社会格差の論議が盛んです。
<<社会格差が皆が言うほどひどいのか>>
これを考える前に、Nikkei Net に掲載された中国の宋文洲さんの見方を見て下さい。
http://it.nikkei.co.jp/business/news/index.aspx?n=MMITzv000028072006
それを要約すると、
1.日本では社会格差の議論が盛んになっている。
2.しかし、世界中でも東京はたぶんホームレスが少ない街に入ると思う。
世界中の貧困層を比べてみてもおそらく日本の貧困層は一番薄くそののレベルも同等ではないと思う。
3.日本は地上で最も社会主義が成功した資本主義国だ。
大企業の社長の年収も多くは4000万―5000万円程度で、新入社員のせいぜい10数倍前後だと思う。
4.国民は格差を批判するが、共産党ではなく自民党を支持する。
いったい日本の格差は本当に酷いものなのだろうか。
5.チャンスの平等を保証する以上、必ず結果の不平等がもたらされる。
結果の平等にこだわるには、必ずチャンスの不平等が必要だ。
いくら努力しても普通の生活ができない社会は悪だが、いくら努力しても普通以上の生活ができない社会も悪だ。
前者は資本主義の悪であり、後者は社会主義の悪だ。
6.金持ちから税金を多く取り、食べていけない人を助ける。
そのかわりに他人の財布の中身を気にせず、チャンス平等の結果を受け入れる。適切な格差を許容する社会こそ大人の社会だとは思う。
<<格差社会の問題点>>
これは外国人から見た割と公平な日本の格差社会の見方でしょう。
しかし、私を含めて心配性の日本人は、この格差が拡大して行くのではないかと思っていると思います。
<金がすべてか>
ホリエモンさんや村上ファンドのように、金が有れば何でも出来る考えは日本に馴染むのでしょうか。
日本の殆どの会社員は会社は自分達の物だと思っています。(明らかに筋が通っていませんが。)
それが会社に対する忠誠心となり、日本独特の小集団活動や、改善運動のとなり、日本が経済大国になった一つの大きな原動力になって来ました。
日本として金だけに頼って会社を支配しようとしていては、資金力が圧倒的に違う、米国など海外の資本家にかなう訳がありません。
それと才覚一つで体を動かさずに、金が儲かる社会は果たして健全な社会でしょうか。
それから色々とモラル上の問題が起こりそうな気がします。
<派遣労働の問題>
バブル崩壊後の会社の立ち直りのために、経済界の要望により、派遣労働の範囲をほぼ無制限に拡げる派遣労働法の改正をしました。
その結果、同じような仕事をする正社員と臨時の派遣社員の間に大きな給料の差異が出て来ました。
此れが格差問題の原因の一つとなっています。
さらに、派遣労働法には、派遣先従業員との同等待遇、例えばボーナス、通勤手当、退職金、定期昇給、育児休業、社会保険、雇用保険への加入などの保障措置が含まれて居ないのです。
此れでは格差社会の典型例として攻撃されても仕方がありません。
余り論議されていませんが契約先に提出する、見積もりの時の正社員の経費は大企業の場合、、(余り自信がありませんが)間接費込みではごく大雑把に言って、1時間約10~20万円になります。
それを派遣社員の場合、処理の仕方によっては実際の支払い賃金のそのままか、少し上乗せした1000円~1万円そこらで、見積りを提出できるのです。
大企業の場合間接費が大きいので、この差は大きな戦力の増大の原因になりますが、もともと間接費の少ない中小企業はそれほどの恩恵に預からずに、結局企業間の格差の拡大に繋がっているのです。
ここで問題があるのは、派遣社員だけでなく、経営者や、同じ職場の正社員の同僚の倫理観に悪い影響を与え、ひいては職場の士気やモラル低下に繋がる可能性もあることです。
それともう一つ、この様な経費の安い派遣労働にに頼る、イージーゴーイングな経営姿勢では、遥かに人件費の安い中国や今後出てくると思われるインドなどととても太刀打ち出来ないでしょう。