市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

大同スラグ問題を斬る!・・・渋川広域ゴミ処分場を巡る公金違法支出に地元議員らが住民監査請求

2015-07-24 07:02:00 | スラグ不法投棄問題
■渋川地区広域市町村圏振興整備組合は、群馬県のほぼ中央部に位置する3市町村(渋川市・吉岡町・榛東村)で組織されている一部事務組合で、消防、ゴミ処理、し尿処理、浄化槽清掃、火葬・斎場、夜間急患診療、職業訓練、運動場等の広域関連事務を共同処理しています。このうち最も大きな事業の一つであるゴミ処理について、同組合では、新しく2012年11月30日から一般廃棄物処分場を建設してきました。建設工事期間中とその前後は、渋川広域のゴミは安中市のサイボウ環境㈱(実際には長野県のイーステージ㈱が所有・運営)の一般廃棄物処分場で受け入れていました。同組合のこのゴミ処分場の建設を巡っては、さまざまな不正行為が取りざたされており、これまでにも地元のかたがたから当会に情報が寄せられ、ブログで紹介してきました。
○2014年10月3日:渋川広域ごみ処分場・・・環境省交付金約10億円の行方を左右する疑惑の変更協議と有毒スラグ問題↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1414.html
○2015年3月9日:大同有毒スラグ問題を斬る!…最終処分場の建設に大同スラグが使われた動かぬ証拠↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1550.html

渋川広域ゴミ処分場を巡る公金不正支出に関する住民監査請求を報じた本日の毎日新聞記事。
**********毎日新聞2015年(平成27年)7月24日朝刊群馬版
20150724_shibukawakoiki_gomishobunjou_juminkansaseikyu_kiji.pdf
渋川処分場 2議員が監査請求
「違法増額」1億2400万円返還求め
 渋川市での廃棄物処分場建設で違法な増額変更があったとして、角田喜和・渋川市議と小池春雄・吉岡町議が23日、渋川市、吉岡町、榛東村でつくる「渋川地区広域市町村圏振興整備組合」管理者の阿久津貞司渋川市長に約1億2400万円の返還を求める住民監査請求をした。工事に使われた大同特殊鋼のスラグ砕石の撤去も求めている。
 住民監査請求署によると、最終処分場建設の総事業費は当初、約30億9400万円だったが、最終的に約9700万円増額した。しかし、組合は議会に増額と説明しながら、県や国には減額と説明していることから、差額約1億2400万円を「違法な公金支出」だと主張している。【尾崎修二】
**********

■今回、これら不正行為の清算の総決算として、地元議員らが住民監査請求に踏み切ったことが、当会をはじめマスコミ関係にも情報として通告がありましたので、以下に住民監査請求の内容を報告いたします。

