市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

大山鳴動して鼠1匹・・タゴ百年ローンに加え今後50年以上続く議員年金負担を受け入れた安中市長の茶番劇

2012-03-26 12:46:00 | 困ったちゃん岡田義弘・元市政

■先月2月25日の朝の「みのもんたのサタデーずばッと」で、安中市の岡田義弘市長が電話出演し、地方議員年金の負担拒否でさっそうと“持論”を展開し、一躍マスコミの寵児となりましたが、当会が当初から指摘してきたとおり、しりすぼみに終わり、単なるスタンドプレーだったことが明らかになりました。

 この結局、市民の税金で後始末が為されることになり、安中市民は、タゴ51億円事件の尻拭いに加えて、市民の為の仕事らしい仕事を何もしていない大体数の市議会議員らの老後の面倒まで公金で支払わされることになりました。

■岡田市長が、自らも長年に亘って受給してきた議員年金のことを棚に上げて、この期に及んで突然、自らには何の痛みも伴わない議員年金のことを取り上げるようになったのは、昨年6月1日に議員年金制度が廃止される直前の5月25日でした。平成23年5月26日付の東京新聞は次の通り報じています。

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議員年金全額公費で安中市長 負担金予算計上せず
市民への説明責任先決
 安中市の岡田義弘市長は5月25日の定例会見で、6月1日から全額公費負担となる市議の年金について、支給に必要な負担金約1億円を、市議会6月定例会に提出する一般会計補正予算案に計上しない意向を表明した。
 現行の地方議員年金制度は掛け金の半額程度ずつを本人と公費で分担しており、制度の変更について、市議会に市民への説明責任を果たすように促すのが狙い。公費の大半は国から地方交付税などで支給される。
 岡田義弘市長は市議会に議会広報での説明や市内の各種団体から理解を得ることを求めており、応じなければ、住民投票で市民に是非を問う構え。ただ市長は「年金の支給事態は否定しない」と述べ、年金の支払いが滞る事態は避けたい意向だ。
 地方議員の年金制度は、下校制度を6月1日に廃止する改正地方法等共済組合法が20日に成立。市町村合併で地方議員が減り、積立金が枯渇して制度が維持できなくなるのが要因。このため既に受給資格を持つ議委への年金支払いは今後全額公費負担となる。
 市によると、市内は旧松井田町議を含め、三期以上勤めた議員年金受給者が現在60数人いる。
 市議を務めた岡田市長も受給者だが「受け取っているからこそ、東日本大震災による財政難の中、情報開示が必要が」と説明している。
【菅原洋】
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 なお、当時の当会のブログも参照ください。
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/647.html#readmore

■なぜ突然このようなパフォーマンスを思いついたのかは定かではありませんが、大方、どこかの後援会で聞きかじったか、誰かに言われたのか、あるいは急に議員年金の廃止により、土建業界に配分する予定の予算が削られることになったので何か言い訳を捻り出す必要性があったものと思われます。

 当会も議員年金の廃止に大賛成です。奇しくも、この法案が閣議決定されたのは、東日本大震災に見舞われた当日でした。ところが、議員年金の廃止という耳触りのよい言葉の裏で、実は巨額の税金が投入され続けることは国民に知らされていなかったのです。

 というのは、年金の「廃止」に際して、受給中の退職議員の年金額や、受給資格を持つ現職議員の将来に亘る年金額が減額されたり抹消されたりするのではないからです。「廃止」の実態は、新たな受給資格者をつくらず、自然減を待つだけなのです。ここで問題になるのは、「廃止」により議員の掛け金支払いはなくなる代わりに、年金給付の費用などが全額(共済会の積立金を除く)、自治体負担となる点です。国の試算では、公費負担は約60年間続き、負担総額は約1兆1400億~1兆3600億円にも上るというのです。

■議員全員がこれに見合う仕事をしてきたのであれば、納税者は納得できますが、実態は程遠いものがあります。もっとも、そうした怠慢議員らを選んできたのは納税者である住民自身ですから、忸怩たるものがあります。

 欧州では地方議員というものはもともとボランティアの名誉職のようなものでスイスやフランスなどは無報酬の人が大半で、英国などでも年間せいぜい数十万円程度です。役所の職員の平均給与以上の待遇を保証されている我が国の地方議員はそのことを十分に自覚する必要があります。

