市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

大量の建設発生土が忽然と消えた渋川土木事務所所管公共ストックヤードを巡る疑惑解明の住民監査請求中

2019-05-14 22:53:00 | 渋川市の行政問題
■建設工事で発生した土砂(建設発生土)は、自らの工事内や他の建設工事または建設工事以外の用途において有効に利用されるべきですが、一部の建設発生土については利用先が見つからず、その他の受入地に搬入されています。事実群馬県内でも山間部を中心に熊谷ナンバーなどを付けた得体のしれない大型ダンプが早朝から夜遅くまで右往左往しています。なかには、反社会的勢力との関係が疑われる実態のない会社が関与していることなどが指摘されています。建設発生土の約9割は公共工事から出ているとみられ、有効利用について公共関与が重要であることはいうまでもありません。群馬県では、県土整備部の建設企画課が建設発生土ストックヤードの整備の重要性をHPでも歌っていますが、渋川土木事務所所管のストックヤードを巡り、河川法を無視して大規模な掘削あるいは大量の発生土の集積が行われ、6年間の稼働を終えた時点で大量の発生土が忽然と消えるなど、問題視されています。当会は、入手情報をもとに、3月25日に住民監査請求を群馬県監査委員に提出しました。すると、補正命令を受けたため、補正をして提出したところ、4月18日に受理され、5月8日に県庁26階で、陳述と追加証拠提出を行いました。

陳述前の会場内の様子。ちょうど県議会出身の監査委員の任期が切れており、まだ新任者が決まっていないため、監査委員2名(丸山代表監査委員及び林監査委員)への陳述となった。

【5月16日追記】
 現場を通りがかった市民らからの情報によれば、当会の監査請求を契機に、今週に入り、またたくまに2000㎥をこえる土砂が現場に搬入されています。当会が指摘した土量不足を補い、当会の住民監査請求を実質無効にして、監査委員が却下し易くするための対応策ではないか、とするうがった見方もできます。今後の現場の状況を注視する必要がありそうです。



今回問題となっている渋川土木事務所所管の渋川市赤城町栄にある建設発生土ストックヤードの位置図。

 そもそも建設発生土とは、建築工事や土木工事などで建設副産物として発生する土のことを指します。建設発生土は一般的には「残土」とも呼ばれることもあり、土木建設作業で、基礎工事など全工程の比較的初期の段階で多く発生します。

 その場で埋め戻すなど再利用されますが、その現場で使用用途がない余剰の土が生じると建設発生土となります。民間工事では、残土条例に基づき処理されるケースがほとんどのようですが、前述の通り、実際には建設残土等の約9割は公共工事で発生しているのが現状です。

 そのため、公共工事発注者である行政では、公共工事土量調査により工事発注前から建設発生土等の搬出入計画に基づき、建設発生土等の工事間利用調整を行い、建設発生土等の工事間利用を促進することが求められています。

■それでは住民監査請求書の提出以降、これまでの経緯を報告します。

*****住民監査請求書*****ZIP ⇒ 20190325qneuo.zip
             群馬県職員措置請求書

群馬県知事に関する措置請求の要旨

1 請求の要旨

(1)誰が(請求の対象となる執行機関又は職員)、いつ、どのような財務会計上の行為をしたか(又はしなかったか)

1)本事件の経緯
 群馬県渋川市赤城町の土地(以下「本件土地」と呼ぶ)を利用して、群馬県の建設工事から発生する発生土のストック(保管)・払い出しの管理業務の委託(以下「本件業務委託」と呼ぶ)が行われた。
①本件土地 の場所 群馬県赤城町栄字沖門11-1、11-14
②件名 渋川土木事務所管内建設発生土ストックヤード管理委託業務
③入札 この管理業務は一般競争入札により契約された。(事実証明書①)
④同事業の業務委託に関する協定書を作成(事実証明書②)
 ア.期間  平成24年4月1日~平成30年3月31日
 イ.委託者 群馬県中部県民局渋川土木事務所長 山口 修
 ウ.受託者 渋川建設事業協同組合 篠原宗應

