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1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

大同スラグ問題を斬る!…大同スラグの製造過程を承認していた鐵鋼スラグ協会の“共犯”度数を検証

2015-09-14 00:15:00 | スラグ不法投棄問題
■とうとう大同・佐藤ブラック連合に強制捜査がはいりましたが、以前このブログで鉄鋼スラグ協会に加盟している鉄鋼会社は、鉄鋼スラグ製品の製造や販売について鉄鋼スラグ協会が定めるガイドラインに則って、きちんと管理しなければならないことをお伝えしました。そこで、この件について、更に掘り下げてみたいと思います。まずは前回見ていただいたスラグ混合路盤材製造マニュアルの10ページを見てください。

スラグ混合路盤材の製造および販売管理に関する大同マニュアルの10ページ
2.pdf

■佐藤建設工業は、天然石にスラグを混ぜたニセ再生砕石を販売していましたが、大同特殊鋼は、混合前のスラグについて、有毒物質であるフッ素の含有量の自主管理値を設定していました。その数字は、なんと40,000mg/kgでした(土壌環境基準は4,000です)。詳しくはこちらをごらんください↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1715.html

 その驚くべき環境違反数値が載ったマニュアルを大同特殊鋼は年に2回、鉄鋼スラグ協会に提出していたのです。マニュアルを抜き出してみましょう。

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11.鉄鋼スラグ協会への報告
 スラグ発生元は、鉄鋼スラグ協会のガイドラインに基づく自社マニュアル(本マニュアル)の運用版を、半期ごと(4月、10月)に鉄鋼スラグ協会に提出する。
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 恐ろしいことに、鉄鋼スラグ協会はこの土壌汚染環境基準の10倍までのフッ素を(実際には薄まるはずはないが)天然石で希釈したことにする、“悪の計画”を知っていたことになります。

■では、鐵鋼スラグ協会のガイドラインとは何なのでしょうか?

 当会では、鐵鋼スラグ協会に公開質問を行いました。詳しくはこちらをご覧ください↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1337.html#readmore

 鐵鋼スラグ協会は、その不誠実な回答のなかで次のように述べています。

「当協会は、循環型社会形成推進への取り組みとして、鉄鋼スラグ製品の品質確保、取引の円滑化及び適切な利用の促進のため、『鉄鋼スラグ製品の管理に関するガイドライン』を作成しています。また当該ガイドラインに準拠した鉄鋼スラグ製品管理を行っていることを第三者機関が当該事業所で審査を行い、その結果に基づき当協会の評価会議が審査証明を行っています。」

 また今回の事件について、同協会は次のように述べています。

「大同特殊鋼渋川工場も、第三者機関の審査及び当協会の証明を受けていたにもかかわらず、このような事態が発生したことは誠に残念であります。今後は、このような事態を事前に防ぐよう、審査体制の強化を図る予定です」

 これでは、他人事のように関係ない素振りをしていることになります。「審査をしている」ということは、当然のことながら「内容を把握している」ことに他なりません。鐵鋼スラグ協会としては、「手続きを大同側から申告させ、手続きそのものが遵守されているかを審査している」などと言い訳したいのでしょう。

 しかし、自ら定めたガイドラインの目的として、鉄鋼スラグ製品の“品質確保”や“適切な利用の促進”を掲げているのですから、法令適合性をも検討するのは当然のことです。逃げ口上で切り抜けることは許されません。毒が入っているのに“適切な利用”では訳がわかりません。

■ガイドラインについて当会が入手した内部資料を見ていきましょう。はじめに「SG審査計画書(継続検査)」です。


SG審査計画書(継続審査)
4.pdf

 これを見ると、鉄鋼スラグ製品の管理に関するガイドラインに基づいて、次の事項が載っていることが分かります。

・鉄鋼スラグ協会を経由してSG(スラグガイドライン)審査計画書が作成されています
・審査の適用事業所として“大同エコメットとともに佐藤建設工業”も示されています。
・そして適用範囲として“スラグ混合再生路盤材”と混合の文字が躍っています。


