■3月8日付の東京新聞の朝刊群馬版に、高崎市が総務省の第三セクター等改革推進債を使って、市の財政の重荷になっている土地開発公社を、2013年度をめどに解散する方針を固めたことが報じられました。
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【財政検証】13年度めど解散へ 高崎市土地公社 国から優遇措置 三セク債を活用
高崎市は3月7日、広大な「塩漬け地」を抱える市土地開発公社について、国の優遇措置がある「第三セクター等改革推進債(三セク債)」を活用し、2013年度をめどに解散する方針を固めた。三セク債を使う土地開発公社の解散は県内で初めて。同日の市議会総務常任委員会で報告した。(菅原洋)
三セク債は返済の際、支払利息の一部を国が特別交付税で賄うなどの検討をしている。県内では、県林業公社(前橋市)が解散の際に利用する方針。
高崎市によると、2010年度に市土地開発公社が抱える借入金は約32億円。2013年度までに保有する土地を売却して借入金を減らし、解散時に残金分について三セク債を返済期限10年程度で起債する。市土地開発公社の保有する土地は市が引き受ける。
一方、市土地開発公社が保有する土地の簿価(主に取得価格)は2010年度末、総額で約79億円。2009年度末に保有していた土地は計約18ヘクタールで、うち塩漬け地の簿価総額は「5年以上」が約102億円、「10年以上」が約82億円。10年以上は、県内自治体の土地開発公社で当時最大だった。その後、市土地開発公社は塩漬け地の処分を進めている。
市土地開発公社が保有する土地の多くは、地価が下落しているため、多額の「含み損」を抱える。ただ、市土地開発公社は2009年末に約56億円の資本があるため、含み損を勘案しても解散時に債務超過にならないという。市管財課は「地価が下がり続ける今、土地を先行取得する公社の役割は終わった。土地は公社よりも市が持つ方が有効活用できる。公社の全職員は市職員の兼務なので、解散しても雇用問題は生じない」と説明している。
(東京新聞2011年3月8日朝刊)
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■この「第三セクター等改革推進債」とは、平成21年度から本格施工されている「地方公共団体の財政の健全化に関する法律」に基づき、「経営が著しく悪化したことが明らかになった第三セクター等の経営改革を進めるために、政府が創立したものです。
対象となるのが、「第三セクター」「土地開発公社及び地方道路公社」「公営企業」で、それらの整理または再生に伴い負担する必要がある経費です。いずれにしても、我々の税金を使って行う事業なので、いわば役所のズサン事業を公金で尻拭いするものです。
このうち、「土地開発公社及び地方道路公社」の場合には、公社の解散又は不採算事業の廃止を行う場合に必要となる地方公共団体が債務保証等をしている公社借入金の償還に要する経費が対象とされています。
三セク債の対象期間は、限られた期間内の集中的な改革を推進するため、「平成21年度~25年度」となっています。この債権発行には「議会の議決」と「総務大臣又は都道府県知事の許可」が必要となっています。
■この制度が発効してから、近年、全国的に土地開発公社の解散が目立っている現状があります。ます。
土地開発公社は、自治体に代わって公共事業用地などを先行取得する特別法人ですが、公共事業の減少や地価下落で公社の存在意義が薄れました。公社の債務処理を進める国の優遇措置が、2013年度末を期限としていることも、全国の自治体に解散の判断を促しています。
実際に、土地開発公社を解散した自治体では「今や、土地が値上がりする時代ではなく、先行取得する公社は目的を終えた」と断言しています。自治体が全額出資する公社は、金融機関などから資金を借りて土地を取得しますが、塩漬け状態が続くと利子や管理費がかさみ、将来、公社から土地を買い取る際に負担増を強いられるからです。
だから、全国一の保守王国の群馬県でさえ、土地開発公社の解散の流れが加速しているのです。
■しかし、安中市の場合、安中市土地開発公社は、おそらく、全国で一番最後まで存続するのではないかと思われます。岡田市長にとって、土地開発公社にはただならぬ思い入れがあるからです。
ご承知のとおり、安中市土地開発公社は、群馬銀行に対して和解金と称する巨額な債務があります。元職員が51億円余りを横領しましたが、群銀との民事訴訟でかなり減額してもらったとはいえ、103年ローンと言われる異常な債務は、まだ92年分が残っているからです。
総務省が毎年12月25日に発表している全国の土地開発公社の事業実績調査結果概要に安中市土地開発公社のデータが載っています。
・年度/公社名/a.年度末/公有地先行取得/土地造成/b.5年以上保有額/b/a(%)/c.10年以上保有額/c/a(%)/ 供用済未収金/未収金保有額(いずれも単位は百万円)
・20年度/安中市土地開発公社/1,172/ 724/448/754/64.3/ 641/ 54.7/ 0/ 0
・21年度/安中市土地開発公社/1,499/ 731/768/760/50.7/644/ 43.0/ 0/ 0
おどろくべきことに、上のデータには「未収金」の欄に、タゴ51億円の損害金は計上されていません。だから、一見すると、他の自治体の土地開発公社にくらべて、破たんの度合いが見えてきません。
しかし、安中市土地開発公社は、あと92年分、総額18億4000万円が簿外債務として残っているはずです。
しかも、平成20年度より平成21年度のほうが先行取得額が大幅に増えています。
■タゴ51億円事件を発生させた安中市にとって、土地開発公社はタゴ事件の尻拭いという本来の事業とは全く別の理由で、存続させているわけですが、こうなると岡田市長は、完全に居直ってしまったようです。もしかしたら、かつてタゴがやっていた土地ころがしの実態を再現して、「古き良き時代」に浸っているのかもしれません。
安中市民の不幸は、やはりあと92年間続くのでしょうか。それを少しでも食い止めようと、当会は、タゴ事件で逮捕される直前、タゴが親友に預けていたという、一説では総額6億円を下らないという絵画等6点が本物かどうか、「出張!なんでも鑑定団in安中」で鑑定するよう、3月10日付で岡田市長に要請書を提出します。また、同日付で安中市観光協会あてに、申込書を発送します。
【ひらく会情報部】