2)本事件の概要
①群馬県渋川市赤城町の本件土地を利用するにあたり、群馬県中部県民局渋川土木事務所長と土地所有者の間で別途、230万円(年間)余りの賃貸借契約が結ばれているとの情報を県会議員より得ている。

②本件土地を利用し、渋川建設事業協同組合が、群馬県の建設工事から発生する土のストック・払い出しの管理業務を群馬県から入札により本件業務委託を受けているが、まずこの入札に官製談合の疑いがある。

③新聞報道によると、本件土地は、一級河川の田之郷川を、水を通すためのヒゥーム管数本などを利用して無許可で埋め立てた場所であるにもかかわらず、河川管理者である群馬県中部県民局渋川土木事務所は、あろうことか長年にわたりこれを黙認し続けた。無許可で河川を埋め立てることは河川法違反であり、この結果、この場所は、一度豪雨災害が起これば、下流域に甚大な被害をもたらす、危険極まりない状況にあった(事実証明書③)。

④本事件では、前項③の河川法違反を黙認した河川管理者と、渋川土木事務所管内建設発生土ストックヤード管理委託業務の委託者は、同一の群馬県中部県民局渋川土木事務所であり、この事件の舞台となった本件土地について両者の癒着が強く感じられる。聞くところによると他の一級河川天竜川でも同様の河川法違反状態が発生しているにも関わらず黙認されており、下流域住民の豪雨災害への不安は増すばかりである。平成30年の関西豪雨激甚災害などを目の当たりにするとき、河川管理者の特定者への癒着や職務怠慢、不作為は決して許されるものではない。

⑤協定書(事実証明書②)によれば、第5条(主任技術者の選任)、第6条(監督員)、第22条(委託の禁止等)などについて様々な取り決めがなされている。特に、委託は禁止されているはずなのに、本件土地所有者の関連企業に委託されている状況にあるなど、協定内容が守られていないことを理由に、群馬県は平成29年3月31日をもって契約を打ち切った、などとする内部告発があったらしい。実際、本件業務委託契約は期間を一年切り上げて終了しており、内部告発を裏付ける結果となっている。

⑥建設発生土ストックヤードの土量管理状況(事実証明書④)に関して、平成24年から平成29年まで行われたストックヤードの土量管理量は、合計量で搬入量119,988.7㎥、搬出量20,949.6㎥であり、差し引きの残土量は99,039.1㎥である。本件業務契約の終了時に原状回復措置、すなわち土の搬出が行われていなければならないが、その形跡がない。よって、驚くべきことに約10万㎥もの大量の土が、業務委託契約が打ち切られたことにより放置されたままになっていることになる。

⑦ストックヤードの利用料金は、土の搬入と搬出についてそれぞれ料金   が算定されている(事実証明書⑤第8条4)。この料金について、内部告発されたとする情報によると搬入単価が1,045円/㎥、搬出単価が620円/㎥であったとされる。となれば、搬入料金としてトータルで約1億2千500万円、搬出料金としてトータルで約1千3百万円、もの業務委託収入があったことになるわけであるが、渋川建設事業協同組合には、一部事務手数料の入金があるのみだと聞いている。

⑧前記③の新聞報道によると、本件土地は平成30年6月現在、河川法違反状態を回復する措置はとられていないようであるが、本件土地の状況について平成30年11月27日の状況が県会議員に提示された(事実証明書⑥)。そこには通常1メートルの深さの河床であるところ、約4メートルの深さで川が掘削された田之郷川が映し出されている。この掘削が渋川土木事務所の措置命令によるものなのか、はわからない。

