■かつて、国際協力事業団(JICA)職員としてニューヨークに駐在していたこともある山本一太新知事ですが、ブログなどを駆使して、その発信力は政界屈指と言われています。その人物が7月27日に群馬県の第20代知事に就任して1か月が過ぎました。こうした中で、知事として第1回目のインターネット番組を自ら企画・構成・出演・発信すべく、8月19日にマスコミを集めて高崎市内で生放送を行いました。今回はこの話題について取り上げたいと思います。
↑8月20日付け東京新聞群馬版の記事。↑
筆者は1994年ごろ安中市内の軽費老人ホームの役員をしていましたが、当時、ホームの総会に顔を出してくれた父親の山本富雄氏と話をしたことがあります。息子の一太氏と全く異なり、父親の言動は落ち着いた物腰でした。ただしそのころは既に体調を崩していたせいもあったのかもしれません。そして富雄氏は、安中市土地開発公社の巨額横領事件が発覚する直前の1995年3月16日に肝不全で他界してしまいました。
息子の一太氏は、渋高、中大を経て1985年5月に、ジョージタウン大学大学院の国際政治学修士課程大学院卒業後、朝日新聞社に入りましたが2か月で辞め、1986年11月にJICA採用となり、一時国連開発計画(UNDP)にも出向しニューヨークに滞在したこともありました。しかし父親から「体調が良くないから次の選挙を手伝ってくれ」と言われて帰国し1995年2月から父の議員秘書として手伝っていたところ、1995年3月に父親が亡くなってしまい、急遽父の後継として1995年7月23日投開票の第17回参議院議員通常選挙に群馬県選挙区から立候補し、初当選しました。この当時は、筆者としても安中市土地開発公社を舞台にした巨額横領事件が同年6月初めに公となり、その年11月の出直し選挙選に至るまでの半年間は人生のもっとも変動の激しい時期でした。一太氏の場合も同じことが言えるでしょう。
筆者は安中市長選で次点に終わりましたが、一太氏はその後も4選を重ねました。しかし参院委員16年間を通じて、自らを含め世襲だらけの自民王国群馬県内の政局にこれ以上の活路を見いだせないと悟ったのでしょう。2018年11月、東京の世論調査会社に、次期群馬県知事に関する県民の意識調査を依頼し、その結果を11月23日、自身のブログ「気分はいつも直滑降」で「全体としては山本一太が大沢知事をダブルスコアで引き離している」と高い支持があることを発表。その後、2019年7月執行予定の群馬県知事選挙への立候補に向けて、準備を重ね、前任の大澤知事との確執も取りざたされたものの、圧倒的支持を背景に、知事選に臨み、史上最多得票で当選しました。
■では、本題に戻り、8月19日に放送されたネット番組に関するマスコミ記事を見てみましょう。
**********東京新聞2019年8月20日
<ウォッチ!一太県政>菅長官招きネット番組 県費負担には議論必要
↑ネット番組に出演する山本一太知事(左)と菅義偉官房長官=高崎市で↑
山本一太知事は十九日、自身が主宰するインターネット番組を菅義偉官房長官を高崎市に招いて放映した。山本知事は終了後、報道陣に番組について「公務だ。(経費を)公費から出すかは考える」などと説明した。ただ、 知事は番組中に趣味のギターと歌を披露しており、県費で負担するかは県庁内や県議会で議論が必要になりそうだ。この番組は「 直滑降ストリーム 」。山本知事がプロデューサー、キャスター、放送作家、出演交渉などを自身で担当している。七~八年間は続けており、約百六十回は放映したという。
撮影場所は山本知事の関係先で、応接間を改造したスタジオのため場所代は必要ない。ただ、撮影は機材を操作する数人の業者が担当し、放映費、人件費、出張費などが発生しているとみられる。今回は知事に職員一人が同行し、報道陣への対応のために別の職員二人も訪れた。
山本知事は県庁内に最新の動画スタジオを設けるため、補正予算案に費用を計上する意向。今回のような趣味を披露する番組を県費を使ったスタジオで放映する場合にも議論が必要だ。
番組では、菅官房長官が原発事故で続く中国の輸入規制に「風穴を開けたい」と述べた。(菅原洋)
**********上毛新聞2019年8月20日
ネット番組で菅氏と対談 山本知事 就任後初の生放送臨む
↑ネット番組で菅官房長官と語り合う山本知事(左)=19日午後、高崎市(代表撮影)↑
山本一太知事は19日、群馬県高崎市内のスタジオに菅義偉官房長官を招き、インターネット番組「直滑降ストリームin群馬」の生放送に臨んだ。参院議員時代から定期的に放送してきたが、知事就任後は初。群馬県の観光や農産物、危機管理などについて意見を交わし、県政のリーダーとなった山本氏に菅氏がエールを送る場面もあった。
対談は、菅氏に伊香保名物の水沢うどんを味わってもらう演出からスタート。リラックスした雰囲気の中で、約30分にわたって語り合った。
観光振興について、菅氏は訪日外国人旅行者を呼び込むための4条件として気候、自然、文化、食を挙げながら「群馬は極めて可能性が高い」と強調。山本氏に対し「海外に目を向けるなどトップセールスを頑張ってほしい」と期待した。
番組は山本氏が企画、進行しており、放送は約4カ月ぶり。今後は本県の現状や課題、未来をテーマに月1回ペースで放送する予定で、現職閣僚らもゲストとして招く方針。
山本氏は「知事に当選しても必ず再開するという約束を果たす日が、ようやくやって来た。これから新しいバージョンで放送していく」と視聴者に語り掛けた。
**********毎日新聞2019年8月20日11:44
菅官房長官が群馬に 山本一太知事のネット番組に出演
↑© 毎日新聞 山本一太知事(左)のインターネット番組に出演する菅義偉官房長官=代表撮影↑
菅義偉官房長官が19日、群馬県高崎市内で山本一太知事のインターネット番組の生放送に出演した。菅氏は山本知事が国会議員時代から慕う「頼れる兄貴分」。政府の事実上の危機管理者としての公務の合間を縫った来県で、番組出演終了後、すぐに東京へととんぼ返りした。山本知事にとっては、首相官邸との親密さを誇示する機会となった。【西銘研志郎】
群馬県によると、山本知事のこの番組出演は公務扱いという。番組では、山本知事が県の魅力や県政課題を語り、菅長官に県政へのアドバイスや所感を聞く内容だった。県の観光について山本知事がインバウンド(訪日外国人)の来県を増やすために何が必要かと質問すると、菅氏は「群馬は極めて可能性が高い。政府としては外国人に来てもらい、楽しんでもらうための環境整備を応援したいが、実際に(観光客誘致を)やるのは地域。知事がぜひ先頭になってトップセールスをしてほしい」と語った。また東京電力福島第1原発事故を理由に中国が一部を除いた日本産農水産物・食品の輸入規制を続けていることについて、山本知事が「輸入解禁に働きかけてほしい」と懇願すると、菅氏は「日中関係はかつてないほど改善している。関係閣僚にしっかりと『(群馬県)知事が言っていた』と伝える」と応じた。
