市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

添付図書類一式の要否に二重基準!高崎市役所の建築確認手続きにおける“騙し”行政の実態

2016-05-20 22:38:00 | 高崎市の行政問題
■2015年1月、市民オンブズマン群馬の例会で、建築基準法の定めを無視して、県内の自治体がデタラメ放題の違法行為を行っているという情報と報告が、高崎市在住の当会会員である情報提供者から寄せられました。それ以降、当ブログに掲載した関連記事は次の通りです。
○2015年12月4日:農地法の杜撰な運用の実態まざまざ・・・高崎市農業委員会からの回答状から分かる行政の二重基準
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1821.html#readmore
○2015年9月12日:インチキ手続で農地法をなし崩しにする高崎市農業委員会がオンブズマンの公開質問状に回答延期
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1719.html#readmore
○2015年2月24日:インチキ書類・手続きを駆使して農地法をなし崩しにする高崎市農業委員会事務局と関係不動産業者の手管
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1539.html#readmore
○2015年1月29日:高崎市建築指導課の虚偽証言とデタラメ行政で、知らぬ間に不法建築がまかり通る理不尽さ
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1519.html#readmore

 建築基準法(昭和25年5月24日法律第201号)とは、国民の生命・健康・財産の保護のため、建築物の敷地・設備・構造・用途についてその最低基準を定めた法律とされています。

 ところが実際には、利権の温床にもなっている場合があるのです。また、特定の業者や顧客を優遇するため、手続きに必要な書類を偽造させて受理することも珍しくない様です。

 建築確認申請の際には、消防同意書(建築基準法第97条第1項)や消防通知書(建築基準法第97条第4項)、道路確約書(狭隘道路拡幅整備等にかかる場合)等の他に、申請者以外が権利を持つ土地について建築基準法第43条に関わって土地を使用する場合、当該地権者の「土地使用承諾書」が必要になります。これは高崎市に限らず、どこの自治体でも同様です。

 この時、きちんと行政を行っている自治体では、間違いや争いを防ぐ為にも、当該地権者全員の承諾を確認するため、実印による押印と、印鑑登録証明書の添付が義務付けされています。

 その敷地が、接道要件等を満たすための「共有地」である場合には、民法第251条「共有物の変更」に基づき、他の全員の共有者の同意を得なければ、共有物に変更を加えることが出来ません。

 他の人の了解をとるのは、書類があろうがなかろうが当たり前ですね。

 ところが当会会員の場合は、建築確認申請手続きで添付提出文書として必要な、この土地承諾書について、高崎市建築指導課の説明に騙されてしまったのです。

■当初、高崎市建築指導課の説明では、「この土地使用承諾書は無かった・・・云々」といいつつ、その後、幾度とも無く変遷し、何度も回答がコロコロと変わり、結局「土地使用承諾書は不要である」と説明しました。

 当会会員はその後、この共有地を接道用敷地として、建築主、或いは建築業者が、知らぬ間に勝手に使用して、建物を建てた事件に遭遇し、この建築基準法違反に関連する訴訟事件の裁判を提起したところ、高崎市建築指導課の「内部審査表」の存在が明らかになりました。その内部審査表によれば、建築確認申請時において、他人及び共有の土地・敷地を借用して申請する際に、「必ず土地使用承諾書を添付して提出する必要がある」ということが明記されていたのです。

 この事は、高崎市建築基準施行細則や高崎市のホームページにも、明確な文言記載がありませんが、裁判を通じて入手した「内部審査表」で、はじめて「土地使用承諾書」の必要性が再確認されました。

■高崎市建築指導課の窓口では担当職員が、当初、「土地使用承諾書は、(建築確認申請時に)絶対に出してもらっている」と説明していました。

 一方、裁判を提起した当会会員が、裁判所を通じて入手した資料から、自ら押印した覚えのない土地使用承諾書が「内部審査表」で、手続上、不可欠な書類だと知りました。

 そこで当会会員は、高崎市役所に「提出されたはずの土地使用承諾書は、偽造されたものだ」と指摘したところ、それが事実であると判ったのか、高崎市建築指導課は、途端に手のひらを返すように、土地使用承諾書の存在を否定しにかかりました。

 そもそも、文書形式主義である役所では、書類の形式が整わない限り受理をしない筈です。ところがその実態は、都合の悪い事態が発生すると、すぐに真実でないことを平然と言い始めるのです。

