市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

【安中タゴ51億円事件】群銀103年ローンに加えタゴに1万8526年ローンを許容中の安中市を提訴!

2020-11-29 23:55:00 | 土地開発公社51億円横領事件
■安中市土地開発公社を舞台に今から25年半前の1995年5月18日に安中市役所内部で密かに発覚した地方自治体では史上最大の巨額詐欺横領事件。警察の調べで総額51億円を超える犯罪にも拘らず単独犯とされた元職員タゴは1952年3月生まれで、今年68歳となり、現在高崎市内のT町に住んでいます。
 この前代未聞、空前絶後の巨額詐欺横領事件により、現在公社は、群馬銀行に対して債務となる総額24億5000万円のうち、和解と同時に支払った4億円を除く20億5000万円を毎年2000万円ずつクリスマスに群銀に103年かけて支払中です。今年12月25日にも次回の22回目の支払日が迫っています。このままでいくと、今年生まれた市民の赤ちゃんが、81歳になった時に、和解金が完済されることになります。安中市は公社のこの債務の連帯保証人になっています。
 一方、公社は、元職員タゴに対して損害賠償請求訴訟(事件番号:平成11年(ワ)第165号)を提起し、1999年(平成11年)5月31日付で22億2309万2000円の債権が確定しました。その結果、判決確定後、今年8月26日の約21年間で、タゴから1532万500円が返済されましたが、依然として22億771万1500円の債権元金が残っています。しかも、これには遅延損害金年利5分は含まれていません。


事件を初めて報じた1995年(平成7年)6月3日(土)の上毛新聞朝刊。「安中市で今春まで都市計画課に所属し市土地開発公社の業務を担当していた職員が、公社の事業費用を金融機関から借り受ける際、金銭借入書を改ざんし懲戒免職になっていたことが、二日明らかになった。」という記事を見て、安中市民は仰天!事件発覚後、県警は詐欺、公文書偽造、同行使の容疑で元安中市職員=当時(43)=を逮捕。元職員は公社の事業費用を金融機関から借り受ける際に公文書を偽造して金額を上乗せしていた。不正流用は総額51億円に上り、元職員には懲役14年の実刑判決が下った。事件から3年後、市と公社が銀行に24億5000万円を支払う和解が成立した。

 この遅延損害金について、先日、公社の連帯保証人の安中市で、公社の管理に携わっている企画課の田中課長に、現時点でいくらになるのか聞いてみました。すると、「安中市では計算したことがなく、公社の事務局である都市整備課の赤見課長(公社事務局長兼務)に計算を頼んだので、そちらに聞いてほしい」との返事でした。そのため、11月27日に赤見事務局長と面談して、事前に計算を依頼していた遅延損害金について尋ねたところ、「12月市議会定例会が迫っており、その対応に追われていて計算ができていない。年利5分で複利計算だと思うので、自分で計算してみてほしい」と言われました。

 群銀への債務履行についてはきちんと毎年支払いを続けているのに、タゴへの債権行使については、今年から口約束で毎月月末に1万円の振込をタゴにしてもらっているだけで、遅延損害金さえまともに計算をしたことがないというのが、現在の市・公社の実態です。

■筆者は、こうした市・公社の体たらくを懸念して、市・公社が2019年3月末に群馬銀行に対して、和解後20年目の対応として、今後さらに10年間、和解金の支払いを継続する旨を約した「証」の提出に関連して、公社でどのような協議が行われていたのかを債務保証人である安中市民納税者として確認すべく、昨年6月10日に安中市長に行政文書開示請求書を提出しました。

 ところが、多くの箇所が黒塗りにされた公社議事録が開示されたため、昨年8月6日付で行政不服審査法に基づく審査請求を行いました。しかし、安中市は2020年5月15日付で棄却通知をよこしました。

 その後も安中市に対して、群銀への債務履行ばかり重視している市・公社の姿勢を問題視して、なぜタゴへの債権行使をもっと厳しく行わないのか、もし市・公社だけでは腰が引けるのであれば、本件をライフワークとしている当会に委任状を発行してもらい、市民納税者として直接タゴおよびその関係者らに債務履行を求めたいと、申し入れてきました。

 ところが、安中市にいくら申し入れても、「委任状は弁護士でない者には出せない」などとして、一向に当会の提案に応じようとする気配はありません。

■そのため、やむやく審査請求結果の裁決通知を受け取った翌日から6ヶ月間が経過しようとする直線の2020年11月16日に、公社の連帯保証人である安中市に対して、タゴからの債権回収の本気度を確認するために不可欠な公社議事録の内容についての非開示部分の開示を求めて、前橋地裁に提訴しました。

 訴状の内容は次のとおりです。

*****訴状*****ZIP ⇒ 20201116i.zip
        訴    状

                         令和2年11月16日
前橋地方裁判所民事部 御中

                   原 告  小 川   賢

 〒379-0114 群馬県安中市野殿980(送達先)
        原      告   小  川    賢
         電 話 090-5302-8312
         FAX 027-381-0364

 〒370-0192 群馬県安中市安中1丁目23-1
        被告兼処分行政庁   安   中   市
        上 記 代 表 者    安中市長 茂木英子
         電 話 027-382-1111(代表)
         FAX 027-381-0503

行政文書不開示処分取消請求事件
 訴訟物の価額 金160万円(算定不能)
 貼用印紙額   金1万3000円

第1 請求の趣旨
 1 被告が原告に対し、令和元年8月6日付安企発第259号行政文書部分開示決定(以下「本決定」)において不開示とした箇所のうち、別紙に示す情報について不開示を取消せ。
 2 訴訟費用は被告の負担とする。
との判決を求める。

第2 請求の原因
 1 請求に至る経緯
 (1)原告は,安中市情報公開条例(以下「条例」)第5条の規定に基づき、被告に対し、令和元年6月10日付で、広報あんなか2019年6月1日号に掲載された記事「安中市土地開発公社不祥事件 和解20年後の対応について」に関連する次に掲げる情報の開示請求(以下「本件開示請求」)を行った。
   (1) 2018年7月以前を含め、これまでに安中市土地開発公社(以下「公社」)と群馬銀行(以下「群銀」)との間で重ねてきた経緯が分かる一切の情報(群銀との協議録のみならず,公社における理事会・評議会など内部の会議録を含む。)
   (2) 2019年3月に「公社が毎年12月25日に2,000万円を支払うことで合意した」ことを示す一切の情報
   (3) 「これまで20年間で合計8億円を支払ったが、この支払は公社の土地造成販売による利益の中から行われ、連帯保証人の安中市からの支払は発生していない」としているが、土地造成事業の利益の中からどのように支払ってきたのか、公社の財務諸表をもとに一般住民が理解できるような一切の情報
   (4) これまで20年間に合計8億円を支払ったというが、その公金を捻出するために公社が行ってきた土地造成等で金融機関から資金を借り入れる際に、安中市が債務保証をしてきたはずであり、それらの債務保証の履歴が一般市民にも分かるような一切の情報
   (5) 公社の事業と経営が順調に推移していることが一般市民にも分かるような一切の証拠
   (6) 今後とも公社には、群銀への返済資金が十分あるとすることが一般指印にも用紙に分かるような一切の根拠
   (7) 6月市議会定例会で本件に関する説明に使用する予定の情報
 (2)処分庁である被告は、本件開示請求の対象となる情報のうち、公社が保有しているものについて条例第24条第2項の規定に基づいて被告に提出するよう公社に求めたところ、「公社の経営に支障を及ぼすおそれのある情報」であることを理由に公社が定める安中市土地開発公社情報公開規程(以下「公社規程」)に基づいて内容の一部を黒塗りにした文書(以下「公社提出文書」)が公社から被告に提出された。
 (3)被告は、公社提出文書のうち、個人の氏名、地位及び印影については条例第7条第2号に規定される個人に関する情報、法人の印影及び口座番号については同条第3号に規定される法人その他の団体に関する情報に該当するものとして、それらの情報を被告として黒塗りにした上で本件処分を行い、その旨を令和元年8月6日付で行政文書部分開示決定通知書により原告に通知した。
 (4)原告は、公社提出部分及び被告がさらに黒塗りにした箇所が多いことを理由に本件処分の内容を不服とし、令和元年11月7日付で本件処分の取消しを求めるため、行政不服審査法第2条の規定に基づいて審査請求を行った。
 (5)原告は審査請求において、本件処分により黒塗りにされた部分について、条例第24条第2項において「実施機関は、法人の設立に当たり、市が2分の1以上を出資している法人の保有する情報であって、実施機関が保有していないものについて、当該情報の公開の申出があったときは、当該法人に対して当該情報を実施機関に提出するよう求めることができる」と規定されており、被告が資本金の全額を出資して設立された公社は同項に規定する法人に該当することから、処分庁である被告は、公社が保有する情報について、条例に基づく開示請求があった場合は、公社に対し、当該開示請求に該当する公社が保有する全ての情報を同項の規定に基づいて適切に提出するように指導すべきであり、被告が公社に対するその指導を怠ることにより納税者としての市民である原告に本件処分を行ったことは、原則開示という条例の趣旨に反する、と主張した。
 (6)また原告は、本件処分において、公社提出文書における公社が黒塗りにした理由が「公社の経営に支障を及ぼすおそれのある情報」と記されているのみで、「公社の経営に支障を及ぼすおそれ」に関する具体的な理由が記載されていないことは、条例に基づく情報公開制度の適切な運用に反している、と主張した。
 (7)上記のことから原告は、本件処分が条例第7条の規定による開示義務に反する処分であるため、本件処分の取消しをあらためて求めた。
 (8)だが、被告は、「公社に対して、条例第24条第2項の規定に基づく情報の提出の求めについては強制力がない」と主張し、さらに「公社が保有する情報は行政文書に含まれていないため、公社に任意に情報の提供を求めるほかない」とし、「公社自身が経営に支障を及ぼす恐れと判断し、黒塗りをした箇所を被告が条例の規定に基づき強制的に開示を行うことはできない」などと主張した。
 (9)加えて、被告は「公社は市と独立した別法人であるとの位置付けであるため、公社提出文書の作成は、公社の裁量権の範囲内である」として条例には抵触しないと主張した。
 (10)その結果、処分庁である被告は審査庁として令和2年裁決第1号で、原告の審査請求を棄却し、令和2年5月15日付安行発第259号で、採決結果を原告に配達証明郵便で送付し、被告は翌5月16日に裁決書を受け取った。
 (11)この「安中市土地開発公社不祥事件 和解20年後の対応について」にかかる公社における協議情報不開示処分は、法に照らして明らかに失当とみられるため、行政事件訴訟法第12条の規定に基づき、その取消を求める訴えを提起する。

 2 請求の前提となる事実
 (1)被告安中市が基本金500万円全額を出資する公社では、安中市都市計画課員を兼務していた元職員多胡邦夫が、1978年に公社設立以降、一貫して同一職場に配置され、1982年以降公金を着服するようになり、公社の契約書類を偽造するなどして1987年から1995年にかけて、群馬銀行から約48億円を騙し取ったほか、約3億4490万円の公金も横領しており、着服金の合計は約51億1250万円に上った。この事件について、被告は「安中市土地開発公社不祥事件」と呼ぶが、住民は「タゴ51億円事件」あるいは「タゴ事件」ないし「51億円事件」と呼ぶことが多い。ここでは「公社事件」という。
 (2)元職員が1995年4月に異動となり、同年5月18日の監査で、元職員の不正が発覚した。そして元職員は同年5月31日付で懲戒免職となり、同年6月7日に詐欺罪と有印公文書偽造同行使罪で逮捕された。
 (3)元職員は公印を無断で持ち出して開設しておいた「安中市土地開発公社特別会計」名義の裏口座に、逮捕時には約2億円しか残っておらず、元職員の預金残高や骨董品の売却で6億1267万8575円返したが、公社が既に群馬銀行に返済した約7億円を除いても、約35億円の損害が残った。
 (4)元職員は騙し取った金のうち、骨とう品購入に約4億6810万円(供述では約10億円)使ったほか、自宅や店舗の不動産やゴルフ会員権、海外リゾート会員権、外車、貴金属、背広・小物等の購入に約5億円、ギャンブルに約1億円、妻や愛人に約1.5億円など費やしていたが、警察の捜査の結果、確認できず仕舞いの使途不明金は14億3445万円に上る。
 (5)1995年10月13日には公社理事長を兼任する安中市長の小川勝寿が引責辞職をしたが、小川市長は元職員とはゴルフ仲間として知られていた。元職員は32億3000万円を騙し取ったとして詐欺罪で訴追され、1995年8月21日の初公判を皮切りに、計7回の公判が開かれ、検察は元職員に対して有印公文書偽造・同行使、有印公文書変造・同行使、詐欺罪の併合罪としては最高刑に当たる懲役15年を求刑し、1996年4月8日に前橋地裁は元職員に懲役14年の実刑判決を言い渡した。元職員は千葉刑務所に服役していたが、既に刑期を終え出所し、現在は高崎市T町で親族と同居している。
 (6)群銀は1995年10月19日に公社、および公社の債務保証をしている被告安中市を相手に、貸金の返済と保証債務の履行を求める民事訴訟を前橋地裁に起こした。群銀は被告と公社の使用者責任を主張して元金39億9886万1000円とこれに対する約定利息の支払いを求め、被告と公社は元職員が不正に借り入れたもので公社に支払い義務はないとして全面的に争っていた。その後、上記(3)による返済があり、最終的には元金が33億8618万2425円に縮減された、
 (7)1995年12月22日から被告と群銀との間で計21回の弁論が行われ(途中から非公開)、1998年12月9日に和解が成立。この中で群銀が9億3618万2425円および発生した利息損害金全額相当額の支払を免除し、最終的に群銀に対して主債務者を公社、連帯保証人を被告として、24億5000万円の債務が確定した。
 (8)公社は正当に借りていた金額を除く22億2309万2000円を詐欺事件による損害と算定し、公社はこの損害を元職員による不法行為によるものとして既に千葉刑務所に服役中の元職員を相手取って損害賠償を請求した。元職員は裁判で争わなかったため、公社の主張が全面的に認められて、1999年5月31日、前橋地裁は損害金全額を支払うように命じた。ところが、これまでに、元職員から公社に対して、現在に至るまでに約1500万円程度返済したのみで、今年1月から元職員は毎月1万円ずつ公社に返済しているものの、2020年8月26日現在の公社債権元金残額は、22億円777万1500円であり、この全額完済までには遅延損害金を除いてもあと1万8526年の歳月を要する。
 (9)公社と連帯保証人の被告は、群銀との和解条項に基づき、1998年12月25日に4億円、1999年12月25日から毎年12月25日に2000万円ずつ、公社が群銀に支払いを行った。そして和解条項第4項第3号に基づき和解10年後に当たる2008年12月25日までに、2009年から10年間の支払方法を協議し、2008年12月26日に公社と被告が群銀に「証」(合意書に沿った様式)を提出し、引き続き公社が10年間にわたり、毎年12月25日に群銀に2000万円を支払うことになった。
 (10)その後、和解20年後となる2018年12月25日までに、2018年から10年間の支払方法を協議することになり、2019年3月までに、公社と被告が群銀に「証」を提出し、引き続き公社が10年間にわたり、毎年12月25日に群銀に2000万円を支払うことになり、今年12月25日に、22回目の和解金支払い日が迫っており、この支払を終えても、このままの状況では、あと81年間支払い続けることになる。
 (11)被告は、このような現状にありながら、広報あんなか2019年6月1日号のページ9において「現在、公社の事業および経営は順調に推移しており、返済を続けていくための資金が十分ありますので、安中市が債務保証による弁済をする必要はありません。今後も市民の皆様にご迷惑をかけないよう努めて参ります」などと、依然として連帯保証人として公社の債務を保証し続けることを市民に表明している。他方で、前項(7)のように、元職員多胡邦夫に対する債権回収には極めて消極的であり、原告は被告安中市の住民および納税者として、公社の債務および債権に関する情報開示を受ける権利と義務がある。

