普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

原子力行政に役立つのか国会の原発事故調の報告

2012-07-08 12:17:43 | 電力、原発

・余りにもお粗末な事故の直接原因の発表・現場の運転保全に素人ばかりの事故調・原子力規制委員には実務者を登用すべき
人気ブログランキングへ 政治・社会問題へ
 原発立地の首長を始めとする関係者が待ち望んでいた国会の原発事故調の報告が出ました。
 先ず先発の政府事故調がもたついているのを追い越して国会の事故調の報告が先に出たのは評価すべきと思います。
・余りにもお粗末な事故原因の報告
  然し首長の希望していた福島第一の事故の原因究明とそれに基づく安全基準の作成の要望に応えるものかに就いて見ますとその中身は報道だけを見ると、下記のようにあまりにも貧弱で、然もその内容は既知のものばかりです。
・地震・津波対策が必要と認識していたのに対策を講じなかった。
・外部電源の多様性、独立性とうの地震対策不十分
・全電源喪失の確率が低いとして対策放置
・1号機の配管の漏水
・海水ポンプの機能喪失
・事故直後の非常用復水器の取り扱いの混乱などなど
 唯一の発見?は「地震の揺れで発電機の機器が変形して運転中に過熱、損傷した可能性がある」ことだけです(表現が素人めいていますが報道のまま)
 報道では余りにも少なすぎますが、タンク類の流出や損傷、付属配管の損傷など既知の事項ですので、報告書には記載されているかも知れません。
 事故調もその提言で見るように、独立調査委員会を設けて未解明の事故原因の究明や事故収束に向けた調査をするとしているように、中途半端の調査に終わっています。
 これでは緊急を要する原発の運転再開有無の決定の道は遥かに遠いことになります。
 私は少なくとも要員と時間の半分は事故の直接原因の調査に使い、もし上記程度のことしか判らなければ、ある程度の中間報告の形でもっと早く発表すべきだったと思うのですが。
 もう一つ不足なのは同じ程度の地震と津波に襲われて何とか無事に停止した女川や同じ東電の福島第二の比較を加えれば、福間第一の事故原因がもってはっきりすると思うのですが。
・規制される方が規制する側より詳しい現実
 報告書で特に注目を引いたのは、事故の根源的要因として、東電の方が規制する側より遥かに原発に関する知識が深いために、規制する立場とされる立場が逆転関係になり、原子力安全に就いての監視・監督機能の崩壊が起きた点にあり、今回の事故は「自然災害」でなくて明らかに「人災」であると指摘したことです。
 私も石油化学の現場にいた立場から、高圧ガス機器の安全に責任を持つ当時の通産省の設備の運転・保全の経験のない係員がたとえ石油化学を専攻した大卒であっても、現場経験数十年の旧制の高卒の係員にくらべると素人だと書いて来ました。
 詰まり報告が指摘したように、規制する側より規制される側の方が深い知識をもっていますし、またそれで無ければ設備の運転・保全ができないのです。 
 また大学教授で原子炉工学など狭く深い知識は持っているその狭い分野では権威でも、浅くても拾い知識を必要とする現場の人達から見れば素人同然だと書いてきました。
 まして日本の原発建設・運転の初期段階では日本の原発を横断的に見る立場の専門家はその特色が活かしきれずに、外国の時期遅れの文献に頼るしかなく、最新の技術を直接導入出来る東電が有利な立場になるのは当然です。
 私は一般企業出身で企業側に立ちたいのですが、上記で判るように少なくとも技術面では99%の責任は東電にあると書いて来ました。事実は原発事故後の菅さん、関係閣僚、原子力保安院、同安全委員会の混乱ぶりが余りにも酷く、マスコミから叩かれていたので、事故調は本来の福島第一事故の直接原因の究明が優先の当然の方向なのに、政府機関の批判のムードに乗せられて順番と重点の置きかたを間違え、報告も事故後の処理の問題究明に大半のページが割かれることになったような気がします。
 それも私が最初から指摘していたように、事故調自体が、特定分野の専門家だけど原発運転・保全には素人と、文字通りのずぶの素人の集まりの事故調の調査結果もこうなるのは致し方ないし当然でしょう。
 もし原発運転・保全の専門家が調査団に加わっていたら、日常放射能の危険に曝されている運転現場の人達が、上記の様な情報や、福島第一と違って第二に緊急電源を水密性の高い原子炉建屋に移したと言う話しが出た時にどう動いていたか、それに対して東電の幹部がどう対処したかが判ると思いますし、現場の人達も心の中では調査団に是非訊いてもらいたかったことだと思うのですか。
 正に事故原因の究明の中心の大きなテーマの一つです。
 私もこのようなことにならぬような事故調の人事の見直しを、国会の事故調発足の提案をした国会議員にメールしたのですが、済んだことを私がネットの片隅で愚痴を言っても仕方がありません。
 問題は新設される原子力規制委員会の人事で、読売も6日の社説でこのことに触れています。
・原子力規制委員には実務者を登用すべき
 私は6月19日の原子力規制委員には元福島第一の所長の吉田さんをで原子力規制委員には「原子村」、「反原子村」の学者を避けること、担当の細野さんの「しっかりとした現場の実務に精通した人も入れたい」の発言のように、出来れば、そして元気なら元福島第一の所長の吉田さんをいれたらと言う提案をしました。
 勿論吉田さんが駄目なら、東電以外の原発経験者でも良いから吉田さんのように実務に詳しくしっかりした人を是非入れて貰いたいものです。
 しかし読売も指摘しているように、いや指摘しなくても判ることですが、この人選も難しく、またそのような大役そして批判を浴びるのは間違いなさそうな役を引き受ける人も居るかどうか判りません。
 しかしこの人選が今後の日本のエネルギー政策に大きな影響を及ぼすと思いますので、細野さんの頑張りを、そして国会同意人事だそうで担当の政治家の適切な判断を期待しています。

このブログを、より多くの人にも見て貰いたいと思っています。どうぞご協力をお願い致します。

政治・人気ブログランキング