普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

原油価格暴騰で日本が出来ること

2008-06-30 12:10:11 | 国際社会

 ガソリンの価格上昇が止まらない。
 28日の読売新聞
レギュラーガソリンの全国平均価格は、6月23日時点で1リットル=172円まで上昇している。新日石の中村雅仁常務は27日の記者会見で、「(卸価格の値上げにより)8~10円程度上乗せされる」と指摘し、7月中に180円台に達する見通しを示した、と報じている。

[今まで日本の銀行がやってきたこと]
 この問題については日本が考えねばならぬこととして、24日の投機資金の横行と日本
で、投機資金の横行の対策として、投機的な動きへの規制強化とその規制に消極的な困った米国との関係の見直しを上げた。
 実はその他に考えたのは「日本銀行の貸し出し金利」の引き上げだ。
 飽和状態になった日本経済と金余り現象で、企業の資金需要が減少したいま、金利を上げても大きな影響は出ないし、原油のバブルのブレーキになるのではないかとの発想だ。
 然し、これは経済の影響、金繰りに苦しむ中小企業への影響など考えると対策の中に入れる自信がなく省略した。。

[貞子さんの意見]
 然し昨日金融問題を専門に扱っている「貞子ちゃんの連れ連れ日記」
に私の思いつきに似た考えが載っていたのでその要旨を紹介する。

 タイトルは「日銀の金利引き上げへの転換が世界の資源バブルを鎮圧する」。
・21世紀の新型スタグフレーションの主犯格は世界の過剰流動性160兆ドルだ。
・世界の過剰流動性を、人的被害を最小限度にとどめて、上手にコントロールし、世界の過剰流動性の抜け道をいかに上手に安全に作ってやる、世界の一番のキーパーソンが日本だ。
・日銀が金利引き締めへと動くだけで良い。
 「超」の付く金融緩和を日本銀行が解いて、金融引き締めへと勇気を持って方向転換すれば良いのだ。
 金利の引き上げといっても、先ず日本銀行がその意志を世界に明らかにし、上げるにしても長期金利が3%前後になる程度に向けてのちょっとずつの引き上げで十分なのである。
・金利が上がり始めたら、世界の過剰流動性は日本市場へ必ず再び戻ってくる。
・日本が強い意志で「金利を引き上げる」「金利を継続的にノーマルな状態まで上昇させるメッセージ」を世界全体に示せば、日本円も強くなる。
・円高政策が継続されると世界が判断したら、過剰流動性は日本の株式市場にも債券市場にも継続して流れ込むようになる。
・日本国内の金利が上昇して円高に転ずれば、日本国内の個人は、たとえ給与・賃金が上がらなくても、金利収入は増えるし、円高による物価安で可処分所得も増える。
・日本株式市場も日本債券市場も再び活性化する。
・世界の過剰流動性による資源・コモディティー価格急騰の鎮静への引き金を引ける状況に立っているのは、いまや世界では日本経済だけである。
・日本が金融を引き締めに転じたら、世界の過剰流動性の向う矛先の一部が枝分かれして、日本にも向かってくる。
 資源・コモディティー価格が値下がり始める。
・今の日本は、世界の資源高に伴うスタグフレーション解消に「最も深く強く」貢献できる立場にある。
・まわりまわって、最貧国の飢えている多くの人々をも救うことができる。
 最貧国の現地へ行って食糧を無償で供与するだけが、世界への平和貢献ではない。
・勇気を持って日本国内の「超」の付く金融緩和を解いて、金融引き締めへと転じたら、日本経済も繁栄して、世界平和にも貢献できるのである。
・なにもかも良いことずくめなのである。

[私の意見]
・こと経済問題では政府支出の拡大を肯定する植草一秀、国民新党の亀井静香と、その反対の立場の竹中平蔵、小泉純一郎の各氏の対立に象徴される、大きな意見の対立があり、貞子さんの意見にも反論も多いかも知れないし、彼女が言う様に日銀の金利引上げが日本にバラ色の世界をもたらすかどうかは経済の素人には判らない。

・また私が心配するように、金利引上げで景気が悪化するのか否か、中小企業の経営者や国民(預金金利の上昇は嬉しいことだが)など経済面では弱者にとってプラスになるのか否かも不明だ。

・然し、私も予想した様に、日銀の金利の上昇が原油バブルへの資金流入のブレーキになり、過剰で流動的な資金が日本に入ってきて日本の株式市場を活性化するそなど明らかにプラス面もあると思う。

 少なくとも原油価格の暴騰や食糧などの生活必需品の価格上昇を抑えるためにも、日銀の金利引上げの検討をする必要があると思う。

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拉致問題の今までとこれから

2008-06-29 12:42:56 | 国際社会

 今回の米国の北朝鮮のテロ支援国指定解除の決定について、日本は独自の外交を進めるべきだとの意見が多い。
 それに関して、拉致問題と北朝鮮の核問題についての今までの経過を Wikipedia で調べてみた。
 その個々の問題点については参照資料を見て頂きたい。

[拉致問題と北朝鮮核問題の歴史]
・2002年9月17日:小泉首相と金正日国防委員長が「日朝平壌宣言」に署名し、国交正常化交渉を再開することで合意
・2002年10月4日:北朝鮮を訪問した米大統領特使に対し、「核爆弾の保有を行うためのウラン濃縮計画を持っている」との発言
 米国並びにKEDO(下記注記参照)はこれに反発、代替炉の建設並びに重油の提供をストップ
・2002年10月15日:5人の拉致被害生存者が一時帰国を条件に帰国が実現。
・2003年11月:KEDO理事会は軽水炉の建設を2004年10月まで停止することを決定
 六カ国は以後の「北朝鮮の核開発に関しての査察」について協議
・2004年5月22日:小泉首相と金正日国防委員長が2回目の会談
・2005年2月10日:北朝鮮政府が6カ国協議の中止と、核拡散防止条約からの脱退、さらに核兵器保有宣言
・2006年10月:北朝鮮が核実験を発表
・2006年11月7日 米国中間選挙で、共和党が上下両院とも敗退
  Wikipedia はブッシュ大統領は北朝鮮の核実験、イラク侵攻の失敗と中間選挙での共和党敗北に直面して、北朝鮮の核問題で「変節」した書いている。

[私の意見]
今までの日朝交渉
 小泉さんと金正日さんとの会談は、色々な批判もあるが、日本にしては珍しく田中均さんを中心とする、日本独自でかつ官邸主導型の外交で、「日朝平壌宣言」の署名、国交正常化交渉を再開など一定の成果を上げた。
 然し会談とほぼ同じ時期に北朝鮮の核問題が現実となった
 この問題で北朝鮮との強い対決姿勢を取っている米国にとって、日本と北朝鮮の間で融和ムードが出る事は米国にとってマイナスだった。
 勿論、日本に取っても北朝鮮の核問題は国の安全保証に関わる問題なので、米国の姿勢に協調するしかなかった。
 米国一辺倒の小泉さんは米国に追随し、その後、拉致問題で名を挙げた安倍さんも米国の強硬姿勢に併せて強い経済制裁を実施した。
 その間、拉致問題への北朝鮮の不誠実な対応もあり安倍さんの政策は国民の大きな支持を得た一方、影の立役者だった田中均さんは強い批判を浴びて日朝交渉の場から去ることになった。
 北朝鮮との繋がりが途切れた日本が、拉致問題に対して出来ることは、北朝鮮への経済制裁と米国や中国それに国連に対する協力要請などしか残らず、実質的な問題解決への進展は殆どなかった。

[これからの日朝交渉]
 そして今度の米国の北朝鮮のテロ支援国指定解除の決定だ。
 今、日本に取って出来ることは
・核問題の解決が遅れ米国の指定解除が遅れるのを期待する→文字通り期待するしかない・指定解除になっても今までのように米国の支援を要請する→武力行使の可能性の消えた米国の北朝鮮への圧力の効き目は殆どない?
・経済制裁を続行する→効果激減は眼に見えている
・「日朝平壌宣言」に基づき交渉を再開する
・または以上の幾つかの組み併せ

 「日朝平壌宣言」に基づく交渉の再開は、現在最も確実な拉致問題解決の方法だろう。
 小泉さんの時の交渉は少なくとも国と国の対等の立場の交渉だった。
 その後、色々揉めたが、それは国の交渉ごとにには付き物で、核問題がなければ国交正常化は何時か実現できていただろう。
 正常化に当たっては、朝鮮占領の謝罪と、賠償金の支払い(私個人は認めたくないが)、そして残りの拉致家族の帰国がその主な議題になっていただろう。
 これを拉致問題に限って考えれば、賠償金を払って国家犯罪で拉致されて家族を取り戻す形になるが、両国の将来を見据えた日本としての大局的な判断として国民に受けいれられただろう。

 今回の米国の態度の変化で、政府関係者は拉致問題を促進させるカードとして、大型の経済援助を上げている。
 然し交渉をするにも小泉さんの会談のときと状況が全く違う。
 核の問題で日本独自の交渉の和平交渉が出来なくなった。
 仕方なく、米国の強硬政策に併せて、経済制裁を行い一方拉致問題解決の仲介を米国は勿論中国、韓国に頼むしかなかった。
 そして今度の米国のテロ指定解除の動きで生じるであろう日本を除く他の4ケ国と北朝鮮の間の融和ムードから日本の今までの強硬政策が使えなくなった。
 そんな日本が大型の経済援助を持ち出しても、北朝鮮は立場の悪くなった日本の足元を見透かして交渉に当たるだろう。
 そして交渉が纏まって出る結論は、日本が経済援助と言う名の金を払って拉致家族を取り戻すことになるのだろう。
 詰まり国家犯罪を冒した北朝鮮の一方的な勝利と言う結果に対して、国内からの反発を受けるのは避けられない。

 然しこれは今まで全て米国まかせだった日本が、今後独自の外交の道を歩くために学ばねばならぬ貴重な教訓として受け取るしかないような気がする。

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注記
KEDO:米朝枠組み合意に基づいて、北朝鮮に核拡散のおそれの低い軽水炉2基と完成までの期間の燃料を日本と韓国の費用負担により無償で提供することによって、北朝鮮が保有する黒鉛減速型炉と核兵器開発計画を放棄させることを目的として設立された組織。
参照:
  