 3 請求の理由
 (1)別紙に示す公社理事会会議録情報は,群銀との和解20年後の対応について協議された際に記録されたもので,この中には、被告が連帯保証人となっている公社が、群銀への債務履行について縷々協議をしているほか、当然ながら元職員多胡邦夫に対する債権回収についても協議されていることがうかがえる。よって、被告は、公社理事会の会議録情報をすべて保有していなければならない。であれば、当然に条例の対象となることは容易に理解し得る。
 (2)特に昨今、地方分権の進展に伴い地方公共団体の行政の自己決定権・自己責任が拡大されることに対応し、総力を挙げて行財政改革に取り組むだけでなく、行政手続の公正を確保するとともに透明性の向上を図り、適切に説明責任を果たしていくことが求められている。
 (3)とりわけ、近年一部の地方公共団体における不適切な支出が住民の厳しい批判を受ける中で、適正な財政運営に資するためにも、財政状況に関して的確にその実情を伝え、住民の理解と協力を得ることの重要性が高まっている。また、地方債の引受けや購入により資金を提供している住民や引受機関に対しても、財政状況の開示に係る透明性を確保することが求められている。
 (4)このような観点から、しかも、公社事件は、地方自治体では空前絶後、前代未聞の巨額詐欺横領事件であり、和解条項による群銀への返済はこのままでいくと2013年まで続き、他方、元職員からの債権回収は、遅延損害金を除外してもなお、あと1万8526年まで要するのであるから、公社は連帯保証人である被告に対して、債権・債務状況の透明化に努める義務を有する。
 (5)よって、原告を含む市民に対しても、群銀との和解20年後の対応について、どのような内容で債務・債権について協議したのか、きちんと説明責任を果たすことが求められる。
 (6)これまで、被告は公社の財政状況について、毎年予算・決算、活動実績・計画、財務諸表は開示しているが、公社事件については、簿外債務扱いとして、10年ごとの群銀への和解金支払い合意に関する「証」の差し入れの際に、広報あんなかで、1頁の半分にも満たない記事で、事後報告するのみである。これでは、公社の連帯保証人である被告の責任と義務は到底果たされているとは言えない。
 (7)被告は、公社及び被告自身が黒塗りした箇所について、条例第7条に規定する不開示情報のうち、同条第2号に規定する個人に関する情報であって、特定の個人を識別することができるもの(個人の氏名、地位及び印影)及び同条第3号に規定する法人その他の団体に関する情報であって、公にすることにより、当該法人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの(法人の印影及び口座番号)が記載されていたため、とした。だが、黒塗りの箇所は、そうした限定的な不開示情報とは到底思えないほど、広い範囲に及んでおり、これらが個人の氏名、地位及び印影や、法人の印影および口座番号だけとは極めて考えにくい。
 (8)公社が黒塗りした範囲は、明らかに被告が主張する理由ではカバーできないほど広範囲にわたっており、あきらかに被告は、条例の趣旨をはき違え、公社の親組織としての管理監督責任を怠り、公社の債権・債務について被告はあまりにも無関心すぎる。
 (9)公社事件は、公有地の拡大の推進に関する法律(通称「公拡法」)により被告が公社を設立手続きの段階から担当させてきた元職員を「真面目だ。有能だ」などと勝手に評価し、その業務の実態の管理監督責任を長年にわたり怠ってきたことから、前代未聞、空前絶後の巨額不祥事件を招いたものである。その当時の体質が現在でも続いていることは、第2の公社事件の温床となりうるため、被告の公社経営状況を把握し市民に公表しようとしない姿勢は、極めて許し難い。
 (10)にもかかわらず、被告は「別法人の公社のみが保有する情報を、条例に基づく開示請求により公社に提出させることには強制力がない」とか、「公社を条例上の実施機関として被告安中市と同列に扱うべきだとする考え方は、原告個人の独自の考え方である、採用できない」とか、「公社が黒塗りした箇所は、公社自身が経営に支障を及ぼすおそれがある情報だと判断したのだから、説明不足の感は否めないものの、別法人である公社の意向を尊重すべきだ」などとする被告の本件処分は失当というほかない。
 (11)原告が審査請求の過程で主張した「公社の連帯保証人である被告安中市の市長が指名することで就任した被告安中市の副市長が連帯保証先の公社の理事長に就任し、その人物との間で、事業に関連した取引(債務保証)を行っていることは利益相反行為に当たる」ことも、被告の本件処分、すなわち条例の不適切な運用の背景となっていることも指摘しておく。
 (12)おなじく原告が審査請求の過程で口頭意見陳述として被告に行った「元職員からの債権回収にかかる議事の箇所について」の質問に対して、「別紙1-1及び1-2として、僅か7行のみである」との被告の主張を受けて、「被告は公社が保有する原本を確認したうえで、開示非開示の判断をしたのか、それとも既に黒塗りされた文書を渡されてそれをもとに開示非開示の判断をしたのか、どちらなのか」を質問したところ、被告は「原本を基に公社から説明を受けたが、その際、公社側が部分的に隠しながら説明した。その際、見えている部分もあったので、そこの部分は開示するべきではないか、と公社側に問い質したが、結局公社側から最終的に提出されてきたのは黒塗りされた情報であった。したがって被告が公社から見せられたのは原本だが、まるまる全部そのまま見せられたという訳ではない」と言う回答を行った。そこで、原告は、元職員に対する債権回収にかかる起債は、上記の7行以外にも黒塗りされた箇所に含まれていると認識できると主張したが、「被告は公社の裁量権によるもので、条例に抵触しない」と一蹴したことは、公社事件の温床である「公社の伏魔殿化」を被告が自ら積極的に容認していることを示しており、被告が公社事件の真相に目をつぶり、責任の所在の明確化をしないまま、事件発覚から25年6ヶ月が経過した今、時間の経過による公社事件の風化に伴い、再発防止のタガがすっかり緩んでいることに、原告は市民納税者として戦慄を禁じ得ない。

第3 むすび
   以上のとおり、本決定のうち別紙に示す情報について不開示とした処分が違法であることは明らかであるから、すべて取消を求める。
以上

別紙 請求の趣旨
不開示処分取消請求箇所

 本件処分に係る原告請求の「(1)2018年7月以前を含め、これまでに安中市土地開発公社(以下「公社」)と群馬銀行(以下「群銀」)との間で重ねてきた経緯が分かる一切の情報(群銀との協議録のみならず,公社における理事会・評議会など内部の会議録を含む。)」における次の文書

・文書名:平成30年度第3回公社理事会会議録
・文書名:平成30年度第4回公社理事会会議録
・文書名:平成30年度第5回公社理事会会議録
・文書名:平成30年度第6回公社理事会会議録
・文書名:平成30年度第7回公社理事会会議録
・文書名:令和元年度第1回公社理事会会議録

以上の各文書の黒塗り箇所のうち、公社の債権・債務に関わる一切の記述。

以上


証拠方法

1 甲1号証 平成31年6月10日付行政文書開示請求書
2 甲2号証 令和元年8月6日付安企発第826号行政文書部分開示決定通知書
3 甲3号証 令和元年11月7日付審査請求書
4 甲4号証 令和2年5月15日付安行発第259号裁決書送り状及び裁決書
5 甲5号証 平成30年度第3回公社理事会会議録
6 甲6号証 平成30年度第4回公社理事会会議録
7 甲7号証 平成30年度第5回公社理事会会議録
8 甲8号証 平成30年度第6回公社理事会会議録
9 甲9号証 平成30年度第7回公社理事会会議録
10 甲10号証 令和元年度第1回公社理事会会議録

附属書類

 1 訴状副本     1通
 2 証拠説明書    1通
 3 甲号証写し   各1通

*****証拠説明書*****
ZIP ⇒ 20201116.zip

*****甲号証写し*****
甲1号証 平成31年6月10日付行政文書開示請求書
 ZIP ⇒ bp20190610ssjiqa20nj.zip
甲2号証 令和元年8月6日付安企発第826号行政文書部分開示決定通知書
 ZIP ⇒ bq20190820sxjm.zip
甲3号証 令和元年11月7日付審査請求書
 ZIP ⇒ br20191107riqa20nj.zip
甲4号証 令和2年5月15日付安行発第259号裁決書送り状及び裁決書
甲5号証 平成30年度第3回公社理事会会議録
甲6号証 平成30年度第4回公社理事会会議録

 ZIP ⇒ bsurh30resc.zip
甲7号証 平成30年度第5回公社理事会会議録
甲8号証 平成30年度第6回公社理事会会議録

 ZIP ⇒ bvewh30teuc.zip
甲9号証 平成30年度第7回公社理事会会議録
 ZIP ⇒ bx2019081415_30nx7c20190325.zip
甲10号証 令和元年度第1回公社理事会会議録
 ZIP ⇒ b102019081416_anx1c20190520.zip
**********

■その後、前橋地裁民事第1部から連絡があり「先日提出された訴状により事件番号が確定しました。ところで裁判資料のうち、甲2号証について正本と副本と比較したところ、副本で1枚不足しているので、副本差し替え用に甲2号証を正本と同じように出し直してほしい」との指示がありました。さっそく次の送り状を付けて提出し直しました。


2020年11月25日付地裁宛事務連絡。

 地裁では、「差し替え用の書類が届き次第、副本を安中市に送付する」と言っていたので、1月27日に安中市行政課を訪れて、大河原課長に「地裁から何か書類は届いていますか」と尋ねたところ「まだ何も」ということでしたので、上記訴状の写しを届けました。

■市が連帯保証人になっている公社の簿外債務約22億円余りの債務者である元職員タゴは1970年(昭和45年)6月(4月ではない)に安中市役所に人庁し、税務課、農政課を経て1979年(昭和54年)10月に建設部都市計画課に異動。安中市土地開発公社設立のための準備業務に携わり、翌1980年4月に安中市土地開発公社が設立されると、以来15年間、公社担当として同課に勤務し続け、公社の業務に携わっていました。

 タゴについては事件発覚当時、市役所内でも、勤務年数の長さをはじめ、高級な背広や職員らしからぬ私生活などを指摘する声が出て、「市役所の七不思議」と言われていました。しかし、誰もそのことを公然と指摘する者はおらず、むしろ公社の金庫番となったタゴを安中市幹部らは「有能」扱いし、留任させ続けていました。事件が発覚した前月の1995年4月の人事異動で市教委社会教育課係長に昇任させていたほどです。

 当時、タゴを知る人のあいだでは、都市計画課に16年間も同一配置させた結果「ベテラン」だと見なし「事務にたけていた」「センスがあった」と、仕事ぶりを高く評価する声が聞かれました。しかし、一方で数台の外車を乗り回すなど羽振りの良さも目立っていました。家族名義で市内に店を出すなど、サイドビジネスもしていたうえに、群銀から毎年盆暮れに、豪華なお歳暮が届き、地元町内会の新沿海には100万円もの最高級の大島紬の和装姿で顔を出していました。

 こうしたエピソードは、ズサンな公印管理や、変だと思っても声が挙げられない安中市役所の酷い内情を物語っていましたが、事件から25年が経過する今日、依然として市役所の内部の実態は当時に完全に戻っているかのような体たらくぶりです。

■安中市は連帯保証人として、公社が群馬銀行に対する103年ローンの債務保証をしているのに、公社がタゴから、事件発覚後25年を迎える今年になってようやく口約束で毎月1万円の返済の取付けをしましたが、このままだとタゴの返済完了まであと1万8526年を要することになります。

 しかも判決では遅延損害金に対して年5分の支払をタゴに義務付けていますから、公社はそれもきちんと認識してタゴに返済義務を課し、厳しく返済を求めなければなりません。それなのに、市・公社ともに遅延損害金が現在いくらになるのか、計算もしたことがないというのです。

 そこで、急遽、独自に試算をしてみました。その結果は次のとおりです。




遅延損害金試算表(2020年8月26日現在)
ZIP ⇒ i2020n826j.zip


 これによれば、遅延損害金は今年5月31日現在で、39億4864万9945円となります。タゴからは、それまでの21年間に1526万500円が返済されているので、公社にとって債権元金残高は22億783万1500円となり、遅延損害金と合わせたタゴに対する公社の債権総額は、61億5648万445円となります。

 タゴからこの債権を回収できれば、豪華な市役所の建て替えが十分可能です。安中市は、市役所建て替えのことより、まずは市民の負担を最小限にするため、タゴからの債権回収を最重要課題として取り組むべきではないでしょうか。

【11/30追記】
 11月27日付で前橋地裁から、今回の提訴に関して第1回口頭弁論期日の照会がありました。当会では令和3年1月27日(水)10時20分からの日時をお願いしました。
※2020年11月30日前橋地裁あて事務連絡回答書 ZIP ⇒ 20201130nai1_j2.zip

【市政をひらく安中市民の会情報部及び市民オンブズマン群馬事務局からの連絡】

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栃木市土地開発公社が債権放棄でついに解散へ…安中市土地開発公社の解散はあと82年後?

