■2016年7月3日付毎日新聞が報じた安中市小俣のメガソーラー敷地内に放置された大同有毒スラグの記事は、「カドミウム公害で名高い安中市には、大同有毒スラグは一粒たりとも持ち込ませない」ことを錦の御旗にして活動してきた当会のメンツが地に落ちてしまいました。このため、安中市内で起きてしまった大同スラグの不法投棄現場の実態を知るために、2017年4月16日付で安中市に情報開示請求をしたところ、同5月25日に部分開示を受けました。開示内容は次のブログをご覧ください。
〇2017年6月3日:大同スラグ問題…ビックカメラメガソーラー施設内に放置の大同有害スラグ撤去について安中市が情報公開↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2331.html
↑相変わらず赤水の止まらない入口ゲート脇の側溝。↑
↑入口ゲートから丘の上の第2発電所に向かって上っていく進入道路。このあたりも全てスラグが投棄されている。↑
↑安中市が1㎡当たり65円/年の破格の値段でビックカメラに土地を貸している第1発電所エリア。↑
↑道路際に設置されているパワーコンディショナーユニット。↑
↑設置後4年も経過すると防草シートの効果力も半減し、パネル下部や周辺の除草対策は大きな課題だ。↑
開示されたビックカメラの子会社の㈱クリーンエネルギー研究所から昨年2016年7月4日(月)に提出された報告書によれば、当時、同研究所では、「使用した道路面全域において撤去する事。撤去終了次第安全な資材で再工事をする事」を社内会議で対応方針として決定したと、安中市長に報告していますが、その後約1年が経過しているにもかかわらず、具体的な撤去に向けた動きが見えてきません。
そこで、当会では、先日2017年5月29日(月)午後5時25分から40分間ほど㈱クリーンエネルギー研究所の横山幹生・事業推進本部長と電話でこの問題について話をしました。
同社からの説明は概ね次のとおりでした。
(1)㈱クリーンエネルギー研究所の電話番号は意図的に公表していない。(当会注:コンタクトするまでに、当初ビックカメラ本社に電話をし、連絡目的を伝えたうえで、子会社の同社から電話をしてもらうことになり、先方から電話を当会にかけてもらいました)
(2)安中市民から安中市を通じで、弊社が行った現場調査の報告書の開示を要請しているということは、安中市の環境政策課の堀米課長から聞いているが、小川さんの名前は今初めて知った。
(3)今回のスラグの持ち込みは大同スラグと認識している。そこで撤去を申し入れることにして、昨年末までに大同特殊鋼に対して申し入れたところ、彼らは「群馬県の指導に従っているので、撤去はせずにアスファルト舗装などによる被覆で対応したい」と主張してきた。
(4)群馬県は、この件に関して、当社のメガソーラー敷地内の道路部分について「土壌汚染対策法第11条第1項に基づく形質変更時要届出区域(平成29年5月26日現在)」として先週金曜日5月26日に指定し、今日5月29日に群馬県のHPに掲載した。地番のみしか書いてないが、当社のメガソーラーの土地を意味している。
http://www.pref.gunma.jp/04/e0910002.html
■土壌汚染対策法第11条第1項に基づく形質変更時要届出区域(平成29年5月26日(※注2)現在)
●整理番号:整-2007-1
〇調査契機:第3条
〇指定年月日:平成19年4月13日、平成22年2月26日(一部解除)
〇指定番号:指-3号
〇指定区域の所在地(※注3):富岡市田篠字原町158番4、158番5、159番1の一部
〇指定基準に適合しない特定有害物質:テトラクロロエチレン、トリクロロエチレン(富岡市田篠字原町158番4の一部に限る。)
〇超過基準:溶出
●整理番号:整-2008-1
〇調査契機:第3条
〇指定年月日:平成21年9月8日
〇指定番号:指-5号
〇指定区域の所在地(※注3):佐波郡玉村町大字八幡原字天神塚1835番地の一部
〇指定基準に適合しない特定有害物質:ふっ素及びその化合物
〇超過基準:溶出
●整理番号:整-2010-1
〇調査契機:第3条
〇指定年月日:平成22年7月30日
〇指定番号:形-7号
〇指定区域の所在地(※注3):富岡市富岡211番2の一部、211番4の一部、213番4の一部
〇指定基準に適合しない特定有害物質:六価クロム化合物(富岡市富岡211番2の一部、211番4の一部に限る。)、シアン化合物(富岡市富岡211番2の一部、213番4の一部に限る。)並びにふっ素及びその化合物(富岡市富岡211番2の一部、211番4の一部に限る。)
〇超過基準:溶出
●整理番号:整-2010-2
〇調査契機:第4条
〇指定年月日:平成22年12月14日、平成23年6月10日(一部解除)
〇指定番号:形-8号
〇指定区域の所在地(※注3):邑楽郡明和町大輪667番9、667番18、667番19
〇指定基準に適合しない特定有害物質:ふっ素及びその化合物
〇超過基準:溶出
●整理番号:整-2013-1
○調査契機:第3条
○指定年月日:平成25年4月26日
○指定番号:形-10号
○指定区域の所在地(※注3):富岡市富岡214番4の一部、215番の一部、231番1の一部、231番2の一部
○超過基準に適合しない特定有害物質:
・溶出:六価クロム化合物(215番の一部、231番1の一部、231番2の一部に限る。)、シアン化合物(215番の一部、231番1の一部、231番2の一部に限る。)並びにふっ素及びその化合物
・含有:六価クロム化合物(231番1の一部に限る。)及びシアン化合物(231番1の一部に限る。)
○超過基準:溶出・含有
●整理番号:整-2014-1
〇調査契機:第3条
〇指定年月日:平成26年7月29日
〇指定番号:形-11号
〇指定区域の所在地(※注3):安中市磯部一丁目字二本木39番
〇指定基準に適合しない特定有害物質:
・溶出:1,1-ジクロロエチレン、シス-1,2-ジクロロエチレン、ジクロロメタン、テトラクロロエチレン、トリクロロエチレン、六価クロム化合物、シアン化合物、ほう素及びその化合物
・含有:六価クロム化合物、シアン化合物、ほう素及びその化合物
※試料採取等を行う区画の選定等を省略
〇超過基準:溶出・含有
●整理番号:整-2014-2
○調査契機:第3条
○指定年月日:平成26年8月19日
○指定番号:形-12号
○指定区域の所在地(※注3):安中市磯部一丁目字二本木36番8
○指定基準に適合しない特定有害物質:
・溶出:1,1-ジクロロエチレン、シス-1,2-ジクロロエチレン、ジクロロメタン、テトラクロロエチレン、トリクロロエチレン、六価クロム化合物、シアン化合物、ほう素及びその化合物
・含有:六価クロム化合物、シアン化合物、ほう素及びその化合物
※試料採取等を行う区画の選定等を省略
○超過基準:溶出・含有
●整理番号:整-2015-1
○調査契機:第3条
○指定年月日:平成28年3月15日
○指定番号:形-14号
○指定区域の所在地(※注3):富岡市七日市字下久保1193番1の一部
○指定基準に適合しない特定有害物資:
・溶出:六価クロム化合物、シアン化合物、鉛及びその化合物、ふっ素及びその化合物、ほう素及びその化合物