⑨平成30年11月27日の田之郷川の状況によると(事実証明書⑥)、河川が掘削され土が大量にあるかのような錯覚を覚える。だが、県会議員によると河川掘削前の河床の深さは約1メートルであり、本件土地に本件業務委託契約により残された残土量は、約1メートルと敷地面積に見合う土量ということになり、事実証明書④に示された残土量99,039.1㎥もの大量の土があるとは到底思われない。

(2)それはどのような理由で違法又は不当であるのか

 本件業務契約の違法性は次のとおり。
①前項(1)2)⑨で示す通り、本件業務委託契約によりあるはずの残土量99,039.1㎥は、群馬県の財産であり、管理のずさんさにより相当量が行方不明であることから、県に損害が発生していることが明白である。
②そもそも、河川法違反状態の本件土地において、本件委託業務が行われることが違法である。
③また本件業務委託契約の入札について官製談合の疑いがある。

(3)その結果、群馬県にどのような損害が生じたのか

 群馬県(群馬県民)が被る損害は次のとおり。
①本件土地の敷地面積が仮に約1万㎡とすると、多く見ても残土量の厚みは1mの厚みでしかなく、約1万㎥の残土量ということになり、事実証明書④残土量99,039.1㎥のうち約9万㎥は行方不明である。内部告発されたという情報によると、この行方不明土量の搬入料金単価は、1,045円/㎥であったことから、失われた県の財産は約9千400万に相当し、これが群馬県(群馬県民)の被った損害となる。
②本件土地について、河川管理者による適正な管理が行われている状態ではなく、いまだ河川法違反の状態が続いており、未曾有の豪雨災害が起きれば下流域の群馬県民に与える損害は計り知れない。
③本件業務契約の入札が官製談合によるものであれば、群馬県民に与える損害は計り知れない。

(4)監査委員にどのような措置を講じることを求めるのか

 本件請求で求める措置は次のとおり。
①群馬県知事大澤正明は、渋川土木事務所長に対し、残土量に見合う損害を賠償せよ、との勧告を求める。
②群馬県知事大澤正明は、渋川土木事務所に対し、一級河川田之郷川の河川法違反状態を解消せよと命ぜよ、との勧告を求める。

2 請求者
・ 住所  群馬県安中市野殿980
・ 氏名(自署・押印) 小川賢
(・ 連絡先(電話番号等)090-5302-8312)

 地方自治法第242条第1項の規定により、別紙事実証明書を添えて、必要な措置を請求します。
                         平成31年3月25日 

 群馬県監査委員あて

=====別紙=====
            事実証明書

1 平成24年2月10日付入札公告
  ZIP ⇒ d.zip
2 渋川土木事務所建設発生土ストックヤード管理運営業務委託に関する協定書
  ZIP ⇒ a.zip
3 平成30年6月28日付新聞記事
  ZIP ⇒ bh30.6.28vl.zip
4 建設発生土ストックヤードの土量管理状況(H30.3月末)
  ZIP ⇒ cy.zip
5 群馬県建設発生土ストックヤード利用要綱 
  ZIP ⇒ dpvj.zip
6 田之郷川(H30.11.27)の現場写真
  ZIP ⇒ e.zip
                       以上
**********

■すると4月3日に群馬県監査委員から次の補正依頼通知が到来しました。

※補正依頼通知:ZIP ⇒ 20190406_m.zip

 そして、4月15日付で次の内容で補正書を群馬県監査委員宛に提出しました。

*****補正書*****ZIP ⇒ 20190415qnziacyjot.zip
        群馬県職員措置請求書の補正書

 平成31年4月3日群監第202-1号「補正依頼通知」に基づき、下記の通り補正します。
                 記

1 「建設発生土ストックヤードの土量管理状況」が事実証明書④として提出されていますが、数値を確認したいので、当該事実証明書の出典元が分かる資料があれば追加提出してください(例:公文書開示決定通知書)。