2020-11-23 23:52:00 | 土地開発公社51億円横領事件
■東京新聞は2020年4月1日から群馬県と栃木県の地方版ページが統合されました。そのため、栃木県のニュースも見られるようになりました。そうした中で、11月18日(水)の群馬栃木統合版に栃木市土地開発公社が解散手続きを進めているという記事が掲載されました。読んでみると、栃木市が公社に貸し付けた約1億7千万円の債権を放棄するとあり、どのような経緯を辿って、解散に漕ぎつけようとしているのか調べてみました。


2020年4月1日の東京新聞の初の群馬栃木統合版ページ

 まずは、掲載された記事を読んでみましょう。
**********東京新聞2020年11月18日
栃木市 土地開発公社解散へ
12月議会に市、関連議案 債権放棄の方針

 約三億六千万円の未回収債権を抱える栃木市土地開発公社が解散の手続きを進めていることが分かった。既に理事会は解散に合意しており、栃木市は解散関連議案を十二月市議会に提出する方針。市は公社に貸し付けた約一億寧々千万円の債権を放棄する。
 合併前に旧栃木市だった二〇〇九年、同公社が約二億円で同市薗部町の土地(約二ヘクタール)を取得したが翌年、土壌汚染が発覚。公社は一二年、当時の公社理事長(旧栃木氏副市長)と土地を売った会社を相手取り、損害賠償請求訴訟を提訴。一八年、元理事長らに約二億五千万円の賠償を命じた判決が最高裁で確定した。
 判決を受けて元理事長の財産差し押さえなどで約百八十万円を回収したが、会社は清算法人になっており、回収が困難となっている。
 市総合政策部の幹部は「法的強制力のある回収手続きはすべて行った。土地の先行取得業務もなくなり解散の判断をした」と話した。利息を加えた公社の債権約三億六千万円は市が引き継ぎ、回収業務を継続する。
(梅村武史)
**********

■公社が11年前の2009年に約2億円で購入した約2ヘクタールの土地が土壌汚染されていたということで、何やら安中市のスマイルパーク問題を彷彿とさせます。そのほかにもいろいろ曰く因縁がありそうなので、キーワード「栃木市土地開発公社 土壌汚染」で検索してみました。すると、次の記事が出てきました。

**********下野新聞2019年8月24日
損賠訴訟の土地、競売へ 開発公社、9月末入札 栃木
 2009年に栃木市土地開発公社が購入した同市薗部町4丁目のオリン晃電社(現オーケー工業)工場跡地の土地取引を巡り、公社に対する同社と契約時の公社理事長である石橋勝夫(いしばしかつお)旧栃木市副市長の計2億5440万円の損害賠償が確定した問題で、市は公社が9~10月に同所の強制競売を行うことを23日の市議会議員研究会で明らかにした。
 訴訟は公社が土地購入後に発覚した土壌汚染の責任などが争点。二審東京高裁は公社側の請求を退けた一審判決を変更し元副市長の責任を認め、最高裁が18年3月に元副市長側の上告を棄却したため支払いを命じた判決が確定していた。
**********

■さらに調べると、次の報道記事が見つかりました。

**********朝日新聞2010年11月11日
栃木市土地開発公社の用地先行取得問題
 市農林課の依頼を受けた市土地開発公社が昨年6月、同市薗部町4丁目の工場跡地約1・9ヘクタールを2億100万円で取得。国の補助事業を利用し、民間運営による野菜生産工場や直売所、レストランなどを整備しようとしたが、民間の事業主体から今年10月中旬、計画中止の申し入れがあり、工場跡地は売れないまま不良資産となる可能性が出ている。

**********朝日新聞2010年12月24日
栃木市土地開発公社の工場跡地取得問題
 昨年6月、市土地開発公社が同市薗部町4丁目の猟銃工場跡地約1・9ヘクタールを2億100万円で取得。国の補助事業を利用し、民間の運営による野菜生産工場や農産物直売所、レストランなどを整備する計画とされた。計画案は昨年5月に市農林課がまとめ、用地の取得を土地開発公社に委託。だが、今年10月に民間の事業主体が事業の辞退を表明。工場跡地は不良資産の恐れが出ている。
**********

■さらにネットで調べてみると、この猟銃工場跡地というのは、かつて、西部劇で有名なライフル銃やショットガンを製造していたウインチェスター社が、1960年代にライバル社との価格競争と、米国内の製造工場の人件費の高騰やストライキによる低迷状態を打開しようと、人件費が安く技術力の素地がある世界各国の銃器メーカーにライセンス生産を委託する事で生き残りを模索し始めました。

 そのため、極東地域では1961年に日本国内でニッコーブランドを展開していた晃電社(ニッコーアームズ)と、ウインチェスター社の子会社で弾薬・商標権管理を担当していたオリン・コーポレーションがそれぞれ50%ずつ出資し、ウインチェスターブランドの元折散弾銃をOEM製造するオリン晃電社を設立しました。

 しかし、1963年から1964年に掛けて殆どの製品ラインナップで大規模なモデルチェンジを断行したものの、構造面でも最終仕上げでも全体的に品質が軽視されたため、ユーザーの不評を買い、1980年代に入り、さらに人件費が経営を圧迫したため、1981年に米国内のウインチェスター直営工場は子会社のU.S.リピーティング・アームズへ売却されてしまいました。

 オリン・コーポレーションはこの間も一貫してウインチェスターブランドの商標権を保持し続けていましたが、日本での合弁会社のオリン晃電社は1979年の銃刀法規制強化に伴う日本国内における銃器販売数半減の影響で、親会社の晃電社が1981年に整理会社となり、その後は1985年に商号をオーケー工業に変更しました。

 オーケー工業の経営権はこの時、米国のオリン社の手から離れ、旧晃電社時代の経営陣に買い戻される形で存続した。そして引き続きクラシック・ダブルス及び国内向けに細々と出荷を続けていたが、結局、1991年(平成3年)に操業停止に追い込まれ、栃木工場は閉鎖された。2010年(平成22年)、旧オーケー工業は清算を完了しましたが、その広大な跡地利用を巡る問題が、その後も「旧オリン晃電社跡地購入問題」として尾を引き、当時の栃木市長だった日向野義幸による栃木市の市政に暗い影を落とす事になったのでした。

■この問題は2011年7月に栃木市内全戸に配布された『市議会だより』に掲載されました。


ZIP ⇒ 201107301sc6.zip
201107302sc6.zip
2011073034sc6.zip  

 そしてオリン晃電者工場跡地問題を巡り4つの裁判が提起されました。1番目は宇都宮地裁での住民訴訟で、第1回弁論は2011年5月26日からスタートし、2015年までに14回の弁論が開かれました。2番目は、原告の栃木市土地開発公社が、被告のオーケー工業と石橋副市長を相手取り損害賠償請求の民事訴訟が栃木市旭町裁判所で定期されました。3番目が、百条委員会での石橋元副市長の偽証罪を告発したもので、4番目が、石橋元副市長を背任罪で刑事告発したものです。

 このように当時、栃木市を揺るがした大きな事件であったことがうかがえます。このことも、安中市土地開発公社を舞台にしたタゴ事件と類似性を感じさせます。ただし、栃木市土地開発公社の事件の場合は約2億円余りですが、安中市土地開発公社の横領事件では約51億円もの途方もない巨額事件となっており、足元にも及びません。

 当時の市議会でのこの事件に関連する質問がYouTubeで視聴できます。

○オリン晃電社工場跡地_土地購入に関する質問2/2
平成22年7月早乙女利夫・栃木市議会議員

https://www.youtube.com/watch?v=F3TTk6NBWuc
2010/10/25

○オリン晃電社工場跡地_土地購入に関する質問_内海議員2/3
平成22年7月内海成和・栃木市議会議員

https://www.youtube.com/watch?v=7ehnM25ZDTQ
2010/10/25

○栃木市議会一般質問 白石幹男市議3

https://www.youtube.com/watch?v=R8vqpxBQ9Qo
2011/06/15
東北地方太平洋沖地震に対する対応について
福島第1原発事故に対する対応について
オリン晃電社工場跡地購入問題について(6:50~13:38)
国民健康保険税の調整について

■当時、栃木市長だった日向野 義幸(ひがの よしゆき)は、2003年から2010年まで旧栃木市長を務めましたが、2010年3月29日に(旧)栃木市が下都賀郡大平町、藤岡町、都賀町と新設合併し現在の栃木市が発足したことに伴い市長を失職しました。合併前の最後の市議会定例会では市の「太平山麓における活性化整備事業計画」に基づく市土地開発公社による工場跡地購入が問題となりました。

 2010年4月25日に新市発足に伴う市長選挙と市議会議員選挙が実施され、市長選挙は日向野と合併前の大平町長の鈴木俊美との一騎討ちとなったものの、日向野は鈴木に約1万4000票差をつけられ敗れました。なお、日向野はその後、栃木県議会議員に鞍替えし、連続3期当選し現在に至っています。

■さて、栃木市土地開発公社による工場跡地購入問題については、この日向野のWikipediaに割合詳しく記されています。

 それによれば、2009年(平成21年)6月に旧栃木市の土地開発公社がレストランや野菜直売所などを整備する目的で工場跡地約1.9ヘクタールを約2億円で購入しましたが、この事業に参加する予定であった業者は2010年10月に撤退を表明しました。購入の経緯や価格について旧市の市議会の平成22年3月定例会で問題となり、調査特別委員会(百条委員会)の設置を求める動議が提出されました。しかし、この時の動議は、賛成9人、反対10人で否決されました。

 その後、新市発足に伴う市長選・市議選を経て、市議会の平成22年6月定例会において再び百条委員会の設置を求める動議が提出され、今度は全会一致で可決されました。

 跡地購入当時の市長であった日向野は2011年(平成23年)3月31日に百条委員会に出席して証言しました。この工場跡地については土壌が汚染されている可能性があったものの、土地の鑑定評価をした不動産鑑定士は「土地開発公社から汚染のないことを前提に土地を鑑定評価するよう求められた」と百条委員会で証言していました。

 また、百条委員会が別の不動産鑑定士に土地の鑑定評価を依頼したところ、汚染のないことを前提としても9,300万円の評価額であることが判明しており、さらに2011年6月には工場跡地の一部から環境基準を超える鉛などや跡地の地下水から環境基準を超えるトリクロロエチレンが検出されたことを土地開発公社が公表しています。

 2011年3月2日には市民161人が日向野ら工場跡地購入の関係者に対して跡地購入費用の弁済や計画策定費用の返還を求める住民監査請求を行ないましたが、同年5月に市の監査委員が請求の一部を認め市に対して計画策定費用計98万7千円を関係職員に返還させることを勧告しました。

 この時、跡地購入費用の弁済の請求については認められなかったため、住民訴訟となり、2011年7月20日に宇都宮地方裁判所で第1回口頭弁論が行われました。原告側は跡地購入費用と適正価格との差額1億800万円を日向野ら当時の関係者に請求することを鈴木俊美市長に求めており被告側は争う意向を明らかにしていました。

 なお、2011年6月20日に百条委員会が決定した報告書では、工場跡地購入当時の副市長(土地開発公社理事長)の背任罪での刑事責任追及、日向野ら当時の関係者に対しての損害賠償請求などを鈴木市長に求めていました。また、2012年(平成24年)1月31日には土地開発公社が元副市長と土地の売主業者に損害賠償を求めて宇都宮地方裁判所に提訴しました。

