田舎に住んでる映画ヲタク

「映画大好き」の女性です。一人で見ることも多いけれど、たくさんの映画ファンと意見交換できればいいなぁと思っています。

ダラス・バイヤーズ・クラブ(Dallas Buyers Club)

2014年04月06日 17時58分06秒 | 日記

 

  1980年代当時無認可だったHIV代替治療薬を密輸販売し、アメリカのHIV患者が特効薬を手にできるよう奔走した実在のカウボーイの半生を映画化した人間ドラマ。HIV陽性と診断されたカウボーイを『マジック・マイク』などのマシュー・マコノヒーが演じ、21キロも減量しエイズ患者という難役に挑んだ。『チャプター27』などのジャレッド・レトー、『JUNO/ジュノ』などのジェニファー・ガーナーが共演。監督を『ヴィクトリア女王 世紀の愛』のジャン=マルク・ヴァレが務める。(シネマトゥデイより)

 

 

 この映画って、アカデミー賞取ったのに本当に上映館が少ないのね。大阪でも3館くらいでやってるなぁ、と思っていたらあっという間に終了しちゃって、たった1館に。休日にはすごい混雑。これだけの人が入るのに・・・映画の利権(配給?)って、難しいのね。

さて、映画です。ガリガリに痩せたマシュー・マコノヒーが、信じられないくらいのアグレッシヴな演技。ディカプリオの映画でもアグレッシヴでしたが、この映画の方がもっと生きる気迫に満ちてます。

時は1980年代。まだまだエイズなんてゲイのかかる病気だという偏見がまかり通っていた時代。女好きで生粋のカウボーイだったむくつけ男のマシューがエイズだと判明します。彼は「そんなアホなことがあるか!」と激怒。でも、そうなんですね。しかも、余命30日だとか。これは狼狽しますね。

しかし、ここまで痩せて咳き込む前に、おかしいと思わなかったのかな、とも思ったのですが(笑)、元々その日暮らしのやさぐれ男。そんなものだったのでしょうね。

女好きの自分がエイズなんて許せない。そんなことを言う医者も許せない。すべてに腹を立てたマシューは生きるべく行動を起こします。

まずは病院職員を買収して治験段階の薬を横流ししてもらうことから始めます。。この薬、しばらく飲んでたようでしたが、治験薬の管理はそんなに甘いのか、ととても疑問に思いました。まだ世に出る前のお薬。横流ししてもわからないほどたくさん渡しているのでしょうか。それとも余程大きな病院で大がかりな治験だったのか。まぁ実情はわかりません。

しかしちっとも楽になりません。そのうち管理が厳しくなり、手に入りづらくなり次の行動を起こさざるを得なくなります。病気に関して猛勉強した彼は、もっと副作用の少ない薬を求めて国境を越えるようになり、やがて「ダラス・バイヤーズ・クラブ」を立ち上げます。

それは最初に会費を払ってメンバーになれば、他国でしか手に入らない様な薬をお安く回してもらえるシステムで、れっきとしたビジネスです。ボランティアではありません。お金を持たない者は冷たくあしらわれます。そして、彼はその販売ルートの確保のために、美しいゲイ、ジャレッド・レトと組むようになります。

マシューもうまいですが、このジャレットも一見の価値ありです。オスカーを手にしたのも納得の素晴らしい演技をみせます。女よりも美しく、女よりもたおやかでした。自分で注射を打てなくて泣き崩れ、マシューに「なんてことだ。神はおまえを間違って男に作ってしまったようだな。それくらい自分でできるようにならなきゃダメだ」と言われるシーンが印象に残っています。だって、そんな姿、きょうび女でも見せないですもん(そんなことないか?)。

ともかく、アグレッシヴなマシューは薬を求めて世界中を駆け回ります。もちろん、日本にも。お金で買収される医師「ヒロシ」は日本人だったと思いますが、岡山の病院で交渉していた医師が、日本人じゃないのがミエミエで笑えました。

しかし、どんな方法を使っても、扱うものが薬ですから、FDAの目に止まります。医療業界は複雑です。ありとあらゆる利権が癒着してますから、こんなものがまかり通ると迷惑なのです。これは日本でもそうでしょう。お金を持っているものは権力も持っていて、すべてを自分たちの利益になるように、世の中を動かしているのですから。政治家然り、その政治家に大きい影響力をもつのは医師会であることも然り。

ともかく、彼は余命30日と言われてから、7年生き伸び、多くの患者の人生に光を与えたのです。もちろん、社会的弱者がどれだけ吠えても、結局は権力に勝つことはできません。それでも、たくさんの人が彼の功績を称え、共感し、その死を惜しんだのです。

すごいですねぇ。この心意気は自分には決して真似できないと思いました。自分は意気地なしなので、きっと病院の言いなりに治験を施され、データだけ取って(それも多分たいして参考にならない数字だったりして)、ポイされる・・・そんな道を歩むんだろうなぁと思いました。

どちらにしても、こんなに痩せてるのに、そして深刻な病気なのに、悲壮感がまるでなく、むしろすがすがしく仕上がっているのが驚きでした。監督は「ヴィクトリア女王 世紀の愛」かぁ・・・エミリー・ブラントが地味だったことくらいしか覚えてないなぁ(笑)。ごめんよ、監督。

 

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