普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

政府事故調の報告の疑問点・事故後の注水に就いて

2012-07-27 16:46:28 | 電力、原発

・非常に大きな被害を受けた第一を被害の少なかった第二の例を上げて批判・最近の反原発デモを煽りかねない後ろ向きの報告・安全基準作成とうの前向き提案を導くような報告を
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  今日は昨日少し触れた政府事故調査委員会の報告の疑問点を事故後の注水に焦点を絞って考えて見ました。
 最初に沸騰水型の原子炉の構造図をご覧下さい。
 残念なことに下記のような配管がついた図面をネット上で見つけることが出来ませんでしたので、ご了承下さい

・高圧注水系(HPIC)
 原子炉→蒸気→タービン付きポンプ→蒸気→圧力調整室
  タンク→水→   同     →水→原子炉 
・低圧注水系(RCIC)
  ポンブ・消防車など→水→原子炉    
・低圧系配管(ベント配管)
原子炉→蒸気→バルブ→蒸気→圧力調整室
・政府事故調の報告の夜のNHKの解説 (括弧内は私の意見です。)
 原子炉の圧力を下げるため圧力調整室に(設計通り)蒸気を流した→電源喪失による冷却停止のために、設計以上の高温蒸気のために室内の水が沸騰していまい原子炉の圧力が下がらなかった。(高圧注水系のタービンの出入り口の圧力差減少のため出力の低下→原子炉の圧力上昇)
 その間原子炉や格納容器に付属したSR弁(蒸気逃がし弁)から放射性ガスが外部に放出され、炉内注水が遅れたためにメルトダウンが起こった。
 なおNHKの解説に就いては阿修羅さんが一部触れているのでご参考までに。
・非常に大きな被害を受けた第一を被害の少なかった第二の例を上げて批判 (括弧内は私の意見)
福島第二:高圧注水系を使って低圧注水系が使えるまで切れ目なく注水を継続(総ての電源が生きている)
福島第一:2、3号機は高圧系注水停止から6時間半から7時間半まで注水の空白があった。(AC、DCの総ての電源なし、ブラックアウトと言う最悪の条件の状態)
評価:福島第二では代替え手段が実際に機能するかを確認、その対応が取られた。第二の社員は「準備するのは当然」と述べており、事故発生時の作業手順が共有されていた。(第一の人も同じ東電社員だから訊けば似た考えを言う筈)
低圧系注水系作動中も圧力、水温を監視しながらてき適切な手段が取られた。それに比し第一は外部電源の使用可否、作業環境の違い考慮しても対応は適切さを欠いていた。(第二も厳しい環境だがマニュアル道理に進めるだけ。第一は環境が余りにも悪すぎる。)
 この問題に関して福島第一と第二の被災の状況をご覧下さい。

 一番大きな違いは非常用ディーゼル発電機・電源装置を第一ではタービン建屋に置いたのに比して、第二では水密性の高い原子炉建屋に置いたために、その発電機、電源装置が総て助かったことです。
 だから第一の人達は緊急時の操作に第二に比して非常に大きなハンデを背負っていたことは誰にでも判ります。
発電機も勿論ですが、設備の運転に不可欠な機械や計装の多くにDCが使われています第一はACの通常電源だけでなDCの電源まで喪失したのです。(前述の阿修羅さんの文章に電池の獲得に混乱した模様が書いてあります。)
・脱原発のデモを煽るような事故調の報告
 報告書では第二の人の言を引用して、第一では困難な状況な中でマニュアル通りのことが出来ず、必死の覚悟で停止操作に当たった人達を批判しています。
 そして一般の人達に原発の現場でこの様な人達がいては、原発が危なくてしようがないと言う印象を与える愚をおかしいのです。
 まるで国会の事故調査委員長の原発の事故は日本の文化が起こしたものだ、だから日本人に原発の運転を任せてはいけないと似た暴言です。
・現場を知らない事故調 事故調は福島第一、第二にTPM(Total Productive Maintenance 全員参加の生産保全)の運動が行われていたのに触れて居ません。
詰まり品質管理活動→自主管理活動→改善活動の工場版です。
これは設備や運転、管理の諸問題を取り上げ、討議の上改善提案をするものです。
だから第二に非常用ディーゼル発電機・電源装置が第一と違って水密性の高い原子炉建屋に置いたと言う情報を聞いて、第一ではどうすれば良いかと言う議論が出たはずです。
何しろ一旦事故が起きれば自分達の生死に関わる事ですから出ない筈はありません。
私の長い経験からの考えと、今まで報道から考えれば、現状のままで落ち着いていることは、現場の改善提案を経営側がそのような経営を無視した提案は賛成できないの言葉で却下したに違いありません。
調査委員が現場に詳しければ直ぐ気づき、TPMの会議記録を見れば一目で、東電の体質、原発の基本的な問題点に直ぐ気付く筈です。
 原発に関しては特に絶えざる設備の改善・強化、運転・保全管理方式の質の向上が原発の維持の原則であることで。 (IAEAも最終報告で絶えざる検査方法の Updateとの質の向上とその質の向上の必要性を言っていました。)
・同じ報告をするのなら役に立つ前向きの事故の報告を
・前に書いたような管理面での前向きの指摘
・地域の首長達が希望する安全基準の作成の参考になるような具体例、例えば今回の例で言えば
緊急電源の設置場所は水害の影響を受けない所に設置する
外部電源、タンク類や付属配管の地震・津波対策を考えこと
沸騰水型と加圧水型の選定の地震・津波による被害とその対処法を考慮すること
などなど前向きな報告にするべきでした。
・日本の文化的なやり方で選ばれた3事故調査委員
それから国会の事故調査委員長の言葉を借りれば、この種の委員の選定に当たっては、名前だけ有名で現実は素人、公平の意見を訊くとしてずぶの素人の人選と言う日本の文化的なやり方を辞めて、あくまでも実利主義で選択することです。
詰まり昨日も書きましたが、こと原発の安全基準作成の中心は原発運転・保全のベテラン、原発全体の設計の第一人者を全国から選ぶことです。

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