 2015年(平成27年)1月27日、住民訴訟の原告団が記者会見し、工場跡地の徴税事務を担当した職員2人が100万円ずつ市に寄付することで被告側と和解し、同月9日付で訴訟を取り下げたことを発表しました。市税の滞納で差し押さえられていた工場跡地を職員が担保を取らずに差し押さえを解除したためにその売買代金を確保できなかったとされています。

 訴訟の取り下げは職員側からの申し出で、裁判で明らかにされた問題に真摯に市が対応することを条件に原告側は申し出を受諾しました。市も訴訟の取り下げに同意し、鈴木市長は徴税事務に不適切な処理があったことに対する遺憾の意と再発防止を表明しました。

 2015年9月17日、土地開発公社が元副市長と土地の売主業者に損害賠償を求めた訴訟で、宇都宮地方裁判所は土地開発公社の請求を棄却しました。すると同月29日、土地開発公社は判決を不服として東京高等裁判所に控訴しました。

 2017年(平成29年)3月29日、東京高等裁判所は地裁判決を変更し土地開発公社の請求を認める判決を言い渡しました。同年4月12日、元副市長と土地の売主業者は判決を不服として最高裁判所に上告しましたが、2018年(平成30年)3月16日、最高裁判所は元副市長と土地の売主業者の上告を棄却しました。

 こうして、元副市長(元公社理事長)らに約2億5千万円の賠償を命じた犯稀有が最高裁で確定したことを受けて、冒頭の東京新聞の記事のとおり、栃木市土地開発公社は元副市長(元公社理事長)の財産差し押さえで約180万円を回収しましたが、会社は清算法人になっていて、債権回収が困難になってしまっています。

■こうしてみると、土地開発公社を巡り利権目当ての様々な動きが水面下で蠢くことが、各地の自治体で頻繁に起きていることがよくわかります。それでも、栃木市土地開発公社の不祥事件の場合は、元理事長やその関係企業の責任を栃木市と同土地開発公社が曲がりなりにも法廷で追及しています。

 ところが、安中市の場合は、市や公社の事件関係者は、この前代未聞、空前絶後の巨額横領事件であるにもかかわず、単独犯とされた元職員のタゴの他には誰も何も責任を取らずに現在に至っています。その元職員タゴでさえも、毎月1万円ずつ返済ということで、昨年12月に公社の専務理事がタゴと口頭で交わした口約束に基づき、タゴが毎月下旬に公社の取引金融機関である群馬県信用組合の指定口座に振り込ませているだけで、それ以上の取り立ては安中市からも公社からも求められていません。

 このような異常な事態があと82年間も続くと思うと、いたたまれません。安中市民・納税者として黙ってこの状態を見過ごしていてよいはずがありません。

【ひらく会情報部】

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令和に引き継がれた平成の負の遺産…群銀への103年ローンで安中市・公社が21回目の和解金支払い

2020-02-05 23:15:00 | 土地開発公社51億円横領事件
■安中市土地開発公社を舞台にした巨額詐欺横領事件が1995年5月に発覚してから24年9ヶ月が経ちました。間違いなく我が国の公務員による不正行為では空前絶後、前代未聞の最大級の不祥事件です。そして、平成が終わってもなお、安中市は令和最初のクリスマス12月25日に21回目のタゴ51億円事件の和解金を群馬銀行に支払いました。そのため、この事実を確認すべく、昨年12月26日に松井田庁舎の基幹集落センター1階研修室で開かれたタゴ51億円事件の尻拭いに係る群銀との和解20年目の対応に関する市民向け報告会の最後に、直接茂木英子安中市長に行政文書開示請求書を手渡していたところ、1月9日付開示資料の交付がありました。


 なお、昨年末のタゴ事件の尻拭い和解金支払いに関する市民向け報告会の様子は次のブログをご覧ください。
○2019年12月26日:安中公社51億円事件…タゴのタゴによるタゴの為の和解20年後の市民向け報告会一部始終(その1)
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3097.html
○2019年12月29日:安中公社51億円事件…タゴのタゴによるタゴの為の和解20年後の市民向け報告会一部始終(その2)
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3100.html

■当会が今回、安中市に開示請求をした情報は次のとおりです。

(1) 安中市土地開発公社を巡る巨額詐欺横領事件により、安中市が同公社の保証人として、令和元年12月25日に群馬銀行に対して支払った民事訴訟の和解条項に基づく2000万円の支出にかかわる一切の情報。
(2) 市が保証人として、同公社が元職員に対して平成11年に損害賠償請求を起こし、同年5月に勝訴した判決に基づき、元職員及びその親族からこれまでに財産差押や寄贈等を通じて損害金を回収してきた経緯のうち、平成30年12月27日以降、現在に至るまでに為された損害金回収に関わる一切の情報。
(3) 今回の和解後20年目の対応に関連して、相談を依頼した弁護士に実際に支払った弁護料及びその内訳がわかる情報。


■1月31日(金)午前8時30分から開示された情報は次のとおりです。

※安中市行政文書開示決定通知書 ZIP ⇒ 20200109ssjmis103nj.zip

*****12/27 起案用紙*****ZIP ⇒ 20200109ssjis103nj.zip
年度      平成31年度
文書種類    発
文書番号    安企第1811号
保存年限    永年
受付年月日   令和 年 月 日
保存期限
起案年月日   令和元年12月27日
廃棄年度
決裁年月日   令和元年12月27日
施行年月日   令和 年 月 日
分類番号    大0 中3 小3 簿冊番号8 分冊番号1
完・未完別
簿冊名称    情報公開に関する書類(永)
完結年月日   令和 年 月 日
分冊名称    情報公開に関する綴
公  開    ○開示 不開示 部分開示 存否応答拒否
起案者     総務部企画課企画調整係 職名 主任 氏名 萩原康隆 内線(1022)
決裁区分    部長
決裁      部長・阿部 課長・田中 係長・大野 係・萩原  公印・大野
関係部課合意
課内供覧    金井・金井・??
宛先      安中市土地開発公社 理事長 粟野好映
差出人     安中市長 茂木英子
件名  安中市土地開発公社への情報公開要請について(伺い)
 このことについて、令和元年12月26日付けで別紙のとおり安中市都市開発公社の保有する情報について、公開の申出がありました。安中市情報公開条2例4条第第2項では、市長(実施機関)は、市が法人設立にあたり2分の1以上を出資している法人に対して、情報の提出を求めることができると規定されています。
 つきましては、別紙のとおり当該申出のあった安中市土地開発公社が保有する情報について、提出を求めてよろしいか伺います。

=====12/27市⇒公社宛情報提出依頼書=====
                        安企発第1811号
                       令和元年12月27日
安中市土地開発公社
理事長 粟野 好映 様
                        安中市長 茂木 英子
                         (総務部企画課)

        情報公開申出に係る情報の提出について

 このことについて、令和元年12月26日付けの別紙申出について、安中市情報公開条例第24条第2項により当該情報の提出を求めます。

※ 関係書類の提出につきましては、1月7日(火)までにお願いします。

*****1/7 回議用紙*****
年度      平成31年度
文書種類    発
文書番号    安企第1872号
保存年限    永年
受付年月日   令和 年 月 日
保存期限
起案年月日   令和2年1月7日
廃棄年度
決裁年月日   令和2年1月7日
施行年月日   令和 年 月 日
分類番号    大0 中3 小3 簿冊番号8 分冊番号1
完・未完別
簿冊名称    情報公開に関する書類(永)
完結年月日   令和 年 月 日
分冊名称    情報公開に関する綴
公  開    ○開示 不開示 部分開示 存否応答拒否
起案者     総務部企画課企画調整係 職名 主任 氏名 萩原康隆 内線(1022)
決裁区分    部長
決裁      部長・阿部 課長・田中 係長・大野 係・萩原  公印・―
関係部課合意
課内供覧
宛先      安中市長 茂木英子
差出人     安中市土地開発公社 理事長 粟野好映
件名      安中市土地開発公社への情報公開要請に対する回答について(報告)
 令和元年12月27日決裁「安企第1811号」に基づき、安中市土地開発公社宛に情報公開申出に伴う情報提供要請を行ったところ、下記のとおり回答がありましたので報告します。
             記
1 提出書類
・総合振込依頼書(兼受取書)
・安中市土地開発公社令和元年度一般会計支出(決裁)伝票(No. 48)
・領収書及び債務承認書の送付について
・安中市土地開発公社平成30年度一般会計支出(決裁)伝票 (No.31)
・請求書(相談日:平成30年8月2日)
・請求書(相談日:平成30年8月31日)
・安中市土地開発公社平成30年度一般会計支出(決裁)伝票 (No. 40)
・請求書(相談日:平成30年11月22日)

=====1/7公社⇒市宛情報提供回答=====
                        安土開発第17号
                        令和2年1月7日
安中市長 茂 木 英 子 様
(総 務 部 企 画 課)
                   安中市土地開発公社
                   理事長 粟 野 好 映

     情報公開申出に係る情報の提出について(回答)

 このことについて、令和元年12月27日付「情報公開申出に係る情報の提供について」の件につきまして、下記のとおり回答いたします。
             記
 別添のとおり提出いたします。

=====12/20公社⇒タゴへの領収書・債務承認書=====
                   安士開発第 15 号
                   令和元年12月20日
債務者
■■■■■■■■■■■■■■
  ■ ■ ■ ■ 様
              債権者 安中市安中一丁目23番13号
                    安中市役所内
                  安中市土地開発公社
                    理事長  粟 野 好 映

      領収書及び債務承認書の送付について

 標記の件について、前橋地方裁判所平成11年(ワ)第165号損害賠債請求事件に係る平成11年5月31日付判決により確定した損害賠償債務額の一部として、貴殿より金50,000 円受領しましたので、別紙領収書をご査収ください。
 また上記により債権元金残額が金2, 207,881,500円となりましたので、「債務承認書」に住所氏名を記名し、押印のうえ安中市土地開発公社宛ご提出ください。

●債権金額の現在までの経緯
平成11年 5月31日 損害賠償請求訴訟判決      2,223,092,000円
平成11年11月26日 債権差押命令申立(市税還付金)  △■■■■■円
平成18年12月 6日 不動産強制競売配当        △3,808,300円
平成29年 1月16日 一部納付               △30,000円
平成29年 5月16日 絵画一点売却            △100,000円
平成29年12月25日 一部納付               △50,000円
平成30年 3月 5日 一部納付               △50,000円
平成30年12月17日 一部納付               △50,000円
令和 元年12月13日 一部納付               △50,000円
                   連絡先 安中市土地開発公社
                     (安中市役所都市整備課内)
                   担当:大野、水口
                   Tel 027-382-1111(内線1211)

=====12/13タゴへの領収書=====
            領 収 書
                        令和元年12月13日
■■■■ 様

          金50,000円

(但し;前橋地方裁判所平成11年(ワ)第165号損害賠償請求事件に係る平成11年5月31日付判決により確定した損害賠償債務額の一部として)

                  安中市安中一丁目23番13号
                   安中市役所内
                   安中市土地開発公社
                    理事長 粟野好映

=====12/21タゴからの債務承認書=====
           債務承認書
                    令和元年12月21日
債権者 安中市安中1-23-13 安中市役所内
     安中市土地開発公社
      理事長 粟野 好映   様

            債務者 住 所 ■■■■■■■■■■■■■
                氏 名  ■ ■ ■ ■ 印

 私は、貴公社に対し下記債務を負担していることを承認いたします。
            記
 前橋地方裁判所平成11年(ワ)第165号損害賠償請求事件に係る平成11年5月31日付判決により確定した損害賠償債務

(1)残元金2,207,881,500円
(2)平成10年12月9日から完済まで年5分の割合による遅延損害賠償金

             収受第 号1-12.24安中市土地開発公社

=====9/3弁護士からの請求書=====
                     平成30年9月3日
安中市士地開発公社 御中
〒379-0116 群馬県安中市1-23-13
理事長 粟野好映 様

              〒379- 0112 群馬県安中市岩井2470-3戸田ビルl F西
                   安 中 法 律 事 務 所
                  TEL. 027-386-6667 FAX. 027-393-6667
                   弁護士 小 坂 景 子

法律相談費用につきまして,下記のとおり御請求申し上げます。
御請求金額  ¥10,800
内訳    ①¥10,000 相談料   相談日 平成30年8月2日
      ②   ¥800 消費税(①×8%)

※お支払いの際は,下記のとおり源泉所得税を控除してください。
控除額   ③ ¥1,021 源泉所得税(①×10.21%)
源泉所得税差引額¥9,779 (上記御請求額-③)

お振込の際は,下記口座へお願いいたします。
送金口座  金融機関  ゆうちょ銀行 〇四八 支店
      口座種類  普通預金
      口座番号  ■■■■■■
      名  義  小坂 景子(オサカ ケイコ)
       *郵便局からお振込の場合・・・《記号10480 番号■■■■》
              収受第 号30.9.4安中市土地開発公社

=====9/3弁護士からの請求書=====
                     平成30年9月3日
安中市士地開発公社 御中
〒379-0116 群馬県安中市1-23-13
理事長 粟野好映 様

              〒379- 0112 群馬県安中市岩井2470-3戸田ビルl F西
                   安 中 法 律 事 務 所
                  TEL. 027-386-6667 FAX. 027-393-6667
                   弁護士 小 坂 景 子

法律相談費用につきまして,下記のとおり御請求申し上げます。
御請求金額   ¥5,400
内訳    ① ¥5,000 相談料   相談日 平成30年8月31日
      ②   ¥400 消費税(①×8%)

