東京11R日本ダービー
◎1.エフフォーリア
○14.タイトルホルダー
▲8.ヨーホーレイク
☆16.サトノレイナス
△3.タイムトゥヘヴン
△5.ディープモンスター
△9.ラーゴム
△10.シャフリヤール
△13.グレートマジシャン
皐月賞はレッドベルオーブが途中からかかって前をつついたので、そこで11.4-11.9とペースアップし、前後半60.3-60.3という緩みない持続戦に。レッドに煽られたダノンザキッドが大敗してしまったように、特に前の組には厳しいケイバだった。レースレベルとしては高かったと思うし、そんななかで馬場の荒れたインをついて3馬身差の完勝だから、エフフォーリアは性能も持続力もパワーも抜けている。エピファネイア×ハーツクライらしい胴長体型で明らかに東京向きの大跳びで、なのに皐月賞をぶち抜いてしまったのはまさにドゥラメンテのイメージだ。皐月でインを割って抜け出しているから内枠の不安もない。土曜の東京芝はハッキリ外伸びだったのがどうかだが、荒れ馬場OKという頭があるだろうから武史は空いたインを突いて上がっていって、皐月賞のようにタイトルの直後に取りつき、直線で外に出しながら追うだろう。
タイトルホルダーをホープフルで◎にしたのは先行利展開利を買ってのものだったが、それから一戦ごとにレース内容が良くなり着実に成長を辿っているのが好感。母方のハイペリオン的な粘着力で走る馬だが、今週の追い切りはドゥラメンテ産駒らしい伸びやかなフォームで、激闘後なのに更に上昇を感じさせる。先行勢には苦しい展開を2着に踏ん張ったように持続力はメンバー中屈指だから、バスラットの離れた番手で緩みなく流れればまた粘れるのでは。
東京の良の外差し馬場において、皐月賞組で上げたいのはアドマイヤハダルとヨーホーレイクとディープモンスター。バスラットの逃げであまり緩まないペースと読むならば、友道厩舎らしくスタミナがあってストライドでジワジワ伸びつづけるヨーホーを▲としたい。この◎→○▲で勝負。サトノレイナスは対エフフォーリアという視点でいうならば、牝馬の斬れでビュンと差すには中盤緩んで欲しいか。大穴は前走より追い切りが良いラーゴムと、NHKで不利がありマイラーにも見えないタイムトゥ。
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例によってNETKEIBAの血統解説から、リード文と1~3着を
<ここ5年の勝ち馬でいうと、ダービー後に引退したロジャーバローズは置いておいて、コントレイルもワグネリアンもレイデオロもマカヒキも2400よりは2000がベターの中距離馬。5頭の父はディープインパクト4、キングカメハメハ1。コントレイルの母母は北米2歳女王、ロジャーバローズの母父は一流マイラー、ワグネリアンの母母は短距離の追い込み馬、レイデオロの母母は快速レディブロンド、マカヒキの母母はアルゼンチンのマイルG1勝ち。「父が2400の大レース勝ち馬で、母や母父や母母がマイラーで、自身は2000ベスト」という馬が勝ちやすいのがダービーというレースなのだ>
シャフリヤール
アルアインやダノンマジェスティの全弟で、母ドバイマジェスティはBCフィリー&メアスプリント(米G1・ダ7F)勝ち。母父Essence of Dubaiはスーパーダービー(米G2・ダ9F)などに勝った。同時期の比較でいうと、アルアインよりもしなやかさや軽さは上だがそのぶんまだ非力で、共同通信杯では坂を駆け上がるときにフワッとしてしまった。アルアイン同様2400よりは2000だろうが、高速馬場かつスローならばビュンと脚は使えそう。(距離○スピード◎底力○コース◎)
エフフォーリア
ゴーステディやトールハンマーの甥で、アドマイヤムーンやダガーズアラベスクやダディーズビビッドのイトコ。母ケイティーズハートはJRA3勝(ダ1700~1800)。エピファネイア×ハーツクライだから晩成で長いところ向きの血統といえるが、母母ケイティーズファーストがパワーマイラーなので3歳春の現時点で強靭で、緩さや未完成さを感じさせない。長手の体型を利した豪快なストライドはいかにも東京向きだし、共同通信杯の豪脚再びか。(距離◎スピード○底力◎コース◎)
ステラヴェローチェ
ゴスホークケンやアウェイクの甥。父バゴは凱旋門賞馬でクロノジェネシスやビッグウィークなどの父。バゴ×ディープインパクトはHeight of Fashion≒Burghclereの3/4同血クロス3×4になり、Hyperion的な底力とスタミナと成長力に富む配合といえる。いっぽうで母母はGone West系の軽いマイラーなので全体のバランスも良好。共同通信杯のような上がり特化戦は不向きで、東京の高速馬場でスローになると辛い。梅雨入りを待ち焦がれる。(距離○スピード○底力◎コース○)
私アルアインはムーアで新馬勝ちしたときも毎日杯勝ったときも全然ピンとこなくて、皐月賞勝ったときにやっと強い馬やと思ったぐらいなんですが(^ ^;)、シャフリヤールはデビュー戦からずっと評価してます
あの新馬戦は思い起こせば、新冠橋本産のエピカメサンデーのイッツユアタイム(4着)が出てたので二人で応援馬券を買って「3着ならよかったけどなあ…それにしても勝った馬は別格やな(^ ^;)」
「勝ち馬はさすがに馬っぷり良かったすね。きょうだいのなかでも屈指かも」(10/25新馬戦後のコメント)