・含有:鉛及びその化合物
※基準に適合しなかった一部対象区画における試料採取を省略
○超過基準:溶出・含有
●整理番号:整-2016-1
○調査契機:第4条
○指定年月日:平成28年6月28日
○指定番号:形-15号
○指定区域の所在地(※注3):吾妻郡東吾妻町大字川戸字宮下1099番1の一部、1115番2の一部、1121番1の一部
○指定基準に適合しない特定有害物質:ふっ素及びその化合物
○超過基準:溶出
●整理番号:整-2016-3
○調査契機:第4条
○指定年月日:平成28年12月16日
○指定番号:形-17号
○指定区域の所在地(※注3):富岡市富岡字鳥居基1261番1の一部、1265番3の一部、1265番4の一部、1269番2の一部、字小舟南2015番2の一部、曽木字九田13番1の一部テトラクロロエチレン溶出整-2016-4第4条平成29年3月17日形-18号渋川市金井2843番地3の一部、2843番地39の一部、2843番地40の一部
○指定基準に適合しない特定有害物質:
・溶出:ふっ素及びその化合物、六価クロム化合物
・含有:ふっ素及びその化合物(2843番地39の一部に限る)
○超過基準:溶出・含有
●整理番号:整-2017-1
○調査契機:第4条
○指定年月日:平成29年5月26日
○指定番号:形-19号
○指定区域の所在地(※注3):安中市小俣字滑ノ谷津1111番1の一部、同1111番7の一部、同1162番5の一部、下秋間字二本松1017番1の一部、安中字大星1503番1の一部、同1511番1の一部、同1512番2の一部、同1513番1の一部
○指定基準に適合しない特定有害物質:ふっ素及びその化合物
○超過基準:溶出
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(※注2)区域指定状況に変更が生じた最新の年月日です。
(※注3)指定区域台帳に記載されている地番を表記しているので、区域指定後の分筆等により現在の地番とは異なる場合があります。
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(5)当社としては、今回形質変更時用途届出区域の指定を受けたことで、今後、スラグ埋設箇所を掘り返して、撤去を含めて大同の方針を確認して、せっかくのクリーンエネルギーのイメージが汚染で台無しになることを払拭すべく、何とかスラグ撤去を求めるべく、いろいろ顧問弁護士とも相談をしてきているが、正直なところ先行きは不透明と言わざるを得ない。
(6)その理由として、当該地域は、通常、柵やゲートで仕切られていて人の立ち入りが完全に制限されていること、今回調査を依頼したプロファ設計によると、地下水脈がないこと、だから付近に井戸がないことが挙げられる。県のHPにも、「なお、土壌汚染対策法で規定する人の健康被害が生じるリスクは、汚染された地下水を飲用することで生じるリスク(溶出基準超過)と汚染された土壌を直接摂取するリスク(含有量基準超過)の2種類があります。そのため、溶出基準を超過した土壌汚染があっても、区域指定を行う時点で、地下水汚染がなかったり、地下水汚染の到達するおそれがある範囲(※注1)に飲用井戸等がない、すでに対策を講じている場合や含有量基準を超過しているが、盛土等対策を講じることで、汚染土壌を直接摂取するリスクがない場合に、「形質変更時要届出区域」に指定されます。」とあり、群馬県がこのように地下水もなく、汚染土壌の上にアスファルト舗装をすればリスクがないと言われてしまいかねないので、本当に撤去を求めて大同スラグに申し入れても、実現するかどうか、顧問弁護士にきいても必ず勝てるとは言えないとしており、どのように進めてよいか躊躇しているというのが現在の状況。
(7)スラグが埋められた箇所は道路敷のみであることは確か。小川さんが疑念を持つようなことはありえないので、この点はどうか信用してほしい。パネルの下は芝やシロツメクサを植栽して、除草対策としており、スラグに(除草対策を)依存する計画は当初からなかった。もとよりスラグは平成23年当時、建設会社が「固まり易く、安い道路資材がある」という業界情報から、車両道路補強材として使用したが、有害スラグとの認識はなかった。
(8)弊社では現在、隣接地に全国屈指のメガソーラー計画を立てており、近いうちに着工するが、その意味で現在稼働中のこのメガソーラー敷地内に、有毒スラグがあることは好ましくないと思っている。一方で、前述のとおり大同スラグの話としては、弁護士と相談しているが、法律上の仕組みが、いかんせん、撤去をしなければならないというふうにはっきりとなっていないため、あるいは法律上必ずしも撤去しなくてもよいという判断が為されてしまう余地があり、裁判をしても埒が開かないのではないか、という懸念がある。裁判をすれば勝てるという確証がまだ見出せていないので、どうすべきが戸惑っている、というのが現在のいつわらざる心境。
(9)なお、当社ではほかにも兵庫県や千葉県でメガソーラー事業を展開している。
■以上のとおり、ビックカメラの子会社の㈱クリーンエネルギー研究所は、4年半前に持ち込まれて、1年前に存在が発覚した有毒スラグの撤去について、未だに実現するに至っていない実情について、忸怩たる思いを持っているのは確かです。
なぜならば、大同特殊鋼にスラグ撤去を強く働きかけて来たものの、大同特殊鋼は、今やスラグの不法投棄はそっちのけで、土壌汚染対策法に定めた地下水汚染が明らかに認められる場合のみ対策を行えばよい」とする歪んだ行政対応をする群馬県によりすがって、「撤去など言語道断。原則なにも対策はしないことにして、よほど五月蠅く文句を言われた場合、せいぜい舗装だけすればいいや」とばかりに居直っているのが実状であるからです。
■今回のビックカメラの子会社のメガソーラー施設における大同スラグ不法投棄問題は、公共事業と異なり、民間同士の問題です。それにもかかわらず、大同特殊鋼は、群馬県が土壌汚染対策法で地下水汚染が無ければ対策をする必要はないとする方針を金科玉条の如く尊重し、ビックカメラの私有地に大量のスラグを無断で不法投棄したのに、対策を取らないという方針を正当化しようとしていることが判明しました。
この背景には、大同特殊鋼と群馬県行政との癒着が見え隠れします。
■ここで、もういちど、ビックカメラの子会社のメガソーラー施設内に不法投棄された大同有毒スラグの実態を推定したいと思います。
当会では、ビックカメラ子会社の㈱クリーンエネルギー研究所に対して、メガソーラー施設内の立ち入り許可を要請しました。なぜなら、大同スラグを持ち込んだ佐藤建設工業が、まともな材料を持ち込むはずがないからです。
スラグ混合砕石(RC-40)という呼び方自体、本来のリサイクル資材製品である「再生砕石(RC-40)」を偽装していますが、大同スラグの調査にかけてはズサンな調査で知られるプロファ設計が、これほど汚染度の高い調査結果を出さざるを得なかったのには、理由があるはずです。
当会では、実際に現場に立ち入って、次の2点を確認することが不可欠だと考えています。
(1)本当にスラグを投棄したのは道路部分だけなのか?パネルの間や下にもスラグが撒き散らされているのではないか?
