市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

タゴ出所まで75日!巨額使途不明金を取り戻したい市民を邪魔する裁判所の正義とは

2009-07-08 21:33:00 | 土地開発公社51億円横領事件
■安中市土地開発公社を舞台にした巨額詐欺横領事件は、公社の理事監事ら役員が誰一人責任を取らず、警察の及び腰の捜査の結果でさえ14億円余りもの巨額使途不明金があるというのに、公社はその行方を追及しようとせず、事件発覚から14年が経過しています。

 一方、公社と安中市は連帯して、群馬銀行に対して和解金として初回4億円、その後、毎年2千万円ずつ、これまで10年間にわたり公金を支出し続けてきました。そして、昨年12月26日に岡田市長は、さらに今後、10年間の支払いを群馬銀行に約束してしまったのです。

 ところが、岡田市長兼公社理事長は、タゴに対する損害賠償請求権が今年5月31日に10年経過することによって懸念される消滅時効について、その対策を具体的に示さないまま、現在に至っています。

■群馬銀行に公金を和解金名目で支払い続けるのに、横領犯のタゴに対する損害賠償請求権には無頓着では困ります。そこで、当会は、群馬銀行の和解金は、タゴの使途不明金から支払うよう、タゴに対する損害賠償請求権の10年経過を目前にした4月1日に、岡田市長に関する住民監査請求書を安中市監査委員に提出しました。その後、安中市監査委員は4月22日付で当会の請求を却下し、門前払いしました。

 そして、当会は5月22日(金)午前10時すぎに、前橋地方裁判所に、タゴの再提訴を安中市に求めるため、安中市の岡田義弘市長を相手取り、訴状を提出しましたが、6月9日(火)に前橋地裁の松丸伸一郎裁判長は、当会が提起した巨額横領損害金回収等請求事件(前橋地方裁判所平成21年(行ウ)第8号事件)を却下したのです。そのため、当会は6月22日(月)に前橋地裁民事部に控訴状を提出しました。

 控訴では、一定期間内に控訴理由書を提出する必要があるため、当会では、土地開発公社が利益を横領犯の尻拭いに充当できるのかどうか、法的な根拠を質すことにして、7月3日(金)午前10時半に、霞ヶ関にある総務省の行政相談室を訪れました。


14年前まで、栄華を誇ったタゴ自慢の骨董喫茶「珈琲ぶれいく」。現在は某新興宗教系の政治団体が借りて選挙用事務所になっている。衆院総選挙が終わる頃、ついにタゴが正式にシャバにデビューする
■総務省のある中央合同庁舎2号館は、地下鉄丸の内線の霞ヶ関駅からすぐ近くにあります。入り口の検問で、身分証明書として、免許証ないし健康保険証などを提示し、訪問先として総務省自治行政局行政相談課と用紙に記載すると、セキュリティ・カードを渡されます。それを、駅にある自動改札機のような入り口のセンサーにかざすと、中に入れます。

 広い吹き抜けのロビーの脇にある1階の受付カウンターで、相談室の場所を尋ねると「行政相談は4階です」というので、すぐ横のエレベーターで4階に行き、行政相談室を探し当てました。相談室に入り、近くに居た職員に「土地開発公社のことで相談がある」と告げると、若い職員が、「ここでは専門的なことは分からないので、公社のことなら地域振興室に行けば教えてくれるはず」と言い、先導して地域振興室の前まで案内してもらいました。

■14年前に安中市土地開発公社51億円事件が発覚したころ、公社については自治省が管轄でした。その時は、合同庁舎の新規建設工事のため、自治省は、虎ノ門のJTたばこ産業ビルに一時的に引っ越していました。当時、土地開発公社に係る関係法令などについて、自治省の職員から丁寧に教えてもらったことが懐かしく思い出されます。

 今回も、同様に親切に教えてもらえるのかとばかり、期待していたところ、かなり勝手が異なりました。というのは、地域振興室に入り、担当職員の方を紹介され、挨拶もそこそこに用件を説明した途端に、「(あなたは)公社の関係者か、それとも直接担当の市職員の方か?」と訊かれたのです。「いいえ、普通の市民です。安中市土地開発公社で14年前に起きた51億円の巨額横領事件について、追及を続けている市民団体の事務局を努めているものです」と答えると、「ああ、あの事件か」と、担当職員は既にタゴ事件のことはご存知でした。

 ところが、肝心の質問に入る前に、次のように関門を通過する必要がありました。

【当会】当時から自治省担当者の皆さんからもいろいろ公拡法など公社について説明して教えてもらいました。実は、その後、群馬銀行との和解金支払いの一方で、横領犯の元職員に対して10年前に公社が勝訴し、損害賠償請求できることになった件で・・・。

【総務省】その辺の経緯は分かっている。ところで、ここに来た理由は?