**********産経新聞2019年8月19日18:43
山本一太群馬知事が菅官房長官と対談 政権との近さアピール
↑インターネットの動画番組で対談する群馬県の山本一太知事(左)と菅義偉官房長官=19日、同県高崎市内(代表撮影)↑
群馬県の山本一太知事は19日、自身のインターネットの動画番組の生配信で、菅義偉官房長官と対談した。観光施策などについて意見を交わすなどして、永田町時代から続く菅氏との「師弟関係」や安倍晋三政権との蜜月ぶりをアピールした。
番組は「群馬県知事 山本一太の直滑降ストリーム in群馬」と題し、同県高崎市内のスタジオに山本氏が菅氏を招く形で実現。冒頭、山本氏が「兄貴」と慕う菅氏に群馬の名産品「水沢うどん」の試食を勧め、菅氏が「お世辞抜きでおいしい」と応じるなど終始和やかな雰囲気が漂った。
対談は、観光施策や農業、外国人労働者など多彩なテーマで進行。草津温泉など豊富な観光資源があるにもかかわらず訪日外国人客(インバウンド)の数が伸び悩む群馬の課題についても話が及んだ。
菅氏は「首都圏に近く恵まれている」と利点を指摘し、かえって誘客にあまり力を入れてこなかったのではないかとの考えを示した。
これに対し、山本氏は「自らトップセールスで攻めていく」と語り、今後は2020年東京五輪・パラリンピックなどを契機にインバウンドの増加が期待できることから、観光振興に注力する姿勢を強調した。
山本氏はこれまで、情報発信の強化の一環で県庁内に動画配信スタジオを新設する構想を繰り返し語っており、この日も実現に向けた意欲を重ねて表明。河野太郎外相ら閣僚を招いて動画番組を配信する考えを示した。
**********日経2019年8月19日19:05
群馬・山本知事がネット番組 菅官房長官が出演
群馬県の山本一太知事は19日、就任後初めて自身のインターネット番組「直滑降ストリーム」を配信した。菅義偉官房長官が出演し、群馬県にインバウンド(訪日外国人)を呼び込むための方策や、農産物の輸出などについて意見を交わした。
山本知事のネット番組に菅官房長官が出演した
番組は群馬県高崎市から中継した。菅氏は「群馬は東京都から近く、観光資源も多い。知事が先頭に立って、インバウンドの取り込みを進めてもらいたい」と述べた。
山本知事が「中国が日本の農産物の輸入を解禁するための働きかけをお願いしたい」と話すと、菅氏は「日中関係はかつてないほど改善している。(輸入禁止に)風穴を空けたい」と応えた。
番組中には山本知事が群馬の名物「水沢うどん」を菅氏にふるまう場面もあった。
**********
■インターネット番組の放送のなかで、山本一太知事の発言した内容で気になることがあります。それは、「日中関係がかつてないほど改善している」というフレーズです。
また、番組構成をみると、菅長官との対談が終わった後、「今、日本で最も現代中国の実態を知る男」と言われている中川コージ博士(一太知事のこの番組ではお馴染みなのだとか)の「知っチャイナ」コーナーが放送されました。この中で、農産物輸出を含む群馬の対中戦略を議論しています。
筆者は、台湾の独立に向けた住民の動きを支持しており、ゆくゆくは我が国は台湾との連邦制を視野に入れて、中共政府に対して一線を画する外交政策を展開すべきだというのが持論です。なので、新知事に対して、これまで群馬県と友好を育んできた日台関係を軽視するのではないか、という懸念があります。
情報発信はよいことですが、やみくもに、立場を鮮明にしないまま、善意を悪意にとらえる相手にもかまわず発信すれば、逆に相手に利用されかねません。新知事が、これまでどおり群馬県と台湾との友好関係を阻害することのないよう、注目していきたいと思います。
【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】
※参考情報1「8月19日放送のインターネット番組」
**********
群馬県知事 山本一太の直滑降ストリーム in群馬(ゲスト・菅義偉官房長官)
https://youtu.be/pPRyuvjjzNg?t=8
【会場のご案内】
2019/08/19(月) 開場:14:35 開演:14:45
この番組は2019/08/19(月) 15:49に終了いたしました。
来場者数:2995人 コメント数:1825
7月に行われた群馬県知事選挙。
前参議院議員の山本一太氏が当選し、群馬県知事となりました。
山本知事は2011年より150回以上に渡り、自民党本部「カフェスタ」より 「直滑降ストリーム」の配信を続け、安倍晋三首相や河野太郎外相といった 大物ゲストを招いてきました。
今回ついに、「群馬県知事 山本一太の直滑降ストリームin群馬」として4月24日以来、約4ヶ月ぶりに放送を行います。
記念すべき「直滑降ストリームin群馬」第1回目のゲストは 山本知事が「兄貴」と慕う、菅義偉官房長官です。
果たして、どのようなトークを繰り広げるのか、お楽しみに!
<放送プログラム>
・一太の近況報告
・ゲスト対談(菅義偉官房長官)
・中川コージの知っチャイナ
※内容は変更となる可能性がございます。
◆山本一太(群馬県知事) 公式HP / 公式Twitter(@ichita_y)
1958年1月群馬県生まれ/中央大学法学部卒業/米国ジョージタウン大学大学院修了
1995年参議院議員通常選挙にて初当選
外務副大臣、外務政務次官、参議院外交防衛委員長、参議院自民党政策審議会長、参議院予算委員長、自民党外交部会長、内閣府特命担当大臣(沖縄及び北方対策 科学技術政策 宇宙政策)、海洋政策・領土問題担当、情報通信技術(IT)政策担当、自民党総裁ネット戦略アドバイザーなどを歴任。
2019年7月に行われた群馬県知事選挙で当選し、現職。
※参考情報2「気分はいつも直滑降」
**********山本一太のブログ2019年8月19日
21時30分。ソファーの上で意識が戻った。30分ほど気絶(?)じていたようだ。(ふう)冷たい水で顔を洗った。運動する前にブログを更新する。今日も「ちっちゃな冒険」の連続だった。心地良い疲労感に包まれている。
午前10時。商工会議所連合会、商工連合会、中小企業団体中央会の会長3名による表敬訪問を受けた。県とは(いろいろな意味で)関わりの深い3団体だ。
午前11時。全編オール群馬ロケで撮影された映画「影踏み」の関係者と知事室で面会。主演の山崎まさよしさん、監督の篠原哲雄さん、原作者の横山秀夫さん等と言葉を交わした。この3人とお目にかかれるのをスゴく楽しみにしていた。その理由は改めて詳しく書く。
昼食を食べた後、県内某所に直行。14時30分から知事がキャスター兼プロデューサーを務めるウェブ番組「直滑降ストリーム」に出演した。
群馬版の新しいバージョンの最初のゲストは菅義偉官房長官。群馬の農業や観光の可能性、あるべき知事像等について議論した。中身の濃い対談が出来たと思う。
番組を放送したスタジオは記者で溢れていた。初回の放送の模様や対談の内容については、とても書き切れない。近いうちに改めて取り上げる。
■群馬県まで足を運んでいただいた菅長官に心から感謝!!