(2)本当に、スラグ混合砕石として、大同スラグを天然砕石で混合して「有毒物質を薄めた」かたちのものを、現場に搬入したのか?高濃度の土壌汚染を引き起こしているところを見ると、実際には砕石と混合しないまま生スラグ100%を現場に搬入し投棄したのではないか?
上記(1)について、当会から施設内立ち入りを要請したところ、クリーンエネルギー研究所は「そのようなことはないと信じている。我々を信用してほしい」として、当会の立ち入りを拒否しました。本当にスラグは道路部分のみ投棄されただけなのでしょうか。
調査地点No.1~8までの場所は報告書の次の調査地点に示されています。
そこで、Google Mapで、現在の調査地点の状況を航空写真で確認してみましょう。
○調査地点No.1(スラグ下層土壌50㎝のふっ素溶出量平均値1.0mg/L)
この場所はパワーコンデショナー施設が隅に設置されているのか、35m×30m=1,050㎡くらいの四角い広場になっており、すべてスラグが敷き詰められている様子がうかがえます。スラグ下層土壌のふっ素溶出量から推測するに、おそらく生スラグ100%が投棄されているのではないかと思われます。
○調査地点No.2(スラグ下層土壌50㎝のふっ素溶出量平均値2.8mg/L)
この場所は第2発電所の西側沿いの道路のナックルした場所で、ふっ素溶出量から推測するに生スラグ100%が投棄されている可能性が極めて高いと思われます。
○調査地点No.3(スラグ下層土壌50㎝のふっ素溶出量平均値1.0mg/L)
この場所は第2発電所の一番北に位置しており、一辺が20mの三角形をした駐車場のように見えます。地面が白っぽく見えるので生スラグ100%が約290㎡敷きこまれているように推測されます。
○調査地点No.4(スラグ下層土壌50㎝のふっ素溶出量平均値1.9mg/L)
この場所は第2発電所の東側沿いの道路のうち、北端から南に向かう3分の1当たりのナックル箇所にあたります。ふっ素溶出量から推測するとここも生スラグ100%が敷きこまれている可能性があります。
○調査地点No.5(スラグ下層土壌50㎝のふっ素溶出量平均値5.2mg/L)
この場所は第2発電所の東側沿いの道路のうち北端から南に向かう3分の2当たりのナックル箇所にあたります。スラグの下にある土壌のふっ素汚染度が最大となっている箇所。当然、生スラグ100%が投棄されているものと見られます。
○調査地点No.6(スラグ下層土壌50㎝のふっ素溶出量平均値0.3mg/L)
この場所は第2発電所の東南端にある道路とその周辺の空き地のように見えます。写真を見ると、道路の両側、とくに南側の一辺20m程度の三角形の公園様の空き地約290㎡全体に亘り白っぽい部分が拡がっており、スラグが一面に敷きこまれている様子がうかがえます。プロファ設計のNo.6の土壌調査地点は道路から外れた空き地に当たります。だから、ふっ素溶出量平均値が一番低く、環境基準値を下回ったものと見られます。再度、道路部分の直下の土壌をボーリングしてサンプリングすれば、土壌中のふっ素溶出量は基準値を遥かに上回るものと見られます。
○調査地点No.7(スラグ下層土壌50㎝のふっ素溶出量平均値1.0mg/L)
この場所は、入口ゲートから第2発電所のある丘の上に向かってU字型にカーブしながら上ってゆく進入道路の途中のカーブを曲がり終えた地点に当たります。この辺りは、上り坂ということで、スラグ100%を敷きこんで、路面を固く確保している可能性があります。そのような場所で、スラグ直下の厚さ50㎝の土壌のふっ素溶出量平均値が1.0mg/Lということは、スラグ直下の土壌中のふっ素含有量はとんでもない値になっている可能性があります。しかし、プロファ設計はなぜか土壌中のふっ素含有量は計測していません。
○調査地点No.8(スラグ混合砕石のふっ素含有量110ppm、ふっ素溶出量0.4mg/L。下層土壌50㎝のふっ素溶出量平均値未測定)
この場所は、入口ゲートから入って直ぐの地点に当たります。比較的平らなので、スラグの厚さはさほどではないのかもしれません。しかし、ふっ素溶出量が基準値の5割に達しており、ここもふっ素汚染していることが分かります。
■このように、ビックカメラの子会社のメガソーラー施設には、843㎥のほとんど混じりけのない生スラグが持ち込まれたものと考えられます。そのスラグが、長さ650m、幅3mの道路1950㎡に敷きこまれた上に、駐車場のような空き地1,050㎡+290㎡+290㎡=1,630㎡に投棄されたとすると、合計約3,580㎡にスラグが撒かれた可能性があります。
さらにGoogle Mapを見て気になるのは、パネル群とパネル群との間に見える管理用通路が白っぽく見えることです。おそらくここにもスラグが撒き散らされているのではないか、と考えられます。
■以上のとおり、やはりビックカメラのメガソーラー施設に立ち入って有毒スラグの施工状況を肉眼で詳しく確認することが必要と考えます。これは安中市の権限で、不法投棄された産業廃棄物であるスラグの状況を調査することが必要だと思われます。
ところが安中市環境政策課では、スラグ撤去要請の課題として「ここは公有地ではなく私有地のため、本来行政が関与することではない」などと早くも腰が引けた対応を取っています。
一方、ビックカメラが所有するローズベイカントリークラブは、全国最大級のメガソーラー施設に事業転換するため、昨年10月にゴルフ場としての営業を終えて、閉鎖されており、現在、群馬県の土地・水対策室で大規模開発事業に基づく審査手続きがほぼ大詰めに差し掛かっているようです。
安中市では、昨年2016年7月4日15時30分から開催されたビックカメラの大規模開発事業に係る地域開発対策委員会において、開発事業構想の受け入れの承認書に「その他」として、スラグの撤去要請についても付記することに決定しています。
ところが、このことについて2017年5月26日に群馬県庁の土地・水対策室を訪れて、星野担当に確認したところ、「大規模開発の進捗状況については守秘義務で教えられない。また、現在稼働中のメガソーラー施設内に有毒スラグが敷設されていることについては、隣接地ではあるが、今回の大規模開発事業とは別事業なので、有毒スラグの撤去と、今回の大規模開発事業とは無関係なので、スラグ撤去問題は考慮しない」と断言する始末でした。
