市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

公選法違反で妻が起訴!・・・4.7県議選後5月に辞任の南波前県議の妻に求刑1年

2019-08-23 23:55:00 | 政治とカネ
■公営選挙費用を使って2019年4月の県議選に当選した自民党の南波和憲県議は、その後突然5月24日に辞職しましたが、その際、自民党県連幹事長宛に「関係者が公選法に抵触するとして取り調べを受けている」と書いた書面を提出していました。そして県議選で当選した後、運動員に現金と羊羹を配ったとして、群馬県警は6月21日に、公選法違反(事後買収)の疑いで、南波氏の妻を書類送検しました。続いて前橋地検は7月22日に公職選挙法(買収)の罪で、南波氏の妻を起訴しました。その結果、8月20日に南波氏の妻の初公判が開かれ、検察側が懲役1年を求刑して即日結審しました。

2019年8月21日付け上毛新聞社会面記事。

 この事件では、捜査の過程で、被買収側の運動員らの中に出納責任者だった高山村の後藤幸三村長と、選対事務長だった中之条町の伊能正男町長がいたことが分かりましたが、いずれも不起訴となっています。

 おそらく、南波氏の妻には、懲役6か月(求刑の半分)、執行猶予5年といった判決がいずれ言い渡されるものとみられ、実質的には何の影響もないことでしょう。しかし、妻のしでかしたことですから、夫の南波氏には連座制が課せられるはずです。どうせ自ら辞職しており、引退するつもりなのだから・・・、といって、この連座制の重みを認識しないまま、事件が幕引きされるのもどうかと思います。

 とりわけ政治とカネの問題が多発する割に、目に見える形で処分が起こりにくい群馬県の政治風土は、先般当会が東京地検に告発したことのある小渕優子元経産相の公選法・政治資金収支法違反(結局、犯行は秘書の中之条町長(当時)の折田謙一郎氏の単独犯行とされ、小渕裕子代議士は不問)の事件を見ても、明らかです。

 それでは、初公判の翌日の8月21日のマスコミ報道を見てみましょう。

**********上毛新聞2019年8月21日
ZIP ⇒ 20190821igj.zip
南波氏妻に求刑1年 4月の県議選 公選法違反 前橋地裁初公判
「軽はずみだった」

 4月の群馬県議選吾妻郡区で7度目の当選を果たし、5月に辞職した南波和憲氏(71)陣営を巡る選挙違反事件で、当選後にようかんを配ったなどとして、公選法違反(事後買収、買収申し込み)の罪に問われた南波氏の妻で東吾妻町原町、会社員、久美子被告(68)の初公判が20日、前橋地裁(国井恒志裁判長)であり、久美子被告は起訴内容を認めた。検察側は「人数も合計価格も多く悪質。選挙運動はボランティアという無償の原則に大きく反する」として懲役1年を求刑、即日結審した。
 検察側は冒頭陳述や論告などで、被告が4月7日の投開票日の夜、南波氏と話し合い、応援演説などで尽力した選対幹部9人にあいさつ回りをすることを決めたと指摘した。
 被告はたんす預金からの現金10万円とようかんを贈ろうと準備。現金を渡そうとしたが全員に受け取りを拒否されたり、後に返還されたとした。自宅に返しに来た人がいたことで南波氏に発覚し、「何回選挙やっているんだ」などと叱責(しっせき)されたという。
 南波氏の供述調書も読み上げられ、「厳しい選挙戦になり、妻にそこまで思い詰めさせてしまったことを申し訳なく思う」と話した内容が明らかにされた。
 被告に質問で久美子被告は動機について「親身になって応援してくれた方々への感謝の気持ちだった」と説明。「軽はずみなことをしてしまった。後悔ばかりしている。多くの方には迷惑を掛け本当に申し訳なく思う」とうつむいた。
 弁護側は最終弁論で、南波氏が議員辞職したことや、事後買収であるとして「選挙の結果を左右しようとするものではなかった」などと主張し、執行猶予付きの判決を求めた。
 論告などによると、久美子被告は投開票日後の4月9~10日、運動員9人に対し、選挙運動の報酬として、ようかん計7箱(計約4万4千円相当)を配り、現金計80万円とようかん計2箱(計約1万3千円相当)を渡そうとしたとされる。

**********毎日新聞地方版2019年8月21日
公選法違反 元県議妻、買収認める 
懲役1年求刑し結審 地裁初公判 /群馬

 4月の県議選で当選した南波和憲氏(71)=5月に辞職=を巡る公職選挙法違反事件で、同法違反(事後買収など)罪に問われた南波氏の妻久美子被告(68)の初公判が20日、前橋地裁(国井恒志裁判長)であった。久美子被告は「(選挙運動の)謝礼として、ようかんと現金を渡した」と起訴内容を認めた。検察側は懲役1年を求刑、弁護側は情状酌量を求めて結審した。判決は9月6日。
 起訴状などによると、久美子被告は県議選後の4月9~10日ごろまでの間、選対幹部9人に対し、南波氏の選挙運動に対する報酬として、ようかん計7箱(計約4万4000円相当)を供与し、さらに現金計80万円とようかん計2箱(計約1万3000円相当)の供与を申し込んだとしている。
 冒頭陳述で検察側は、久美子被告は県議を6期24年務めた南波氏の妻であり、「金品の配布が選挙違反にあたることを認識していた」と指摘。「選挙の公正を害する悪質な買収だ」と述べた。久美子被告は「これまでにない厳しい選挙情勢の中、病を押して『最後の選挙』に挑んだ夫への支援に対し、お礼がしたかった」と話した。
 前橋地検は、9人のうち和菓子を受け取ったとして公職選挙法違反(被買収)の疑いで書類送検された7人を全員不起訴とした。残る2人は和菓子と現金の受け取りを拒否していた。【神内亜実】
**********

■この記事を何度か読み返してみましたが、どうもしっくりきません。当選7度目の重鎮の妻が果たして、公選法違反を犯してまで、夫の連座制適用のリスクを承知しながら、現金や物品を配るでしょうか。

 あるいは、もしリスクとして承知していなかったとすれば、いつものようにこれまでの6回の当選時と同様に、金品を配布していたことになります。

 証拠があるわけではありませんが、もしかしたら、南波氏がいつものように支援者らに御礼を配ろうとしたのを第三者に見とがめられて、妻のせいにしたのかもしれないのです。

 検察の冒頭陳述にある通り、当選が決まった夜、妻は南波氏と話し合って、応援演説などで尽力した選対幹部9人に挨拶回りすることを決めたというのですから、妻だけが挨拶に出向いたというのは不自然です。

 もしかしたら、自分が懲役刑を受けるリスクを少しでも軽減するために、妻に犠牲的精神の発揮を促したか、妻の方からリスクを負うのを進んで引き受けたのか、いずれにしても妻のせいにするのは不自然であり、妻の責任を夫として連帯して負うという気持ちがもっと表に強く出てしかるべきです。

 当会では既に下記ブログにも書いた通り、9月6日の判決言渡し内容を見てから、選挙公営費の返還に係る住民監査請求を視野に検討したいと思います。
○2019年7月24日:妻が公選法違反で起訴!・・・4.7県議選で南波前県議が血税で使った選挙公営費用158万円の落とし前
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2989.html

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

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