番組終了後、県庁へ急行。任期を終えた反町副知事に感謝状を手渡した。続けて17時から反町副知事の退任式にも出席。18時からの両副知事の送別会にも顔を出した。
明朝は県内12市長との朝食会がある。早めに「筋力トレーニング」を終わらてしまおう。
追伸:「群馬県知事 山本一太の直滑降ストリーム IN 群馬」をYouTubeにアップした。ぜひご覧ください!!
↑さすがは内閣の要である官房長官!スタジオには大勢のメディア関係者が集まった。↑
↑映画「影踏み」は絶対に見る!もう一度、試写会、やってもらえないかなあ?!↑
↑直滑降ストリーム、弾き語りは40点!何度もコードを間違えた!(ため息)↑
↑反町副知事、40年に渡る県庁勤務、お疲れ様でした!!↑
※参考情報3「知事選前のインタビュー記事」
**********経済界2019年3月14日
山本一太・参議院議員が語る「群馬知事選出馬の理由とこれからの地方自治」
インタビュアー=鈴木哲夫(ジャーナリスト) Photo=幸田 森
稀有の発信力を保ってきた自民党の山本一太参議院議員が今年夏に実施される群馬県知事選挙への出馬を表明し注目を集めている。
ところが、現職知事も現時点で進退を明言せず、4選出馬のチャンスをうかがっていると噂されている。現職知事が立候補を表明すれば、自民党分裂、保守分裂の構図となる。
地域事情で見れば、現職を中心に築いてきた県政運営とこれを変えようとする山本氏の対決構図ということになる。
しかし、この群馬県に限らず、全国の他の地方自治体そのものが少子高齢化や東京一極集中によって、税収減や政策転換など危機に面している。
地方創生をそれぞれが目指す中で新しい発想が求められている。山本氏に、出馬の経緯と新しい地方自治体の在り方などユニークなヒントを聞いた。
1 山本一太・参議院議員プロフィール
(やまもと・いちた)1958年生まれ、群馬県出身。82年中央大学法学部卒業。85年米国ジョージタウン大学大学院(MSFS)修了。86年より国際協力事業団(JICA)勤務。95年17回参議院議員通常選挙に立候補し初当選。内閣府特命担当大臣(沖縄及び北方対策、科学技術政策、宇宙政策)、情報通信技術(IT)政策担当、海洋政策・領土問題担当(第2次安倍内閣)、外務副大臣、外務政務次官、外交防衛委員長、参議院自民党政策審議会長、自民党外交部会長、同遊説局長等を歴任。2019年に実施される群馬県知事選への立候補を表明している。
2 山本一太氏が群馬県知事選に出馬する理由
2.1 群馬に戻る決断の裏にあった支持者からの言葉
―― 参議院議員から群馬県知事に転身を決断したのはなぜか。
山本 国政を4期、23年以上やってきました。その間、閣僚、副大臣、予算委員長や党の役職も経験し、国会議員としてのやりがいを日々、感じてきました。
そうした中でも、政治家として終盤のステージで何をするべきかを考えてきました。自身のライフワークである外交安全保障政策や科学技術政策等の分野で国益に貢献することも含め、やりたいことは山ほどあります。
でも、あるとき、支持者の方からこう言われたんです。
「例えば衆院に鞍替えして総理を目指すのだったらそれはそれでいい。でも、参院議員としてこれ以上、何をやりたいのか? 例えば、これから防衛大臣や農水大臣として活躍してくれたら、俺たちは嬉しい。でも、山本一太の人生としてどうなんだ。このまま参議院議員を続けるより、群馬県に戻って、地元のために尽くしてほしい。そっちのほうが政治家としてやりがいもあるし、人生として意味があるんじゃないか」と。
―― 随分前から考えていたのか。
山本 今年は参院選と知事選が同時にある年です。数年前からいろいろ考えていたこともあって、支援者の方の言葉は説得力がありました。私のようなタイプの政治家はいなかったからこそ、知事として群馬のポテンシャルを引き出してほしいと。
2.2 先進的な地方自治モデルを群馬から発信したい
―― どんな地方自治体の首長を目指すのか。
山本 群馬県のさらなる飛躍と県民生活の向上を目指すのは当然ですが、加えて、群馬県のモデルを先進的な地方自治のモデルとして内外に発信したい。それを日本の地方自治の仕組みや中央と地方の役割分担のスタンダードにしていけるような首長になりたい。
地域から中央を変えるという流れを作りたいのです。地方創生は容易い仕事ではありませんが、これからは、首長の時代だと確信しています。
―― 具体的には?
山本 まず、今までやってきた外交の経験を生かせると思います。
例えば、米国の州知事は外交にも積極的です。州知事ほどの権限はないとしても、日本の知事だって、群馬県とカリフォルニア州とか、群馬と台湾、韓国、中国という関係で地域外交を展開できるはず。経済や文化、人的交流を通じて地方自治体の可能性を広げられるはずです。
今まで培ってきた各国要人との人脈、外交センスを駆使すれば十分、可能だと考えています。群馬モデルの地域外交を、全国の自治体に示したいですね。
3 群馬県知事としての山本一太議員の構想とは
3.1 群馬県民の新たなプライドをつくっていく
―― 地域外交は、政府の外交をカバーすることもできると。
山本 そう思います。加えて言うと、知事が県のGDP増加とか、県民所得の向上を目標に掲げるのは当然ですが、私がやりたいのは県民の新たなプライドを作り、根付かせること。
群馬にはいいものがいっぱいあるのに、魅力度ランキングも幸福度ランキングも低い。郷土愛も低い。こういうものをぶち破って行きたい。
同じ課題を抱える北関東の3県では、東京に引け目を感じている人もいる。でも見方を変えると違う世界が見えてくる。例えば、関東全体を3千万人が住むスーパーシティーだと考える。東京をその中の1つの核だととらえれば、群馬を含む3県も、それぞれ個性を持つ複数の核になる。こうしたポテンシャルを示しつつ、群馬県民の新たなプライドをつくりたいのです。
私は、群馬を関東全体の中で、最先端のアーティストやクリエーターたちの居住区(拠点)にしたいと考えています。今は多くの人がインターネットで仕事をする時代。どこにいても会議ができるし、提案や資料のすりあわせもできます。事実、実力と才能のある私の友人たちは、パリや香港、軽井沢に住んで、自宅で仕事をしています。彼らは、どこに住んでもいいのです。
エンジニアやプログラマーなどもそうですね。藤岡市には、“アーティストインレジデンス”というプロジェクトを実施している住民の方がいらっしゃいます。世界各国のアーティストが市内に滞在し、創作に励む。彼らがなぜわざわざここを選ぶかといえば、便利で落ち着きがあり、地域の人との交流も密な群馬という土地に、世界の他の場所にはない魅力を感じているからです。
こういう流れをさらに発展させて、プログラマーとかエンジニアとかクリエーターを群馬県に呼び集める。群馬にはそれを実現できる条件が揃っていると思うのです。
第一に物価が安く東京よりも広い家に住める。食べ物もすごくおいしい。物流のコスト面でも首都圏(東京)に近い強みがあるし、何より温泉がある。群馬に住んでもらう前段階として、閑散期に温泉地の旅館に受け入れるとかいろいろ工夫できるはずです。
―― 住環境は大きな武器になる?