■さらに安中市の回議用紙には、「スラグ撤去要請の課題」について、次の情報が記載されています。
「③県は、民間施設に関するスラグについては、業者が必要な調査を行って地下水汚染など、周辺の環境悪化が指摘されなければ、問題には介入しない方針である。また、風評被害のおそれがあることから、使用されている施設名も情報開示の対象としない」
これは既に1年前から、ビックカメラ子会社のメガソーラー施設内に不法投棄された大同有毒スラグに対して、群馬県は関知しない方針を既に安中市に伝えていたことを意味します。
「周辺の環境悪化が指摘されなければ、問題には介入しない方針である」
この群馬県の方針だと、環境悪化が具体的に指摘されない限り、県民の安全・安心の生活環境は考慮するつもりがない、という意味になります。
■現在は生スラグが剥き出しの状況です。現場から流れ出す水は赤く染まり、スラグの直下の土壌はふっ素に高濃度に汚染されています。また、表面は生スラグなので、北風が吹くたびに、メガソーラー施設のある丘の上から周辺の住宅や農地に、ふっ素など有害物を含んだホコリが舞い散っています。
それでも群馬県は、不法投棄された鉱さい=産業廃棄物が大同スラグである限り、何の対策もとるつもりもないようです。
当会は、ビックカメラの子会社の社長が決断した「汚染された土壌を含めて有毒スラグは、大同特殊鋼に対して速やかな撤去を求めていく方針」を強く支持していきたいと考えております。そのために、微力ながら当会でできる限りの対応策を検討してみたいと思います。
【ひらく会情報部・市民オンブズマン群馬事務局からの報告】
※参考情報「ローズベイカントリークラブのたどった経緯」
**********
平成14年(2002年)9月4日、(株)サンエー開発(資本金1000万円、登記面=東京都港区西麻布1-15-16、清算人田島比呂志氏)は、東京地裁へ特別清算を申請した。申請代理人は吉成外史弁護士(東京都港区虎ノ門1-1-21、電話03-3502-0081)ほか2名。
同社は、1988年(昭和63年)11月にゴルフ場経営などを目的として設立。関係会社の北村東信(株)(東京都港区、2001年9月破産、負債282億円)が造成開発した準パブリック制の「ローズベイカントリークラブ」(75年7月オープン、群馬県安中市、18ホール、全長6620ヤード)を所有し、ゴルフ場運営は別会社に委託する形で事業を展開していた。
しかし、バブル崩壊後のゴルフ市場の冷え込みから、長年にわたり赤字経営を余儀なくされ、過去の事業展開に伴う多額の借り入れ負担も重荷となっていた。
そうしたなか、2001年8月には関係会社の北村東信(株)が債権者より破産を申し立てられ、翌9月に破産宣告を受けるなど情勢が悪化。
その間、資産売却によって借入金返済を進めていたものの、利払いにも苦慮する状況が続いていたため、債務処理に向けた抜本策を金融機関などと協議していた。
その後、2002年7月にゴルフ場を別会社に売却し、同社については2002年8月23日開催の株主総会の決議により解散し、2002年9月4日に特別清算を申請し処理されることになった。負債は約80億円で、金融債務が大半を占める。
この精算申請前の平成14年(2002年)7月にローズベイCC(群馬県安中市小俣1037、TEL:0273-82-4111)を買収したのが、東証一部上場の(株)ビックカメラの創業者・新井隆二氏の資産管理会社であり、同ゴルフ場はビックカメラの傘下に収まった。
その後、(株)ビックカメラの新井隆司会長の個人企業が出資するベンチャー企業・(株)クリーンエネルギー研究所(東京都豊島区東池袋1-9、石沢隆治社長(当時)、TEL:03-3987-7501)は、ビックカメラが経営する「ローズベイカントリークラブ」(群馬県安中市小俣1037)の余剰地と市所有地を利用して、出力4200キロワットのメガソーラーを建設(総事業費は十数億円)することが判明した。
2012年(平成24年)10月に着工し、2013年3月23日に市有地の第1発電所が運転開始し、同年4月19日に第2発電所も発電を開始した。年間発電量は約420万KW時で一般家庭1100世帯分に相当し、全量を東京電力に売電(災害時などには非常電源として一般家庭向けにも供給)する。
太陽光発電としては当時群馬県最大規模で、全体面積は4万1000平方メートル、パネル約1万5000枚を設置し、2100キロワット規模の設備を市所有地とゴルフ場にそれぞれ設け、2系統で運営している。
そして2016年9月30日、ローズペイカントリークラブ」(18H、安中市小俣1037、TEL:027-382-4111)がゴルフ場の営業を終了した。理由はメガソーラーを建設する計画のためであった。このメガソーラー計画は、ビックカメラの子会社の㈱クリーンエネルギー研究所が、70~80MWの大規模メガソーラー事業を計画し、群馬県の大規模開発の手続を進めており、許認可取得後、早ければ2017年6月にも工事に着手する模様。2019年(平成31年)の稼働(売電価格は32円)を目指す。
**********
※当会注:2017年6月12日に掲載写真の一部を一旦消去し、別の写真と差し替えました。
〇2017年6月3日:大同スラグ問題…ビックカメラメガソーラー施設内に放置の大同有害スラグ撤去について安中市が情報公開↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2331.html
↑相変わらず赤水の止まらない入口ゲート脇の側溝。↑
↑入口ゲートから丘の上の第2発電所に向かって上っていく進入道路。このあたりも全てスラグが投棄されている。↑
↑安中市が1㎡当たり65円/年の破格の値段でビックカメラに土地を貸している第1発電所エリア。↑
↑道路際に設置されているパワーコンディショナーユニット。↑
↑設置後4年も経過すると防草シートの効果力も半減し、パネル下部や周辺の除草対策は大きな課題だ。↑
開示されたビックカメラの子会社の㈱クリーンエネルギー研究所から昨年2016年7月4日(月)に提出された報告書によれば、当時、同研究所では、「使用した道路面全域において撤去する事。撤去終了次第安全な資材で再工事をする事」を社内会議で対応方針として決定したと、安中市長に報告していますが、その後約1年が経過しているにもかかわらず、具体的な撤去に向けた動きが見えてきません。