北朝鮮核問題
 
北朝鮮による日本人拉致問題 
 
日朝首脳会談 


福田さんを首相にした人達の責任

2008-06-28 11:37:24 | 福田内閣

[ついてない福田さん]
・安倍さんの突然の辞任と言う最悪のときに何の心の準備なしに首相就任
・積年の社保庁問題が引き起こした行方不明の年金
・小泉さんが道路公団の民営化の他には手を着けなかった、道路建設そのもの不合理性と、特定財源を使った無駄遣いなどの国土交通省内部の諸問題の発覚
・小泉さんが作った後期高齢者医療制度の実施に当たり、知られていなかった多くの諸問題が公になった
などなどで福田さん自身の直接責任でない(官房長官としての責任はあるかも知れないが)問題で福田内閣の支持率が20%前後にがた落ちしたところに今度の
 ・今度の米国の北朝鮮のテロ支援国指定解除の決定
で決定的な打撃が福田内閣を襲った。

 政治関係のブログには、福田さんに対して、他人任せで「やる気」なし、最低、無能、即刻辞職すべき、すべて福田さんが悪い、福田さんほど諸外国からナメられた日本首相はいないなどの言葉が並ぶ。

 福田さんだって、道路特定財源の一般化など、野党の攻撃に遇った後とは言え、事務次官会議の後に閣議決定の前例を破って、いきなり閣議決定をしたし、多年の懸案の公務員制度の改革法案も民主党の支援もあって可決させたなどの業績も上げたのに。

[福田さんの責任]
 然し、上記の彼にとって不幸な問題、少なくとも内閣支持率の低下については、彼に全く責任がないと言う訳ではない。
 それはこれらの問題について、他人事のような、批評家のような不用意な発言が支持率の低下に拍車をかけたのは間違いのない事実だ。

 そして彼にとって決定的なのは、今回の米国の対北朝鮮政策の変更への対応だ。
・北朝鮮の態度の緩和に応じて政府が経済支援の緩和の発表をしたこと
・彼の「米国の決定で拉致事件の解決がおくれたとは思わない」の問題発言
 与野党を問わぬ政治家、マスコミの政府の対応に対する批判に、慌てて米国に改めて拉致問題への支援を要請する醜態を演じた。
 また米国の態度変更に関して、政界、マスコミ、ネットを問わず、今後日本の外交は如何にあるべきかなど深刻な議論が起こっているときに、彼の発言はいかにも軽率過ぎ不用意すぎると思う。

[福田さんを選んだ人達の責任]
  然しそのような悪評の高い福田さんを自民党総裁に選んだ人の責任も問わなければならない。
 何故なら、自民党は今でこそ厚生労働省や国土交通省などのチョンボや不祥事続きで気息奄々状態だが、日本の政党のリーダー的地位を保っており、彼らの選ぶ総裁が日本の首相になる可能性が高いからだ。

 安倍さんの突然の辞任当時は麻生太郎さんの人気が圧倒的だった。
 然し麻生さんを支持するごく一部の人達を除いて、多くの派閥の領袖が福田さんを支持した。
 国民たちは彼の就任後間もなく、彼は政治家として有能かも知れないが、少なくとも首相の器でないことを知った。

福田さんを選んだ理由
 プロである政治家、しかも彼に常時接している自民党員は彼のことを良く知っている筈だ。
 それで何故彼を選んだのか、理由は三つ考えられる。
・麻生さんが首相として相応しくない
・麻生さんより福田さんを選ぶ方が自分たちの派閥に有利だ
・まあまあ主義の福田さんはを選んでおけば、後は自分たちの言いなりになる

 私の想像では下の二つが福田さんを選んだ理由だろうと思うが、見逃せないのは最後の「首相を選んで後は自分たちの思い通りにする」考えだ。
 そう思うのは自民党には何度も同じような前例があるからだ。
 名前を上げるのは、如何に匿名で無責任なブログでも、個人の名誉もあるので遠慮させて貰うが、過去の首相の一覧表を見れば直ぐ判ることだ。

 私がそう勘繰るのは、道路特定財源の一般化で(福田さんを首相に選んだ)道路族の人達が、これで彼らの考える道路予算を確保したとも聞こえる発言、改革担当の渡辺喜美さんの提案を、大臣たちが担当の省内とその関係族の意見を代表して、殆どゼロ回答したこと、そしてその大臣たちに福田さんが何も指示もしなかったことなどからだ。

 政権担当機会の多い、自民党の人達は自党やその属する派閥のためもあるだろうが、何よりも日本のための総裁の選び方を見直す時、将来の首相候補になる若い人達の特別教育をする時が来ているのではないかと思う。

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それでも日本は米国について行くの?

2008-06-27 16:07:46 | 国際社会

 米国は遂に北朝鮮のテロ支援国指定解除に踏み切った。
 それも各社の社説が指摘するように、北朝鮮が核開発計画の申告にまだ不十分な所が多く残っているのにだ。
 これについて日本は米国に拉致問題が解決するまでテロ支援国指定解除に踏み切らないように、拉致問題について更なる支援を要請した。
 それに対してブッシュさんもライスさんも「日本の拉致問題」のことは忘れないし、問題解決に向けての支援を約束したが、どれだけやってくれるかの保証はない。
 これで米国の軍事的圧力の背景のもと、米国と連携した経済制裁の圧力に頼ってきた日本の拉致問題に対する政策の変更を余儀なくされることになった。

 これに関して読売新聞は概略
 米国が、北朝鮮に対する有力な外交カードだった「指定解除」を手放し、一段と対北融和姿勢を見せていることで、日本が取れる選択の幅は狭まっている。
 町村官房長官は26日、日本の経済、エネルギー支援が今後、「外交カード」として力を増すとの考えを示した。
 今までの6か国協議では、協議が進展した場合、周辺国が経済協力やエネルギー支援を行うとした。しかし、最大の資金供出国となる見通しの日本は、拉致問題の進展抜きでは支援に参加しない方針を明確にしてきた。今後の対北交渉では、この点が最大の切り札となる見通しだ。
 ただ、日本側が再三反対してきた拉致問題の進展抜きでのテロ支援国指定解除が、今回あっさり行われたことで、日本側には「日米同盟よりも、北朝鮮との関係を優先した」(首相経験者)との不満が募る。
 日本側は表向きは、「日米に亀裂が生じたと受け止められれば北朝鮮を利する」(外務省幹部)として冷静さを保ち、米国との連携を維持・強化する方針だ。

と報じている。

[日米関係強化のために日本がやってきたこと]
・小泉さんはアフガン米国の侵攻を支援し、イラクには野党の猛反対を押し切って自衛隊の派兵を決定した。
 その理由は、戦争による紛争の解決手段のない日本が、ミサイルや核開発をし始めた北朝鮮に関する米国の安全保証を確実に得るためだった。
 またその為に日本は投機資金の横行と日本
の「困った米国との関係の見直し」で書いた様に世界から恐れられ嫌われている米国と同盟関係を結んできた。
・日本は経済的な理由もあると思うが、米国との関係を維持するため約9824億ドルに上る外貨準備高の殆ど全てを米国債の購入にあて、しかも国内では800兆に及ぶ借金を持っているのに米国債の運用もしないままだ。
・あるテレビ番組で某批評家が国内の資金需要が緩んだ今、日本がもし長期金利を僅かでも上げたら、米国の景気が更に悪化するだろうと言っていたが、そうしないのは上と同じ理由だろう。
 最近の話では、
・洞爺湖サミットで、環境問題についてリーダーシップを取らねばならぬ日本が、国際会議で環境問題に消極的な米国の立場を支持して、すっかり信用を落としてしまった。
・食糧危機に当たって政府保有の輸入米をを放出するについて、その最大輸出国の米国の了解を得るなど、米国との関係に非常な留意を払ってきた。

米国の拉致問題へ介入
 拉致問題に関しても、小泉さんの訪朝で急展開し始めたかに見えた日朝関係も、彼の帰国後何日も経たない時、米国の高官(多分アーミテージさんだったと思うが)が来日して、その後の展開が急に止まってしまった。
 これは私の憶測(多分当たっていると思うが)だが、今日に至っている北朝鮮の核問題解決に当たって、日朝の接近は好ましくないという圧力が日本政府にかかってきたのと思う。

[テロ支援国指定解除と日本]
 そしてまた拉致問題の展開に急ブレーキを掛けたのが、今回の北朝鮮の態度の変化を歓迎した日本政府の北朝鮮に対する制裁の一部解除の発表だ。
 これが米国政府に、同国が北朝鮮のテロ支援国指定解除に踏み切っても、日本が依然として米国に追随してくれると言う誤った感触を与えてしまった。

 そして、マスコミ、世論は勿論与党からも政府の考えに反対の声が出て、慌てて米国に要請と言う形のお願いになったのだ。
 定評がある日本の外交下手はここまで来ると呆れるばかりだ。

 然し動きだした超大国の車は止まらない。
 町村さんの言う日本の経済、エネルギー支援の外交カードなどしたたかな北朝鮮にとっては無視され、逆にテロ支援国指定解除に伴う米国や中国、ロシヤや欧米諸国との通商拡大で、日本だけが経済制裁をしても、その効果は大きく薄れ、日本の孤立化に終わると言う足元を見透かされているだろう。

 ここまで来ても日本は唯々諾々と米国について行くのだろうか。
 米国の「日本の拉致問題は忘れないと言う」言葉を信じる他、町村さんの言う対策のほか打つ手はないのだろうか。
 外務省幹部の言う様に「日米に亀裂が生じたと受け止められれば北朝鮮を利する」として冷静さを保ち米国との連携を維持・強化するしかなにいのだろうか。

 唯一つある。
 それは政府は日米連携の強化を強調する一方で、政治家や識者マスコミに日米関係の見直しを匂わせる事だ。
 核開発を含む武力の強化の必要性や、米国一辺倒からからアジアやEUにも重心を移す事、外貨準備を今までの米国債から、一部をEU債にも廻すこと、日本の持っている米国債の運用を図ることなどなど、米国と友好関係を保ちつつ一定の車間距離を持たせる意味のことを言わせることだ。

 外交は一枚岩が望ましいが、他に手だてのない日本は、両面作戦も必要な気がする。
 問題は各マスコミの言うように、米国のテロ支援国指定解除発効までの45日間の勝負だ。
 政府、与野党とも協力して何とか米国に方針転換をさせるように図って貰いたいものだ。

 それにしても、私のような責任のない一民間人でさえ、今にもなって日本の問題の処理を結局は外国に仰ぐと言う、独立国日本として格好の良くない提案をしなければならないとは情けない限りだ。

