市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

大同有害スラグ問題を斬る!・・・当会会員が群馬県に対し住民監査を提出!①

2016-06-26 20:56:00 | スラグ不法投棄問題

■市民オンブズマン群馬の会員が、今月の18日の定例会で発表した通り、平成28年6月22日付で群馬県監査委員に対し郵送で住民監査請求書を提出しました。記事の後半に全文を掲載してあります。

 同会員から、請求の要旨を入手しておりますので、全文を掲載いたします。併せて、読者の皆様にも容易にお分かりいただけるように、その内容のポイントをまとめてみました。

 今回の住民監査請求のポイントは次のとおりです。

①大同特殊鋼由来のスラグは、群馬県が廃棄物と認定したこと

②大量にばらまかれたスラグは不法投棄の状態であり、かつ直下の土壌を汚染させる恐れがあること

③不法投棄された産業廃棄物は事業者の責任において全面撤去しなければならないものであること


 以上のことから、「大同グループが自ら排出した産業廃棄物である有害スラグを存置することは住民の生活環境の保全上重大な支障をきたすので、群馬県知事に『廃掃法』によりスラグの撤去と『土壌汚染対策法』に基づき『措置命令』を発出せよ」との勧告を求める内容となっています。

■ミニ解説■
群馬県が廃棄物と認定したスラグはどのように処分したらよいでしょうか?日本産業廃棄物処理振興センターの説明を引用してみましょう。↓
http://www.jwnet.or.jp/waste/knowledge/shorinonagare.html
**********


<産廃知識 廃棄物処理の流れと行為>
生産工程から「発生」した廃棄物は、適正処理や再資源化のために「排出」されますが、発生をできるだけ少なくする「発生抑制」や排出前に、その一部を再度利用する「再利用」の取組みが行われます。廃棄物が排出され、最終的に処分されるまでの行為、すなわち、廃棄物の「分別」「保管」、「収集運搬」、「再生」、「中間処理」および「最終処分」までの一連の流れの行為が行われますが、廃棄物処理法では、これらの行為を一括して「処理」、また「中間処理」および「最終処分」を「処分」と定義しています。(上図)

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 上記に示す通り、産業廃棄物の処分には次の二つがあります。

  ・中間処理
  ・最終処分


 毒があろうがなかろうが、廃棄物はこのように処分しなければなりません。

 廃棄物処理法第3条には「事業者は、その事業活動に伴って生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならない。」と定められています。適正に処理するとは、正しく中間処理をするか最終処分場に処分することを指しています。道路や学校、公園、農道等に投棄することは、適正に処理されているとは到底言えません。

 よって、大同有害スラグは、廃棄物処理法第3条に従い
適正に処理されていない大同スラグは、毒があろうとなかろうと、廃棄物として大同特殊鋼が自ら適正に処理しなければなりません。

 廃棄物を撤去・処分した上で、土壌汚染対策法第5条に従い、直下の土壌が汚染されているか調査し、土壌が汚染されている場合には、土壌汚染対策法第6条に従い要措置区域に指定した上で、当該土壌も撤去し、または地下水脈との遮断の措置を取り、地下水を常時監視しなければなりません。

 このことより、群馬県知事に「廃掃法」「土壌汚染対策法」に基づき速やかに「措置命令」を発出せよとの内容になっているのです。

※当会注):大同特殊鋼由来のスラグには有害物質であるフッ素が含まれている疑いが強く中間処理をすることはできません、また最終処分の際には遮断型最終処分場に埋設処分しなければなりません。

■それでは当会会員が群馬県監査委員あてに提出した住民監査請求の全文をご覧ください。

*******請求の要旨 全文*******PDF ⇒ lxo11.pdf
             請求の要旨

1、措置対象者 群馬県知事 大澤正明

2、事件の概要 新聞等で報道されたように、大同特殊鋼㈱渋川工場より排出された有害鉄鋼スラグ(以下、大同スラグ)は、群馬県により「産業廃棄物」として認定され、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(以下、廃掃法)違反で告発、群馬県警の捜査の結果、書類送検された、すでに起こってしまった今回の不法投棄(産業廃棄物が法で規定された処分場以外の場所に処分され公共工事等に使われた)事件(以下、本件不法投棄事件)の当事者(大同特殊鋼(株)・大同エコメット(株)・(株)佐藤建設工業、以下、大同グループ)の処罰は司法の手に委ねられたが、大量にばらまかれた大同スラグの後始末は「廃掃法」により行政処分を行うものとされている、群馬県庁において産業廃棄物処理を主管するのは「環境森林部・廃棄物リサイクル課」であり、行政処分の権限は群馬県知事にある。
 しかし、どこの部署が主導したか請求者の知るところではないが、県土整備局、関東地方整備局、渋川市の三者で「鉄鋼スラグに関する連絡会議」(以下、三者連絡会議)と称する会合を、独自の規約まで定めて組織した。
 この連絡会議を構成する三者は、いずれも所管する複数の公共工事に(騙されたか、承知していたかは別として)天然砕石と大同スラグを混合し再生砕石の体を装ったものを、敷き砂利、路盤材、盛り土等として使用した当事者であり、本件不法投棄事件のように、天然素材と、本来は遮断型最終処分場に処分しなければならない大同スラグを混合し建設資材として、公共工事の地面の下に不法投棄するという前代未聞の手の込んだやり方は、役所側の関与なしには成しえない、設計書に記載された材料以外の使用は、発注者(役所)側の許可が必要で、許可を与えた三者は不法投棄を幇助したといえる。
 本件不法投棄事件の当事者ともいえる三者が、会議をするのはかまわないが、あたかも自分たちが、産業廃棄物処理の主管であるかのように、「一部撤去」「表面被覆」「存置」など「大同グループ」を利するようかってに決めるなど越権行為であり許されない、不法投棄された産業廃棄物は全面撤去(当事者負担)が鉄則であり、「大同グループ」が自主的に行わない場合、「廃掃法」により群馬県知事が行政処分を行わなければならない。環境省からも「平成25年3月29日(環廃産発第1303299号)行政処分の指針について」で迅速な対応を促している。

