準適合性については、使用される場所等の使用条件により適用される環境基準が異なることから、納品時点で適用される法令に照らし、使用条件に応じて適用される基準を遵守する。
**********

 「混合路盤材が備えるべき品質規格等として法令上定められているものがある場合はこれを遵守し・・・」となっていることから、混合について法令を守るよう規定しています。ところが佐藤建設工業は、大同マニュアルが指定する混合比率を守らずに、販売しています。

 また、「納品時点で適用される法令に照らし・・・」となっています。これは、何よりもまず、天然石を使うことが指定されている納品場所には、有毒スラグを混合した材料を使うことができない、ということを指しています。佐藤建設工業は、見事に平然とこれを裏切り、国土交通省の公共工事現場の盛り土に、有毒スラグを不法投棄しているのです。

 また、群馬県の監理課通達にも明記されているように、有毒スラグを混合した材料を、路床と接する場所や敷砂利として納品してはならない、ということも指していると思われます。これも佐藤建設工業は見事に平然と裏切り、萩生地区などに有毒スラグを敷砂利として不法投棄してしまいました。

 せめてブラック佐藤建設工業が、この“魔”の大同マニュアルの記載事項だけでも守って行動してくれれば、被害も有る程度は限定的な範囲で済んだかもしれません。

 ですが実際には、有毒スラグを盛り土にまで混入し、不法投棄による土壌・環境汚染等被害を天文学的数字にまで飛躍させてしまいました。

■ご覧いただいたとおり、大同特殊鋼は環境基準値の10倍までのフッ素を含む有害スラグを何とかして不法投棄すべく、計画を立案し、実施していました。このことを察知していた佐藤建設工業は、逆有償の旨みに理性を捨てて、大同からスラグを大量に引き受けたのでした。

 その結果、在庫が積み上がり、せっかく群馬県の管理課通達でスラグ混合砕石を再生砕石と同等品として認めてもらったにも拘らず、捌ききれずに処分に窮した挙句、あろうことか、その販売する全ての建設資材にスラグを混入させて、不法投棄してしまいました。

 こうして、佐藤建設工業の承認願いが提出された工事現場は、すべて有毒スラグの不法投棄の疑いが有る工事現場となっています。だから、そこに一粒でも有害スラグがあれば、ことごとく撤去しなければならないのです。

 なぜなら、環境省の鎌形政府参考人の答弁にもあるとおり、スラグを希釈目的で自然砕石と混合しても、このような行為は廃棄物を処理したことにはならないのであり、スラグが混合されたものについては、廃棄物(スラグ)と廃棄物でないものを混合したものとして取り扱い、きちんとルールに則って処分しなければ、法律を順守したことにならないからです。

 それとも大同と佐藤は、膨大な不法投棄現場から、有害スラグを一粒ずつ選別する覚悟を決めているのでしょうか。それならそれで、早急に実行に移してもらいたいものです。

【市民オンブズマン群馬・大同有毒スラグ不法投棄特別調査チーム・この項続く】

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