県会議員からいただいた、工事打合せ書(事実証明書⑦)が出典元です。この9ページ目に「建設発生土ストックヤードの土量管理状況」があります。

2 措置請求書2ページに「ストックヤードの利用料金は、上の搬入と搬出についてそれぞれ料金が算定されている(事実証明書⑤第8条4)。」と記載されていますが、第8条の規定がありません。つきましては、第8条4ではなく、事実証明書⑤第9条4と理解してよろしいでしょうか。

第8条4は誤りでした。ご指摘のとおり、正しくは事実証明書⑤第9条4でした、訂正してお詫びします。

3 措置請求書2ページに「この料金について、内部告発されたとする情報によると搬入単価が1,045円/㎥、搬出単価が620円/㎥であったとさる。」と記載されていますが、搬入単価及び搬出単価が分かる書類があれば追加提出してください。
  また、3ページに「残土量99,039.1㎥のうち約9万㎥は行方不明である。」と記載されていますが、そのことが分かる書類が他にあれば追加提出してださい。

県会議員よりいただいた、工事打合せ書の5ページ目に第2章管理運営計画の記載の中で、単価の記載があります。また、群馬県がインターネットで公開している基礎単価表(事実証明書⑧)にも同様な記載があり、広く公開された単価情報となっていますが、前橋市の利用料金に比べて高い単価となっています。

本来ストックヤードは対岸の道と同レベルの高さから土のストックが始まるべきであり、その観点から請求人は、ここにある土は1万㎥程度だと想像していました。ところが、工事打合せ簿の10ページ目には契約前の現地の写真および15ページには契約前の横断図が示されています。この契約前の写真及び横断図から考えると、このストックヤードは河川区域のなかにあると見なされます。となれば、4メートル程度低い河床と思われる場所から、土をストックし始めたと考えられます。
それを考慮して請求人が推測した土量の結果を、土量計算(不足分の根拠)(事実証明書⑩)に示してあります。
今回の監査請求の補正では、添付した現場の現況写真(2019年1月撮影)(事実証明書⑨)に基づき、対岸の道路より土が1メートル程度高くなっているのが見て取れましたので、「9万㎥が行方不明」と記しました。
ところが、契約前の写真および横断図から、道路よりかなり低い所から盛り上げていることが分かったため、計算しなおしたところ、「5万㎥が行方不明」と訂正するものです。
したがって、この行方不明土量の搬入料金単価1,045円/㎥とすると、「失われた県の財産は約5,225万円に相当する」ことになります。
土木事務所であれば、契約前の写真及び横断図がある以上、当然ながら契約終了時の写真及び横断図があるはずです。そうすれば、更に正しい土量計算があることでしょう。
また、道路より低くなっているところは、河川区域ではないかと疑われます。そもそも現在、河川法違反で違法変更された河川と同じように低い河川区域に土をストックした行為は、許されるものなのでしょうか。


4 監査委員に求める措置として、「群馬県知事大澤正明は、渋川土木事務所長に対し、残土量に見合う損害を賠償せよ、との勧告を求める。」と記載していますが、今回の措置請求は、下記の内容を監査委員が勧告することを求めるのと解釈してよいでしょうか。

                   記

 群馬県知事大澤正明は渋川土木事務所長に対し、残土量に見合う損害の賠償を請求すること。

そのとおりです。「群馬県知事大澤正明は渋川土木事務所長に対し、残土量に見合う損害の賠償を請求すること。」を監査委員に求めます。

群馬県監査委員あて
                    平成31年4月15日

                住 所  群馬県安中市野殿980

                氏 名(自署・押印)小川 賢 印

=====別紙=====
今回追加の事実証明書

7 工事打合せ書
  ZIP ⇒ vhxgbnhv.zip
8 基礎単価表
  ZIP ⇒ ixgbnhaj.zip
9 現場の現況写真(2019年1月撮影)
  ZIP ⇒ xcv201901.zip
10 土量計算(不足分約5万㎥の根拠)
  ZIP ⇒ poyvzisj.zip
*********