やはり上記のブログで書いたように本当に米国との関係を見直し、外交面でも一人立ちを考えるべきだと思う。

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地方再生へ頑張る若者たち

2008-06-26 15:36:57 | 地方分権と再生

 先日NHKのラジオで地方再生へ頑張る一人の若い女将さんについての放送があった。

 彼女は島根県大田市の温泉津(ゆのつ)温泉の伝統的な吉田屋で働く山根多恵さんだ。

 山根さんは大阪で地域活性化のアドバイスの仕事をしていたが、明治から始まった老舗旅館の温泉津の吉田屋が経営者を公募していることを知り、応募し採用されて彼女らしい活躍が始まった。

 山根さんのやり方の独特な所は、
・彼女を含む約20人のスタッフは全て20代の若者で占められている(旅館専任は5名)
・料理はすべて手づくり、野菜は自家製か周りの農家さんから仕入れたもの
・営業日は、金、土、日に限る
・残りの月~木曜日はスタッフは自家菜園での農業、岩見銀山など周辺の地域でボランティア活動をする
 なお月~木の空いた部屋は彼らの活動に参加しようとする人達への使用を認めているそうだ。

 彼女は今は旅館の切り盛りはグループの25歳の女性にまかせ、自分は「大女将」としてその後見役となり、対外活動を指揮しているそうだ。
 実際の対外活動としては、
・石見銀山遺跡の付近で生い茂る竹に困っていたのを、竹の伐採から運搬、加工、流通までの過程の流れ作りを目指している。
・東出雲町、島根大学との産学官の連携の組織を設立し、東出雲町の遊休農地を活用して、農産物の生産~加工~流通~販売事業に取り組む。
などの実績があるそうだ。

 彼女の理念についてはラジオでは出なかったが、吉田屋のホームページによると、
・旅館・吉田屋のもうひとつの顔は、「若女将塾」と称した人材育成の仕組みです。
・地域の問題解決をすることを誇りや生きがいとし、社会をよくする動きをつくっていくこと・・・。
・ミッションは、地域に若いマンパワーを注ぐこと。自立する事。知恵を出すこと。
・地域で活躍する一人の人間として、自分が何ができるか?を、仲間と共に働くことで考えていきます。
・私たちが実践する「人々がイキイキと働ける環境創り」を社会のモデルとして全国へ、世界へ発信しています!!
と如何にも若者らしい夢に満ちたものだ。

[私の意見]
 彼ら若い人達の動きは称賛に値するもので、年寄りの眼から見て若さ溢れる行動力など羨ましいばかりだ。
 然し公平にみて彼らの運動は山口県まで拡がっているようだが、それでも地域のほんの一部に限られているし、それがどれだけ発展し継続して行くか判らない。
 その一方彼らの活動は次の様な多くの問題を含み、また多くのこと示唆している。

為政者へ
・地域の実情に適した政策
 地方再生といっても、都市近郊~山間僻地、広大な耕地を持つ北海道~棚田主体の山村、産地の消費者直結~従来型の流通システムなど多くの条件があるので、今問題の「大規模農業に資金援助しその他はカット」などの国の一律なやり方は通らず、地方再生には地域に適した様々の方法を考える必要があるが、山村留学、棚田オーナー制度と並んで、彼女らのやり方も参考にすべきだ。
     
・若い人達の考え方の変化への対応
 地方疲弊の原因は若者の流出があるが、彼女らの活動はその全く反対の考えの若い人達もあることを示している。
 特に若者の流出の問題の出る以前に、農村の花嫁問題(農村の女性が農業を嫌い都会に出たがる)があったが、彼女らのグループの殆どは女性だ。
 詰まり若者の考え方が一昔とは変わりつつあるのかも知れない。
 このような例はごく一部かも知れないが、農山村の高齢化が進む中で、若い人達の考え方の変化を為政者が見落とずに、それを活かして如何に農山村に若い力を取り込むが考えるできだと思う。

若い人達へ
 極端な例だが、秋葉原通り魔事件の犯人の気持ちが判ると言う人達に関連して言えば、彼女らは若い人達には非正規従業員として疎外感を感じながら働くのも仕事、彼女らのように良い自然環境で生き生きとして働くのも仕事と、若い人達には色々な他の選択肢もあることを示している。
 収入の面では或いは工場で働く非正規従業員の方が多いかも知れないが、人は金ばかりでなく、自分の生き甲斐の為にも働くものだと言うことを、単調な仕事を続けた人は実感として感じていると思う。
 勿論、これは田舎の暮らしに限るものではなくて、都会の町工場や個人経営の商店などでも人間として働ける、そして自分を活かして働く道はいくらもある筈だ。
 昔の景気の良いときに比べれば、はるかに厳しいだろうが若い人達の前には多くの選択肢があると思う。
 どうか何事も他人の所為にしないで、彼女らの理念のように「自立し」「知恵を出し」て考えてはどうだろうか。

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少子化と個人の責任

2008-06-25 09:19:54 | 少子高齢化

[人的資源と少子化]
 ひと頃、自然資源の乏しい日本が諸外国との競争中で生き抜いて行くには、勤勉で優秀な「人的資源」に頼るしかないと良く言われたが、最近はこのような話はマスコミの報道では殆どない。
 「人的資源」の話は少子化の傾向が益々加速度的にそして確実に進行している今こそ言われるべきなのに何故だろう。
 政治家も識者もマスコミも完全に匙を投げたのかのように、先ず少子化ありきの前提で話をしている様だ。(中川秀直さんの1千万の外国人労働者導入提案がよい例だ)

 このまま少子化が進めば素人考えでは、日本人が絶滅しそうな気がするが、ある所で落ち着くとでも思っているのだろうか。
 そして日本はグローバル化の波の中で、人的資源の活用以外の方法でどうして生き抜いて行くのだろうか。

 それで今日は「人的資源」のキーワードで日本人としての個人の責任について考えて見たい。

[高齢者への提言]
 今、後期高齢者医療制度の問題では高齢者を弱者扱いにされている。
 テレビで言われるように戦後以来頑張ってきた人が安心して暮らせるようにすべきだと言うのも、該当者としての私に取って有り難いことだ。
 然しそれは一昔の話で、今の厳しい財政事情と、少子化の影響が各方面に確実に出てきている現状では、高齢者が退職後のんびり過ごす時代ではない。
 高齢者がのんびりするのは昔の様にのんびりした時代が再現してからの話だ。
それ迄は
・高齢者も働けるだけ働く
 年金を貰っていれば現在の法定の最低賃金以下でも良いから企業のコスト削減になる。
・働けなくなっても何らかの形で社会に貢献する
 趣味のグループの主催や手伝い、コミュニティーの活動への参加など
・健康に気をつけて医療費の削減に協力する
 運動をする。
 定期健康診断を受け、悪い所があればひどくなる前にすぐ直す
・医療費の削減のため不要な人口的な延命治療は遠慮する
・出来ればコロリと死ぬ(ように健康に気をつける)

「現役、特に40~50代の人達への提言]
・退職後も働くつもりで準備する
 もし他分野に進むときはそれに関しての勉強をしておく。
・健康管理に気をつける
 定期健康診断を受け、悪い所があれば直ぐ直す
 老齢期の健康は40~50代の健康管理に大きな影響がある
 若いときに無理した人達が退職後、高血圧、心臓病など成人病で病院にかかったり、肺ガンなどで早死する例が余りにも多い。
 煙草を止める。飲食は意識してほどほどにする。
・働けなくなっても何らかの形で社会に貢献できるよう準備しておく
 在職中から趣味を持つ、地域のコミュニティーに出来る範囲で手伝うとう

[若い人達への提言]
・少子化の日本に与える深刻な影響を考えて自分の生活設計をする。
 育児より自分の生活が優先という世の中の風潮に惑わされない。
 皆がそう思ったら日本はどうなるか考える。
・自分自身の価値観で自分の生活設計をする。
 男女雇用機会均等法に象徴されるように、仕事に就かない女性が劣っていると言わんばかりの風潮に惑わされない。
 次世代の人達を産み育てるのも、若い人達しか出来ない崇高な使命であることを知る。 社会に出て、自分の能力を発揮するのも生き甲斐があり、楽しいと同様に家庭で子育てをするのも生き甲斐も楽しさもあることを知る。
・自分の老後のことを考える
 多くの子供や親戚に囲まれた老後、たった二人だけの老後のどちら選ぶか
 老後の生活に友達を当てにすると言う人もいるが、私たち年寄りは周辺で、大病に罹るとその本人・家族と友達の間で、互いの遠慮から次第に疎遠になって、次第に家族だけになって行く事実を多く見てきた。

[個人の責任について]
・戦後の民主主義の教育で個人の権利や自由については、充分に教えられてきたが、それに伴う義務や責任についてどれだけの教育がされて来たのだろうか。
・一方、政府や政治家もマスコミも個人の権利について言っても、個人の義務や責任については殆ど触れない。
 その理由は戦前、戦時中のトラウマがまだ残っており、義務とか責任と言えば直ぐに軍国主義に結びつけられそうなのを恐れているからだ。
 そう言う私自身でさえ上記のように各世代への「責任」でなくて「提言」の形で書いている。
 つまり各世代の人達が自分で責任を感じてくれという意味だ。

高遠さん等の拉致事件
 唯一つの例外がある。
 イラクで高遠さんなど三人が拉致されたとき、その家族や支援者(後で左翼系の人達だと判った)が、三人が政府からの要請を無視して行動をしために事故に遇ったことを棚に上げて、救出のために自衛隊を撤退させろなど、あたかも政府の責任のように言い出したとき、政府関係者がそれは自己責任だと言い出したときだ。
 この自己責任の発言は早速多くのマスコミに採り上げられて、政府批判の材料にされた。
 一番呆れたのは、宗教学者までがこれを採り上げて政府批判をしているのをテレビで見たときだ。
 それ以後小泉さんの改革でしばしば自己責任の言葉が出たが、これは規制を外した以上の責任は企業や自治体にあると言う意味で、マスコミはその事実に就いては批判はしても、自己責任と言う言葉については殆ど反応しなかった。

秋葉原通り魔事件
 そして秋葉原通り魔事件が起こったとき、ネット上では犯人の自己責任だと言う言葉が多くの書き込みで見られたが、マスコミでは犯人個人の背景を探っても、それは一時的で非正規労働者の置かれている事件の環境などの背景の追求に多くの時間を費やしている。
 これは犯人の同じような環境に置かれている人が見れば事件の正当性を訴えているようなものだ。

 不祥事を起こした企業や政府関係者の個人の義務や責任の問題は追求しても一般個人の責任を追求しないこと、政府や政治家も個人の責任については高遠さん事件以来口にしないことが、どれだけ社会にマイナスの影響を与えているのだろうか。

