ビリー・ワイルダー製作・監督・脚本、I・A・L・ダイアモンド製作・脚本、ジャック・レモン、シャーリー・マクレーン、フレッド・マクマレイ 1960年米
大会社の平凡なサラリーマン。
特別才能もない男が、出世するにはどうすればいいか? 上司に取り入られるのが最も速い近道である。
都心にアパートを借りているという地の利を活かして、夜、上司にラブホテル代わりに部屋を貸すということで、彼は出世の切符を掴む。
その平凡なサラリーマンが好意を寄せているのが、同じ会社のエレベーターガール。
そのエレベーターガールが、こともあろうか上司の愛人で、貸した自分のアパートが2人の情事の部屋になろうとは。
しかも、彼の部屋で彼女が自殺未遂を計ってしまう。
物語の舞台は、都心のアパート。日本でいえば、賃貸マンションである。
映画の原題は「The Apartment」、「アパートメント」と素っ気ない。それを、日本では内容に即して「アパートの鍵貸します」と変えた。これで、何やらいかがわしい想像をはたらかせる題名に変容した。
自分のアパートの部屋を、複数の上司に日替わりで貸してあげているので、アパートの住人からは女たらしと思われてしまう。大屋のおばさんには毎晩煩いと小言を言われるし、同じ階の中年の医師からは毎晩違う女性を連れ込んでいると思われているので、異常なまでの性豪と思われ、死んだら身体を献体させてくれと頼まれたりする。
アメリカのアパートは、自由だ。だから、様々な物語の舞台になる。
1階上の部屋にふらりとやってきた美女、マリリン・モンローに一目惚れした男は、家族が避暑のバカンスに出かけるのをいいことに、彼女を部屋に誘い(冷房が効いてるよと)、浮気の妄想を働かせる「7年目の浮気」。
自由気ままな生活をしている女、オードリー・ヘプバーンの住む同じアパートに、これも気ままな若い作家が引っ越してきて、何となく仲よくなる「ティファニーで朝食を」。
「アパートの鍵貸します」で主演しているのは、哀感のある平凡な男を演ずれば右に出る者がいない演技派、ジャック・レモン。
ブロードウェイの舞台を経て、映画俳優に。「お熱いのがお好き」(1959年)ではマリリン・モンローを相手にコメディーを演じて一躍人気俳優になった。シャーリー・マクレーンとは「あなただけ今晩は」(1963年)で、再共演している。また、「おかしな二人」(1968,1998年)では、ウォルター・マッソーと絶妙な爆笑コンビを見せた。
相手役のシャーリー・マクレーンは、味のある女優である。
数々の映画に出演し、「愛と追憶の日々」(1983年)ではアカデミー主演女優賞を受賞している。
しかし、彼女について最も彼女を印象づけ、決定づけたのは、映画ではなく「アウト・オン・ア・リム」(1983年)という、彼女が書いた本である。これは、彼女の体験をもとに、神秘な世界、今でいうスピリチュアルな世界を描いたものである。
発売当時は、そのような風潮もあって日本でも話題になったが、不思議な精神世界の内容であった。
「アパートの鍵貸します」は、この年のアカデミー賞を総なめにし、シャーリー・マクレーンは、この映画で、ヴェネチア映画祭で、主演女優賞を得た。
大会社の平凡なサラリーマン。
特別才能もない男が、出世するにはどうすればいいか? 上司に取り入られるのが最も速い近道である。
都心にアパートを借りているという地の利を活かして、夜、上司にラブホテル代わりに部屋を貸すということで、彼は出世の切符を掴む。
その平凡なサラリーマンが好意を寄せているのが、同じ会社のエレベーターガール。
そのエレベーターガールが、こともあろうか上司の愛人で、貸した自分のアパートが2人の情事の部屋になろうとは。
しかも、彼の部屋で彼女が自殺未遂を計ってしまう。
物語の舞台は、都心のアパート。日本でいえば、賃貸マンションである。
映画の原題は「The Apartment」、「アパートメント」と素っ気ない。それを、日本では内容に即して「アパートの鍵貸します」と変えた。これで、何やらいかがわしい想像をはたらかせる題名に変容した。
自分のアパートの部屋を、複数の上司に日替わりで貸してあげているので、アパートの住人からは女たらしと思われてしまう。大屋のおばさんには毎晩煩いと小言を言われるし、同じ階の中年の医師からは毎晩違う女性を連れ込んでいると思われているので、異常なまでの性豪と思われ、死んだら身体を献体させてくれと頼まれたりする。
アメリカのアパートは、自由だ。だから、様々な物語の舞台になる。
1階上の部屋にふらりとやってきた美女、マリリン・モンローに一目惚れした男は、家族が避暑のバカンスに出かけるのをいいことに、彼女を部屋に誘い(冷房が効いてるよと)、浮気の妄想を働かせる「7年目の浮気」。
自由気ままな生活をしている女、オードリー・ヘプバーンの住む同じアパートに、これも気ままな若い作家が引っ越してきて、何となく仲よくなる「ティファニーで朝食を」。
「アパートの鍵貸します」で主演しているのは、哀感のある平凡な男を演ずれば右に出る者がいない演技派、ジャック・レモン。
ブロードウェイの舞台を経て、映画俳優に。「お熱いのがお好き」(1959年)ではマリリン・モンローを相手にコメディーを演じて一躍人気俳優になった。シャーリー・マクレーンとは「あなただけ今晩は」(1963年)で、再共演している。また、「おかしな二人」(1968,1998年)では、ウォルター・マッソーと絶妙な爆笑コンビを見せた。
相手役のシャーリー・マクレーンは、味のある女優である。
数々の映画に出演し、「愛と追憶の日々」(1983年)ではアカデミー主演女優賞を受賞している。
しかし、彼女について最も彼女を印象づけ、決定づけたのは、映画ではなく「アウト・オン・ア・リム」(1983年)という、彼女が書いた本である。これは、彼女の体験をもとに、神秘な世界、今でいうスピリチュアルな世界を描いたものである。
発売当時は、そのような風潮もあって日本でも話題になったが、不思議な精神世界の内容であった。
「アパートの鍵貸します」は、この年のアカデミー賞を総なめにし、シャーリー・マクレーンは、この映画で、ヴェネチア映画祭で、主演女優賞を得た。