 トップ面談から始まり現場での確認まで、丸一日かかる大がかりな審査であることが判ります。当然“混合”についても確認していることでしょう。

■続いて、「鉄鋼製品管理ガイドライン審査 事前調査書」を見てみます。


鉄鋼スラグ製品管理ガイドライン審査 事前調査書
6.pdf

 丸一日かかる審査の前に、審査が順調に進むように、このような事前調査書が作成されています。

 用意する書類や運用状況が記入されていますが、注目すべきは一番下の「貴事業所でのスラグ製品管理に係る重点項目」です。なぜなら次の記述が目に飛び込んで来るからです。

「・スラグ路盤材原料はエージングロット毎にフッ素値の分析を行い、混合比率を確認し、混合比率毎の商品枠に搬入する。
・スラグ路盤材原料と天然砕石との混合比率はそれぞれの厚みを調整し、フッ素値をコントロールする。」

 何とも恐ろしい記述です。スラグ製品管理に係る重点項目を事前に知らせ、ガイドライン審査を受けているのです。

 このことは当然、鐵鋼スラグ協会にも伝えられるはずです。なぜなら、大同特殊鋼渋川工場のスラグ製品に係る重点事項であるからです。このことを“知らぬ存ぜず“では鉄鋼スラグの“品質確保”は図れません。

 また、「なぜ混合するのか」「法令順守はどうなっているのか」は鉄鋼スラグの“適切な利用促進”の第一歩であり、鐵鋼スラグ協会の審査の重点でもあるはずです。審査の結果、鉄鋼スラグ協会の評価会議が審査証明を行っているのです。

■次に「観察事項一覧表」を見てみましょう。


観察事項一覧表
8.pdf

 この書類は、SG審査計画に伴い、過去の大同特殊鋼渋川工場が受けた継続審査の中で、指摘されたことや、良かったことが記述されたものです。この書類にも次のとおり注目される個所があります。

・中段を見ると「中央混合所の製品、スラグ、天然砕石の置き場境界がはっきりせず」として、「O:改善の機会」と指摘されたり、
・その一番下の行では「F濃度に応じた混合比率の設定を行い、保管場所を区別管理し、混合場所でのショベルの今後回数を標準化して品質向上を図っていました。」として「G:良い点」と評価されていたりしています。


 “今後回数”は混合回数の誤りだと思われますが、F濃度、つまり有害スラグのもつフッ素の値に応じた混合比率を設定することにより、「品質向上につなげた」として評価されています。

 ここで皆様に注目していただきたいのは、「F濃度に応じた混合比率の設定が品質向上につながる」となっている点です。F(フッ素)の値をコントロールすることが、鉄鋼スラグガイドラインの目的である品質向上に寄与する、とSG継続審査は認めているのです。鐵鋼スラグ協会は、フッ素の値をコントロール(土壌環境基準値抵触操作)することを知っています。

 こうした一連の書類を見ると、この経過観察の以前は、混合比率の設定は為されていなかったことになり、適当に混ぜたり混ぜなったり、極端にフッ素濃度が高いところができてしまっていたことが分かります。

 このようにガイドラインに堂々と違背している書類がまかり通れた背景には、大同特殊鋼が高額納税者であることへの妙な配慮や大同自身のオゴリがあったとしか思えません。

 そして、今回の事件が発覚した時に行った国や県の調査方法は、ホンの6カ所程度を選んで、天然石とスラグを一緒にサンプリング(採取)し、しかも均等混合を行い、採取したすべての物質を砕いて粉にし、水につけて検査するというものでした。こうすれば、スラグ中の有害物質が環境基準をオーバーしていても、検査の結果、天然石との混合で見かけ上、基準値を下回るようになることを、大同も行政サイドも、あらかじめ研究し尽くしていて、悪用したことの現れだ、と見なすことが可能です。

■この継続審査計画に基づき、大同特殊鋼渋川工場は合格証明を受けています。スラグ製品管理に係る大同特殊鋼の重点項目で「フッ素の値をコントロールする」と申告しているにもかかわらず、合格してしまっているのです。