※お支払いの際は,下記のとおり源泉所得税を控除してください。
控除額   ③   ¥510 源泉所得税(①×10.21%)
源泉所得税差引額¥4,890 (上記御請求額-③)

お振込の際は,下記口座へお願いいたします。
送金口座  金融機関  ゆうちょ銀行 〇四八 支店
      口座種類  普通預金
      口座番号  ■■■■■■
      名  義  小坂 景子(オサカ ケイコ)
       *郵便局からお振込の場合・・・《記号10480 番号■■■■》
              収受第 号30.9.4安中市土地開発公社

=====11/22弁護士からの請求書=====
                     平成30年11月22 日
安中市士地開発公社 御中
〒379-0116 群馬県安中市1-23-13
理事長 粟野好映 様

              〒379- 0112 群馬県安中市岩井2470-3戸田ビルl F西
                   安 中 法 律 事 務 所
                  TEL. 027-386-6667 FAX. 027-393-6667
                   弁護士 小 坂 景 子

法律相談費用につきまして,下記のとおり御請求申し上げます。
御請求金額   ¥5,400
内訳    ① ¥5,000 相談料   相談日 平成30年11月22日
      ②   ¥400 消費税(①×8%)

※お支払いの際は,下記のとおり源泉所得税を控除してください。
控除額   ③   ¥510 源泉所得税(①×10.21%)
源泉所得税差引額¥4,890 (上記御請求額-③)

お振込の際は,下記口座へお願いいたします。
送金口座  金融機関  ゆうちょ銀行 〇四八 支店
      口座種類  普通預金
      口座番号  ■■■■■■
      名  義  小坂 景子(オサカ ケイコ)
       *郵便局からお振込の場合・・・《記号10480 番号■■■■》
              収受第 号30.11.26安中市土地開発公社
**********

■上記には公社が群馬銀行に支払った肝心の2000万円の伝票が含まれていませんが、情報開示後、どこかに紛れ込んでしまった可能性があります。

 それはさておき、公社の理事長(副市長)らがタゴの自宅を昨年12月13日、週末の金曜日に訪問し、タゴから5万円を受領したことがわかります。おそらく、タゴの自宅の居間で、次のような会話がかわされたかもしれません。あくまで推測ですが……。

**********
 公社「タゴさん、お久しぶり。もうすぐ今年もクリスマスが来るけど、今年はまだ一度も払ってもらえてねえだんべえ」
 タゴ「そうかなあ、おめえらが取りにきねえから、もう払わなくていいんかい。そうでなくっても払いたかあねえやね」
 公社「タゴさんはもう忘れてるかもしんねえけど、今年はタゴさんが豪遊したツケの103年ローンの群馬銀行の10年ごとの更新の2回目にあたるんだよ。だから、再来週のクリスマスに市民相手に報告会を開かなくちゃなんねえんだよ」
 タゴ「ほうかい。それでなにかい。オレに少し払えっていうんかい」
 公社「察しがいいねえ。何しろ、一部の市民の連中がまだ巨額不祥事件の事をあれこれつつくんで、いろいろうるせえんだ。だから少しでも払ってもらわないとね」
 タゴ「それじゃあ、(万札)5枚でいいかね」
 公社「はあ、もうそれで充分だいね。じゃあ、報告会のほうはうまくやっておくからね。ああ、そうそう。タゴさんと同じ年のオンブズマンの小川というやつが、以前としてうるさくタゴさんの居る場所を教えろ、とうるさいけど、秘密は守るから枕を高くして寝ていて大丈夫だいね」
 タゴ「25年も経つのに、まだしつこいやつが安中市民のなかにいるんかい。宜しく頼まいね」
 公社「了解。なにしろタゴさんには、我々の諸先輩の分まで背負ってムショに持って行ってくれたもんね。タゴさんと席を同じくしていた諸先輩もほとんど全員円満退職して、がっつり退職金も支給されたんで老後は大丈夫だいね。タゴさんのおかげで、安中市も103年ローンにしてもらい、潰れずに済んで、我々もこの通り税金をじゃぶじゃぶ使える身分でいられる。タゴさんには足を向けて寝られないやね」
 タゴ「そんなに褒めてもらっても、使途不明金はわけてやれないよ。あれは、俺の老後資金だからな」
 公社「だって、まだ14億円以上も使途不明金があるんだんべ。そんな大金どうやって使うんだい?」
 タゴ「弟がはじめた運送会社を偽装倒産させて、今はダミー会社に引き継がせているけど、まだまだ稼ぎが少ない。息子の中古外車ビジネスも資金がまだまだ必要だし、103年ローンの返済に充てる余裕は全然ないやね」
 公社「わかりました。事件の真相は墓場まで持って行ってね。オンブズマンがうるさいからね」
 タゴ「わかってらい」
 公社「それではタゴさん。よいお年を。来年は3月の年度末に来るけど、無理しなくていいよ。せいぜい5万円でいいから、払えたら払ってね」
**********

■こうして、群銀への21回目の2000万円の振込が実行されてしまいました。裁判所も、市民には損害がないから訴えの利益がない、としているので、安中市がタゴ103年ローンで公社の連絡保証人になる必要はまったくありません。引き続き当会はこの問題に取り組んでいきます。

 それにしても、今回もタゴへの債権で「平成11年11月26日 債権差押命令申立(市税還付金)  △■■■■■■円)としてあります。なぜこれが黒塗りなのでしょう。逆算すると△11,076,200円となります。

 タゴが、今年のように来年も1年に5万円しか支払わないとなると、理論上は、延滞利息なしでも、4万4462年かかることになります。

 タゴから5万円もらって満足している公社と安中市の常識が疑われます。

【ひらく会編集部】

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【タゴ51億横領103年ローン】群銀との和解20年後の対応に係る情報黒塗りの安中市に審査請求中!

2020-01-12 23:16:00 | 土地開発公社51億円横領事件


■当会は、安中市土地開発公社を舞台にした巨額公金横領事件の群銀への和解金支払い103年ローン問題で、少なくとも安中市とは別法人の公社のために、安中市が連帯責任を負う必要はないはずと考えています。ところが、安中市が群銀の圧力に屈して、前回の和解10年後の対応と同じ形で和解20年後についても、今年の3月末に群銀に「証」を差し出したことが、安中市の広報あんなか6月1日号ではじめて市民に知らさたため、仰天しました。
 この間の経緯を調べるため、当会は6月10日に情報公開請求をしたところ、8月14日にようやく500ページ余りの黒塗りだらけの情報が開示されました。これでは住民として納得できないため、疑問や不明な事項を列挙して質問状の形にまとめて、9月18日付で安中市長宛に書留で郵送したところ、返事が遅れに遅れていましたが、10月23日に、ようやくメールで送られてきました。この安中市からの回答内容に、いくつかの疑義や示唆があったため、10月24日に安中市長あてに追加の行政文書開示請求書を提出しました。ここまでの詳細については次のブログ記事をご覧ください。
○2019年10月24日:【タゴ51億横領103年ローン】和解後20年目にタゴから1円も取れず群銀には貢ぐ安中市が住民説明会?!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3062.html



安中市・公社はタゴ事件の尻拭いの和解金を、原因者であるタゴから回収する熱意が全くない。当会は市・公社関係者と一緒にタゴ元職員を訪問して、市民の立場から早期の返済を強く要請したいと安中市長に申し入れている。写真はタゴ元職員の住む高崎市内の居住先に割合近いとされるファーストフード店。もしかしたら、元職員やその親族に会えるかも。

 なお、最近のタゴ51億円事件を巡る当会ブログ関連記事は時系列でみると次のとおりとなります。
○2019年9月18~19日:【タゴ51億横領103年ローン】群銀との和解20年後の対応に係る8.14開示資料が示す安中市の秘匿体質(1)~(9)
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3022.html
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3023.html
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3024.html
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3025.html
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3026.html
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3027.html
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3028.html
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3029.html
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3030.html
○2019年9月19日:【タゴ51億横領103年ローン】群銀との和解20年後の対応に係る8.14開示資料黒塗りだらけで安中市に質問状!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3031.html
○2019年10月24日:【タゴ51億横領103年ローン】和解後20年目にタゴから1円も取れず群銀には貢ぐ安中市が住民説明会?!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3062.html
○2019年11月28日:当会の要請で渋々開催?…タゴ事件103年ローンの群銀和解20年目の対応について12.25-26に説明会
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3083.html
○2019年12月26日:安中公社51億円事件…タゴのタゴによるタゴの為の和解20年後の市民向け報告会一部始終(その1)
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3097.html
○2019年12月29日:安中公社51億円事件…タゴのタゴによるタゴの為の和解20年後の市民向け報告会一部始終(その2)
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3100.html

■その結果、11月6日に追加情報の開示決定通知が来ました。内容は次のファイルをご覧ください。
※2019年11月6日付行政文書開示・部分開示決定通知書 ZIP ⇒ 2019110600sjmia20nj.zip
※2019年11月6日に開示された資料一式 ZIP ⇒ 2019110601to06npalfeacenpj.zip

 上記の経緯や開示資料の範囲と内容を精査すると、安中市が公社の103年ローンの和解20年後の対応における情報秘匿体質について、このまま看過できないことから、当会は行政不服審査法に基づく審査請求を行うことにしました。

 そして2019年11月7日付で次の内容の審査請求書を、安中市長に提出しました。

*****審査請求書*****ZIP ⇒ 20191107riqa20nj.zip
             審査請求書
                          令和元年11月7日

安中市長 茂 木 英 子 様

               審査請求人 〒379-0114
                     安中市野殿980
                     小川 賢   ㊞ 
                     (連絡先 090-5302-8312)

 次のとおり審査請求をします。

1 審査請求に係る処分の内容
  安中市長がした安企発第826号令和元年8月6日付けの行政文書部分開示決定処分

2 審査請求に係る処分があったことを知った年月日
  令和元年8月8日

3 審査請求の趣旨
  「1記載の処分を取り消す」との裁決を求める。

4 審査請求の理由
(1)審査請求人は、令和元年8月6日、安中市長から1に記載する処分を受けた。
(2)しかし、本件処分は、部分開示としながらも、実質は、安中市長が連帯保証人となって、かつ、安中市長が基本金500万円全額支出している安中市土地開発公社(以下「公社」という)により、とりわけ、和解後20年後の対応として、和解先の群馬銀行に対して今後10年間の「証」(連帯保証人として現時点で債務金16億5千万円の債務負担金と、今後10年間、毎年12月25日限り金2千万円の支払い方法について合意した文書)を交わすに際して、理事会で討議された元職員多胡邦夫(公社にとって民事裁判勝訴による債務負担の義務を負う者でもあることから、以下「債務者」という)により引き起こされた和解条項にかかわる直接・間接のさまざまな事項について、議事録に記された該当部分を黒塗りにした文書を、別法人である公社から提出された文書だとして、そのまま審査請求人に部分開示した。
(3)この公社由来の部分開示理由は、債務保証人の安中市長から具体的に示されていないが、連帯保証先の公社においても、その情報公開の趣旨は、安中市情報公開条例(以下「条例」という)に準じていると解釈されることから、安中市長がきちんと公社に対して、条例の順守を指導すべきであり、それを怠ることにより、納税者市民である審査請求人に、部分開示処分による不開示処分を行ったことは違法である。
(4)公社が不開示とした理由について、安中市長は審査請求人に明らかにしていないが、、条例に準じれば、安中市長は条例第7条第1項の次の各号に当たると主張するのかもしれない。よって、それぞれについて、審査請求人の異議理由を記す。
 <第3号>
 (3) 法人その他の団体(国、独立行政法人等、地方公共団体及び地方独立行政法人を除く。以下「法人等」という。)に関する情報又は事業を営む個人の当該事業に関する情報であって、公にすることにより、当該法人等又は当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの。ただし、人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報を除く。
 【異議理由】
   本件は、公社の連帯保証人の安中市長が管轄する区域に居住する納税者市民のひとりである審査請求人にとって、市の財産を保護するために公にすることが必要な情報であり、上記但し書きに該当する。

 <第5号>
 (5) 市、国及び他の地方公共団体の機関、独立行政法人等並びに地方独立行政法人の内部又は相互間における審議、検討又は協議に関する情報であって、公にすることにより、率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ、不当に市民の間に混乱を生じさせるおそれ又は特定の者に不当に利益を与え、若しくは不利益を及ぼすおそれがあるもの
 【異議理由】
   本件は、安中市長にとって、連帯保証先の公社が、むしろ公にしないことで、不当に市民の間に混乱を生じさせるおそれ又は特定の者に不当に利益を与え、若しくは不利益を及ぼすおそれがあることから、不開示理由に該当しない。

 <第6号>
 (6) 市、国若しくは他の地方公共団体の機関、独立行政法人等又は地方独立行政法人が行う事務又は事業に関する情報であって、公にすることにより、次に掲げるおそれその他当該事務又は事業の性質上、当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるもの
ア 監査、検査、取締り又は試験に係る事務に関し、正確な事実の把握を困難にするおそれ又は違法若しくは不当な行為を容易にし、若しくはその発見を困難にするおそれ
   【異議理由】
     本件は、安中市長にとって、連帯保証先の公社が公にすることで、公社が債務者に対して行う監査、検査、取締りに係る事務に関し、正確な事実の把握をむしろ容易にし、又は違法不当な行為をむしろ困難にし、もしくはその発見を容易にすることになるため、当該事務又は事業の性質上、当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるとは認められないので、不開示理由に該当しない。

