市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

不正会計を裁判で認めた人物を区長に委嘱し続けるみどり市長が地元オンブズマンの公開質問に問題ないと回答

2015-08-02 23:20:00 | オンブズマン活動
■この問題については、当会の会員が粘り強く追及しておりますが、このほど、当会では桐生広域ネットとして桐生市とみどり市のかかえる問題に対処するために、それぞれの市に支部を設置しました。さっそく、みどり市支部の代表が、新たにみどり市の抱えるこの重要問題に取り組むことになり、みどり市長に対して7月22日付で公開質問状を提出したところ、7月29日付でみどり市長から回答がありました。さっそく内容を検証してみましょう。
 なお、冒頭の記述のとおり、この問題に関して、オンブズマンとして3年前に公開質問状を提出したことがあります。次のブログを参照ください。
○2012年10月15日:大間々町13区の公民館建設不正経理を巡る区長と住民らとの訴訟結果に頬かむりを決め込むみどり市市長
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/871.html

7月29日付みどり市長からの回答書が同封された封筒。

 当会のみどり市支部代表がみどり市長宛に提出した公開質問状は次のとおりです。

**********
                    平成27年7月22日
〒379-2313 みどり市笠懸町鹿2952
みどり市長 石原 条 様
                〒376-0101
                群馬県みどり市大間々町■■■XXXX-XX
                市民オンブズマン群馬
                桐生広域ネット みどり市支部
                代表 岡田 三郎
          公 開 質 問 状
 拝啓、貴殿ますますご清栄のこととお慶び申しあげます。
 当会は、群馬県において、行政を外部から監視し、行政による税金の無駄遣いや関連する権限を不当に行使することによる住民・関係者の権利・利益の侵害に対する調査及び救済の勧告を図る活動をしているボランティア団体のみどり市支部です。
 さて、前橋地方裁判所桐生支部法廷で公開された平成19年(ワ)第113号事件の平成22年4月23日第27回口頭弁論調書(和解)によれば、「当事者ら双方は、群馬県みどり市大間々町第13区の過去の会計において一部適切ではない慣行及び会計処理があったことを共通の前提として」とあります。
 この事件では、当時、第13区の区長に就任していた原告の川島孝と前区長の金谷正男が、同13区の運営をめぐる文書配布で名誉を傷つけられたとして、区民3名を相手取り損害賠償と謝罪広告掲載を求めましたが、同13区で不適切な慣行や会計処理があったことを裁判所が認定したうえで、和解勧告をしたものでした。
 このことに関して、次の質問があります。

          <質問1>
 その後も、現在に至るまで、原告だった川島孝が同13区の区長に就任しています。上記事件に関する前橋地裁桐生支部の和解条項によれば、原告の区長側は、同13区の集会所建築等をめぐる不適切会計を認めたことになっております。にもかかわらず、貴殿はみどり市区制設置規則第3条に基づき、そのような不適切行為をした人物に区長職を委嘱できたのでしょうか?理由を付してご回答願います。
          <質問2>
 みどり市区制設置規則第4条第2項には、「副区長は、区長を補佐し、区長に事故があるとき、又は区長が欠けた時は、その職務を代理する」と定めがあります。上記事件では、区長らによる不適切会計が裁判所によって認められたはずです。したがって、客観的に見ても、原告の川島孝は、同13区の区長職に就く資格を有しないと解されます。このことは、「事故」としての要件にも抵触するのではないでしょうか?にもかかわらず、貴殿は、区長の川島孝への委嘱を取り消さず、区長職務代行者として副区長に区長を委嘱することもしませんでした。貴殿は川島孝が区長職に就く資格を有すると解するのでしょうか?分かりやすく理由を付して説明ください。
          <質問3>
 みどり市区制設置規則第8条には、「区長及び副区長は厳正かつ公平に職務を遂行し」と定めがあります。上記事件では、地元紙により報じられているように、区長らによる不適切会計が裁判所によって認められたはずです。したがって、客観的に見ても、原告の川島孝は、同13区の区長職に就く資格を有しないと解されます。このことは、「厳正かつ公平な職務遂行義務」としての要件にも抵触するのではないでしょうか?にもかからず貴殿は、不適切な会計を行っていた区長の川島孝への委嘱を取り消しませんでした。貴殿は、川島孝が区長として厳正かつ公平に職務を遂行する資格や能力を有すると解するのでしょうか?分かりやすく理由を付して説明ください。
          <質問4>
 みどり市区制設置規則第9条には、「市長は、区の組織及び運営に関し必要がある時は、適切な助言又は勧告をすることができる」と定めがあります。上記事件では、地元紙でも報じられているように、同13区の運営をめぐる不適切な会計が行われたことが裁判所によって認められたはずです。したがって、客観的に見ても、原告の川島孝は、同13区の区長職に就く資格を有しないと解されます。このことは、貴殿にとって、区の組織及び運営に関し必要があり、適切な助言又は勧告をすることができる状況に置かれていると解されるのではないでしょうか?にもかかわらず貴殿は、同13区の組織及び運営に関し適切な助言又は勧告をしませんでした。貴殿は、不適切な会計が行われていた第13区の状況をどのように認識しているのでしょうか?分かりやすく理由を付して説明ください。