 いずれにしても、最初に書いたように、
・自然資源が乏しい日本が諸外国との競争中で生き抜いて行くには、勤勉で優秀な「人的資源」に頼るしかないこと、
・少子化の傾向は益々加速度的にそして確実に進行し、いまは殆ど既成事実かしている、
と言う事は間違いの無い事実だ。

 このような日本に取って大きな問題でも、各世代とくに少子化については若い世代の人達が自分で責任を感じて貰うしか解決の道はないのだろうか。

 唯一私が考えつくのは、各マスコミがこぞって大々的に少子化防止に関連した個人の責任のキャンペーンをやること位しか無いのだが。

参照:→カテゴリー → 少子高齢化

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投機資金の横行と日本

2008-06-24 16:17:59 | 国際社会

 昨夜、NHKスペシャルで「マネーの暴走が止まらない~サブプライムから原油へ~」と題する放送があった。

[米国の住宅バブル]
 米国では景気の下支えと人種格差の解消のためブッシュ大統領は主としてラテン系の人達を対象とする住宅供給政策を発表した。(またしても失敗続きのブッシュさんだ。)
 企業は住宅ローンの返済方法として、最初の数年間の金利を抑えたり、金利のみの支払いを行ったりと、当初の返済負担を軽減したものが普及し、そのため債務者が自分の返済能力を無視した借入を行うことが可能となり、そのような貸付が増加した。
 住宅会社は契約後3年後ごとに利子が上がり最終的には14%近くまでまでなるが、利子が上がる度、価格が上昇した家を担保にして借り換えればすむと説明した。(なんと胡散臭い商売のやり方だ。)
 銀行はこのような危うい貸し出しのリスク分散のために他の格付けランクAAAのものと組み合わせたものを纏めて証券化して売り出した。
 金のだぶついた資金は住宅バブルに乗ってこれに金をつぎ込んだ。
 その際はゼロ金利の日本の金も大いに役立った。
 ただ同然の金を借りて、利率の高い証券を買うのだから。
 それが所謂円キャリーだ。

日本の銀行のしたこと
 それにしても日本のバブル崩壊後、日本の銀行は銀行自身は勿論、日本の企業の再生のための、そして大きな損失を受ける預金者の犠牲のもとのゼロ金利の金を、本来の目的の金繰りに困った日本企業には貸し渋りして、そのような外国の投機筋に金を廻すなど、一般のに人では考えられもしなないモラルの低下だと思うのだが。

 住宅価格の上昇は下降に転じ、住宅会社の説明のような借り換えの手段は途絶え、もともと資金力のない住民には高い利子だけ残り、住宅の放棄となりバブルがはじけた。 
 米国は経済への影響を防ぐため政策金利を3.00%→ 2.25%→ 2.00%と下げた。
 住宅バブルが破裂して、投機資金の行き所が無くなった金の一部は食糧に、多くは石油に廻った。
 ここでも米国の金利値下げは石油への投機で一儲けをを狙う人達にとっては願ってもない資金源だった。
 石油への集中的な投資で原油は1バレル-140ドルに迫る勢いだ。
 それは各方面の物価の値上がりと言う大きな問題になっている。

 素人から見れば何とか過熱した先物市場に水を差す方法もありそうなものだが、石油バブルが崩壊すれば経済、特に米国経済に更なる打撃を与えるものとして、対策を見守るしかないそうだ。

 ただ一つの希望はサウジアラビアが石油の増産を決定したそうだ。
 これに付いて今日の読売はその社説
で概略次のように述べている。
・サウジアラビアが増産と生産能力の拡大に乗り出す影響は小さくあるまい。
 行き過ぎた現在の価格水準に危機感を持ったサウジアラビアが原油高への対応を話し合う産油国と消費国との会合を呼びかけ、OPEC加盟国はじめ、日本、米国、英国など36か国が参加した。
・サウジアラビアが、現在日量950万から-970万バレルにすると表明、生産能力も、2009年までに日量1250万バレルに拡大する。場合によっては、現在の1・5倍以上の日量1500万バレルまで増やす、とした。
・投機筋に対しては、取引の透明性確保など、規制強化の必要性が声明に盛り込まれた。
・日本のエネルギー白書は、原油価格が1バレル-90ドルだった時点で、投機マネーによるかさ上げ分が30ドル程度あると分析した。
・投機筋の動きを制限しない限り、価格高騰に歯止めをかけるのは難しいとの受け止め方だ。
規制に消極的な米国と、その他先進国との思惑の違いはあるが、今後議論を進め、投機筋に対する何らかの規制強化を図るべきである。

[私の主張]
・投機的な動きへの規制強化
 理由は前述
困った米国との関係の見直し
・核兵器を開発して全世界に広め、それを最初に使用した国。
 核廃絶を一番希望しているのは日本だ。
・二次大戦後、世界で一番余計によその国で戦争をした国。
 イラクに派兵を決定した小泉さんだって、本心はイラク問題で米国が困ったことをしてくれたと思っているに違いない。
・戦後国連で一番拒否権を発動→9/11事件以来テロ攻撃を定着、拡散させた国。
・先進国で環境破壊対策で一番腰がひけた国
  洞爺湖のサミットで日本は環境問題でリーダーシップを取らねばならぬのに消極的な米国の意向に従うのか。
 最近では
・日米同盟を反古にし北朝鮮のテロ国家の指定解除をして拉致問題の解決を遅らせる動き
 それに今回の
・世界的な物価高を招いた石油投機の規制に消極的な国
 この件でもまだ日本は米国に追随しなければならぬのか?

 これらのことから考えると日米同盟の解消まで行かずとも、少なくとも小泉さん時代のように米国べったりでなくて、地理的に近いアジア諸国や国情や価値観がやや近いEU諸国にももう少し重点を移し、その分だけ米国とは少し車間距離をあけても良いと思うのだが。

 
参照:その場凌ぎの政治から抜け出すために  (06年8月)
       
米国との関係の見直し  (07年3月)
       
原油価格の高騰 (08年6月)

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参議院不要論

2008-06-23 10:48:25 | 民主党

 昨日の「たかじんのそこまで言って委員会」で参議院の問題が取り上げられた。
 その中印象に残っているものを書いて見た。
青字:放送の内容とパネルの人達の発言、黒字:私の意見または注記)

 最初に参議院は不要か否かについて各自の意見が問われたが賛否が二つに別れた。
[参議院が役に立ったこと]
・道路問題の野党の追求で多くの国土交通省関係の無駄が摘発され、福田に遂に道路特定財源の一般化、暫定税率の一般化を認めさせた
・公務員改革法案で政府、与党の抵抗で骨抜きにされたものを野党の追求で、元の原案に近いもの迄復活し、その責任者の渡辺喜美さんの涙のインタビューとなった。

 ここでは余り話題にならなかったが年金問題での社保庁などの官庁職員の数々の問題点が浮き彫りになったことなども、参議院というよりねじれ国会のお蔭だ。

[参議院が不要の理由]
・衆議院のカーボン・コピーだ。
 参議院が必要と言う人達も、ねじれ国会が今回のように政局に利用されるのなら、不要と言われても仕方がないと言う点では一致した。
 具体的理由については話題には余り出てこなかったが、海上給油、ガソリン税、参議院での政府の提出法案潰しのための数々の審議引き延ばし、逆に僅か一日の審議の後の首相の問責決議案可決など、党利党略見え見えのやり方など余りにも多く、そして皆が知っているからだと思う。

[参議院が形骸化した問題点と理由]
・かっては参議院で多数を占めていた無派閥の緑風会が自民党に取り込まれ、参議院議員の殆どが政党に属する議員になってしまった。
・参院の選挙制度が政党それも大政党有利の衆議院の選挙制度と余り変わらないものになった。
・参議院は衆議院のように、政府、与党の意志による解散もなく身分を保証されているので、それだけの責任をもつてことに当たるべきだ。
 参院の任期が6年、その半分づつが3年毎に入れ代わる制度は、衆議院のように時の一時的な政局にも動かされずに、長期的な視野で判断をするためだ。然し現実は一時的な政治情勢の変化のために逆に6年間も政治の停滞が続くかも知れない結果になっている。 
・上記のような理由で参議院が良識の府でなく政局の府となっている。
・一院制が問題になっている(自民党内で一院制についての検討グループが活動していることの紹介)が、憲法でその存在が規定されているので、どうにもならない。
 自民党は今の情勢では事実上絶対不可能な憲法改正が必要な参議院廃止の検討を何故やるのだろうか、それより参議院そのものの問題点の改革を考えるべきだ。
 先に提出された思いつきの一千万人の労働者受け入れの提言と同様のくだらないことを、今の自民党が政権から転落するかもしれない時期に検討するなど危機感が無さ過ぎると思う。

[今後の参議院のあり方]
・選挙制度を衆議院と違ったものにする
 これに付いては宮崎哲弥さんの意見としてフリップに出ただけで、特に話題にはならなかっが政党に属しない良識のある人達に有利な選挙制度にすることだ。
・参議院での党議拘束を外す
 パネルの人達から衆議院でも重要法案の採決には党議拘束を外すべきだと言う意見が出た。

[民主党の責任]
 この議論を通じて見ると、民主党など野党の具体的な名前は出なかったが、参議院が役立ったことの全て、そして参議院が役立たないか逆に政治を停滞させたことの全ては野党、とくに民主党が関わっている。
 もし民主党員が、道路特定財源や公務員改革法案の審議に見られるように、参議院議員の義務をしっかり果たしてくれれば、日本の政治は停滞せずに済むし、前記の番組の参加者たちが言う様に捩れ国会も日本にとってそれだけの価値があったことになるのだが。

 然し、民主党の山岡国会対策委員長の「連戦連勝」の浮かれ発言にみるように、政権奪還のチャンスが濃厚になった民主党に反省の様子は全くない。

 「たかじんのそこまで言って委員会」の言う様に、「参議院の選挙制度を変える」、「参議院での採決での党議拘束を外す」のどちらも私の政治の停滞を如何に克服するか でも書いたように正論だ。

 このことに関しては参議院内でも改革案を討議しているグループもあるそうだが、その実行は非常に難しいと言うより不可能だ。
 何故なら、民主党は参議院で多数を取ったことの党に取っての旨味を味わっているからだ。
 そのような民主党が参院改革に賛成することは絶対にない(と思う)。
 民主党が仮に政権を取ってもそうだろう。
 何故なら今のような衆議院そっくりの参議院の選挙制度を作ったのは、政権党の自民党だからだ、そして他の野党も自党の党勢拡大のためにそれに乗ったからだ。

