市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

グラフぐんまを業者に丸投げせず県庁職員が自ら県政を広報できる環境作りの為オンブズマンが意見書を提出

2013-04-24 22:39:00 | オンブズマン活動
■グラフぐんまという月刊の県政写真誌があります。他県で発行されている類似の広報誌と異なり、群馬県のこれは、大澤知事のチョウチン記事ばかり熱心に掲載し、自治体や公共施設、政治家、役人OB、銀行、農協、床屋・美容院、旅館にはタダで気前よく配りながら、納税者である群馬県民には350円の有料で販売して、しかも県庁の広報課のホームページには記事の見出ししか載っておらず、無料でダウンロードできない状況になっています。

 市民オンブズマン群馬としては、この広報誌そのものの製作・発行が税金の無駄遣いだと考えています。それはともかくも、グラフぐんまがどのような手続きで発注されるのか、調べて欲しいとの外部からの要請があり、長年グラフぐんまの製作・発行を請け負っている上毛新聞と群馬県総務部の関係についても見極める必要があると考えた市民オンブズマン群馬では、平成24年4月11日に情報開示請求をしました。

 その結果、不透明な入札手続きで発注価格がよその自治体の写真広報誌に比べて異常に高い状況にある上に、広告料さえ業者に丸投げしていることが判明しました。その為、群馬県監査委員に住民監査請求を提出しましたが、事実証拠が不十分だとしてあっさり棄却されてしまいました。

 ところが、群馬県監査委員の決定書をみると、オンブズマンが情報公開で入手した資料のほかにも、入札手続きに関していろいろな公文書を群馬県が作成したり、業者から受領していたことが分かりました。

 そのため、昨年4月の情報公開に遡り、群馬県が勝手に不存在だと見なした公文書をあらためて開示するよう、市民オンブズマン群馬では平成25年1月21日付で異議申立をしていました。詳細は次のブログを参照ください。
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/949.html

■その後、この異議申立を審査する群馬県公文書開示審査会から、平成25年3月26日付で次の通知がありました。グラフぐんまの発注をしている群馬県総務部広報課広報紙係(電話027-226-2163)が3月25日に理由説明書を審査会に提出したので、それをみて反論等意見があれば、4月23日までに意見書として提出せよ、というのです。

**********
【群馬県公文書開示審査会からの意見書提出依頼】
様式第4号(規格A4)(第7条関係)
                    公開審第30151-3号
                    平成25年3月26日
市民オンブズマン群馬
事務局長 鈴木 庸 様
                 群馬県公文書開示審査会長
                 (第二部会部会長 村上大樹)
          意見書の提出の求めについて
 下記1の諮問事件について、当審査会の調査審議の参考としたいので、群馬県公文書開示審査会,審議要領第7条第1項の規定に基づき、下記2のとおり意見書の提出を求めます。
          記
1 諮問事件
  諮問番号:諮問第141号
  事 件 名:「県政写真誌『グラフぐんま』の製作・発行委託について(平成24年度)」及び「県政写真誌『グラフぐんま』配達委託について(平成24年度)」の公文書部分開示決定に対する異議申立て
2 意見書の提出
(1)提出期限
 平成25年4月23日(火)
(2)提出を求める意見書及び提出方法
 別紙様式により作成した書面を、持参又は郵送で群馬県生活文化部県民生活課に提出してください。
 なお、提出された意見書は、群馬県公文書開示審査会審議要領第7条第2項の規定に基づき諮問庁にその写しを送付しますので、念のため申し添えます。
               〒371-8570前橋市大手町1-1-1群馬県庁
               事務局:県民生活課情報公開係
                   電話:027-226-2271

(別紙)
                    平成○年○月○日
群馬県公文書開示審査会会長 様
                    不服申立人住所・氏名
          「意見書」の提出について
 このことについて、群馬県公文書開示審査会審議要領第7条第1項に基づく「意見書」
を下記により提出します。(諮問第141号)
          記
1 開示請求公文書の特定について
2 群馬県情報公開条例における開示・非開示の解釈について
3 諮問庁の公文書を開示しない理由に対する意見