【当会】実は公社の定款について、公社の余剰金の扱い方について・・。

【総務省】余剰金の扱い方は自分もよく勉強しているつもり。で、何を聞きたいのか?

【当会】つまり土地開発公社の余裕金を、犯罪の尻拭いに使ってもよいのでしょうか?」

【総務省】それが聞きたいのだね。ところで、どういう立場でここに来て、私に質問するのか?で、市職員ではないのに、どうやってここに入ってこられたのか?

【当会】えっ!自治行政局で公社のことで相談したいと思い入ってきた。以前自治省当時にも直接訪問していろいろ教えてもらったが、通常の市民がここに入っていけないのですか?

【総務省】相談いただく話を事前に聞いていないので、急にきてもらっても・・・。

【当会】まず行政相談室に行き、「公社の件で教えてほしいことがあります、と言ったら、こちらだということで・・・。

【総務省】それは正当に入ってきたのか。

【当会】はい、正当に入ってきました。

【総務省】入り口の警備の人が、私が、相談に対して承知してると勘違いして入れてくれたのか?

【当会】違います。どの部署が公社担当なのか分からなかったので、まず受付の女性にききました。「公社についての相談窓口はどこですか」と訊いたら、「それなら4階の行政相談室に行ってください」といわれました。そこでたった今、相談室に行ったら、「いや、うちのセクションではない」と言われたので、若い人が「公社のことなら自治行政局のここの課だ」と教えてくれてここまで案内してもらいました。

【総務省】どちらの方かというと、市議会議員とかそういうわけではなく、市民団体活動しているということか?

【当会】はい。この事件をライフワークとしています。安中市民の立場です。

【総務省】いわゆる行政相談としてこられたということだね。

 と、ようやく当会の訪問目的について理解してもらえました。

■続いて、ようやく本題に入りました。そのやりとりの概要は次のようなものでした。

【当】公社については、ネットでも調べたが、総務省で健全化対策というのを出しています。ところが、安中市の不健全な公社が存続している理由は、元職員が残した群馬銀行への和解金を支払うためにあるものだけのという気がします。ところで、公社の定款をみると・・・。

【総】健全化対策はこの場合関係ない。余剰金の運用上の話について考えることにする。利益の運用について、剰余金を使っていいかという状況だが、今現在、余剰金を使って返却しているという話になっているのか。

【当】当方はそういう風に見ています。

【総】見ている、というと? 自分はてっきり「剰余金がある」と。「あるんだから、それで義務として債務を負っているから、支払わなくてはいけないのではないか?」と、そういう指摘なのかと思ったが、そうではないのか?

【当】払わなくてはいけないのでしょうが、特別法人の公社の定款第24条に、剰余金の
運用について書いてあります。おそらく各地の土地開発公社の定款はすべて、全国的に同じ条件でつくられていると思います。安中公社の場合、最近業績が思わしくないので、市長が財政調整基金を充当しようなどと口走っています。

【総】状況が飲み込めず、自分の頭が付いていけないので、ちょっと訊きたい。この定款がこういうふうに定めてあって、剰余金があるので、剰余金でたぶん払っているんだろうと。「その剰余金での支払いは不適切である」という、そういう考えで間違いないね?

【当】はい。「剰余金を勝手に運用するな」とあるので、運用についてこう定めてあるにもかかわらず、元職員のせいで和解金として出てゆく金を払える根拠は何か?というのを相談に来ました。

【総】だって、債務があるではないか? 裁判所の決定も受けているのかわからないが、契約としてカネを払わなくてはならないんのだよね? 公社の手元にカネがあるわけだよね? そしたら、何らかの形で債務を返済しなければいけない。剰余金というのは、単年度で余ったカネをどんどん積立てているもの。それで、単年度で穴が開いたときは、その穴埋めとして、これまで積立てたカネを取り崩すということになっている。単年度でカネを払う場合には、当然、土地を買ったりといろいろある。今回の場合は極めて異例だが、少なくとも契約としてきちんとした債務を負っているわけだ。それは支払わなくてはならないということになっているわけだ。単年度で債務を払った。穴が開いた。剰余金を回してそれを埋める、ということで、何の問題もない。

【当】えっ、本当に?