[政治の停滞を防ぐために]
 現在の参議院を残してしかも政治の停滞を防ぐためには、
・公務員制度改正法案のように、民主党が真面目に参議院の審議を進める→自党に都合の良いときだけ
・マスコミ、世論で与野党の方針に対して批判する→やや効果あるが無視されることも多い
・是々非々の新政党を作る→前述のように今の選挙制度では小党の永続的な存続は難しい
・民主党が政権をとる→当面の政治の停滞は防げるが、またいずれは捩れ国会になるになる可能性は消えない
・参議院の選挙制度を改める→前述のように難しい
 国民投票か世論やマスコミなどで政治を動かす→国民全体を動かすにはリーダーがいる
・参議院の採決では党議拘束を外す→やれば簡単だが今の与野党ではほぼ期待薄
難しい 
 など考えられる全てに多くの困難が伴う。
 
 先の委員会で宮崎さんが言っていたが、占領軍の憲法原案は一院制だったそうだが、時の首相の幣原喜重郎さんが国会でのチェック機能を果たすためにと参議院を認めさせてそうだ
 私たちはもう一度原点に帰って、参議院の存在の意味を考え直す必要があると思う。

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クジラ肉の窃盗事件と日本人拉致問題

2008-06-22 12:32:41 | 政策、社会情勢

[責任の全てを他人のことにするグリーンピース]
 環境保護団体「グリーンピース・ジャパン」のメンバー2人はクジラ肉の窃盗の容疑で逮捕された。
 これに対して、
グリーンピースは記者会見で「不要で不当な逮捕。即時釈放を求めたい」と訴えた。
 「調査捕鯨の深い闇を暴くには、肉の持ち出しは正当」と強調したが、メンバー2人の持ち出し行為については「事前に組織決定はせず、知らなかった」と明かした。
読売新聞
より)
  グリーンピースは調査捕鯨船の乗組員を業務上横領の疑いで告発のための証拠資料の押収と同じだというのだ。
  国家権力による押収、差し押さえでさえ、裁判所の許可がいるのに、大義のためには超法規も認められるべきだと言うのだ。(米国のイラク侵攻と同じ考え)
  しかもその告発でさえ、地検は乗組員らが所属する「共同船舶」は、調査捕鯨を実施する財団法人から、捕獲したクジラ肉の一部を乗組員の土産用などとして購入。乗組員らは会社から許可を得たうえで肉を自宅に発送したものだとして不起訴にした。
  結局はグリーンピースはその告発も誤解に基づくことが明らかになり、窃盗の事実だけが残った。

 私はグリーンピースの捕鯨反対の活動には反対だが、民主主義国家の日本だからどの様な主義・主張を持っても、そしてその活動も非合法でない限り、何をやっても良いと思う。
 然し、もしその活動が非合法なことが判れば法の裁きは重く受けとめるべきだ。
 「グリーンピース・ジャパン」のメンバーは世界的組織のグリーンピースに属する以上に日本国民だ。
 法を犯しての逮捕は不当など言っていたら、その活動に国民の支持などなくなることを知るべきだと思う。
 何でも自分のしたことは他人の責任だなど言うのは、秋葉原通り魔事件の犯人の言い分と同じだ。
 グリーンピスはこのことを利用して、ことを大きくし世界に捕鯨反対のキャンペーンをやるかも知れないが、日本の当局は日本の法律に従って粛々と手続きを進めるべきだし、多分少なくともこの件に関してはそうすると思う。

[日本人拉致問題]
 日本人はグリーンピースの人達のような例外を除いて、一般的に言って非常に真面目だから、仮に法律を冒した人でも、それが発覚した後の処罰に対しては一も二もなくそれを受け入れる。
 それが憲法やそれに基づく法律を遵守する法治国家のあり方だ。

国際紛争の処理
 然し、こと国際紛争や国際的な事件になればことは全く違って来る。
 今、日本は、北方領土、竹島、尖閣諸島の問題、そして今問題になっている北朝鮮の日本人拉致問題を抱えている。
 この処理には国際法と、国際司法裁判所があり、日本国憲法がある。
 平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して(前文)、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。(9条)
と規定している。

 領土問題で有名なのは一昔のフォークランド紛争で、英国のサッチャー首相は紛争相手のアルゼンチンと国交断絶し航空母艦二隻を派遣するなど武力で自国の主張する領土を護った。
 最近では、米国は9/11のテロ攻撃に直面して自国民を護るために国際法を無視して、宣戦布告もせずにアフガニスタンとイラクに侵攻した。

 日本はその憲法の規定によりこのような武力攻撃は出来ない。
 それかと言って唯一の頼りの国際法や国際裁判所、それに国際連盟も、いざとなれば当事国にとっていかに無力であるかは、英国、米国の例を見ても判る。

日本人拉致問題
 日本は今、明らかな北朝鮮の国際犯罪である拉致問題を抱えている。
 北朝鮮はいくら日本が躍起になったも、日本国憲法のお蔭で絶対に攻めてくることはないことを見透かしている。
 彼等がしたたかなのは、核開発問題では超大国の米国や、自国の庇護をして貰っている中国でさえ手玉に取っていることでも明らかだ。
 平和を愛する諸国民(北朝鮮国民)の公正と信義に信頼して紛争を処理しなければならない日本は大変だ。

 そして前に書いたように日本は正直だから、米国のように国際法違反など出来ない国柄だ。
 それで日本に出来ることは経済制裁と、米国、中国、韓国などに仲介を依頼して苦しい交渉を続ける事だけだった。
 その中国と韓国は反日政策を取っており、まともに対応してくれるとは思えない。(最近の中国の日本に対する態度の変化が見えるが)
 一番頼りの米国はマスコミの言によれば、失点続きのブッシュさんの唯一の成果を上げるために、北朝鮮の国交正常化を計るために、制裁解除をしようとしているそうだ。
 そうなれは日本が取れるただ一つの経済制裁の効果が殆どゼロになってしまう。
 然し独立国としての日本は他国が協力してくれないからと言って文句を言う訳には行かない。

[日本の外交力の強化]
 その日本で出来るでやらねばならぬことは、外交力の強化だ。
 そのために安倍さんが言ってきた情報機関の設置による情報収集と分析力の強化も必要だろう。
 それと外国との交渉に当たっては、国内での異論は色々あっても、こと外国に当たるときは、一致して当たる事だ。
 独裁政治の北朝鮮は対外政策に関しても一枚岩だ。
 そのような国を相手に国内がばらばらでは勝てる訳はない。
 今、山崎拓さんを中心にして日朝国交正常化を目指す超党派の議員連盟結成の動きがあり、北朝鮮の訪問も考えているそうだ。
 それに対して安倍さんが批判を加え、山崎さんがそれに反論している。

対外問題については一致してことに当たろう
 私は安倍さんは山崎さんがその目的達成の為に社民党や共産党まで集めようとすることへの批判していると思うが、山崎さんの本心の少なくとも一つには、何とか日本が有利になることを考えているのだと思う。

 唯一つ、同グループに願いたいのは、その言動、特に北朝鮮訪問などは、交渉の直接の責任者である福田さんや高村さんなどと充分に連携を保って欲しいことだ。

 私の言う外交力の強化やその為の情報機関の設置は、当面の交渉には間にあわないし、私もそれ以上の名案もない。
 日本で今すぐ出来ることは、日本の政治家達が心を一つにして、互いに連携しながらことに当たる事だけだ。

 それにしても、日本のカードは国交正常化で賠償金を払う事、北朝鮮のカードは拉致家族を返すことだ。
 そして最後には日本が賠償と言う金を払って、拉致家族を取り戻すという、日本としては惨めな形での決着になりそうなのは残念なことだ。

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秋葉原の通り魔事件と日本

2008-06-21 11:36:30 | 政策、社会情勢

[ピントが外れている日本?]
・昨日のNHKスペシャル「追跡・秋葉原の通り魔事件」で犯人と同年代の人達のアンケートで、犯人の言う「非正規従業員の不安定に身分に対する不安や危機感」、「彼の感じていた孤立感」に共感を感じると言う人達が多く居た。
(ネット上では犯人を英雄視する書き込みもあるそうだ。)
 これに対して泉信也国家公安委員長が「日本は病んでいる」(正確に言えば「日本は病みかけている」と私は思う)との発言があった。
・それと同じ日のテレビ東京の「ビジネスサテライト」では商品の買い替えサイクルを伸ばす「買い替えない族」が多数を占めていること。
 それに対して消費者の心理が物でなくて、旅行や教養など自分自身を高める方向に向いているのではないかと分析していた。
・同じ日の新聞では、日本商工会議所が中小企業の人手不足解消のために、外国人の単純労働者の受け入れを求める報告を出した(経団連では否定的な立場)との報道があった。

 これに関しては既に自民党の中川秀直さんが「一千万の労働者の受け入れを発表して論議を巻き起こしている。
 政府はの経済政策の基本を経済成長と輸出と共に内需の拡大に重点を置いている。

 これらの事実を一括りで考えると、何か違和感がする。
 どこかピントがずれてはいるようだ。

内需拡大
・内需拡大と言うが私のような年寄りの家では、物を買っても置く所が無い。
 物余り時代の人達は消費から自己投資を考え始めている。
 唯一の希望は何もかも揃えねばならない新婚家庭だが、少子化、晩婚化、非婚化?でそれも余り期待出来ない。
 非正規従業員などの増加で国民の平均収入が減っている。
 そんなことで内需拡大などできるか。
 それどころか所得税増税論議が始まり、昨日の新聞でも経団連がその提唱をしている。

外国人の単純労働者導入
・外国人の単純労働者を入れる前に、少子化対策をして日本人の人口の少なくとも減少を防止すべきではないか、高齢者の有効活用はできないのか。
・増大する日本人の非正規労働者の取り扱いで「日本が病みかけ」始めているのに、大量の外国人、しかも単純労働者が入ったら日本社会はどうなるのか。

[大企業の変質]
 小泉さん始め歴代の政府の人達は昨日書いたように大企業の優遇政策を取ってきた。
 その理由は大企業が儲かれば、それにぶら下がる中小企業が恩恵に与り、国庫が潤うと言う理屈だった。(勿論、共産党が言うように彼らは自民党の大きな支持母体でもあることも優遇の理由の一つかもしれない。)