そこで、当会では、先日2017年5月29日(月)午後5時25分から40分間ほど㈱クリーンエネルギー研究所の横山幹生・事業推進本部長と電話でこの問題について話をしました。
同社からの説明は概ね次のとおりでした。
(1)㈱クリーンエネルギー研究所の電話番号は意図的に公表していない。(当会注:コンタクトするまでに、当初ビックカメラ本社に電話をし、連絡目的を伝えたうえで、子会社の同社から電話をしてもらうことになり、先方から電話を当会にかけてもらいました)
(2)安中市民から安中市を通じで、弊社が行った現場調査の報告書の開示を要請しているということは、安中市の環境政策課の堀米課長から聞いているが、小川さんの名前は今初めて知った。
(3)今回のスラグの持ち込みは大同スラグと認識している。そこで撤去を申し入れることにして、昨年末までに大同特殊鋼に対して申し入れたところ、彼らは「群馬県の指導に従っているので、撤去はせずにアスファルト舗装などによる被覆で対応したい」と主張してきた。
(4)群馬県は、この件に関して、当社のメガソーラー敷地内の道路部分について「土壌汚染対策法第11条第1項に基づく形質変更時要届出区域(平成29年5月26日現在)」として先週金曜日5月26日に指定し、今日5月29日に群馬県のHPに掲載した。地番のみしか書いてないが、当社のメガソーラーの土地を意味している。
http://www.pref.gunma.jp/04/e0910002.html
■土壌汚染対策法第11条第1項に基づく形質変更時要届出区域(平成29年5月26日(※注2)現在)
●整理番号:整-2007-1
〇調査契機:第3条
〇指定年月日:平成19年4月13日、平成22年2月26日(一部解除)
〇指定番号:指-3号
〇指定区域の所在地(※注3):富岡市田篠字原町158番4、158番5、159番1の一部
〇指定基準に適合しない特定有害物質:テトラクロロエチレン、トリクロロエチレン(富岡市田篠字原町158番4の一部に限る。)
〇超過基準:溶出
●整理番号:整-2008-1
〇調査契機:第3条
〇指定年月日:平成21年9月8日
〇指定番号:指-5号
〇指定区域の所在地(※注3):佐波郡玉村町大字八幡原字天神塚1835番地の一部
〇指定基準に適合しない特定有害物質:ふっ素及びその化合物
〇超過基準:溶出
●整理番号:整-2010-1
〇調査契機:第3条
〇指定年月日:平成22年7月30日
〇指定番号:形-7号
〇指定区域の所在地(※注3):富岡市富岡211番2の一部、211番4の一部、213番4の一部
〇指定基準に適合しない特定有害物質:六価クロム化合物(富岡市富岡211番2の一部、211番4の一部に限る。)、シアン化合物(富岡市富岡211番2の一部、213番4の一部に限る。)並びにふっ素及びその化合物(富岡市富岡211番2の一部、211番4の一部に限る。)
〇超過基準:溶出
●整理番号:整-2010-2
〇調査契機:第4条
〇指定年月日:平成22年12月14日、平成23年6月10日(一部解除)
〇指定番号:形-8号
〇指定区域の所在地(※注3):邑楽郡明和町大輪667番9、667番18、667番19
〇指定基準に適合しない特定有害物質:ふっ素及びその化合物
〇超過基準:溶出
●整理番号:整-2013-1
○調査契機:第3条
○指定年月日:平成25年4月26日
○指定番号:形-10号
○指定区域の所在地(※注3):富岡市富岡214番4の一部、215番の一部、231番1の一部、231番2の一部
○超過基準に適合しない特定有害物質:
・溶出:六価クロム化合物(215番の一部、231番1の一部、231番2の一部に限る。)、シアン化合物(215番の一部、231番1の一部、231番2の一部に限る。)並びにふっ素及びその化合物
・含有:六価クロム化合物(231番1の一部に限る。)及びシアン化合物(231番1の一部に限る。)
○超過基準:溶出・含有
●整理番号:整-2014-1
〇調査契機:第3条
〇指定年月日:平成26年7月29日
〇指定番号:形-11号
〇指定区域の所在地(※注3):安中市磯部一丁目字二本木39番
〇指定基準に適合しない特定有害物質:
・溶出:1,1-ジクロロエチレン、シス-1,2-ジクロロエチレン、ジクロロメタン、テトラクロロエチレン、トリクロロエチレン、六価クロム化合物、シアン化合物、ほう素及びその化合物
・含有:六価クロム化合物、シアン化合物、ほう素及びその化合物
※試料採取等を行う区画の選定等を省略
〇超過基準:溶出・含有
●整理番号:整-2014-2
○調査契機:第3条
○指定年月日:平成26年8月19日
○指定番号:形-12号
○指定区域の所在地(※注3):安中市磯部一丁目字二本木36番8
○指定基準に適合しない特定有害物質:
・溶出:1,1-ジクロロエチレン、シス-1,2-ジクロロエチレン、ジクロロメタン、テトラクロロエチレン、トリクロロエチレン、六価クロム化合物、シアン化合物、ほう素及びその化合物
・含有:六価クロム化合物、シアン化合物、ほう素及びその化合物
※試料採取等を行う区画の選定等を省略
○超過基準:溶出・含有
●整理番号:整-2015-1
○調査契機:第3条
○指定年月日:平成28年3月15日
○指定番号:形-14号
○指定区域の所在地(※注3):富岡市七日市字下久保1193番1の一部
○指定基準に適合しない特定有害物資:
・溶出:六価クロム化合物、シアン化合物、鉛及びその化合物、ふっ素及びその化合物、ほう素及びその化合物
・含有:鉛及びその化合物
※基準に適合しなかった一部対象区画における試料採取を省略
○超過基準:溶出・含有
●整理番号:整-2016-1
○調査契機:第4条
○指定年月日:平成28年6月28日
○指定番号:形-15号
○指定区域の所在地(※注3):吾妻郡東吾妻町大字川戸字宮下1099番1の一部、1115番2の一部、1121番1の一部
○指定基準に適合しない特定有害物質:ふっ素及びその化合物
○超過基準:溶出
●整理番号:整-2016-3
○調査契機:第4条
○指定年月日:平成28年12月16日
○指定番号:形-17号
○指定区域の所在地(※注3):富岡市富岡字鳥居基1261番1の一部、1265番3の一部、1265番4の一部、1269番2の一部、字小舟南2015番2の一部、曽木字九田13番1の一部テトラクロロエチレン溶出整-2016-4第4条平成29年3月17日形-18号渋川市金井2843番地3の一部、2843番地39の一部、2843番地40の一部