 これまで自分たちの歳費の値上げについては、党派を超えて積極的にお手盛りで賛成してきた地方議会ですが、今回の議員年金の「廃止」は、その最後の仕上げということができるでしょう。

■民間企業の場合、退職給付会計に基づき、積立金としての年金資産と、年金の支払いに必要な退職給付債務の差額を計算して、「退職給付引当金」として財務諸表に計上しなければなりません。また、年金資産や退職給付債務も注記として計上されますが、地方議会が所属する地方公共団体の場合は、このような計算は行われていないのです。

 この観点から、もし、この議員年金廃止問題について岡田市長以外の首長が、岡田市長の発した「声明」と同じ趣旨の主張を行えば、安中市民は勿論諸手を挙げて賛同するのですが、二枚舌を駆使してブレまくって来た岡田市長が、こうした“正論”を突然主張すると、違和感を抱いてしまうのです。

■今年2月25日の“みのもんた”のテレビ番組への電話出演のきっかけになったのが、次の報道記事です。

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市議会議員共済会:安中市を提訴 市の主張、法廷で /群馬
地方議員年金の廃止に伴う公費負担増に応じなかった安中市が2月21日、全国の市町村議員年金を運営する市議会議員共済会(事務局・東京)に提訴された。
「公費丸抱えの特権的な年金制度が残り、納税者の負担だけが増える」との同市の主張は東京地裁で展開されることになり、岡田義弘市長は「訴訟には粛々と対応したい」とのコメントを出した。訴状によると、同市への請求額は、制度廃止の11年6月から今年3月までの10カ月分1億1万8800円など。
地方議員年金制度の廃止を盛り込んだ改正地方公務員等共済組合法では、受給者への年金支給に要する費用は、地方公共団体が負担すると定められた。
自治体の1カ月当たりの負担金は、議員報酬月額、議員定数などに、年ごとに総務省令で定められた係数を掛けて算出される。
11年度の係数は、在職12年未満の現役議員への一時金の支払いも加わり、全国一律102.9%。4回に分けて請求され、最終の納付期限は今月20日だった。
廃止直後は、全国に負担増分の支払いを拒否する自治体が出たが、国は「地方交付税で手当てされる」と説明したことから支払いに転じ、拒み続けているのは全国で安中市だけになっていた。
岡田市長は「地方交付税も国民の税金。公費負担は50年間続き、1兆円以上を納税者が負担しなければならない。負担増について納税者の理解を得る努力なしに国会で議決された」と批判し、今月17日には、制度見直しを求める声明を野田首相らに送付している。【増田勝彦】
(2012年2月22日付け毎日新聞)
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市議会議員共済会 安中市など提訴 市長の負担金拒否問題
 地方議員年金制度の廃止に伴い市議会議員共済会への地方自治体の負担金が増えたことを受け、安中市の岡田義弘市長が増額分の予算計上と納付を見送り同共済会から再三の督促を受けていた問題で、同共済会は同市などに支払いを求め東京地裁に提訴した。
 地方公務員等共済組合法と同施行規則等の改正により同年金制度が廃止され、以後、年金給付などの費用は同共済会の積立金を除き全額が自治体負担となった。同市の本年度分の負担額は約一億三百万円で、前年度の約千九百万円から大きく膨らんだ。
 負担増について市民へ周知や説明責任がなされていないと指摘する岡田市長は「大勢の(東日本大震災の)被災者がいる中、特権的改正はいかがなものか。年金財源欠乏ならば大幅縮小すれば良い」などと国などへ意見書を提出。今月は市のホームページで「声明」を掲載した。一方、市議会側は予算措置をとるよう求めている。
同共済会は、六月一日の法施行後の未払い分約一億円の負担金の支払いを求めている。訴えが認められると、約5%の延滞金も課せられる模様だ。(樋口聡)
(2012年2月23日付東京新聞)
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■このあと、岡田市長お得意の安中市の広報誌「おしらせ版あんなか平成24年3月11日号No.137」を使ってのパフォーマンスが行われました。野田首相らにも送ったと言われる「声明」文を5ページ目に掲載したのでした。