 世界トップクラスの製鋼技術を有し、科学的な知見が豊富な我が国の鉄鋼業界が組織する鐵鋼スラグ協会が、天然石とスラグによる固体同士の希釈混合が不可能である、ということを知らないはずはありません。

 鐵鋼スラグ協会には、次の重要な事項について説明責任があります。

1. 今回の考察の最初で勉強した、土壌環境基準4,000を大幅に超過したマニュアルの報告を受けています。
2. また大同特殊鋼のスラグ製品管理に係る重点事項によりフッ素値のコントロール(土壌環境基準抵触操作)行うことを申告されています。


 これらの2つのポイントを合わせて考えるとき、鐵鋼スラグ協会、ひいては鉄鋼業界全体が、混ざり合うことは無い固体同士の希釈混合によるフッ素値のコントロール(土壌環境基準抵触操作)を承認し、業界全体で進めたことが判ります。

■鐵鋼スラグ協会は、大同特殊鋼と佐藤建設工業のブラック連合が、フッ素という毒物を薄める目的で天然砕石に混ぜていたことを知っていたのです。

 科学知識に精通した鉄鋼業界は、もしこのコントロール方法が問題となった場合、検査機関となる公共団体のサンプリング方法を研究し尽くし、天然石との均等混合という新手の奇策を編み出したものと見られます。

 そして、その悪用の仕方を練りに練った挙句、混ざり合うことがない固体同士の希釈混合を、あたかも液体のように混合できると欺いて、スラグの不法投棄を全国的に進めようとしたのです。そのパイオニア的役割を大同特殊鋼が、保守王国で政治的圧力に弱く、土建行政に比べてひ弱でズサンな環境行政で知られる群馬県にある同社渋川工場で実行したのでした。

 鉄鋼業界の福音となる有害物質入りのスラグを安価に処分するための抜本的対策として、業界の元締めである鐵鋼スラグ協会が総力をあげて、スラグ(鉱滓)=サンパイを不法投棄できるように応援していた、としか考えられません。

■平成26年1月27日、群馬県による大同特殊鋼への立ち入り調査が実施されると、鐵鋼スラグ協会は、大同特殊鋼からの申し入れの形をとって、長年協会に加盟させていた大同特殊鋼をさっさと脱会させました。

 そして平成27年1月には、大同スラグの問題性が次第に指摘され始めると、鉄鋼スラグガイドラインを自ら改定しました。その内容は、混合前に有害物質の検査をすることや逆有償取引をすることは禁止する、というもので、もともと遵守すべき内容を、やっと盛り込んだ形となっています。

 しかし当会は依然として懸念を抱いております。なぜなら、スラグに関する逆有償取引については、“裏道”が用意されてあるように思えてならないからです。ガイドライン改定についてはこちらを参照してください↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1509.html

■以上、大同マニュアルやガイドライン審査、ガイドラインの改定を合わせて考えるとき、鐵鋼スラグ協会は、今回、警察の強制捜査を受けた大同特殊鋼・佐藤建設工業と共に、有害スラグ不法投棄事件を起こした共同正犯者であることが強く疑われます。

 鐵鋼スラグ協会の幹部の皆様、今すぐ群馬県警に出頭して、以上の疑惑を一部始終、告白することを強くお勧めします。その上で、グリーン購入法の鉄鋼スラグの環境物品への登録辞退を届け出し、そもそも胡散臭くて如何わしい鐵鋼スラグ協会の解体を自主的に行い、反省の姿勢を、群馬県民をはじめ国民の皆さんに示さなければなりません。

 なぜなら、ふるさとの群馬県土をフッ素や六価クロムという毒物で広範囲に汚染した今回の事件は、その影響が長期的かつ極めて甚大だからです。また、この取り返しのつかない重大な環境汚染事件を発案した首謀者、遂行した実行者、幇助した共犯者、そして黙認したり甘い汁を吸ったりした関係者らは、群馬県民や日本国民にとって好ましからざる存在だからなのです。

 “群馬ちゃん”は本当に怒っているのです。

【市民オンブズマン群馬・大同有毒スラグ不法投棄特別調査チーム・この項続く】
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