○指定基準に適合しない特定有害物質:
・溶出:ふっ素及びその化合物、六価クロム化合物
・含有:ふっ素及びその化合物(2843番地39の一部に限る)
○超過基準:溶出・含有
●整理番号:整-2017-1
○調査契機:第4条
○指定年月日:平成29年5月26日
○指定番号:形-19号
○指定区域の所在地(※注3):安中市小俣字滑ノ谷津1111番1の一部、同1111番7の一部、同1162番5の一部、下秋間字二本松1017番1の一部、安中字大星1503番1の一部、同1511番1の一部、同1512番2の一部、同1513番1の一部
○指定基準に適合しない特定有害物質:ふっ素及びその化合物
○超過基準:溶出
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(※注2)区域指定状況に変更が生じた最新の年月日です。
(※注3)指定区域台帳に記載されている地番を表記しているので、区域指定後の分筆等により現在の地番とは異なる場合があります。
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(5)当社としては、今回形質変更時用途届出区域の指定を受けたことで、今後、スラグ埋設箇所を掘り返して、撤去を含めて大同の方針を確認して、せっかくのクリーンエネルギーのイメージが汚染で台無しになることを払拭すべく、何とかスラグ撤去を求めるべく、いろいろ顧問弁護士とも相談をしてきているが、正直なところ先行きは不透明と言わざるを得ない。
(6)その理由として、当該地域は、通常、柵やゲートで仕切られていて人の立ち入りが完全に制限されていること、今回調査を依頼したプロファ設計によると、地下水脈がないこと、だから付近に井戸がないことが挙げられる。県のHPにも、「なお、土壌汚染対策法で規定する人の健康被害が生じるリスクは、汚染された地下水を飲用することで生じるリスク(溶出基準超過)と汚染された土壌を直接摂取するリスク(含有量基準超過)の2種類があります。そのため、溶出基準を超過した土壌汚染があっても、区域指定を行う時点で、地下水汚染がなかったり、地下水汚染の到達するおそれがある範囲(※注1)に飲用井戸等がない、すでに対策を講じている場合や含有量基準を超過しているが、盛土等対策を講じることで、汚染土壌を直接摂取するリスクがない場合に、「形質変更時要届出区域」に指定されます。」とあり、群馬県がこのように地下水もなく、汚染土壌の上にアスファルト舗装をすればリスクがないと言われてしまいかねないので、本当に撤去を求めて大同スラグに申し入れても、実現するかどうか、顧問弁護士にきいても必ず勝てるとは言えないとしており、どのように進めてよいか躊躇しているというのが現在の状況。
(7)スラグが埋められた箇所は道路敷のみであることは確か。小川さんが疑念を持つようなことはありえないので、この点はどうか信用してほしい。パネルの下は芝やシロツメクサを植栽して、除草対策としており、スラグに(除草対策を)依存する計画は当初からなかった。もとよりスラグは平成23年当時、建設会社が「固まり易く、安い道路資材がある」という業界情報から、車両道路補強材として使用したが、有害スラグとの認識はなかった。
(8)弊社では現在、隣接地に全国屈指のメガソーラー計画を立てており、近いうちに着工するが、その意味で現在稼働中のこのメガソーラー敷地内に、有毒スラグがあることは好ましくないと思っている。一方で、前述のとおり大同スラグの話としては、弁護士と相談しているが、法律上の仕組みが、いかんせん、撤去をしなければならないというふうにはっきりとなっていないため、あるいは法律上必ずしも撤去しなくてもよいという判断が為されてしまう余地があり、裁判をしても埒が開かないのではないか、という懸念がある。裁判をすれば勝てるという確証がまだ見出せていないので、どうすべきが戸惑っている、というのが現在のいつわらざる心境。
(9)なお、当社ではほかにも兵庫県や千葉県でメガソーラー事業を展開している。
■以上のとおり、ビックカメラの子会社の㈱クリーンエネルギー研究所は、4年半前に持ち込まれて、1年前に存在が発覚した有毒スラグの撤去について、未だに実現するに至っていない実情について、忸怩たる思いを持っているのは確かです。
なぜならば、大同特殊鋼にスラグ撤去を強く働きかけて来たものの、大同特殊鋼は、今やスラグの不法投棄はそっちのけで、土壌汚染対策法に定めた地下水汚染が明らかに認められる場合のみ対策を行えばよい」とする歪んだ行政対応をする群馬県によりすがって、「撤去など言語道断。原則なにも対策はしないことにして、よほど五月蠅く文句を言われた場合、せいぜい舗装だけすればいいや」とばかりに居直っているのが実状であるからです。
■今回のビックカメラの子会社のメガソーラー施設における大同スラグ不法投棄問題は、公共事業と異なり、民間同士の問題です。それにもかかわらず、大同特殊鋼は、群馬県が土壌汚染対策法で地下水汚染が無ければ対策をする必要はないとする方針を金科玉条の如く尊重し、ビックカメラの私有地に大量のスラグを無断で不法投棄したのに、対策を取らないという方針を正当化しようとしていることが判明しました。
この背景には、大同特殊鋼と群馬県行政との癒着が見え隠れします。
■ここで、もういちど、ビックカメラの子会社のメガソーラー施設内に不法投棄された大同有毒スラグの実態を推定したいと思います。
当会では、ビックカメラ子会社の㈱クリーンエネルギー研究所に対して、メガソーラー施設内の立ち入り許可を要請しました。なぜなら、大同スラグを持ち込んだ佐藤建設工業が、まともな材料を持ち込むはずがないからです。
スラグ混合砕石(RC-40)という呼び方自体、本来のリサイクル資材製品である「再生砕石(RC-40)」を偽装していますが、大同スラグの調査にかけてはズサンな調査で知られるプロファ設計が、これほど汚染度の高い調査結果を出さざるを得なかったのには、理由があるはずです。
当会では、実際に現場に立ち入って、次の2点を確認することが不可欠だと考えています。
(1)本当にスラグを投棄したのは道路部分だけなのか?パネルの間や下にもスラグが撒き散らされているのではないか?