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「地方議会議員年金制度廃止に関する声明」の送付について
 地方議会議員年金制度が廃止となりましたが、これに伴い、今後の年金支給の財源は、残された積立金を除いて、全て地方自治体の負担となります。
 これは昨根殿負担金額と比較しても5倍以上であり、制度に対しる国民周知、説明責任が果たされていないとの考えから、現在、平成23年度予算への計上を見送っています。
 あわせて、財政の現状を訴えると制度廃止に伴う公費負担をできるだけ少なくする変更を求め、政府(各大臣)および国会に議席を有する政党へ声明を送付しましたので、ご報告します。
< 声  明 >
 平成23年3月11日の悪夢により、我が国は未曽有の国難に直面しています。
 間もなく東日本大震災から1年が経とうとします。
 想像をはるかに超える津波の映像に息をのみ、言葉も出ない状態は、日本の一大危機と感じます。
 大震災で死者・行方不明2万名余、さらに父親や母親を亡くした子どもの数は、推計で2,000名以上、また、両親ともに失った遺児は、200名余りいると報道されています。
 他方、失業された方は、6万名以上にのぼると伝えています。
 こうした人たちを置き去りのまま、新議員年金は、特権的な快晴と多くの批判が出されていたにもかかわらず、国難最中の平成23年5月20日に成立しました。
 そして、国民・市民への周知期間も設けず、国会議決から10日あまりで議員年金新制度は、平成23年6月1日から改正地方公務員等共済組合法により施工「実施」されたのです。
 これまで地方議員年金は、議員本人の掛け金と公費で負担してきました。
 安中市の場合、議員1人当たりの負担額は、月57,600円と公費負担が59,400円だったのです。
 平成23年6月1日から議員本人の掛金は廃止です。
 議員年金財源は、全額公費負担となり、平成23年までの安中市の年間負担額は、1,460万円から約1億322万円へと増加し、血税負担は5.8倍となりました。
 この負担分は地方交付税で手当て(不明確)されるとしても、借金をつけ回す政治でいいのかと憂いています。
 いま国家財政赤字額は、1,000兆円超えです。
 この「1,000兆円超の財政赤字の付けを子どもに回すことは、子ども虐待だ」との著名人の声もあります。
 議院年金に公的負担の終了は、平成70年を見込んでいますが、今後50年間で国民・市民負担額は、1兆1,400億円~1兆3,600億円に達すると試算されています。
 現役議員の掛金と公費負担の2本立てならば、他の公的年金と同じ構造ですが、納税者の理解を得る努力なしに、3.11の未曽有の国難最中であり、復旧復興には財源不足が懸念される中、議員年金共済掛金が全額公費でいいのか心が痛みます。
 子どもたちの将来にわたり多額の公費負担でいいのか心が痛みます。
 国は、なぜ社会保障と税について明らかにしないのか?
 現状でも借金で賄っている社会保障です。
 今日、国の累積債務が1,000兆円超と見込まれる現状を考えれば、税と社会保障の改革は、少しの猶予も許されない状況にあるのです。
 したがって、年金をめぐる対応についても、総括すればよいのです。
 年金は大事ですが、子育てや医療、介護など、切迫した社会保障の改革なくして議員年金を語ることはできないということです。
 上記、不条理な現実に政府・国会は偏った判断と政策決定で議員年金を擁護するだけでは、問題は解決しないのです。
重ねて政府・国会の懸命な判断を望みます。
 同時に血税を納める納税者の声なき声の貴捨てをせず、政府・国会として最後まで真剣に向き合うべきです。
 議員年金の財源が欠乏すれば、年金支給額を大幅に減額するのは当然の良識の理です。
 政府・国会は、議員優位の考えの反省を望みます。
 以上の観点から、これまで財政再建や行政改革の必要性を多くの議員が指摘してきたのですから、自分たち議員も「痛み」を避けずに国会・地方議会自ら身を切る模範を示すことを切望します。
 議員諸氏が模範を示さねば、政治不信を深めるばかりと心配になると共に、立法府(議会)の自殺行為と声なき声です。
 早急に再検討し、見直すべきであると考えます。
 なお、追書的に申すならば、地方自治法第97条第2項には、「議会は、予算について増額してこれを議決することを妨げない・・・」と明記されていることから、同法の規定に基づき、市議会が説明責任を果たし、議会年金にかかる予算を増額修正することも可能であることを申し添えます。
 平成24年 2月17日
                安中市長 岡田義弘
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■この「声明」文から、この時すでに幕引きの暗示をしていることが判ります。

