即席の足跡《CURIO DAYS》

毎日の不思議に思ったことを感じるままに。キーワードは、知的?好奇心、生活者発想。観る将棋ファン。線路内人立ち入り研究。

サムライサッカーが世界を制する日

2008年05月19日 00時30分53秒 | スポーツ
埼スタ無法地帯!サポーター大暴動(スポーツニッポン) - goo ニュース

昨日のガンバ大阪vs.浦和レッズ。
ちょこっと見てましたが、審判の判定が原因でかなりエキサイトしていました。

今日の朝日新聞。
タイトルは、
微妙な判定「僕らは何も言わない。それがサッカー。」
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判定や相手の激しいプレーに対するガ大阪と浦和の姿勢は、明確に違う。
ガ大阪の選手は、つかまれても引っ掛けられても無言でプレーを続けた。逆に浦和の選手は倒されると大げさなしぐさで審判に相手の反則を主張した。
それが勝敗を分けた。
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ガンバの2点目の得点が象徴的です。

タッチを割ったボールを浦和は自分のボールと思い、
そうでない判定をした審判に抗議の姿勢を見せ、一瞬足が止まった。
集中力が途切れたその一瞬の得点。

チームの姿勢として、今季のガンバは無駄な警告を受けるような抗議をしないことに徹している。
一方、浦和は、試合後も審判に対し、不満をぶちまける結果になった。

そしてサポーターまでもが衝突。大阪のサポーターは3時間も封鎖されたとのこと。

そんな試合を見て、最近読んだこの本を思い出した。
サッカーを知的に愉しむ (光文社新書)
林 信吾,葛岡 智恭
光文社

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この本、スポーツのことというよりも、
世界文化論のような部分が多くてとても面白いです。

上記のような判定でもめた話に関連した内容では、

「フェアの概念に関するヨーロッパとアメリカの思考法の違い。」
ヨーロッパ
運・不運、さらには不公正や不平等は、日常生活においては、それこそいくらでも目にする。歴史の古い社会になればなるほど、社会の不条理や不公正は根が深い。
そのことを身にしみて分かっており、そのことにいちいち目くじらを立てるよりも、不運や不条理をやり過ごし、次に来るであろう幸運を掴む事が大切なのだと考える。

例えば、誤審で勝敗が決まるといった場合。
致し方ない。人間のやることだから時には間違いもある、という寛容さ。

アメリカ
何よりも曖昧さを嫌う。数多くの移民が複雑に入り込んだ社会を構成しているアメリカにあっては、事細かにルールを取り決め、それを厳格に守ってゆく事が求められる。
不公正・アンフェアは絶対悪であり、それにシニカルな態度で耐えている旧世界の人々の処世術は軽蔑すべきものであり、時に糾弾の対象である。

例えば、誤審で勝敗が決まるといった場合。
絶対に許せない。

と、歴史や文化の違いが大きくそこに存在する。

現在、21世紀の日本において。
終身雇用制が崩壊に向かい、安定志向とか横並びといった言葉が死語になりつつある。
ポジションを越えて突出する事を忌み嫌い、賞賛される事もないが、非難もされない仕事振りはもはや認められなくなった。自らスキルを磨き、より良い報酬や環境を求めて、職場を変わる事に対する自由度も高くなった反面、リスクは自分で背負わねばならない社会になってきたのである。今こそサッカー的発想が必要とされる時代になってきたといえる。

言い換えれば、日本がサッカー大国になる本当の条件とは、横並びを重んじて、リスクを背負う事はしたがらないという、従来の日本人の、いささか行き過ぎた集団主義が改められることではないだろうか。

どのようなサッカーを美しいと考えるかは、国によって違うものだし、文化に根ざした考え方は、いかに高度情報化社会となり、ボーダーレス社会となっても、容易に変わる事はない。

サッカーにおける「日本人らしい闘い方」とはどういうものか。

ここで著者は提案している。

タックルされた時、わざと倒れたり、フリーキックをもらおうとする行為はやめる。
ファウルを受けても痛みをこらえて黙って立ち上がる。
相手チームだけでなく、審判の目を欺くなど、駆け引きはしない。
審判の判定には、軽くアピールはするが、それ以上は何も言わず、プレーを続ける。
露骨な時間稼ぎはしない。リードしていても、守りに入らず攻撃的なサッカーを続ける。
相手チームに感謝の意をつくす。試合後は整列して相手チームの役員、サポーターにきちんと一礼する。

日本が目指す「サムライサッカー」。

こういう闘い方で、もしも日本が世界を制することができたら、夢のようです。

これ、サッカーだけの話でないですね。

ビジネスも外交も、これが本来の日本の進むべき方向ではないのか、
と、強く思う今日この頃です。
コメント (7)
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