【総】剰余金を使うか使わないかという理由は、公社が払うべきか否か、団体が払うべきか否か、という話が多分主眼になると思う。それについては、既に決着が付いているわけだ。住民監査請求をしたけれども、それについてはもう弾かれたと、裁判所も言っているとなると、法律上そう読めることになっている。つまり、貴殿が「それが正義か?」というと、裁判所が不正義だって言っているようなものだ。

【当】そうですか? では、そういうことを書いておかなければいけないですね。ここにね。その他については、たとえば議会の決議を受けるとか、ですね。

【総】定款にそういった細々したことを書いていると、結局定款が膨らんでしまう。通常の運用はどうなっているのか、については、通常のハウツー本とか、或いは法解釈の中で判断頂くことになる。剰余金がどう使われるか、については、公有地の拡大の推進に関する法律第18条第5項で、「毎事業年度の損益計算上、損失を生じたときは、前項の規定による準備金を減額して整理し、なお、万が一不足が起きたら繰越欠損金として整理」、いわゆる赤字になる。

【当】その場合は銀行から借り入れして、調整して運用するのですか?

【総】そう。資金ショートしないように。

【当】その場合、市長の債務保証を取り付けることは、構わないということですね?

【総】いずれにしてもどこかから借り入れることになる。債務保証というのは、金を借りるとき、円滑に貸してもらうための一手段でしかないので、それ自体が目的ではない。カネを借りることがまず主眼となる。

【当】でも金融機関としては、ペーパー会社としての公社に対しては信用を置いていないのでは?

【総】「ペーパー」という意味をどういうふうに考えているのか分からないが、公社の資本金は小さいので、当然、銀行としては、信用をなんらかの形で付加してほしい、と言うだろう。あと、安中市は、本件について、まだ時効が発生していると思っていないのかもしれない。住民として疑いたくなるかもしれないが、安中市は市民から敢えてそういうことを言われなくても、もうちょっと待ってくれ、ということかもしれない。

【当】であればまだしも、そうした説明もなく門前払いされたので、不安が余計募ります。心配ないなら、住民監査請求や裁判できちんと心配無用と説明してほしいのです。


巨額使途不明金の行方に関与しているとみられる多胡運輸。首都高炎上事故でもびくともしないタゴ・ファミリーの総本山は、今日も元気。

■以上が総務省の担当官とのやりとりです。
つまり、現状では、裁判所が下した判断が「正義」であり、その結果で全てが判断されるというのです。法治国家を自称する我が国の政府官僚としては、こうした回答しかできないものと思われます。

 しかし、松丸伸一郎も、「正義」を判断する裁判官ということになるのは、どうしても合点がいきません。タゴが横領した金を、なぜ市民の金で払わなくてはならないのか。裁判官がそのことを認めることが、なぜ「正義」なのか。どうしても理解できません。

 タゴを庇う公社理事長の岡田市長としては「プロパー事業で上げた利益だから、市民には迷惑をかけておらず、公社が頑張って儲けたカネをどう使おうと、とやかく言われる筋合いはない」と主張したいのかもしれません。ならば、安中市に債務保証など求めず、負債を返済すべきです。でも、それは困難である事を知っているから、岡田理事長は、岡田市長として、公社の債務保証をしているのです。

 いくら考えても、なぜ職員の豪遊の尻拭いを安中市が債務保証をしなければならないのか、理解できません。公社のプロパー事業といっても、そもそも、公的な立場で土地を購入し、登記をしており、安中市の信用の下で全部行われています。群馬銀行へ和解金として支払う公社の剰余金は、本来、公共のために使われるもので、タゴの豪遊の尻拭いのために使うものではありません。


タゴ・ファミリーの後見人として重要な役割りを果たすと見られる多胡運輸の元締めの運送会社。

■今後の対応として、当会は次の方針で臨みたいと思います。

(1)タゴを再提訴しない理由について、裁判を通じて、納得のゆく説明を得る必要がある。既に東京高裁に控訴しており、きちんと控訴理由書を作成して、裁判所に提出し、シロクロはっきりさせる。
(2)たとえまだ時効が成立していないとしても、今後、本当に時効が成立したことが判明したときは、財政的な問題であり、改めて住民監査請求を経て、提訴する。
(3)時効が成立したのかどうかを確認するには、後日、あらためて情報開示請求を、債務保証人である岡田市長に行い、時効と判断しない根拠を示す情報を請求する。もし、情報がない場合には、時効が成立したと判断されるので、住民監査を経て、提訴する。

 なお、総務省(自治行政局地域振興課)では、平成16年12月27日付で、「土地開発公社経営健全化対策」として、全国の自治体に通知を出しました。これに基づき、各県市町村では、「土地開発公社の健全化計画の策定」を行い、総務省に作成結果を連絡するとともに、公表していますが、総務省に聞いたところ、案の定、安中市は土地開発公社の健全化計画の「け」の字も作っていないことが分かりました。

 タゴ出所まで、いよいよ余すところ75日となりました。カウントダウンを待ちわびるタゴとタゴ一族の喜びとは裏腹に、安中市民の不安と怒りは募る一方です。


あるじの凱旋帰還を静かに待つタゴ邸。


結局、安中市は市役所前のタゴ邸の風景を変えることはできなかった。

【ひらく会情報部】

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