 その意向を受けたのか、案の定、安中市議会は、3月12日に常任委員会で市長の暗示に応える決議をおこないました。

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市の負担増分を計上 議員年金で安中市議会
 国による地方議員年金制度の廃止に伴い、安中市が市議会議員共済会(事務局・東京)への負担増額分の支払いを見送り、同会が支払いを求めて東京地裁に提訴している問題で、同市議会は3月12日、総務文教常任委員会を開き、委員が連名で、未払い分を計上した2011年度補正予算修正案を提出、全会一致で可決した。3月22日の本会議で可決される見込み。
 この問題では岡田義弘市長が「市民への周知、説明責任が果たされていない」と負担増分約8千6百万円の支払いを見送り、同会が提訴した。
 今回の修正案提出に、奥原賢一議長は「提訴され、市民に遅延損害金等の多大な負担が生じる懸念があることから、苦渋の選択だ」と述べた。新年度予算案にも負担増分が盛り込まれていないことに「(市に)対応していただけると信じている」と話した。
 同会は訴訟取り下げや遅延金などについて「支払いが完了した時点で協議する」としている。【樋口聡】
(2012年3月13日付東京新聞)
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■その動機はともあれ、それでも、岡田市長の行動は「一市長の反乱」として、全国でマスコミにもてはやされました。岡田市長のスタンドプレーを見抜いた報道機関や週刊誌は皆無だということに驚かされます。その中で、3月22日付の週刊ダイヤモンド誌の内容を例示します。

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議員年金廃止で公費激増に異議 一市長が起こした反乱の顛末
 2011年、市議会議員共済会の年金の積立金がゼロになってしまいました。事実上、破たんです。積立金がゼロになってしまった大きな原因は市町村合併により、年金を負担する議員や市が減少したにもかかわらず、給付を受ける人が増えたことによります。加入議員は3万6000人に激減する一方、受給者は約9万4000人になっています。
ですから、2011年に制度を廃止しましたが、12年以上のキャリアがある議員は議員を引退する際、一時金(退職金)か年金を選択することができますし、OB議員は今まで通りの年金の方式になります。年金額はある程度は減額されますが、相模原の場合はおよそ年額で200万です。また、キャリアが12年未満の議員が引退した場合には一時金を支払うことになりますが、これは今までの掛け金の80%になります。掛け金は議員が負担した額になります。しかし、積み立てたお金が0になったので、そのお金を市が全額負担しなければなりません。つまり、一時金や年金に市の税金が投入されているわけです。その一時金や年金が多額にかかるため、 このような自業自得な積立不足を補うために相模原市の約3.4億円(前年度は約6500万円)という税金が投入されます。
 積立金不足を市の税金で賄うことを疑問に思い、市の担当者に問い合わせたところ、「これは国が要求した金額です。」との回答を得ました。つまり、市は議員年金の見積りをせず、国や共済会に任せ切りという状態にあります。
普通の企業でしたら、退職給付会計に基づき、年金資産(積立金)と退職給付債務(支払うべき年金)の差額を計算して退職給付引当金として財務諸表に計上します。また、年金資産や退職給付債務も注記として計上されます。しかし、地方公共団体の場合はこのような計算は行われていません。
市は議員年金にかかる費用は把握しておらず、国や共済会の言いなりになっています。国や共済会も言わば、どんぶり勘定で議員年金を運営して破綻寸前まで至ったわけです。その責任を追及することはせず、地方公共団体に負担させる。それが今年度の予算の3.8億円の議員年金になっています。しかも、退職する議員が全員一時金制度を選択したという前提で予算が計上されています。これで、仮に年金方式を選択した議員がいるとすると、予算が余ります。
その一方、予算が足りずに、命にかかわることも起きています。議員年金が支給されなかったために死んでしまう人はいないと思います。予算が足りないからといって、様々な事業が削減されている中、このような支出は異常です。拠出した年金の額とOB議員が受け取る年金、一時金の額をしっかり把握して国と交渉すべきです。
(週刊ダイヤモンド3月17日発売)
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■そして、予定通り、安中市議会は3月22日の定例本会議で、議員年金負担増に係る補正予算の増額修正案を可決したのでした。