【群馬県知事が開示審査会に出した理由説明書】
                    広第30022-40号
                    平成25年3月25日
群馬県公文書開示審査会
会長 新井 博 様
               群馬県知事 大澤 正明
          「理由説明書」の提出について
 このことについて、群馬県公文書開示審査会審議要領第6条に基づく「理由説明書」を下記により提出します。
          記
1 理由説明書
  別添のとおり
             事務担当:広報課広報紙係
             電話:027-226-2163
※収受印 群馬県25.3.25県民生活課収受

【理由説明書】
          理 由 説 明 書
1 開示請求公文書等について
 開示請求の内容については、次のとおり該当すると判断した。
(1)グラフぐんま配達委託について
 請求文書の「毎月10日発行の「グラフぐんま」に関する次の情報のうちバ2)「多くの県民の皆さんに見てもらえるよう、図書館をはじめ、金融機関、理・美容院、旅館、飲食店などに置いてあります」とあるが、その具体的な内訳(配置先、配置部数、配置先として制定した基準と根拠、配置に必要な費用jと記載されているので、グラフぐんま配達契約締結伺いの起案及び添付書類が該当すると判断した。
(2)グラフぐんま製作・発行委託について
 請求文書の「毎月10日,発行の「グラフぐんま」に関する次の情報のうち、(4)「グラフぐんま」には、「企画/群馬県 編集・発行/上毛新聞社」とあるが、上毛新聞社との間で編集・発行に関して取り交わした全ての契約や覚書等」と記載されているので、グラフぐんま製作・発行契約締結伺いの起案及び添付書類が該当すると判断した。
 いずれの文書も、平成24年4月25日付け広第30022-3号により公文書開示決定及び公文書不存在決定としたが、部分開示文書について部分開示決定及び文書の交付が漏れていたため、平成25年1月15日付け広第30022-31号によりその処分の一部を取り消し、改めて公文書部分開示決定をした。
2 群馬県情報公開条例における開示・非開示の解釈について
 群馬県情報公開条例(平成12年群馬県条例第83号。以下「条例」という。)における非開示情報は、個人の権利利益の保護、法人の権利保護、公共の安全と秩序の維持、事務又は事業に関する情報で公にすることによりその適正な執行に支障を及ぼすおそれがあるもの等の観点から条例第14条各号に限定的に規定されており、実施・機関は、条例第13条の規定にFより条例第14条各号に規定されている非開示情報が記録されている場合をのぞき、開示請求に応じて公文書を開示しなければならない義務を負うとともに、非開示情報のいずれかが記録されている場合には、条例第14条の規定により当該公文書を関示してはならないとされている。
 本件開示請求に係る公文書の開示・非開示の決定は、上記の目的、趣旨等を踏まえ、こうした考えに基づいて検討した結果、本件公文書については条例第14条第6号ロに該当するため、一部分開示決定としたものである。
3 公文書を部分開示とした理由
(1)非開示とした部分
 予定価格調書に記載されている「予定価格」
(2)予定価格について
