店員さんが、パジャマ売り場は女性用下着売り場の隣ですと教えてくれた。そこは遠目にも華やぎ、光量もそこだけ多いようだ。こんなので尻込みでは、初級老人の道は遠いと波風は思ったが、心も足もデパート出口に向かっていた。
後ろから、「もしかして、波風さん?」の声。昔の職場の知りあいの女性。頼んで一緒に行ってもらった。消息を語りながら、パジャマ選ぶ。もらう前のママヨさんへのバレンタインのお返し。
足もとにカエル、それも黒。袖にさりげなく傘のアップリケ。このセンスはただものでない。波風がカエル好きだからではない。女性用冬向きパジャマにこのデザインは普通はないだろう。だが、こんなことで驚いているからいつまでも初級老人になれないのだと思った。気づくと、これを包んでもらっていた。