栗山求/望田潤監修「パーフェクト種牡馬辞典2024-2025」

藤田伸二が突然の引退

2015-09-07 16:06:41 | その他

藤田伸二の騎乗というのは一言でいうときわめてオーソドックスで奇をてらってなくて、だからトランセンドもフサイチコンコルドもローレルゲレイロも、ヒルノダムールもエイジアンウインズもアサクサデンエンもダンツフレームもショウナンカンプもアドマイヤドンもシルクプリマドンナもマサラッキもシルクジャスティスもタケノベルベットも、非の打ちどころのない満点の騎乗ではあったけれど、あの日あの時の藤田でなければ勝てなかったと言い切れるほどの超絶スーパープレーというほどのイメージではないんです

しかし海外の大レースでも普段着の騎乗でちゃんと通用する技量とメンタルを持ち合わせていて、ガイジン騎手たちにも一目置かれていたし、武豊、横山典、蛯名といったトップクラスと伍して全くヒケをとらない一流ジョッキーだったことは疑いない

騎乗はオーソドックスで丁寧でフェアやのに、馬から降りると言いたい放題のヤンチャキャラで、そのギャップこそがジョッキー藤田伸二の一番の魅力でした

プロなんやから賛否両論でいいんじゃないですか、競馬を観る側は、馬券を買う側は、苦いも甘いもひっくるめて楽しめればいいんじゃないかと思いますよ

本日18時更新のNETKEIBA「重賞の見どころ」ではセントウルSと京成杯AHの上位人気馬の血統解説を書いていますので、今週もよろしくお願いします

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先週の重賞回顧~Roberto&Nureyevで捲りながら抜け出す

2015-09-07 10:43:31 | 配合論

新潟11R 新潟記念
◎8.クランモンタナ
○7.ダコール
▲17.アヴニールマルシェ
△9.マジェスティハーツ
アヴニールマルシェはサーゲイロードのクロスを持つディープ産駒によくいるトモが緩いタイプで、直線長いコースの中距離戦はベストだが瞬時にトップギアに入らないので、新潟外回り特有のスローの上がりの競馬だとまた少し踏み遅れてしまうかもしれない。函館記念で気分よく行きすぎたマイネルミラノがここはジンワリ逃げるとすると、他にそれほどスピードのある先行馬が見当たらないだけに前残りは十分考えられる。クランモンタナはキャプテントゥーレやアルティマトゥーレの3/4弟で本来は先行粘り強い脚質で、揉まれ弱いので春の新潟記念のように馬群の中だと力を出せないが、ここはマイネルとアーデント以外に確たる先行馬はいないので好位で揉まれず運べるのではないか。となると、ラストインパクトとの叩き合いをハナ差凌いだ昨年の再現があっても驚けない。

小倉11R 小倉2歳S
◎3.シュウジ
○4.レッドラウダ
△13.サイモンゼーレ
キンシャサノキセキはスプリンターズSと高松宮記念の勝ち馬だが、父も母も自身もアウトブリードで、あまり自己主張が強くなく相手牝馬の持ち味を活かすタイプの種牡馬だし、クロスの強い自己主張の強い牝馬との配合に向いている種牡馬でもある。シュウジの母カストリアはキングマンボ×シルヴァーホークだから「ミスタープロスペクター×ヌレイエフ×ロベルト」の黄金トライアングルで、ハーツクライ相手でもスプリンターのツルマルレオンを出したように強大なパワーを伝える繁殖牝馬。シュウジも兄に似たパワー豊富な短距離馬で、中京2歳Sは短距離馬としての性能が卓越していたという勝利で、1200mのペースなら差す競馬もできるだろうし、馬場が渋っても問題ないだろう。レッドラウダはまずまず好配合のダイワメジャー産駒で、差しに回れて道悪をこなせるのでひとまずこれを相手にとりたい。サイモンゼーレも母がノーザンダンサー4×4・5でキンシャサノキセキ産駒としては好配合と言ってよく、行くだけの馬ではないと思うのでここでも印を回したい。