■その後、4月18日に群馬県監査委員から受理通知が到来しました。

※受理通知:ZIP ⇒ 20190418m.zip

、5月8日(水)13:35から14:05にかけて、追加証拠の提出を兼ねて30分間の陳述を県庁26階の監査委員事務局の隣の監査委員監査室で行いました。陳述内容は概ね次の通りです。




午後1時10分過ぎに会場に到着。今や遅しと事務局職員が待機中。

陳述者名簿に記入。

陳述会場の県庁26階から赤城山方向を見る。雄大な眺望だ。

陳述会場の机の配置の様子。↑

↑陳述開始直前の会場内の様子。↑

*****陳述書*****
           陳 述 書

■前提として
日本国憲法第99条
「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負う。」
日本国憲法第15条第1項
「公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。」
同第2項
「すべて公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない。」
○このように憲法15条1・2項は、国民主権の原理の下における、全ての公務員の地位と制度の基本理念です。
○公務員はその選定および罷免が国民の固有の権利に属しています。そのため国民は議会の代表者である公務員を選挙により選任します。
○また、その他の公務員についても、「全体の奉仕者」です。

■群馬県県土整備部建設企画課によれば、「第14次群馬県総合計画に基づく県土整備分野の最上位計画である『はばたけ群馬・県土整備プラン2013-2022』の一環として「公共事業における建設発生土の有効利用の促進、不適正処理の防止、発生量の抑制を図るため、ストックヤード整備を推進します。」を方針として掲げている。

 本件に係る渋川土木事務所建設発生土ストックヤード管理委託業務もその一環と思われます。

 ところで、監査請求にも記載しましたが、この管理委託業務には次の問題点があります。
■河川法違反(河川法24条)
(土地の占用の許可)
第24条 河川区域内の土地(河川管理者以外の者がその権原に基づき管理する土地を除く。以下次条において同じ)を占用しようとする者は、国土交通省令で定めるところにより、河川管理者の許可を受けなければならない。

 つまり河川区域内の土地を占有する場合は、許可を必要とすることになっています。なお、河川区域内の民有地では占用以外として許可が必要になります。

■河川法違反(河川法27条第1項)
(土地の掘削等の許可)
第27条 河川区域内の土地において土地の掘削、盛土若しくは切土その他土地の形状を変更する行為(前条第1項の許可に係る行為のためにするものを除く )又は竹木の栽植若しくは伐採をしようとする者は、国土交通省令で定めるところにより、河川管理者の許可を受けなければならない。ただし、政令で定める軽易な行為については、この限りでない。

 つまり、河川区城内で堀削盛土等の形状変更をする場合、河川法27条第1項に則り、
   深さ1m以内の掘削、切土 ⇒許可不要
   高さ3m以内の盛土    ⇒許可不要
となります。
 ところが現地では、4mも5mも盛土をしています。
 さらに現地は河川をせき止めて、ヒューム管を布設して搬入路として使用していました。つまりやりたい放題の様相を呈していました。

■次に当該地は、借地契約によりストックヤードとして利用されていました。その契約とは土地利用者の渋川土木事務所と土地所有者の望月さんという渋川市議会議員との間で結ばれています。これは県会議員からの情報ですが、当然渋川土木事務所に確認していただければ、事実関係が明らかになります。

 ちなみに2年前の2017年当時の状態がこれ(本日提出した事実証明書⑫)です。この土地をわざわざ市議会議員から手当てしていました。本来はきちんと公募しなければならないはずですが、なぜ望月市議の所有土地を借りなければならなかったのか、その経緯は不明です。