   イ 契約、交渉又は争訟に係る事務に関し、市、国若しくは他の地方公共団体、独立行政法人等又は地方独立行政法人の財産上の利益又は当事者としての地位を不当に害するおそれ
   【異議理由】
     本件は、安中市長にとって、連帯保証先の公社が公にすることで、公社が財産上の利益又は当事者としての地位を高めることになるため、当該事務又は事業の性質上、当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるとは認められないので、不開示理由に該当しない。

   ウ 調査研究に係る事務に関し、その公正かつ能率的な遂行を不当に阻害するおそ  れ
   【異議理由】
     本件は、安中市長にとって、連帯保証先の公社が公にすることで、債務者の財産に係る調査研究に係る事務に関し、その公正かつ能率的な遂行を促進することになるため、当該事務又は事業の性質上、当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるとは認められないので、不開示理由に該当しない。

   オ 独立行政法人等、市若しくは他の地方公共団体が経営する企業又は地方独立行政法人に係る事業に関し、その企業経営上の正当な利益を害するおそれ
  【異議理由】
     本件は、安中市長にとって、連帯保証先の公社が公にすることで、その経営上の正当な利益を担保することになるため、当該事務又は事業の性質上、当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるとは認められないので、不開示理由に該当しない。
(5)以上のとおりであるから、条例第7条の規定に違反しており、違法である。


5 処分庁の教示の有無及びその内容
  「この決定に不服がある場合は、この決定があったことを知った日の翌日から起算して3か月以内に実施機関に対して審査請求をすることができます」との教示があった。

                                      以上
**********

■すると、2019年12月2日付で安中市から弁明書等一式が送られてきました。

*****弁明書の送付と反論書等の提出****ZIP ⇒ 20191208s.zip
                        令和元年12月2日
小 川  賢  様
                       審査庁 安中市長
                       (総務部行政課)

         弁明書の送付及び反論書等の提出について

 令和元年11月7日に貴殿から提出された、安中市長がした安企発第826号令和元年8月6日付けの行政文書部分開示決定処分に対する審査請求について、行政不服審査法(平成26年法律第68号。以下「法」という。)第29条第5項の規定により、別添のとおり弁明書(副本)を送付します。
 また、法第30条第1項の規定により、上記の弁明書に記載された事項に対する反論を記載した書面(反論書)正副2通を提出する場合及び法第32条第1項の規定により証拠書類又は証拠物を提出する場合には、令和2年1月7日までに、審査庁として事務処理を担当する総務部行政課に提出してください。 なお、上記の証拠書類又は証拠物は、法第38条第1項の規定により、他の審査請求人又は参加人による閲覧又は写し若しくは電磁的記録に記録された事項を記載した書面の交付(以下「閲覧等」という。)の請求の対象となる可能性がありますので、証拠書類又は証拠物の提出に当たっては、同項の規定による閲覧等を審査庁が行うことに支障があるかどうかについて、同封する様式により貴殿の意見を付してください。ただし、閲覧等の請求に対する審査庁の判断が、貴殿の意見と異なる場合があることを御承知おきください。

=========
                        令和  年  月  日

 提出する行政不服審査法(平成26年法律第68号。以下「法」という。)法第38条第1項の提出書類等の取扱いについて

 審査庁 安中市長 様
 (総務部行政課)

                     住 所
                     氏 名             印

 この度、審査庁に提出する法第38条第1項の提出書類等を、同項の規定により、他の審査請求人又は参加人に閲覧させ、又はその写し等を交付することは、

 □ 差し支えがない。
 □ 適当でない。
  (適当でない理由)

==========
                              (記載例)
                反論書
                            令和元年  月  日

 審査庁 安中市長 様

                    審査請求人 住所
                          氏名         印

 私が令和元年11月7日付けで提起した部分開示決定処分に係る審査請求に関する処分 庁の弁明書に対して、以下のとおり反論します。

                 記
1 弁明書記載事実の認否
(1)弁明書1頁の「・・・・」との記載は事実と異なります。 理由は・・・・だからです。
(2)弁明書3頁の「・・・・」のうち、「・・・・」の部分は認める。その余については・・・。

2 審査請求人の反論
  処分庁は、 ・・・・・と主張しています。しかしながら、 ・・・・という理由から・・・・と考えるべきで、処分等の主張は・・・・

3 添付書類
(1)・・・・
(2)・・・・

*****弁明書*****ZIP ⇒ 20191208s.zip
             弁 明 書
                            安企発第1583号
                           令和元年11月27日
安中市長 茂木 英子 様
 (総務部 行政課)
                           安中市長 茂木 英子
                           (総務部 企画課)
審査請求人小川 賢が令和元年11月7日付けで提起した安企発第826号令和元年8月6日付けの行政文書の部分開示決定処分に対する審査請求について、次のとおり弁明しま す。

1 弁明の趣旨
 「本件審査請求を棄却する。」との裁決を求める。

2 本件処分に至るまでの経緯
(1) 令和元年6月10日、審査請求人は「広報あんなか2019年6月1日号に掲載 された記事『安中市土地開発公社不祥事件和解20年後の対応について』に関する情報」について、安中市情報公開条例(以下「本件条例」という。)第6条第1項の規定により安中市長(以下「実施機関」という。)に対し行政文書の開示を請求した。
(2) 同年6月10日、行政文書開示請求書を所管課である企画課にて受理。実施機関 は本件条例第24条第2項の規定に基づき、安中市土地開発公社(以下「公社」という。)に対し、保有する情報の提出を依頼した。
(3) 同年6月17日、実施機関は、本件条例第12条第2項の規定に基づき、開示決定等期限を同年8月8日まで延長することを決定し、審査請求人に通知した。
(4) 同年7月3日、公社は、上記(2)に対して実施機関に文書を提出した。提出された文書は、①平成30年度第3回公社理事会会議録、②平成30年度第4回公社理事会会議録、③平成30年度第5回公社理事会会議録、④平成30年度第66回公社理事会会議録、⑤平成30年度第7回公社理事会会議録、⑥令和元年度第1回公社理事会会議録、⑦平成30年11月1日決裁「(株)群馬銀行との和解20年目協議における安中市への協議依頼について」、③平成30年11月14日 決裁「(株)群馬銀行との和解20年 目 協議における (株)群馬銀行への協議依頼について」、⑨平成31年3月26日決裁「和解20年後における「証」の差し入

<P2>
れについて」、⑩公社が金融機関と取り交わした金銭消費貸借契約に関する証書等書類一式(平成11年度から平成23年度まで)⑪公社決算関係書類(平成11年度から平成30年度まで)、の11件であった。
公社は、上記文書のうち、安中市土地開発公社情報公開規程第2条の「公社の経営に支障を及ぼすおそれのある情報」に該当する部分を黒塗りにしたうえで、実施機関に提出した。
 (5)同年7月17日、実施機関は、上記(4)①から③の文書について、第二者である株式会社群馬銀行の情報が含まれるため、本件条例第15条に基づき、株式会社群馬銀行に対し意見照会を行った。
 (6)同年7月29日、株式会社群馬銀行は、実施機関に(5)の意見照会に対し、「開示することに支障はない。」との意見書を提出した。
 (7)同年8月6日、実施機関は、自己が保有する行政文書である⑫令和元年6月10日決裁「安中市土地開発公社への情報公開要請について(伺い)」、⑬令和元年7月3日決裁「安中市土地開発公社からの情報申出に係る情報回答について(報告)」、⑭令和元年7月12日決裁「安中市情報公開条例第15条の規定に基づく意見照会について」、⑮令和元年7月29日決裁「安中市情報公開条例第15条の規定に基づく群馬銀行からの意見書の提出について」、⑯令和元年5月27日決裁「平成30年度安中市土地開発公社事業報告書並びに平成31年度安中市土地開発公社事業計画等の議会への報告について」、⑰平成31年4月26日決裁「株式会社群馬銀行との民事訴訟和解20年目の協議結果の市議会全員協議会における報告について」に加えて、上記(4)の文書が本件請求に該当するとしたうえで、これらの行政文書のうち、「個人の氏名、地位及び印影」については、本件条例第7条第2号に該当し、「法人の印影及び口座番号」については、本件条例第7条第3号に該当するとの理由で、これらを除いて開示するという部分開示(以下「本件処分」という。)を行った。(別紙1)
 (8)同年9月18日、審査請求人は、本件処分について実施機関に質問状を提出した。
 (9)同年10月23日、実施機関は、(8)の質問状に回答した。(別紙2)
 (10)同年11月7日、審査請求人は、公社の保有する情報についても本件条例に準じて公開するものと解釈し、実施機関が公社に本件条例を順守させる指導を怠ることで、公社が黒塗りとした部分につき開示せずに、部分開示処分を行ったことは違法であるとして、処分の取消しを求めた。

3 審査請求書記載事実の認否
 (1)審査請求の理由(1)は、認める。
 (2)審査請求の理由(2)のうち、「議事録に記された該当部分を黒塗りにした文書

<P3>
を、別法人である公社から提出された文書だとして、そのまま審査請求人に部分開示した。」の部分は、否認する。実施機関は、本件条例に基づき不開示情報等の精査を行い、実施機関として開示する情報を決定しており、「そのまま」開示してはいない。
 (3)審査請求の理由(3)のうち、「この公社由来の部分開示理由は、債務保証人の安中市長から具体的に示されていないが、」の部分は、否認する。開示文書の令和元年7月3日決裁「安中市土地開発公社からの情報申出に係る情報の回答について(報告)」に添付されている安土開発第7号「情報公開申出に係る情報の提出について(回答)」(別紙3)に公社が文書の一部を不開示とした理由が記載されている。また、上記2(9)の質問状への回答においても公社が文書の一部を不開示とした理由を説明している。
「連帯保証先の公社においても、その情報公開の趣旨は、安中市情報公開条例(以下「条例」という)に準じていると解釈されることから、」の部分は、否認する。安中市と公社は、別法人であり、それぞれが保有する情報については、安中市は「安中市情報公開条例」(別紙4)、公社は「安中市土地開発公社情報公開規程」(別紙5)に基づき情報の開示決定を行っている。
「安中市長がきちんと公社に対して、条例の順守を指導すべきであり、」の部分は、「条例の順守」が、本件条例第24条第1項の順守という意味合いであれば、認める。
「それを怠ることにより、」の部分は、不知。実施機関は、令和元年6月14日、7月4日、7月11日に公社と協議を行い、本件条例第24条第1項に基づき可能な限りの情報を提出するよう求めた。これにより、当初開示しないとされていた議事録を開示させ、黒塗り部分を減じさせた経緯がある。なお、令和元年11月6日の審査請求人への情報開示において、6月14日の協議に関するメモ「土地開発公社和解20年後の協議に関する情報開示請求の対応について打合せ」(別紙6)、上記2(9)の質問状への回答における公社との協議メモ「質問状対応メモ」(別紙7)を開示しているが、7月4日、7月11日の協議についてはメモ等を作成していない。
「納税者市民である審査請求人に、部分開示処分による不開示処分を行ったこと は違法である。」の部分は、否認する。実施機関が保有しない、公社が保有する情報については、公社が「安中市土地開発公社情報公開規程」に基づき開示を決定する。公社が不開示とした情報については、実施機関が開示できるものではないため、本件処分は本件条例に照らし合わせても違背しておらず、適法である。
 (4)審査請求の理由(4)のうち、「公社が不開示とした理由について、安中市長は審査請求人に明らかにしていないが、」の部分は、否認する。開示文書の令和元年7月3日決裁「安中市土地開発公社からの情報申出に係る情報の回答について

<P4>
    (報告)」に添付されている安土開発第7号「情報公開申出に係る情報の提出について(回答)」に公社が文書の一部を不開示とした理由が記載されている。また、上記2(9)の質問状への回答においても公社が不開示とした理由を説明している。「条例に準じれば、安中市長は条例第7条第1項の次の各号に当たると主張する のかもし れない。 」以降の部分は、否認する。公社が保有する情報については、 公社が「 安中市土地開発公社情報公開規程」に基づき開示を決定するものであり、公社が不開示とした理由を本件条例第7条第1項に該当するためと実施機関が主張することはない。
(5) 審査請求の理由(5)のうち、「以上のとおりであるから、条例第7条の規定に違反しており、違法である。」の部分は、否認する。公社が保有する情報については、公社が「安中市土地開発公社情報公開規程」に基づき開示を決定するものであり、本件処分は本件条例第7条に違背しておらず、適法である。

4 本件処分の内容及び理由
 安中市と公社は別法人であり、公社は本件条例における実施機関ではないため同列に扱うことはできない。安中市が保有する情報については、「安中市情報公開条例」に基づき、また公社が保有する情報については、「安中市土地開発公社情報公開規程」に基づき、それぞれの情報公開決定を行っている。公社の文書は、「安中市情報公開条例」の下での開示請求の対象とはならない。
 公社は、本件条例第24条第2項に定めのある「市が2分の1以上を出資している法人」であるため、情報開示請求において実施機関である安中市は、公社に対しその保有する情報の提出依頼を行った。
 しかし、2(4)のとおり同年7月3日付けで公社よりなされた回答において、開示文書の一部について「公社の経営に支障を及ぼすおそれのある情報であり提出できない。」との理由で黒塗りになっていた。
 実施機関としては、本件条例第24条の規定に基づき、可能な限り情報を提出させるべく 公社と再三にわたり協議を重ね、議事録を開示させること、黒塗りの部分を減じさせることはできたが、公社が最終的に「公社の経営に支障を及ぼすおそれのある情報であり提出できない。」と決定した部分については、開示することができないものである。