札幌11R 札幌2歳S
◎12.ペイシャフェリシタ
○10.プロフェット
▲3.アラバスター
△11.アドマイヤエイカン
△13.スパーキングジョイ
×5.ラヴアンドポップ
注6.アラモアナワヒネ
ペイシャフェリシタはアネモネSを逃げ切ったペイシャフェリスの妹で、母父ケープクロスはロッキンジS(英GI・芝8F)に勝ったダンジグ系のマイラー。ケープクロスはロジユニヴァースの母父でもあるが、「父中距離(ネオユニヴァース、スペシャルウィーク、ハーツクライ)×母父マイラー」の配合形だから、ロジユニやペイシャ姉妹が力強い先行脚質に出たのは順当といえる。母はネヴァーベンド≒ボールドリーズン5×5で自身はブサンダ≒コートリーディー6×5、夏の洋芝競馬に向いたパワーの血を重ねていて、ストライドは伸びないが手先のパワーが凄い。洋芝小回りの中距離ならこのメンバーでもやれる馬だろう。また母系に入る血がワンアンドオンリーやヌーヴォレコルトと重なる部分が多く、遅咲きのハーツクライ産駒にしては3歳春のクラシックロードで活躍できる配合パターンでもある。アラバスターはレーズドスカーの牝系らしいしなやかな斬れが武器で、本質は小回りよりも直線の長いコース向きだろう。

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新潟記念は「マイネルミラノが中だるみで逃げて前残りになる」という予想だけは当たったんですが、クランモンタナは先行できず馬群の中、向正面で諦めざるをえなかったので実に冷静にレースを観てました(^ ^;)

マイネルミラノは母がSilver HawkとDanzigですからグラスワンダー的で、そこにステイゴールドですから戦績どおり東京より中山向きのパワー加速なんですが、いつも書くように直線が日本一長い新潟外回りといえど、スローの上がりの競馬になるとこういう小回り向きのパワー加速がモノを言う…というのは、ここ数年の新潟記念でマーティンボロ、コスモネモシン、トランスワープといった機動力型が優勢なのを見てのとおり

パッションダンスもLyphardのクロスで母父がSpecial牝系のジェイドロバリー、しかもナスキロのクロスを持たないのでディープ産駒にしてはFair Trial的機動力で走る脚質で、全6勝のうち新潟記念と新潟大賞典以外の4勝はいずれも内回りコース
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103125/

スローになりやすい新潟外回りの重賞というのは、実は小倉記念や福島牝馬Sや函館記念なんかとリンクしやすい質のレースなのだ…ということをまたまた確認できただけの新潟記念でしたが、いやそやから小倉記念最先着のキャプテントゥーレの3/4弟の前残りでいったのに、先行すらできんもんなあ…(^ ^;)

残り400~200mの最速ラップのところで、小回り向きのピッチの効いた加速で瞬時にスピードに乗れる馬が今年も1着2着、そしてミルコはあそこの最速ラップのところでスピードに乗せていくのがとにかく巧い、だから直千競馬も[2.1.0.1]と鬼神(土曜のスティンライクビーは前カベで追えませんでしたが)

小倉2歳は気持ちいいぐらいの読みきりでしたが(・∀・)、予想のキモとしては「シュウジはエンジンの違いで連勝してきたが、ほんとは兄同様のパワースプリンターに見えるので、低調に推移した小倉の2歳戦で勝ってきた馬たちが相手ならば、ここもエンジンの違いだけで勝てるのではないか」

「2歳勝ち馬評価」では毎週3頭ぐらい取り上げて書いていますが、今夏の小倉芝1200m戦の勝ち馬は一頭も取り上げてないんやないかな?ちょっと私の目にはフェニックスも含め低調に映りました

それよりもよっぽどメンツが揃っていたと思われる中京のタイセイパルサー組の2着3着を相手にとってみたら、そのまま2着3着…まあタイセイパルサー自身はフェニックスで完敗の3着やったのでそこは矛盾するんですが、そのあたりは個々の馬の評価など感覚的なものもあるというか、タイセイパルサーよりもタイセイパルサーに負けた馬たちのほうが印象に残ったんですよ

シュウジについては予想コメントで書いたとおりで、母カストリアはGold Digger≒Bramalea3×4、Northern Dancer4×5、そこに父も母も自身もアウトブリードなキンシャサノキセキをもってきた教科書的配合
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2013100783/

今日は出負けして、そこから岩田が少し仕掛けると唸りながら前に取りつくときの脚があからさまにスプリンターで、ここでもまるでエンジンが違いましたが、しかしこれでマイルを抜いて走るのは更に難しくなったでしょう

というわけでキンシャサノキセキは、クロスがうるさく自己主張が強く短距離向きのパワーを伝える繁殖の大きなお尻に敷かれて安心という種牡馬なのですが、そのあたりは下記エントリでも書いています

