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小人たちの黄昏(卯):さらば寒空小人

(前回からの続き⇒)
新規の事業所が立ち上がってから、1~2週間となっていたとき。
具体的な業務の手順を伝えられることもなく。
当社に与えられたデスクや周辺の壁には、
ベタベタと資料が貼り出されていった。
本社や顧客サイドからの資料やスケジュール表、連絡先であり。
かなり重要なものだった。
現場長からは…、
「おい、目を通しておけ」と伝えられただけだった。
雑然と壁に貼り付けただけの書面は、あまりにも見栄えが悪く。
しかも、それで業務の把握ができるハズもなく。
現場長を呼び止めて、口頭での確認を求めると、
「引継ぎ用にノートに記したから、それを見ろ!」と、
突き放したような言葉だけだった。
この命令口調は、誇張ではなく。
彼は、手間のかかる仕事を丸投げするように押しつけながら、
具体的なことを問えば「常識で考えれば分かるだろう」などと、
職場の人間が、やる気を失くすことを、平気で口走るような人間であり。
明らかに仕事に対する目的意識が低く。
それを仕方ない…と思って、ノートに目を通せば、
重大な伝達事項や状況報告、経過報告を脈略なく、書き込んでいただけだった。
“何が重要か分からないから、全部、伝えるしかないけど、
口頭で伝えきるほど状況を把握しきれていない”というところ。

そもそも、この事業所は、立ち上がったばかりなのだ。
仕事の引継ぎを、書面だけで出来るハズなどなかった。


(画像は、JR東日本、秋葉原駅)

それでも、またガツン!!と言ってしまえば、
大変な状況にもなりかねなかった。




翌日…、
「書面には、目を通しましたが、
書面だけの引き継ぎでは、行き違いが生じるかと思われます」
「まず現状を把握させていただけませんか?」と、
少し抑えた言葉を用いてみることにしたもの。
「お前は、言い訳ばかりだな…」と言い捨てる始末だった。
一瞬、頭の中が、真っ白になった。
イヤがらせと言うより、挑発でもしているつもりなのか?
この時、よく自制できたものだと思える。
こんな、やり方で、伝達漏れが発生しないハズもなく。
その後も、ほとんど話し合いにもならなかったもの、
事業所の方針や業務での確認する必要があり。
毎度、ひっ捕まえては、気分の悪くなる事態となっていた。

最初から、こちらの話を聞く気などない人間との会話は、意味もなく。
その後、現場長との話し合いは、ほとんど無意味なものとなった。
そして、事業所に配属されていた人員は、
ほとんどPCも扱えないことから、
いつの間にか月末の処理も任されることになった。
「ウルさいことは言われたくないが、大事な仕事をこなせる実力もない」
「それなら押しつけてしまえばいい!」
そんな状況を、ただ黙って受け入れられるハズもなく。
なんらかの行動が、必要となりつつあった。



蛇足:
人の言動や行動には、教養や品性など、色々なものが表れる。
履歴書に書かれた経歴だけで採用されても、
社会人が、それまでしてきた仕事は、言動や態度に出てくる。
“ぞんざいな口調”で、“敬語も使えない”…。
それは、誰に気遣うこともなく、
自分勝手で無神経な言動や行動を繰り返してきたということ。
敬語が使えないのは、あくまで当人の問題でしかなく。
他人からの注意を受け入れることもなかったのだろう。
だから、マトモな言葉遣いができない。
すべての資料やスケジュールを、壁に貼り付けるのは、
要領が悪いからではなく。
仕事の優先度や重要度を判断する実務能力がないからだった。
(2022年3月加筆訂正:続く⇒)



(2022年3月画像追加)
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