*****【住民監査請求の内容】*****
          住民監査請求書
渋川地区広域市町村圏振興整備組合監査委員殿
          請求の要旨
1、監査対象者  渋川地区広域市町村圏振興整備組合
         管理者 阿久津 貞司
2、事件の概要 
 平成24年11月8日、渋川地区広域市町村圏振興整備組合(以下、渋川広域)は、「(仮称)渋川地区広域圏一般廃棄物最終処分場建設工事」(以下、本件工事)の「条件付き一般競争入札」を執行し、「瑞穂・北部・石関(仮称)渋川地区一般廃棄物最終処分場建設工事特定建設工事共同企業体」(以下、本件JV)が落札、30億9,435万円(消費税5%含む)工期、平成26年9月30日にて請負契約を締結した(以下、当初契約)。
 後に、工期延長(平成26年12月22日まで)、平成26年7月25日に6,823万4,400円の増額変更(以下、本件変更契約1)及び平成26年12月19日に2,884万6,800円の増額変更(以下、本件変更契約2)の二度の増額変更契約を経て、渋川広域は、本件JVに総計31億9,143万1,200円支払い、当初契約との差額9,708万1,200円が増額となった。
 しかし本件工事は、総事業費の三分の一を環境省からの補助金「循環型社会形成推進交付金」で賄う事業の一部「最終処分場整備事業」である。補助比率三分の一は不変であるから、事業費が増額となれば補助金も同比率で増額申請すべきところ、平成27年1月20日付、群馬県知事宛「平成26年度循環型社会形成推進事業実績報告書」(事実証明書1)様式7-2によれば、「交付基本額(実績額)」30億6,726万5,000円・「交付金実績額」9億9,741万4,000円ともに減額されており、もし「交付基本額(実績額)」が事実なら(事実でなければ、虚偽の報告になるが)減額変更契約にならなければならない。
 渋川広域副管理者「飯塚寛巳」、事務局長「飯塚英樹」が議会で説明した増額変更契約と整合性がない。その差額 「1億2,416万6,200円」は違法な公金支出である。
 また、本件工事には設計書と異なる仕様の資材「有害産業廃棄物」が一部使用された形跡が認められる。減額変更を行わず正規の資材の金額を「有害産業廃棄物不法投棄」に支払っている。
3、本件変更契約の違法性 
 一部事務組合である渋川広域は、地方自治法(以下、法)第1条の3の③に規定される特別地方公共団体であり、法第2条⑯前段に、「地方公共団体は、法令に違反してその事務を処理してはならない。」同じく⑰「前項の規定に違反して行った地方公共団体の行為は、これを無効とする。」とある。
 法第234条には、契約の締結の規定がある。本件当初契約も条件付き一般競争入札(官製談合の疑いあり)の後、議会議決を経て締結された。そもそも入札にあたっては設計図書を精査して、積算し入札額(契約額)を決定してあるはずであるが、諸般の事情により契約の変更が必要な場合もありうる。その場合双方が書面により協議し合意した後、契約変更議案を議会に諮り、議決を経て変更契約を締結してから変更部分の工事を施工するのが原則であり、「建設業法第19条第2項」に規定されている。
 低金額で落札の後、設計図書を精査して積算したはずの契約額を施工段階で安易に増額変更することは、請負制度・入札制度を蔑ろにすることに他ならない。
 さて「本件変更契約」(平成26年7月25日議決)(以下、変更契約1)を検証すると、議会に諮ったということは、「変更契約1」が議会議決を要する議決事件との認識はあったということになる。だとすれば「変更契約1」のコリンズ(一般財団法人日本建設情報総合センター工事実績)変更登録日は、群馬県建設工事必携(赤本)の定めにより、平成26年7月25日から10日以内でなければならない。かつ増額変更した工事の着工も同日以降でなければならないはずであるが、その増額変更工事はほとんどすべて平成26年7月25日時点ですでに終了している。
 よって、以下の違法が認められる。
ア、契約変更を行わず、変更工事を施工した(議会で説明された工事が実際に額面どおり施工されたか否かは後に陳述する)建設業法第19条の2項違反である。
イ、「本件変更契約1」のコリンズ登録を見ると、工期延長登録は平成26年10月20日、増額変更は10月23日に変更登録となっている。ともに変更事由発生年月日は、(仮契約の日付)平成26年7月2日となっている。大幅な登録の遅れ、不可解な、同一契約書の工期延長、増額変更の日を違えての登録等、変更仮契約書が日付を遡って偽造された疑いがある(3か月の登録遅延の理由がない)。
 請求者が担当職員に聞き取りの結果、議会議決の時点で仮契約書は存在しなかった。仮契約書も無く、議会に諮ったこと事態、地方自治法第96条の違反である。
 また、7月25日に議決された「本件変更契約1」の増額部分で、本来設計変更の対象にならないものが違法に多く計上されていることが資料請求により判明した。
 次に、2回目の「本件変更契約2」(平成26年12月19日議決)はインフレスライド条項を適用しているが、国が決めた制度の適用であるなら、当然インフレスライドによる増額変更分は交付基本額(実績額)30億6,726万5,000円に含まれなければならず、増額するなら総交付基本額を増額しなければならない。
 増額分は、渋川広域の単独事業費で支出すべき性格のものではない。
 本来設計変更の対象にならないものが違法に多く計上されており不当計上である。
 例えば、12月19日の変更に於いて、性能発注の数量変更はあり得ない。インフレスライドを適用しているが、実際には全体スライドを適用している。
ウ、契約変更をしない違法 
 新聞報道及び群馬県廃棄物リサイクル課等によれば、大同特殊鋼㈱(以下、大同)由来の有害鉄鋼スラグ(産業廃棄物)が、佐藤建設工業㈱(以下、佐藤)により天然砕石と混合され(以下、スラグ混合砕石)大同、佐藤ともに産業廃棄物処理の資格が無いにもかかわらず、県下一円の建設工事に使用されたとされている。
 請求者が、大同から得た回答書(事実証明書3)によると、本件工事にも、大同中央混合所(スラグ砕石製造)から、天然砕石の代わりに1,250立米の「スラグ混合砕石」が搬入された記録がある。
 また設計書A-13にサンドマット工の表示がある(約1,680万円)が、その資材搬入の記録がない。施工していないか「スラグ混合砕石100-0」で代用した(不法投棄)可能性がある。いずれも設計書と異なる資材を使ったのであるから設計変更していなければ出来形不足となる。「スラグ混合砕石」が仮に設計書当初の材料と同等の強度を有していたとしても環境基準を超えた六価クロム・フッ素等が含まれていては使用できない
 設計変更・減額変更しないのも違法であり、産業廃棄物不法投棄であり当初設計の材料単価での支払いは詐欺的行為である。
 本件工事の目的物は、有害物質を環境に拡散させないための「クローズド型最終処分場」である。その目的物自体から有害な六価クロム・フッ素が浸出したのでは、「循環型社会形成推進交付金事業」の目的が達せられたとは言えない。
4、事件の背景  
 受注者側(本件JV)が不当な増額を要求しても、発注者側(渋川広域)が受け付けなければ何ら問題はないが、本事件は、副管理者・事務局長が率先して、議会において虚言を弄してあたかも正当・適法であるかのように一部議員を錯誤に陥れ、違法な議案を議決させ違法な公金支出をさせ渋川広域に損害を与えたものである。
 公共工事を介して、役所(公務員)が特定事業者に便宜を図り、不当利得を得させる構図は、官製談合と何ら変わりはない。
 ちなみに事件当時の副管理者 飯塚寛巳被告は、平成27年7月7日前橋地裁において、加重収賄などの罪で懲役2年6か月、執行猶予4年、追徴金15万円の有罪判決を受けた。(事実証明書2)
5、措置の勧告
 監査委員に次の措置を求める
1)渋川地区広域市町村圏振興整備組合 管理者 阿久津貞司は、違法な公金支出1億2,416万6,200円を渋川広域に返還せよ。
2)渋川地区広域市町村圏振興整備組合 管理者 阿久津貞司は、環境大臣に提出した循環型社会形成推進交付金申請書を取り下げ、全工事費による補助金を申請せよ。
3)渋川地区広域市町村圏振興整備組合 管理者 阿久津貞司は、瑞穂・北部・石関(仮称)渋川地区一般廃棄物最終処分場建設工事特定建設工事共同企業体に、本件工事に使用した「大同」由来の産業廃棄物スラグをすべて取り除かせよ。
6、請求者
  住 所  群馬県渋川市○○○○○
  職 業  渋川市議会議員
  氏 名  ○○○○                
  住 所  群馬県北群馬郡吉岡町○○○○○
  職 業  吉岡町議会議員
  氏 名  ○○○○
以上、地方自治法第242条第1項の規定により、別紙事実証明書を添え、必要な措置を請求します。
               平成27年7月23日 
渋川地区広域市町村圏振興整備組合監査委員 殿