「◎はシャフリヤール。アルアインの全弟だが、こちらのほうがディープ的な体質で、新馬戦は11.6-11.5の加速ラップをヌメッと柔らかい身のこなしで抜け出した。これは東京で上がり1位を叩き出せるディープだ」(共同通信杯予想)
私こういうヌメッとしたディープが好きで(^ ^;)、だから共同通信で“ハッとした脚”で勝ったらクラシック◎級やと思ってたんですが、坂を上がるところでフワッとして届かず3着、“ハッとした脚”を使ったのはエフフォーリアのほうだったというね
身のこなしとか体質とか、俊敏さ鋭敏さとかは、アルアインよりもシャフリヤールのほうが全然ディープっぽいんですが、そのぶん全体的に、特に後ろが非力なのが諸刃の剣なのかなあ…と
それと予想コメントにも書いたように、バスラットレオンがうなりをあげて逃げると思ってたので、スローならばという前提で予想してなかったのでね
ダービーが終わってから後付けで言っても仕方ないんですが、共同通信の頃から、高速馬場のスローで世代一速い脚を使えるのは、そういう体質なのはシャフリヤールやと私は思ってましたよ
今日も坂を上がってから前で引っ張るような走りでエフフォーリアを交わすときの脚が真骨頂で、母の北米パワーで内2000を好位で立ち回るアルアインとはかなりタイプが違います
パドックを一周見て「サトノレイナスとシャフリヤールとステラヴェローチェが良い」とコメントしておきましたが、最も好調に見えたのはレイナスで、シャフリは身のこなしから感じられる体質が一頭だけ違ってて、これはハーツやエピファやキンカメやステイでは表現できない、ディープA級産駒しかありえないと断言できる体質ですよね
パドックのエフフォーリアはエピファネイア×ハーツクライというイメージ以上にいかつさを感じさせる馬で、あのいかつさはヒシアマゾンでありアドマイヤムーンでありケイティーズ牝系なのだと、1/4マイラー配合の賜物なのだと改めて思わされます
武史はタイトルホルダーの持続力は弥生賞で乗って承知してますから、ここも皐月賞のようにタイトルの後ろをとるだろうと考えられたし、バテない先行馬の後ろにいたら詰まる可能性は低いですからね
ただし武史と田辺にとって誤算だったのは、バスラットの逃げが思いのほか中弛みしてしまったことで、瞬発力のないタイトルがモタつくのをアッという間に交わして先頭に躍り出たエフフォーリアは、併せる相手を当然外にいたサトノレイナスに変更、しかし「最後は外にモタれていた」とルメールが言うように、レイナスが外へ外へと行ってしまったので、けっきょく先頭に立ってからしばらく1頭で走ることに
あそこで併せ馬になっていたらもう少し頑張れたのではないかとも思いますが、まあ最後はディープとハーツの差、こういう高速馬場の上がり特化戦ではディープが上だった、という適性の差にも見えました
中盤緩んで上がり特化のダービーといえば、レイデオロとスワーヴリチャード(上がり11.5-10.9-11.4、ルメールが緩んだところで押し上げたのはレイデオロと同じ)、マカヒキとサトノダイヤモンド(11.6-11.0-11.6)、ワンアンドオンリーとイスラボニータ(11.6-11.1-11.7)、エイシンフラッシュとローズキングダム(11.3-10.8-11.3)、だいたいピッチがストライドを制すもんで、東京2400適性ズンドバというほうが惜敗するもんで、エフフォーリア陣営は悔しいでしょうが、東京2400で最強を証明するチャンスはまだあります
ステラヴェローチェは高速東京なら要らないと思ってたので前日予想では余裕の無印でしたが、パドックを見ると-12キロでダービー仕様にバッチリ仕上げてきたというか、なるほどこれはれっきとした中距離馬やという体つきに見えました
「…すんません、ステラも3着に塗ります」とコメントしておきましたが、それにしても上がり1位タイの脚で追い込んでくるとはビックリで、ホンマにこれもいい馬ですね
けっきょく今年のダービーも「父が12Fで、母か母父か母母がマイラー(スプリンター)」という馬が1~3着を独占、いっぽうでグレートマジシャンやサトノレイナスやタイトルホルダーのような「中距離×中距離×中距離」はその後塵を拝したという結果に
上がりのケイバになってマイラー質の脚を要求されたというのもあるでしょうが、ディープインパクトやエピファネイアやバゴやドゥラメンテの産駒が3歳5月末にある程度完成するには、母方からマイラーっぽい体質や筋力を1/4ぐらいは受け継いでいる必要があるのだ、という言い方もできるでしょう
ドバイマジェスティの母父Great AboveはUnbridledの母母Charediと3/4同血の名血で、Unbridledはコントレイルやグランアレグリアの母系にも入りますから、ディープ産駒が3歳春に完成するための有力な筋力を補強できる北米パワー血脈といえますね
明日は京都に帰省しなければならず、今日のうちにダービー回顧を書いてしまおうということで、ビール飲みながらサラッと書いてしまいました…最後はディープがビュンと差して締めくくりましたが、面白いクラシックロードやったと思います(・∀・)
全兄弟でも全く違うタイプで、それだけに父母の優秀さが際立ちますね
先頭に立ってからも併せ馬の形になったらもっと踏ん張れたかもしれない、頑張れたかもしれない、と言いたかったのです
ディープ、キンカメ亡き後、キズナ、エピファネイアの存在感が増す一方で、期待のドゥラメンテ、モーリス合わせて5百頭以上の種付けでこれでは寂しい。いずれも重賞馬は出ており晩成力もあるはずなので今後に期待するしかないですね。