3、違法性 三者連絡会議が決めたとされる基本方針によれば、大同スラグを環境基準値で区分し、超過かつ「管理者において将来にわたり管理できない施工箇所等」(意味不明であるが「民有地」のことか?)のみ撤去、その他は「表面被覆」か「存置」、つまり将来訴訟を提起されるかもしれない民有地以外は一切撤去しない、県環境部の助言を得ながら?蓋をして放置するつもりである。
そもそも、この三者連絡会議はどの法令を根拠に不法投棄産業廃棄物の処分方法について決定する権限を有しているのか、主管部局である県環境部をさておき、県知事から命じられたわけでもないのに、本件不法投棄事件の片棒を担いだ三者に決定権などあり得ない。
 渋川市長・阿久津貞司は、平成27年12月11日、三者連絡会議の基本方針に沿った「渋川市の工事における大同特殊鋼株式会社の鉄鋼スラグ製品の処理に関する基本協定書」(以下、渋川基本協定)と称する奇怪な文書を大同特殊鋼(株)と取り交わした、不法投棄産業廃棄物は行政が撤去を命じるもので、協定などあり得ない、(あるとすれば、「無条件、自己負担、自主全面撤去」である)、しかもこれを公表し、群馬県知事の権限を侵し、あたかも行政処分であるかのように県民を欺くのは本件不法投棄に加担した故か。
 三者連絡会議は「基本方針」及び「渋川基本協定」のなかで、「産業廃棄物」の文言は一切使わず、「鉄鋼スラグ」「鉄鋼スラグ製品」と表記し、有害鉄鋼スラグ即ち「大同スラグ」が、群馬県環境部により「産業廃棄物」と認定されていることを無視するがごとく、あたかも手違いで環境基準を超過する不適切な建設資材が、公共工事に使われてしまったので、建設部局で処理するのが相当であるかのように報道させ、有害産業廃棄物を全面撤去することなく県内各地に存置(放置)したまま「本件不法投棄事件」の行政処分を装って終結させようとしている。
 産業廃棄物は「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」に則り処理されなければならない主管は群馬県環境森林部廃棄物リサイクル課であり、権限者は群馬県知事である。

4、大同スラグの特性と問題点

ア、群馬県により大同スラグは産業廃棄物と認定された(司法判断は不要)、よって有害物質(以下、毒)の有無にかかわらず撤去の対象となる、地表にあっても、地下にあっても、構造物の中にあっても同様である。
イ、スラグ混合砕石、スラグ100%砕石も、スラグのみを分離して分析しなければ正確な毒の量(環境基準に対する)は分からない、土壌汚染対策法に基づく指定調査機関で検査していない(渋川市)。
ウ、スラグを撤去しても周辺の土壌が汚染されている。土壌の入れ替えも必要となる。
エ、渋川市の分析参考値(計測に違法性あり)でも、大幅に環境基準を超過した毒が検出されているにもかかわらず、なんの科学的根拠もなく「直ちに健康には影響ない」(渋川市議会答弁)と住民の健康調査すらしようとしない、初期の不法投棄からすでに20年以上経過している。
オ、スラグには、水分を吸収して体積が膨張する特性がある、そのため毒のないリサイクル可能なスラグは予め水分を含ませて処理(エイジング)をした後使用される、しかし本件不法投棄事件の大同スラグの場合、不当な利益追求のあまりこの工程も省き、場所によっては100%スラグのまま投棄した、スラグの膨張は、構造物、道路等を破壊する、本件不法投棄事件発覚のきっかけとなった、「渋川スカイランドパーク」を見れば一目瞭然であり、県内各所のスラグ使用現場(上武国道、八ツ場ダム等)にもその影響が表れている、スラグ撤去には公共工事のやりなおしを要するが、公金の支出はあってはならない。
カ、大同グループは、本件不法投棄事件で莫大な不当利得を得ているので撤去する資力はある、行政は、住民の生活環境の保全上の支障(すでに支障は発生している)の拡大を防止するために、速やかに行政処分を行うべきところ、権限もない「三者連絡会議」は大同スラグ存置に積極的である、大同グループの不当利得が、官側の三者に渡った可能性も否定できない。
キ、仮に「三者連絡会議」の「基本方針」、「渋川基本協定」のとおりで処分終了となれば、群馬県においては、産業廃棄物不法投棄でたとえ刑事罰をうけても、廃棄物は埋めてしまえばお構いなしとの前例となり、全県産業廃棄物処分場となるのが目に見えている。