サイモンゼーレもキンシャサ産駒で、母ポールポジションはNorthern Dancer4×4・5、その母DanehurstはBuckpasser4×4、こちらはPivotal×Miswakiですからナスキロ柔さもあるしなやかタイプでスプリンターというよりは1400m型かな
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2013103760/

レッドラウダはHalo≒Red God3×4・7、そして牝祖AlbertinellaがCrepello×Rockefellaですから「DonatelloとHyperion」の組み合わせで、私がよく言う「ダイワメジャー黄金配合」ですからこれもほめやすい馬
http://db.netkeiba.com/horse/2013105631/

札幌2歳Sは「ハービンジャー産駒のこれから」を展望する上でなかなか興味深いレースだったんじゃないかと

レーヴディソールの息子で、Shareef Dancerの「ナスキロ+Tom Fool」をいじった配合で、レーヴドスカー牝系らしくしなやかにストライドを伸ばして走るアラバスターと、母系にナスキロ血脈を全く引かず、Roberto+Nureyevのパワーと機動力と、フェアリードール牝系のハイインロー的粘着力で走るプロフェット(母がRoberto×Nureyevのパワー特化型というのはシュウジとも通じる)
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2013105930/

配合も脚質も対照的なハービンジャー産駒の対決は、そらまあ札幌1800mならたとえ外伸び馬場でも、斬れ味より機動力がモノを言うという結果に

ハービンジャー初年度産駒の傾向を踏まえた上で、今年のPOGを前にして、「ハービンジャー産駒で芝オープン級を狙うのならば、チューリップ賞やきさらぎ賞で好走してポイントを稼ぐ馬を狙うのならばロカやトーセンバジルのような配合が近道なのでしょうが、しかしその近道を通ってしまうと頂点まで駆けのぼることはできないんじゃないか」と書いたんですが、アラバスターは路線としてはロカやトーセンバジルと同じで、この手のハービンジャーはたしかに外回り向きの斬れやしなやかさを持ち合わせているし芝中距離で勝ち上がりやすいのですが、しかしこの手のハービンジャーはけっきょく、東京や外回りでディープ産駒との斬れ勝負に勝ちきらないと大望は望めない

アラバスターは東京や外回りならもっとやれる馬やと思っていますが、しかしそこで2勝目をあげていざ重賞に挑むとなると、京都外1800mや東京2000mでディープ産駒との斬れ味勝負に勝たなければならない

ならばそこを開き直って、「どうせ斬れ味ではディープにかわなんのやから、内回りを捲るんじゃあああっ!有馬と宝塚と香港で天下取ったるんじゃあああっ!」とパワーと機動力に特化した配合のほうが、ハービンジャーらしい、デインヒル系らしい大物が出る可能性は高いんじゃないかとも

ちなみに「母系にRobertoとSpecialを持つハービンジャー」で絞り込むと、プロフェットとミッキーポーチとパーフェクトビューの3頭が該当しますが、3頭とも小回りで上手に捲れる馬やし、機動力特化の方向としてはわりと上手くいってるように思うのですよ

ハービンジャーの父Dansiliの3代母Sookera(So Factualの母で子孫にも活躍馬多数)は、父がRobertoで、母父Young EmperorはSpecialと同じ「NasrullahとHyperionとFair Trial」の組み合わせです

┌Roberto
Sookera
│  ┌Nasrullah
│ ┌○
│┌Young Emperor
│││ ┌Fair Trial
│││┌○
└△└△┌Hyperion
   └△

プロフェットとミッキーポーチは母父がRoberto系で母母が全姉妹の間柄なので7/8同血ぐらいの関係なのですが、母父がシンボリクリスエスでナスキロもクロスしてしまうミッキーのほうが、機動力特化という点においてはちょっと押しが弱い配合…という見方もできますよね

アドマイヤエイカンは母ペルヴィアンリリーがライラプスと3/4同血で洋芝向きのパワーはあるし、ハーツの男馬だから距離はもっと延びてもいいでしょうが、ハーツ産駒が大物に育つための決め手と言っていいナスペリオン(でいきます)のクロスを持たないので、大箱の高速馬場で斬れ味を要求されてどうか…という面はありそうな
http://db.netkeiba.com/horse/2013106075/

「2歳勝ち馬評価」先週ぶんを更新&煮コゴリ雑感
http://blog.goo.ne.jp/nas-quillo/e/bacf94167e78d6cf0794b85581f65812/?cid=ed2444f5e3ab5202e7850aa0af89b273&st=0

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