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安中市議会:議員年金廃止に伴う増額修正案を可決 市長「訴訟継続」 /群馬
 安中市議会は22日の本会議で、11年度一般会計補正予算案に地方議員年金制度廃止に伴う市負担増分8576万円を増額するなどの修正案を賛成多数で可決した。12日の総務文教委員会で増額修正が議員提案され、可決されていた。12年度一般会計予算案などは原案通り可決した。
 市は同日、修正案の可決を受け、同年金を運営する市議会議員共済会(事務局・東京)に11年度の未払い分約1億円の振り込み手続きをしたという。岡田義弘市長は「議会制民主主義のルールにのっとり、支払い手続きを行った。12年度も今後、負担増分を補正予算案に盛り込みたい」と述べた。
 同共済会は市を相手取り、未払い分の支払いを求める民事訴訟を東京地裁に起こしているが、岡田市長は「国民の負担増を伴う特権的な年金制度の改正にもかかわらず、周知期間も設けず実施された。この点を裁判で訴えていきたい」と訴訟継続の意向を示した。【増田勝彦】
(2012年3月23日付毎日新聞)
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未払い分の1億円納付 市議会議員年金問題で安中市
 安中市議会は3月22日の本会議で、未納となっている市議会議員共済会への増額負担分を予算計上する2011年度の補正予算修正案を賛成多数で可決した。市は同日、未払いとなっている約一億円を同会に納付した。
 支払いを求め提訴していた同共済会は「近く協議し対応を決めたい」としている。 【樋口聡】
(2012年3月23日付東京新聞)
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■こうして、当初は住民投票も辞さぬ覚悟で、この問題に挑んだはずの岡田義弘・安中市長でしたが、住民投票もするつもりもなく、単にマスコミを騒がしただけで、竜頭蛇尾の結果に終わり、市民には、今後50年以上、大多数の無能な市議会議員の退職後の面倒を見なければならないという、理不尽な負担がのしかかることになりました。

 とくに、年金受給の対象となる退職市議らのなかには、タゴ51億事件でうまい汁をすすっていた議員らも含まれており、タゴ51億事件の尻拭いを103年間(現在12年経過したため、残りあと91年間)しなければならない安中市民にとって、まことにゆゆしき事態となってしまいました。

 当会では、今後、安中市議にアンケートを配り、今回の岡田市長のパフォーマンスの顛末についての感想と、今後、年金受給を受けるにあたり、在職12年以上の現職議員には掛け金の80%の一時金か、廃止前の水準の年金のどちらを選択したのか、また、全議員に対して、年金の一部を辞退あるいは震災被災者に対する支援費用など、なんらかの社会的還元するつもりがあるのかどうか、見解を質してみたいと考えています。

■今回の議員年金廃止の裏で、結局、最後にダシに使われたのが綿地たちの血税です。安中市の場合、地方自治体で史上最高額の51億円余りの公金が横領され、その尻拭いが市民に使われるべき公金で賄われている有様です。このように、政治家や役人の不始末のツケをすべて税金に転嫁させるのが、もはや常とう手段となっているこの国の無責任さは、留まるところを知りません。住民による監視の目がますます重要です。