5、措置の請求 大同グループが県内各地の公共工事現場(公有財産)に大量に不法投棄した「産業廃棄物・大同スラグ」を存置することは、公有財産を破壊し、住民の健康を害し、周辺土壌を汚染し「住民の生活環境の保全上重大な支障をきたす」ので、群馬県知事 大澤正明は、「廃掃法」「土壌汚染対策法」に基づき怠ることなく速やかに「措置命令」を発出せよ。
 との勧告を求める。

6、請求者
 (当会会員)

地方自治法第242条第1項の規定により、別紙事実証明書を添え必要な措置を請求します。

群馬県監査委員殿
平成28年6月○○日

7、事実証明書

①毎日新聞記事(筆者 杉本修作)(写し)
②週刊金曜日記事(筆者 まさのあつこ)(写し)
③鉄鋼スラグに関する連絡会議 規約他
④渋川市の工事における大同特殊鋼株式会社の鉄鋼スラグ製品の処理に関する協定書 他(写し)
⑤環廃産発第1303299号 平成25年3月29日 行政処分の指針について(通知)(前段写し)
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■大同スラグを巡り、住民監査請求が群馬県に提出されたのは当会が東吾妻町萩生地区の圃場整備事業を巡り農道にスラグを不法投棄したのに県が公費でその上に蓋をして証拠隠ぺいをした事件に次いで2件目です。官業癒着があまりにもひどく、不法投棄が悪質でしかも当事者らに反省の意識が希薄な状況なので、今後、さらなる住民監査請求が提起される必要性についても、県民の間で取り沙汰されることでしょう。

【市民オンブズマン群馬・大同有毒スラグ不法投棄特別調査チーム・この項続く】

※参考資料1 
廃掃法(廃棄物処理法)
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S45/S45HO137.html
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廃掃法(廃棄物処理法)は略称で正式には「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」となります。

(事業者の責務)
第三条 事業者は、その事業活動に伴つて生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならない。

(投棄禁止)
第十六条 何人も、みだりに廃棄物を捨ててはならない。
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※参考資料2 
土壌汚染対策法
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H14/H14HO053.html
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(土壌汚染による健康被害が生ずるおそれがある土地の調査)
第五条 都道府県知事は、第三条第一項本文及び前条第二項に規定するもののほか、土壌の特定有害物質による汚染により人の健康に係る被害が生ずるおそれがあるものとして政令で定める基準に該当する土地があると認めるときは、政令で定めるところにより、当該土地の土壌の特定有害物質による汚染の状況について、当該土地の所有者等に対し、指定調査機関に第三条第一項の環境省令で定める方法により調査させて、その結果を報告すべきことを命ずることができる。

2 都道府県知事は、前項の土壌の特定有害物質による汚染の状況の調査及びその結果の報告(以下この項において「調査等」という。)を命じようとする場合において、過失がなくて当該調査等を命ずべき者を確知することができず、かつ、これを放置することが著しく公益に反すると認められるときは、その者の負担において、当該調査を自ら行うことができる。この場合において、相当の期限を定めて、当該調査等をすべき旨及びその期限までに当該調査等をしないときは、当該調査を自ら行う旨を、あらかじめ、公告しなければならない。

(要措置区域の指定等)
第六条 都道府県知事は、土地が次の各号のいずれにも該当すると認める場合には、当該土地の区域を、その土地が特定有害物質によって汚染されており、当該汚染による人の健康に係る被害を防止するため当該汚染の除去、当該汚染の拡散の防止その他の措置(以下「汚染の除去等の措置」という。)を講ずることが必要な区域として指定するものとする。
一 土壌汚染状況調査の結果、当該土地の土壌の特定有害物質による汚染状態が環境省令で定める基準に適合しないこと。

二 土壌の特定有害物質による汚染により、人の健康に係る被害が生じ、又は生ずるおそれがあるものとして政令で定める基準に該当すること。

2 都道府県知事は、前項の指定をするときは、環境省令で定めるところにより、その旨を公示しなければならない。

3 第一項の指定は、前項の公示によってその効力を生ずる。

4 都道府県知事は、汚染の除去等の措置により、第一項の指定に係る区域(以下「要措置区域」という。)の全部又は一部について同項の指定の事由がなくなったと認めるときは、当該要措置区域の全部又は一部について同項の指定を解除するものとする。

5 第二項及び第三項の規定は、前項の解除について準用する。
**********

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