オルフェーヴルの3傑、ラッキーライラック、エポカドーロ、ロックディスタウンに共通するのは
・母が優秀なマイラーであること
・母が(フォーティナイナーをはじめとする)Mr.Prospectorの血を引くこと
他にも注目すべき共通点はあるのですが、ここでは焦点を絞ってすすめます
ライラックスアンドレースはアシュランドS(米G1・AF8.5F)勝ち馬、ダイワパッションはフィリーズレビュー勝ち馬、ストレイキャットは自身は1戦未勝利でしたが、中距離の種との間に優秀なマイラー(タガノエリザベート、キャットコイン、ワンプレスアウェイ)を次々と産んでいます
TARGETによると、現3歳の芝勝ち鞍603のうち、4角5番手以内での勝利は470(78%)でした
ここまでオルフェーヴル産駒は芝で17勝をあげていますが、うち15勝(88%)が4角5番手以内での勝利で、差して勝ったのは、ラッキーライラックの阪神JF(4角8番手)とササノユキオルフェの未勝利勝ち(4角13番手)だけ
レーヴドスカーといえばナスキロ血脈の塊のような名繁殖で、何を付けてもしなやか柔らかストライドで走る仔を出し、産駒の重賞連対8は全て大箱で全て4角8番手以降
そんなレーヴドスカーを母に持つレーヴドリーブでさえ、未勝利を勝ったときは4角5番手の好位差しやったのです
競馬における“スピード”の定義というのもあやふやなものがありますが、前にいないと勝てないというのは、スピードの絶対値・最高値が高くない証といえるでしょう
なぜ種牡馬オルフェがスピードを伝えにくいのか、アベレージが高くないのかという話はこれまでも少しずつ書いてきたつもりですが、一から説明し出すと長くなるのでそれも置いときます
で、スピードの最高値が高くないという前提で話をすすめると、脚をタメて直線ゴボウ抜きなんてなかなかできないわけですよ
後ろからビュンと抜く脚がないなら先行して粘るしかないし、先行するにはマイラーの母から先行力を受け継ぐしかない
だからラッキーライラックもエポカドーロも、トライアルの乗り方は実に正しい
外回り桜花賞は名うての差しレースで、良馬場で行われた過去10Rの連対馬20頭のうち、4角で5番手内にいたのはたった5頭しかいません
勝ったのはダイワスカーレットとアパパネとレッツゴードンキで、ドンキの歴史的な超スロー逃げ切りはひとまず置いとくとして、外回り桜花賞を先行押し切りで勝ちきってしまうような馬は三冠クラスなのだ、という結論にすらなります
そもそもステラマドリッドといえばミッキーアイル、アエロリット、テイエムジンソクとアメリカンな先行牝系で、だから桜花賞のラッキーライラックも4角5番手内にいるべきだろうと
それで勝つとしたら三冠クラスで、勝つとしたらフォーティナイナー色のパンツで、勝てなければそうではなかった
月曜の入口として、そんなことを考えてみました(・∀・)
https://blog.goo.ne.jp/nas-quillo/e/fbcb06405f67a89badb3a208eac91e97
「古今東西リーディングサイアー級の種牡馬というのは、だいたい父母か祖父母に強いクロス(それもその時代の先端のスピードの血の)を持っていて、緊張と緩和のリズムに優れた配合をしているもの」
「オルフェーヴルは母母エレクトロアートがHyperion4・5・5ぐらいで、近い世代にこういう“緊張”を持たない」
「あの抜群の運動神経や俊敏さが高確率で伝わると言い切れるほど、近世代にスピードが固定され保証されている配合ではない」
シンザン記念回顧~タキオン+Hyperion=ダスカ型配合 の本文より
https://blog.goo.ne.jp/nas-quillo/e/14e2a8acf5520291417f7852cb0b97f0
「実はノーザンテーストのクロス以外にあんまり褒めるところも見当たらない配合」
「ノーザンテーストのクロスはパワーと粘りとして発現する事が多い」
「後ろでタメてもズバッと斬れる脚質ではなく、Hyperionらしさで頑張るにはやはり前々で運ぶべき」
「なぜ種牡馬オルフェがスピードを伝えにくいのか、アベレージが高くないのか」については、この辺に大体指し示されていると思います
・父母祖父母ぐらいの近い先祖に有力なスピードの固定(優れたスピードの血のクロス)がない
・エレクトロアートの牝系がステイゴールド×オリエンタルアート以外に目立った馬が出ていない
主にこの2点から、アベレージの低さとスイートスポットの狭さはある程度は想定できた、ということです
ラッキーライラックは、Special牝系とのニアリークロス及びライラックスアンドレースの優秀さによって、「エレクトロアート牝系の補修」に成功したようですが、やっぱり「真の名血、真の名繁殖、真の名種牡馬」には敵いそうに無いですね…残念ですが