【ひらく会情報部】

※参考資料
◆地方議会議員年金制度の廃止までのあらまし
http://www.si-gichokai.jp/official/kyousai/rules/全国市議会議長会ホームページから
1. 沿革
 地方公共団体の議会の議員(以下、「地方議会議員」という。)の年金制度は、昭和36年6月8日公布、同日施行の「地方議会議員互助年金法」(以下、「互助年金法」という。)により地方議会議員の互助年金制度として創設されました。
 この互助年金制度は、地方公共団体の議会の任務の重要性にかんがみ議員及びその遺族の生活の安定に資することを趣旨とするもので任意加入のものでした。この互助年金を給するための組織として、地方議会議員の区分にしたがい、都道府県議会議員互助会、市(特別区を含む。以下同じ。)議会議員互助会、町村議会議員互助会がそれぞれ設立されました。
 翌昭和37年9月、地方公務員共済組合法(のちに「地方公務員等共済組合法」と改称。以下「法」という。)が制定される際、同法の第11章に「地方議会議員の年金制度」として規定されました。ここに互助年金法は廃止され同法に統合されました。同法は同年12月1日に施行され、すべての地方議会議員を対象とした強制適用の公的年金制度となりました。この年金給付を行う組織として地方議会議員の区分に応じ、都道府県議会議員共済会、市議会議員共済会、町村議会議員共済会が設立されました。
 地方議会議員の年金制度は、昭和37年の創設以来、幾多の改正を経てきましたが、全国的に実施されたいわゆる平成の大合併が大規模かつ急速に進んだことによる議員数の急減に加え、行政改革に伴う議員数や議員報酬の削減が行われたことにより、市・町村議会議員共済会の財政状況が急速に悪化し、平成23年度には年金を含む共済給付金に要する積立金の枯渇が見込まれる極めて危機的な状況となりました(都道府県議会議員共済会は、平成34年度に積立金枯渇の見込み )。
 そのため、総務省、全国都道府県議会議長会、全国市議会議長会及び全国町村議会議長会において制度の見直しについて種々検討してきましたが、その結果、平成23年5月27日に地方議会議員年金制度の廃止措置を講ずる「地方公務員等共済組合法の一部を改正する法律」(平成23年法律第56号。以下「廃止法」という。)が成立し、平成23年6月1日をもって地方議会議員年金制度は廃止となりました。
 制度は廃止となりましたが、廃止法では、既に退職年金、公務傷病年金、遺族年金を受給されている方については、これまでどおり継続して給付が行われる一方で、退職年金については「退職年金に係る給付の引下げ及び支給停止措置の強化」が行われることとなりました。
3. 給付の財源
 共済給付金の給付に要する財源は、互助年金制度創設から昭和47年3月までは地方議会議員の掛金のみで賄っていましたが、昭和47年4月からは給付に要する費用の地方公共団体の負担、いわゆる公費負担制度が導入されました。
 廃止前の制度では、共済給付金の給付に要する費用は、地方議会議員の掛金、特別掛金及び地方公共団体の給付費負担金並びにこれらの運用によって生ずる利息によって賄われていました。
 制度廃止後の給付に要する費用は、廃止法により、地方議会議員共済会が保有する残余の積立金を除き、地方公共団体が負担することとされております。