 以上のように、公社が保有する情報については実施機関からの提出依頼に対して、公社から情報提供があったときに実施機関が保有する情報となる。本件条例第24条第2項の規定は、公社に対して、情報提供に関し 任意の協力を求めることができる旨を定めたものであって、情報の提出について強制力はないため、公社の任意の協力が得られな

<P5>
い限り、実施機関としては情報を取得することができない。
 本件処分についても、公社から開示されなかった情報は、実施機関としても開示することができないものであり、条例に照らし合わせても違背するものではなく適法である。
 なお、今回の審査請求を受け、同年11月15日付けで公社に対して、「公社の経営に支障を及ぼすおそれのある」とした理由について、文書としてまとめるように依頼した結果、同年11月18日付けで回答があった。(別紙8)
**********

■市の弁明書に対して、当会から2020年1月6日に、次の反論書を提出しました。

*****反論書*****ZIP ⇒ 20200106_.zip

反論書
                           令和2年1月6日

 審査庁 安中市長 様

                 審査請求人 住所 安中市野殿980
                       氏名 小川 賢   印

 私が令和元年11月7日付けで提起した部分開示決定処分に係る審査請求に関する処分 庁の弁明書に対して、以下のとおり反論します。

                 記
1 弁明書記載事実の認否とそれに関連する審査請求人の反論
(1)弁明書2頁の最下段の次の記載は事実と異なります:
   審査請求の理由(2)のうち、「議事録に記された該当部分を黒塗りにした文書を、別法人である公社から提出された文書だとして、そのまま審査請求人に部分開示した。」の部分は、否認する。実施機関は、本件条例に基づき不開示情報等の精査を行い、実施機関として開示する情報を決定しており、「そのまま」開示してはいない。
   処分庁は以上のとおり主張しています。しかしながら、「『そのまま』開示してはいない」との処分庁の弁明は、失当である。処分庁は、一つ覚えのように「別法人である」と主張し続ける公社が黒塗りした文書に、さらに黒塗り部分を付け加えた上で、住民である審査請求人に開示する前に、群馬銀行に第3者チェックと称して提示し、住民に開示しても問題ないかどうかの確認を求めた。
   つまり、処分庁が弁明する「『そのまま』開示してはいない」という意味は、公社から出された黒塗り文書を「そのまま開示したのではなく、さらに黒塗り部分を処分庁で付け加えたものを住民に開示した」ということを述べているのであり、詭弁に過ぎない。

(2)弁明書3頁の上から5行目の次の記載は事実と異なります:
   審査請求の理由(3)のうち、「この公社由来の部分開示理由は、債務保証人の安中市長から具体的に示されていないが、」の部分は、否認する。開示文書の令和元年7月3日決裁「安中市土地開発公社からの情報申出に係る情報の回答について(報告)」に添付されている安土開発第7号「情報公開申出に係る情報の提出について(回答)」(別紙3)に公社が文書の一部を不開示とした理由が記載されている。また、上記2(9)の質問状への回答においても公社が文書の一部を不開示とした理由を説明している。
   処分庁は以上のとおり主張しています。しかしながら、「『この公社由来の部分開示理由は、債務保証人の安中市長から具体的に示されていないが、』の部分は、否認する」との処分庁の弁明は、失当である。なぜなら、処分庁のいう「安土開発第7号『情報公開申出に係る情報の提出について(回答)』」には、「なお、安中市土地開発公社理事会の会議録には、株式会社群馬銀行との協議における公社としての対応方針の決定に関する情報及び公社の経営方針の決定に関する情報が含まれており、これら公社の内部管理情報は公開することにより、公社の正当な利益を害するおそれがあります。また、会議録には、公社の取引先に関する情報も含まれておりますが、これらを公開することにより取引先の正当な利益を害するおそれがあります。それらの情報につきまして、安中市土地開発公社情報公開規程第2条に基づき安中市と協議したところ、『公社の経営に支障を及ぼすおそれのある情報』と認められましたので、提出することができません」と記されているのみで、「公社の正当な利益を害するおそれ」とか「取引先の正当な利益を害するおそれ」とか「公社の経営に支障を及ぼすおそれ」などと、抽象的な表現が羅列されているのみで、何ら具体的な「おそれ」の内容に関する記載が見当たらないからである。

(3)弁明書3頁の上から12行目の次の記載は事実と異なります:
   審査請求の理由(3)のうち、「連帯保証先の公社においても、その情報公開の趣旨は、安中市情報公開条例(以下「条例」という)に準じていると解釈されることから、」の部分は、否認する。安中市と公社は、別法人であり、それぞれが保有する情報については、安中市は「安中市情報公開条例」(別紙4)、公社は「安中市土地開発公社情報公開規程」(別紙5)に基づき情報の開示決定を行っている。
   処分庁は以上のとおり主張しています。しかしながら、「『連帯保証先の公社においても、その情報公開の趣旨は、安中市情報公開条例(以下「条例」という)に準じていると解釈されることから、』の部分は、否認する」との処分庁の弁明は失当である。処分庁の言う「安中市土地開発公社情報公開規程」なるものは、安中市のHPにも見当たらず、その内容について一般の納税者住民は内容を知らされていない。
そもそも、処分庁が一つ覚えのように「別法人である」と主張し続ける公社が勝手に黒塗りした文書の中身を、処分庁は承知しているのであるから、安中市情報公開条例に基づいて、開示・非開示などの判断を適正に行うべきであり、公社が黒塗りして出してきた文書を鵜呑みにした上に、さらに黒塗り箇所を付け加えること自体、開かれた行政の基本理念に違背する行為である。

(4)弁明書3頁の上から17行目の次の記載は事実と異なります:
   審査請求の理由(3)のうち、「安中市長がきちんと公社に対して、条例の順守を指導すべきであり、」の部分は、「条例の順守」が、本件条例第24条第1項の順守という意味合いであれば、認める。
   処分庁は以上のとおり主張しています。しかしながら、「『安中市長がきちんと公社に対して、条例の順守を指導すべきであり、』の部分は、『条例の順守』が、本件条例第24条第1項の順守という意味合いであれば、認める。」との処分庁の弁明は、意味が曖昧であり、失当である。処分庁は「本件条例第24条第1項の遵守という意味合いであれば」などと、限定的に弁明するが、本件条例第24条(出資団体等の情報)第1項は「市が出資し、又は運営費を助成している公共的団体(以下『出資団体等』という。)は、その保有する情報を公開するよう努めなければならない。」と定めているほか、同条第2項では「実施機関は、法人の設立に当たり、市が2分の1以上を出資している法人の保有する情報であって、実施機関が保有していないものについて、当該情報の公開の申出があったときは、当該法人に対して当該情報を実施機関に提出するよう求めることができる。」としている。処分庁は、なぜか第1項の遵守しか認めないようなそぶりだが、第2項は実施機関が保有していないものについて、当該法人(=公社)に当該情報を提出するように求めている。
   すなわち、市は実施機関であり、且つ公社の連帯保証人であるから、当該法人(=公社)が保有して市が保有していない情報がある場合には、すべて公社に公開を求めなければならないのである。
   つまり、公社の情報は、公開の申出があれば、すべて出資先の法人の情報を保有し、それを住民に開示しなければならない。その場合、公社が黒塗りをすること自体、失当であり、実施機関である市が本件条例に基づき、開示・非開示の判断をしなければならないはずである。

(5)弁明書3頁の上から20行目の次の記載は事実と異なります:
審査請求の理由(3)のうち、「それを怠ることにより、」の部分は、不知。実施機関は、令和元年6月14日、7月4日、7月11日に公社と協議を行い、本件条例第24条第1項に基づき可能な限りの情報を提出するよう求めた。これにより、当初開示しないとされていた議事録を開示させ、黒塗り部分を減じさせた経緯がある。なお、令和元年11月6日の審査請求人への情報開示において、6月14日の協議に関するメモ「土地開発公社和解20年後の協議に関する情報開示請求の対応について打合せ」(別紙6)、上記2(9)の質問状への回答における公社との協議メモ「質問状対応メモ」(別紙7)を開示しているが、7月4日、7月11日の協議についてはメモ等を作成していない。
   処分庁は以上のとおり主張しています。しかしながら、「『それを怠ることにより、』の部分は、不知。」との処分庁の弁明は、失当である。処分庁は「実施機関は、令和元年6月14日、7月4日、7月11日に公社と協議を行い、本件条例第24条第1項に基づき可能な限りの情報を提出するよう求めた」と弁明するが、令和元年6月10日付起案・決裁文書「件名 安中市土地開発公社への情報公開要請について(伺い)」によれば、「安中市情報公開条例第24条第2項では、市長(実施機関)は、市が法人設立にあたり2分の1以上を出資している法人に対して、情報の提出を求めることができると規定されています。つきましては、別紙のとおり当該申出のあった安中市土地開発公社が保有する情報について、提出を求めてよろしいか伺います。」と明記されており、「同条第1項に基づき可能な限りの情報を提出するように求めた」とする処分庁の弁明は、事実を歪める主張であり、到底認められない。
   さらに、処分庁は「実施機関は、令和元年6月14日、7月4日、7月11日に公社と協議を行い、」としているが、いずれも議事録や議事メモの類を作成していないことから、「それを怠ることにより」とする審査請求人の主張は正しい。

(6)弁明書3頁の上から29行目の次の記載は事実と異なります:
「納税者市民である審査請求人に、部分開示処分による不開示処分を行ったこと は違法である。」の部分は、否認する。実施機関が保有しない、公社が保有する情報については、公社が「安中市土地開発公社情報公開規程」に基づき開示を決定する。公社が不開示とした情報については、実施機関が開示できるものではないため、本件処分は本件条例に照らし合わせても違背しておらず、適法である。
   処分庁は以上のとおり主張しています。しかしながら、「『納税者市民である審査請求人に、部分開示処分による不開示処分を行ったこと は違法である。』の部分は、否認する。」との処分庁の弁明は、失当である。すでに述べた通り、本件条例第24条(出資団体等の情報)第2項は、実施機関が保有していないものについて、当該法人(=公社)に当該情報を提出するように求めている。すなわち、市は実施機関であり、且つ公社の連帯保証人であるから、当該法人(=公社)が保有して市が保有していない情報がある場合には、すべて公社に公開を求めなければならないのであり、つまり、公社の情報は、公開の申出があれば、すべて出資先の法人の情報を保有し、それを住民に開示しなければならない。その場合、公社が黒塗りをすること自体、失当であり、実施機関である市が本件条例に基づき、開示・非開示の判断をしなければならないはずである。

(7)弁明書3頁の下から3行目の次の記載は事実と異なります:
   審査請求の理由(4)のうち、「公社が不開示とした理由について、安中市長は審査請求人に明らかにしていないが、」の部分は、否認する。開示文書の令和元年7月3日決裁「安中市土地開発公社からの情報申出に係る情報の回答について(報告)」に添付されている安土開発第7号「情報公開申出に係る情報の提出について(回答)」に公社が文書の一部を不開示とした理由が記載されている。
   また、上記2(9)の質問状への回答においても公社が不開示とした理由を説明している。「条例に準じれば、安中市長は条例第7条第1項の次の各号に当たると主張するのかもしれない。」以降の部分は、否認する。公社が保有する情報については、公社が「安中市土地開発公社情報公開規程」に基づき開示を決定するものであり、公社が不開示とした理由を本件条例第7条第1項に該当するためと実施機関が主張することはない。
   処分庁は以上のとおり主張しています。しかしながら、「『公社が不開示とした理由について、安中市長は審査請求人に明らかにしていないが、』の部分は、否認する。」との処分庁の弁明は失当である。なぜなら前述の通り、処分庁のいう「安土開発第7号『情報公開申出に係る情報の提出について(回答)』」には、「なお、安中市土地開発公社理事会の会議録には、株式会社群馬銀行との協議における公社としての対応方針の決定に関する情報及び公社の経営方針の決定に関する情報が含まれており、これら公社の内部管理情報は公開することにより、公社の正当な利益を害するおそれがあります。また、会議録には、公社の取引先に関する情報も含まれておりますが、これらを公開することにより取引先の正当な利益を害するおそれがあります。それらの情報につきまして、安中市土地開発公社情報公開規程第2条に基づき安中市と協議したところ、『公社の経営に支障を及ぼすおそれのある情報』と認められましたので、提出することができません」と記されているのみで、「公社の正当な利益を害するおそれ」とか「取引先の正当な利益を害するおそれ」とか「公社の経営に支障を及ぼすおそれ」などと、抽象的な表現が羅列されているのみで、何ら具体的な「おそれ」の内容に関する記載が見当たらないからだ。
   「また、上記2(9)の質問状への回答においても公社が不開示とした理由を説明している。」との処分庁の弁明も失当である。質問状の回答においても、処分庁のいう「安土開発第7号『情報公開申出に係る情報の提出について(回答)』」に書かれた公社側の不開示理由と同様の記載が羅列されているのみで、なんら具体的な「おそれ」の内容に関する記載が見当たらない。
   「『条例に準じれば、安中市長は条例第7条第1項の次の各号に当たると主張するのかもしれない。』以降の部分は、否認する。」との処分庁の弁明は失当である。なぜなら、前述の通り、公社が保有する情報で、まだ実施機関が保有していない情報については、本件条例第24条第2項により、公開の申出があった場合は、実施機関が公社に提出を求めることができるのであるから、公社が開示・不開示の判断をするのではなく、出資者であり連帯保証人である市が本件条例に照らして、開示・不開示の判断をしなければならないはずだからだ。