 予定価格は、県が契約をする際にその契約金額を決定する基準として、契約担当者があらかじめ定める見積価格であり、不当な価格での入札を防止するために定めるものである。予定価格が入札参加者に知られると、競争入札に当たり極めて都合のよい条件を与えることになり、公正な入札ができなくなる。
 予定価格は改札後であっても、以下のような理由により公表すべきでないとされている。
 ア 入札が不調に終わり、新たに入札を実施する場合又は再度公告をして入札を実施する場合がある
 イ 落札者が契約に応じない場合がある
 ウ 当該入札における積算基準等を推察することが可能となる公表することにより、その後の競争入札において、県にとって有利な価格で契約することができなくなるおそれがあるためである。
(3)委託業者の選定について
①グラフぐんま製作・発行業務の委託
 グラフぐんまは、県政の話題や県内の出来事などを、写真を中心にわかりやすく県民に伝える広報誌である。
 製作・発行に係る業務は、県内全域を対象に取材、写真撮影を行い、記事を執筆し、編集を行うなど、高度な専門的技術や能力が求められ、その製作-・発行業務は、一般競争入札により業者を選定している。
 入札の執行に当たっては、企画料、原稿執筆料、編集デザイン料、印刷経費など製作にかかる経費について、1回分の経費を算定した上で、12回発行分の予定総額を記載し、この予定総額の一番低い者を落札者と決定する。
②グラフぐんま配送業務の委託
 グラフぐんまを広く県民の方に読んでいただけるように、県内の金融機関や理容室、美容院、飲食店などに配布しており、その配送業務についても、一般競争入札により業者を選定している。
 入札の執行に当たっては、配達単価を算定して1回分の経費を算定した上で、
 12回分の予定総額を記載し、この予定総額の一番低い者を落札者と決定する。
(4)条例第14条第6号ロの該当性について
①一般競争入札の状況
 グラフぐんまの製作・発行及びグラフぐんまの配達は、毎年業務を委託しており、いずれも仕様は毎年ほぼ同様で、一大幅な変更はしていない。
 製作・発行業務は、多くの企業に契約の機会を与え、競争原理のもと経費節減を図るため、平成14年度から一般競争入札による契約に移行したが、業務の専門性等から一般競争入札の導入後も、入札参加者は限られ、平成17年度以降は応札は2者の状況が続いている。
 また、配送業務も同様に一般競争入札に付しているが、導入以降、入札参加者は1者の状況が続いている。
②予定価格の非開示について
 異議申立人は、異議申立書の中で、「グラフぐんまは毎年、同様な内容で契約を継続しており、開示しても事業の性質上、適正な遂行に支障を及ぼすおそれがない」と主張している。
 しかし前述のとおり、例年ほぼ同様な仕様での業務委託であることや、入札参加者が寡少な中での入札が続いている実情を勘案すると、
 予定価格を開示することは、
○今後同様の入札を実施するに当たり、事前に予定価格が類推されてしまうおそれがある
○そのため、入札参加者の企業努力が減殺され、落札価格の高止まりや不正等が生じることが懸念される
○その結果、県として有利な価格での契約を締結できないおそれがある
 このように、公正で自由な競争を阻害し、県の財産上の利益文は当事者としての地位を不当に害するおそれがあると考えられる。
 よって、本件は条例第14条第6号ロに該当し、非開示と判断したものである。
**********