(2)本当に、スラグ混合砕石として、大同スラグを天然砕石で混合して「有毒物質を薄めた」かたちのものを、現場に搬入したのか?高濃度の土壌汚染を引き起こしているところを見ると、実際には砕石と混合しないまま生スラグ100%を現場に搬入し投棄したのではないか?
上記(1)について、当会から施設内立ち入りを要請したところ、クリーンエネルギー研究所は「そのようなことはないと信じている。我々を信用してほしい」として、当会の立ち入りを拒否しました。本当にスラグは道路部分のみ投棄されただけなのでしょうか。
調査地点No.1~8までの場所は報告書の次の調査地点に示されています。
そこで、Google Mapで、現在の調査地点の状況を航空写真で確認してみましょう。
○調査地点No.1(スラグ下層土壌50㎝のふっ素溶出量平均値1.0mg/L)
この場所はパワーコンデショナー施設が隅に設置されているのか、35m×30m=1,050㎡くらいの四角い広場になっており、すべてスラグが敷き詰められている様子がうかがえます。スラグ下層土壌のふっ素溶出量から推測するに、おそらく生スラグ100%が投棄されているのではないかと思われます。
○調査地点No.2(スラグ下層土壌50㎝のふっ素溶出量平均値2.8mg/L)
この場所は第2発電所の西側沿いの道路のナックルした場所で、ふっ素溶出量から推測するに生スラグ100%が投棄されている可能性が極めて高いと思われます。
○調査地点No.3(スラグ下層土壌50㎝のふっ素溶出量平均値1.0mg/L)
この場所は第2発電所の一番北に位置しており、一辺が20mの三角形をした駐車場のように見えます。地面が白っぽく見えるので生スラグ100%が約290㎡敷きこまれているように推測されます。
○調査地点No.4(スラグ下層土壌50㎝のふっ素溶出量平均値1.9mg/L)
この場所は第2発電所の東側沿いの道路のうち、北端から南に向かう3分の1当たりのナックル箇所にあたります。ふっ素溶出量から推測するとここも生スラグ100%が敷きこまれている可能性があります。
○調査地点No.5(スラグ下層土壌50㎝のふっ素溶出量平均値5.2mg/L)
この場所は第2発電所の東側沿いの道路のうち北端から南に向かう3分の2当たりのナックル箇所にあたります。スラグの下にある土壌のふっ素汚染度が最大となっている箇所。当然、生スラグ100%が投棄されているものと見られます。
○調査地点No.6(スラグ下層土壌50㎝のふっ素溶出量平均値0.3mg/L)
この場所は第2発電所の東南端にある道路とその周辺の空き地のように見えます。写真を見ると、道路の両側、とくに南側の一辺20m程度の三角形の公園様の空き地約290㎡全体に亘り白っぽい部分が拡がっており、スラグが一面に敷きこまれている様子がうかがえます。プロファ設計のNo.6の土壌調査地点は道路から外れた空き地に当たります。だから、ふっ素溶出量平均値が一番低く、環境基準値を下回ったものと見られます。再度、道路部分の直下の土壌をボーリングしてサンプリングすれば、土壌中のふっ素溶出量は基準値を遥かに上回るものと見られます。
○調査地点No.7(スラグ下層土壌50㎝のふっ素溶出量平均値1.0mg/L)
この場所は、入口ゲートから第2発電所のある丘の上に向かってU字型にカーブしながら上ってゆく進入道路の途中のカーブを曲がり終えた地点に当たります。この辺りは、上り坂ということで、スラグ100%を敷きこんで、路面を固く確保している可能性があります。そのような場所で、スラグ直下の厚さ50㎝の土壌のふっ素溶出量平均値が1.0mg/Lということは、スラグ直下の土壌中のふっ素含有量はとんでもない値になっている可能性があります。しかし、プロファ設計はなぜか土壌中のふっ素含有量は計測していません。
○調査地点No.8(スラグ混合砕石のふっ素含有量110ppm、ふっ素溶出量0.4mg/L。下層土壌50㎝のふっ素溶出量平均値未測定)
この場所は、入口ゲートから入って直ぐの地点に当たります。比較的平らなので、スラグの厚さはさほどではないのかもしれません。しかし、ふっ素溶出量が基準値の5割に達しており、ここもふっ素汚染していることが分かります。
■このように、ビックカメラの子会社のメガソーラー施設には、843㎥のほとんど混じりけのない生スラグが持ち込まれたものと考えられます。そのスラグが、長さ650m、幅3mの道路1950㎡に敷きこまれた上に、駐車場のような空き地1,050㎡+290㎡+290㎡=1,630㎡に投棄されたとすると、合計約3,580㎡にスラグが撒かれた可能性があります。
さらにGoogle Mapを見て気になるのは、パネル群とパネル群との間に見える管理用通路が白っぽく見えることです。おそらくここにもスラグが撒き散らされているのではないか、と考えられます。
■以上のとおり、やはりビックカメラのメガソーラー施設に立ち入って有毒スラグの施工状況を肉眼で詳しく確認することが必要と考えます。これは安中市の権限で、不法投棄された産業廃棄物であるスラグの状況を調査することが必要だと思われます。
ところが安中市環境政策課では、スラグ撤去要請の課題として「ここは公有地ではなく私有地のため、本来行政が関与することではない」などと早くも腰が引けた対応を取っています。
一方、ビックカメラが所有するローズベイカントリークラブは、全国最大級のメガソーラー施設に事業転換するため、昨年10月にゴルフ場としての営業を終えて、閉鎖されており、現在、群馬県の土地・水対策室で大規模開発事業に基づく審査手続きがほぼ大詰めに差し掛かっているようです。
安中市では、昨年2016年7月4日15時30分から開催されたビックカメラの大規模開発事業に係る地域開発対策委員会において、開発事業構想の受け入れの承認書に「その他」として、スラグの撤去要請についても付記することに決定しています。