         事実証明書
1,平成24年度循環型社会形成推進交付金申請書
2,平成27年7月8日新聞記事
3,請求者が、大同特殊鋼(株)本社総務部広報室から得た回答書
**********

■このように、渋川広域のゴミ処分場はデタラメな行政手続きのオンバレードで作られたことが分かります。

 とくに、談合による高い落札率、工事着工後の事業費の増額変更、そして有害スラグの不法投棄は、群馬県の公共事業の3点セットとも言うべき特徴となっています。こうして生み出された不正利得は、裏金として受注業者側から政官の関係者に還流され、さらなる政官業の癒着を生み出す構図となっています。先日の渋川市副市長の逮捕も、そうした構図が生み出した事象のひとつとしてとらえることが出来ます。

■渋川広域組合のHPのトピックスには、2013年8月5日付で「『(仮称)渋川地区広域圏一般廃棄物最終処分場建設工事』に係る住民訴訟についての経過報告」が自慢げに掲載されています。
http://www.sknet.or.jp/topics/sosyou

**********
(仮称)渋川地区広域圏一般廃棄物最終処分場建設工事」 に係る住民訴訟についての経過報告
1 住民訴訟の結果  全面勝訴
2 判決(理由)
 ・却下及び棄却(無効確認を求める訴え及び請負契約の解除を求める訴えは、不適法であるから却下、違約金の徴収については、根拠のない請求を求める請求は理由がないため棄却)
3 住民訴訟の概要
 地方自治法第242条の2第1項第2号及び第4号に基づき、(仮称)渋川地区広域圏一般廃棄物最終処分場建設工事に係る条件付き一般競争入札の無効の確認及び同工事の建設工事請負契約を解除し、違約金を徴収せよと求めた事件です。
4 訴訟の経過
 (仮称)渋川地区広域圏一般廃棄物最終処分場建設工事について、渋川地区広域市町村圏振興整備組合及び管理者が被告として平成25年2月14日訴え提起により住民訴訟に至りました。しかしながら、前橋地方裁判所において、「本件入札等は、行政処分にあたらないから、無効確認を求める訴えは、不適法である」、「本件請負契約の解除を求める訴えは、不適法であるからこれを却下する」及び「原告のその余の請求については、理由がないからこれを棄却する」 という判決が同年5月24日に言い渡され、同年6月12日にこの判決が確定しました。
平成25年2月14日 原告が前橋地方裁判所に訴え提起
平成25年4月26日 第1回口頭弁論、結審
平成25年5月24日 判決言い渡し
平成25年6月12日 判決確定
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■今回の住民監査請求の結果、棄却なり却下の監査結果が出た場合、住民訴訟に持ち込まれることも想定されますが、その場合、前橋地裁は上記の2年前の事件と同じように訴訟不適格として門前払いをすることは、客観的にみてかなり難しいと思われます。

 前橋地裁に無用な迷惑をかけないためにも、渋川広域組合の監査委員は、しっかりと監査をして、まちがった監査結果を出さないようにしてほしいものです。

【市民オンブズマン群馬・大同有毒スラグ不法投棄特別調査チーム・この項続く】
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