■そこでこの度、市民オンブズマン群馬は、期限日の4月23日に次の内容の意見書を群馬県公文書開示審査会宛に提出しました。

**********
                    平成25年4月23日
群馬県公文書開示審査会会長 様
            不服申立人 住所 前橋市文京町1-15-10
                  氏名 市民オンブズマン群馬
                     事務局長 鈴木 庸
          「意見書」の提出について
 このことについて、群馬県公文書開示審査会審議要領第7条第1項に基づく「意見書」を下記により提出します。(諮問第141号)
          記
1 開示請求公文書の特定について
 不服申立人らは平成24年4月11日付けで群馬県知事に対して「毎月10日発行の「グラフぐんま」に関する次の情報 (1) 価格350円(税込み)の設定から決定に至る過程と根拠が分かるもの。また、その内訳。 (2)「多くの県民の皆さんに見てもらえるよう、図書館をはじめ、金融機関、理・美容院、旅館、飲食店などに置いてあります」とあるが、その具体的な内訳(配置先、配置部数、配置先として制定した基準と根拠、配置に必要な費用) (3) 過去3年間の毎号の発行部数。それに占める販売部数と、上記(2)の配置部数、および残った部数の処分措置(廃棄部数、保管部数を含む)(4)「グラフぐんま」には、「企画/群馬県 編集・発行/上毛新聞社」とあるが、上毛新聞社との間で編集・発行に関して取り交わした全ての契約や覚書等 (5)上毛新聞社による編集記事を県でチェックする場合の基準と根拠、及び担当部署と担当者・決裁者の職名」にかかる情報開示請求を行った。これに対して、平成24年4月25日付け広第30022-3号で公文書開示決定及び公文書不存在決定処分とされた経緯がある。不服申立人らは、このとき開示された情報をもとに、その後平成24年10月23日に住民監査請求を群馬県監査委員に行ったが、同12月26日付けで監査委員は監査結果として棄却を不服申立人らに通知した。しかし、監査結果の中で、当初の開示情報には含まれなかった情報が引用されており、当初の開示請求で開示すべきものがあったにもかかわらず、知事が開示を行ったことがわかり、不服申立人らは今回異議申立を行ったものである。
 すなわち、不服申立人らは、住民監査請求により、群馬県知事が次の情報を組織的に用いるものとして保有していることを知った。これらは、平成24年4月25日付けの公文書開示決定において不開示とされていたが、住民監査請求を経て、今回追加開示された情報は「予定価格調書」のみであったことから、次の情報は開示請求の対象となる公文書として、あらためて開示決定処分に含まれるべきものである。
1)平成24年2月10日付け入札広告。
2)平成24年3月12日付けで、上毛新聞社と朝日印刷工業が提出した入札参加資格書類。
3)平成24年3月19日付けで、群馬県知事が入札参加予定者2社に対して送付した入札参加資格確認通知書。
4)平成23年10月25日付けで、上毛新聞社から群馬県知事に提出された見積書(広告料収入込み)とそれに先立つ群馬県知事から同社あての見積提出依頼書。なお、朝日印刷工業からも見積書が提出されていれば、それも含む。なお、上毛新聞社のみに見積提出依頼をした場合は、なぜ上毛新聞社を選定したのか、その理由を示す文書も含む。
5)広報課が平成25年度に「グラフぐんま」の広告単価について、受託業者以外の広告代理店から聴取した見積書。監査結果通知によると、平成24年度契約で見積もった広告単価の方が高いことが確認されたという。
6)グラフぐんま制作・発行委託業務の積算内訳(広報課が広告料収入を見込まずに積算した金額を含む)
 不服申立人らは、当初の開示請求の冒頭に、グラフぐんまの「(1) 価格350円(税込み)の設定から決定に至る過程と根拠が分かるもの。また、その内訳。」と特定して請求していたが、それにもかかわらず、知事は入札広告から積算に関する情報を意図的に開示しなかった。その結果、群馬県監査委員によって、不服申立人らの住民監査請求が棄却されてしまった。

2 群馬県情報公開条例における開示・非開示の解釈について
 知事は、住民が情報公開条例に基づき異議申立をすると、理由説明の際に必ず、条例の目的と運用の定義をもっともらしく記述する。
 今回も知事は、いつものように、「条例における非開示情報は、個人の権利利益の保護、法人の権利保護、公共の安全と秩序の維持、事務又は事業に関する情報で公にすることによりその適正な執行に支障を及ぼすおそれがあるもの等の観点から条例第14条各号に限定的に規定されており、実施・機関は、条例第13条の規定により条例第14条各号に規定されている非開示情報が記録されている場合をのぞき、開示請求に応じて公文書を開示しなければならない義務を負うとともに、非開示情報のいずれかが記録されている場合には、条例第14条の規定により当該公文書を関示してはならないとされている。」と、非開示の判断のよりどころである当該条項を引用して記述している。
 知事は、「本件開示請求に係る公文書の開示・非開示の決定は、上記の目的、趣旨等を踏まえ、こうした考えに基づいて検討した結果、本件公文書については条例第14条第6号ロに該当するため、一部分開示決定としたものである」と主張するが、これは、本来「原則開示」を基本とする条例の運用をゆがめており、失当である。
 グラフぐんまは毎年、同様な内容で契約を継続しており、開示しても事業の性質上、適正な遂行に支障を及ぼすおそれがないため条例第14条第6号ロに該当しない。むしろ開示しないことによる不透明感を県民に抱かせるおそれのほうが高く、原則開示という条例の基本的な目的により、予定価格は公にされるべきである。

