市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

電力コスト減の為に操業停止をして、環境コスト低減の為に周辺カドミウム汚染土壌を除染しない東邦亜鉛

2012-04-10 22:59:00 | 東邦亜鉛カドミウム公害問題
■絶対安全だと言いふらし、いざ歴史的なチェルノブイリを凌ぐレベル7の歴史的な放射能被害を起こすや否や、ダンマリを決め込む東京電力。そして、放射能被害の実態を正視したがらない政府や、カメレオンのように見かけを替えながら自らの存続を図ろうとする原子力保安院など原子力ムラの実態は、何も本質を変えられない、この国の現状を鏡のように映し出しています。

 ところで、4月7日付けで、東京電力による電気料金の値上げ問題に関連して、地元安中市を代表する企業の一つである東邦亜鉛安中製錬所の記事が掲載されました。

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東電値上げ 夏場2カ月、操業停止へ 東邦亜鉛安中製錬所
 亜鉛製造大手、東邦亜鉛の安中製錬所(安中市)は、東京電力の電気料金値上げに伴い、コスト削減のため消費電力の多い夏場の二カ月間、操業を停止する。東電管内以外の同業他社との競争や値上げへの防御対策ができない、としている。(樋口聡)
 同製錬所は、電気分解により亜鉛鉱石から金属製品を製造している。大量の電気を必要とし、その消費量は、人口約三十七万人の高崎市内の一般家庭すべての月間消費量に匹敵するという。
 同製錬所によると、電気料金値上げにより年間十数億円の電気料金が新たに必要。製造コストも跳ね上がるが、ロンドン金属取引所により非鉄金属の国際価格が決まっているため、単純に製品価格に値上げ分を転嫁することができないという。
 操業停止は七月十二日~九月五日まで。同製錬所は昨年も、東日本大震災後の東電の計画停電の影響を受け操業を二十日間停止するなど縮小せざるを得ず、年間生産量が通常の約八割に減った。今年も操業停止により昨年と同規模に減る見込み。
 同製錬所は「在庫もあり顧客には迷惑がかからない」とし、「これまで夜間や正月、盆などの東電の余った安い電力を使ってきた。値上げは操業基盤から壊れてしまう」と危機感を募らせている。
(2012年4月7日東京新聞)
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■ところが、なぜか東京新聞の4月7日付の夕刊では、少し記事が修正されて掲載されました。新聞販売店主が書いた記事の内容が一部不正確で不適切だったようです。

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東電値上げ製錬所の決断 夏場2カ月 操業停止
 亜鉛製造大手、東邦亜鉛(本社東京)の安中製錬所(群馬県安中市)は、東京電力の電気料金値上げに伴い、空調などの需要で消費電力が多くなる夏場の二カ月間、コスト削減のため操業を停止する。東電管内以外の同業他社との競争や値上げへの防御対策ができないためとしている。
 同製錬所は、電気分解により亜鉛鉱石から金属製品を製造している。大量の電気が必要で、消費量は人口約三十七万人の高崎市内の一般家庭すべての消費量に匹敵する。
 同製錬所によると電気料金値上げにより年間十数億円の電気料金が新たに発生する。製造コストも跳ね上がるが、ロンドン金属取引所で非鉄金属の国際価格が決まっているため、単純に製品価格に値上げ分を転嫁できないという。
 来年の電気料金が今年の消費量を基に設定されることもあり、夏場の操業停止で消費量を抑えることにした。
 操業停止は七月十二日~九月五日。同製錬所は「在庫もあり顧客には迷惑がかからない」としている。
 昨年は東日本大震災後の東電の計画停電で操業を二十日間停止するなど縮小せざるをえず、年間生産量が通常の約八割に減った。今年も操業停止で昨年と同規模になる見込み。
 経営多角化などで大きなダメージを回避しているが、今後には危機感を募らせている。下請け業者にも影響が出そうだ。
 <東邦亜鉛> 1937年に日本亜鉛製錬として発足。東証1部上場。民間調査会社帝国データバンクによると、資本金146億円、従業員655人。三菱商事などが大株主で、2011年3月期決算の売り上げは934億円。安中製錬所は主力工場で国内有数の亜鉛製錬所。家庭用乾電池のリサイクル事業にも取り組む。
(2012年4月7日東京新聞夕刊)
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■実は東邦亜鉛は、操業停止を4月5日に既に発表していました。

