普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

福島第一の事故は日本の文化が原因???

2012-07-15 16:08:35 | 電力、原発

・外国紙から事故の原因を日本の文化にするより個人の責任だと窘められた黒川さん・素人の調査員で事故後の事ばかり時間と人を割いた調査委・未だ事故原因が判らないと言われている事故報告書
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 昨日に引き続き原発問題を取り上げることをお許し下さい。
 と言うのは、昨夜のある人のブロクで、国会事故調査委員会の黒川さんのタイトルのような発言の問題点について書くのを忘れていたのを思い出したからです。
 詰まり国会事故調査委員会の最終報告書の英語版で、「事故の根本原因が日本人に染みついた慣習や文化にあると批判。権威を疑問視しない、反射的な従順性、集団主義、島国的閉鎖性などを挙げ、{事故はメード・イン・ジャパンだったことを痛切に認めなければいけない」としたことに対する英国紙の反応について書こうと思っていたのです。
 この部分について、国会事故調査委員会の黒川清委員長は、日本外国特派員協会で会見し、報告書の英語版に自らが寄せた序文にあると明らかにしたそうです。
「国民性が事故拡大」英各紙、国会事故調報告に苦言 (産経新聞より)
 東京電力福島第1原発事故の国会事故調査委員会が5日に最終報告書を提出したことについて、英各紙は日本文化に根ざした習慣や規則、権威に従順な日本人の国民性が事故を拡大させたとする点を強調し、「日本的な大惨事」に苦言を呈する報道が目立った。
 ガーディアン紙は「フクシマの惨事の中心にあった日本文化の特徴」と題した記事で報告書の前文について、「重大な報告書と文化を混同することは混乱したメッセージを世界に与える」と批判した。
 一方、「非常に日本的な大惨事」との見出しで報じたタイムズ紙も「過ちは日本が国全体で起こしたものではなく、個人が責任を負い、彼らの不作為が罰せられるべきものだ。集団で責任を負う文化では問題を乗り越えることはできない」とコメントした

 何故黒川さんは英国紙から逆にたしなめられるような日本の恥となることを発表したのでしょうか。
 この序文について委員達の了解を得ていたのでしょうか。 
読売の「Come on ギモン」でもアメリカの日本政治専門家ジェラード・カーティス氏が英ファイナンシャル・タイムズ紙へ寄稿し、「そういうなら、リーマン・ショックの金融危機がアメリカ文化のせいだ、というのと同じ」とかみついている。米通信社なども、その点で疑問符がつくと批判しているそうです。と紹介し調査委員会に国会議員を入れるべきだったと解説していました。
私は最初から委員会には原子炉学者でも原発の浅くても広い知識を要する原発の運転・保全には素人同然だから、原発の現場に詳しい人か設備保全の専門の「日本プラントエンジニアリング協会」の推薦者を出すべきだと書き関係の国会議員にも投書したのですが。
  現実は専門外の学者と文字通りのスブの素人も入った委員達。
   だから報告書の大半は原発事故発生以後の混乱した後処理問題ばかり。
   勿論これも大切ですが、原発は事故を起こしたらお終いの設備ですから先ず事故の直接原因の究明を中心にすべきなのに。
・調査委の報告した事故の直接原因
然しその事故の直接原因の内容は1号機の水漏れの可能性や外部電源設備の破損、緊急電源装置の一部故障を取り上げて事故は津波だけでなく地震の影響も考えるべきと言っています、水漏れも外部電源の破損は既知のことばかり。
 調査委員会の唯一の発見は緊急電源装置の一部故障だけ。
 新聞には出ていませんが、保安院が指摘し改善されまた計画中のもの原因は?
 もし設備の運転・保全のプロが入っていたら、現場で発足していたTPM活動に注目したでしょう。(その存在は Wikipedia 福島第一に記載されています。)
 これはTotal Productive Maintenance (全員参加の生産保全)で全国的に広がっている自主管理活動、改善活動の一種です。
この運動は改善活動ですから、例えば緊急電源装置が福島第二に第一と違って水密性の高い原子炉建屋にいれられたと言う情報が入れば、第一はどうすれば良いかと言う議題が出るのは当然です。
 女川では貞観の津波を考慮して高台に設置とか、報道にあるように想定外の津波対策案がでたとき、核と言う厳しい危険に毎日直面している現場からどうすれば良いかと言う、提案が出るのは当然です。
そしてその安全側だが金のかかる提案を経営側はどう対応したかも、議事録を見れば直ぐ判ることです。
想定外の津波の問題については報告書にあるように技術的に優位にある東電がそれに劣る規制側に押しまくって見送りに終わったそうです。
同じ対立は当然に現場と東電の経営側にもあったかも知れないと言うのは誰でも考えつくことです。
事故後の吉田所長の東電幹部を無視した原子炉への注水。
事故処理の真っ最中に吉田さんが発信力のある青山繁晴さんを原発に招きいれて、防潮堤の新設の必要性を訴えたことなど考え合わせれば、安全第一で考えた現場の提案を経営を優先する経営幹部が拒否するという、ぎくしゃくしたものがあったかも知れないことは容易に想像できす。
もし調査委員会がTPMの会議記録を調べれば、数多くの然も重大な設備や管理上の問題点の情報が判ると筈だったのに。
このようなことは何処の会社でもあることで、もし私が言うように現場に詳しい人達がみれば直ぐに気がつく問題です。
そして黒川さんの言う事故の原因は日本の文化というより、はるかに簡単な理由で外国紙も指摘したような経営幹部が事故防止より経営の改善、端的に言えば金のため方針を誤ったという個人の責任になるのは当然です。
結局、事故調査委も事故原因の継続的調査委員会の設置を提案して、調査不足を事実上認めています。
昨夜のNHKの「激論!ニッポンのエネルギー」で政府の提案した将来のエネルギー政策と原発のあり方に対して原発維持、反対の間での討議の模様を放送していました。
 その中でも視聴者からの「原発の事故原因も判っていないのに将来のことを討議するのは早すぎる」とのコメントが流れていました。
 番組の終わりに関西経済連合会副会長の角 和夫さんが原発の事故原因一つ一つ潰して行かねばならないと言ったのが印象的でした。
 現実でも原発再開を目の前にした地域の首長から事故原因の解明とそれに基づく安全基準の提示を求めているのに、何カ月もこの程度の調査で良かったのか、黒川さんの方こそ、そして国会事故調査委員会の発足を企画した国会議員も良く反省すべきだと思うのですが。

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参照:原子力行政に役立つのか国会の原発事故調の報告