■次に、この当該土地を使った渋川土木事務所建設発生土ストックヤード管理業務委託について検証してみます。
 ・管理委託業務を渋川建設事業協同組合とやっています。
 ・業務発注のもととなる入札方式は、一般競争入札と定められています。
 ・グループの場合は1名として考え、そのメンバーの中にきちんとした資格を持った業者が1名でもいればよいという考え方でやっています。
 ・渋川建設事業協同組合員は総員24名から構成されています。
 ・この24名はすべて渋川土木事務所管内の法人で本社を置いています。
 ・入札資格で、土木一式880点以上という縛りをつけると、この時点で組合員以外で該当者は皆無となります。
 ・従って競争入札は成立せず、この場合は官制談合となる筈だと考えられます。
 ・通常であれば、24名を複数のグループに分けて、競争させる形態をとらなければならないはずです。しかし、そうした形態をとらずに入札したことは、いわゆる談合であり、それを渋川土木事務所が止めなければならないのに、それをやらないのは、官製談合が強く疑われます。

■つぎにストックヤードとしての役割と機能から疑惑を検証してみます。
1) 運搬土の単価1,045円/㎥についての考察
 ストックヤードは、土の保管が目的であるはずです。昨年の平成30年3月で契約が停止されていますので、ストック場に保管されている土砂は当然、群馬県の財産と判断されます。
 一方で、渋川市行幸田(みゆきだ)で契約されている残土捨場は700円/㎥と聞いております。しかし、ここではあくまで土砂条例に基づく対象地としての、残土捨場と判断されています。
 ところが当該現場では1,045円/㎥で建設発生土を受け入れています。この差額は1,045円-700円=345円/㎥となります。となれば、この分がストックヤードにおける保管料金と判断すべきです。
 つまり、平成24年から29年まで稼働して最終的にストックヤードに残った建設発生土の残土量である99,0391㎥×差額345円/㎥=34,168,000円相当の管理料金が前渡しされてあったことになります。
 当然のことながら、組合は、これを群馬県知事=渋川土木事務所に返納してからでなければ、土地の所有者に当該土地に残置された土砂を自由にさせてはなりません。ただちに、組合に前渡しされていた管理料金を全額弁済させる必要があります。
 ちなみにこのことについて、ある県議が渋川土木事務所の職員に尋ねたところ、「土砂は地主のもの」と答えたそうです。つまり建設発生土は土地所有者に譲渡したということになります。現在は当該土地は土地所有者が管理しているようですので、渋川土木事務所は、まさに特定の者のために奉仕をしていたことになります。
 冒頭でも指摘しましたが、およそ公務員として認識にもとづく発言としては考えられないものだと言えます。

2) 土量計算
 ある県議が、渋川土木事務所から公文書開示請求により入手した資料により、着工前の平面図、横断図が提示されました。H30年11月27日撮影の事実証明書⑥に示した河川敷の状況よりも、さらに深い所があるのが確認できます。
 この着工前の断面図を見れば、ここに建設発生土のためのストックヤードの設置を考える県の職員がいたなどということは、到底、想像もつきません。
 これはストックヤードなどというシロモノではなく、まさに残土捨場です。
 河川敷を深く掘下げ、砂利採取でできた穴を埋める為にわざわざ群馬県が借地して、穴を埋めてやったようなものです。しかも当該土地にはプラントも設置されている有様です(2017年のGoogle Earth写真。事実証明書⑫)。
 また、土量を横断図と写真(平成31年1月撮影の事実証明書⑨)から判断すると、50,000㎥の上が不足しております。一番深い所から計算しても、高さは4~4.5m位になります。これは冒頭の示した河川法にも違反しています。
 土量が足らないのは明らかです。もし、渋川土木事務所が「違う」と主張するなら測量士に測ってもらえばすぐに計算できるはずです。
 して本当に足りないことが判明した場合には、建設組合が残土を不法に処分したか、それとも最初から現場に土を搬入していなかったと言える訳です。それこそ詐欺行為だと言えます。とても土木のプロのする仕事ではありません。

3) 契約上の問題点
 ・建設組合の24名の中に、望月建設は入っておりません。
 ・従ってこの工事は下請に外注されたと判断されます。
 ・協定書違反であり、一括下請に該当すると思います。
 ・現状復旧さえしていません。プラントなど構造物が契約期間中も契約後も現地に残ったままです。