 その政府が頼りの大企業も変質してきた。
 その最大原因は中国と言う巨大でかつ強力なライバルの台頭だ。
 それと小泉さんの市場経済主義、経済のグローバル化に伴う経営者の意識の変化だ。
・非正規従業員の使用によるコスト削減→社会格差の発生
・かっての企業の倫理感の低下または喪失→もう見飽いた謝罪会見
・社内教育制度の廃止または縮小→技術伝承問題の発生
・成果主義導入による社内競争の激化→精神疾患、自殺の増加
・コスト削減の名の大企業の下請けイジメ→中小企業の衰退

モラルと教育力の低下
 以上の総合的な原因は大企業のモラルの低下と社内の教育力の低下だ
 18日のブログで紹介したように、一昔前に、朝日新聞が「若い人達が社会に出れば、企業で彼らを教育をしてくれるので、我々の少々行き過ぎた報道や主張も、若い人達へは丁度バランスが取れるからいいのだ。」との言い訳染みたコメントををする程企業には社員の教育力があったのが、多くの企業がモラル低下とともにその教育力の殆どを自ら放棄したのだ。

小泉改革の影響
 一方それに対応する教育制度は、何故か各方面の抵抗にあって遅々として進まない。
 そのシンボル的なものは道徳の教科化と言う常識的なものさえ未だに実現出来ない。
 小泉さんは小さい政府を目標にして諸規制を廃止し、米国の年次要望書に従って経済のグローバル化を進めてきた。
 そしてそれなりの成果も上がったし、昨日書いた様に、色々批判のあるものの内には中国などの新興国の台頭という彼にとっては不幸な偶然もあった。(それに対応するのが政治とは思うが。)
 然し彼の改革の一番の問題は、国民のモラルの低下と、企業で言うモチベーションまたはやる気の低下だ。

欧米の日本の考え方の違い
 欧米流で言えば、企業の成り立ちは「投資家」、経営者、と「設備と従業員」だ。
 詰まり従業員は人でなくて設備と同等のものとしか考えられていない。
 だから平気でレイオフをするし、従業員は厳格になマニュアルに基づいて動くロボット扱いするのを何とも思わない。

 日本ではバブル崩壊までは(企業によっては今でも)従業員は「企業という家族」の一員として、(法的には間違いだが)会社の設備を自分のように思って、その故障があれば自発的に直すし(欧米では規則違反)、それでなお問題があればその改造を考える(欧米では職務権限逸脱だ)。
 それが自主管理活動であり、改善活動の原点だ。
 つまり従業員はロボットでなくて人間として扱かわれている。
 だから従業員も設備の改善活動などで自己啓発し、それが認められることでより一層そのモチベーションが上がる。
 それが日本の文化だし日本人の持つ価値観だ。
 
 そして一般の人達も非正規従業員も人間と見ているから、彼らの立場に同情があつまる。
 ロボット化した従業員をそんなものだと思い、企業の業績が悪いから従業員が馘になるのは仕方がないと思う欧米とは日本は違った文化を持っているのだ。
 然し今の日本の企業では日本人の持つ価値観とまったく異なる、「投資家」、「経営者」、「設備と従業員」と「ロボット並の非正規従業員」で企業の成り立っているのだ。
 そこで非正規従業員に孤立感が浮かぶのは当然だ。
 昔は彼らは下請けの形で入るので、客先の社員との待遇の差の不満はあっても、グループの一員として孤立感を感じることはなかった。

[日本のこれから]
 秋葉原の通り魔事件に関連したことで言えば、
政府のあり方
・小さい政府と規制の排除、後は企業や個人の自己責任でよいか
 企業体質の変質をそのままにして良いのか
・経済発展が今後進むか否かを見極め、その対応策(輸出か内需の拡大か、物作りか、金融か)を考える
・少子化対策、高齢者の雇用を今までのようにを適当にするのか、もっと積極的にするのか
・外国人の単純労働者を入れたときの問題点を探り、その対応策を立てる
・日本の教育を現実にそくしてものにする。
 道徳の教科化を推進する。
・種々の仕事をする若者を紹介するNHKの「平成仕事図鑑」のような番組を拡充する。 
  若い人達がなにも派遣会社に登録して、大企業でロボット的な仕事をしなくて中には小企業でも将来の希望があり、そこで人間的な仕事も出来る会社も多いこと知らせ、その選択肢を拡げる。

企業のあり方
 ・日本人の価値観にあった考え方と組織での競争力の強化はできないか、それとも欧米流にグローバル化するか
・倫理観の向上、企業活動を通じての社会貢献
・仕事を通じての従業員の教育(技術とモラル)
・非正規従業員を(出来れば昔のような企業家族の一員のように)人間として扱い、その潜在能力を発掘、活用できないか

 これらのことを「病みかかっている日本」の現状を踏まえて、政府、与野党、経団連など財界のリーダー達が膝を交えて検討し、党や自分の属する団体の利害を離れて、日本として(800兆の借金のように)後になって後悔しないように適切な対策を取る必要があると思う。

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秋葉原の通り魔事件と大企業

2008-06-20 14:58:37 | 政策、社会情勢

  10日の秋葉原の通り魔事件と18日に秋葉原の通り魔事件と教育のブログであの忌まわしい事件の背景を考えてみた。
 今日は彼の働いていた大企業の問題点について考えてみることにする。
 彼は日研総業の派遣社員として、超優良企業のトヨタ自動車グループに属する関東自動車で働いていたそうだ。
 日本の企業の模範とも言われているトヨタグループの会社であるだけに、そこで働いていた彼の起こした事件の背景を考えるのに同社は象徴的な存在のような気がする。

[一億総中流意識を持たせた企業]
 戦後からの日本の復活には日本に有利な経済環境、勤勉で優秀な国民の頑張りなど多くの理由があったが、大企業とそれを中心とする中小企業とそこで働く従業員の力も大きな要因であったのは間違いないと思う。
 そこには一部の例外を除いて、家族主義的な経営、それから生じる従業員の忠誠心、それに基づく、自主管理活動、改善運動、トヨタのジャストイン・システムに代表される業務の合理化、銀行と他企業との強い結びつきなど数え切れない要因があった。
 今回の事件に関連して言えば、派遣は特殊技術者や才能を要するものに限る事、残業は確か月に80時間以上、残業代を払わないのは違法とされるなど、従業員の保護は不完全だったかも知れないが今よりはるかに従業員向きだったと思う。
 それと労働組合も今以上に強くて従業員が不利なならぬような監視していた。
 それには問題もあったが、それが企業の製造ラインの合理化の原動力になり、改善活動と相まって世界有数の製造管理システムの確立に繋がった。
 その結果、全国民が殆ど全てが中流意識を持つと言われ、世界から最も成功した共産主義と言われる程になった。

 これに対してマスコミや批評家の一部からは、日本の成功の原因は「政府が何もしなかったからだ」と揶揄するような発言もあったように、大企業を中心とする中小企業とその従業員の頑張りが大きかったと思う。

[グローバル化の道を歩む日本]
 バブルは崩壊して一挙に国民総中流意識は崩れた。
 そこで、小泉さんと竹中平蔵さんのタグによる所謂構造改革が始まった。
 詰まり一部の人達が揶揄していた動かなかった政府が動き始めたのだ。
 それも米国の年次改革要望書通りの日本への市場開放の要求に沿う「聖域なき構造改革」だった。

  Wikipdia によれば、(→印以下の結果は私の見方)
小泉改革とそのマイナス面
企業と銀行間の株式持ち合い制度の廃止などの金融改革→今回のサブプライムローン問題のように外国の影響をダイレクトに受けるようになった
労働者派遣法の規制緩和→非正規従業員の増大→従業員の平均収入の低下と賃金格差・社会格差の発生→社会不安の発生の可能性
地方分権とは名ばかりで地方への交付金の減少だけで終わる三位一体と称する改革
→地方の疲弊
医療、社会福祉への予算削減→深刻な医療崩壊の傾向、今直面している年金、後期高齢者医療制度の問題
大企業および外資系企業を優遇する政策→日本の産業を支えた中小企業の能力低下
など全て国民生活に直結することばかりだ。
 そのほかにWikipeidaは触れてないが、小泉改革とは別に従業員不足に困った中小企業の外国人研修制度を利用した、研修員の従業員化の問題がある。
  そしてそれが違法行為として摘発されていること実例、そしてこれも優良企業のトヨタの地もとの愛知県で多発していることだ。

小泉改革のもたらしたプラス面
 同じWikipediaによれば
・大企業および外資系企業の業績は急速に好転し、小泉さんが首相に就任時の失業率 5%台から、退任時には、4.2%となった。
・経済は、ニューエコノミーへの転換により活性化し、景気は上向いた。
・構造改革特区では地方での限定的な規制緩和を行い、一定の成果を挙げた

 失業率の低下は少子化→労働力不足の要因と非正規労働者の増加→賃金格差や、経済の活性化は発展する中国への輸出の増大が大きなファクターを占めている。
 これを考えると、唯一のプラス面は構造改革特区だけと言う情けない状態だ。

中国の影響
 但しこの一連のことには大きな要因があり、全てが小泉さんだけの所為ではない。
 詰まり隣国の中国を中心とするBrics諸国の台頭だ。
 特に中国は小平さんの一国二制度と言う市場経済主義の導入とそれからの急速な発展だ。
 しかも中国は膨大な労働人口を抱えしかもその給与水準が日本よりはるかに低いのを利用して急成長を遂げてきた。
 そのためにその隣国の日本企業は、相対的に低下してきた競争力を維持するために、労働者派遣法の規制緩和など生き残りのために必死となっていることだ。

グローバル化に伴う経営者の考え
 それと経済のグローバル化に伴い経営者の考えの変化も忘れてはならない。
 最近良く問題になっている、従業員の自殺の増加の一因となっている成果主義の導入、「従業員の平均賃金は低下しているのに、経営陣の平均収入は増加し、企業の配当も増加している」事実だ。
 これは米国の経営陣や外国の株主の考え方そのままだ。

[今の企業の現状と経営陣]
・大企業を支えてきた中小企業の力の低下
・企業の倫理観の低下または欠如
・レイオフ、成果主義、金が全ての考えに伴う伴う家族主義的な経営の破綻→従業員の忠誠心の低下→自主管理活動の低下の危険性
・成果主義のための長時間労働、サービス残業の増加→精神疾患や自殺の増加
・非正規規労働者の増加→賃金格差や社会格差の増大→秋葉原の通り魔事件のような社会不安の発生
・事件を引き起こした加藤被告の言う、「企業対する忠誠心のないロボットのような」不正規従業員の増加→彼らの潜在能力の無視