◆世界各国の議員数と議員報酬
議員制度について テーマ:政治
世界各国の議員数と議員報酬について調べてみました。
(1)G8各国の国会議員数と年間報酬
No./国名/人口/国会議員数/人口/議員数/年間報酬
1/イギリス/61,000,000/1,050/58,000/\8,900,000
2/イタリア/60,000,000/905/66,000/-
3/フランス/60,000,000/898/67,000/\10,000,000
4/カナダ/33,000,000/405/81,000/-
5/ドイツ/82,000,000/755/109,000/\10,000,000
6/日本/128,000,000/732/175,000/\24,000,000
7/ロシア/140,000,000/628/223,000/-
8/アメリカ/310,000,000/535/579,000/\18,000,000
※フランスとドイツの年間報酬は1,000万円前後らしい。
(2)各国の地方議員数と年間報酬
No./国名(自治体)/人口/地方議員数/人口/議員数/年間報酬
1/スイス/7,500,000/53,000/132/\50,000
2/フランス/60,000,000/506,000/119/\100,000
3/ドイツ/82,000,000/182,000/440/\550,000
4/アメリカ/310,000,000/174,000./1,667/\640,000
5/イギリス/61,000,000/22,000/2,727/\730,000
6/韓国(基礎)/48,000,000/3,500/14,286/\2,100,000
7/韓国/48,000,000/4,200/11,905/\2,300,000
8/韓国(広域)/48,000,000/700/71,429/\3,500,000
9/日本(町村)/128,000,000/36,072/3,327/\3,990,000
10/アメリカ(州)/310,000,000/7,000/41.429/\4,000,000
11/ドイツ(州)/82,000,000/2,000/40,000/\6,200,000
12/日本/128,000,000/60,128/2,127/\6,800,000
13/日本(市)/128,000,000/21,222/6,031/\9,520,000
14/日本(県)/128,000,000/2,874/44,537/\21,290,000
※スイスとフランスの地方議員は無報酬の人が大半であることから、適当な額を記入しました。
※参考資料:http://www.kosonippon.org/temp/060925gikai.pdf
こうしてみると議員数の多さが大きな問題ではなく、年間報酬の多さが大きな問題である事がわかります。
そこで日本を除いた世界各国の最高年間報酬と同等に修正する事を提案します。
(私案)
国会議員:2,400万円→1,800万円(アメリカの国会議員)
県会議員:2,119万円→ 620万円(ドイツの州議会議員)
市会議員: 952万円→ 350万円(韓国の広域議会議員)
町村議員: 399万円→ 210万円(韓国の基礎議会議員)
世界の趨勢は議員は公僕だという認識の下、住民参加型であり、無報酬の議員も多い。
もう一つの案は福島県の矢祭町のように日当支払いにし、期末手当をなくするやり方です。
矢祭町の場合、年間の活動日数約30日に日当3万円を掛けると年間報酬は90万円になります。
どの案を採用するにせよ、多すぎる議員報酬の見直しをしなければ、日本は立ち行かなくなります。
因みに総理大臣の年間報酬は4,022万円ですが、他国はアメリカ大統領の3,600万円、イギリス首相の3,100万円、フランス大統領の2,900万円、インドネシア大統領の240万円、フィリピン大統領の52万円です。
<出典:2009-06-01 付け「瀬戸内四郎」氏ブログ>
http://www.kosonippon.org/temp/060925gikai.pdf