山本 群馬県内をくまなく歩き回っていろいろ見ていて思うんですが、バランスがいいんですね。経済成長率も高いし、工場誘致の件数も昨年の1月から6月では全国でトップ。工業の生産額も14位から5位まで上昇している。県民所得の伸びも2009年から15年まで全国で4位です。
にもかかわらず、地元の方々がよく言うのは「so what」なんです。群馬は中途半端だ、と。だから、もちろんこれからは突出した何かをPRすることも考えなければなりません。ただ、一方でバランスの良さも、もっと付加価値をつけて発信すれば大きなウリになると思います。
3.2 茨城、栃木、群馬でベネルクス三国のような枠組みを
―― 地方自治体として、産業での新しい試みを考えているのか。
山本 いわゆるハードの予算、インフラ整備はもちろん必要だし、企業誘致も重視すべきでしょう。しかし、問題はそこにプラスアルファ何をするかということなんです。
例えば群馬県の農産物を分析するR&Dセンターみたいなものを他の県よりも高いレベルで整備できないのかな、と。
もともと群馬県はイノベーション力があって新品種の開発で優れています。群馬で作ったリンゴの新品種を他県で生産していたりする。県内にR&D拠点を作ってそこに著名な研究者を集め、他の県と群馬の農産物がどう違うか。群馬と宮崎のキュウリのどこが違うか、トウモロコシでも群馬の高原トウモロコシのほうが北海道のそれより数段おいしいのですが(笑)、なぜそうなのかということを、成分を含めて徹底的に研究する。
世の中は健康志向で予防医学がキーワードです。群馬の農産物を食べるとこんなにいいことがあるとか、そういう科学的分析をプロモーション部門につなげるサイクルを作る。そこに知事自身の発信力を加えられると面白いですね。
―― 他の自治体との連携などは考えているか?
山本 たかがランキング、されどランキングです。いわゆる北関東3県の茨城、栃木、群馬は魅力度ランキングで最下位レベルに低迷していますが、実はすごい潜在力がある。
例えば、茨城は農業生産額が北海道についで全国2位。栃木は県民所得が全国で4位。もし知事になれたら、直後に茨城県知事と栃木県知事に会いに行こうと決めています。そしてベネルクス三国みたいな枠組みを提案し、共通の課題に当たる(注・ベルギー、オランダ、ルクセンブルクの3カ国。いずれも立憲君主制で小国。大国に対抗するために緊密な経済協力を行っている)。
例えば農産物の輸出問題。実は、福島原発事故の影響で、中国、韓国、台湾は北関東3県の農産物の輸入を、まだ止めています。ここは3県の知事が協力すればいい。
3人で政府に働きかけ、3人で中国等にも足を運ぶ。標的を絞ってアプローチすれば、きっとビジネスチャンスを開拓できるはずです。
↑群馬県の良さを引き出すと語る山本一太氏↑
4 ネットを使った山本一太流の群馬県PR構想
―― 山本さんはずっとメディアと政治の融合に挑戦してきたが、地方自治でも生かさない手はないのでは?
山本 私にしかできない独自の発信力を駆使して、いままで誰もやれなかったことをやりたい。
例えばローカル局の群馬テレビなどもネットと組み合わせることで強力な武器になります。私はいま「直滑降ストリーム」というネット番組のプロデューサーとシナリオライターとキャスターを一人でやっています。総理はもちろん、第2次安倍内閣の全閣僚が出演した唯一の番組です。
群馬テレビに、他県の知事や財界人や文化人やクリエーターなど多くの人を呼び、話を聞き、政策を議論し発信する。ネットTVやSNSとも連動させ、中央の大臣も毎月、番組に呼ぶ。地方自治体が時間を費やして政策の相談や陳情などに毎回、中央の大臣のところに足を運ぶという概念自体を変えたい。地方自治体と中央省庁の立場をそんなところからも対等にしていきたい。
このネット時代、知恵と行動力があれば誰でも発信の拠点を作れることは、私自身が実践して証明してきました。県庁に動画を作る部署くらいはないとダメだと思います。
―― 県庁内にスタジオができるかもしれない(笑)。
山本 知事自身が群馬県の農産物や名産品などを販売する番組を作ることにも挑戦してみたい。もし、毎回、知事が登場すれば、群馬県の経済人はみんな見ます。日銀の前橋支店長もチェックせざるを得ないでしょう(笑)。
このPR戦略をネットやCS放送などにも展開する。誰もやったことないから、絶対話題になります。その番組に直結する流通部門のセンターを作ったら雇用も生まれるじゃないですか。それを英語でもやる。群馬テレビとネットを結びつけて海外にも発信する。コンテンツは私(知事自身)ですから、出演者の予算はゼロですよ(笑)。
―― 地方自治にはあらゆる可能性があることが証明される。
山本 もちろんいま全国の地方自治体が抱えている課題は多い。少子高齢化が進んで税収減になり、自治体が消滅してしまうという予測もあります。群馬県の財政も実はかなり厳しい。財政調整基金がどんどん減っているんです。財政健全化も考えつつ、県政を進めていく必要がある。県民のみなさんと一緒に厳しい課題に向き合うこともしなければなりません。激動する時代の中で長く国会議員を務めてきた経験は、ガバナー(知事)としての仕事に生かされると信じています。でも、同時に大きなプレッシャーも感じています。大臣はいわば政府という会社の部長。最後に責任を取るのは社長である総理です。今度は自分自身がCEOを目指すのです。覚悟を持って、この挑戦を乗り越えていきたいと考えています。
<コメント>
この春に実施される統一地方選挙をはじめ、今年全国で行われる首長選挙は自民党分裂選挙が多く見られる。理由は簡単だ。長く安倍1強の自民党政権が続き野党が相変わらず弱いと、やがて今度は自民党内の身内の争いになって行く。群馬だけではない。しかし、安定政権は同時にそこに緩みや既得権益の固定化を生む。むしろ党内にライバルや意見が違う者が出現し、争うことで緊張感が生まれ為政者もまた成長する。山本氏が、硬直化した地方自治に対し、分裂と言われつつも挑戦することを私はむしろ政治の活性化と前進のために「良し」とする。(鈴木哲夫)
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↑8月20日付け東京新聞群馬版の記事。↑
筆者は1994年ごろ安中市内の軽費老人ホームの役員をしていましたが、当時、ホームの総会に顔を出してくれた父親の山本富雄氏と話をしたことがあります。息子の一太氏と全く異なり、父親の言動は落ち着いた物腰でした。ただしそのころは既に体調を崩していたせいもあったのかもしれません。そして富雄氏は、安中市土地開発公社の巨額横領事件が発覚する直前の1995年3月16日に肝不全で他界してしまいました。