3 諮問庁の公文書を開示しない理由に対する意見
 知事の理由説明(青色)に対して、それぞれ意見を「→赤色の太字のイタリック体(斜体)」で付記する。
(1)非開示とした部分
 予定価格調書に記載されている「予定価格」
(2)予定価格について
 予定価格は、県が契約をする際にその契約金額を決定する基準として、契約担当者があらかじめ定める見積価格であり、不当な価格での入札を防止するために定めるものである。予定価格が入札参加者に知られると、競争入札に当たり極めて都合のよい条件を与えることになり、公正な入札ができなくなる。 →毎年、同じ内容の契約を同じ業者と締結していることから、予定価格はむしろ公表すべきである。とくに県民の血税を投入し群馬県というブランドをタイトルとしたグラフぐんまに掲載する広告料を見積価格に反映しないまま、作成に要する費用を見積もった価格を何年にもわたり予定価格として維持し続けているのは極めて不自然である。
 予定価格は改札後であっても、以下のような理由により公表すべきでないとされている。
 ア 入札が不調に終わり、新たに入札を実施する場合又は再度公告をして入札を実施する場合がある
 イ 落札者が契約に応じない場合がある
 ウ 当該入札における積算基準等を推察することが可能となる公表することにより、その後の競争入札において、県にとって有利な価格で契約することができなくなるおそれがあるためである。

 →予定価格の公表は、業者と公務員の癒着を防ぐために有効だとされており、多くの都道府県で導入されている制度である。
 発注側の自治体は、適切な価格で落札されるように、落札可能な金額の上下限をあらかじめ設定している。予定価格は上限のことをいい、以前は下限も含め、入札後も公表しない自治体がほとんどだった。しかし、入札を有利に運ぼうとする業者の働きかけにより価格情報を漏らした自治体職員が逮捕される事件が後を絶たず、不正の原因そのものをなくすため予定価格を事前に公表する動きが2000年ごろから広がっていた。
 ところがその後の傾向として、予定価格が入札前に明らかになると価格のたたき合いが広がるということから、とくに過当競争に陥っている土建業界保護の考えが不況を背景に台頭してきたため、最近は事前公表から事後公表に移行する傾向がみられる。
 今回のグラフぐんまの製作・発行に係る業務は、本来、群馬県総務部広報課が責任をもって編集し、それを印刷・製本・配送する業務だけを業者に外部委託すればよいのであるが、群馬県はそうではなく、企画段階でごく基本的な指針だけを業者に指示して、あとは全て丸投げというやりかたをとり、さらには広告料の管理さえも業者任せにして、血税で用意し、県のブランド付きの広告欄(しかも全体のページ数の20%を広告欄に割いている)をタダ同然で業者に提供している。群馬県は、業者が集めてきた広告主や広告内容をチェックしているのに、その広告料金についてチェックしようとしないのは、不思議でならない。広告料をきちんと設定し、その分の収入はきちんと見積もり金額から除外して、その他のコストに対して、正当な見積金額を算出して予定価格を設定し、業者にはその中で入札価格を提示させることが公平な入札と言える。
 もし、知事が上記のア~ウのような懸念があるのであれば、毎年同じ業者が同じような価格で落札しているのであるから、むしろ、しっかりした積算見積価格をもとに随意契約にしたほうが、入札不調を防止し、群馬県にとって現在より有利な価格で契約できるはずである。なお、知事がイで主張する「落札者が契約に応じない場合がある」というのは失当である。なぜなら、落札者は事前の条件を受け入れることを前提に応札するのであるから、落札者が契約に応じないということはありえない。