日本企業の今後の戦い方
 日本企業は今までの企業を支えてきた従業員の企業への忠誠心や、自主管理活動に代表される従業員の潜在能力の開発とその利用、大企業をバックアップしてきた中小企業の不振、などの基本的な戦闘力を無くして、これからどうして膨大な資本を持つ欧米やインド企業、低賃金を武器とする中国企業と戦って行くのだろうか。
  成果主義一本槍で戦えるのか。
 非正規従業員を今までのように場当たり的に使ってこれから勝てるのか。
 その潜在能力を昔のように引き出し活用できないのか。
 それで彼らのモチベーションを高めれば、企業ににも貢献するし、今回の様な悲惨な事件の発生防止と言う社会貢献にも繋がる筈だ。

企業を通じての社会貢献
 一昔は「企業活動を通じての社会貢献」と言うことが良く言われた。
 そして一部の人達は国民に「一億総中流意識」を持たせたのは政府の力でなく企業だといった。
 今回の秋葉原の通り魔事件について企業としてどうあるべきか、特に派遣社員を使用する側の企業の意見、それを代表する経団連の意見を是非訊きたいものだ。

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岩手・宮城内陸地震と自衛隊と消防隊

2008-06-19 10:00:14 | 政策、社会情勢

 岩手・宮城内陸地震で亡くなられた方達のご冥福をお祈りするとともに、被災された方達の一刻も早い現状回復、避難されている方々の、ご自宅への復帰を心から祈っております。

[自衛隊や消防隊の関係者の方達へ]
 今回の岩手・宮城内陸地震での自衛隊の方達、同地区やその管轄外からも緊急に駆けつけた消防隊の皆さん方の身の危険をもかえりない、献身的なご活躍に感激しております。

 特に7人が行方不明になった宮城県栗原市の旅館「駒の湯温泉」の倒壊現場でのご活躍の様子はテレビで逐一拝見しました。
 自衛隊や消防隊の方たちが、全て人力で壊れた家屋の部分を取り除き、内部の被災者の救出に当たっていました。
 18日のテレビでは、壊れた家屋の屋根ロープを取り付け、何十人と言う人達で引っ張って取り除いていました。 
 その人達もぬかるんだ土地の上に並べた足場の板の上での難しい作業のようでした。

昔の鳶工事
 これらの自衛隊や消防隊のご活躍の様子を見ながら、私は戦争直後に、鳶工事の責任者をしていたころのことを思い出していました。
 鳶工事と言っても建築関係の鳶工事でなくて、一般の重量物取り扱い専門の鳶工事です。
 当時は大型の工事用起重機などなく、重量物を上げるのに、丸太一本(ぼうず)か二本組み合わせた(にまた、またはふたまた)ものを立て、それに取り付けた滑車にワイヤーを張り電動ウインチで巻き上げるか、チエインブロックを下げて人力で吊り上げるかの時代でした。

 そのような一昔の鳶が今回のような被災現場にいたら、どのような仕事をするかと考えて見ると、多分重量物の取り扱いの専門の彼らですから、もう少し違ったやり方をしたのかも知れません。
 鳶なら人が入れる様に狭い隙間を大きくするのに楔(や)をハンマーで何枚も打ち込み、その出来た隙間に板を重ねて養生(何かの原因で崩れて隙間が元に戻らないようにする)しながら次第に隙間を拡大しジャッキを入れてさらに隙間を拡大したでしょう。
 これまでは普通の鳶工ですが、熟練した鳶工はジャッキに思わない力がかかって、倒れないように素人では思いつかない用心のための養生をしたでしょう。
 彼らにはここをどう動かせどのような力がどの方向に加わるかという経験から得た力学の知識があるのです。

 18日のテレビのような屋根などを引き下ろす作業も、どこか遠くの樹木やなければ、適当な所にアンカーを作り、それらと対象物の間にワイヤー張り、チェィンブロックや手巻きウインチなどを使って僅かな人数で安全に引っ張り降ろしたでしょう。
 なにしろ家屋の倒壊の処理など数トンから十トン未満の作業は彼らの一番得意とする所です。

 ここまでの私の想像は、実際の現場を知らない者の言う事で、最深約6メートルの土砂で埋まった現場、泥が腰までつかるほどのぬかるみ、いつ襲ってくるか判らない土石流などの悪条件では、私たちがテレビで見た作業方法で精一杯だろうと思いますし、私の言う事くらいは、自衛隊や消防隊の方達にとっては常識で、釈迦に説法だと言うのが的を得ていると思います。

 18日のテレビで被災した人が視察にきた福田首相に、「援助のスピードが遅い、重機などまだ来ない」と言っていましたが、道路が遮断された山間部でしかもヘリコブターの使用には限界がある現状では如何ともし難いのでしょう。

今後の対策
 今回は幸い直下型地震とかで、家屋の倒壊「駒の湯温泉」の旅館一軒に止まりましたが、普通ならはるかに多くの家屋が倒壊するでしょう。
 山間部の多い日本では、土砂崩れや土石流による道路の遮断は必ず起こるでしょう。

 自衛隊や消防隊でも今回の地震の反省で、重機の小型化、家屋倒壊や土砂崩れからの被災者の救出方法とそのための機材の研究、開発をされると思います。

昔の鳶工のノウハウを活かしては
 その時重量物を取り扱う一般の鳶工事の専門家を呼んでその話も参考にされたら如何でしょう。
 特に一昔の工事用の起重機など無かった時代の鳶の専門家の意見は、困難な状況での被災者の救出作業には非常に参考になると思います。
 そして私は土木については素人ですが、昔の土木の現場作業の専門家も同じように貴重なノウハウを教えてくれると思います。
 彼らは80代かそれ以上の年齢と思います。
 彼らを今のうちに是非呼んで彼らの言った事を記録にし、新しい機械や器具の開発の形で彼らの貴重なノウハウを後世に残して貰ったら如何でしょうか。

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秋葉原の通り魔事件と教育

2008-06-18 10:33:53 | 政策、社会情勢

 秋葉原の通り魔事件の発生からもう一週間が過ぎた。
 私も6月10日のブログ
でもこの問題に触れたが、テレビのニュース番組やワイドショーなどでは、彼自身やその環境の解説から、最近は彼の置かれた派遣社員の問題について触れ始めている。
 考えようによっては、その報道姿勢が彼の弁護にもなり、頭の良くない若者が彼の行動は止むを得なかったと信じさせるかのようなマスコミの報道を見て、また一言書いて見たくなった。
 勿論、彼のことは絶対に許せないと言うマスコミの姿勢は変わらないと思っているので彼らの批判ではない。

 まず彼のような特異な人達が何故出てきたか、非常に多くの要因があると思うが、ここでは教育ををキーワードで考えて見たい。

[教育の責任]
 ここでは戦後の親たちを第一世代とする。
・反省のない一貫した教育方針
教育の基本
 戦後直後:民主主義、権利重視と義務軽視、個人の重視、日本古来の美風軽視または無視
 現在:民主主義、権利重視と義務軽視、個人の重視、道徳教育反対に潜む日本古来の美風導入への抵抗感
と書いた様に、戦争直後と変わらず一貫した教育を行っている。
 戦後の教育方針を作ったのは占領軍かも知れないが、独立後以後殆ど基本方針を変えなかったのは明らかに日本の責任だ。

・第一世代の親たち
  私を含む多分多くの第一世代の親たちは敗戦のショックで自信がないながらも、戦後の教育を受けた子供達に民主主義も大切だが、日本の美風をわすれないように教えた。
 然し、一部の第一世代の親は戦争の反省から戦後の教育をそのまま受け入れ、それを子供たちにも教えた。

・親になった第二世代~第三世代の人達
 多くの民主主義に象徴される西欧流の考え方と日本古来の考え方の良いところをもった人の数が戦後以来の一貫した教育のために次第に減って来る。
 西洋文化一辺倒の一部の第一世代から育てられた人達は教育のお蔭でますます西欧流の考え方になってくるし、教育のお蔭でその数が増えて来る。

無責任な親の出現

 そしてその親がまた子供を教育するか教育を学校任せにする。
 親自身も権利や個人の重視の教育のお蔭で、子供のことより自分の生活優先する人、モンスターペアレンツに代表されるように、自分の責任を棚に上げて、他の責任を追求する人が増えて来る。今回の加藤智大容疑者はその代表的な人だ。

 中ではインターネットなどからの情報で、多くの問題点の真実を知って今まで習ってきた、権利重視、義務・責任軽視の教育の問題点などに気づく人達もでれば、同じネツトで彼のような人達が増えて来るのも事実だ。

[教育以外の社会劣化の原因]
 勿論、社会劣化の原因は教育だけでなく、
・宗教の衰退
 西欧では民主主義を補完する宗教があったのに、日本では占領時の神道の禁止がとけた後も、いかがわしい宗教を除く健全な宗教の存在が観光、結婚式、葬式、年末・年始以外忘れられてしまった。
 これは占領軍の責任と言うより日本の宗教関係者の責任が大きい。

・市場経済主義
 市場経済主義一本槍の政策と社会の風潮のために、金がすべて、企業の生き残りのためなりふり構わない→企業倫理の無視、軽視→派遣労働者の増加→社会格差の発生などという深刻かつ大きい問題だ。

[止まらない社会劣化]
 今、教育の影響や社会環境の悪化のなかで、日本古来の美徳を忘れ、西欧的な考え方の悪い面に影響された親が次第に増えて来ている。
 そしてそんな親たちの背中を見て育った子供たちがまた第三~第四世代の親になって社会の劣化が進んで行くのだ。

 然し現状は、幸いにまだ西欧流と日本古来の考え方の良い所をもった人達の数が多いから、世の中全体としてはまだ所謂モンスター****もまだ少ないし、加藤智大容疑者のような変質者の数も少ないので、世界の先進国に比べるとまだ落ち着いた安全な国でいられる。

 今私たちが考えねばならぬことは、社会劣化を加速させかねない偏った教育があってもそれにブレーキを掛ける宗教も、かっては社会教育にも影響があった企業の倫理観も乏しくなっていることだ。
 これを書いていて、一昔、朝日新聞が「若い人達が社会に出れば、企業で彼らを教育をしてくれるので、我々の少々行き過ぎた報道や主張も、若い人達へは丁度バランスが取れるからいいのだ。」との言い訳染みたコメントを見て呆れたことを思い出した。

