子どもの頃からマンガが好きだった。読むのも描くのも好きで中学の時に友だちと共作で講談社の少年漫画家募集コンクールに出したのが自慢(当然のように落選)。鉄腕アトム、鉄人28号、おそ松くん、などが流行っていたが波風君が好きなのは、マンガ好きと話しても「?」の漫画家ばかりでかなり偏ってというか、マニアックだった。
まずは、杉浦茂。 絵は上手なのか下手なのかよくわからないが、見たことの無い動物や人間がわんさか出て来て筋があるのか無いのかもわからないが奇妙な心地よさに浸ることができた。バックのシンプルさは思い出しても驚嘆、不思議な形の雲がぷかりと一つ浮かぶだけだったり。親戚の家にある、そこにしかなかった本だったから1時間近く歩いて読ませて貰った、毎回興奮していた。愛読書の『少年』には掲載されていなくて古本屋にも無かったはず。
続いて、前谷惟光『ロボット三等兵』。哀愁のギャグ漫画。ロボットを主人公にして人間的過ぎる喜怒哀楽と脆さ弱さに惹かれた。赤塚不二夫の晩年になるほどハチャメチャになるギャグは大の苦手だったが、ロボット三等兵は安心して楽しめた。末期の貸本屋から借りて読んだと思う。
そして、古川タク。漫画月刊誌『少年』に見開き2ページのイラストとエッセイがあった。鉄人28号、鉄腕アトム、矢車剣之助、ストップ兄ちゃん、伊賀の影丸、を読み終わった後に、このページが最後の楽しみだった。イラストの線が何とも味があった。今は龍角散CMのイラスト描いている。
この3人、どれもがシュール、奇想天外で絵の線がノビノビしていて、見たことも聞いたこともない世界をフワッと軽い感じで見せてくれる。今は漫画史上で無視できない個性的作家と評価されている。小学生でこのチョイスはなかなかのものだね(笑)。もう少し経って、砂川シゲヒサに強く惹かれたのは当然かもしれない。今だに、ギャグもリアルっつぽいのもくどいのは苦手、情感に触れ、線にも味が無ければ読み続けられない。
何となく小学生の時に好きだった漫画を思い出した。名前がスラスラ出てきた。習った先生の名前はすぐに出ないのに。思い出しながら、読んでいた頃の風景や匂いが浮かんだ。小学校の卒業写真を開いてみようかなあ。どんなことを思うかなあ。