 以上のとおり、そもそも公共事業における建設発生土の有効利用の促進、不適正処理の防止、発生量の抑制を図るため、ストックヤード整備を推進し、建設発生土をきちんと管理するための管理委託業務のはずですが、まったく組合も渋川土木事務所も管理をしていた形跡が見えません。
 このストックヤードを舞台に、実際には、河川法違反、土砂条例違反、官製談合、背任、詐欺などの違法行為がまかり通っていたとしたら、当然、財務会計の面からもメスを入れる必要があるはずです。

 最後に、もし申請人の試算や主張が間違っていれば、直ぐとりさげます。監査委員に置かれましては、渋川土木事務所および本庁の県土整備部の関係部署から詳しく事情を聴き、本件の真相の究明と、責任の所在の明確化、そして再発防止策の徹底を実施機関に勧告されますよう強く要請いたします。

=====別紙=====
追加証拠の提出

11 土量計算書と関連図面
   ZIP ⇒ 2019050811iyvzaj.zip
12 2017年のGoogle Earthの現場上空写真
   ZIP ⇒ 2019050812i2017ngoogleearthj.zip
**********

■午後2時5分に当会の陳述を終えたあと代表監査委員の丸山監査委員から質問を受けました。曰く「これは残土のようなものだが、価値はあると思うのか?」というものでしたので、当会は「これは残土ではなく本来は建設発生土なので、群馬県の県土整備部がHPで強調しているように、公共事業で発生する建設発生土の有効利用の促進をはかるために、行政がストックヤードを確保し、建設発生土を処理したり、再利用する場合の費用も税金から支出されているわけで、県の財産とみなせる」と説明しました。

 しかし丸山代表監査委員は、何度も当会に対して「本当に価値があると考えているのかね?」と念を押して質問してきました。当会はそのたびに「公共工事で生じた建設発生土なので、再利用を念頭にストックヤードで管理をしていることから、財産価値があると考えています」と回答しました。

 もしかしたら監査委員は、「残土なんだから、価値はないだろう」というスタンスで、住民監査請求をしりぞけようと考えていたフシが見え隠れします。

■そもそも、基本的にはストックヤードは契約終了の時点で原状復旧すべしと委託協定書に明記してあるのですから、協定終了時にはそのようにしなければならないはずです。

 そのうえで、公共工事からの土木建設発生土をカネを取って受入れ、その7割程度のカネをとって払出ししてきたのですから(本当にきちんと受入と払出しの管理をしていたのかどうかはともかく)、結果として約9万9000立方メートルの土砂が残っているということであれば、それについてもきちんと払出しをする必要があるわけですから、それに必要な費用は委託先の組合が、責任を持って捻出する義務があるはずです。

 一方、委託元の渋川土木事務所は、土地の借り手として、土地の持ち主である望月建設に、当該土地の委託協定期間が終了後、土地を返還するわけですから、その際に、記録上として残置された土量分約9万9000立方メートル(の土砂を土地の持ち主にタダでくれてやったということになります。実際の残置土量は約4万9000㎥ですから、これをくれてやったということになります。

 本来は約9万9000立方メートル残置土量があるはずのところ、5万立方メートルも少ないということで、これは渋川土木事務所が怠慢だったから、この分の財産目減りを回収しなければならない、というのが今回の住民監査請求の骨子です。

 ところが、いろいろと検証してみますと、それぞれの切り口で、損害が多種多様に計算できるため、損害の定義がいくつも想定されてきます。そこでやはり、渋川土木事務所の管理が怠慢だったから、5万立方メートルも残置土量が少なくなってしまった、という結果が問題点として注目されます。

