■シリーズでお伝えしております大同スラグ・パンフレットの内容検証ですが、今回は3ページ目に突入していきましょう。
*****
リットン調査団の検証レポート*****
リットン調査団、検証レポートを続けます(^^)/。
3ページ目の表題は「スラグ混合砕石路盤材の特性データ」です。しかし、有害スラグ入り砕石の名称は正式には何と呼ぶのでしょう?このパンフレットでは「スラグ混合再生路盤材(RC40)」ですが、佐藤建設工業の試験成績表の製品名は「再生砕石RC40」とコロコロ変幻自在に名称が変わってしまっています。
そればかりか、佐藤建設工業は盛り土材、上層路盤材など、その販売する全ての建設資材に有害スラグを混合してしまっています。名称も都度、七色に変化するのでしょう。
「RC40」を名乗れるのは、建設副産物のコンクリートやアスファルト等をリサイクルした建設資材のみです。一民間企業から出た有害ごみを再利用したシロモノは、特に公共工事において「RC40」と名乗ることなどできません。その点を考慮しながら、毒入り砕石の特性データを見ていきましょう。
このように、「主成分化学組成」「有害成分の溶出量」「有害成分の含有量」について説明が為されています。まず疑問に思うのは、製品に「混合」と名乗るからには、ここに示されたデータは、有害スラグを何%混合した時のデータなのか、について表記するのが通常ではないでしょうか。
不法投棄実行犯の佐藤建設工業は、スラグ運搬車の運転手(運び屋)任せのズサン極まりない、乱暴な混合作業を行っていました。いや、正確に言えば、実際には工場から100%有害スラグ生一本を現場に直接投棄していますので、そもそも混合をしていなかった、と推測されるのです。
混合所にはミキシングマシンのような設備もなく、“どうせ不法投棄だから”と最初から「混合」など予定されていなかったのです。ですから、この特性データには、有害スラグと天然石との混合比率が何%なのかを示すことさえ、最初から予定されていないのです。
■また、なんとハレンチなことでしょう。
とか
などと、
「有害成分」の溶出量・含有量というふうに、思わずタイトルに本音が出てしまっています。本来、有害成分は少しでも含まれたら困るのに、有毒物質が入っていることを認識している証拠です。
土壌汚染対策法では、その第二条で『この法律において「特定有害物質」とは、それが土壌に含まれることに起因して人の健康に係る被害を生ずるおそれがあるものとして政令で定めるものをいう。』と規定されています。
具体的には、同法施行令で第1種・第2種(重金属類等)・第3種の特定物質を個別列挙しています。このパンフレットに取り上げられているのは第2種重金属類等であるようです。
パンフレットでは、「有害成分」という表現で示してあります。これは間違いではありませんが、本来は、「重金属類」の溶出量・含有量と書きたいところではないでしょうか?
悪いことはできないものです。毒を薄めたことにして不法投棄逃れを画策しているので、思わず「有害成分」と表示してしまっています。
大同・佐藤のブラック連合は、「重金属等」が基準値以内であれば、「有害」ではない、と主張しているのではないのでしょうか。
自ら「有害成分の・・・」と本音を表現するとは、見事に墓穴を掘りつつ失笑を買うパンフレットになっているのです。
■次に、有害成分の溶出量(試験データ)を具体的に見ていきましょう。
まず、成分がローマ字で列挙されています。大同様は、日本いや世界の中でも優秀な人材が集まる超ハイテク企業です。(ただし、法令順守精神=コンプライアンスが希薄です)
元素記号などの説明は、自ら当たり前すぎて不要と考えていることがわかります。下々の者とはレベルが違うようです。そこで、念のため、インターネットで調べてみました。
鉛(Pb)、 六価クロム(Cr6+)=クロム(Cr)化合物・酸化数6+、セレン(Se)、フッ素(F)、ほう素(B)
となるようです。
ここで、とくに問題となるのはF(フッ素)です。抜き出してみましょう。
成分F(フッ素) 土壌溶出量基準0.8㎎/L以下 スラグ混合再生路盤材0.34㎎/L
他の元素、例えば六価クロムが「<0.01」と、ほとんど含まれていないことを指しているのに、スラグ混合再生路盤材のフッ素の値は「0.34」となっています。0.34といえば、土壌溶出量基準0.8の42.5%に当たります。環境基準値の約半分もの有害成分が含まれているのです。この数字は、重金属に分類されるフッ素を技術的に取り除くことができず、低減化を企んだことを意味するのです。低減化とは、簡単に言えば薄めることです。