 当会は、本質問状について貴職に提出前に公表し、また貴職のご回答を得た上で、あるいは得られなかった時に、再度、回答の有無及び内容を公表してまいりたいと考えます。同時にその経過を含めて当市民オンブズマン群馬のホームページ上でも明らかにし広く群馬県民に広報してまいる所存です。
 つきましては、平成27年7月31日(金)限り、下記に郵送又はFAXにてご回答いただきますよう、お願い申し上げます。
          記
市民オンブズマン群馬  事務局長 鈴木 庸
〒371-0801 群馬県前橋市文京町1-15-10
電話 027-224-8567 FAX 027-224-6624
                    以上
添付文書:
 みどり市区制設置規則
20060327suk.pdf
 2010年5月25日付夕刊桐生タイムス(抜粋記事)
20150525cxx13il.pdf
***********

■みどり市からの回答は次のとおりです。

**********


                     総第92号
                平成27年7月29日
市民オンブズマン群馬
桐生広域ネット みどり市支部
代表  岡田 三郎 様
               みどり市長 石 原   条
          公開質問状について(回答)
 このことについて、平成27年7月22日付で提出の在りました御質問につきまして、下記のとおり回答します。
 なお、質問事項については、原文のまま記載しております。
          記
<質問1>その後も、現在に至るまで、原告だった川島孝が同13区の区長に就任しています。上記事件に関する前橋地裁桐生支部の和解条項によれば、原告の区長側は、同13区の集会所建築等をめぐる不適切会計を認めたことになっております。
にもかかわらず、貴殿はみどり市区制設置規則第3条に基づき、そのような不適切行為をした人物に区長職を委嘱できたのでしょうか?理由を付してご回答願います。
(回答)区報の委嘱につきましては、みどり市区制設置規則(平成18年みどり市規制第7号)第3条第3項の規定により大間々町第13区の住民の方が推薦した者を市長が委嘱することになっております。
 みどり市区制設置規則【抜粋】
 (区長及び副区長の設置等)
 第3条 前条の区に区長及び副区長を置く。
 2 前項の区長及び副区長の定数は、別表第2に定めるとおりとする。
 3 区長及び副区長は、その区域内の住民が推薦した者を市長が委嘱する。

<質問2>みどり市区制設置規則第4条第2項には、「副区長は、区長を補佐し、区長に事故があるとき、又は区長が欠けた時は、その職務を代理する」と定めがあります。上記事件では、区長らによる不適切会計が裁判所によって認められたはずです。したがって、客観的に見ても、原告の川島孝は、同13区の区長職に就く資格を有しないと解されます。このことは、「事故」としての要件にも抵触するのではないでしょうか?にもかかわらず、貴殿は、区長の川島孝への委嘱を取り消さず、区長職務代行者として副区長に区長を委嘱することもしませんでした。貴殿は川島孝が区長職に就く資格を有すると解するのでしょうか?分かりやすく理由を付して説明ください。
(回答)当該会計処理につきましては、司法に判断を委ね和解となっておりますので、疑義は解消され、上記のとおり大間々町第13区から当該区長が推薦されているものと理解しております。
<質問3>みどり市区制設置規則第8条には、「区長及び副区長は厳正かつ公平に職務を遂行し」と定めがあります。上記事件では、地元紙により報じられているように、区長らによる不適切会計が裁判所によって認められたはずです。したがって、客観的に見ても、原告の川島孝は、同13区の区長職に就く資格を有しないと解されます。このことは、「厳正かつ公平な職務遂行義務」としての要件にも抵触するのではないでしょうか?にもかからず貴殿は、不適切な会計を行っていた区長の川島孝への委嘱を取り消しませんでした。貴殿は、川島孝が区長として厳正かつ公平に職務を遂行する資格や能力を有すると解するのでしょうか?分かりやすく理由を付して説明ください。
(回答)上記2の回答と重複しますが、当該会計処理につきましては、ぢ法に判断を委ね和解となっておりますので疑義は解消され、上記1のとおりおママ町第13区から当該区長が推薦されているものと理解しております。
<質問4>みどり市区制設置規則第9条には、「市長は、区の組織及び運営に関し必要がある時は、適切な助言又は勧告をすることができる」と定めがあります。上記事件では、地元紙でも報じられているように、同13区の運営をめぐる不適切な会計が行われたことが裁判所によって認められたはずです。したがって、客観的に見ても、原告の川島孝は、同13区の区長職に就く資格を有しないと解されます。このことは、貴殿にとって、区の組織及び運営に関し必要があり、適切な助言又は勧告をすることができる状況に置かれていると解されるのではないでしょうか?にもかかわらず貴殿は、同13区の組織及び運営に関し適切な助言又は勧告をしませんでした。貴殿は、不適切な会計が行われていた第13区の状況をどのように認識しているのでしょうか?分かりやすく理由を付して説明ください。
(回答)大間々町第13区に限らず、行政区の組織の運営につきましては、必要に応じ助言等を行っております。ただし、本件は区の住民自治の範囲内の問題であると考えます。
           【この件に関するお問合せ先】
            総務部総務課行政係
            電話:0277-76-0961(直通)

