ミャオの家より

今はいないネコの飼い主だった男の日常

ワタシはネコである(35)

2008-03-23 17:51:33 | Weblog
3月23日 天気予報、90%~100%の確立どうり、一日中、雨が降っている。九州にしては珍しく、こんな時期まで雪が残っていたスキー場も、この雨で終わりになるだろう。
 二三日、晴れて暖かい春の日があり、その後一日二日と、雨になる。そうして日一日と、戸外に緑が増えてくるのだ。
 今日は、そんなわけで、またワタシは一日寝て過ごすことになる。外の気温は、10度。確かに今までと比べれば暖かいが、飼い主が早々にストーヴの火を消したので、それでは少し寒い。そこで、アンモナイト寝のスタイルで体を丸めて寝ていると、傍にいた飼い主がワタシの体をなでながら、話しかけてきた。
 「ミャオ、いやーきれいな毛皮だな。つるつるとすべってシルク・タッチで気持ちがいいな。サカナは毎日、ちゃんともらえるし、飼い主はやさしいし、夜は外に出て、若いオスネコちゃんたちと遊んでいるし、結構なことだな、おい。
 オマエのそんなきれいな毛皮、なんとかならんかなー。昔はネコの毛皮は、三味線に張るなめし皮として利用されたみたいだが、今では三味線なんてはやらないしなー。いやなーに、オマエもこんなに世話になっている飼い主に、そろそろ恩返しの一つもしてくれてもいいんでないかなあと、思ったんだ。
 たとえばだ、あのソフト・バンクのコマーシャルのとうさん役の白い柴犬。あれはもう今年のワンニャン・アカデミー賞の最優秀主演賞に決定してもいいぐらいの名演だ。特に、かあさん役の樋口可南子の校長先生との掛け合いは最高だ。このシリーズ・コマーシャルに、あのワンちゃんだけがずっと毎回出演している。ということは、出演料ががっぽりと飼い主の元に入っているわけだ。
 他にも、鉄道の和歌山線の貴志川駅には、ちゃんと駅長に任命されて、駅長の制帽をかぶって、乗客たちの相手をしているネコちゃんもいるそうだ。もう、オマエとも長い付き合いだ。そろそろ、ネコの恩返しくらいしてもいいんじゃないかな。
 オマエに稼いでこいとは言わないけれど、たとえば、どのみち抜け変わってしまうその毛をつかって、オレが寝ている間に、機織(はたおり)でマフラーの一枚ぐらい編んで、枕元にそっと置いておくとか・・・すると、朝起きたオレが気づいて、オマエの傍に駆け寄り、二人はヒシと抱き合う。まあ、オマエの肉球の手ではムリか。 
 というのも、ものの本によると、オマエの年、十二三歳というのは、人間の八十歳以上とか。ゲッ、とても信じられない。今でも木に駆け上がり、マイケルや若いネコちゃんとニャンニャンしているというのに。人間と同じで、若く見えるネコもいるということだろうが。そうなると、老い先短いオマエ。悪かった。稼げとは言わないから、おい、死んでも、化けて出ないでくれな。」
 まあ、言わせておけば、勝手に言い放題。バッカじゃないの。ワタシがいなくなって一番困るのは誰ですか。よく胸に手を当てて考えてみて。
 実は、ワタシたちネコ族は、天上の神から、地上の愚かしく考え悩む人間どもを癒(いや)し、助けるべく使わされた天使なのです。その名を、エンジェル・キャット。幼き子供から、老いたる人々まで、その心を慰め、癒す正義の味方。ネコのたたりとか、化け猫とか恐れられるのは、ワタシたちに害を与えた人間どもに、誰あろう、神様自らが下されたお仕置きなのです。
 ・・・それを分かった上で、ワタシに勝手なことを言っているのであろうな。この眉間の、流星天白の紋様が目に入らぬか。ワタシを誰と心得る。天使のネコ、略してテンネコなるぞ。寝てばかりいるのは、歌にもあるだろう、「ネンネコしゃっしゃりませー、寝た子の可愛さー」と、おぬしらを慰めているのじゃ。よいか、以後気をつけるように。
 「ははー、それとは気づかず、ミャオ様、とんだ失礼を。」
 なに、分かればよい。以後、励めよ。ワーハハハハハッ。「人生楽ありゃ、苦もあるさー・・・」と歌が流れ、ワタシは夢の中・・・。
 

 


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