(3)委託業者の選定について
①グラフぐんま製作・発行業務の委託
 グラフぐんまは、県政の話題や県内の出来事などを、写真を中心にわかりやすく県民に伝える広報誌である。
 製作・発行に係る業務は、県内全域を対象に取材、写真撮影を行い、記事を執筆し、編集を行うなど、高度な専門的技術や能力が求められ、その製作-・発行業務は、一般競争入札により業者を選定している。
 入札の執行に当たっては、企画料、原稿執筆料、編集デザイン料、印刷経費など製作にかかる経費について、1回分の経費を算定した上で、12回発行分の予定総額を記載し、この予定総額の一番低い者を落札者と決定する。

→この10年来、毎年、応札者は上毛新聞と朝日印刷興業の2者のみのようである。群馬県は、応札者の増加を図ろうとするのであれば、それなりの努力をすべきであるが、それを怠っているのは、この2者だけを事実上、入札指名していることになる。そして、上毛新聞がグラフぐんまを受注し、別の県の関連の広報誌(たとえば福祉関係)は朝日印刷が落札するといったように、結果的には継続的に、落札者の間で棲み分けがなされている。
 とくに群馬県総務部が、こうして毎年繰り返される同じ業務にかかる発注業務を毎年定期的に出している案件は多数あると思われる。したがって、もっと多くの業者に参加してもらえるよう、不断の努力をする必要があるが、群馬県総務部の体質からしてそのような姿勢は全く見られない。
 であれば、もっとも血税を節約するには、総務部広報課が汗をもっとかき、グラフぐんまの編集は外部業者にまかせずに、自分たちの手作りで行うという姿勢を強化すべきである。それをやらずに、あたかも上毛新聞に掲載費用を支払ってグラフぐんまを製作・発行し続けているのはどうみても怠慢としか言えない。
 他の自治体の例をよく調査し、もっともコストを節約し、成果品である広報誌の内容の品質を高める努力をすることが、最小のコストで最大限の成果を得るとする地方自治法の精神にも合致するのである。

②グラフぐんま配送業務の委託
 グラフぐんまを広く県民の方に読んでいただけるように、県内の金融機関や理容室、美容院、飲食店などに配布しており、その配送業務についても、一般競争入札により業者を選定している。
 入札の執行に当たっては、配達単価を算定して1回分の経費を算定した上で、12回分の予定総額を記載し、この予定総額の一番低い者を落札者と決定する。

→これも、上記と同じく入札参加者を増やす努力をしなければならない。配送を得意とする業者は、宅配業者やJP、個人や法人の大乗の運送屋は他にもたくさんある。なぜ赤帽運送だけしか応札しない状況を放置しているのか。知事は疑問に思わないのか。その意味では、入札公告をどのようにしているのか、不服申立人らは情報開示で確認しようとしたが、そうした情報は開示されずに現在に至っている。入札手続きの情報を開示=公表するとよほど都合が悪いと見える。業者との癒着という懸念を県民に抱かせないような配慮が強く望まれる。

(4)条例第14条第6号ロの該当性について
①一般競争入札の状況
 グラフぐんまの製作・発行及びグラフぐんまの配達は、毎年業務を委託しており、いずれも仕様は毎年ほぼ同様で、大幅な変更はしていない。
 製作・発行業務は、多くの企業に契約の機会を与え、競争原理のもと経費節減を図るため、平成14年度から一般競争入札による契約に移行したが、業務の専門性等から一般競争入札の導入後も、入札参加者は限られ、平成17年度以降は応札は2者の状況が続いている。
 また、配送業務も同様に一般競争入札に付しているが、導入以降、入札参加者は1者の状況が続いている。