 今回の事件は、望月建設の所有地を県が6年間有償で借りて年間230万円×6年間分=1380万円を支払い、県が借りた土地に地元業者が公共事業で発生した土を搬入し、同様に公共事業で必要な土を搬出するための発生土の管理業務を渋川土木事務所が競争入札で委託先を選定し、結局搬入土砂の受け入れで6年間合計1億2500万円、搬出土砂の払い出しで約1300万円=1億3800万円の収入が組合にあったわけです。

 このうち、1割が県に手数料として入り、それが借地料として土地所有者である望月建設に支払われたのかどうかは定かではなく(協定書には無償で使用させるとあります)、群馬県が税金から負担していたとなると、これも財務会計上の損害となり、監査請求対象となります。

■組合が原状回復義務を怠っていることについては、群馬県が今後、組合に代わって、これらの土砂を撤去する必要に迫られた場合、やはり費用がかかるわけで、その費用は当然組合がこの委託事業で受け取ったはずの収入1億3800万円から充当されるべきであり、この点からも財務会計上の損害とみなせると思います。

 しかし県は、たぶん「土地所有者がこのままでいいといっているから」などと主張するでしょうから、その場合は河川法違反の観点から原状復旧の必要性が問題点として指摘されることになるはずです。

 ちなみに、河川法違反だらけで、しかも建設発生土が記録より大幅に少ない現場の状況はごらんのとおりです。


現地付近の道路交差点脇にある望月建設会長の立看板。

現場写真(道路面より1mくらい低い感じ)。黄色い重機は望月建設所有。

反対側の上方から見ると10mくらい深い穴が掘られているのが分かる。

現場から少し下流の田之郷川の様子。

このすぐ西側の天竜川。ここでも河川法違反行為現場があるらしい。

■八ッ場ダムや上武国道などの公共事業における大同特殊鋼・佐藤建設工業の悪の枢軸による有害スラグの埋立工事といい、館林市におけるJFEの溶融スラグの不法投棄事件といい、県道高渋バイパスを始め、高崎市内の公有地における東邦亜鉛の鉛・ヒ素入り有毒スラグ(K砕)を使った路盤工事や駐車場等の造成工事といい、群馬県内の公共工事では、およそ使用してはならないはずの土木資材が野放図に使われてきました。

 そして今度は、公共工事から出てくる土木建設発生土についても、群馬県がずさんな管理をしていたことが明らかになりました。この背景には、特定の利権集団と結びつきやすい現在の群馬県の行政の特質・本質が挙げられます。

■今回の住民監査請求は、3月25日に提出しましたが、その間補正命令で10日間ほど補正書の提出に時間をとられたため、60日以内に出される監査結果通知は、遅くとも6月4日までに発出されることになります。議会出身者の監査委員2名を欠いた状態での監査委員が、果たして政治の影響から少しでも独立した判断ができるのかどうか、判断結果が注目されます。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

※参考情報「建設発生土とストックヤード」
●群馬県 - 建設発生土の民間受入地の募集について【随時】
 ZIP ⇒ qnynwyz.zip
●群馬県建設発生土民間受入施設一覧H31.4.1現在
 ZIP ⇒ qnyh31.4.1.zip
●【技術基準】30011-53(建設発生土処分先一覧表の掲載申請及び審査要領(試行)の一部改定)
●012_建設発生土処分先一覧表の掲載申請及び審査要領(一部改定)
●022_建設発生土の民間受入地の公募フロー(一部改定)
●031_建設発生土処分先一覧表に掲載する建設発生土受入地等の判断基準
●041_【参考】建設発生土民間受入地登録申請書類一覧表
●052_申請書等の様式集
●061_群馬県建設発生土民間受入施設一覧表
●071_【参考】民間受入地の現地調査票
●100_【参考】建設発生土処分先一覧表の掲載申請及び審査要領新旧対照表
●110_建設発生土処分先一覧表の掲載申請及び審査要領(一部改定)赤書き
 ZIP ⇒ 071_yqlznn.zip
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