息子の一太氏は、渋高、中大を経て1985年5月に、ジョージタウン大学大学院の国際政治学修士課程大学院卒業後、朝日新聞社に入りましたが2か月で辞め、1986年11月にJICA採用となり、一時国連開発計画(UNDP)にも出向しニューヨークに滞在したこともありました。しかし父親から「体調が良くないから次の選挙を手伝ってくれ」と言われて帰国し1995年2月から父の議員秘書として手伝っていたところ、1995年3月に父親が亡くなってしまい、急遽父の後継として1995年7月23日投開票の第17回参議院議員通常選挙に群馬県選挙区から立候補し、初当選しました。この当時は、筆者としても安中市土地開発公社を舞台にした巨額横領事件が同年6月初めに公となり、その年11月の出直し選挙選に至るまでの半年間は人生のもっとも変動の激しい時期でした。一太氏の場合も同じことが言えるでしょう。
筆者は安中市長選で次点に終わりましたが、一太氏はその後も4選を重ねました。しかし参院委員16年間を通じて、自らを含め世襲だらけの自民王国群馬県内の政局にこれ以上の活路を見いだせないと悟ったのでしょう。2018年11月、東京の世論調査会社に、次期群馬県知事に関する県民の意識調査を依頼し、その結果を11月23日、自身のブログ「気分はいつも直滑降」で「全体としては山本一太が大沢知事をダブルスコアで引き離している」と高い支持があることを発表。その後、2019年7月執行予定の群馬県知事選挙への立候補に向けて、準備を重ね、前任の大澤知事との確執も取りざたされたものの、圧倒的支持を背景に、知事選に臨み、史上最多得票で当選しました。
■では、本題に戻り、8月19日に放送されたネット番組に関するマスコミ記事を見てみましょう。
**********東京新聞2019年8月20日
<ウォッチ!一太県政>菅長官招きネット番組 県費負担には議論必要
↑ネット番組に出演する山本一太知事(左)と菅義偉官房長官=高崎市で↑
山本一太知事は十九日、自身が主宰するインターネット番組を菅義偉官房長官を高崎市に招いて放映した。山本知事は終了後、報道陣に番組について「公務だ。(経費を)公費から出すかは考える」などと説明した。ただ、 知事は番組中に趣味のギターと歌を披露しており、県費で負担するかは県庁内や県議会で議論が必要になりそうだ。この番組は「 直滑降ストリーム 」。山本知事がプロデューサー、キャスター、放送作家、出演交渉などを自身で担当している。七~八年間は続けており、約百六十回は放映したという。
撮影場所は山本知事の関係先で、応接間を改造したスタジオのため場所代は必要ない。ただ、撮影は機材を操作する数人の業者が担当し、放映費、人件費、出張費などが発生しているとみられる。今回は知事に職員一人が同行し、報道陣への対応のために別の職員二人も訪れた。
山本知事は県庁内に最新の動画スタジオを設けるため、補正予算案に費用を計上する意向。今回のような趣味を披露する番組を県費を使ったスタジオで放映する場合にも議論が必要だ。
番組では、菅官房長官が原発事故で続く中国の輸入規制に「風穴を開けたい」と述べた。(菅原洋)
**********上毛新聞2019年8月20日
ネット番組で菅氏と対談 山本知事 就任後初の生放送臨む
↑ネット番組で菅官房長官と語り合う山本知事(左)=19日午後、高崎市(代表撮影)↑
山本一太知事は19日、群馬県高崎市内のスタジオに菅義偉官房長官を招き、インターネット番組「直滑降ストリームin群馬」の生放送に臨んだ。参院議員時代から定期的に放送してきたが、知事就任後は初。群馬県の観光や農産物、危機管理などについて意見を交わし、県政のリーダーとなった山本氏に菅氏がエールを送る場面もあった。
対談は、菅氏に伊香保名物の水沢うどんを味わってもらう演出からスタート。リラックスした雰囲気の中で、約30分にわたって語り合った。
観光振興について、菅氏は訪日外国人旅行者を呼び込むための4条件として気候、自然、文化、食を挙げながら「群馬は極めて可能性が高い」と強調。山本氏に対し「海外に目を向けるなどトップセールスを頑張ってほしい」と期待した。
番組は山本氏が企画、進行しており、放送は約4カ月ぶり。今後は本県の現状や課題、未来をテーマに月1回ペースで放送する予定で、現職閣僚らもゲストとして招く方針。
山本氏は「知事に当選しても必ず再開するという約束を果たす日が、ようやくやって来た。これから新しいバージョンで放送していく」と視聴者に語り掛けた。
**********毎日新聞2019年8月20日11:44
菅官房長官が群馬に 山本一太知事のネット番組に出演
↑© 毎日新聞 山本一太知事(左)のインターネット番組に出演する菅義偉官房長官=代表撮影↑
菅義偉官房長官が19日、群馬県高崎市内で山本一太知事のインターネット番組の生放送に出演した。菅氏は山本知事が国会議員時代から慕う「頼れる兄貴分」。政府の事実上の危機管理者としての公務の合間を縫った来県で、番組出演終了後、すぐに東京へととんぼ返りした。山本知事にとっては、首相官邸との親密さを誇示する機会となった。【西銘研志郎】
群馬県によると、山本知事のこの番組出演は公務扱いという。番組では、山本知事が県の魅力や県政課題を語り、菅長官に県政へのアドバイスや所感を聞く内容だった。県の観光について山本知事がインバウンド(訪日外国人)の来県を増やすために何が必要かと質問すると、菅氏は「群馬は極めて可能性が高い。政府としては外国人に来てもらい、楽しんでもらうための環境整備を応援したいが、実際に(観光客誘致を)やるのは地域。知事がぜひ先頭になってトップセールスをしてほしい」と語った。また東京電力福島第1原発事故を理由に中国が一部を除いた日本産農水産物・食品の輸入規制を続けていることについて、山本知事が「輸入解禁に働きかけてほしい」と懇願すると、菅氏は「日中関係はかつてないほど改善している。関係閣僚にしっかりと『(群馬県)知事が言っていた』と伝える」と応じた。
**********産経新聞2019年8月19日18:43
山本一太群馬知事が菅官房長官と対談 政権との近さアピール
↑インターネットの動画番組で対談する群馬県の山本一太知事(左)と菅義偉官房長官=19日、同県高崎市内(代表撮影)↑
群馬県の山本一太知事は19日、自身のインターネットの動画番組の生配信で、菅義偉官房長官と対談した。観光施策などについて意見を交わすなどして、永田町時代から続く菅氏との「師弟関係」や安倍晋三政権との蜜月ぶりをアピールした。