→毎年、同じような契約を、しかも同じ契約先としているのであれば、いっそ随意契約にしたほうがよい。ただし、これはグラフぐんまの製作・発行業務に当てはまる。もちろん、知事のちょうちん記事ばかり載せている現在のグラフぐんまの内容が、県民にとって魅力の無いものになっており、果たして血税が有効に県民に還元されているのかと言う観点からは、グラフぐんまの必要性そのものについて、不服申立人は疑問視するものである。
 知事は、配送業務も一般競争入札に付しているというが、導入してから応札者は1社の状況が続いていると、平然と主張している。このことからも、知事が、多くの企業に契約の機会を与えようとする努力を怠っていることが如実に伺える。たとえば全県配送を入札条件にするのではなく、配送地域ごとに別々に入札できるように改善すれば、それぞれの地域を得意の営業エリアとするローカル業者の参入が見込める。現在はどのような入札資格を入札要件にしているのか不明であるが、1者入札が長年繰り返されている状況を改善しようとしないのは、怠慢というしかない


②予定価格の非開示について
 異議申立人は、異議申立書の中で、「グラフぐんまは毎年、同様な内容で契約を継続しており、開示しても事業の性質上、適正な遂行に支障を及ぼすおそれがない」と主張している。
 しかし前述のとおり、例年ほぼ同様な仕様での業務委託であることや、入札参加者が寡少な中での入札が続いている実情を勘案すると、
 予定価格を開示することは、
○今後同様の入札を実施するに当たり、事前に予定価格が類推されてしまうおそれがある
○そのため、入札参加者の企業努力が減殺され、落札価格の高止まりや不正等が生じることが懸念される
○その結果、県として有利な価格での契約を締結できないおそれがある
 このように、公正で自由な競争を阻害し、県の財産上の利益又は当事者としての地位を不当に害するおそれがあると考えられる。
 よって、本件は条例第14条第6号ロに該当し、非開示と判断したものである。

→県民の為に何をすればよいか、という観点を持たず、毎年同じことを繰り返せば血税を原資とする報酬が得られ、不況でもクビになる心配の無い輩には、民間でよく言われるカイゼンという概念がないらしい。上記の県知事への反論は既にこれまでにも述べているので、ここでは改めで述べない。そのかわりに、次のことを主張する。
 不服申立人らは、グラフぐんまの発行の意義や必要性そのものについて、住民監査請求で主張したが、ここではそれはさておき、ここで問題なのは、繰り返しになるが、群馬県総務部広報課が、自らの広報活動に対する重要性を認識しておらず、専門業者に丸投げ刷ればいい、という発想を引きずっていることにある。県民の血税を原資に、恵まれた報酬を得て、さまざまな方面で公僕として従事している部署や職員が群馬県には大勢いるのであるから、それらの情報を自らの言葉で原稿を書かせ、写真やグラフなど資料を準備させ、それらを広報課がまとめて編集すれば、もっと県民の目線に近い記事で満たされた内容の写真広報誌ができるはずである。
 写真広報誌を標榜しているのであれば、職員にかならず写真付きの原稿を用意させるように指示すればよい。
 そして、そうした情報を集めた後、広報誌というハードコピーの形で製作し発行するのもよいが、それらを原則的にはネットで発信すべきである。
 グラフぐんまの場合、製作・発行費用は全額県民の血税で負担しており、さらには、それで設えた全体の20%にも及ぶ広告スペースを、業者に全てタダで進呈しており、血税が垂れ流しの状況にある。その一方で、やはり血税を食んでいる総務部の職員は、広報業務を業者に丸投げして汗をかこうとしない。知事として、こうした状況をこのまま放置していくことはできないはずである。
          以上
**********

■群馬県公文書開示審査会では、早ければ1ヶ月で異議申立についての判断をまとめ、県知事に答申し、その後、県知事からオンブズマンに対して決定通知が出されることになります。

【市民オンブズマン群馬事務局からの連絡】

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