ところが、このことについて2017年5月26日に群馬県庁の土地・水対策室を訪れて、星野担当に確認したところ、「大規模開発の進捗状況については守秘義務で教えられない。また、現在稼働中のメガソーラー施設内に有毒スラグが敷設されていることについては、隣接地ではあるが、今回の大規模開発事業とは別事業なので、有毒スラグの撤去と、今回の大規模開発事業とは無関係なので、スラグ撤去問題は考慮しない」と断言する始末でした。
■さらに安中市の回議用紙には、「スラグ撤去要請の課題」について、次の情報が記載されています。
「③県は、民間施設に関するスラグについては、業者が必要な調査を行って地下水汚染など、周辺の環境悪化が指摘されなければ、問題には介入しない方針である。また、風評被害のおそれがあることから、使用されている施設名も情報開示の対象としない」
これは既に1年前から、ビックカメラ子会社のメガソーラー施設内に不法投棄された大同有毒スラグに対して、群馬県は関知しない方針を既に安中市に伝えていたことを意味します。
「周辺の環境悪化が指摘されなければ、問題には介入しない方針である」
この群馬県の方針だと、環境悪化が具体的に指摘されない限り、県民の安全・安心の生活環境は考慮するつもりがない、という意味になります。
■現在は生スラグが剥き出しの状況です。現場から流れ出す水は赤く染まり、スラグの直下の土壌はふっ素に高濃度に汚染されています。また、表面は生スラグなので、北風が吹くたびに、メガソーラー施設のある丘の上から周辺の住宅や農地に、ふっ素など有害物を含んだホコリが舞い散っています。
それでも群馬県は、不法投棄された鉱さい=産業廃棄物が大同スラグである限り、何の対策もとるつもりもないようです。
当会は、ビックカメラの子会社の社長が決断した「汚染された土壌を含めて有毒スラグは、大同特殊鋼に対して速やかな撤去を求めていく方針」を強く支持していきたいと考えております。そのために、微力ながら当会でできる限りの対応策を検討してみたいと思います。
【ひらく会情報部・市民オンブズマン群馬事務局からの報告】
※参考情報「ローズベイカントリークラブのたどった経緯」
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平成14年(2002年)9月4日、(株)サンエー開発(資本金1000万円、登記面=東京都港区西麻布1-15-16、清算人田島比呂志氏)は、東京地裁へ特別清算を申請した。申請代理人は吉成外史弁護士(東京都港区虎ノ門1-1-21、電話03-3502-0081)ほか2名。
同社は、1988年(昭和63年)11月にゴルフ場経営などを目的として設立。関係会社の北村東信(株)(東京都港区、2001年9月破産、負債282億円)が造成開発した準パブリック制の「ローズベイカントリークラブ」(75年7月オープン、群馬県安中市、18ホール、全長6620ヤード)を所有し、ゴルフ場運営は別会社に委託する形で事業を展開していた。
しかし、バブル崩壊後のゴルフ市場の冷え込みから、長年にわたり赤字経営を余儀なくされ、過去の事業展開に伴う多額の借り入れ負担も重荷となっていた。
そうしたなか、2001年8月には関係会社の北村東信(株)が債権者より破産を申し立てられ、翌9月に破産宣告を受けるなど情勢が悪化。
その間、資産売却によって借入金返済を進めていたものの、利払いにも苦慮する状況が続いていたため、債務処理に向けた抜本策を金融機関などと協議していた。
その後、2002年7月にゴルフ場を別会社に売却し、同社については2002年8月23日開催の株主総会の決議により解散し、2002年9月4日に特別清算を申請し処理されることになった。負債は約80億円で、金融債務が大半を占める。
この精算申請前の平成14年(2002年)7月にローズベイCC(群馬県安中市小俣1037、TEL:0273-82-4111)を買収したのが、東証一部上場の(株)ビックカメラの創業者・新井隆二氏の資産管理会社であり、同ゴルフ場はビックカメラの傘下に収まった。
その後、(株)ビックカメラの新井隆司会長の個人企業が出資するベンチャー企業・(株)クリーンエネルギー研究所(東京都豊島区東池袋1-9、石沢隆治社長(当時)、TEL:03-3987-7501)は、ビックカメラが経営する「ローズベイカントリークラブ」(群馬県安中市小俣1037)の余剰地と市所有地を利用して、出力4200キロワットのメガソーラーを建設(総事業費は十数億円)することが判明した。
2012年(平成24年)10月に着工し、2013年3月23日に市有地の第1発電所が運転開始し、同年4月19日に第2発電所も発電を開始した。年間発電量は約420万KW時で一般家庭1100世帯分に相当し、全量を東京電力に売電(災害時などには非常電源として一般家庭向けにも供給)する。
太陽光発電としては当時群馬県最大規模で、全体面積は4万1000平方メートル、パネル約1万5000枚を設置し、2100キロワット規模の設備を市所有地とゴルフ場にそれぞれ設け、2系統で運営している。
そして2016年9月30日、ローズペイカントリークラブ」(18H、安中市小俣1037、TEL:027-382-4111)がゴルフ場の営業を終了した。理由はメガソーラーを建設する計画のためであった。このメガソーラー計画は、ビックカメラの子会社の㈱クリーンエネルギー研究所が、70~80MWの大規模メガソーラー事業を計画し、群馬県の大規模開発の手続を進めており、許認可取得後、早ければ2017年6月にも工事に着手する模様。2019年(平成31年)の稼働(売電価格は32円)を目指す。
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※当会注:2017年6月12日に掲載写真の一部を一旦消去し、別の写真と差し替えました。