栗山求/望田潤監修「パーフェクト種牡馬辞典2024-2025」

第73回安田記念回顧~マイルの女王、Halo的に、鋭敏に

2023-06-06 13:05:26 | 血統予想

東京11R安田記念
◎2.メイケイエール
○14.シュネルマイスター
▲4.セリフォス
△5.ソダシ
△18.ソングライン
×3.ジャックドール
豪華メンバーが集ったといわれる今年の安田記念だが、グランアレグリア引退後は絶対的横綱不在で、マイルG1の勝ち馬がコロコロ変わる状況で、だからこそ豪華に見える(タイトルホースが多い)ともいえるのでは。
シュネルマイスターもセリフォスもソダシもソングラインも一流のマイラーだが、どんなレースになっても、どこからでも勝ってしまうような絶対王者ではない。ジャックドールはマイルには対応できると思うが、ワンターン大箱ではコーナー加速力のアドバンテージがない。
今回展開やペースがハマりそうなのは…という大関たちの順列で悩むぐらいなら、そんな予想をこねくり回すぐらいならば、ピュアスプリンターではない、マイルで優雅に走らせてあげたいと言いつづけてきたメイケイエールが優雅に走るのを見守りたい。
ジャックドールはマイルではそんなに初速は速くないだろうし、ウインカーネリアンはかなり外にいったので、池添が引っ張らずに行かせればハナに立てるのではないか。優雅なフォームで差し切った京王杯が1.20.2。45秒後半-46秒前半で走破できれば92秒。1分20秒で走破してあと1Fを12秒で踏ん張れば1分32秒。
…こうして書いていても半分無理筋な気はするけれど、明日は良でやれそうだし思い残すことはない。ヴィクトリアマイルに登録があったときから骨を拾う覚悟はできていた。直線先頭でも、ゴール前で差されても、早々と失速しても、ゴールまでその姿を追いつづけたい。

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例によってNETKEIBAの全頭解説からリード文と1~3着を

ディープやSキャットのナスキロ差し優勢、先行ならヌレサド重視で
22年勝ち馬ソングラインはキズナ×シンボリクリスエス、21年ダノンキングリーはディープインパクト×Storm Cat、20年グランアレグリアはディープインパクト×Tapit、17年サトノアラジンはディープインパクト×Storm Cat、18年モズアスコットはMiswaki4×3で母父Storm Cat系。安田記念は全体に差し優勢なレースだが、ディープインパクトやStorm CatやSeattle Slew経由のナスキロ血脈が生むストライドが東京の直線で爆発するレースともいえる。いっぽう前で残った馬はというと、ロゴタイプはSadler's Wells≒Nureyev4×4で、アエロリットは母母父Nureyevだから、先行型ならヌレサドを重視する手か。

ソングライン
ジューヌエコールやルミナスウイングの姪で、母ルミナスパレードはJRA4勝(芝ダ1200~1400m)。母母ルミナスポイントはノーザンリバーの全姉でJRA5勝。ディアドラやロジユニヴァースなど近親にも活躍馬多数。キズナ×シンボリクリスエスはアカイイトと同じだが、こちらはHaloとBold Rulerの継続クロスで、無駄のないフォームで走る俊敏マイラー。今年のヴィクトリアマイルも昨年の安田記念も、上がりのケイバを鋭敏に差し切っている。(距離◎スピード◎底力○コース○)



セリフォス
フォルテデイマルミの3/4弟で、母シーフロントはベルトランデュブルイユ賞(仏G3・芝1600m)3着。近親にパシフィッククラシックS(米G1・ダ10F)のGo Between。母父Le Havreは仏ダービー馬でデゼルの母父。母方の血脈構成がアドマイヤマーズと似ていて、ダイワメジャー産駒にしては走りに重厚感がある。母父がBlushing Groom系なので脚質は自在とみたい。マイルCSは見事な追い込みだった。東京マイルならば同じ手でくるか。(距離◎スピード○底力◎コース○)



シュネルマイスター
モーリスラクロアT(独G3・芝1400m)勝ちSerienhoeheの甥で、母セリエンホルデは独オークス(独G1・芝2200m)勝ち。サリオスやサラキアも近親の有力ドイツ牝系だ。母父Soldier Hollowは独リーディングサイアー。父Kingmamは[7-1-0-0]の名マイラーでPersian Kingなどを輩出。母母父が斬れ味のHighest Honorなので、マイル戦なら後傾ラップのほうが脚が貯まって差しやすいイメージ。マイラーズCは体もスッキリ良く見せた。(距離◎スピード○底力◎コース◎)



メイケイエールのスタートが悪く、ジャックドールのユタカも自分のペースでいくという構えで、外からウインカーネリアンがハナへ

カーネリアン自身の前後半は46.0-46.1、東京新聞杯(45.8-46.0)と同じようなペースで走破したといえますが、このペースならG1ホースは余力の追走で、直線速い上がりを叩き出せるという感じ

セリフォスがインを割って出て、ソングラインが外から襲いかかり、シュネルマイスターがストライドを伸ばし、ガイアフォースが間を割ったところがゴールでした

セリフォスはダイワメジャーとRahyとNureyevのマイラーですから、折り合いがつけば何でもできる自在脚質で、ダミアンはマイルCSとは一転した好位差しできましたが、これはこれで持ち味を出せたといえるのではないかと…馬の仕上がりは一番に見えました

シュネルマイスターはいつも書くように、Kingmamのマイルのスピードに母方のスタミナの血で重石をつけて、Highest Honorで斬れに転化したような配合

いかにもルメールがジックリ脚をタメて差す脚質で、マイルだと高速巡行よりは後傾ラップになったほうが斬れを増すところがあって、だから今日もマイラーズC同様斬れに斬れたんですが、ガイアフォースもマイラーというよりは1800質の馬なのでマイラーズと同じように脚を伸ばしました

セリフォスやシュネルが持ち味を出したといえただけに、外から一気に差し切って1馬身1/4差、ソングラインのマイラーとしての性能や瞬発力が際立った安田記念でした

「グランアレグリアのような絶対的横綱不在」などと書いてしまいましたが、これで安田記念連覇とヴィクトリアマイル制覇、先の夏場所の照ノ富士ではないですが、終わってみれば横綱の優勝、マイルの女王が1頭いたという完勝

ソングラインの配合についてはヴィクトリアマイルの回顧を読んでいただきたいですが、これで東京マイルでは[5-1-0-1]、でも下記エントリでも書いたように、Halo的な俊敏マイラーですから、サンタアニタのBCマイルでも鋭く差せるんじゃないですかね

第18回ヴィクトリアマイル回顧~マイル女王の競演、Halo的に、鋭敏に
https://blog.goo.ne.jp/nas-quillo/d/20230516

ソダシもピュアマイラーと言っていい馬ですが、こちらはクロフネ×キンカメらしいパワーごり押しですから、もう少し全体に緩みなく平均に速く流れてほしかったですかね

「メイケイエールはスプリンターではない」と言いつづけてきた手前、ここで負けたらもうマイルは使ってもらえないとも思ったので、骨を拾う覚悟で◎としましたが、出遅れてしまったにしても、こんなにふつうに見せ場もなく大敗してしまうのかと…

いろいろ書きたいことはありますが、クラブの募集が一斉にスタートしてそれに追われてるので、またの機会にします…(東サラとジーワンのピックは然るべきタイミングでやります)

キズナとミッキーアイルはディープインパクト系のフィリーサイアーとして知られますが、これだけ牝馬が走るとなると、クロフネのように肌に回っても優秀なのは間違いないでしょうね

コメント (5)
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