■大同様は、有害成分が多量に含まれているスラグを天然石で薄め、低減化しようとしました。有害成分はスラグという固体粒(つぶ)に含まれています。天然石も固体粒(つぶ)ですので、混合・かくはんしても固体粒(つぶ)同士が寄り集まっているだけです。つまり、薄まることはあり得ません。それどころか、この状態では土壌とスラグの粒(つぶ)とが接したところでは、土壌のほうに有害成分が浸み出して汚染してしまうのです。
元素記号を日本語で表記せず、記号表記がスンナリ理解できるのも当たり前な優秀な頭脳の持ち主たちが、「固体同士は薄まることはない」という根本的原理を知らないはずはありません。そんなことはわざわざ書いていなくても、当たり前と理解できる優秀な人材の集団なのです。大同様は不法投棄という脱法行為を犯すため、故意に「固体同士は薄まらない」いう事実を無視したと言えます。
実際の土壌汚染対策法で予定される分析試験は、当該汚染現場で、ボーリングマシン等で6カ所程度サンプリングをして試料採取され、均等混合された後、粉にして水につけて分析します。この分析試験方法を意図的に「低減化=薄まった」というふうに優秀な頭脳集団が悪用したわけです。
パンフレットで混合物の有害成分を説明する場合は、混合前のそれぞれの有害性を表記し、併せて、混合後の有害成分を表記するのが通常です。有害物質と天然石の混合物なので、土壌に与える影響を調査する場合には、有害スラグのみを取り出して分析試験しなければなりません。その後の土壌は、サンプリングしたものを均等混合して分析調査することになるでしょう。この点について群馬県や渋川市の分析試験のやり方は極めて疑問です。
(末尾資料に環境省の見解と大同特殊鋼社内マニュアル及びJISの考え方を掲載しましたので参照ください)
■続いて、物性値について見てみましょう。
大同の有毒スラグ混入の偽造再生砕石の製品の「特徴」として、「路盤材に最適です」、「天然砕石より優れています」ということが臆面もなく記載されています。「特徴」としての比較対象は、天然石となっているようです。
しかし物性値には「スラグ混合再生路盤材」と「再生材(RC40)規格」との比較が掲載されています。
「特徴」の欄には、天然石との比較をうたい、物性値では再生材との比較をしています。これは、グリーン購入法で予定されている自然環境資源の保護に有効な環境物品を演じておきながら、実は有毒スラグ入り資材を、循環型社会実現のため優先使用される再生材と偽って販売することを、自ら示唆しています。
大同・佐藤のブラック連合は、有害スラグ混合路盤材を詐欺まがいの商法で販売しようと画策していたのです。事実、佐藤建設工業が中間処理の資格がないのに、有害スラグ混合砕石を、コンクリート瓦礫等のリサイクル品である「RC40」と偽って名付け、市価の半値で販売してしまったため、公共工事から出たコンクリート瓦礫が山積みになってしまいました。
なりふり構わず詐欺的な利点をアピールして、自社のためだけにリサイクルの仕組みを悪用しようとしたのです。このパンフレットからうかがえる大同特殊鋼の本当の主張は、「循環型社会=リサイクル社会は崩壊しても、自分たちさえ良ければ構わない」という、ブラック企業の恐ろしい論理なのです。
**********
続く**********
【市民オンブズマン群馬・大同有毒スラグ不法投棄特別調査チーム・この項続く】
※当会注:パンフレット特集①②③はこちらをご覧ください↓
(青いURLをクリックしてください)
○2016年4月17日:
大同有害スラグ問題を斬る!・・・大同様ら発行「スラグ混合砕石パンフレットはデタラメだらけ①」の巻↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1962.html
○2016年4月19日:
大同有害スラグ問題を斬る!・・・大同様ら発行「スラグ混合砕石パンフレットはデタラメだらけ②」の巻↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1966.html
○2016年4月28日:
大同有害スラグ問題を斬る!・・・大同様ら発行「スラグ混合砕石パンフレットはデタラメだらけ③」の巻↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1977.html
※参考資料1
■スラグにフッ素が含まれていることについて
群馬県は、その調査結果で「ふっ素による土壌汚染の可能性があり」と説明しています。スラグにフッ素がふくまれているから、土壌と接する方法で使用した場合、土壌まで汚染してしまうのです。当会では100%スラグが投棄されていることをお伝えしていますが、100%スラグを投棄することは毒そのものを投棄していることを意味しています。
■それでは天然石と混合したスラグ混合砕石はどうなるのでしょうか?