番組は「群馬県知事 山本一太の直滑降ストリーム in群馬」と題し、同県高崎市内のスタジオに山本氏が菅氏を招く形で実現。冒頭、山本氏が「兄貴」と慕う菅氏に群馬の名産品「水沢うどん」の試食を勧め、菅氏が「お世辞抜きでおいしい」と応じるなど終始和やかな雰囲気が漂った。
対談は、観光施策や農業、外国人労働者など多彩なテーマで進行。草津温泉など豊富な観光資源があるにもかかわらず訪日外国人客(インバウンド)の数が伸び悩む群馬の課題についても話が及んだ。
菅氏は「首都圏に近く恵まれている」と利点を指摘し、かえって誘客にあまり力を入れてこなかったのではないかとの考えを示した。
これに対し、山本氏は「自らトップセールスで攻めていく」と語り、今後は2020年東京五輪・パラリンピックなどを契機にインバウンドの増加が期待できることから、観光振興に注力する姿勢を強調した。
山本氏はこれまで、情報発信の強化の一環で県庁内に動画配信スタジオを新設する構想を繰り返し語っており、この日も実現に向けた意欲を重ねて表明。河野太郎外相ら閣僚を招いて動画番組を配信する考えを示した。
**********日経2019年8月19日19:05
群馬・山本知事がネット番組 菅官房長官が出演
群馬県の山本一太知事は19日、就任後初めて自身のインターネット番組「直滑降ストリーム」を配信した。菅義偉官房長官が出演し、群馬県にインバウンド(訪日外国人)を呼び込むための方策や、農産物の輸出などについて意見を交わした。
山本知事のネット番組に菅官房長官が出演した
番組は群馬県高崎市から中継した。菅氏は「群馬は東京都から近く、観光資源も多い。知事が先頭に立って、インバウンドの取り込みを進めてもらいたい」と述べた。
山本知事が「中国が日本の農産物の輸入を解禁するための働きかけをお願いしたい」と話すと、菅氏は「日中関係はかつてないほど改善している。(輸入禁止に)風穴を空けたい」と応えた。
番組中には山本知事が群馬の名物「水沢うどん」を菅氏にふるまう場面もあった。
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■インターネット番組の放送のなかで、山本一太知事の発言した内容で気になることがあります。それは、「日中関係がかつてないほど改善している」というフレーズです。
また、番組構成をみると、菅長官との対談が終わった後、「今、日本で最も現代中国の実態を知る男」と言われている中川コージ博士(一太知事のこの番組ではお馴染みなのだとか)の「知っチャイナ」コーナーが放送されました。この中で、農産物輸出を含む群馬の対中戦略を議論しています。
筆者は、台湾の独立に向けた住民の動きを支持しており、ゆくゆくは我が国は台湾との連邦制を視野に入れて、中共政府に対して一線を画する外交政策を展開すべきだというのが持論です。なので、新知事に対して、これまで群馬県と友好を育んできた日台関係を軽視するのではないか、という懸念があります。
情報発信はよいことですが、やみくもに、立場を鮮明にしないまま、善意を悪意にとらえる相手にもかまわず発信すれば、逆に相手に利用されかねません。新知事が、これまでどおり群馬県と台湾との友好関係を阻害することのないよう、注目していきたいと思います。
【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】
※参考情報1「8月19日放送のインターネット番組」
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群馬県知事 山本一太の直滑降ストリーム in群馬(ゲスト・菅義偉官房長官)
https://youtu.be/pPRyuvjjzNg?t=8
【会場のご案内】
2019/08/19(月) 開場:14:35 開演:14:45
この番組は2019/08/19(月) 15:49に終了いたしました。
来場者数:2995人 コメント数:1825
7月に行われた群馬県知事選挙。
前参議院議員の山本一太氏が当選し、群馬県知事となりました。
山本知事は2011年より150回以上に渡り、自民党本部「カフェスタ」より 「直滑降ストリーム」の配信を続け、安倍晋三首相や河野太郎外相といった 大物ゲストを招いてきました。
今回ついに、「群馬県知事 山本一太の直滑降ストリームin群馬」として4月24日以来、約4ヶ月ぶりに放送を行います。
記念すべき「直滑降ストリームin群馬」第1回目のゲストは 山本知事が「兄貴」と慕う、菅義偉官房長官です。
果たして、どのようなトークを繰り広げるのか、お楽しみに!
<放送プログラム>
・一太の近況報告
・ゲスト対談(菅義偉官房長官)
・中川コージの知っチャイナ
※内容は変更となる可能性がございます。
◆山本一太(群馬県知事) 公式HP / 公式Twitter(@ichita_y)
1958年1月群馬県生まれ/中央大学法学部卒業/米国ジョージタウン大学大学院修了
1995年参議院議員通常選挙にて初当選
外務副大臣、外務政務次官、参議院外交防衛委員長、参議院自民党政策審議会長、参議院予算委員長、自民党外交部会長、内閣府特命担当大臣(沖縄及び北方対策 科学技術政策 宇宙政策)、海洋政策・領土問題担当、情報通信技術(IT)政策担当、自民党総裁ネット戦略アドバイザーなどを歴任。
2019年7月に行われた群馬県知事選挙で当選し、現職。
※参考情報2「気分はいつも直滑降」
**********山本一太のブログ2019年8月19日
21時30分。ソファーの上で意識が戻った。30分ほど気絶(?)じていたようだ。(ふう)冷たい水で顔を洗った。運動する前にブログを更新する。今日も「ちっちゃな冒険」の連続だった。心地良い疲労感に包まれている。
午前10時。商工会議所連合会、商工連合会、中小企業団体中央会の会長3名による表敬訪問を受けた。県とは(いろいろな意味で)関わりの深い3団体だ。
午前11時。全編オール群馬ロケで撮影された映画「影踏み」の関係者と知事室で面会。主演の山崎まさよしさん、監督の篠原哲雄さん、原作者の横山秀夫さん等と言葉を交わした。この3人とお目にかかれるのをスゴく楽しみにしていた。その理由は改めて詳しく書く。
昼食を食べた後、県内某所に直行。14時30分から知事がキャスター兼プロデューサーを務めるウェブ番組「直滑降ストリーム」に出演した。
群馬版の新しいバージョンの最初のゲストは菅義偉官房長官。群馬の農業や観光の可能性、あるべき知事像等について議論した。中身の濃い対談が出来たと思う。
番組を放送したスタジオは記者で溢れていた。初回の放送の模様や対談の内容については、とても書き切れない。近いうちに改めて取り上げる。
■群馬県まで足を運んでいただいた菅長官に心から感謝!!