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東邦亜鉛、今夏の操業停止 電気料金値上げで2カ月間
 東邦亜鉛(東京都中央区、手島達也社長)は5日、東京電力の電気料金値上げの影響を軽減するため、7月12日から9月5日までの約2カ月間、安中製錬所(安中市中宿)の操業を停止すると発表した。
 安中製錬所は自動車の車体や部品などに使われる亜鉛製品を生産する国内有数の拠点。本年度上期の亜鉛生産は前年同期並みの4万2502トンを計画している。同社は「亜鉛製品の供給については、十分な在庫があるため問題ない」とし、下期は通常操業を予定している。電気料金の契約更新時期については公表していない。
 東電群馬支店は値上げ対象の約1万5千件の同意を得るため、「現在、各企業と直接の折衝を続けている」とした上で、東邦亜鉛の操業停止について、「(停止は)聞いていないが、値上げの影響ということであれば申し訳ない」(広報担当者)と述べた。
 東電が値上げを発表した1月17日から3月30日までに契約満了日を迎えた県内企業などは約300件あったが、値上げに同意したのはわずか約40件(3月22日現在)にとどまった。契約更新が3月30日以前の企業は、同意しなければ値上げは実施が1年見送られる。
(2012年4月6日上毛新聞)
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東邦亜鉛、夏場に製錬所の操業停止 電力値上げ影響軽減
 東邦亜鉛は4月5日、電気料金引き上げの影響を軽減するため安中製錬所(群馬県安中市)の操業を夏場に2カ月間停止すると発表した。自動車鋼板のさび止めに使われる電気亜鉛を生産する同製錬所の生産量は年11万トン前後で、国内有数の規模。電力消費ry0王でも群馬県内1~2位を争っている。
 停止期間は7月12日から9月5日まで。停止期間中の亜鉛供給は在庫で対応する。生産調整の時期を最も電力受給が逼迫する夏場に合わせた格好だ。
 同社は2カ月という長期の操業停止は「定期補修を含めて記憶にない」と説明。東京電力が4月から順次実施を進めている電気料金の引き上げを受け入れるかは「まだ検討中」としている。
(2012年4月5日日本経済新聞)
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■業界情報も、やはり4月5日の同社の発表を取り上げています。

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東邦亜鉛、群馬の製錬所を2カ月間操業停止へ-東電値上げで
 4月5日(ブルームバーグ):国内亜鉛生産3位の東邦亜鉛は5日、群馬県にある安中製錬所の操業を約2カ月間停止すると発表した。同製錬所は東京電力の管内にあり、電力価格の大幅な上昇の影響を軽減するためとしている。
 発表資料によると、操業停止の期間は電力使用量が増える夏季の7月12日から9月5日まで。同製錬所で計画する4月-9月の亜鉛地金生産は4万2502トン。東日本大震災の影響で生産が落ち込んだ前年同期比では0.6%増だが、前年度の下期と比較すると33%減となる。操業停止期間中の亜鉛地金の供給は在庫保管している部分で対応するという。
製錬所が定期修理以外で長期間操業を止めるのは異例。ただ、立花証券の入沢健アナリストは「国内の亜鉛需要は盛り上がっていないこともあり操業停止の判断にそれほど驚きはない」と指摘した。
 東電は1日から企業向け電気料金の値上げを実施している。非鉄製錬各社の中で東電管内に製錬所を持つのは東邦亜鉛のみ。三井金属は上期の亜鉛生産を前年同期比21%増の11万1200トン、DOWAホールディングスも同21%増の7万6404トンをそれぞれ計画している。
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【注目のリリース】東邦亜鉛が節電で安中製錬所を2カ月操業休止
■電気料金上昇の影響も軽減めざす
  東邦亜鉛 <5707> は5日の午後発表した平成24年度の上期の地金生産計画で、電力価格の大幅な上昇の影響を軽減するため、安中製錬所(群馬県)の操業を7月12日から9月5日の約2カ月間操業を停止し、夏季電力の節電を行なうと発表した。下期は通常操業を計画する。上期の生産計画は、亜鉛が4万2502トン(前年度上期は4万2240トン)、銀は154トン(同167トン)など。在庫があり、需要に支障はきたさないとした。
  株価は昨年12月の280円前後から右肩上がりになり、3月21日に388円の高値。ここ数日は下げが目立つものの、5日の終値は350円(3円安)。3月決算は5月10日15時ちょうどに発表する予定。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
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■東邦亜鉛は、昭和40年代にカドミウム公害で全国的に有名になったが、その後、カドミウムの製錬で周辺に大量にばら撒いた降下煤じんにより広大な重金属汚染土壌の農地や住宅地の除染を十分に行なっていません。とりわけ、安中製錬所の周辺の農地や住宅地はいまだに手付かずの状態で、この除染に東邦亜鉛は10億円を拠出することになっていますが、それを出し渋って、ついに現在に至るまで、汚染土壌の土地はそのまま放置された状態です。

 東京電力が10%電力料金を値上げすると、東邦亜鉛安中製錬所としては年間十数億円の電気料金が新たに必要になるということですが、周辺の地域住民の財産である農地や住宅地を汚染しておきながら、半世紀が経過するのに、わずか10億円あまりをけちって、重金属汚染土地の除染を怠って来たのです。

■このまま、東京電力との電気料金交渉がこじれた場合、ますます、東邦亜鉛は周辺住民の汚染土地の除染を先送りするでしょう。そして、自家発電の可能性も視野に入れて検討を既に始めているかもしれません。

 そうなると、東邦亜鉛の安中製錬所の目の前にある東京ガスの安中バルブセンターから天然ガスを取り入れて、ガスタービン発電を始める可能性も捨て切れません。

■東邦亜鉛は、周辺の汚染土地をメガソーラー計画地にしたいという希望があるようで、同社OBを使って、地区の有力者に説明をしています。東邦亜鉛が、本当に地元のためになることを考えているのか、あるいは、自社の利益のみを考えているのか、早期に確認しておく必要があります。

【ひらく会情報部】

コメント (1)
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