 問題は今の儘で放置しておくと、戦後以来変わらない教育姿勢と、止まらない社会環境の悪化のために、健全な考えの人達の数が加速度的に減り、現状では思いもかけぬと言うほど少数の加藤智大容疑者のような連中が今後急速に増えて来る可能性があることだ。
 私たちは彼を非常に特殊な人と考えずに、社会全体の問題として捉えて考える必要があると思う。

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米国の大義の犠牲者と日本

2008-06-17 15:10:37 | 国際社会

 昨夜の英文輪読会の資料で気になったものがあるので紹介する。
  「Coming home becomes nightmare」 (AP)だ。

[可哀相な米国帰国兵士]
ホームレスになった元兵士
 2003年にはジョンはアフガニスタンで米国の部隊を率いていた。
 今は彼は借金を抱え、無職のホームレスとしてロスアンゼルスにいる。
 彼のケースは市民生活に適応しようとしている帰還兵たちが直面している問題を浮き彫りにしている。
 この問題は新しいものではない。
 1960年代から70年代にかけてベトナムから帰国した何千という兵士たちが、彼らの生活を再構築するのが難しいことに気づいた。
 今日、約15万人に及ぶと言われる(実際にはまだ多いかも知れない)ホームレスの兵隊の大部分をベトナムから退役兵士が占めている。

精神障害に悩む兵士
 然し、当時の帰還兵士と今のそれとはいくらかの違いがある。
 イラクやアフガニスタンからの帰還している兵士達、その殆どが20代であるが、彼らを母国で迎えたのは、英雄への大歓迎でなくて、イラクやアフガンの米国の介入にうんざりしている多くの米国人からの非難だった。

 退役兵士の援助をしている組織で、働いている人は言った。
 「多くの兵士たちは戦地で受けた精神的障害を克服できないままに帰国した。それが彼らを中毒性の高い薬物摂取などの危険な行動に走らせている。」

 最近の調査ではまた、帰国兵士の5人のうち1人が、恐ろしい状況を経験した後生じるPTSD(心的外傷ストレス症候群)に罹っていることが判っている。
 それは約30万の兵士だと言われているが、実際の数字はもって多いだろう。
 何故なら兵士たちが心の問題を持っていることを話すことを恥じているからだ。
 過度の飲酒や暴力行為は社会の大きな問題になりかねない。
 ある軍医は彼が抱えている悪夢について言った。
 「それは過去の事を思い出すフラッシバックから始まる。夜には私は酔いつぶれるまで酒をがぶ呑みする。何故なら私はそれ無しには眠れないからだ。」

[日本の自衛隊の人達はどうなる]
 これを読んで友達は帰還兵の多くがホームレスになるのは「米国は徴兵制と違って志願制だからこういうことになるのではないか。」と言った。
 私は友人たちの話を聴きながら、ぼんやりと日本でも自衛隊は志願制だが、米国と違って他国へは原則的に出兵しないので帰還兵などが出来ないこと、戦火を交えるのは国内に限られているので、第二次世界大戦のときのように廻りが全て敵国民と言う事態が起こらないだろうし、第一にその様なことを抜きにしても日本政府は国のために戦った兵士を護って呉れるだろうなどぼんやりと考えていた。
 然し断っておくが、私はこういう話を書いていても、例の9条主義者ではない、いざ何かことあれば、国の総力を上げて国を護るべきだと言う立場だ。

[私の意見]
 私は、米国の帰還兵のことについて言う立場にはない。
 唯一つ言いたいのは、米国が自国(またはその指導者)の信じる大義でイラクやアフガンに介入したために、国のために戦った兵士がその自国での落伍者を作るなど国内だけでなく、世界に大きな影響を及ぼしたことだ。

米国の歩んできた道
 振り返ってみると、
・米国がその支援で建国させたイスラエルの国際法無視の行動に対して世界から批判を浴びても、拒否権を行使しても同国を支援し続けた。
・その理由の一つは米国在住のユダヤ人が政治的に大きな力を持っているし、その支援が無ければ政権を取れないからだそうだ。
・アラブ人から見れば、米国が世界の批判を浴びても頑としてイスラエルに対する態度を変えない、そうかと言って軍事力ではイスラエルには圧倒的に落ちるアラブ諸国は強硬姿勢をとるイスラエルに対して何も出来ない。
・それでオサマ・ビンラディンの一派が911事件を起こした。
・米国は彼らを匿ったアフガンのタリバンを攻撃し、テロ撲滅、大量破壊兵器の隠匿、民主主義の確立などいろいろの大義を掲げてイラクに侵攻した。
・イラク、アフガン戦争では米国は多くの国際法を冒した。
・米国は空爆とうの最新兵器で直ぐに優位に立ったが、地上戦ではテロ行為に悩まされており前記のように帰還兵士がPTSDに罹った。
・イスラム過激派にとっては、911やイラク、アフガンでのテロ行為が米国の様な超大国にも有効な戦術であることを覚らせ、その定着化と拡散に繋がった。

政府、政治家のビジョン
 この問題は米国のイスエルへの無条件とも思えるような肩入れの理由の一つが、選挙の勝利の為にはユダヤ人の協力が欠かせない事と言う民主主義の根幹にも関わる問題だ。
 選挙は民主主義の第一歩であり、それ勝つのは政治家や政党として大事なのは当然だが、その前に政治家や政党が例え自分や自党に取って仮に不利になることであっても、譲れないしっかりしたビジョンをもつことだと思う。
 世界の民主主義のリーダーと自認する米国でも、選挙に勝つために方向を誤り、そのために自国民に犠牲者を出しただけでなく、テロ行為の定着や拡散と言う世界に大きな悪影響を与えているのは事実だ。

日本の政治家のビジョン
 一方日本のことを考えて見ると、ねじれ国会で政局は停滞し、行く先が見えない。
 政治家も政党も公約では奇麗事を言っているが、その根幹にあるビジョンが見えてこない。
 まして日々の彼らの言動は党利党略丸見えで、政党も政治家もそのビジョンに基づいた行動をしているとはとても思えない。
 世界にとって幸いと言うか、日本人にとっては情けないと言うか、日本での与野党のせめぎ合いは、米国の大義の為の戦いに比べれば、平和的ではあるがコップの中の争いのようなチッポケなものだ。

 日本でも「美しい国」でそのビジョンを国民に示して首相になった安倍さんも、その政治的な幼さを野党やマスコミから突かれて失脚してしまった。
 小沢さんには「日本改造計画」などの著書もあるが、その内容と実際の言動は完全に背離している。
 福田さんなど何を考えているか判らない人達ばかりだ。
 麻生さんの「とてつもない日本」も日本の将来はバラ色のような内容から、彼の明るい性格は良く判るが、重みに欠けているようだ。

 誰かしっかりした識見を持ち、しかも実行力のある人はいないのだろうか。
 それとも安倍さんの捲土重来の巻き直しを待つしかないのだろうか。

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国会議員定数削減と民主党と社民党

2008-06-16 11:14:36 | 民主党

 昨日の「たかじんのそこまてで言って委員会」に出演した元レギュラーの橋下大阪府知事に、パネルの人達から何故全国の最低クラスの府の職員の給料をカットし、トップクラスの府議会議員の給料をカットしないかの質問がでた。
 これに合わせて「橋下さんは良くやっているが彼の仕残したのは、道路建設と府議会定員の削減だ」と言う朝日新聞の社説が紹介された。
 それに対して私が6月8日の議員定数削減
でも書いたように、橋下さんは、府は民意を代表して選ばれた立法府での議会と行政の長てしての府知事の二つで成り立っているので、橋下さんとしては、府議会のことに言及する権限はないしそのつもりもないと言う持論を述べていた。
なお上記のブログには国と大阪府の議員定数の削減について書いていますので、もしご興味がお有りの方で、今まで見ておられない方は是非覗いて見てください。

 道路問題では、橋下さんは、「この計画は国の法律で決まっている事、橋下さんから見てその計画は必要だと思っているので反対する理由はない、然し政府は地方交付税を削減して道路建設に付随する府の負担分はそのままでは可笑しい」と言い、「問題は全て国の政策が間違っている。第一国会が今の定数をそのまま扱って削減の案が全く出ないのは可笑しい。」
 と政府や与野党議員の攻撃を始めた。

 橋下さんの本音としては、府議会のことを言及する代わりに、国会のことを持ち出したのだろう。

[民主党のマニフェスト]
 それに応じてパネルの民主党の原口さんが、それはかねてから私たちが主張していることで、国会や政府官庁の合理化を進めるべきだと強調していた。
 然し私は原口さんが民主党が本気で取り組んでいる証拠として、党のマニフェスト 
に上もげていることを言わなかったことに気がついた。、
 何故ならこれを言うとパネルの人達から「何故民主党は公約を実行しないのか」と言われるのは間違いないからだ。

 民主党は参院選のマニフェストで「国会議員定数の1割以上を削減する」と明記していたのに、そして参議院で多数を占めた今でもその方向に動く気配すらない。
 しかもその公約に基づく法案を実際に参議院にでも提出すれば国民の同党に対する支持率の上がるのは確実というのに。

 その理由はいろいろあるのだろうが、民主党の立場に立って考えて見ると、次のように考えられる。
 今の選挙制度では大きな党が有利で、仮に党の公約のように国会議員定数を一割削減した時に最も応えるのは少数政党だ。
 中でも衰退の傾向は止まらない社民党が一番に応えてくるだろう。
 しかも今の社民党は民主党にとって一番忠実な党だ。
 小沢さんの政権奪回のためには手段を選ばない今までの手法から考えると、民主党に一番協力してくれている社民党いじめになるような議員定数削減のマニフェストには眼を瞑って置こうと考えるのは当然だ。
 以上のことは私の全くの勘繰りだがことによっては当たっているのかも知れない。
 それが私の言う「テレビなどでの筋の通った奇麗事な発言と、党としての方針が食い違う民主党」の実情だ。

[社民党の辿る道]
 私は昨日のブログで「社民党は小沢さんの路線に完全に乗って民主党と一体となって動いているように見えるがそのままでは社民党はいずれ民主党に呑み込まれるかも知れない」と書いたが紙面の関係で省略したこを追記しておく。
 民主、社民間の選挙協力だ。
 民主党は多分、社民党の有力候補の所には、自党の候補は立てないだろう。
 然し社民の有力候補は5本の指で数える位しかいない。
 頼りは比例区だが、それは私が予想したように共産、国民新党のような独自性の薄れた社民の票の多くは、今まで以上に民主党に流れて行くような気がする。
 いずれにしても社民党が現実路線に戻らない限り、そして民主党の尻に盲目的にくっついて行く限り、衰退の道を辿るこしかしかないのだろう。


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