番組終了後、県庁へ急行。任期を終えた反町副知事に感謝状を手渡した。続けて17時から反町副知事の退任式にも出席。18時からの両副知事の送別会にも顔を出した。
明朝は県内12市長との朝食会がある。早めに「筋力トレーニング」を終わらてしまおう。
追伸:「群馬県知事 山本一太の直滑降ストリーム IN 群馬」をYouTubeにアップした。ぜひご覧ください!!
↑さすがは内閣の要である官房長官!スタジオには大勢のメディア関係者が集まった。↑
↑映画「影踏み」は絶対に見る!もう一度、試写会、やってもらえないかなあ?!↑
↑直滑降ストリーム、弾き語りは40点!何度もコードを間違えた!(ため息)↑
↑反町副知事、40年に渡る県庁勤務、お疲れ様でした!!↑
※参考情報3「知事選前のインタビュー記事」
**********経済界2019年3月14日
山本一太・参議院議員が語る「群馬知事選出馬の理由とこれからの地方自治」
インタビュアー=鈴木哲夫(ジャーナリスト) Photo=幸田 森
稀有の発信力を保ってきた自民党の山本一太参議院議員が今年夏に実施される群馬県知事選挙への出馬を表明し注目を集めている。
ところが、現職知事も現時点で進退を明言せず、4選出馬のチャンスをうかがっていると噂されている。現職知事が立候補を表明すれば、自民党分裂、保守分裂の構図となる。
地域事情で見れば、現職を中心に築いてきた県政運営とこれを変えようとする山本氏の対決構図ということになる。
しかし、この群馬県に限らず、全国の他の地方自治体そのものが少子高齢化や東京一極集中によって、税収減や政策転換など危機に面している。
地方創生をそれぞれが目指す中で新しい発想が求められている。山本氏に、出馬の経緯と新しい地方自治体の在り方などユニークなヒントを聞いた。
1 山本一太・参議院議員プロフィール
(やまもと・いちた)1958年生まれ、群馬県出身。82年中央大学法学部卒業。85年米国ジョージタウン大学大学院(MSFS)修了。86年より国際協力事業団(JICA)勤務。95年17回参議院議員通常選挙に立候補し初当選。内閣府特命担当大臣(沖縄及び北方対策、科学技術政策、宇宙政策)、情報通信技術(IT)政策担当、海洋政策・領土問題担当(第2次安倍内閣)、外務副大臣、外務政務次官、外交防衛委員長、参議院自民党政策審議会長、自民党外交部会長、同遊説局長等を歴任。2019年に実施される群馬県知事選への立候補を表明している。
2 山本一太氏が群馬県知事選に出馬する理由
2.1 群馬に戻る決断の裏にあった支持者からの言葉
―― 参議院議員から群馬県知事に転身を決断したのはなぜか。
山本 国政を4期、23年以上やってきました。その間、閣僚、副大臣、予算委員長や党の役職も経験し、国会議員としてのやりがいを日々、感じてきました。
そうした中でも、政治家として終盤のステージで何をするべきかを考えてきました。自身のライフワークである外交安全保障政策や科学技術政策等の分野で国益に貢献することも含め、やりたいことは山ほどあります。
でも、あるとき、支持者の方からこう言われたんです。
「例えば衆院に鞍替えして総理を目指すのだったらそれはそれでいい。でも、参院議員としてこれ以上、何をやりたいのか? 例えば、これから防衛大臣や農水大臣として活躍してくれたら、俺たちは嬉しい。でも、山本一太の人生としてどうなんだ。このまま参議院議員を続けるより、群馬県に戻って、地元のために尽くしてほしい。そっちのほうが政治家としてやりがいもあるし、人生として意味があるんじゃないか」と。
―― 随分前から考えていたのか。
山本 今年は参院選と知事選が同時にある年です。数年前からいろいろ考えていたこともあって、支援者の方の言葉は説得力がありました。私のようなタイプの政治家はいなかったからこそ、知事として群馬のポテンシャルを引き出してほしいと。
2.2 先進的な地方自治モデルを群馬から発信したい
―― どんな地方自治体の首長を目指すのか。
山本 群馬県のさらなる飛躍と県民生活の向上を目指すのは当然ですが、加えて、群馬県のモデルを先進的な地方自治のモデルとして内外に発信したい。それを日本の地方自治の仕組みや中央と地方の役割分担のスタンダードにしていけるような首長になりたい。
地域から中央を変えるという流れを作りたいのです。地方創生は容易い仕事ではありませんが、これからは、首長の時代だと確信しています。
―― 具体的には?
山本 まず、今までやってきた外交の経験を生かせると思います。
例えば、米国の州知事は外交にも積極的です。州知事ほどの権限はないとしても、日本の知事だって、群馬県とカリフォルニア州とか、群馬と台湾、韓国、中国という関係で地域外交を展開できるはず。経済や文化、人的交流を通じて地方自治体の可能性を広げられるはずです。
今まで培ってきた各国要人との人脈、外交センスを駆使すれば十分、可能だと考えています。群馬モデルの地域外交を、全国の自治体に示したいですね。
3 群馬県知事としての山本一太議員の構想とは
3.1 群馬県民の新たなプライドをつくっていく
―― 地域外交は、政府の外交をカバーすることもできると。
山本 そう思います。加えて言うと、知事が県のGDP増加とか、県民所得の向上を目標に掲げるのは当然ですが、私がやりたいのは県民の新たなプライドを作り、根付かせること。
群馬にはいいものがいっぱいあるのに、魅力度ランキングも幸福度ランキングも低い。郷土愛も低い。こういうものをぶち破って行きたい。
同じ課題を抱える北関東の3県では、東京に引け目を感じている人もいる。でも見方を変えると違う世界が見えてくる。例えば、関東全体を3千万人が住むスーパーシティーだと考える。東京をその中の1つの核だととらえれば、群馬を含む3県も、それぞれ個性を持つ複数の核になる。こうしたポテンシャルを示しつつ、群馬県民の新たなプライドをつくりたいのです。
私は、群馬を関東全体の中で、最先端のアーティストやクリエーターたちの居住区(拠点)にしたいと考えています。今は多くの人がインターネットで仕事をする時代。どこにいても会議ができるし、提案や資料のすりあわせもできます。事実、実力と才能のある私の友人たちは、パリや香港、軽井沢に住んで、自宅で仕事をしています。彼らは、どこに住んでもいいのです。
エンジニアやプログラマーなどもそうですね。藤岡市には、“アーティストインレジデンス”というプロジェクトを実施している住民の方がいらっしゃいます。世界各国のアーティストが市内に滞在し、創作に励む。彼らがなぜわざわざここを選ぶかといえば、便利で落ち着きがあり、地域の人との交流も密な群馬という土地に、世界の他の場所にはない魅力を感じているからです。
こういう流れをさらに発展させて、プログラマーとかエンジニアとかクリエーターを群馬県に呼び集める。群馬にはそれを実現できる条件が揃っていると思うのです。
第一に物価が安く東京よりも広い家に住める。食べ物もすごくおいしい。物流のコスト面でも首都圏(東京)に近い強みがあるし、何より温泉がある。群馬に住んでもらう前段階として、閑散期に温泉地の旅館に受け入れるとかいろいろ工夫できるはずです。
―― 住環境は大きな武器になる?