■その後当会会員は、訴訟を通じて、土地使用承諾書を含む添付提出書類の要否について、被告高崎市に対して求釈明を求めていました。

 その結果、平成28年5月12日付けで、被告の高崎市から準備書面2として、求釈明の回答が陳述されました。この3ページ目の最下段に「第2 再度の求釈明に対して 土地使用承諾書の添付は必要ないという趣旨である」と明記してあります。

 このことで、高崎市役所における建築確認手続きの二重基準が明らかになったわけです。

■そもそも、建物を建てる際には、建築基準法に基づく建築確認が必要になります。

 高崎市に確認申請を出す場合、建築確認申請書と共に、必要添付図書類一式の提出を求められます。これは、昭和49年に、群馬県から業務移管されて以降、これまでずっと行われて来ました。

 とりわけ、自己所有地以外の土地(共有地も含む)を借用して、建築確認をする場合には、当然に地権者の同意・承諾が必要になります。

 法律以前の問題で、常識的に当たり前の話です。単純に考えて、色々な工事に際しても、隣近所に挨拶に回るではありませんか。況してや権利関係が関係している事柄ですから。

 この確認申請時に、市より必ず添付書類として提出を求められるのが「土地使用承諾書」です。これは地権者の承諾の証明であり、無ければ事実と異なり、その申請そのものが成り立ちません。

 すなわち、その建築確認申請は真実と異なるという理由で「虚偽申請」と見なされ、建築基準法違反になるわけです。これは公明正大であるべき役所の手続きですから、法律規定が無くとも当然守らなければならないことです。

■今回、当会会員が直面している事件も、当該敷地が接道用敷地に該当するため、「接道要件」を申請者と結託してゴマカシタもので、結果として、接道要件とその関連項目の虚偽申請となるので、建築基準法違反となるはずです。原告である当会会員は、それを根拠に、申請者、業者、高崎市を提訴しました。

 ところが、裁判が進んでいく内に、次々と真実が明らかになって来たのです。

 その裁判であろうことか、被告高崎市は、今までの行政運用指針で必要としている土地証明図
書類について一転して、「土地証明図書類は、不要である」、と明言しました。次の被告高崎市の準備書面2の3ページ目の最下段をご覧ください。その前段の当会会員の準備書面(2)も参照ください。↓
※被告高崎市の準備書面2:PDF ⇒ 120160518sqq.pdf
※原告当会員の準備書面(2):PDF ⇒ 220160411iqjiqj.pdf(5ページ目の「第5 再度の求釈明」を参照)

 つまり、今まで必要だとされてきた「公図、登記簿謄本、土地使用承諾書、売買契約書、農地転用」などの書類は、これからは、高崎市は「提出不要」だと主張するのです。これらの規定は、内規の「審査表」に載ってあるにも関わらず、「不要」だと言うのです。

 では、今までの審査は何だったのでしょうか。

■高崎市は、今回、準備書面で確認したことによって、農地法においても、「他人の農地に勝手に建物が建ってしまう」ことも問題ないと主張しているのです。

 何故ならば、農地法においても、勝手に農地以外の用途に使用してはならないと定められているからです。その際の許認可が「農地転用許可・届」です。

 「公図」「登記簿謄本」「土地使用承諾書」「売買契約書」などが提出不要であれば、自分か他人の土地か、どっちだって良いわけです。

 ただ、土地を借りて建物を建てるということはありますから、当然に、その土地の土地使用承諾書が必要になるはずです。当たり前ですね。

 高崎市の場合、それらがこれからは提出不要だというのです。

■高崎市の建築確認手続の二重基準体質を物語る例として、ファームドゥー事件では、被告市の内規の指針である、「職員の手引き」の効力を認められているにも関わらず、一転して「そんなものは無い」とする高崎市の姿勢が今度の事件でも重なって見えます。

 とすれば、今までの提出させていたものが不要であるならば、一律に不要と宣言して公表しなければならないはずです。

 なぜなら、大きく申請時において制度が変わるからです。

 高崎市の建築行政におけるこの二重基準の実態について、読者の皆様はどう思われるでしょうか?

■ちなみに、高崎市長は「今期で終り」と明言しています。

 高崎市長は、普通の市民の立場に立った正しい市政をするのか、或は隠蔽するのか。今なら、大掃除が間に合うと思います。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】
コメント
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