「有害物質の希釈という禁じ手」
大同特殊鋼は土壌汚染対策法で予定される分析方法を悪用して、今回の不法投棄犯罪を計画しています。その分析方法とは、天然石とスラグを現場から均等混合しながら採取し、これを粉にし、水に浸けて分析調査することです。固形の塊を粉にすることで、液体と土を擬態した調査方法といえます。この点、環境省は、「有害スラグと天然石は希釈されない」、つまり「混ざり合うことはなく、有害物質は薄まらない」と話しています。次の国会質疑を参照ください。
◆第187回国会 経済産業委員会 第8号 平成26年11月12日(水曜日)
塩川鉄也衆院議員(共産)
http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/009818720141112008.html
○鎌形政府参考人 御指摘は、廃棄物と認識されるものを廃棄物でないものと混合するという行為についてということだと解釈いたしますけれども、廃棄物につきまして処理という行為がございますが、廃棄物の処理につきましては、物理的、化学的または生物学的な手段によって形態、外観、内容等について変化させるということでございますので、御指摘のようなスラグを希釈目的で自然砕石と混合する、このような行為は廃棄物の処理には当たらないということでございまして、混合されたものにつきましては、廃棄物と廃棄物でないものを混合したものとして取り扱っていくべきもの、こういうことと解釈してございます。
※参考資料2 大同社内マニュアル
■大同特殊鋼は、社内マニュアルに混合前のスラグについて、「有毒成分」フッ素の含有量の自主管理値を設定していました。その数字は、なんと
40,000mg/kgでした。
土壌汚染対策法のフッ素の基準値は4,000mg/kgです。恐ろしいことに大同・佐藤のブラック連合の考え方は、「スラグに含まれる有害成分・フッ素が環境基準の
10倍の数値までなら、天然石に混ぜて販売してしまおう」とする考えであることを示しています。
**********
(2)路盤材原料に適用する品質規格
製造・販売運営者はスラグ発生元と連携し、路盤材原料に関して下記内容の品質規格を設定する。
〈路盤材原料の品質規格内容〉
A.含有量試験(JIS K0058-2に準拠)
・対象成分 :フッ素
・自主管理値 :
≦40,000mg/kg
・試験機関 :社内分析
・手順 :DP-S-25「スラグ路盤材混合標準」
**********
このマニュアルを読むべき者として佐藤建設工業も指定されています
詳しくはこちらをご覧ください↓↓↓
大同スラグを斬る!・・・スラグ混合路盤材の製造及び販売管理に関する大同マニュアルで問われる企業モラル
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1715.html#readmore
※参考資料3 日本工業規格JIS
スラグ骨材に関するJIS策定指針を決定
平成23年7月13日 経済産業省 産業技術環境局 産業基盤標準化推進室
https://www.jisc.go.jp/newstopics/2011/201107slag_aggregate.htm
これを受け平成23年に、JIS A 5015:2008 は改正され,この規格A 5015:2013に置き換えられました。
http://kikakurui.com/a5/A5015-2013-01.html
この改定は、「建設分野の規格への環境側面の導入に関する指針」(平成15年3月28日、土木技術専門委員会・建築技術専門委員会議決)をより具体的に規定するため、指針を平成23年7月12日に決定されたのを受けたものです。その指針の内容は
(1)コンクリート用スラグ骨材に環境安全品質及びその検査方法を導入するための指針【資料2】
(2)道路用スラグに環境安全品質及びその検査方法を導入するための指針【資料3】
となっています。(2)をみていくと。
4.1 環境安全品質
道路用スラグの出荷から,道路の施工時及び利用時までのみならず,その利用が終了し,解体後の再利用時又は最終処分時も含めたライフサイクルの合理的に想定しうる範囲において,道路用スラグから影響を受ける土壌や地下水等の環境媒体が,各々の環境基準等を満足できるように, 道路用スラグが確保すべき品質。
が示されています。
具体的には形式検査と受渡検査をすることを要求しています。
形式検査とは、混合スラグの場合で言えば、混合前にそれぞれの材料の環境適合性を調査することを求めています。
受渡検査とは、混合後のスラグ混合砕石を分析調査することを求めたもので、有害スラグ混合砕石のパンフレットは受渡検査のみを記載しています。
この考え方は平成15年からあり、大同特殊鋼も十分周知していたと考えられます、しかし実際は平成23年にJISが改定されてからも、形式検査を導入していません。
■形式検査と受渡検査
4.2 環境安全形式検査
道路用材として使用するために粒度調製や他の材料との混合などの加工 1) を行った後, 該当JIS で定められた品質要求事項(この指針で規定する品質要求事項を除く。)を満足することを確認した道路用スラグが,環境安全品質を満足するかどうかを判定するために行う検査。以下,「形式 検査」という場合がある。4.4に規定する利用模擬試料を用いることを基本として,4.8に規定する環境安全形式試験を行い,環境安全品質への適合を判定する。なお,試料調製の効率化のため, 4.5に規定する道路用スラグ試料を用いることができる 2)。
注 1) 他の道路用スラグを混合する場合を含む。
注 2) どちらの試料を用いても,環境安全品質は十分に確保される。
4.3 環境安全受渡検査
形式検査に合格したものと同じ製造条件の道路用スラグの受渡しの際に,その環境安全品質を保証するために行う検査。4.5に規定する道路用スラグ試料を用いて,4.9に規定する環境安全受渡試験を行い,4.7に規定する環境安全受渡検査判定値への適合を判定する。形式検査に利用模擬試料を用いた場合の環境安全品質の保証は,形式検査と同じ配合条件 3)で使用する場合に限定される。以下,「受渡検査」という場合がある。
注 3) 配合条件のうち道路用スラグの配合率のみを下げる場合は,ここでいう「形式検査と 同じ配合条件」に含めて良い。