◆東京新聞2011年5月15日付「こちら特報部」より
★地方議員年金廃止の怪 税投入で「一時金」増 在任短くても掛け金の80%
 国会で審議中の地方議員年金制度を廃止する法案で、税金の「付け回し」による議員の“追加優遇”がまたも明らかになった。在任期間が短く年金受給を満たさない議員についても、現行では掛け金の49~56%しか受け取れない「一時金」を80%に増額するのだ。東日本大震災の復旧・復興財源で、基礎年金の国庫負担分を転用するなど国民負担が増す中、地上議員も特権的な年金を拠出すべきではないか。(秦淳哉)
 「地方議会議員年金制度の廃止に伴う留意事項」-。総務省福利課は、廃止案が国会に提出される前の2011年1月25日付で、議員年金の事務を担当する県や市町村の各議員共済会に事務連絡を出した。内容は制度廃止後の対応方針をまとめたものだ。
 文書には「昨今の厳しい年金財政の状況を踏まえ、平成23年6月1日をもって制度を廃止する」と記し、「通常国会に廃止措置を講じる法案を提出する予定」とある。衆参両院で与野党の多数が異なる「ねじれ国会」のため、法案の成否は未定だが、制度廃止を既定路線として自治体に対応を求めた。
 驚くのは文書の内容だ。議員年金制度廃止による地方自治体の負担額は、2011年度だけで都道府県が百億円、市町村長が1243億円。これは前年度と比べ、都道府県で約5倍、市町村で約5.4倍にもなる。
 議員全員が年金ではなく一時金を選択した場合、58年度までの公費負担額は市町村と都道府県で合わせて約1兆1千4100億円。4年に一度の統一地方選時には、引退議員が増えるため特に公費負担が増加する。
 なぜ、これほど負担が増えるのか。理由は年金制度の廃止によって、議員が支払う「掛け金収入」が消えるためだ。
 この年金制度では、議員の掛け金と地方時自治体が負担する公費(全金)を積み立てて、受給資格者に年金を支給してきた。ところが「平成の大合併」により、地方議員数が減少して年金財政が悪化。ついに支給する年金が底をつき、破綻が避けられない状態に陥っている。
現受給者は制度を継続
 そこで浮上したのが年金制度の廃止だ。総務省は、廃止後の対応として①在職12年以上の現職議員は、掛け金の80%の一時金か、廃止前の水準の年金を選択②在職12年未満の現職議員は、現行一期4年で掛け金の49%、二期8年で56%とした一時金を、いずれも80%に増額。今年一月以降に退職した議員にも適用③現在の年金受給者は従来通りの制度を継続―としている。
★お手盛り 国「丸のみ」 総務省「国会議員と同等に考慮」 震災の復興費用に回すべきでは?
 地方議員年金制度が破たんしているにも関わらず。総務省は従来の制度よりも手厚い受給を可能にした。
 ②のケースでは、受け取る一時金が破たん前よりも増加するのだ。地域政党「神奈川ネットワーク」の試算によると、横浜市議の場合、これまで2期務めて約485万円だった一時金が、年金制度廃止後には約863万円に跳ね上がるという。
 そもそも2009年12月に総務省の地方議会議員念制度検討会(大橋洋一座長)がまとめた報告書では、①の場合も一時金は掛け金の64%だった。今回の廃止法案や事務連絡文書によると、同省が地方議員側の要請を「丸のみ」して増額したことは明らかだ。
 神奈川ネットワークに所属し、地方議員年金の廃止に取り組んできた岩本香苗元相模原市議は「自治体の負担が大きいのに、市民に対する説明は一切ない。総務省が地方議員の要望を丸のみする必要はない。8割もの返還は余りに手厚すぎる措置だ」と批判する。
 国は自治体負担分を地方交付税で手当てするとしているが、全額負担を強いられることになる不交付自治体の中には、国の方針に異を唱える動きも出ている。
 神奈川県の鎌倉市と藤沢市は、地方議員年金制度廃止に伴う負担分の本年度当初予算への計上を拒否したのだ。
自治体負担めぐり反発
 藤沢市の海老根靖典市長は「これは国がやるべきことで、地方自治体が負担しなければならない者ではない。突然総務省から話がきた。こんなばかげたことはない」と国を批判。
鎌倉市の松尾崇市長も「廃止案が成立すれば、(加入から)12年未満の議員もおしなべて8割もの掛け金が戻って来る。なぜ国民がそこまで負担しなければならないのか」と疑問視する。
 これに対し、総務省福利課は「既に廃止された国会議員年金も80%を返還しており、地方議員も同等となるようにバランスを考慮した。投入する税金は当初増加するが、年金を廃止することで将来出来には減少していく」と話す。
 しかし、国会に地方議員年金の廃止法案が提出された後で、東日本大震災が発生した。政府は第一次補正予算で、本来は基礎年金の国庫負担分に充てるはずだった約2兆51千億円分の埋蔵金を、復旧・復興のための費用に回した。つまり、復興費用を国民の年金で肩代わりしたことになる。これに伴い、当面の年金支払いについては、積み立てた年金資金を取り崩して対応することになりそうだ。
 地方議員年金の廃止法案はすでに衆院を通過。今秋以降、参院で可決された成立する公算が大きい。特権的とされる地方議員年金も「お手盛り」を排し、受給額を大幅に減らして震災の復旧・復興に回すべきではないだろうか。
 立正大大学院の渡部記安教授(国際年金比較)は「地方議員年金制度ができてから2009年度までの48年間に使われて公費は約6千4百億円。今後も①調1千4百億円の公費が使われるとなれば、もはや廃止とは言えない。形を変えた制度の存続だ」と批判する。そして「未曽有の大震災で國人が大変な時に、現在の廃止案でいいのか。制度廃止をうたいながら、実際は税金を食い物にすることはやめるべきだ」と指摘する。
〔地方議員年金〕地方議員全員に加入義務がある年金制度。議員の掛け金と自治体の公費負担で運用し、両者の負担割合は6対4.受給資格の獲得まで12年(3期)と比較的短い上、国民年金や厚生年金との重複加入も可能で「特権的」との指摘がある。平均受給額は県議が年間195万年、市議が103万円、町村議が68万円。
〔デスクメモ〕「血税」の補充もある年金制度で、引退後も豊かな暮らしを約束・・・。そんな特権は廃止して当然だが、この期に及んで一時金を手厚く盛るなんで。破綻の責任とツケを国民に押し付ける構図は、東電救済策にそっくりだ。政治家や官僚にいつも厳しい目を向けねばならないとは、何と民度の低い国か。(立)


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