(8)弁明書4頁の上から10行目の次の記載は事実と異なります:
   審査請求の理由(5)のうち、「以上のとおりであるから、条例第7条の規定に違反しており、違法である。」の部分は、否認する。公社が保有する情報については、公社が「安中市土地開発公社情報公開規程」に基づき開示を決定するものであり、本件処分は本件条例第7条に違背しておらず、適法である。
   処分庁は以上のとおり主張しています。しかしながら、「『以上のとおりであるから、条例第7条の規定に違反しており、違法である。』の部分は、否認する。」との処分庁の弁明は失当である。繰り返しになるが、本件条例第24条(出資団体等の情報)第2項では「実施機関は、法人の設立に当たり、市が2分の1以上を出資している法人の保有する情報であって、実施機関が保有していないものについて、当該情報の公開の申出があったときは、当該法人に対して当該情報を実施機関に提出するよう求めることができる。」としている。処分庁は、なぜか第1項の遵守しか認めないようなそぶりだが、第2項は実施機関が保有していないものについて、当該法人(=公社)に当該情報を提出するように求めている。
   すなわち、市は実施機関であり、且つ公社の連帯保証人であるから、当該法人(=公社)が保有して市が保有していない情報がある場合には、すべて公社に公開を求めなければならないのである。
   つまり、公社の情報は、公開の申出があれば、すべて出資先の法人の情報を保有し、それを住民に開示しなければならない。その場合、公社が黒塗りをすること自体、失当であり、実施機関である市が本件条例に基づき、開示・不開示の判断をしなければならないはずである。その判断の基準となるのが、本件条例第7条第1項第3号に定める「法人その他の団体(国、独立行政法人等、地方公共団体及び地方独立行政法人を除く。以下「法人等」という。)に関する情報又は事業を営む個人の当該事業に関する情報であって、公にすることにより、当該法人等又は当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの。ただし、人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報を除く。」の定めである。処分庁は、この但し書きについて重視しておらず、関心がないらしい。

(9)弁明書4頁の上から14行目の次の記載は事実と異なります:
   「4 本件処分の内容及び理由」
   安中市と公社は別法人であり、公社は本件条例における実施機関ではないため同列に扱うことはできない。安中市が保有する情報については、「安中市情報公開条例」に基づき、また公社が保有する情報については、「安中市土地開発公社情報公開規程」に基づき、それぞれの情報公開決定を行っている。公社の文書は、「安中市情報公開条例」の下での開示請求の対象とはならない。
   処分庁は以上のとおり主張しています。しかしながら、公社は特別法人であるが、安中市が基本金を全額出資する出資団体に位置づけられる。であるから、本件条例第24条(出資団体等の情報)の第1項「市が出資し、又は運営費を助成している公共的団体(以下「出資団体等」という。)は、その保有する情報を公開するよう努めなければならない。」と第2項「実施機関は、法人の設立に当たり、市が2分の1以上を出資している法人の保有する情報であって、実施機関が保有していないものについて、当該情報の公開の申出があったときは、当該法人に対して当該情報を実施機関に提出するよう求めることができる。」と定めた対象法人である。だから、実施機関であり、公社の出資者であり、連帯保証人である安中市は、公社から提出され、受領した行政文書を自ら定めた本件条例に基づき適切に開示・不開示の判断をしなければならないはずである。したがって、「公社の文書は、『安中市情報公開条例』の下での開示請求の対象とはならない。」とする処分庁の弁明は失当である。

(10)弁明書4頁の上から20行目の次の記載は事実と異なります:
   「4 本件処分の内容及び理由」
   公社は、本件条例第24条第2項に定めのある「市が2分の1以上を出資している法人」であるため、情報開示請求において実施機関である安中市は、公社に対しその保有する情報の提出依頼を行った。
   しかし、2(4)のとおり同年7月3日付けで公社よりなされた回答において、開示文書の一部について「公社の経営に支障を及ぼすおそれのある情報であり提出できない。」との理由で黒塗りになっていた。
   実施機関としては、本件条例第24条の規定に基づき、可能な限り情報を提出させるべく 公社と再三にわたり協議を重ね、議事録を開示させること、黒塗りの部分を減じさせることはできたが、公社が最終的に「公社の経営に支障を及ぼすおそれのある情報であり提出できない。」と決定した部分については、開示することができないものである。
   処分庁は以上のとおり主張しています。しかしながら、「実施機関としては、本件条例第24条の規定に基づき、可能な限り情報を提出させるべく 公社と再三にわたり協議を重ね、議事録を開示させること、黒塗りの部分を減じさせることはできた」とする処分庁の弁明は不知。とくに「黒塗りの部分を減じさせることはできた」などとよく言えたものだと呆れる。

(11)弁明書4頁の下から4行目の次の記載は事実と異なります:
   以上のように、公社が保有する情報については実施機関からの提出依頼に対して、公社から情報提供があったときに実施機関が保有する情報となる。本件条例第24条第2項の規定は、公社に対して、情報提供に関し任意の協力を求めることができる旨を定めたものであって、情報の提出について強制力はないため、公社の任意の協力が得られない限り、実施機関としては情報を取得することができない。
   処分庁は以上のとおり主張しています。しかしながら、「本件条例第24条第2項の規定は、公社に対して、情報提供に関し任意の協力を求めえることができる旨を定めたものであって、情報の提出について強制力はないため、公社の任意の協力が得られない限り、実施機関としては情報を取得することができない。」との処分庁の弁明だが、噴飯モノであり失当である。本件条例第24条第2項は「実施機関は、法人の設立に当たり、市が2分の1以上を出資している法人の保有する情報であって、実施機関が保有していないものについて、当該情報の公開の申出があったときは、当該法人に対して当該情報を実施機関に提出するよう求めることができる。」とある。したがって、住民から実施機関に対して公開の申出があった場合には、当然、出資者であり連帯保証人である実施機関は、既に公社との協議の過程で入手済の行政文書(当然、黒塗りはされていないはず)に加え、実施機関で保有していない文書がもしあれば(当然、すべて公社が作成された文書は共有化されているはずだが)、それらを公社から実施機関に提出させればよく、公社の任意の協力が得られないなどという弁明は、副市長が理事長を務める公社が、出資者であり連帯保証人である市長に対する背任行為にも等しく、まったくの詭弁に過ぎない。

(12)弁明書5頁の上から2行目の次の記載は事実と異なります:
   本件処分についても、公社から開示されなかった情報は、実施機関としても開示することができないものであり、条例に照らし合わせても違背するものではなく適法である。
   なお、今回の審査請求を受け、同年11月15日付けで公社に対して、「公社の経営に支障を及ぼすおそれのある」とした理由について、文書としてまとめるように依頼した結果、同年11月18日付けで回答があった。(別紙8)
   処分庁は以上のとおり主張しています。しかしながら、「本件処分についても、公社から開示されなかった情報は、実施機関としても開示することができないものであり、条例に照らし合わせても違背するものではなく適法である。」との処分庁の弁明だが、失当である。なぜなら、本件条例第24条第2項は「実施機関は、法人の設立に当たり、市が2分の1以上を出資している法人の保有する情報であって、実施機関が保有していないものについて、当該情報の公開の申出があったときは、当該法人に対して当該情報を実施機関に提出するよう求めることができる。」とある。したがって、住民から実施機関に対して公開の申出があった場合には、当然、出資者であり連帯保証人である実施機関は、既に公社との協議の過程で入手済の行政文書(当然、黒塗りはされていないはず)に加え、実施機関で保有していない文書がもしあれば(当然、すべて公社が作成された文書は共有化されているはずだが)、それらを公社から実施機関に提出させればよく、「公社から開示されなかった情報は、実施機関としても開示することができないものであり、」との処分庁の弁明は、まったくの詭弁に過ぎない。

2 審査請求人のその他の反論
  処分庁は、一つ覚えのように「公社は別法人だ」として、審査請求人が今回の行政文書開示請求手続きをした際にも、いちいち安中市長と安中市土地開発公社理事長(=安中市副市長)との間で、あたかも別法人を装い、実際にはそれぞれの実施機関・部署である安中市総務部企画課と安中市土地開発公社事務局(=安中市建設部都市整備課)との間で、あたかも別法人を装い、開示の諾否を確認するための文書のやりとりをしている。
  こうした行為は、一般的には「利益相反行為」とされるものであり、この問題については、12月25日と26日に安中市役所と松井田支所で開催された「和解20年後の対応についての報告会」の席上でも、参加した住民らから指摘があったことは、周知のとおりである。
  本来、連帯保証人である安中市の市長が、自ら指名した安中市の副市長が連帯保証先の安中市土地開発公社の理事長に就任し、その人物との間で、事業に関連した取引(債務保証)をナアナアに行っているわけで、しかも、公社の群馬銀行に対する債務の原因者である元職員からの債権の回収に消極的な姿勢を見せていることから、安中市に対する背任行為となる可能性がある。
  したがって、こうした利益相反行為は速やかに解消しなければならず、公社と利益相反関係にある安中市が、公社の情報開示に際して、いちいち公社に伺いを立てたり、公社の言い分を忖度したりすることは、到底許されない。

                                 以上
**********

■その後、安中市から本件に関する請求人の陳述の機会があることを教示されました。2月前半までに安中市役所で陳述をすべく、安中市長に申出書等を提出しました。
※安中市長あて申出書等 ZIP ⇒

 今後の進捗については適宜、この場を借りて報告してまいります。

【ひらく会情報部】

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安中公社51億円事件…タゴのタゴによるタゴの為の和解20年後の市民向け報告会一部始終(その2)

2019-12-29 23:23:00 | 土地開発公社51億円横領事件
■タゴ事件発覚から24年半が経過した今年の年の瀬、2019年12月25日(水)午後7時から、安中市役所3階305号会議室で、住民を対象にした報告会が開催されたのに引き続き、翌12月26日(木)午後7時から、安中市役所松井田庁舎の基幹集落センター1階研修室で、住民ら約17名が集う中、開かれました。その一部始終を、市民オンブズマン群馬の会員の協力により録画で記録しました。とりわけ、旧松井田町の住民の皆様は、2006年の安中市との合併により、この理不尽な巨額横領事件の尻拭いをさせられており、報告会の参加者数は前日の半分以下でしたが、報告会の中で痛烈な批判が相次いで出され、予定時間を15分ほどオーバーするほどでした。ぜひ、この史上空前、そしておそらく絶後の51億円巨額横領事件について、安中市民の皆さんはもとより、ひろく内外のかたがたに一人でも多く、知っていただけるよう、この動画を見ていただきたいと思います。なお、冒頭の市・公社側の説明は前日25日の安中市役所での報告会と同様なので省略し、参加者との質疑応答の部分のみを動画に記録しました。

安中土地開発公社51億円横領事件の群馬銀行との和解20年後の報告会 (松井田庁舎)
https://www.youtube.com/watch?v=EefyFKU6vnQ

 12月25日の安中市役所での報告会には、上毛新聞の記者が取材を兼ねて参加していました。27日の社会面に次の記事が掲載されました。


**********上毛新聞2019年12月27日
安中市元職員の巨額詐欺 経緯、支払い方報告 公社と市
 安中市元職員による市土地開発公社を巡る巨額詐欺事件で、公社と市は25、26の両日、市役所などで報告会を開いた。群馬銀行との和解から20年が経過し、これまでの経過や今後の支払い方法などを報告した。
 事件は1998年、公社と市が連帯して同行に24億5千万円を支払う和解が成立。初回に4億円、それ以降は毎年2千万円ずつ支払い、10年ごとに再協議して支払い方法や金額を決めることになっている。
 市役所での法国会には市民約20名が出席。和解以降の経緯のほか、今後10年もこれまでと同様に毎年2千万円を支払う内容で合意した事などが報告された。公社の事業が順調に進めば、将来的には早めの完済を視野に入れるとの方針も示された。
 質疑では出席者から「元職員からしっかり回収すべきだ」「若い人の負担にならないように早期の返済に向けて協議して」などの声が上がった。
 報告会は松井田庁舎基幹集落センターでも開かれた。
**********

 なお、当会では、26日の松井田庁舎での報告会終了間際に、次の内容の行政文書開示請求書を茂木英子・安中市長に直接手渡しました。これは、タゴ51億円事件に関連して、毎年当会が行っている恒例の情報開示請求手続きの一環です。


*****行政文書開示請求書*****
<開示を請求する行政文書の内容又は件名
(1) 安中市土地開発公社を巡る巨額詐欺横領事件により、安中市が同公社の保証人として、令和元年12月25日に群馬銀行に対して支払った民事訴訟の和解条項に基づく2000万円の支出にかかわる一切の情報。
(2) 市が保証人として、同公社が元職員に対して平成11年に損害賠償請求を起こし、同年5月に勝訴した判決に基づき、元職員及びその親族からこれまでに財産差押や寄贈等を通じて損害金を回収してきた経緯のうち、平成30年12月27日以降、現在に至るまでに為された損害金回収に関わる一切の情報。
(3) 今回の和解後20年目の対応に関連して、相談を依頼した弁護士に実際に支払った弁護料及びその内訳がわかる情報
**********

 年明けの1月下旬までには、何らかの情報開示が行われるでしょうから、おって開示情報はこのブログでご報告します。

【市政をひらく安中市民の会事務局】

※配布資料一式:ZIP ⇒2019122526ynjsa20n.zip

※参考資料
〇2006年4月13日:安中市巨額詐欺事件の詳細情報
https://newmatsuida.web.fc2.com/madom.htm

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