山本 群馬県内をくまなく歩き回っていろいろ見ていて思うんですが、バランスがいいんですね。経済成長率も高いし、工場誘致の件数も昨年の1月から6月では全国でトップ。工業の生産額も14位から5位まで上昇している。県民所得の伸びも2009年から15年まで全国で4位です。
にもかかわらず、地元の方々がよく言うのは「so what」なんです。群馬は中途半端だ、と。だから、もちろんこれからは突出した何かをPRすることも考えなければなりません。ただ、一方でバランスの良さも、もっと付加価値をつけて発信すれば大きなウリになると思います。
3.2 茨城、栃木、群馬でベネルクス三国のような枠組みを
―― 地方自治体として、産業での新しい試みを考えているのか。
山本 いわゆるハードの予算、インフラ整備はもちろん必要だし、企業誘致も重視すべきでしょう。しかし、問題はそこにプラスアルファ何をするかということなんです。
例えば群馬県の農産物を分析するR&Dセンターみたいなものを他の県よりも高いレベルで整備できないのかな、と。
もともと群馬県はイノベーション力があって新品種の開発で優れています。群馬で作ったリンゴの新品種を他県で生産していたりする。県内にR&D拠点を作ってそこに著名な研究者を集め、他の県と群馬の農産物がどう違うか。群馬と宮崎のキュウリのどこが違うか、トウモロコシでも群馬の高原トウモロコシのほうが北海道のそれより数段おいしいのですが(笑)、なぜそうなのかということを、成分を含めて徹底的に研究する。
世の中は健康志向で予防医学がキーワードです。群馬の農産物を食べるとこんなにいいことがあるとか、そういう科学的分析をプロモーション部門につなげるサイクルを作る。そこに知事自身の発信力を加えられると面白いですね。
―― 他の自治体との連携などは考えているか?
山本 たかがランキング、されどランキングです。いわゆる北関東3県の茨城、栃木、群馬は魅力度ランキングで最下位レベルに低迷していますが、実はすごい潜在力がある。
例えば、茨城は農業生産額が北海道についで全国2位。栃木は県民所得が全国で4位。もし知事になれたら、直後に茨城県知事と栃木県知事に会いに行こうと決めています。そしてベネルクス三国みたいな枠組みを提案し、共通の課題に当たる(注・ベルギー、オランダ、ルクセンブルクの3カ国。いずれも立憲君主制で小国。大国に対抗するために緊密な経済協力を行っている)。
例えば農産物の輸出問題。実は、福島原発事故の影響で、中国、韓国、台湾は北関東3県の農産物の輸入を、まだ止めています。ここは3県の知事が協力すればいい。
3人で政府に働きかけ、3人で中国等にも足を運ぶ。標的を絞ってアプローチすれば、きっとビジネスチャンスを開拓できるはずです。
↑群馬県の良さを引き出すと語る山本一太氏↑
4 ネットを使った山本一太流の群馬県PR構想
―― 山本さんはずっとメディアと政治の融合に挑戦してきたが、地方自治でも生かさない手はないのでは?
山本 私にしかできない独自の発信力を駆使して、いままで誰もやれなかったことをやりたい。
例えばローカル局の群馬テレビなどもネットと組み合わせることで強力な武器になります。私はいま「直滑降ストリーム」というネット番組のプロデューサーとシナリオライターとキャスターを一人でやっています。総理はもちろん、第2次安倍内閣の全閣僚が出演した唯一の番組です。
群馬テレビに、他県の知事や財界人や文化人やクリエーターなど多くの人を呼び、話を聞き、政策を議論し発信する。ネットTVやSNSとも連動させ、中央の大臣も毎月、番組に呼ぶ。地方自治体が時間を費やして政策の相談や陳情などに毎回、中央の大臣のところに足を運ぶという概念自体を変えたい。地方自治体と中央省庁の立場をそんなところからも対等にしていきたい。
このネット時代、知恵と行動力があれば誰でも発信の拠点を作れることは、私自身が実践して証明してきました。県庁に動画を作る部署くらいはないとダメだと思います。
―― 県庁内にスタジオができるかもしれない(笑)。
山本 知事自身が群馬県の農産物や名産品などを販売する番組を作ることにも挑戦してみたい。もし、毎回、知事が登場すれば、群馬県の経済人はみんな見ます。日銀の前橋支店長もチェックせざるを得ないでしょう(笑)。
このPR戦略をネットやCS放送などにも展開する。誰もやったことないから、絶対話題になります。その番組に直結する流通部門のセンターを作ったら雇用も生まれるじゃないですか。それを英語でもやる。群馬テレビとネットを結びつけて海外にも発信する。コンテンツは私(知事自身)ですから、出演者の予算はゼロですよ(笑)。
―― 地方自治にはあらゆる可能性があることが証明される。
山本 もちろんいま全国の地方自治体が抱えている課題は多い。少子高齢化が進んで税収減になり、自治体が消滅してしまうという予測もあります。群馬県の財政も実はかなり厳しい。財政調整基金がどんどん減っているんです。財政健全化も考えつつ、県政を進めていく必要がある。県民のみなさんと一緒に厳しい課題に向き合うこともしなければなりません。激動する時代の中で長く国会議員を務めてきた経験は、ガバナー(知事)としての仕事に生かされると信じています。でも、同時に大きなプレッシャーも感じています。大臣はいわば政府という会社の部長。最後に責任を取るのは社長である総理です。今度は自分自身がCEOを目指すのです。覚悟を持って、この挑戦を乗り越えていきたいと考えています。
<コメント>
この春に実施される統一地方選挙をはじめ、今年全国で行われる首長選挙は自民党分裂選挙が多く見られる。理由は簡単だ。長く安倍1強の自民党政権が続き野党が相変わらず弱いと、やがて今度は自民党内の身内の争いになって行く。群馬だけではない。しかし、安定政権は同時にそこに緩みや既得権益の固定化を生む。むしろ党内にライバルや意見が違う者が出現し、争うことで緊張感が生まれ為政者もまた成長する。山本氏が、硬直化した地方自治に対し、分裂と言われつつも挑戦することを私はむしろ政治の活性化と前進のために「良し」とする。(鈴木哲夫)
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