**********

■大間々町13区は住民の世帯数が著しく多く、その集会所も規模が大きく、扱う区費の金額も尋常ではありません。また、区長ら幹部への市からの報酬もベラボーです。こうなると区長職というものがひとつの利権となります。

 そのため、大間々町13区が集会所を建設する場合も、6000万円を超える予算が準備され、市からの補助金も1800万円が投入されることになったのでした。平成14年5月31日に5社による入札をした結果、1番札の古塩建設が5119万2364円、2番札の阿左見建設が5617万5000円、3番札の倉澤建設が5850万4748円でしたが、事業変更による再入札ということで、倉澤建設が5806万5000円で落札しました。

 請負契約は平成14年7月15日に締結されましたが、2日後の同17日に助成金変更申請書として金額が再び5850万4748円とされて、財団法人自治総合センター(理事長・松本英昭)に提出されました。平成15年2月28日に建設工事が終わり、倉澤建設から5850万4748円+追加工事88万9162円で請求書が13区に出され、13区の建設準備委員会の追認を受けたとされています。

 そして、大間々町に5850万4748円で事業報告書が提出されましたが、倉澤建設との事業請負契約書に記載された5806万5000円と食い違っていました。この点について、13区の区長に住民らが説明を求めたところ、「登記料が含まれている」という返事でした。しかし、後日、住民らが調べたところ、公民館は未登記だったことが明らかになりました。

 公民館建設にかかる平成15年3月25日付の平成14年度建設補修補助金実績報告書にも、5850万4748円(うち、大間々町補助金1800万円)と記載され、同5月22日に倉澤建設に補助事業5806万5000円、「追加工事」88万9162万円の合計5895万4164円と、プラス舗装工事262万5000円で、総合計6157万9162円が支払われました。

 この経緯に不信感を抱いた住民らは、入札の1番札と3番札の差額631万2340円+根拠のない追加工事88万9162円を合わせた720万1548円が13区民の損害ではないのか、と疑問を持ったのでした。そこで3名の住民が、実際に13区が倉澤建設から受け取った公民館建設にかかる領収書の写しを開示するよう13区区長に申し入れましたが、いくら頼んでもいっこうに開示しようとしないため、住民らの不信感はますます膨らみました。

 そこで、業を煮やした3名の住民らは連名で、不透明な13区の運営について住民に実情を知ってもらおうと、チラシを配布したのでした。ところが、この文書配布で名誉を傷付けられたとして、13区区長と同前区長が平成19年8月に、チラシ配布に関わった住民3名を前橋地裁桐生支部に訴えたのです。

■この事件は平成18年(ワ)第113号事件として2年8ヶ月間争われましたが、途中で、被告住民らが、原告区長らに前述の登記料の矛盾(公民館の登記料が予算に含まれているのに、実際には公民館が未登記だったこと)について追及すると、原告区長らが一転して、弁護士を通じて被告住民らに和解を申し入れてきたのでした。

 被告住民らは、あくまで真相を明らかにするために地裁で敗れても高裁、最高裁まで争うつもりでいましたが、被告住民らが依頼した高崎市の弁護士が「区長側よりこの裁判を和解に持ち込めないかとの説明を受けた。裁判官からは、区長らは悪いことをしたことは分かっているが、前向きに建設的な気持ちになりなさいと諭された」と被告らに説明し、弁護士自らも「区長側は不正会計を認めたのだから、辞任するでしょうから」と被告らを説得したのでした。

 このため、被告らは、「信頼している弁護士先生の説得が一番正しいお言葉に違いない」と信じて、平成22年4月23日に原告区長らとの和解に踏み切ったのでした。このことは、同5月25日付の桐生タイムス夕刊にも次のとおり掲載されました。

■しかし、実際には、不正会計をしていた区長は、和解により区長を辞するどころか、和解で不正会計が不問にされたと勝手に解釈し、再び区長に居座っています。そして、みどり市長もこの区長に対して委嘱状を交付し続けています。

 このような理不尽なことをみどり市が平然と行う背景には、みどり市長が当時、県会議員だった頃、この集会所の不透明なカネの行方に関与していたのではないか、という可能性があるためです。だから、3年前のオンブズマンの公開質問状に引き続き、今回、改めて桐生広域ネットのみどり支部代表からの公開質問状に対しても、みどり市長は「問題ない」と回答してきたのだと思われます。

 今後、新しいみどり支部代表により、10年越しのこの問題に関して、住民の常識が市政に反映させられるように、活動が展開されていくことでしょう。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

コメント
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